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高所作業車運転業務従事者危険再認識教育について
平成17年5月30日基安発第0530002号
(都道府県労働局長あて厚生労働省労働基準局安全衛生部長通知)
危険再認識教育については、平成3年1月21日付け基発第39号「安全衛生教育の推進について」、平成13年7月12日付け基発第623号「車両系建設機械等の運転業務従事者に対する危険を再認識させるための教育の推進について」及び平成15年4月8日付け基発第0408006号「ローラー運転業務従事者危険再認識教育について」によりその推進を図っているところである。
今般、高所作業車については、作業者を高所において移動させるという特殊な機能を持つ機械であり、これに起因する死亡災害が毎年発生していることから、新たに高所作業車運転業務従事者に対する危険再認識教育実施要領を別添1のとおり定めたので、本教育を行おうとする者に対して本実施要領に基づいて標記教育を実施するよう指導援助を行うとともに、関係事業者に対して対象労働者に本教育を積極的に受講させるよう要請されたい。
なお、別添2のとおり(社)電信電話工事協会会長、電気事業連合会会長及び建設業労働災害防止協会会長に対し、高所作業車運転業務従事者危険再認識教育の推進について要請したので、了知されたい。
別添1
高所作業車運転業務従事者危険再認識教育実施要領
1 目的
高所作業車の運転業務に従事している者であって、高所作業車運転技能講習又は当該業務に係る特別教育の修了後一定期間を経たものに対して、当該業務に対する危険性を再認識させるとともに、安全な作業方法を徹底することを目的とする。
2 対象者
高所作業車の運転の業務に従事している者であって、高所作業車運転技能講習又は高所作業車の運転の業務に係る特別教育を修了後おおむね10年以上経過したものとすること。
3 実施者
高所作業車運転技能講習に係る登録教習機関であること。
4 実施方法
(1) 教育カリキュラムは、別紙1の「高所作業車運転業務従事者危険再認識教育カリキュラム」によること。
(2) 実技教育については、厚生労働省より委託を受けて社団法人全国登録教習機関協会が作成した「高所作業車運転業務従事者危険再認識教育実技教育実施要領」に基づき実施することが適当と認められること。
(3) 1回の教育対象人員は、学科教育にあっては20人以内とするが、実技教育にあっては1単位10人以内として実施すること。
(4) 講師については、別紙2の「高所作業車危険再認識教育講師養成研修カリキュラム」に基づく研修を修了した者又は当該教育カリキュラムの科目について学識経験等を有する者を充てること。
5 修了の証明等
本要領に基づく教育の実施者は、教育修了者に対し、「高所作業車運転業務従事者危険再認識教育」の修了証を交付するとともに、教育修了者名簿を作成し、保管すること。
6 その他
別紙2のカリキュラムに基づいた講師養成研修は、平成17年度から社団法人全国登録教習機関協会において実施する予定であること。
別紙1
高所作業車運転業務従事者危険再認識教育カリキュラム
1 学科教育
科目 |
範囲 |
時間 |
1 高所作業車による災害と技術動向 |
(1) 高所作業車による死亡災害発生状況 (2) 最近の高所作業車の特徴 |
20分 |
2 高所作業車の作業と安全 |
(1) 作業前調査と作業計画 (2) 始業前点検 (3) 現場における作業方法等の確認 (4) 異常時における対応 |
30分 |
3 実技教育の進め方 |
(1) 実技教育の目的 (2) 実技教育の実施方法 (3) 実技教育の留意事項 |
20分 |
4 災害事例と災害防止 |
(1) 実技教育における危険の認識と安全作業 (2) ビデオ教材による災害事例の再現 (3) 災害防止の決意 |
80分 |
2 実技教育
科目 |
範囲 |
時間 |
1 傾斜地における危険の確認 |
傾斜地における高所作業車の逸走防止のための措置に関する実技 |
55分 |
2 地盤養生不良時における危険の確認 |
高所作業車に乗り、地盤養生不良時における操作の危険を確認する実技 |
45分 |
3 死角の確認 |
高所作業車に乗り、壁面に沿って移動しながら作業を行う際の心理的死角を確認する実技 |
90分 |
4 段差走行 |
段差のある路面における高所作業車の走行に関する実技 |
55分 |
3 その他
(1) 学科教育の「4 災害事例と災害防止」については、実技教育の終了後に行うこと。
(2) 実技教育の場所、天候その他の都合により、教育の順序、時間配分等に一部変更があっても差し支えない。
別紙2
高所作業車運転業務従事者危険再認識教育講師養成研修カリキュラム
1 学科教育
科目 |
範囲 |
時間 |
1 危険再認識教育の進め方 |
(1) 危険再認識教育の目的 (2) 危険再認識教育カリキュラム、教材、実施方法等 |
25分 |
2 高所作業車を取り巻く環境 |
(1) 高所作業車による死亡災害発生状況 (2) 最近の高所作業車の特性 |
35分 |
3 高所作業車運転業務従事者危険再認識教育における実技教育の実施要領等 |
(1) 実技教育の目的と重点事項 (2) 実技教育実施方法 (3) 実技教育の注意事項 (4) 教育受講者単位と教育時間 (5) 傾斜地車両設置実技教育の進め方 (6) 地盤養生不良実技教育の進め方 (7) 死角確認実技教育の進め方 (8) 段差走行実技教育の進め方 (9) 実技教育後の学科教育の進め方 (10) ビデオ教材の活用方法 |
180分 |
2 実技教育
科目 |
範囲 |
時間 |
1 傾斜地における危険の確認 |
傾斜地における高所作業車の逸走防止のための措置に関する実技 |
100分 |
2 地盤養生不良時における危険の確認 |
高所作業車に乗り、地盤養生不良時における操作の危険を確認する実技 |
80分 |
3 死角の確認 |
高所作業車に乗り、壁面に沿って移動しながら作業を行う際の心理的死角を確認する実技 |
100分 |
4 段差走行 |
段差のある路面における高所作業車の走行に関する実技 |
80分 |
3 その他
実技教育の場所、天候その他の都合により、教育の順序、時間配分等に一部変更があっても差し支えない。
別添2
○高所作業車運転業務従事者危険再認識教育について
平成17年5月30日基安発第0530001号
(社団法人電信電話工事協会会長・電気事業連合会会長・建設業労働災害防止協会会長あて厚生労働省労働基準局安全衛生部長通知)
貴協会(連合会)におかれましては、平素より労働安全衛生の推進に積極的な取組みを賜り感謝申し上げます。
さて、現在建設業、電気業、通信業等においては、高所作業車が様々な状況で大変頻繁に使用されているところでありますが、当該機械については作業者を高所において移動させるという特殊な機能を持つ機械であり、これに起因する死亡災害が毎年発生しております。
このため、高所作業車の運転業務に従事する者であって、資格取得後一定期間を経た者に対して、当該業務に対する危険性を再認識させるとともに、安全な作業方法の徹底を図るため、今般新たに高所作業車運転業務従事者に対する危険再認識教育実施要領を別添のとおり定めたところです。
つきましては、本教育の趣旨を御理解の上、貴協会(連合会)会員事業場に対し、対象労働者に本教育を積極的に受講させるよう本教育の周知方よろしくお願い申し上げます。