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労働安全衛生法に基づく新規化学物質の届出等の手続の簡素化について
平成24年11月12日基安化発1112第2号
(都道府県労働局労働基準部健康主務課長あて厚生労働省労働基準局安全衛生部化学物質対策課長通知)
標記について別添のとおり関係事業者団体あて通知したので了知されたい。
なお、別添の記の2(2)イのとおり、昭和61年8月27日付け労働省労働基準局安全衛生部化学物質調査課長事務連絡「高分子化合物に係る名称等の報告について」を廃止したので留意されたい。
[別添]
○労働安全衛生法に基づく新規化学物質の届出等の手続の簡素化について
平成24年11月12日基安化発1112第1号
(一般社団法人日本化学工業協会会長・一般社団法人日本化学品輸出入協会会長・化成品工業協会会長・農薬工業会会長・日本製薬団体連合会会長あて厚生労働省労働基準局安全衛生部化学物質対策課長通知)
労働安全衛生行政の推進について日頃よりご協力を賜り厚く御礼申し上げます。
さて、化学物質による労働者の健康障害を防止するため、労働安全衛生法(昭和47年法律第57号。以下「安衛法」という。)第57条の3の規定により、新規化学物質を製造し、又は輸入する事業者には、有害性調査の実施とその結果の厚生労働大臣への届出(以下「新規化学物質製造・輸入届」という。)又は少量新規化学物質としての厚生労働大臣への確認申請(以下「少量新規化学物質確認申請」という。)が義務付けられております。
今般、労働安全衛生規則等の一部を改正する省令(平成24年厚生労働省令第143号。以下「改正省令」という。)により労働安全衛生規則(昭和47年労働省令第32号。以下「安衛則」という。)が改正され、化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律(昭和48年法律第117号。以下「化審法」という。)に基づく新規化学物質の届出書等の写しを添付することにより、安衛法の新規化学物質製造・輸入届等の記載事項の一部を要しないこと等を内容とする手続の簡素化が図られました。
この改正規定は、平成25年1月1日から施行される予定であり、その趣旨等については、厚生労働省労働基準局長及び雇用均等・児童家庭局長より、「労働安全衛生法施行令の一部を改正する政令及び労働安全衛生規則等の一部を改正する省令の施行について」(平成24年10月26日付け基発1026第6号、雇児発第1026第2号)により示されております。
つきましては、安衛則改正後の新規化学物質製造・輸入届等の手続の詳細については下記1のとおりとするとともに、改正省令に規定されている以外の事項についても下記2のとおり手続を簡素化しますので、これらについて傘下会員への周知方よろしくお願い申し上げます。
なお、改正省令による改正後の手続の具体的な方法については、厚生労働省ホームページの「労働安全衛生法に基づく新規化学物質関連手続きについて」(次のURL参照)を改訂して掲載する予定であることを申し添えます。
http://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/anzeneisei06/index.html
記
1 改正省令による手続の簡素化
新規化学物質製造・輸入届及び少量新規化学物質確認申請の手続については、平成25年1月1日以降、以下のとおりとする。
(1) 新規化学物質製造・輸入届(安衛則第34条の4関係)
次のアの場合には、安衛則様式第4号の3のうちイの事項について記載を要しないこと。
ア 化審法に基づき次の①から⑤までのいずれかの届出書又は申出書の提出がなされている場合であって、当該届出書等の写しを添付した場合
① 新規化学物質の製造又は輸入に係る届出等に関する省令(昭和49年厚生省・通商産業省令第1号。以下「新規化学物質省令」という。)第2条の規定に基づく新規化学物質省令様式第1による届出(新規化学物質製造・輸入届)
② 新規化学物質省令第3条の規定に基づく新規化学物質省令様式第2による申出(中間物としての新規化学物質製造・輸入の確認の申出)
③ 新規化学物質省令第3条の規定に基づく新規化学物質省令様式第4による申出(閉鎖系等用途としての新規化学物質製造・輸入の確認の申出)
④ 新規化学物質省令第3条の規定に基づく新規化学物質省令様式第6による申出(輸出専用品としての新規化学物質製造・輸入の確認の申出)
⑤ 新規化学物質省令第4条の規定に基づく新規化学物質省令様式第9による申出(少量新規化学物質製造・輸入の確認の申出)
イ 記載を要しない事項
・所在地(注:輸入の場合については記載を要する)
・新規化学物質の構造式又は示性式(いずれも不明の場合は、その製法の概略)
・新規化学物質の物理化学的性状
・新規化学物質の製造又は輸入の開始後3年間における毎年の製造予定量又は輸入予定量(注:上記アのうち①の場合のみ省略可)
・新規化学物質の用途(注:上記アのうち①の場合のみ省略可)
・新規化学物質を輸入しようとする場合にあっては、当該新規化学物質が製造される国名又は地域名
(2) 少量新規化学物質確認申請(安衛則第34条の10関係)
ア 記載事項の省略
化審法に基づく少量新規化学物質製造・輸入の確認の申出書(新規化学物質省令第4条の規定に基づく申出書)の提出がなされている場合であって、当該申出書の写しを添付した場合、安衛則様式第4号の4のうち次の事項について記載を要しないこと。
・所在地(注:輸入の場合については記載を要する)
・新規化学物質の構造式又は示性式(いずれも不明の場合は、その製法の概略)
・新規化学物質の物理化学的性状
・新規化学物質の用途
・新規化学物質を輸入しようとする場合にあっては、当該新規化学物質が製造される国名又は地域名
イ 1の事業場に関して2以上の新規化学物質を申請する場合の簡素化
(ア) 通常の申請の場合
少量新規化学物質の確認申請に際して、2以上の物質について同時に申請するときは、過去に少量新規化学物質に係る確認を受けた物質であるか否かにかかわらず、1物質についてのみ安衛則様式第4号の4に記入し、他の物質については別紙に必要事項を記載することで足りるものとする。
ただし、2回目以降の申請については、これまでと同様に同様式及び別紙への「物理化学的性状」の記載は省略できるが、初回の申請についてはこれを省略できないこと。
(イ) 化審法に基づく少量新規化学物質製造・輸入の確認の申出書の写しを添付した場合
初回の申請及び2回目以降の申請について(ア)と同様に申請でき、また、上記アで示した事項については、別紙への記載を省略できること。
(3) 改正後の様式
別紙1及び別紙2として、改正省令による改正後の安衛則様式第4号の3及び様式第4号の4を示す。
2 改正省令以外の簡素化
(1)については平成25年1月1日以降、(2)についてはこの通達の発出日より、次のように取り扱うこととする。
(1) 少量新規化学物質確認申請の確認期間の柔軟化
ア 現状
安衛法の少量新規化学物質の確認期間については、労働安全衛生法施行令(昭和47年政令第318号。以下「安衛令」という。)第18条の4の規定により確認を受ける製造量等が1年間の量となっていることから、暦上の任意の1年間(例:5月1日~翌年4月30日)として運用しており、同一物質を継続して申請する場合、2年目以降も同様となる。
一方、化審法の少量新規化学物質の確認の申出では、確認期間を年度単位(①4月1日~翌年3月31日、②7月1日~翌年3月31日、③10月1日~翌年3月31日、④1月1日~3月31日のいずれか)としており、同一物質を継続して申し出る場合、2年度目以降については全て4月1日~翌年3月31日となる。
このように、安衛法では2年目以降の申請でも物質によって確認期間が異なり、事業者の事務上の負担となっている。
イ 見直し
事業者の負担を軽減するため、従来の方法による確認期間に加えて、年度を単位とする確認期間(例:1年目は5月1日~翌年3月31日、2年目以降は4月1日~翌年3月31日)も可能とする。
なお、既に確認を受けている物質について、次回以降の申請において確認期間を年度単位とすることも可能とする(注1、注2参照)。
(注1)1年ごとに申請する場合の例
既に受けている確認期間は5月1日~翌年4月30日。次回の確認期間は5月1日~翌年3月31日。次々回以降の確認期間は4月1日~翌年3月31日。
(注2)2年分まとめて申請する場合の例
既に受けている確認期間は1年目、2年目ともに5月1日~翌年4月30日。次回の確認期間は1年目5月1日~翌年3月31日、2年目4月1日~翌年3月31日。次々回以降の確認期間は1年目、2年目ともに4月1日~翌年3月31日。
(2) 高分子化合物に係る簡素化
ア 既存の化学物質として取り扱う高分子化合物の拡大
(ア) 現状
安衛法では、昭和61年8月27日付け基発第504号「高分子化合物に係る労働安全衛生法第57条の2の規定に基づく有害性の調査及び届出の取扱いについて」(以下「504号通達」という。)により、既存の化学物質である単量体(モノマー)等から構成される高分子化合物であって一定の条件を満たすもの(別紙3参照)については、既存の化学物質として取り扱うこととされているが、単量体の重量割合による裾切りは設けていない。
(イ) 見直し
国際的な整合化を図るため、次の①又は②に該当する高分子化合物についても、既存の化学物質として取り扱い、新規化学物質製造・輸入届及び少量新規化学物質確認申請を要しないこととする。
なお、①及び②において、「既存の化学物質」には、(a)第504号通達により既存の化学物質として扱われる物質、及び(b)新規化学物質製造・輸入届を提出済みで官報への名称公表がまだなされていない物質も含まれるものとする。
① 2種類以上の単量体等から得られる有機高分子化合物であって、その重量割合の合計が99%を超える単量体等から得られる別の有機高分子化合物が既存の化学物質である場合。なお、目的とする有機高分子化合物の製造の場合であって、残り1%未満の重量割合を占める単量体等が新規化学物質である場合には、当該単量体等について新規化学物質製造・輸入届、少量新規化学物質確認申請等の手続がなされている必要があること。
(例:A―B―C共重合物において、A―B共重合物が既存の化学物質であって、AとBの重量の合計が99%を超えている場合。)
② 2種類以上の単量体等から得られる有機高分子化合物であって、その重量割合の合計が98%を超える単量体等から得られる別の有機高分子化合物が既存の化学物質であり、残り2%未満の重量割合を占める単量体等が既存の化学物質であって、かつ、当該単量体等が次のiからviまでのいずれにも該当しない場合。
i 安衛令第16条第1項に掲げる製造等が禁止される有害物等(ただし、第9号を除く。)
ii 安衛令別表第3に掲げる特定化学物質(ただし、第1号の8、第2号の38及び第3号の9を除く。)
iii 安衛令別表第5第1号及び第4号に掲げる四アルキル鉛及び加鉛ガソリン
iv 安衛令別表第6の2に掲げる有機溶剤
v 鉛中毒予防規則(昭和47年労働省令第37号)第1条第1号、第3号、第4号に掲げる鉛、鉛合金及び鉛化合物
vi 特定化学物質障害予防規則(昭和47年労働省令第39号)第38条の17、第38条の18又は第38条の19により講ずべき措置が規定されている1,3―ブタジエン、1,4―ジクロロ―2―ブテン、硫酸ジエチル及び1,3―プロパンスルトン
(例:A―B―C共重合物において、A―B共重合物が既存の化学物質であって、AとBの重量の合計が98%を超えており、かつ、Cが既存の化学物質(ただし、i~viには非該当)である場合。)
イ 高分子化合物製造・輸入報告の廃止
504号通達で規定される高分子化学物質については、昭和61年8月27日付け労働省労働基準局安全衛生部化学物質調査課長事務連絡「高分子化合物に係る名称等の報告について」により製造・輸入事業者に「高分子化合物製造・輸入報告」の提出を求めていたが、本通達をもってこの事務連絡を廃止する。
[別紙3]
既存化学物質として取り扱われる高分子化合物
昭和61年8月27日付け基発第504号
既存の化学物質(下記※参照)である単量体(モノマー)等から構成され、また、数平均分子量が2,000以上で、さらに次の(1)から(8)のいずれにも該当しない場合
(1) 正電荷を有する高分子化合物
(2) 総重量中の炭素の重量の比率が32パーセント未満の高分子化合物
(3) 硫黄、ケイ素、酸素、水素、炭素又は窒素以外の元素が共有結合している高分子化合物
(4) アルミニウム、カリウム、カルシウム、ナトリウム又はマグネシウム以外の金属イオン(錯体金属イオンを含む)がイオン結合している高分子化合物
(5) 生物体から抽出し、分離した高分子化合物及び当該高分子化合物から化学反応により生成される高分子化合物並びにこれらの高分子化合物と類似した化学構造を有する高分子化合物
(6) ハロゲン基又はシアノ基を有する化合物から生成される高分子化合物
(7) 反応性官能基を有する高分子化合物であって、当該高分子化合物の数平均分子量を当該数平均分子量に対応する分子構造における反応性官能基(下記※※参照)の数で除した値が10,000以下のもの
(8) 常温、常圧で分解又は解重合するおそれのある高分子化合物
※:既存の化学物質
「既存の化学物質」には、労働安全衛生法第57条の3第1項に基づき新規化学物質の製造・輸入届がなされたものの、官報への名称公表がまだなされていない物質が含まれる。
※※:反応性官能基を有する高分子化合物の例
イソシアン酸基、分岐アクリル酸基、分岐メタクリル酸基、エポキシ基、酸無水物、酸ハロゲン化物、アルデヒド、アミン、フェノール類、チオフェノール類、含硫黄酸基若しくはその誘導体、アジリジン類、保護されたイソシアン酸基、イミン、イソチオシアン酸基、ビニルスルフォン、ハロシラン基、アルコキシシラン基、3若しくは4員環ラクトン等の構造を有する高分子化合物