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通達:労働安全衛生法及び労働災害防止団体法の一部を改正する法律(建設業労働災害防止対策関係)、労働安全衛生法施行令の一部を改正する政令並びに労働安全衛生規則等の一部を改正する省令の施行について

 

労働安全衛生法及び労働災害防止団体法の一部を改正する法律(建設業労働災害防止対策関係)、労働安全衛生法施行令の一部を改正する政令並びに労働安全衛生規則等の一部を改正する省令の施行について

平成4年8月24日基発第480号

(都道府県労働基準局長あて労働省労働基準局長通達)

 

労働安全衛生法及び労働災害防止団体法の一部を改正する法律(平成四年法律第五五号。以下「改正法」という。)の施行については、平成四年五月二二日付け労働省発基第四三号により労働事務次官から通達されたところであるが、同法のうち建設業労働災害防止対策関係についてその細部の取扱いについて定めたので、その円滑な実施を図るよう配慮されたい。

また、労働安全衛生法施行令の一部を改正する政令(平成四年政令第二四六号)は、平成四年七月一五日に公布され、労働安全衛生規則等の一部を改正する省令(平成四年労働省令第二四号)は、平成四年八月二四日に公布され、それぞれ一部の規定を除き、平成四年一〇月一日から施行されることとなった。

今回の政省令改正は、改正法の施行に伴い所要の規定を整備するとともに、最近の労働災害発生状況にかんがみ、橋梁りょうの架設等の作業、強烈な騒音を発する場所での作業、移動式クレーンを用いる作業等に関する規定の整備充実を図ったものである。

ついては、今回の改正の趣旨を十分に理解し、下記の事項に留意して、その運用に遺漏のないようにされたい。

 

Ⅰ 法律関係

1 店社安全衛生管理者(第一五条の三関係)

店社安全衛生管理者を選任しなければならない場合において、建設工事に係る請負契約を締結した事業場と異なる事業場において当該建設工事の現場に対する管理、指導を行っているときには、元方事業者は、店社安全衛生管理者を当該建設工事の現場の管理、指導を行っている事業場に配置しても差し支えないこと。

2 元方事業者の講ずべき措置(第二九条の二関係)

元方事業者の講ずべき技術上の指導その他の必要な措置には、技術上の指導のほか、危険を防止するために必要な資材等の提供、元方事業者が自ら又は関係請負人と共同して危険を防止するための措置を講じること等が含まれる。なお、具体的に元方事業者がどのような措置を講じる必要があるかについては、元方事業者と関係請負人との間の請負契約等においてどのような責任分担となっているか、また、どの程度の危険防止措置が必要であるかにより異なるものであり、当該建設現場における状況に応じて適切な措置がとられるよう必要な指導を行うこと。

3 注文者の講ずべき措置(第三一条の二関係)

(1) 第一項の「機械で労働省令で定めるものに係る作業を行う場合」とは、直接当該機械に係る作業を行う場合をいうものであり、例えば移動式クレーンに係る作業において、つり荷、使用する移動式クレーン、荷卸しの箇所等を単に示すのみの場合は含まれないこと。

(2) 第一項の「特定作業に係る仕事を自ら行う発注者」とは、建設業に属する事業の事業者であって、仕事を他の者から請け負わないで注文し、かつ、特定作業に係る作業を自ら行う者であること。

(3) 第一項の「当該仕事の全部を請け負った者で、当該場所において当該仕事の一部を請け負わせているもの」とは、特定作業を共同して行う複数の事業者のうち、当該特定作業に係る仕事の全部を請け負った者で、特定作業に係る作業を自ら行うものであること。

(4) 元方事業者等が第二項の規定に基づいて、第一項に規定する措置を講ずる者を指名する場合には、当該者を機械的に指名するのではなく、当該特定作業の実態に応じて適切な者を指名するよう努めるとともに、元方事業者等において、当該指名された者が第一項の必要な措置を行うことができるよう適切な配慮を行うよう指導すること。

(5) 第二項の規定により指名を受けた事業者は、第一項の「必要な措置」を講じなければならない法律上の義務を負うものではないが、適切な措置を講じるよう指導すること。

(6) 本条の措置義務の関係を図示すれば次のようになること。

第1項の場合

図

第2項の場合(第1項に該当しない場合)

図

4 違法な指示の禁止(第三一条の三関係)

本条は、指示を行った者が労働安全衛生法又はこれに基づく命令の規定に違反する行為が行われることを認識して当該指示を行った場合に適用されるものであり、指示の内容が一般的であって、請負人がその指示に従ったとしても労働安全衛生法又はこれに基づく命令の規定に違反することなく当該指示の目的を果たせる場合において、結果として請負人が命令違反を行ったようなときについては、その適用がないこと。

5 都道府県労働基準局長の審査等(第八九条の二関係)

本条の審査については、原則として計画の届出のあった日から一四日以内に行い、その結果を速やかに事業者に通知すること。

また、審査は、労働安全衛生規則第九一条第一項の書類の範囲内で行うこと。

 

Ⅱ 施行令関係

第一 改正の要点

1 作業主任者を選任すべき作業として、一定の橋梁りょうの上部構造の架設等の作業を追加したこと。(第六条第一五号の三及び第一五号の六関係)

2 橋梁りょうの建設の仕事について、統括安全衛生責任者を選任すべき範囲を拡大したこと。(第七条第二項関係)

第二 細部事項

1 鋼橋架設等作業主任者(第六条第一五号の三関係)

「橋梁りょうの上部構造であって、金属製の部材により構成されるものの架設の作業」とは、建設現場において個々の部材又は部材によって構成されるものをボルト、溶接等により所定の位置に、所定の形状に組み立てていく作業のほか、すでに地上等において組み立てられた橋げた等をクレーン等を用いて所定の箇所に据付ける作業、橋げたの横取り作業、扛こう上じょう・降下作業(ジャッキ等を用いて橋げたを持ち上げ、また、降下させる作業)を含むものであること。

2 コンクリート橋架設等作業主任者(第六条第一五号の六関係)

(1) 「橋梁りょうの上部構造であって、コンクリート造のもの」には、鉄筋コンクリート橋、プレストレストコンクリート橋等があること。

(2) 「橋梁りょうの上部構造であって、コンクリート造のものの架設の作業」には、プレキャストけたをクレーン等を用いて所定の箇所に据付ける作業、張出し場所打ち工作による作業、橋げたの横取り作業、扛こう上じょう・降下作業等は含まれるが、現場において固定式の型枠支保工を地上から組みコンクリートを打設する作業や橋げた架設後の床版コンクリートの打設の作業は含まれないものであること。

3 統括安全衛生責任者を選任すべき業種等(第七条第二項関係)

労働者の数は、工事の開始前の計画段階で算定することとし、その算定に当たっては、昭和四七年九月一八日付け基発第六〇二号記のⅡの四に留意すること。

ただし、大規模な設計変更等により、労働者数に大きな変更が生じた場合には、その時点で改めて算定を行うこと。

 

Ⅲ 労働安全衛生規則関係

第一 改正の要点

1 法改正関係事項

(1) 店社安全衛生管理者の選任に係る労働者数等、資格及び職務について規定したこと。(第一八条の六から第一八条の八関係)

(2) 都道府県労働基準局長の審査の対象となる仕事の計画の範囲を定めるとともに、都道府県労働基準局長の審査と同等の技術的検討を行ったと認められる計画を定めたこと。(第九四条の二及び第九四条の三関係)

(3) 労働災害防止業務従事者に対する講習の科目を定めたこと。(第九五条の四関係)

(4) 就業制限業務従事者に対する講習の科目を定めたこと。(第九五条の五関係)

(5) 建設業に属する事業の元方事業者が、関係請負人の措置が適正に講ぜられるよう必要な措置を講じなければならない場所を定めたこと。(第六三四条の二関係)

(6) 特定元方事業者が行うべき、関係請負人が講ずべき措置についての指導の内容を規定したこと。(第六三八条の四関係)

(7) 注文者が、特定作業に従事するすべての労働者の労働災害を防止するために必要な措置を講じなければならない機械の範囲を定めるとともに、講ずべき必要な措置の内容を規定したこと。(第六六二条の二から第六六二条の五まで関係)

(8) 特定元方事業者が報告すべき事項として、店社安全衛生管理者の氏名等を追加したこと。(第六六四条関係)

(9) 労働災害防止業務従事者に対する講習及び就業制限業務従事者に対する講習の講習受講申込書及び講習修了証の様式を定めたこと。(様式第二一号の三から様式第二一号の六まで関係)

2 法改正関係以外の事項

(1) 橋梁りょうの建設の仕事のうち作業場所が狭いこと等により安全な作業の遂行が損なわれるおそれのある場所を定めたこと。(第一八条の二関係)

(2) 安全衛生責任者の職務を追加したこと。(第一九条関係)

(3) 技能講習の区分として、鉄骨の組立て等作業主任者技能講習を建築物等の鉄骨の組立て等作業主任者技能講習に改めるとともに、鋼橋架設等作業主任者及びコンクリート橋架設等作業主任者に係る技能講習を追加したこと。(第七八条関係)

(4) 最大支間三〇m以上五〇m未満の橋梁りょうの上部構造の建設等の仕事のうち一定の場所で行われるものについて計画の届出の対象とするとともに、労働者が内部に立ち入らないずい道等の建設の仕事について、計画の届出の対象から除外したこと。(第九〇条関係)

(5) 作業の性質上やむを得ない場合又は作業の安全な遂行上必要な場合であって、作業装置につり上げ用の器具を取り付けて使用するときには、車両系建設機械による荷のつり上げを行うことができることとし、その場合の事業者が講ずべき措置について規定したこと。(第一六四条関係)

(6) 型枠支保工の組立図の作成に当たっての要件及び型枠支保工についての措置等を追加するとともに、材料の許容応力の値の算出方式を改めたこと。(第二四〇条から第二四二条まで関係)

(7) 鋼橋架設等の作業及びコンクリート橋架設等の作業について作業主任者の選任及び職務その他危険の防止措置について規定したこと。(第五一七条の六から第五一七条の一〇まで及び第五一七条の二〇から第五一七条の二四まで関係)

(8) 強烈な騒音を発する場所については、標識によって明示する等の措置を講じるとともに、保護具の使用について掲示を行うこととしたこと。(第五八三条の二及び第五九五条関係)

(9) 騒音の測定については、従来、一月以内ごとに一回行うこととしていたものを、六月以内ごとに一回及び施設等を変更した場合に、等価騒音レベルを測定することとしたこと。(第五九〇条及び第五九一条関係)

(10) 特定元方事業者の作成すべき仕事の工程に関する計画及び作業場所における機械、設備等の配置に関する計画の内容を規定したこと。(第六三八条の三関係)

(11) 特定元方事業者が、関係請負人が当該場所で新たに就労する労働者に当該場所の状況等について周知させるために必要な場所の提供等を行わなければならないこととしたこと。(第六四二条の三関係)

第二 細部事項

1 統括安全衛生責任者の選任(第一八条の二関係)

「人口が集中している地域」とは、最新の国勢調査における「人口集中地区」をいうものであること。

なお、国勢調査における「人口集中地区」とは、

(1) 各調査年の国勢調査区を基礎単位として用い、

(2) 市町村の境域内で人口密度の高い調査区(原則として人口密度が一平方キロメートル当たり約四、〇〇〇人以上)が隣接して、

(3) 各調査年の国勢調査時に人口五、〇〇〇人以上を有する場合、当該地域をいうものとされていること。

2 店社安全衛生管理者の資格(第一八条の七関係)

「建設工事の施工における安全衛生の実務に従事した経験」には、店社に籍を有し現場巡視等を行い、現場の安全衛生管理について指導した経験を含むものであること。

3 店社安全衛生管理者の職務(第一八条の八関係)

(1) 第一号の巡視の実施の時期については、例えばビル建築工事において、地下掘削、鉄骨建て方等の混在作業に伴う労働災害の防止上重要な工程に着手する時期その他労働災害を防止する上で必要な時期に重点的に巡視を行い、また、その間隔については、工事の状況に応じ効果的かつ効率的に設定することが望ましいものであること。

したがって、当該工程の状況によっては、必ずしも巡視を月一回以上行わせなくても差し支えないものとすること。

(2) 第二号の趣旨は、工程表に示された各工事の種類ごとの工事の進捗状況を把握、確認しておくというものであること。

4 安全衛生責任者の職務(第一九条関係)

(1) 第三号の「実施についての管理」には、安全衛生責任者が統括安全衛生責任者からの連絡に係る事項を自ら実施することが含まれるものであること。

(2) 第四号の「当該請負人がその労働者の作業の実施に関し作成する計画」には、第一五五条の作業計画、第三八〇条の施工計画、第五一七条の六の作業計画、第五一七条の二〇の作業計画及びクレーン等安全規則第六六条の二第一項の作業の方法等の事項があること。

(3) 第五号の「危険の有無の確認」は、作業前のツールボックスミーティングの際等において労働者から意見を聴くこと等によって確認することでも差し支えないこと。

5 仕事の範囲(第九〇条関係)

第三号の「ずい道等の内部に労働者が立ち入らないもの」には、小口径の機械掘削による推進工法等で機械の修理時等に臨時に労働者が内部に立ち入ることはあるが、通常作業においては労働者が内部に立ち入らないものを含めて差し支えないこと。

6 審査の対象除外(第九四条の三関係)

「その他の公共団体」とは、次のものをいうものであること。

イ 住宅金融公庫その他の公庫、日本開発銀行及び日本輸出入銀行

ロ 住宅・都市整備公団その他の公団及び労働福祉事業団その他の事業団

ハ 日本原子力研究所、帝都高速度交通営団、電源開発株式会社、関西国際空港株式会社、東京湾横断道路株式会社及び新幹線保有機構

ニ 港務局、土地改良区及び森林組合

ホ 地方住宅供給公社、地方道路公社及び土地開発公社

7 主たる用途以外の使用の制限(第一六四条関係)

(1) 第二項第一号の趣旨は、荷のつり上げの作業は、本来、移動式クレーン等を用いて行うべきものであるが、作業の性質上やむを得ないとき又は安全な作業の遂行上必要なときであって、作業装置にフック等のつり上げ用の金具等を用いる場合には、第一項の規定にかかわらず、車両系建設機械を用いて荷のつり上げ作業を行うことができることとし、この場合には第三項の措置を講じなければならないこととするものであること。

(2) 第二項第一号の「荷のつり上げの作業」には、荷をつってのブームの旋回、荷をつっての走行を含むものであること。

(3) 第二項第一号イの「作業の性質上やむを得ないとき又は安全な作業の遂行上必要なとき」には、車両系建設機械を用いる掘削作業の一環として土砂崩壊による危険を少なくするため、一時的に土止め用矢板、ヒューム管等のつり上げ作業を行う場合、作業場所が狭あいなため、移動式クレーンを搬入して作業を行えば作業場所がより錯そうし、危険が増すと考えられる場合があること。

(4) 第二項第一号ロの「作業装置につり上げ用の器具を取り付けて使用するとき」とは、作業装置にフック、シャックル、ワイヤロープ、つりチェーン等が容易に外れないように装着され、これを用いて荷のつり上げの作業を行う場合をいうものであり、バケットの爪にワイヤロープをかけて荷をつり上げるような場合、ブーム、アームに直接ワイヤロープをまわして荷をつり上げるような場合は含まないものであること。

(5) 第二項第一号ロ(1)のつり上げ用の器具の強度は、安全係数(つり上げ用の器具の切断荷重の値を第三項第四号の荷重の値で除した値をいう。)を五以上とすること。

(6) 第二項第一号ロ(3)の「作業装置から外れるおそれのないもの」とは、フック等を溶接により取り付けたものにあっては、溶け込み、のど厚等が十分に得られる溶接とし、かつ、当該取付部の全周にわたり溶接したものであること。

(7) 第三項第四号の「構造及び材料に応じて負荷させることができる最大の荷重」とは、JIS A八四〇三「ショベル系掘削機械用語」四一三〇の「標準荷重」をいうものであること。また、「標準荷重」とは、各フロントアタッチメントを装備したとき、作業機として十分な強度、安定度をもつように、それぞれ定められた標準の負荷荷重をいい、バケットを装備するものでは、バケットの表示容量(平積み〓)×一・八に相当する重量(tf)の静荷重をいうものであること。

(8) 玉掛け用ワイヤロープ等を掛け、又は外す業務は、玉掛け技能講習を修了した者又は玉掛けの業務に係る特別教育を修了した者に行わせるよう指導すること。

8 型枠支保工の組立図(第二四〇条関係)

(1) 第二項の「接合の方法」には、ボルト締め、溶接、緊結金具等があり、ボルト締めにあってはその本数、溶接にあってはのど厚及び溶接長さ、緊結金具にあってはその種類及び個数が示されたものであること。

(2) 第三項第三号及び第四号の趣旨は、型枠支保工の上端に設計荷重の二・五/一〇〇又は五/一〇〇に相当する水平方向の荷重が作用することを想定した場合において、つなぎ、筋かいに生ずる応力の値が材料の許容応力の値を超えないよう設計を行うことであること。

なお、鋼管枠を支柱として用いる型枠支保工にあっては、第二四二条第八号の措置が講ぜられるよう組立図に示されているものについては、第三項第三号に基づき設計が行われているものとして取り扱って差し支えないこと。

9 許容応力(第二四一条関係)

(1) 第一号及び第二号は、鋼材の許容曲げ応力、許容圧縮応力及び許容せん断応力の値を当該鋼材の降伏強さの値又は引張り強さの四分の三の値のうちいずれか小さい値に基づき算出することとしたものであること。

(2) 第三号は、鋼材の許容座屈応力について当該鋼材の種類に応じて算出することとしたものであること。

10 型枠支保工についての措置(第二四二条関係)

(1) 第五号の二の「補強材」には、次図のようなスティフナーがあること。

   図

11 鋼橋架設等の作業(第五一七条の七関係)

(1) 第二号の「強風、大雨、大雪等の悪天候のため」並びに第三号の「つり綱」及び「つり袋」の意義は、第五一七条の三第二号の「強風、大雨、大雪等の悪天候のため」並びに同条第三号の「つり綱」及び「つり袋」の意義と同様であること。

(2) 第四号の「架設用設備」には、ジャッキ、ジャッキ受台等の扛こう上じょう・降下作業に用いる設備、橋げたを支える仮支柱等が含まれること。

(3) 第四号の「補強材の取付け」には、仮受台及びジャッキ受台として用いられるH型鋼についてスティフナーにより補強することがあること。

(4) 第四号の「部材又は架設用設備の座屈又は変形の防止のための補強材の取付け等」の「等」には、扛こう上じょう・降下作業を行う場合に平行に設置された橋げたどうしをあらかじめ連結しておくこと等があること。

12 コンクリート橋架設等の作業(第五一七条の二一関係)

(1) 第二号の「強風、大雨、大雪等の悪天候のため」並びに第三号の「つり綱」及び「つり袋」の意義は、第五一七条の三第二号の「強風、大雨、大雪等の悪天候のため」並びに同条第三号の「つり綱」及び「つり袋」の意義と同様であること。

(2) 第四号の「架設用設備」には、ジャッキ、ジャッキ受台等の扛上こうじょう・降下作業に用いる設備、橋げたを支える仮支柱等が含まれること。

(3) 第四号の「補強材の取付け」には、仮受台及びジャッキ受台として用いられるH型鋼についてスティフナーにより補強することがあること。

13 強烈な騒音を発する場所の明示等(第五八三条の二関係)

(1) 「強烈な騒音を発する屋内作業場」とは、等価騒音レベルが九〇デシベル以上の屋内作業場をいうものであること。

なお、第一三条第一項第二号のチ、第五八四条及び第五九五条における強烈な騒音を発する場所又は屋内作業場についても同様であること。

(2) 「標識によって明示する等」とは、屋内作業場について、強烈な騒音を発する場所とそれ以外の場所を、区画物に標識を付し、又は床上に白線、黄線等を引くことにより区画することをいうが、屋内作業場の入口等に、強烈な騒音を発する屋内作業場である旨を掲示すること等の措置を講じることとしても差し支えないこと。

14 騒音の測定等(第五九〇条関係)

「等価騒音レベル」とは、時間とともに変動する騒音がある場合、そのレベルを、ある測定時間内でこれと等しいエネルギーを持つ定常騒音の騒音レベルで表示したものであること。

なお、等価騒音レベルは、変動騒音に対する人体の生理・心理的な反応とよく対応するとされているものであること。

15 施設等を変更した場合における騒音の測定(第五九一条関係)

施設、設備、作業工程又は作業方法の変更が軽微な場合であって、かつ当該変更の前後で騒音レベルの変動が小さいと認められる場合には、本条による等価騒音レベルの測定を行う必要がないものであること。

16 法第二九条の二の労働省令で定める場所(第六三四条の二関係)

(1) 第一号の「場所」は、第三六一条又は第五三四条の措置を講ずべき場所であること。

(2) 第二号の「場所」は、基礎工事用の車両系建設機械については第一五七条又は第一七三条の措置を講ずべき場所であり、移動式クレーンについてはクレーン等安全規則第七〇条の三の場所であること。

(3) 第三号の「場所」は、第三四九条の措置を講ずべき場所であること。

(4) 第四号の「場所」は、第三六二条の措置を講ずべき場所であること。

17 計画の作成(第六三八条の三関係)

(1) 本条の規定により作成される計画については、施工計画書において示されていれば足りるものであること。

(2) 「工程表等」の「等」には、機械等の搬入、搬出の予定についての計画があること。

(3) 「主要な機械、設備及び作業用の仮設の建設物」には、クレーン、工事用エレベーター、主要な移動式クレーン、建設機械等の工事用の機械、足場、型枠支保工、土止め支保工、架設通路、作業構台、軌道装置、仮設電気設備等の工事用の設備及び事務所、寄宿舎等の作業用の仮設の建設物があること。

18 関係請負人の講ずべき措置についての指導(第六三八条の四関係)

本条は、特定元方事業者が車両系建設機械又は移動式クレーンを用いて作業を行う関係請負人の作成する作業計画等について、周囲の請負人の労働者に危害を及ぼさないよう第六三八条の三の計画に基づき必要な指導を行わなければならない趣旨であり、具体的な指導の内容としては、機械の種類及び能力、運行経路、作業方法、設置位置等についての指導があること。

19 周知のための資料の提供等(第六四二条の三関係)

(1) 本条は、いわゆる新規入場者教育等が行われる際に、特定元方事業者が必要な場所、資料の提供等の援助を行うべきことを規定したものであること。

(2) 「資料の提供等」の「等」には、視聴覚機材の提供があること。

20 パワー・ショベル等についての措置(第六六二条の三関係)

(1) 特定発注者等がパワー・ショベル等を用いて行う荷のつり上げに係る作業に関してその請負人の労働者の作業を含めて、作業の内容、作業に係る指示の系統及び立入禁止区域を含む作業計画を定め、関係請負人に周知している場合は、本条の措置を講じていることとなること。

(2) 「その他当該機械に係る作業」には合図があること。

21 くい打機等についての措置(第六六二条の四関係)

(1) 特定発注者等がくい打機等に係る作業に関してその請負人の労働者の作業を含めて作業の内容、作業に係る指示の系統及び立入禁止区域を含む作業計画を定め、関係請負人に周知している場合は、本条の措置を講じていることとなること。

(2) 「その他当該機械に係る作業」には作業指揮があること。

22 移動式クレーンについての措置(第六六二条の五関係)

(1) 特定発注者等が移動式クレーンに係る作業に関してその請負人の労働者の作業を含めて作業の内容、作業に係る指示の系統及び立入禁止区域を含む作業計画を定め、関係請負人に周知している場合は、本条の措置を講じていることとなること。

(2) 「その他当該機械に係る作業」には荷の支持があること。

23 附則第二条関係

平成六年一〇月一日前に鉄骨の組立て等作業主任者技能講習を修了した者は、平成六年一〇月一日以降は、建築物等の鉄骨の組立て等作業主任者技能講習を修了した者とみなすこととしたこと。

24 附則第五条及び第六条関係

改正政令のうち、労働安全衛生法施行令第六条の改正規定が平成六年一〇月一日から施行されること等に伴い、これに係る規定の適用について次のとおり整理を行ったものであること。

(1) 「建築物の骨組み又は塔であって、金属製の部材により構成されるもの(その高さが五メートル以上であるものに限る。)の組立て、解体又は変更の作業」については、平成四年一〇月一日以降においても、引き続き、第五一七条の二及び第五一七条の三の規定が適用されること。

(2) 「橋梁りょうの上部構造であって、金属製の部材により構成されるもの(その高さが五メートル以上であるもの又は当該上部構造のうち橋梁りょうの支間が三〇メートル以上である部分に限る。)の架設、解体又は変更の作業」については、平成四年一〇月一日から第五一七条の七及び第五一七条の一〇の規定が適用され、平成五年四月一日以降に開始されるものについては、さらに第五一七条の六の規定が適用されること。

なお、「橋梁りょうの上部構造であって、金属製の部材により構成されるもの(その高さが五メートル以上であるものに限る。)の組立て、解体又は変更の作業」のうち平成五年三月三一日までに開始されるものについては、第五一七条の二の規定が適用されること。

(3) 「橋梁りょうの上部構造であって、コンクリート造のもの(その高さが五メートル以上であるもの又は当該上部構造のうち橋梁りょうの支間が三〇メートル以上である部分に限る。)の架設又は変更の作業」については、平成四年一〇月一日から第五一七条の二一及び第五一七条の二四の規定が適用され、平成五年四月一日以降に開始されるものについては、さらに第五一七条の二〇に規定が適用されること。

Ⅳ ボイラー及び圧力容器安全規則関係

1 改正の要点

特級ボイラー技士免許試験を受け、一部の科目に合格点を得た者が、当該試験の行われた月の翌月の始めから起算して二年以内に実施される試験を受ける場合は、当該合格点を得た科目を免除することとしたこと。(第一〇二条の二関係)

2 細部事項

「合格点」とは、昭和三四年三月三〇日付け基発第二〇四号に基づき実施された学科試験が六〇点以上であることをいうものであること。

また、合格点を得た科目について、申請により免除されることとなった場合においても、受験手数料は全科目受験の場合と変わらないものであること。

Ⅴ クレーン等安全規則関係

第一 改正の要点

1 災害発生状況等から、特定の玉掛け方法等によりクレーン等に係る作業を行う場合において、荷等の下への立入りを禁止したこと。(第二九条、第七四条の二及び第一一五条関係)

2 天井クレーンのクレーンガーダ上等において作業を行う場合の墜落等の危険の防止措置を規定したこと。(第三〇条の二関係)

3 クレーン、移動式クレーン及びデリックに係る作業を行う場合において、強風時の作業の中止を定めたこと。(第三一条の二、第七四条の三及び第一一六条の二関係)

4 強風により、ジブクレーンのジブが損壊し、又は移動式クレーンが転倒するおそれのあるときの労働者の危険を防止するための措置を規定したこと。(第三一条の三及び第七四条の四関係)

5 移動式クレーンを用いた作業を行うときは、その転倒等による労働者の危険を防止するため、作業開始前に作業の方法等について定め、周知することを規定したこと。(第六六条の二関係)

6 地盤が軟弱であること等により移動式クレーンが転倒するおそれのある場所での移動式クレーンを用いた作業を禁止したこと。(第七〇条の三関係)

7 鉄板等を敷設した上にアウトリガーを使用する移動式クレーンを設置する場合には、鉄板等の上の当該移動式クレーンが転倒するおそれのない位置に設置しなければならないこととしたこと。(第七〇条の四関係)

8 移動式クレーンを使用して作業を行う場合には、アウトリガー又はクローラを原則として、最大限に張り出さなければならないこととしたこと。(第七〇条の五関係)

9 移動式クレーンの上部旋回体に接触するおそれのある箇所への立入りを禁止したこと。(第七四条関係)

10 磁力又は陰圧により吸着させる玉掛用具、チェーンブロック、チェーンレバーホイスト及びつりクランプについて、その使用荷重等に応じて使用しなければならないこととしたこと。(第二一九条の二関係)

第二 細部事項

1 立入禁止(第二九条、第七四条の二及び第一一五条関係)

(1) 「つり上げられている荷の下」とは、荷の直下及び荷が振れ、又は回転するおそれがある場合のその直下をいうこと。

なお、作業の形態等によりやむを得ない場合があることから、労働者の立入りを禁止する範囲は、特に災害発生状況等から、特定の玉掛方法により玉掛けされた荷等の下に限定したものであるが、クレーン等に係る作業を行う場合には、原則として労働者を荷等の下に立ち入らせることがないよう指導すること。

(2) 第一号の「ハッカー」とは、先端がつめの形状になっており、荷の端部につめを掛けることにより玉掛けするフックをいうこと。

(3) 第二号の「つりクランプ」とは、つり荷の重量とリンク機構、カム機構等との作用により、つり荷を挟み把持する玉掛用具をいうこと。

(4) 第三号の「アイボルト」とは、丸棒の一端をリング状、他端をボルト状にし、荷に取り付けて、フック及びワイヤロープ等を掛けやすくするために用いるものをいうこと。

(5) 第四号の「箱に入れられる等」の「等」には、ワイヤモッコ又は袋に入れられる場合等が含まれるが、荷が小さくワイヤモッコから抜け落ち、又は積み過ぎ若しくは片荷のため箱等からこぼれ落ちるおそれのある場合は含まないこと。

(6) 第五号の「磁力により吸着させるつり具又は玉掛用具」には、リフチングマグネットのほか、永久磁力を使用したものがあること。

また、「陰圧により吸着させるつり具又は玉掛用具」とは、ゴム製等のカップを荷に密着させ、カップ内を陰圧にすることにより吸着させるものをいうこと。

(7) 第六号の「動力下降以外の方法」とは、自由下降をいうこと。

2 運転禁止(第三〇条の二関係)

ただし書の「当該方法により連絡及び合図を行わせるとき」とは、「作業を指揮する者」が「天井クレーン等を運転する者」からの連絡及び合図を受け、作業に従事する労働者の退避等安全を確認した上で天井クレーン等を運転させる場合をいうこと。

3 強風時の作業中止(第三一条の二、第七四条の三及び第一一六条の二関係)

(1) 「強風」とは、一〇分間の平均風速が一〇m/s以上の風をいうこと。

(2) 「クレーン(移動式クレーン、デリック)に係る作業の実施について危険が予想されるとき」とは、クレーン、移動式クレーン及びデリックの構造、つり荷の形状等により風による危険性の程度が異なるため、個々の作業により判断すべきものであるが、風によりつり荷が振れ、又は回転し、労働者に危険を及ぼすおそれのあるとき、定格荷重近くの荷をつり上げる作業で風圧によりつり荷の作業半径が増大し定格荷重を超える荷重が掛かるおそれのあるとき等をいうこと。

4 強風時における損壊の防止(第三一条の三関係)

「労働者の危険を防止するための措置」には、ジブクレーンにおいてジブを堅固な者に固定すること、ジブの安定が保持される位置にセットし、自由に旋回できる状態としておくこと等の措置のほか、ジブの損壊により危険が及ぶおそれのある範囲内を立入禁止とする措置が含まれること。

5 作業方法等の決定等(第六六条の二関係)

(1) 第一項の「移動式クレーンの転倒等」の「等」には、移動式クレーンの上部旋回体によるはさまれ、荷の落下、架空電線の充電電路による感電等が含まれること。

(2) 第一項第一号の「作業の方法」には、一度につり上げる荷の重量、荷の積卸し位置、移動式クレーンの設置位置、玉掛けの方法、操作の方法等に関する事項があること。

(3) 第一項第二号の「転倒を防止するための方法」には、地盤の状況に応じた鉄板等の敷設の措置、アウトリガーの張り出し、アウトリガーの位置等に関する事項があること。

(4) 第一項第三号の「労働者の配置」を定めるとは、作業全体の指揮を行う者、玉掛けを行う者、合図を行う者等労働者の職務を定めること並びにこれらの者の作業場所及び立入禁止場所を定めることをいうこと。

(5) 複数の事業場の労働者が共同して作業を行う場合には、それぞれの事業者が、「移動式クレーンを用いて作業を行う」事業者に該当するが、元方事業者等が作業計画、作業指示書等の形で本条第一項各号の事項について、統一して定めている場合については、その限度においてこれを用いても差し支えないこと。

6 使用の禁止(第七〇条の三関係)

(1) 「地盤が軟弱であること、埋設物その他地下に存する工作物が損壊するおそれがあること等」の「等」には、法のり肩の崩壊等が含まれること。

(2) 「必要な広さ及び強度を有する」とは、地盤の状況、地下に存する工作物の状況等に応じて、鉄板等が沈下することのない広さを有し、かつ、移動式クレーンのアウトリガーによって加えられる荷重により変形しない強度を有することをいうこと。

(3) 「鉄板等」の「等」には、敷板又は敷角が含まれること。

7 アウトリガーの位置(第七〇条の四関係)

「転倒するおそれのない位置」とは、鉄板等の中央部分をいうこと。

8 アウトリガー等の張り出し(第七〇条の五関係)

「移動式クレーンに掛かる荷重が当該移動式クレーンのアウトリガー又はクローラの張り出し幅に応じた定格荷重を下回ることが確実に見込まれるとき」とは次のものがあること。

(1) アウトリガーの張り出し幅に応じて自動的に定格荷重が設定される過負荷防止装置を備えた移動式クレーンを使用するとき。

(2) アウトリガーの張り出し幅を過負荷防止装置の演算要素として入力する過負荷防止装置を備えた移動式クレーンにおいて、実際のアウトリガーの張り出し幅と同じ又は張り出し幅の少ない状態に過負荷防止装置をセットして作業を行うとき。

(3) 移動式クレーン明細書、取扱説明書等に、アウトリガーの最大張り出しでないときの定格荷重が示されており、実際のアウトリガーの張り出し幅と同じ又は張り出し幅の少ないときの定格荷重表又は性能曲線により、移動式クレーンにその定格荷重を超える荷重が掛かることがないことを確認したとき。

9 強風時における転倒の防止(第七四条の四関係)

「労働者の危険を防止するための措置」には、移動式クレーンにおいてジブを堅固な物に固定すること、ジブを収納すること等の措置のほか、移動式クレーンの転倒により危険が及ぶおそれのある範囲内を立入禁止とする措置が含まれること。

10 使用範囲の制限(第二一九条の二関係)

(1) 「チェーンレバーホイスト」とは、レバーの反復操作によって、チェーンを使用して荷の巻上げ、巻下げを行う玉掛用具をいうこと。

(2) 第一項及び第二項の「使用荷重等」の「等」には、磁力又は陰圧により吸着させる玉掛用具にあっては、その荷の形状、表面の状態等があり、つりクランプにあっては把持できる厚さ、クランプを掛ける位置の平行度等があること。

(3) 第二項の「当該つりクランプの用途」とは、横づり用、縦づり用等の区分をいうこと。