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関係行政機関との連携等による石綿ばく露防止対策の一層の推進について
平成20年2月12日基発第0212009号
(都道府県労働局長あて厚生労働省労働基準局長通知)
石綿ばく露防止対策の推進については、平成17年7月28日付け基発第0728008号「石綿ばく露防止対策の推進について」(以下「基本通達」という。)等により指示しているところであるが、石綿ばく露防止対策を推進するためには、地方公共団体と連携を図る等により、対象事業場等を的確に把握する必要がある。
また、今般、建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律(平成12年法律第104号。以下「建設リサイクル法」という。)に基づく地方公共団体への届出情報の入手等について、総務省から、別添1のとおり、「アスベスト対策に関する調査結果に基づく勧告」(以下「勧告」という。)がなされたところである。
このため、基本通達を別紙の新旧対照表のとおり改正することとしたので、遺漏なきを期されるとともに、下記に留意の上、石綿ばく露防止対策の一層の推進を図られたい。
記
1 建設リサイクル法に基づく届出情報の入手について
基本通達においては、記の第2の1により、建設リサイクル法の届出がなされる地方公共団体との連携について指示しているが、アスベスト使用建築物に係る情報を的確に把握するため、その徹底を図ること。
なお、建設リサイクル法に基づく届出先としては、都道府県の本庁のほか、出先機関及び市等があることから、情報の入手、伝達等が円滑に行われるよう、あらかじめ局・署の役割分担を明確にしておくこと。
2 民間建築物調査結果の入手について
都道府県等が実施した民間建築物調査結果の入手については、平成17年8月26日付け基発第0826001号「建築物に吹き付けられた石綿等の損傷等による石綿ばく露防止対策の徹底のための当面の対応について」の記の1により指示していたところであるが、今般、国土交通省から都道府県に対して、別添2の記の3のとおり、都道府県労働局への関係情報の提供についての要請がなされたところである。ついては、これを踏まえ、都道府県等から民間建築物調査結果の入手に努めること。
なお、国土交通省から都道府県に対して、別添2の記の1のとおり、民間建築物における吹付けアスベストの使用実態把握の徹底について通知されていることに留意すること。
3 入手した情報の活用について
上記1及び2により提供された情報については、対象事業場の把握に活用し、基本通達等に基づき、必要な措置を講ずること。
4 関係通達の廃止
平成17年8月26日付け基発第0826001号は廃止する。
注:別添2は掲載略
別紙<平成17年7月28日基発第0728008号改正の新旧対照表:編注:略>
別添1
アスベスト対策に関する調査結果に基づく勧告(平成19年12月 総務省)(抄)
第2 調査の結果
3 届出情報及び使用実態調査結果の活用
【制度の概要】
厚生労働省は、アスベストのばく露防止措置の履行確保を的確に行うためには、労働安全衛生法に基づく作業届等の対象となる作業現場を確実に把握することが不可欠なことから、平成17年7月、都道府県労働局(以下「労働局」という。)に対し、「石綿ばく露防止対策の推進について」(平成17年7月28日付け厚生労働省労働基準局長通知)により、対象事業場の把握について、建築物の解体時に建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律(平成12年法律第104号。以下「建設リサイクル法」という。)及び大気汚染防止法(昭和43年法律第97号)に基づく届出が行われる都道府県等との連携を密にするよう指示している。
また、厚生労働省は、労働局に対し、「建築物に吹き付けられた石綿等の損傷等による石綿ばく露防止対策の徹底のための当面の対応について」(平成17年8月26日付け労働基準局長通知)により、都道府県と連携して民間建築物調査の情報を入手し、これにより把握したアスベスト使用建築物の事業者に対して、アスベストの劣化・損傷状況やばく露防止措置等について自主点検を行わせ、ばく露防止措置が十分でない事業者に対して監督指導等を実施するよう指示している。
国土交通省は、都道府県等に対し、「吹付けアスベスト等の損傷等によるばく露防止対策の徹底のための都道府県労働局との連携について」(平成17年8月26日付け建築指導課課長補佐事務連絡)等により、民間建築物調査の結果について、労働局とも情報の共有を図るなど連携に努めるよう要請している。
【調査結果】
今回当省が、建設リサイクル法に基づく届出情報の入手状況、民間建築物調査結果の入手状況を調査した結果、次のとおり、労働局において、届出情報及び調査結果の入手が適切に行われていない状況がみられた。
ア 建設リサイクル法に基づく届出情報の入手状況
アスベスト使用建築物の解体等の際には、アスベストが大気中に飛散し、現場の作業者や周辺住民にばく露するおそれがあるため、労働安全衛生法、石綿則、大気汚染防止法及び建設リサイクル法により、事業者は事前に作業計画等を労働基準監督署(以下「監督署」という。)又は都道府県等に届け出ることが義務付けられている。
当省が調査した8労働局と16監督署(各労働局管内の2監督署を抽出)について、これらの労働局が所在する8都道府県等からの建設リサイクル法に基づく届出情報の入手状況をみると、3労働局及び6監督署では、労働局又は労働局から指示を受けた監督署がこれを入手し、労働安全衛生法等に基づく届出が出されているか確認しているものの、5労働局及び10監督署では、労働局及び監督署とも入手していない。
入手していない5労働局及び10監督署では、その理由について、建設リサイクル法に基づく届出件数は1監督署管内で年間数千件に及ぶこともあることから、この届出の中から、アスベストが使用されている建築物に関する情報を抽出する作業に時間と労力がかかることなどを挙げている。
一方、建設リサイクル法に基づく届出情報を入手している3労働局及び6監督署の中には、都道府県等の建設リサイクル法担当部局からすべての届出情報の提供を受ける方法は採らず、アスベストが使用されている建築物の解体に係る届出があった場合に限定して、当該届出書の写しを監督署に送付させる方法等を採っているものもある。
イ 民間建築物調査結果の入手状況
当省が調査した8労働局における都道府県等からの民間建築物調査結果の入手状況をみると、7労働局では都道府県等から調査結果を入手しているが、1労働局では入手していない。この理由は、当該労働局が都道府県等に調査結果の提供を求めたものの、都道府県等が、個人情報の保護を理由として調査結果の提供に協力していないことによる。
なお、行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律(平成15年法律第58号)第8条では、他の行政機関等に保有個人情報を提供する場合において、保有個人情報の提供を受ける者が、法令の定める事務又は業務の遂行に必要な限度で個人情報を利用し、かつ、当該個人情報を利用することについて相当な理由のあるときには、保有個人情報を提供することができるとされている。
【所見】
したがって、厚生労働省及び国土交通省は、アスベスト使用建築物のばく露防止措置の徹底を図る観点から、アスベスト使用建築物に係る情報を的確に把握するため、次の措置を講ずる必要がある。
① 厚生労働省は、都道府県労働局に対し、建設リサイクル法に基づくアスベスト使用建築物の解体作業に関する届出情報の入手を徹底させること。
② 国土交通省は、都道府県等に対し、都道府県労働局から民間建築物調査の結果について提供依頼があった場合には、その提供について協力するよう改めて要請すること。
○石綿ばく露防止対策の推進について<編注:略。通達名をクリックして表示>
平成17年7月28日基発第0728008号
(都道府県労働局長あて厚生労働省労働基準局長通知)
別添