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変異原性が認められた化学物質の取扱いについて
平成26年12月3日基発1203第9号
(都道府県労働局長あて厚生労働省労働基準局長通知)
標記の件に関し、現在まで、
1.労働安全衛生法(昭和47年法律第57号。以下「法」という。)第57条の3第1項の規定に基づき届出のあった化学物質(以下「届出物質」という。)のうち、有害性の調査の結果、強度の変異原性が認められたもの(合計782物質)
2.法第57条の3第1項の既存の化学物質として政令に定める化学物質(以下「既存化学物質」という。)のうち、有害性の調査の結果等により、強度の変異原性が認められたもの(合計150物質)
については、「変異原性が認められた化学物質による健康障害を防止するための指針」(平成5年5月17日付け基発第312号の3の別添1。以下「指針」という。)に基づく措置の実施を届出事業者に対して要請するとともに、指針の周知等を関係事業者団体に対して要請しているところである。
今般、労働安全衛生法第57条の3第3項の規定に基づき新規化学物質の名称を公表する件(平成25年厚生労働省告示第391号、平成26年厚生労働省告示第117号、第271号及び第372号)により、891物質の名称を公表したところであるが、それらの化学物質のうち、別紙1に掲げる49の届出物質について、学識経験者から、変異原性試験の結果、強度の変異原性が認められる旨の意見を得た。
また、既存化学物質のうち別紙2に掲げる20物質について、学識経験者から、強度の変異原性が認められる旨の意見を得た。
ついては、別添1により別紙1に掲げる届出物質を届け出た事業者に対して、指針に基づく措置を講ずるよう要請し、また、別添2により関係事業者団体に対して、別紙1に掲げる届出物質又は別紙2に掲げる既存化学物質を製造する又は取り扱う際には、指針に基づく措置を講ずるよう周知していただきたい旨要請したので、貴職におかれても、管内の事業者に対して、これらの化学物質を製造し、又は取り扱う際には、指針に基づく措置を講ずる等、労働者の健康障害を防止するため必要な措置を講ずるよう周知されたい。
なお、これまでに指針に基づく措置を講ずるよう届出事業者及び関係事業者団体に要請した物質のうち、別紙3に掲げる既存化学物質については、指針に基づく措置の対象から除外することとした。しかしながら、当該物質はジメチルスルホキシドに溶解した場合、強度の変異原性が認められる物質に変化することから、製造し、又は取り扱う際には留意するよう、併せて周知されたい。
(別紙1)
変異原性が認められた届出物質
|
名称公表通し番号 |
名称公表年月日 名称公表告示番号 |
名称 |
1 |
22758 |
平成25年12月27日厚生労働省告示第391号 |
8―アミノキノリン―7―カルバルデヒド |
2 |
22785 |
エテンスルホン酸=プロパ―2―イン―1―イル |
|
3 |
22799 |
1―クロロ―2,3―エポキシプロパンと(2―ヒドロキシベンズアルデヒド・フェノール・ホルムアルデヒド重縮合物)の反応生成物 |
|
4 |
22823 |
シクロヘキサン―1,4―ジカルボン酸=水素=エトキシメチル |
|
5 |
22824 |
シクロヘキサン―1,4―ジカルボン酸=ビス(エトキシメチル) |
|
6 |
22826 |
2―(シクロヘキシルオキシメチル)オキシラン |
|
7 |
22838 |
3,5―ジニトロ―N―(3―ピリジルメチル)ベンズアミド |
|
8 |
22885 |
2―ニトロベンゼンチオスルホン酸=S―フェニル |
|
9 |
22889 |
N,N―ビス(2―クロロエチル)カルバモイル=クロリド |
|
10 |
22970 |
平成26年3月27日厚生労働省告示第117号 |
2―(8―アミノ―2―キノリル)―1H―シクロペンタ[b]ナフタレン―1,3(2H)―ジオン |
11 |
23007 |
8―(オキシラン―2―イルメトキシ)オクタ―1―エン |
|
12 |
23031 |
3―クロロプロパン―1―スルホニル=クロリド |
|
13 |
23034 |
2―(クロロメチル)オキシランと[ナフタレン―1―オール・1,4―ビス(メトキシメチル)ベンゼン重縮合物]の反応生成物 |
|
14 |
23062 |
ジメチル=[4―(メトキシカルボニル)―2―ニトロフェニル]マロナート |
|
15 |
23070 |
3,3',5,5'―テトラメチル―4,4'―ビス(オキシラン―2―イルメトキシ)ビフェニル・ビフェニル―4,4'―ジオール重付加物 |
|
16 |
23080 |
二ナトリウム=4―アミノ―3―{[4―({4―[(2,4―ジアミノフェニル)ジアゼニル]フェニル}カルバモイル)フェニル]ジアゼニル}―5―ヒドロキシ―6―(フェニルジアゼニル)ナフタレン―2,7―ジスルホナート |
|
17 |
23102 |
2―フルオロ―4―(1H―ピラゾール―1―イル)アニリン一塩酸塩 |
|
18 |
23109 |
N―(4―ブロモフェニル)ベンゼン―1,2―ジアミン |
|
19 |
23114 |
{5―[(4―ブロモベンジル)オキシ]―4―(2―メトキシエトキシ)―2―ニトロフェニル}アセトニトリル |
|
20 |
23115 |
1―[(4―ブロモベンジル)オキシ]―2―(2―メトキシエトキシ)―4―ニトロベンゼン |
|
21 |
23126 |
3―メチル―4―オキソ―3,4―ジヒドロイミダゾ[5,1―d][1,2,3,5]テトラジン―8―カルボキサミド |
|
22 |
23129 |
4―メチル―2,2―ジオキソ―3,6―ジヒドロ―1,2λ6―オキサチイン |
|
23 |
23138 |
メチル=4'―(ブロモメチル)ビフェニル―2―カルボキシラート |
|
24 |
23203 |
平成26年6月27日厚生労働省告示第271号 |
1―(オキシラン―2―イルメトキシ)ヘキサン |
25 |
23223 |
[2―クロロメチルオキシラン・4,4'―(プロパン―2,2―ジイル)ジフェノール重縮合物と4,4'―メチレンジアニリンの付加反応生成物]と2―(フェノキシメチル)オキシランの反応生成物 |
|
26 |
23237 |
N,N―ジエチル―3―メチル―4―[(5―ニトロ―1,3―チアゾール―2―イル)ジアゼニル]アニリン |
|
27 |
23253 |
2,2―ジブロモ―1―(2―フルオロフェニル)エタノン |
|
28 |
23258 |
N,N'―ジメチル―N,N'―(ヘキサン―1,6―ジイル)ジカルバモイル=ジクロリド |
|
29 |
23283 |
トリクロリド(ペンタメチル―η5―シクロペンタジエニル)チタン(Ⅳ) |
|
30 |
23351 |
[1―(4―フルオロ―1H―インドール―3―イル)シクロプロピル]メタンアミン=メタンスルホナート |
|
31 |
23359 |
N―(4―ブロモブチル)フタルイミド |
|
32 |
23360 |
1―(7―ブロモ―4―フルオロ―3―ヒドロキシ―2―オキソインドリン―3―イル)シクロプロパンカルボニトリル |
|
33 |
23379 |
メチル=ヒドロキシ(メトキシ)アセタート |
|
34 |
23416 |
平成26年9月26日厚生労働省告示第372号 |
アニリン・2―クロロアニリン・ホルムアルデヒド重縮合物 |
35 |
23417 |
2―アミノ―6―アニリノ―4―メチル―5―{[4―ニトロ―2―(トリフルオロメチル)フェニル]ジアゼニル}ニコチノニトリルと6―アミノ―2―アニリノ―4―メチル―5―{[4―ニトロ―2―(トリフルオロメチル)フェニル]ジアゼニル}ニコチノニトリル(主成分)の混合物 |
|
36 |
23440 |
エチル=2―アミノ―4―メチル―5―(4―ニトロフェニル)チオフェン―3―カルボキシラート |
|
37 |
23441 |
エチル=2―[(エトキシカルボニル)アミノ]―4―メチル―5―(4―ニトロフェニル)チオフェン―3―カルボキシラート |
|
38 |
23444 |
エチル=2―[N―(2,6―ジフルオロベンジル)―N―(エトキシカルボニル)アミノ]―4―[(ジメチルアミノ)メチル]―5―(4―ニトロフェニル)チオフェン―3―カルボキシラート |
|
39 |
23445 |
エチル=2―[N―(2,6―ジフルオロベンジル)―N―(エトキシカルボニル)アミノ]―4―メチル―5―(4―ニトロフェニル)チオフェン―3―カルボキシラート |
|
40 |
23446 |
エチル=N―(2,6―ジフルオロベンジル)―N―{4―[(ジメチルアミノ)メチル]―3―[(6―メトキシピリダジン―3―イル)カルバモイル]―5―(4―ニトロフェニル)―2―チエニル}カルバマート |
|
41 |
23453 |
エチル=4―(ブロモメチル)―2―[N―(2,6―ジフルオロベンジル)―N―(エトキシカルボニル)アミノ]―5―(4―ニトロフェニル)チオフェン―3―カルボキシラート |
|
42 |
23476 |
1―(4―クロロフェニル)―2―メチル―2―モルホリノプロパン―1―オン |
|
43 |
23477 |
(S,E)―N―[4―(3―クロロ―4―フルオロアニリノ)―7―(オキソラン―3―イルオキシ)キナゾリン―6―イル]―4―(ジメチルアミノ)ブタ―2―エンアミド=ジマレアート |
|
44 |
23480 |
2―(クロロメチル)オキシラン・4,4'―(ヘキサフルオロプロパン―2,2―ジイル)ジフェノール重縮合物 |
|
45 |
23491 |
(2,2―ジオキソ―1,3,2λ6―ジオキサチオラン―4―イル)メチル=メタンスルホナート |
|
46 |
23525 |
テトラアンミン白金(2+)=ジアセタート |
|
47 |
23558 |
ナトリウム=4―メトキシアニリニド |
|
48 |
23563 |
4―ニトロベンジル=3―(3―ネオペンチルシクロブチル)―3―オキソプロパノアート |
|
49 |
23605 |
(S)―2―[(ベンジルオキシ)メチル]オキシラン |
(別紙2)
変異原性が認められた既存化学物質
|
化審法官報公示整理番号 |
CAS No. |
名称 (括弧内は官報公示名称) |
1 |
3―110 |
102―01―2 |
アセト酢酸アニリド |
2 |
2―224 |
75―91―2 |
tert―ブチルヒドロペルオキシド |
3 |
2―1041 |
106―91―2 |
メタクリル酸グリシジル |
4 |
2―74 |
78―76―2 |
2―ブロモブタン |
5 |
3―554 |
87―66―1 |
トリヒドロキシベンゼン |
6 |
3―407 |
89―63―4 |
4―クロロ―2―ニトロアニリン |
7 |
3―675 |
95―55―6 |
o―アミノフェノール |
8 |
3―2274 |
98―94―2 |
N,N―ジメチルシクロヘキシルアミン |
9 |
3―136 |
101―72―4 |
N―イソプロピル―N'―フェニル―p―フェニレンジアミン |
10 |
5―3723 |
366―18―7 |
2,2'―ビピリジル |
11 |
3―1348 |
614―45―9 |
tert―ブチルペルオキシベンゾアート |
12 |
2―2330 |
1067―33―0 |
ジブチルスズ二酢酸 |
13 |
5―667 |
1338―23―4 |
3,6―ジエチル―3,6―ジメチル―1,2,4,5―テトラオキサン |
14 |
3―574 |
2210―79―9 |
1―メチル―2―(オキシラン―2―イルメトキシ)ベンゼン |
15 |
2―1766 |
2489―77―2 |
トリメチルチオ尿素 |
16 |
3―955 |
2675―77―6 |
ジクロロハイドロキノンジメチルエーテル |
17 |
5―1367 |
6428―31―5 |
ダイレクト ブラック―19 |
18 |
1―407 |
7803―55―6 |
メタバナジン酸アンモニウム |
19 |
3―682 |
156―43―4 |
p―フェネチジン |
20 |
3―1014 |
80―15―9 |
クメンヒドロペルオキシド |
(注1) これらの化学物質は、化学物質のリスク評価検討会(有害性評価小検討会)の下に設置された遺伝毒性評価ワーキンググループにおいて、既知の知見を基に評価を行い、強い変異原性がある旨の意見を得られたことから、措置の対象とする。
(注2) 「化審法官報公示整理番号」とは、昭和54年6月29日までに化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律(昭和48年法律第117号)(化審法)の規定により公示された際に付せられた整理番号であり、これらは労働安全衛生法においても既存の化学物質として取り扱うこととしている(労働安全衛生法施行令附則第9条の2関係)。
(別紙3)
変異原性が認められた届出物質として指針に基づく措置を要請した物質のうち、措置の対象から除外する物質
|
安衛法官報公示整理番号 |
CAS No. |
名称 |
1 |
1-(2)-245 |
205592-53-6 |
(±)―1,1'―(エチレン)ビス(1,2,3,3a,7a―η―1H―インデニル)ジフェノキシジルコニウム(Ⅳ) |
(除外する理由)
上記の物質は平成24年12月11日基発1211第4号「変異原性が認められた既存化学物質の取扱いについて」において強度の変異原性が認められた既存化学物質としていたが、今般、事業者から新たな試験結果が提出され、専門家が評価した結果、当該物質の変異原性はないとの意見が得られたので、除外する。
(※)
当初行われた変異原性試験に用いた溶媒であるジメチルスルホキシドと上記物質が反応し、強度の変異原性が認められる物質に変化することが判明した。新たな変異原性試験には、上記物質と反応しないエチレングリコールジメチルエーテルを溶媒として試験を実施し、変異原性がないことが確認された。
なお、上記物質自体には変異原性はないが、ジメチルスルホキシドと反応して強度の変異原性が認められる物質に変化することから、取り扱いには注意する必要がある。
[別添1]
○変異原性が認められた化学物質の取扱いについて
平成26年12月3日基発1203第7号
(届出事業者あて厚生労働省労働基準局長通知)
労働安全衛生法第57条の3第1項の規定に基づき、貴殿から届出のあった下記の化学物質(以下「届出物質」という。)に係る有害性調査の結果について、学識経験者から、強度の変異原性が認められる旨の意見を得たところです。
つきましては、届出物質の製造又は取扱いに関し、別添の「変異原性が認められた化学物質による健康障害を防止するための指針」(平成5年5月17日付け基発第312号の3の別添1)に基づく措置を講ずる等、労働者の健康障害を防止するために必要な措置を講ずるようお願いします。
記
1 届出年月日等
2 官報掲載年月日
3 官報公示名称
(別添 略)
[別添2]
○変異原性が認められた化学物質の取扱いについて
平成26年12月3日基発1203第8号
(別紙の関係団体の長あて厚生労働省労働基準局長通知)
労働安全衛生行政の運営につきましては、日頃から格段の御協力を賜り厚く御礼申し上げます。
これまで、労働安全衛生法(昭和47年法律第57号。以下「法」という。)第57条の3第1項の規定に基づき届出のあった化学物質については、同条第3項の規定に基づき、当該化学物質の名称を公表するとともに、同条第4項の規定に基づき、有害性の調査の結果について学識経験者の意見を聴取し、変異原性試験の結果強度の変異原性が認められる旨の意見を得たものについては、「変異原性が認められた化学物質による健康障害を防止するための指針」(平成5年5月17日付け基発第312号の3の別添1。以下「指針」という。)に基づく措置を講ずるよう、届出事業者及び関係事業者団体に対して要請しているところです。
今般、「労働安全衛生法第57条の3第3項の規定に基づき新規化学物質の名称を公表する件」(平成25年厚生労働省告示第391号、平成26年厚生労働省告示第117号、第271号及び第372号)により、891物質の名称を公表したところですが、それらの化学物質のうち、別紙1に掲げる49の届出物質について、学識経験者から、変異原性試験の結果、強度の変異原性が認められる旨の意見を得ました。
また、法第57条の3第1項の既存の化学物質として政令に定める化学物質(以下「既存化学物質」という。)のうち、別紙2に掲げる20物質について、学識経験者から、強度の変異原性が認められる旨の意見を得ました。
つきましては、貴団体におかれましても、傘下会員に対し、別紙1に掲げる届出物質又は別紙2に掲げる既存化学物質を製造し、又は取り扱う際には、指針に基づく措置を講ずる等、労働者の健康障害を防止するため必要な措置を講ずるよう周知いただきますようお願いします。
なお、これまでに指針に基づく措置を講ずるよう届出事業者及び関係事業者団体に要請した物質のうち、別紙3に掲げる既存化学物質については、指針に基づく措置の対象から除外することとしました。しかしながら、当該物質はジメチルスルホキシドに溶解した場合、強度の変異原性が認められる物質に変化することから、製造し、又は取り扱う際には留意いただきますようお願いします。
(別紙1、別紙2及び別紙3 略)
(別紙)
一般社団法人日本化学工業協会
一般社団法人日本化学品輸出入協会
化成品工業協会
農薬工業会
日本製薬団体連合会
[別添3]<編注:略。指針名をクリックして表示>
平成5年5月17日労働省労働基準局長伺い定め
改正 平成18年3月9日
改正 平成24年12月11日