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労働施策基本方針について
平成30年12月28日基発1228第9号・職発1228第14号・雇均発1228第5号・子発1228第3号・開発1228第11号・政総発1228第3号
(都道府県労働局長あて厚生労働省労働基準局長、厚生労働省職業安定局長、厚生労働省雇用環境・均等局長、厚生労働省子ども家庭局長、厚生労働省人材開発統括官、厚生労働省政策統括官(総合政策担当)通知)
平成30年7月6日に成立した働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律(平成30年法律第71号)第3条の規定により改正された労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律(昭和41年法律第132号)第10条第1項において、国は、労働者がその有する能力を有効に発揮することができるようにするために必要な労働に関する施策の総合的な推進に関する基本的な方針を定めなければならないこととされている。
このため、労働政策審議会労働施策基本方針部会(座長:樋口美雄労働政策研究・研修機構理事長)において検討を行い、都道府県知事の意見を聴いた上で、平成30年12月28日に労働施策基本方針(別添1)を閣議決定するとともに、同日公表を行ったところである。
本方針は、働き方改革の意義に加えて、働き方改革実行計画に規定されている施策を中心としつつ、労働施策に関する基本的な事項、その他重要事項等を盛り込んでいる。概要資料は別添2の通りである。
各労働局においては、本方針の内容を十分に了知の上、今後の労働施策の推進及び本方針の周知につき遺漏なきよう期されたい。周知については、本方針の周知用資料の作成後、改めて指示する予定である。
なお、都道府県知事に対しては、「労働施策基本方針について」(平成30年12月28日付け基発1228第8号、職発1228第13号、雇均発1228第4号、子発1228第2号、開発1228第10号、政総発1228第2号。別添3)により通知したところであるので申し添える。
[別添1]
労働施策基本方針
平成30年12月28日
目次
はじめに
第1章 労働者が能力を有効に発揮できるようにすることの意義
1 働き方改革の必要性
2 働き方改革の推進に向けた基本的な考え方
3 労働施策基本方針に基づく働き方改革の推進
第2章 労働施策に関する基本的な事項
1 労働時間の短縮等の労働環境の整備
(1) 長時間労働の是正
(2) 過労死等の防止
(3) 中小企業等に対する支援・監督指導
(4) 業種等の特性に応じた対策等の推進
(5) 最低賃金・賃金引上げと生産性向上
(6) 産業医・産業保健機能の強化
(7) 安全で健康に働ける労働環境の整備
(8) 職場のハラスメント対策及び多様性を受け入れる環境整備
2 雇用形態又は就業形態の異なる労働者の間の均衡のとれた待遇の確保、多様な就業形態の普及及び雇用・就業形態の改善
(1) 雇用形態又は就業形態にかかわらない公正な待遇の確保など非正規雇用労働者の待遇改善
(2) 正規雇用を希望する非正規雇用労働者に対する正社員転換等の支援
(3) 柔軟な働き方がしやすい環境の整備
3 多様な人材の活躍促進
(1) 女性の活躍推進
(2) 若者の活躍促進
(3) 高齢者の活躍促進
(4) 障害者等の活躍促進
(5) 外国人材の受入環境の整備
(6) 様々な事情・困難を抱える人の活躍支援
4 育児・介護又は治療と仕事の両立支援
(1) 育児や介護と仕事の両立支援
(2) 治療と仕事の両立支援
5 人的資本の質の向上と職業能力評価の充実
(1) リカレント教育等による人材育成の推進
(2) 職業能力評価の充実
6 転職・再就職支援、職業紹介等に関する施策の充実
(1) 成長分野等への労働移動の支援
(2) 職場情報・職業情報の見える化
(3) 求人・求職情報の効果的な提供及び地域の雇用機会の確保
7 働き方改革の円滑な実施に向けた取組
第3章 労働者が能力を有効に発揮できるようにすることに関するその他の重要事項
1 商慣行の見直しや取引環境の改善など下請取引対策の強化
2 労働条件の改善に向けた生産性の向上支援
3 学校段階における職業意識の啓発、労働関係法令等に関する教育の推進
はじめに
我が国においては、景気は緩やかに回復し、経済の好循環が着実に進展するとともに、雇用情勢も着実に改善をしている。平成29年の全国の有効求人倍率は1.50倍と約44年ぶりの高い水準となり、完全失業率は2.8%と約24年ぶりの低い水準となっている。各都道府県の有効求人倍率をみても、全ての都道府県において1倍を超え、雇用情勢の改善が全国的に進んでいる。
また、我が国の総人口は、平成20年の1億2800万人をピークに減少傾向にあるが、女性の活躍推進や高齢者の雇用促進等に関する各種施策の推進により、女性や高齢者を中心に就業率は上昇しており、平成24年から平成29年にかけては、景気の回復ともあいまって就業者数は約250万人増加している。
このように雇用情勢が着実に改善し労働参加が進展する一方で、就業者数の増加を上回る旺盛な求人ニーズにより、企業の人手不足感は強まっている。特に、中小企業・小規模事業者(以下「中小企業等」という。)においては、中核人材の確保ができない場合もあり、我が国の雇用を広く支える中小企業等において大きな問題となっている。
長期的にみると、我が国の経済成長の隘あい路の根本には、少子高齢化・生産年齢人口の減少といった構造的な問題や生産性向上の低迷等の問題が存在する。また、AI等の技術革新は、仕事を取り巻く環境や働き方に大きな変化をもたらし得るものである。
こうした課題を克服し経済成長を実現するためには、誰もが生きがいを持ってその有する能力を最大限に発揮できる社会を創り、イノベーションの促進等を通じた生産性の向上と、労働参加率の向上を図ることが必要である。そのため、平成29年3月28日の働き方改革実現会議において、労働者がそれぞれの事情に応じた多様な働き方を選択できる社会を実現する働き方改革の総合的な推進に向けて、「働き方改革実行計画」(平成29年3月28日働き方改革実現会議決定。以下「実行計画」という。)を決定し、長時間労働をはじめとする我が国の雇用慣行における諸問題に対して、改革実現の道筋を示したところである。
労働者がそれぞれの事情に応じた多様な働き方を選択できる社会を実現する働き方改革を推進するため、時間外労働の限度時間の設定、短時間・有期雇用労働者及び派遣労働者と通常の労働者との間の不合理な待遇の相違の禁止等を目的として、第196回国会において、働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律(平成30年法律第71号。以下「働き方改革関連法」という。)が成立し、働き方改革関連法第3条の規定により、雇用対策法(昭和41年法律第132号)が労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律(昭和41年法律第132号。以下「労働施策総合推進法」という。)に改正された。
労働施策総合推進法第10条第1項においては、国は、労働者がその有する能力を有効に発揮することができるようにするために必要な労働に関する施策の総合的な推進に関する基本的な方針を定めなければならないこととされている。
本方針は、同項の規定に基づき、働き方改革の意義やその趣旨を踏まえた国の施策に関する基本的な事項等について示すものである。
第1章 労働者が能力を有効に発揮できるようにすることの意義
1 働き方改革の必要性
誰もが生きがいを持ってその能力を最大限発揮することができる社会を創るためには、働く人の視点に立ち我が国の労働制度の改革を行い、企業文化や風土を変え、働く一人一人が、より良い将来の展望を持ち得るようにすることが必要である。
働き方改革の推進は、多様な働き方を可能とすることにより、自分の未来を自ら創っていくことができる社会を実現し、意欲ある人々に多様なチャンスを生み出すものであり、同時に企業の生産性や収益力の向上が図られるものである。人々が豊かに生きていく社会の実現のためには、働き方改革を着実に推進することが求められる。
2 働き方改革の推進に向けた基本的な考え方
我が国の労働制度と働き方においては、長時間労働や、非正規雇用労働者の待遇等に関する問題に加え、女性や高齢者等の労働参加に関する課題や、育児や介護等と仕事の両立に関する課題、中高年齢者等の転職・再就職に関する課題、中小企業等における人材確保等に関する課題など様々な課題が存在する。
働き方改革は、こうした問題や課題を解決することにより、労働参加率の向上に加え、労働者のモチベーションを高めるとともに、生産性の向上にもつながるものである。また、働き方改革によって生まれる生産性向上の成果を働く人に分配することにより、賃金の上昇と需要の拡大を通じた成長と分配の好循環を実現し、国民一人一人の生活の向上を目指すものである。
労働施策総合推進法は、国が、労働施策を総合的に講ずることにより、経済社会情勢の変化の中で、労働者の多様な事情に応じた雇用の安定及び職業生活の充実並びに労働生産性の向上を促進して、労働者がその有する能力を有効に発揮することができるようにすることにより、労働者の職業の安定と経済的社会的地位の向上を実現し、経済及び社会の発展並びに完全雇用の達成に資することを目的としている。
また、労働施策総合推進法の基本的理念として、職業生活の全期間を通じた、労働者の職業の安定への配慮に加え、労働者は、職務の内容及び職務に必要な能力、経験その他の職務遂行上必要な事項の内容が明らかにされ、並びにこれらに即した評価方法により能力等を公正に評価され、当該評価に基づく処遇を受けることその他の適切な処遇を確保するための措置が効果的に実施されることにより、その職業の安定が図られるように配慮されるものとすることを、新たに掲げたところである。
このような労働施策総合推進法の目的及び基本的理念を踏まえ、本方針に労働施策に関する基本的事項等を定めることにより、都道府県や市町村等の地方公共団体とも連携を図りつつ、働き方改革の実現に向けて労働施策を総合的に推進する。
こうした働き方改革に向けた労働施策の推進や各企業における働き方改革の実施においては、労使の十分なコミュニケーションをその基盤とするとともに、働く人の視点に立つことが重要である。
なお、公務員についても、働き方改革の実現に向けた取組の推進に努める。
3 労働施策基本方針に基づく働き方改革の推進
働き方改革の実現に向けて、本方針において示した基本的な考え方や中長期的な方向性に基づき、労働施策を総合的かつ継続的に推進する。
本方針に基づく施策の推進に当たっては、労働政策審議会に置く各分科会の意見を踏まえ、必要なKPIの設定を行い、PDCAサイクルを回すことにより、各施策の実効性を確保しつつ、実施するものである。
働き方改革の意義等を示すものとしての本方針の性格に照らし、経済及び雇用情勢に加え、実行計画のフォローアップの状況や本方針に定める諸施策の実施状況に応じて、変更の必要性があると判断した場合は、本方針を見直すものとする。
第2章 労働施策に関する基本的な事項
1 労働時間の短縮等の労働環境の整備
(1) 長時間労働の是正
我が国においては、年間総実労働時間数は減少傾向にあるが、いわゆる正社員等については、依然として長時間労働の実態がみられる。長時間労働を是正し、労働者が健康の不安なく、働くモチベーションを高め、最大限に能力を向上・発揮することを促進することが重要であるため、次の施策を実施する。
まず、長時間労働を是正し、労働者の健康確保やワーク・ライフ・バランスの実現を図るため、働き方改革関連法第1条による改正後の労働基準法(昭和22年法律第49号)に新たに設けられた時間外労働の上限規制及び年次有給休暇の時季指定の仕組みや、働き方改革関連法第4条による改正後の労働安全衛生法(昭和47年法律第57号)に新たに設けられた労働時間の状況把握及び産業医・産業保健機能の強化のための仕組み等について、労働基準法及び労働安全衛生法の趣旨の周知徹底及び履行確保に努めるとともに、時間外労働について可能な限り労働時間の延長を短くするよう、必要な助言及び指導を行う。また、年次有給休暇を円滑に取得できるよう、その環境整備に向けた取組を行う。さらに、勤務間インターバル制度の普及促進に向けた取組を推進する。
具体的には、都道府県労働局から企業・団体への働きかけを行う等、全国的に長時間労働対策の推進及び年次有給休暇の取得促進に取り組むほか、労働基準監督機関においては、長時間労働の事業場への監督指導の徹底等の対応を行う。
また、労働基準監督制度の適正かつ公正な運用を確保することにより、監督指導に対する企業の納得性を高め、労働基準法等関係法令の遵守に向けた企業の主体的な取組を効果的に促すこととし、そのための具体的な取組として、監督指導の実施に際し、全ての労働基準監督官がよるべき基本的な行動規範を定めるとともに、重大な違法案件について指導結果を公表する場合の手続をより一層明確化する。なお、重ねて改善を促しても是正されないもの、違法な長時間労働により過労死等を生じさせたもの、違法な長時間労働により重大な結果を生じさせたものなど重大・悪質な場合は、書類送検を行うなど厳正に対処する。
労働基準監督官が行う監督指導など労働基準監督署の運営に関する苦情について、メールや郵便など多様な形で受け付けることができるようにするほか、監察官制度を活用し、問題があった場合には厳正に指導等を行うなどにより、監督指導の適正な実施及び公正かつ斉一的な権限行使を徹底する。
(2) 過労死等の防止
過労死等の防止に向けて、過労死等防止対策推進法(平成26年法律第100号)に基づき策定した「過労死等の防止のための対策に関する大綱」(平成30年7月24日閣議決定)において、新たに勤務間インターバル制度の周知や導入、仕事上のストレス等について相談先がある労働者の割合、ストレスチェック結果の集団分析結果を活用した事業場の割合に係る数値目標を追加しており、当該大綱に基づき、長時間労働の削減に向けた取組等の労働行政機関等における対策、過労死等事案の分析等の調査研究、国民に向けた周知啓発、労働条件や健康管理等に関する相談体制の整備、過労死等防止対策推進シンポジウムの開催や過労死等防止のための活動内容の周知等民間団体の活動に対する支援等を行う。
(3) 中小企業等に対する支援・監督指導
人手不足感の強い中小企業等においては、働き方改革による魅力ある職場づくりが重要であることを踏まえ、中小企業等における働き方改革に向けた取組を推進する。
長時間労働の是正に向けた取組を行うに当たり、特に、中小企業等においては、大企業に比べて、労務管理の体制が十分でないことに加え、人材の確保や発注者等との取引関係などに困難な課題を抱えている場合が多いことから、時間外労働又は労働時間の短縮に向けて、これらの課題解決に取り組む中小企業等に対して助成金の活用等により丁寧に支援するなど必要な配慮を行う。
具体的には、関係省庁が連携して、取引環境改善等のための施策に加え、労務管理改善等の働き方改革に取り組む中小企業等がワンストップで相談できる体制の充実、人材確保や生産性向上に向けた取組の支援、課題を抱える業種等の特性に応じた対策等を講ずる。
また、周知に当たっては、都道府県労働局や労働基準監督署のほか、働き方改革推進支援センターが中心となり、商工会、商工会議所、中小企業団体中央会等と連携して、好事例や支援策を中小企業等に提示するなど丁寧な相談・支援を行う。
さらに、中小企業等の従業員の福祉の増進及び中小企業等の振興等のため、中小企業退職金共済制度の加入促進及び安定的運営に取り組むとともに、中小企業等の従業員をはじめとした勤労者の計画的な財産形成を促進するため、勤労者財産形成促進制度の利用促進に取り組む。
加えて、中小企業等において、労働関係法令の内容を十分に理解していないこと等に起因する違反が見られることに鑑み、時間外労働の上限規制等の働き方改革関連法による改正事項を含め、労働関係法令の一層の周知を図り、その趣旨・内容の理解の促進に努める。とりわけ、時間外・休日労働の協定について、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合は労働者の過半数を代表する者との協定を行うことも可能であることを労働者の過半数を代表する者の適正な選出手続、協定の適切な締結・届出の手続と併せて周知するなど、中小企業等の事情に配慮して対応する。また、中小企業等は労働者の過半数を代表する者と十分なコミュニケーションを図ることが望ましい。さらに、労働安全衛生法の改正により全ての労働者が労働時間の状況把握の対象となる中で、客観的方法による労働時間の状況把握に努める中小企業等への支援をはじめ、その実情に応じた対応について助言するなど、中小企業等の事情に配慮して対応する。
監督指導に当たっては、中小企業等における労働時間の動向、人材の確保の状況、取引の実態その他の事情に配慮し中小企業等の立場に立った対応を行い、労働基準法、労働安全衛生法等の労働基準関係法令に係る違反が認められた場合においても、当該中小企業等の事情を踏まえ、使用者に対し自主的な改善を促していく。
(4) 業種等の特性に応じた対策等の推進
長時間労働の傾向にある次の業種等については、改革に向けた対策等を推進する。
自動車運送事業については、トラック運送における取引環境・労働時間改善協議会において荷主、トラック運送事業者等の参加の下、長時間労働の抑制等に向けた議論を進めるとともに、「自動車運送事業の働き方改革の実現に向けた政府行動計画」(平成30年5月30日自動車運送事業の働き方改革に関する関係省庁連絡会議決定)に基づき、環境整備等集中的な取組を推進する。
建設業については、建設業の働き方改革に関する関係省庁連絡会議等における議論を進めるとともに、「建設工事における適正な工期設定等のためのガイドライン」(平成29年8月28日建設業の働き方改革に関する関係省庁連絡会議決定)に基づき、関係省庁が連携して施策を講じ、長時間労働是正に向けた環境整備を推進する。
医師については、医療界参加の下で時間外労働の上限規制の在り方や労働時間の短縮策等について検討し、その結論を踏まえ必要な対策を講じる。
鹿児島県及び沖縄県における砂糖製造業については、人材確保、省力化等に関する支援を実施する。
(5) 最低賃金・賃金引上げと生産性向上
経済の好循環の拡大に向けて、生産性の向上を図るとともに、力強く継続的な賃金上昇及び所得の拡大に確実につなげる必要がある。
このため、最低賃金については、実行計画等において、「年率3%程度を目途として、名目GDP成長率にも配慮しつつ引き上げていく。これにより、全国加重平均が1000円になることを目指す」とされていることを踏まえ、最低賃金法(昭和34年法律第137号)の原則及び目安制度に基づき、時々の事情を総合的に勘案し、最低賃金審議会での審議を通じて決定していく。
賃金の引上げに向けて、中小企業等をはじめ生産性向上等のための支援や支援策の活用促進、取引条件の改善を図る。
(6) 産業医・産業保健機能の強化
過重な長時間労働やメンタルヘルス不調などにより健康リスクが高い状況にある労働者を見逃さないため、労働安全衛生法に基づく、産業医等による長時間労働者に対する面接指導や健康相談等が確実に実施されるようにし、企業における労働者の健康管理の強化を図る。
また、労働者数50人未満の小規模事業場における産業保健機能の強化、産業医等の産業保健スタッフの質・量の確保や、それらの者により構成されるチームによる産業保健活動の推進等について検討を行い、必要な支援の充実を図る。
(7) 安全で健康に働ける労働環境の整備
死亡災害の撲滅及び労働災害の着実な減少を通じ、労働者が安心して健康に働くことができる職場の実現を図るため、労働安全衛生法第6条に基づく「労働災害防止計画」(平成30年3月19日公表)に定められた事項を関係事業主団体等との密接な連携を図りつつ推進する。
また、発生した労働災害については、徹底した原因究明及び効果的な再発防止に努めるとともに、被災労働者及びその遺族等に対して労働者災害補償保険制度により迅速かつ公正な保護を図る。
(8) 職場のハラスメント対策及び多様性を受け入れる環境整備
職場におけるハラスメントは、労働者の尊厳や人格を傷つけ、職場環境を悪化させる、あってはならないものである。
そのため、企業等におけるパワーハラスメント対策の周知啓発及び自主的な取組の支援を進めるとともに、職場のパワーハラスメント防止対策が実効性のあるものとなるよう、その強化に向けた検討を進める。
加えて、全ての企業等において、セクシュアルハラスメントや妊娠・出産等に関するハラスメントについては、雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律(昭和47年法律第113号。以下「男女雇用機会均等法」という。)等に基づき、こうしたハラスメントがあってはならないという方針の明確化及びその周知、相談窓口の設置等の措置が講じられるよう、また、これらのハラスメント事案が生じた企業等に対しては、適切な事後の対応、再発防止、被害者のプライバシー保護及び相談等による不利益取扱いの防止のための取組が行われるよう指導する。あわせて、その防止対策の実効性を確保するための検討を進める。
また、多様性を受け入れる職場環境の整備を進めるため、職場における性的指向・性自認に関する正しい理解を促進する。
2 雇用形態又は就業形態の異なる労働者の間の均衡のとれた待遇の確保、多様な就業形態の普及及び雇用・就業形態の改善
(1) 雇用形態又は就業形態にかかわらない公正な待遇の確保など非正規雇用労働者の待遇改善
同一の事業主における、いわゆる正規雇用労働者と非正規雇用労働者の間の不合理な待遇差を解消することにより、我が国が目指す同一労働同一賃金を実現し、どのような雇用形態又は就業形態を選択しても納得が得られる待遇を受けられ、多様な働き方を自由に選択できるようにするため、働き方改革関連法第7条による改正後の短時間労働者及び有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する法律(平成5年法律第76号)及び働き方改革関連法第5条による改正後の労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律(昭和60年法律第88号)の周知を徹底するとともに、説明会の開催や相談窓口の整備、業界別導入マニュアルの普及等を図り、中小企業等の実情を踏まえ、労使双方に丁寧に対応する。また、職務の内容や職務に必要な能力等の内容の明確化、これらに即した公正な評価等を推進する。
あわせて、有期雇用労働者、短時間労働者又は派遣労働者として働き続けることを希望する者に関しては、能力開発を進め、希望に応じキャリアアップを図ることができるよう支援を行うとともに、待遇改善を図っていく。
(2) 正規雇用を希望する非正規雇用労働者に対する正社員転換等の支援
正規雇用を希望しながらそれがかなわない非正規雇用労働者に関しては、企業内における正社員転換の支援、転職支援、能力開発支援等を行う。また、労働契約法(平成19年法律第128号)第18条の規定に基づく無期転換ルールへの対応が円滑に行われるよう周知徹底や相談支援等、必要な支援を行う。
(3) 柔軟な働き方がしやすい環境の整備
いわゆる雇用型テレワークは、時間や場所を有効に活用できる柔軟な働き方であり、その普及を図ることが必要である。このため、相談窓口の設置・運営や助成金等による導入支援を行っていくとともに、その普及に当たっては、適正な労務管理下において、長時間労働を招かないよう、情報通信技術を利用した事業場外勤務の適切な導入及び実施のためのガイドラインの周知啓発を図っていく。
また、自営型テレワークは就業環境の整備が重要であることから、自営型テレワークの適正な実施のためのガイドラインの周知啓発を図っていく。
副業・兼業については、副業・兼業の促進に関するガイドライン及び改定版モデル就業規則の周知を行い、副業・兼業の普及促進を図るとともに、働き方の変化等を踏まえた実効性のある労働時間管理や労働者災害補償保険制度の在り方等について、労働者の健康確保等にも配慮しつつ、検討を進める。
また、雇用類似の働き方に関する保護等の在り方について、法的保護の必要性を含めて中長期的に検討する。
加えて、裁量労働制や高度プロフェッショナル制度について、制度の内容の理解促進や監督指導による履行確保に努める。
3 多様な人材の活躍促進
(1) 女性の活躍推進
職場における男女の均等な機会及び待遇の確保を図るため、男女雇用機会均等法の履行確保やその実効性を一層確保するための検討を進める。
さらに、一人一人の女性が自らの希望に応じてその能力を最大限に発揮できる社会への変革を促進・加速するため、女性の職業生活における活躍の推進に関する法律(平成27年法律第64号)に基づく行動計画の策定等の企業の取組の促進や女性活躍情報の見える化を促進するとともに、必要な見直しの検討を進める。また、長時間労働の是正やワーク・ライフ・バランスの実現に加えて、子育て中の女性等に対するマザーズハローワーク事業の拡充等を通じた丁寧な就職支援や職業訓練の実施、育児休業や介護休業等の取得促進、男性による育児等の促進、平成29年6月2日に公表した「子育て安心プラン」に基づく保育所等の保育の受皿の整備、平成30年9月14日に公表した「新・放課後子ども総合プラン」に基づく放課後児童クラブの整備等に取り組んでいく。
(2) 若者の活躍促進
若者が、その意欲及び能力に応じて適切に仕事や企業を選択し、その有する能力を有効に発揮するため、学校との緊密な連携の下、新卒応援ハローワーク等において職場への円滑な移行や定着を促すとともに、フリーター等から正社員就職を希望する者に対して、わかものハローワーク等において特に綿密な支援を行う。あわせて、地域若者サポートステーションの支援等を通じ、職業生活を円滑に営む上で困難を有する若年無業者等の職業的自立を促進する。これら若者の就職支援等に当たり、都道府県や市町村等の地方公共団体が実施する支援施策とも連携しながら、総合的かつ体系的な対策を推進する。
(3) 高齢者の活躍促進
働く意欲がある高齢者がその能力を十分に発揮できるよう、多様な雇用・就業機会の確保を図る。
このため、継続雇用延長や定年延長を行う企業への助成金の支給、65歳超雇用推進プランナー等による提案型相談支援等の支援を充実し、継続雇用年齢等の引上げを進めていくための環境整備を行っていく。
また、公共職業安定所の生涯現役支援窓口の拡充等により高齢者の再就職を促進するとともに、都道府県や市町村をはじめとする地域の様々な機関が連携して地域における高齢者の就業機会を創る取組や、シルバー人材センターによる就業支援の強化等を通じて、高齢者の多様な就業機会を提供する。
さらに、高年齢の労働者が増加したことに伴って、健康診断の有所見率の上昇や腰痛の増加等の傾向が見られることを踏まえ、高年齢の労働者の安全と健康を確保するため、高年齢の労働者の身体特性に応じた職場環境の整備等を推進する。
(4) 障害者等の活躍促進
障害者等が希望や能力、適性を十分に活かし、障害の特性等に応じて活躍することが普通の社会、障害者と共に働くことが当たり前の社会を目指していく必要がある。
このため、地域における就労支援機関による、障害者に対する就労支援や企業に対する相談支援等を通じて、雇用率の上昇や雇用者数の増加といった雇用の量的な拡大を図る。
また、精神障害者や発達障害者、難病患者等、個別性の高い障害特性を有する就労希望者が増加する中において、長く安定的に働き続けられる等の雇用の質の向上を図るため、事業者による雇用の分野における障害者差別の禁止及び合理的配慮の提供の着実な実施を含め、一人一人の状況に応じた就労環境の整備等を図る。
あわせて、中小企業等による障害者雇用の促進や職場への定着に向けた支援を一層推進する。
(5) 外国人材の受入環境の整備
中小企業等をはじめとした人手不足が深刻化していることから、働き方改革などによる生産性向上や国内人材の確保を引き続き強力に推進するとともに、真に必要な分野に着目し、従来の専門的・技術的分野における外国人材に加え、一定の専門性・技能を有し即戦力となる外国人材を幅広く受け入れていく仕組みを構築する。
外国人材の保護や円滑な受入れに向け、外国人労働者の雇用管理の改善等に関して事業主が適切に対処するための指針(平成19年厚生労働省告示第276号)の周知やこれに基づく適正な雇用管理のための相談・指導体制の整備を図りつつ、外国人と共生できるような社会の実現に向けて、労働関係法令の遵守、適正な労働条件の確保をはじめ、外国人労働者の雇用管理の改善等に取り組む。
雇用管理改善の取組に関する好事例集の周知等による就労環境の整備等を通じた企業の高度外国人材の活用を積極的に推進するとともに、外国人留学生の卒業後の日本国内での就職・定着について、関係機関、大学及び企業が連携しつつ効果的な支援を行う。また、定住者など我が国における活動制限のない外国人の安定した雇用を確保するため、日本語能力の改善を図る研修や職業訓練等を実施する。
(6) 様々な事情・困難を抱える人の活躍支援
母子世帯の母で働いている者の約半数がパート・アルバイト等の不安定な就労形態にある中で、早期に安定的な雇用への移行を促進するため、マザーズハローワーク等において、ひとり親を含む子育て女性等に対する丁寧な就職支援を実施するとともに、職業訓練や助成金の活用等により、ひとり親家庭の親の就労機会の確保に努める。
生活保護受給世帯数の高止まりや生活困窮者支援のニーズの高まり等に対応するため、公共職業安定所と都道府県や市町村など地方公共団体が一体となった就労支援や職場への定着を推進することにより、就職を目指す人たちを支援し、就労による自立を促進していく。
また、刑務所出所者等やホームレス等で就職を希望する者に対する就労支援や職場への定着支援を実施する。
4 育児・介護又は治療と仕事の両立支援
(1) 育児や介護と仕事の両立支援
労働者が、将来のキャリアの見通しを持ちつつ、育児や介護と両立しながら働き続けることができるようにするとともに、仮に離職した場合であっても、希望に応じて再就職できるような取組を進める。
具体的には、有期雇用労働者を含む全ての労働者が、育児や介護を行いながら継続して就業し、活躍できるようにするため、育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律(平成3年法律第76号)に基づく措置の確実な履行確保及び周知を図る。また、男性による育児休業等の取得や、大企業に比べて育児休業や介護休業等が取得しづらいとされる中小企業等における取組を促進する助成金の活用等により、育児・介護と仕事を両立しやすい職場環境の整備を進める。
(2) 治療と仕事の両立支援
がん、難病、脳血管疾患、肝炎等の疾病・負傷等の治療により、就業の継続等に支障がある労働者について、治療と仕事の両立を社会的にサポートする仕組みを整える。このため、通常の働いている時間でも医療機関を受診しやすい環境の整備など企業における雇用環境改善の促進等の労働施策に加え、医療機関における支援体制の整備等の保健医療施策や福祉施策等との連携を含め、総合的かつ横断的な対策を実施する。
また、長期にわたる治療等を受けながら就職を希望する者に対して、公共職業安定所は、がん診療連携拠点病院等と連携した就職支援の充実を図る。
5 人的資本の質の向上と職業能力評価の充実
(1) リカレント教育等による人材育成の推進
長期的な人的資本の形成を促進し、労働者の処遇の改善、企業の生産性向上、ひいては日本経済社会全体の発展にもつながる好循環を生み出すことが重要である。このため、人生100年時代における職業人生の長期化やAI等の新技術等による働き方を取り巻く環境変化に対応するため、誰もがいくつになってもリカレント教育を受けられる環境の整備を関係省庁が連携しつつ推進する。
こうした環境の整備に向けて、企業内の人材育成について、中小企業等が取り組む訓練への支援やキャリアコンサルティングの普及を図るとともに、労働者の主体的なキャリア形成を支援するため、意欲ある個人に対する経済的支援を行っていく。また、産業界・大学等と連携した教育訓練プログラム開発等の取組等を推進していく。
これらの企業や個人への支援により、労働者が生涯を通じて職業能力を開発・向上することのできる環境を整備するとともに、雇用のセーフティネットとしての公的職業訓練の適切な実施等を通じて、多元的で効果的な職業能力の開発を促進する。
(2) 職業能力評価の充実
職業能力の見える化は、多様な働き方の推進や円滑な労働移動の支援等が課題になる中、企業内外で通用する職業能力のものさしを整備する観点から重要性が増すとともに、労働者の能力開発に取り組む動機付けや、企業の人事配置・処遇などの観点からも重要である。
このため、技能検定をはじめとした能力評価のものさしの整備や、個人の職業能力の見える化に役立つジョブ・カードの活用等を促進し、主体的なキャリア形成支援や最適なマッチングにつなげていく。
6 転職・再就職支援、職業紹介等に関する施策の充実
(1) 成長分野等への労働移動の支援
労働者の職業キャリアが長期化し、働き方のニーズが多様化するとともに、急速な技術革新や産業・事業構造の変化によって、企業・労働者双方において中途採用及び転職・再就職のニーズが高まっている。
労働者がキャリアを自ら設計できる、転職が不利にならない柔軟な労働市場を確立するため、年齢にかかわりない転職・再就職者の受入れ促進のための指針(平成30年厚生労働省告示第159号)を活用し、中途採用の拡大に向けた経済界の機運を醸成していく。
また、中途採用拡大を行う企業に対する助成を通じて転職・再就職者の受入れ企業を支援するとともに、公益財団法人産業雇用安定センターで実施するキャリアアップやキャリアチェンジを希望する労働者を対象とした出向・移籍支援を通じて、労働者一人一人のニーズに応じたマッチングを推進する。
加えて、求職者・求人企業に関する情報の充実、労働者・求職者に対するキャリアコンサルティング、職業訓練の実施による技能のミスマッチの解消及び助成金の適切な活用等により、離職を余儀なくされる労働者等の円滑な労働移動を支援する。
(2) 職場情報・職業情報の見える化
人材育成や長時間労働の是正等の働き方改革に積極的な企業ほど労働市場で選ばれ、それが企業の自主的な取組を更に促進するという好循環を生み出すことが重要である。
そのため、雇用管理の状況等が優良な企業の認定・表彰に関する状況(ユースエール、えるぼし、くるみん等)や時間外労働の状況等の企業の職場情報を求職者等がワンストップで閲覧できるサイト等を通じて、職場情報の見える化を促進する。
また、転職希望者等が持つ職業スキルや経験等を活かした就職活動や企業の採用活動が行えるよう職業情報の見える化を進めるため、職業情報提供サイトを構築し、広く求人企業・求職者等に職業情報を提供することにより、効果的なマッチングを図る。
(3) 求人・求職情報の効果的な提供及び地域の雇用機会の確保
公共職業安定所をはじめ、民間人材ビジネス、学校、都道府県や市町村など地方公共団体等の関係機関が、それぞれの分野において得意とする手法によりそれぞれの役割を果たすとともに、必要に応じて機関同士が連携することで人手不足等の問題に対応し、公正かつ効率的な外部労働市場全体としてのマッチング機能を最大化することが重要である。
こうした中で、公共職業安定所においては、ハローワークインターネットサービスを充実させ、求人・求職情報の効果的な提供を図ること等により、外部労働市場全体としてのマッチング機能を高めるとともに、中小企業等の人材確保を積極的に推進する。あわせて、均等な就職の機会の確保を図るため、公正な採用選考に関する周知啓発に取り組む。
また、地方の人口減少を克服し、将来にわたって成長力を確保するため、「まち・ひと・しごと創生総合戦略(2017改訂版)」(平成29年12月22日閣議決定)を踏まえ、地域に魅力ある良質な雇用機会を創出する取組が引き続き重要である。地域ごとに産業構造、人口構成等が異なっていることも踏まえ、地方公共団体その他の地域の関係者が創意工夫や発想を活かして実施する雇用創出の取組や大都市から地方への就職を後押しする取組を支援するなど、地方公共団体等との連携による地域の実情に応じた雇用対策を推進し、地域の産業政策と雇用政策との調和を図る。
さらに、災害が発生した場合には、被災地域の雇用を守るための取組や、やむを得ず離職された方々の再就職支援を実施する。
7 働き方改革の円滑な実施に向けた取組
地域の実情に即した働き方改革を進めるため、労働施策総合推進法第10条の3の規定に基づき、地方公共団体、中小企業者を構成員とする団体その他の事業主団体、労働者団体その他の関係者を構成員とする協議会を設置し、連携体制の整備を図る。その際には、いわゆる地方版政労使会議など、各地域で積み上げてきた行政と労使の連携の枠組を活用し、特に、中小企業等において、働き方改革が円滑に進められるよう取り組んでいく。
第3章 労働者が能力を有効に発揮できるようにすることに関するその他の重要事項
1 商慣行の見直しや取引環境の改善など下請取引対策の強化
特に、中小企業等においては、発注者からの著しく短い期限の設定や発注内容の頻繁な変更に応えようとして長時間労働になる傾向にあることから、商慣行の見直しや取引条件の適正化を進めることが重要である。
そのため、労働時間等の設定の改善に関する特別措置法(平成4年法律第90号)に基づき、著しく短い期限の設定及び発注内容の頻繁な変更を行わないよう配慮し、事業者の取引上必要な配慮が商慣行に浸透するよう、関係省庁が連携して必要な取組を推進する。加えて、国等が行う契約においても「平成30年度中小企業者に関する国等の契約の基本方針」(平成30年9月7日閣議決定)に基づき、物件等の発注に当たっては、早期の発注等の取組により平準化を図り、適正な納期・工期を設定するよう配慮する。
また、労働基準関係法令違反の背景に、極端な短納期発注等に起因する下請代金支払遅延等防止法(昭和31年法律第120号)等違反が疑われる事案について、厚生労働省から公正取引委員会や中小企業庁に通報する制度の強化を図る。
2 労働条件の改善に向けた生産性の向上支援
労働条件の改善を実現するためには、生産性の向上が重要である。しかし、中小企業等は、大企業と比べ、資本が脆弱で効率化に向けた設備投資が困難である場合が多いことから、賃金引上げや経営力の向上につながるような、生産性向上に資する設備投資等に対する支援を行う。
また、働き方改革推進支援センターにおいて、商工会、商工会議所、中小企業団体中央会等と連携して、好事例や支援策を提示するなど、丁寧な相談・支援に努める。
3 学校段階における職業意識の啓発、労働関係法令等に関する教育の推進
AI等の技術革新や働き方の変化も踏まえつつ、若者に働く意義や労働市場の実態の理解を促す等の教育は、適性・能力に応じた就職の実現の基盤であり、各個人・経済活動全体の生産性向上にも資する重要な意義を有するものである。
このため、学校から職場への移行を円滑にするため、文部科学行政と厚生労働行政の連携強化を図り、学校段階において職場見学やセミナー、インターンシップ等による職業意識啓発等の取組を積極的に推進する。また、多様な就業形態が増加する中で、労働関係法令や各種ルールについて知ることは、労働関係の紛争や不利益な取扱いの未然の防止に役立つとともに、働き方を選択する上で重要であるため、高校生などの若年者に対して、労働関係法令や社会保障制度に関する教育を推進する。
[別添2]
[別添3]
○労働施策基本方針について
平成30年12月28日基発1228第8号/職発1228第13号/雇均発1228第4号/子発1228第2号/開発1228第10号/政総発1228第2号
(都道府県知事あて厚生労働省労働基準局長、厚生労働省職業安定局長、厚生労働省雇用環境・均等局長、厚生労働省子ども家庭局長、厚生労働省人材開発統括官、厚生労働省政策統括官(総合政策担当)通知)
平成30年7月6日に成立した働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律(平成30年法律第71号)第3条の規定により改正された労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律(昭和41年法律第132号)第10条第1項において、国は、労働者がその有する能力を有効に発揮することができるようにするために必要な労働に関する施策の総合的な推進に関する基本的な方針を定めなければならないこととされております。
このため、労働政策審議会労働施策基本方針部会(座長:樋口美雄労働政策研究・研修機構理事長)において検討を行い、都道府県知事の意見を聴いた上で、平成30年12月28日に労働施策基本方針(別添1)を閣議決定するとともに、同日公表を行ったところです。
本方針は、働き方改革の意義に加えて、働き方改革実行計画に規定されている施策を中心としつつ、労働施策に関する基本的な事項、その他重要事項等を盛り込んでいるものです。本方針の概要については、別添2のとおりです。
貴職におかれましても、都道府県労働局と連携を図りつつ、労働施策の推進に積極的に取り組んでいただくようお願いいたします。併せて、本通知について、貴管下の市町村等へ周知いただくようお願いいたします。
なお、都道府県労働局長に対しては、「労働施策基本方針について」(平成30年12月28日付け基発1228第9号、職発1228第14号、雇均発1228第5号、子発1228第3号、開発1228第11号、政総発1228第3号。別添3)により通知したところですので申し添えます。