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変異原性が認められた化学物質の取扱いについて
平成24年12月11日基発1211第4号
(都道府県労働局長あて厚生労働省労働基準局長通知)
標記の件に関し、現在まで、
① 労働安全衛生法(昭和47年法律第57号。以下「法」という。)第57条の3第1項の規定に基づき届出のあった化学物質(以下「届出物質」という。)のうち、有害性の調査の結果、強度の変異原性が認められたもの(合計704物質)
② 法第57条の3第1項の既存の化学物質として政令に定める化学物質(以下「既存化学物質」という。)のうち、有害性の調査の結果、強度の変異原性が認められたもの(合計145物質)
については、「変異原性が認められた化学物質による健康障害を防止するための指針」(平成5年5月17日付け基発第312号の3の別添1。以下「指針」という。)に基づく措置の実施を届出事業者に対して要請するとともに、指針の周知等を関係事業者団体に対して要請してきたところである。
今般、労働安全衛生法第57条の3第3項の規定に基づき新規化学物質の名称を公表する件(平成23年厚生労働省告示第477号、平成24年厚生労働省告示第166号、第407号及び第522号)により、1,181物質の名称を公表したところであるが、それらの化学物質のうち、別紙1に掲げる36の届出物質について、学識経験者から、変異原性試験の結果、強度の変異原性が認められる旨の意見を得た。
また、既存化学物質のうち別紙2に掲げる1物質について、新たな知見により強度の変異原性があると認められた。
ついては、別添1により別紙1に掲げる届出物質を届け出た事業場に対して、指針に基づく措置を講ずるよう要請し、また、別添2により関係事業者団体に対して、別紙1に掲げる届出物質又は別紙2に掲げる既存化学物質を製造する又は取り扱う際には、指針に基づく措置を講ずるよう周知していただきたい旨要請したので、貴職におかれても、管内の事業者に対して、これらの化学物質を製造し、又は取り扱う際には、指針に基づく措置を講ずる等、労働者の健康障害を防止するため必要な措置を講ずる旨周知されたい。
また、指針については、労働安全衛生規則(昭和47年労働省令第32号)第24条の14及び第24条の15の規定に準じて下記のとおり改正し、改正後の指針を別添3として示したので、併せて周知されたい。
なお、これまでに指針に基づく措置を講ずるよう届出事業者及び関係事業者団体に要請した物質のうち、別紙3に掲げる2物質(届出物質、既存化学物質各1物質)については、別紙3に掲げる理由により措置の対象から除外することとしたので、これについても併せて周知されたい。
記
指針を次のように改正する。
5を次のように改める。
5 危険有害性等の表示、通知等について
変異原化学物質等を譲渡し、又は提供する場合は、労働安全衛生規則(昭和47年労働省令第32号)第24条の14及び第24条の15の規定に準じて、容器又は包装に名称等の表示を行うとともに、相手方に安全データシート(以下「SDS」という。)の交付等により名称等の通知を行うこと。この場合、微生物等への強い変異原性を有することについて表示及び通知の内容に含めること。
※ 別添1として「案1」を添付
※ 別添2として「案3」を添付
※ 別添3として改正後の「指針」を添付
別紙1
変異原性が認められた届出物質
番号 |
名称公表通し番号 |
名称公表年月日 名称公表告示番号 |
名称 |
1 |
20474 |
平成23年12月27日 厚生労働省告示第477号 |
2―アミノ―4―(4―アミノフェニル)チオフェン―3―カルボニトリル |
2 |
20488 |
平成23年12月27日 厚生労働省告示第477号 |
2―[1―(4―アミノフェニル)エチリデン]マロノニトリル |
3 |
20503 |
平成23年12月27日 厚生労働省告示第477号 |
安息香酸=(2R)―5―オキソ―5,6―ジヒドロ―2H―ピラン―2―イル |
4 |
20512 |
平成23年12月27日 厚生労働省告示第477号 |
5―エチル―3,7―ジオキサ―1―アザビシクロ[3.3.0]オクタン |
5 |
20551 |
平成23年12月27日 厚生労働省告示第477号 |
2―クロロ―3―オキソヘキサン酸エチル |
6 |
20557 |
平成23年12月27日 厚生労働省告示第477号 |
7―(4―クロロブトキシ)キノリン―2(1H)―オン |
7 |
20635 |
平成23年12月27日 厚生労働省告示第477号 |
1,4―ビス(2,3―エポキシプロポキシメチル)シクロヘキサン |
8 |
20648 |
平成23年12月27日 厚生労働省告示第477号 |
6―ヒドロキシ―2H―ピラン―3(6H)―オン |
9 |
20661 |
平成23年12月27日 厚生労働省告示第477号 |
ブタン酸=(R)―(-)―2,3―エポキシプロピル |
10 |
20662 |
平成23年12月27日 厚生労働省告示第477号 |
ブタン酸=(S)―(+)―2,3―エポキシプロピル |
11 |
20769 |
平成24年3月27日 厚生労働省告示第166号 |
4―(4―アミノ―3―クロロフェノキシ)―7―メトキシキノリン―6―カルボキサミド |
12 |
20779 |
平成24年3月27日 厚生労働省告示第166号 |
5―アミノ―1―フェニルピラゾール―4―カルボン酸メチル |
13 |
20824 |
平成24年3月27日 厚生労働省告示第166号 |
(2,2’―オキシジエタノールと1―クロロ―2,3―エポキシプロパンの反応生成物)と2―ヒドロキシチオキサンテン―9―オンの反応生成物 |
14 |
20841 |
平成24年3月27日 厚生労働省告示第166号 |
1―クロロ―2,3―エポキシプロパンと1―(4―ヒドロキシフェニル)エタン―1―オンと4―ヒドロキシ―3―メトキシベンズアルデヒドとメタノールの反応生成物 |
15 |
20903 |
平成24年3月27日 厚生労働省告示第166号 |
1,3―ジクロロ―2―ニトロソベンゼン |
16 |
20932 |
平成24年3月27日 厚生労働省告示第166号 |
2,2―ジメチルプロパン酸=(1R)―3―クロロ―1―メチル―2―オキソプロピル |
17 |
20946 |
平成24年3月27日 厚生労働省告示第166号 |
炭酸=1―クロロエチル=メチル |
18 |
20975 |
平成24年3月27日 厚生労働省告示第166号 |
4―ニトロ安息香酸=4―ニトロフェニル |
19 |
21031 |
平成24年3月27日 厚生労働省告示第166号 |
4―(2―ブロモアセチル)ベンゾニトリル |
20 |
21115 |
平成24年6月27日 厚生労働省告示第407号 |
6―アミノ―5―(2―ヒドロキシ―4―ニトロフェニルジアゼニル)―N―メチルナフタレン―2―スルホンアミドと5―ジエチルアミノ―5’―ニトロ―2,2’―(ジアゼンジイル)ジフェノールと水酸化ナトリウムと硫酸コバルトの反応生成物 |
21 |
21131 |
平成24年6月27日 厚生労働省告示第407号 |
[イソプレンと(過酸化水素とシクロヘキサノンとメタノールの混合物を硫酸鉄(Ⅱ)と反応させて得られるアルキルラジカル)の反応生成物をケン化、酸分解して得られる生成物]と2―(クロロメチル)オキシランの反応生成物 |
22 |
21134 |
平成24年6月27日 厚生労働省告示第407号 |
3―(エチリデンヒドラジノ)―N,N―ジメチルプロパンアミド |
23 |
21185 |
平成24年6月27日 厚生労働省告示第407号 |
2,4―ジクロロ―1,3―ジニトロ―5―トリフルオロメチルベンゼン(主成分)と2,3,4―トリクロロ―1―ニトロ―5―トリフルオロメチルベンゼンの混合物 |
24 |
21194 |
平成24年6月27日 厚生労働省告示第407号 |
2,4―ジニトロ―1―テトラデシルオキシベンゼン |
25 |
21229 |
平成24年6月27日 厚生労働省告示第407号 |
テトラアンミン白金(Ⅱ)ジクロリド |
26 |
21230 |
平成24年6月27日 厚生労働省告示第407号 |
テトラアンミン白金(Ⅱ)水酸塩 |
27 |
21275 |
平成24年6月27日 厚生労働省告示第407号 |
3―ヒドラジノ―N,N―ジメチルプロパンアミド |
28 |
21337 |
平成24年6月27日 厚生労働省告示第407号 |
2―メチルナフト[2,1―b]フラン―1(2H)―オン |
29 |
21338 |
平成24年6月27日 厚生労働省告示第407号 |
2―メチルナフト[2,1―b]フラン―1(2H)―オンオキシム |
30 |
21339 |
平成24年6月27日 厚生労働省告示第407号 |
2―メチルナフト[2,1―b]フラン―1(2H)―オンO―トシルオキシム |
31 |
21372 |
平成24年9月27日 厚生労働省告示第522号 |
2―アミノ―6―[2―(ヒドロキシスルホニルオキシ)エチルスルホニル]ナフタレン―1―スルホン酸と4―アミノ―5―ヒドロキシナフタレン―2,7―ジスルホン酸と2,4,6―トリクロロ―1,3,5―トリアジンと硫酸=水素=2―[3―(エチルアミノ)フェニルスルホニル]エチルの反応生成物のカリウム又はナトリウム塩 |
32 |
21390 |
平成24年9月27日 厚生労働省告示第522号 |
インデン・フェノール・ホルムアルデヒド重縮合物と1―クロロ―2,3―エポキシプロパンの反応生成物 |
33 |
21398 |
平成24年9月27日 厚生労働省告示第522号 |
1,1’―(エチレン)ビス(1,2,3,3a,7a―η―インデニル)ジルコニウムジクロリドと塩化リチウムの混合物 |
34 |
21468 |
平成24年9月27日 厚生労働省告示第522号 |
1,2―ジフルオロ―3―[(4―フルオロ―2―メトキシ―5―ニトロフェノキシ)メチル]―4―メトキシベンゼン |
35 |
21517 |
平成24年9月27日 厚生労働省告示第522号 |
2,3,4,5―テトラメチルシクロペンタ―2,4―ジエン―1―イルリチウム |
36 |
21585 |
平成24年9月27日 厚生労働省告示第522号 |
5―{2―[1H―ベンゾイミダゾール―2(3H)―イリデン]―3―(2,5―ジフルオロフェニル)―3―オキソプロパノイル}―2―フルオロベンゼン―1―スルニル=クロリド |
別紙2
変異原性が認められた既存化学物質
番号 |
名称公表通し番号 |
名称公表年月日 名称公表告示番号 |
名称 |
1 |
15701 |
平成19年12月27日厚生労働省告示第308号 |
(±)―1,1’―(エチレン)ビス(1,2,3,3a,7a―η―1H―インデニル)ジフェノキシジルコニウム(IV) |
別紙3
指針に基づく措置を要請した物質のうち、措置の対象から除外する物質
1 届出物質
名称公表通し番号 |
名称公表年月日 名称公表告示番号 |
名称 |
19721 |
平成23年3月25日 厚生労働省告示第76号 |
2,2’―ビス(ブチルスルホニルオキシイミノ)―2,2’―(ベンゼン―1,3―ジイル)ビス(アセトニトリル) |
除外する理由:この物質は、平成23年11月29日付け基発1129第2号~第4号(以下「平成23年通達」という。)により指針に基づく措置の対象とした物質である。
平成23年通達発出後、届出事業者からの申出により、届出時に提出された有害性調査の結果が届出物質とは別の物質のものであることが判明したため、届出物質の有害性調査の結果について改めて学識経験者の意見を聴いたところ、「弱い変異原性が認められる」との意見が得られたため。
2 既存化学物質
名称 |
官報公示整理番号 |
CAS番号 |
ジフェニルアミン |
(3)―133 (化) |
122―39―4 |
除外する理由:この物質は、国が委託実施した哺乳類培養細胞を用いる染色体異常試験において強い陽性の結果が得られため、平成14年9月26日付け基発第0926010号及び第0926011号により指針に基づく措置の対象とした物質である。
平成23年10月及び平成24年3月に開催された「化学物質のリスク評価検討会」の「有害性評価小検討会」(厚生労働省労働基準局長が参集)において、国が委託実施したジフェニルアミンのがん原性試験の結果の評価を行う際、この物質の変異原性についても検討が行われた。
その結果、国が委託実施した試験は強い陽性であるが、他の機関で実施された各種の変異原性試験(実験動物等を用いる染色体異常に関連する試験を含む。)はいずれも陰性であることから、これらを総合的に検討し、この物質は変異原性がないと判断されたため。
[別添1]
○変異原性が認められた化学物質の取扱いについて
平成24年12月11日基発1211第1号
(届出事業者あて厚生労働省労働基準局長通知)
労働安全衛生法第57条の3第1項の規定に基づき、貴殿から届出のあった下記の化学物質(以下「届出物質」という。)に係る有害性調査の結果について、学識経験者から、強度の変異原性が認められる旨の意見を得たところです。
つきましては、届出物質の製造又は取扱いに関し、別添の「変異原性が認められた化学物質による健康障害を防止するための指針」(平成5年5月17日付け基発第312号の3の別添1)に基づく措置を講ずる等、労働者の健康障害を防止するため必要な措置を講ずるようお願いします。
記
1 届出年月日等
2 官報掲載年月日
3 官報公示名称
(別添 略)
[別添2]
○変異原性が認められた化学物質の取扱いについて
平成24年12月11日基発1211第3号
(一般社団法人日本化学工業協会会長・一般社団法人日本化学品輸出入協会会長・化成品工業協会会長・農薬工業会会長・日本製薬団体連合会会長あて厚生労働省労働基準局長通知)
労働安全衛生行政の運営につきましては、日頃から格段の御協力を賜り厚くお礼申し上げます。
さて、標記の件に関し、現在まで、
① 労働安全衛生法(昭和47年法律第57号。以下「法」という。)第57条の3第1項の規定に基づき届出のあった化学物質(以下「届出物質」という。)のうち、有害性の調査の結果、強度の変異原性が認められたもの(合計704物質)
② 法第57条の3第1項の既存の化学物質として政令に定める化学物質(以下「既存化学物質」という。)のうち、有害性の調査の結果、強度の変異原性が認められたもの(合計145物質)
については、「変異原性が認められた化学物質による健康障害を防止するための指針」(平成5年5月17日付け基発第312号の2の別添。以下「指針」という。)に基づく措置を講ずるよう要請してきたところです。
今般、「労働安全衛生法第57条の3第3項の規定に基づき新規化学物質の名称を公表する件」(平成23年厚生労働省告示第477号、平成24年厚生労働省告示第166号、第407号及び第522号)により、1,181物質の名称を公表したところですが、それらの化学物質のうち、別紙1に掲げる36の届出物質について、学識経験者から、変異原性試験の結果、強度の変異原性が認められる旨の意見を得ました。
また、既存化学物質のうち、別紙2に掲げる1物質について新たな知見により強度の変異原性が認められました。
つきましては、貴団体におかれましても、傘下会員に対し、別紙1に掲げる届出物質又は別紙2に掲げる既存化学物質を製造し、又は取り扱う際には、指針に基づく措置を講ずる等、労働者の健康障害を防止するため必要な措置を講ずる旨周知いただきますようお願いします。
また、指針については、労働安全衛生規則(昭和47年労働省令第32号)第24条の14及び第24条の15の規定に準じて下記のとおり改正し、改正後の指針を別添として示しましたので、併せて周知いただきますようお願い致します。
なお、これまでに指針に基づく措置を講ずるよう届出事業者及び関係事業者団体に要請した物質のうち、別紙3に掲げる2物質(届出物質、既存化学物質各1物質)については、別紙3に掲げる理由により措置の対象から除外することとしましたので、これにつきましても併せて周知願います。
記
指針を次のように改正する。
5を次のように改める。
5 危険有害性等の表示、通知等について
変異原化学物質等を譲渡し、又は提供する場合は、労働安全衛生規則(昭和47年労働省令第32号)第24条の14及び第24条の15の規定に準じて、容器又は包装に名称等の表示を行うとともに、相手方に安全データシート(以下「SDS」という。)の交付等により名称等の通知を行うこと。この場合、微生物等への強い変異原性を有することについて表示及び通知の内容に含めること。
(別紙1、別紙2、別紙3 略)
別添<編注:略。下記標題をクリックして表示>
(平成5年5月17日付け基発第312号の2の別添)
平成5年5月17日
改正 平成18年 3月 9日
同 24年12月11日
[別添3]<編注:略。下記標題をクリックして表示>
(平成5年5月17日付け基発第312号の3の別添1)
平成5年5月17日
改正 平成18年 3月 9日
同 24年12月11日