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労働安全衛生法及びじん肺法の一部を改正する法律及び労働安全衛生法施行令の一部を改正する政令の施行について
昭和53年2月10日基発第77号
(都道府県労働基準局長あて労働省労働基準局長通達)
労働安全衛生法及びじん肺法の一部を改正する法律(昭和五二年法律第七六号)の労働安全衛生法関係の施行については、昭和五三年二月一〇日付け労働省発基第九号により労働事務次官から通達されたところであるが、その細部の取扱いについて下記のとおり定めたので、これが円滑な実施を図るよう配意されたい。
また、労働安全衛生法施行令の一部を改正する政令は、昭和五二年一一月一五日政令第三〇七号として公布され、一部の規定を除き、昭和五三年一月一日から施行されたが、下記の事項に留意して、その運用に遺憾のないようにされたい。
なお、労働安全衛生法及びじん肺法の一部を改正する法律中の他の規定に係る部分の施行については、施行の都度追つて通達する。
Ⅰ 法律関係
一 定義(第二条関係)
第三号の二の「元素」及び「化合物」は、以下のとおりとすること
(一) 「元素」とは、
一種類の原子(同位体の区別は問わない。)からなる物質のすべての状態(励起状態、ラジカル等を含む。)をいい、単体を含むものであること。
(二) 「化合物」とは、
二種類以上の元素が互に化学結合力によつて結合すること(化合)によつて生じた、原則として一定の組成を有する物質をいうこと(安定な非結合ラジカル(二、二ージフエニル―一―ピクリルヒドラジル、ジ―tert―プチルニトロキシド等)を含む。)
なお、「化合物」とは通常単一の種類の物質をいうが、ここでいう化合物には、次の各号に掲げる物を含むものとすること。
イ 主成分は一定の組成を有しているが、その主成分を製造する際に混入した不純物、副生物等が混在しているもの
ロ 高分子化合物のごとく、単量体(モノマー)は一定の組成を有しているが、厳密な意味では、その物の化学構造が完全な同一性を有するとは限らないもの
ハ 一部の染料、コールタール状物質等のごとく、製造する行為の結果、複数の化合物の集合体として得られ、個々の化学物質の同定が困難であるが、全体として均一な性状を有し、個々の化学物質の分離精製を行わないもの
また、次の各号に掲げる物は、化合物として取り扱わないものとすること。
イ 合金
ロ 固有の使用形状を有するもの(合成樹脂製の什器、板、管、捧、フイルム等)及び混合物のうち、混合することによつてのみ製品となるものであつて、当該製品が原則として最終の用途に供される物(例‥顔料入り合成樹脂塗料、印刷用インキ、写真感光用乳剤)
二 統括安全衛生責任者への勧告(第一五条第四項関係)第四項の規定は、一の場所において行われている仕事の労働災害発生率が他の同業種、同規模の仕事と比べて高く、それが統括安全衛生責任者の不適切な業務執行に基づくものであると考えられる場合等に、当該統括安全衛生責任者の業務の執行について当該統括安全衛生責任者を選任した事業者に勧告することができることとしたものであること。
三 個別検定(第四四条関係)
(一) 第一項の「構造、性能等」の「等」には、工作方法、形状が含まれるものであること。
(二) 第一項の「製造し」た者には、次の者が含まれるものとして取り扱うこと。
イ 当該機械等の構成部分の一部を他の者から購入し、これを加工し、又は組み合わせて完成品とした者
ロ 当該機械等の主要構造部分を変更した者
ハ 当該機械等で使用を廃止したもの(個別検定合格済の印を押した明細書を有するものを除く。)を再び使用するために整備した者
四 型式検定
(一) 第四四条の二関係
イ 第一項の「製造し」た者には、当該機械等の構成部分の一部を他の者から購入し、これを加工し又は組み合わせて完成品とする者が含まれるものであること。
ロ 第一項の「型式」とは、機械等の種類、形状、性能等の組み合わせにおいて共通の安全性能を持つ一つのグループに分けられるものをいうこと。
ハ 第二項の「構造」には、材料及び性能が含まれること。
ニ 第二項の「製造し、及び検査する設備等」の「等」には、工作責任者、検査組織、検査のための規程が含まれるものであること。
(二) 第四四条の三関係
「型式検定合格証の有効期間」とは、製造し、又は輸入する機械等に係る型式についての有効期間をいうもので、型式検定に合格した型式の機械等であつて現に使用しているものについて使用の有効期間をいうものではないこと。
五 特定自主検査(第四五条第二項から第四項まで関係)
本条は、一定の機械等についての一定の定期自主検査を事業者が自ら使用する労働者で一定の資格を有するもの又は検査業者に実施させることを義務づけたものであること。
なお、当該機械等については、特定自主検査以外の自主検査も資格を有する者又は検査業者により行われることが望ましいこと。
六 指定試験機関(第七五条の二から第七五条の一一まで関係)
指定試験機関に行わせることができる免許試験の実施に関する事務とは、労働安全衛生規則第六九条で定められた免許試験の区分について、試験日時及び試験場の公示、受験申請書の受理、試験問題の作成、試験の実施、合否の決定及び合否の通知の事務であること。
七 疫学的調査等(第一〇八条の二関係)
(一) 第一項の「疫学的調査」とは、一定の集団における特定の疫病の分布を多角的(人間の因子(性、年齢、職業等)、場所(地理的)、時間(年、月)等)に観察し、その結果を基として、なぜそのような分布をするかという理由(主としてその疫病の成立の原因)を統計学的に解析して考究するための調査をいい、コーホートスタデイケースコントロールスタデイ等がこれに該当するものであること。
(二) 第一項の「その他の調査」とは、特定の疾病(主として特異的なもの)にり患した者等について、その職業及び取扱い物質等並びにその者等の病歴その他の医学的所見等を調査し、その職業及び取扱い物質等がその特定の疾病の成立の原因となつているかどうかを、既に得られている科学的な知見に照らして考究するための調査をいい、ケーススタデイがこれに該当するものであること。
(参考)
一 コーホートスタデイとは、同種の職業又は業務等に従事した労働者等のできる限り幅広い集団を疫学的調査の対象集団(コーホート)として設定し、この集団に属する労働者等の死因等の遡及調査又は将来における死因等の追跡調査を行い、その集団に属する労働者等の特定の死因に係る死亡率等と一般人口におけるその死因に係る修正死亡率とを統計的に比較解析すること等により特定の疾病の原因となる因子を解明しようとする疫学的研究手法である。
二 ケースコントロールスタデイとは、特定の地域等における特定の疾病にり患した者(ケース)と性、年齢等が等しい者を対照として無作為的に選定し、当該疾病にり患した者(ケース)及び無作為に選定した者(コントロール)の従事した職業又は業務等の履歴を調査して、そのケースの群とそのコントロールの群との間における特定の職業又は業務等の出現ひん度の差を推計学的に検討し、その特定の疾病とその特定の職業又は業務等との関連を解明しようとする疫学的研究手法である。
Ⅱ 施行令関係
一 第六条関係
(一) 第一五号の二について
イ 「建築物」とは建築基準法(昭和二五年法律第二〇一号)第二条第一号に掲げる建築物のうち、同条第三号に掲げる建築設備を除くものをいうものであること。
ロ 「橋梁」とは、河川、道路等を横切りその下方に空間を存して建設された通路及びこれを支持する構造物をいい、高速道路等の高架橋が含まれるものであること。
ハ 「橋梁の上部構造」とは、橋台、橋脚等に支持され、交通物を直接支えている構造部分をいい、橋梁の主な種類ごとには、下図に示すとおりであること。
トラス橋
ラーメン橋
つり橋
アーチ橋
実線部分………上部構造
h………上部構造の高さ
ニ 「塔」とは、建築物以外の建造物であつて、幅に比して高さが著しく高いものをいい、典型的には送・受信用の鉄塔、無線送・受信用の鉄塔等があること。
また、建設用リフト、クレーン、化学プラント等の各種機械設備又は装置は含まない趣旨であること。
ホ 「高さ」とは、鉄骨等の金属製の部材により構成されるものそのものの高さをいい、地上等からの高さをいうものではないこと。
また、その高さが5m以上となる予定のものについては、5m未満であるときにも作業主任者の選任が必要であることはいうまでもないこと。ただし、建築物等が建設される場所において行われる作業に限るものとすること。
二 第一三条関係
(一) 第四二号の「シヨベルローダー」とは、原則として車体前方に備えたシヨベルをリフトアームにより上下させてバラ物荷役を行う二輪駆動の車両をいうものであること。
(二) 第四三号の「フオークローダー」とは、原則として車体前方に備えたフオークをリフトアームにより上下させて材木等の荷役を行う二輪駆動の車両をいうものであること。
(三) (一)の「シヨベルローダー」又は(二)の「フオークローダー」には、アタツチメントであるシヨベル又はフオークを交換させて、「フオークローダー」又は「シヨベルローダー」になるものがあること。
(四) 四輪駆動のトラクター・シヨベルは従来から車両系建設機械とされてきたところであるが、今後もこの適用は変わらないこと。ただし、四輪駆動であつても互換性のないフオークを備えたものは、第四二号の「フオークローダー」としての適用を受けるものであること。
なお、「車両系建設機械構造規格等に係る疑義について」(昭和四八年三月一二日付け基収第八一六号)の第一の間に対する回答中、なお書の部分は削除すること。
(五) 第四四条の「ストラドルキヤリヤー」とは、車体内面上部に懸架装置を備え、荷をつり上げ又は抱きかかえて運搬する荷役車両をいうこと。
三 第一四条及び第一四条の二関係
個別検定及び型式検定の区分は、従来と同一であること。
なお、改正前の労働安全衛生法施行令第一四条に係る通達のうち、改正後の同令に相当する規定に係る部分については、当該規定に関し有効なものとして取り扱うこと。
四 第二〇条関係
(一) 第一一号の二「負荷させることができる」とは、安定度、シヨベルローダー等の許容応力等の条件の範囲内において負荷させることができるものをいうこと。
(二) 第一一号の二の「最大荷重」とは、シヨベルローダーについては、JISD六〇〇三―一九七六(シヨベルローダー)に定めるバケツトの規定重心位置(バケツト容量を算出するときに仮定する一定の形状の荷の重心位置をいう。)を基準として、フオークローダーについては、その荷重中心位置を基準として算定するものであること。
(三) 第一二号について
イ 移動式クレーンに基礎工事用の作業装置を取り付けたものは労働安全衛生法施行令(以下「令」という。)別表第七第三号に掲げる機械で、動力を用い、かつ、不特定の場所に自走できるものに該当すること。
ロ 「不特定の場所に自走できるもの」には、レール上を自走するものも含まれるが、船であるものは含まれないこと。
ハ 「運転」には、リーダーの組立て、バイブロハンマーの取付け等が含まれるものであること。
五 附則第七条関係
(一) 車両系建設機械(基礎工事用)に関し、「安全衛生教育の推進について」(昭和五二年二月二一日付け基発第九一号)に基づき実施されてきた研修は、別紙一により、この政令の施行の日前に行われた技能講習であつて、「新法第六一条第一項の技能講習に準ずるものとして都道府県労働基準局長が指定するもの」とすること。
(二) 政令の施行の日から一年以内に行われる技能講習で、本条でいう「新法第六一条第一項の技能講習に準ずるものとして都道府県労働基準局長が指定するもの」とは、シヨベルローダー若しくはフオークローダー又は車両系建設機械(基礎工事用)に関し、別紙二により実施される講習をいうものであること。
別紙一
「安全衛生教育推進要綱」に基づく「基礎工事用機械運転者に対する研修」の修了者の取扱い
「基礎工事用機械運転者に対する研修」は、「安全衛生教育推進要綱」に基づいて昭和五二年二月二一日付け基発第九一号によりそのカリキユラムを示しその実施方を促進してきたところであり、本研修を実施した団体から令附則第七条の指定申請書(別記様式)が提出されたときは、研修内容について、別紙二の第三に準じて審査し、研修が上記通達どおり実施されていると認められるものについて令附則第七条による指定を行い、労働安全衛生規則第八一条の例による技能講習修了証の交付を認めて差し支えないこと。
別紙二
第一 シヨベルローダー等運転技能特例講習
一 講習を受講できる者
シヨベルローダー等の運転に現に従事している者で、フオークリフト運転技能講習又は車両系建設機械運転技能講習を修了している者
二 講習実施団体
現にフオークリフト運転技能講習の指定を受けている団体に限る。
三 講習内容
(一) 講師
講師は、シヨベルローダー等運転技能講習規程(昭和五二年労働省告示第一一九号。以下第一において「技能講習規程」という。)第一条に該当する者であること。
(二) 講習科目
講習科目は、労働安全衛生規則別表第六シヨベルローダー等運転技能講習の項講習科目の欄第一号に掲げる講習科目と同じであること。
(三) 講習科目の範囲
講習科目の範囲は、技能講習規程第二条第一項に規定する範囲と同じであること。
(四) 講習時間
講習時間は、労働安全衛生規則別表第六シヨベルローダー等運転技能講習の項講習科目の欄第一号イ及びロに掲げる講習科目については二時間、同号ハ及びニについては、一時間であること。
(五) 修了試験
修了試験は、学科試験により筆記試験又は口述試験によつて行うものであること。
四 修了証
講習を修了した者に対しては、労働安全衛生規則第八一条の規定の例による技能講習修了証を交付するものであること。
五 講習の指定申請
本講習の指定を受けようとする者は、シヨベルローダー等運転技能特例講習指定申請書(様式第一号)により、その者が行おうとする場所を管轄する都道府県労働基準局長に申請しなければならないものであること。
六 結果報告
講習を行つた者は、その結果についてシヨベルローダー等運転技能特例講習結果報告(様式第二号)を都道府県労働基準局長に提出しなければならないものであること。
第二 車両系建設機械(基礎工事用)運転技能特例講習
一 講習を受講できる者
車両系建設機械(基礎工事用)の運転に現に従事している者で、次に該当する者とするものであること。
(一) 昭和五二年一二月三一日現在において車両系建設機械(基礎工事用)の運転の業務に六カ月以上従事し、かつ、くい打機及びくい抜機の特別教育を修了している者
(二) くい打機及びくい抜機以外の車両系建設機械(基礎工事用)の運転の業務に一年以上従事した経験のある者
(三) 移動式クレーン運転士免許を取得した後車両系建設機械(基礎工事用)の運転の業務に三カ月以上従事した経験のある者
二 講習実施団体
建設業労働災害防止協会及び基礎工事を業とする者で構成される公益法人に限る。
三 講習内容
(一) 講師
講師は、車両系建設機械(基礎工事用)運転技能講習規程(昭和五二年労働省告示第一二〇号)以下第二において「技能講習規程」という。)第一条に該当する者であること。
(二) 講習科目
講習科目は、労働安全衛生規則別表第六車両系建設機械(基礎工事用)運転技能講習の項科目の欄第一号に掲げる講習科目と同じであること。
(三) 講習科目の範囲
講習科目の範囲は、技能講習規程第二条第一項に規定する範囲と同じであること。
(四) 講習時間
講習時間は、労働安全衛生規則別表第六車両建設機械(基礎工事用)運転技能講習の項講習科目の欄第一号イに掲げる講習科目については二時間、同号ロに掲げる講習科目については四時間、同号ハ及びニに掲げる講習科目については一時間であること。
(五) 修了試験
修了試験は、学科試験により筆記試験又は口述試験によつて行うものであること。
四 修了証
講習を修了した者に対しては、労働安全衛生規則第八一条の規定の例により技能講習修了証を交付するものであること。
五 講習の指定申請
本講習の指定を受けようとする者は、車両系建設機械(基礎工事用)運転技能特例講習指定申請書(様式第一号)を、その者が行おうとする場所を管轄する都道府県労働基準局長に申請しなければならないものであること。
六 結果報告
講習を行つた者は、その結果について車両系建設機械(基礎工事用)運転技能特例講習結果報告(様式第二号)を都道府県労働基準局長に提出しなければならないものであること。
第三 第一及び第二の指定に当つての留意事項
一 シヨベルローダー等運転技能特例講習及び車両系建設機械(基礎工事用)運転技能特例講習(以下特例講習という。)の人員は、一回につき一〇〇人以内とさせること。
二 講習料の額が不当に高額とならないように指導すること。
三 受講資格の認定を確実に行うように指導すること。
四 特例講習の時間を確実に守るよう指導すること。
五 特例講習の修了試験を厳格に行うよう指導すること。