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通達:高年齢者雇用対策の推進について

 

高年齢者雇用対策の推進について

平成25年4月1日職発0401第3号

(各都道府県労働局長あて厚生労働省職業安定局長通知)

 

高年齢者等の雇用の安定等に関する法律の一部を改正する法律(平成24年法律第78号。以下「改正法」という。)の施行については、平成24年11月9日付け職発1109第2号をもって貴職あて通達したところであるが、これらに基づく高年齢者雇用対策の推進については、下記のとおり示すので、これらに留意の上、業務の運営に遺漏なきよう特段の御配意をお願いする。

なお、本通知をもって平成12年9月29日付け職発第583号「高年齢者雇用確保措置の推進等に係る指導について」及び平成24年4月2日付け職発0402第8号「高年齢者等の再就職の促進・援助等について」は廃止する。

 

1 高年齢者雇用確保措置の推進等に係る指導について

第1 60歳未満の定年の定めをしている企業に対する指導

1 60歳を下回る定年の定めの禁止に関する基本的考え方

(1) 規定の意義

「定年」とは、労働者が所定の年齢に達したことを理由として自動的に又は解雇の意思表示によってその地位を失わせる制度であって就業規則、労働協約又は労働契約に定められたものにおける当該年齢をいうものである。

当該制度の内容は労働基準法(昭和22年法律第49号)第89条第1項第3号にいう「退職に関する事項」として、就業規則の絶対的必要記載事項(就業規則に必ず定めをしなければならない事項)に該当するため、当該制度が就業規則又は労働協約ではなく労働契約に定められることは、労働基準法上就業規則の作成が義務付けられていない、常時使用する労働者が10人未満の事業所においてしかあり得ないことであるので留意すること。

なお、単なる慣行として一定年齢における退職が定着している場合等は定年に含まれないものであり、また、いわゆる選択定年制のように早期の退職を優遇する制度における当該早期の退職年齢はここでいう定年ではないこと。

(2) 法的効果

高年齢者等の雇用の安定等に関する法律(昭和46年法律第68号。以下「法」という。)第8条の内容は、事業主が定年の定めをする場合には、当該定年は60歳を下回ることができないこととするものであり、これは新たに定年の定めをする場合に限らず、既に定年の定めをしている場合も含むものであること。

法第8条に反して定められた60歳を下回る定年は民事上無効であり、事業主は、当該年齢を根拠に労働者を退職させることはできないと解されるものであること。また、この場合、当該定年は60歳と定めたものとみなされるのではなく、定年の定めがないものとみなされると解されるものであること。

なお、定年の定めをしていない事業主は、法第8条との関係で何ら問題となるものではないこと。

(3) 適用除外

イ 法第8条においては、高年齢者が従事することが困難な業務として労働省令で定める業務に従事する労働者については60歳定年の義務化の適用除外としており、この業務は、具体的には,鉱業における坑内作業の実態に鑑み、高年齢者等の雇用の安定等に関する法律施行規則(昭和46年労働省令第24号。以下「則」という。)第4条の2において、鉱業法(昭和25年法律第289号)第4条に規定する事業における坑内作業の業務とされていること。

なお、「鉱業法第4条に規定する事業」とは、鉱物の試掘、採掘及びこれに付属する選鉱、精錬その他の事業をいうものであること。

ロ 事業主は、法第8条の規定にかかわらず、鉱業法第4条に規定する事業における坑内作業の業務に従事する労働者については60歳を下回る定年を定めることができるものであること。

ただし、「鉱業法第4条に規定する事業における坑内作業の業務に従事する」とは、当該業務に常時従事することをいうものであり、事業主は、臨時的に当該業務に従事することがあるだけの者について60歳を下回る定年を定めることはできないものであること。

2 60歳未満の定年の定めをしている企業に対する指導の方法

60歳を下回る定年を定める企業であって鉱業法第4条に規定する事業における坑内作業以外のものがあった場合には、引き続き、下記により強力な指導を実施することとする。

(1) 定年の状況把握

企業における定年の採用状況については、高年齢者雇用状況報告によるほか、求人窓口、雇用保険適用窓口、労働基準監督署等、あらゆる機会を通じて情報提供を受けながら、十分な把握をすること。

なお、本社が他の公共職業安定所の管轄である事業所の定年が60歳未満であることが判明した場合には、当該本社を管轄する公共職業安定所に連絡すること。

(2) 個別指導の実施

指導の対象となる企業の事業主に対しては、法第8条により定年を定める場合は60歳を下回る定年は民事上無効であり、事業主は当該定年を根拠に労働者を退職させることはできないと解されるものであることを内容とする文書(様式第1号)を必要に応じて発出するとともに、企業を訪問する等により、早急に定年引上げの取組みを図るよう強力な指導をすること。なお、改善が図られるまでは、状況を確実に把握し、継続して指導を実施すること。

(3) 法第8条に係る周知

法を知らないことにより、雇用者が不利益を被ることがないようにすることが重要である。このため、関係機関とも連携を図りつつ、法の周知、啓発等の広報活動を十分に行うこと。

 

第2 高年齢者雇用確保措置の実施に係る指導

1 高年齢者の雇用確保に関する基本的考え方

(1) 高年齢者の雇用確保に関する目標

高年齢者等職業安定対策基本方針(平成24年厚生労働省告示第559号。以下「基本方針」という。)の第2においては、高年齢者の雇用の機会の増大の目標に関する事項が掲げられている。

また、高齢期には、個々の労働者の意欲、体力等個人差が拡大し、その雇用・就業ニーズも雇用就業形態、労働時間等において多様化することから、このような多様なニーズに対応した雇用・就業機会の確保を図る。

具体的には、平成25年度から公的年金の報酬比例部分の支給開始年齢が段階的に65歳へ引き上げられることから、法に基づき、希望者全員の65歳までの高年齢者雇用確保措置が全ての企業において講じられるようにするとともに、年齢にかかわりなく働ける企業の普及を図り、高年齢者の雇用の場の拡大に努める。

なお、高年齢者の雇用対策については、その知識、経験等を活かした安定した雇用の確保が基本となるが、それが困難な場合にあっては、在職中からの再就職支援等により、円滑に企業間の労働移動を行うことができるよう、また、有期契約労働者を含め離職する労働者に対しては、その早期再就職が可能となるよう再就職促進対策の強化を図る。

また、これらの施策により、新成長戦略(平成22年6月18日閣議決定)で示された平成32年までの目標(同戦略において、「平成32年度までの平均で、名目3%、実質2%を上回る成長」等としていることを前提。)である60~64歳の就業率を63%とすることを目指すとともに、同年までに65~69歳の就業率を40%とすることを目指すこととしている。

(2) 事業主が行うべき諸条件の整備に関する指針の基本的考え方

基本方針の第3の1において、事業主が行うべき諸条件の整備に関する指針が示されたところであるが、これは、法第4条第1項において、事業主の責務として、職業能力の開発及び向上並びに作業施設の改善その他の諸条件の整備を行うことにより、その雇用する高年齢者についてその意欲及び能力に応じてその者のための雇用機会の確保等が図られるよう努める旨が規定されていることを踏まえ、事業主がこれら諸条件の整備等を実施する際に、当該取組が円滑に行われるようにするためにガイドラインを示したものである。

事業主は、当該指針の内容を参考に、労働者の年齢構成の高齢化や年金制度の状況等も踏まえ、労使間で十分な協議を行いつつ、当該企業における高年齢者の意欲及び能力に応じた雇用機会の確保のために必要な諸条件の整備を行うことが求められるものである。

(3) 高年齢者雇用確保措置の実施及び運用に関する指針の基本的考え方

高年齢者雇用確保措置の実施及び運用に関する指針(平成24年厚生労働省告示第560号。以下「運用指針」という。)が示されたところであるが、これは、65歳未満の定年の定めをしている事業主が、労使間で十分な協議を行いつつ、高年齢者雇用確保措置の適切かつ有効な実施を図るためのガイドラインであり、継続雇用制度について以下の内容を示している。

事業主は、継続雇用制度を導入する場合には、希望者全員を対象とする制度とすること。この場合において法第9条第2項に規定する特殊関係事業主により雇用を確保しようとするときは、事業主は、その雇用する高年齢者を当該特殊関係事業主が引き続いて雇用することを約する契約を、当該特殊関係事業主との間で締結する必要があることに留意すること。

心身の故障のため業務に堪えられないと認められること、勤務状況が著しく不良で引き続き従業員としての職責を果たし得ないこと等就業規則に定める解雇事由又は退職事由(年齢に係るものを除く。以下同じ。)に該当する場合には、継続雇用しないことができること。就業規則に定める解雇事由又は退職事由と同一の事由を、継続雇用しないことができる事由として、解雇や退職の規定とは別に、就業規則に定めることもできること。

また、当該同一の事由について、継続雇用制度の円滑な実施のため、労使が協定を締結することができること。なお、解雇事由又は退職事由とは異なる運営基準を設けることは改正法の趣旨を没却するおそれがあることに留意すること。

ただし、継続雇用しないことについては、客観的に合理的な理由があり、社会通念上相当であることが求められると考えられることに留意すること。

(4) 高年齢者の雇用確保に関する指導に関する方針

基本方針においては、事業主が行うべき諸条件の整備及び高年齢者雇用確保措置について(2)で述べた指針を定め、65歳までの高年齢者雇用確保措置の速やかな実施、希望者全員の65歳までの安定した雇用の確保に関する自主的かつ計画的な取組が促進されるよう、(3)で述べた指針の内容について周知徹底を図るとともに、都道府県労働局及び公共職業安定所において、すべての企業において高年齢者雇用確保措置が講じられるよう、周知の徹底や企業の実情に応じた指導等の積極的な取組とあわせて、企業が賃金・人事処遇制度の見直し等を行う場合において高年齢者雇用アドバイザーが専門的・技術的支援を有効に行えるよう、公共職業安定所は、適切な役割分担の下、独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構(以下「機構」という。)と密接な連携を図ることとしており、こうした方針に基づき、高年齢者雇用確保措置に係る指導等を行うこととする。

(2)及び(3)で述べた指針については、各事業主における諸条件の整備、65歳までの高年齢者雇用確保措置の速やかな実施、希望者全員の65歳までの安定した雇用の確保及び「70歳まで働ける企業」の自主的かつ計画的な取組を促進するため、それぞれの指針の考え方及び内容について積極的な啓発を行うこと。

(2)及び(3)で述べた指針に基づく具体的な取組を促進するに当たっては、専門的な助言・援助が特に重要なものとなるため、機構の地域障害者職業センター雇用支援課等(以下「都道府県高齢・障害者雇用支援センター」という。)との十分な連携を図り、必要な援助を機動的に実施すること。

(5) 特殊関係事業主による雇用

特殊関係事業主(当該事業主の経営を実質的に支配することが可能となる関係にある事業主その他の当該事業主と特殊の関係のある事業主として則第4条の3に規定する事業主)において継続雇用する場合には、当該事業主の雇用する高年齢者であってその定年後に雇用されることを希望するものをその定年後に当該特殊関係事業主が引き続いて雇用することを約する契約を締結する必要があること。

特殊関係事業主の要件については、契約の相手方たる要件である以上、まず契約を締結する時点で、その要件を満たす必要があり、加えて、法律上、契約の内容として「特殊関係事業主が引き続いて雇用すること」が求められていることから、労働者が特殊関係事業主において雇用され始める時点でも特殊関係事業主たる要件を満たす必要があること。

2 企業における定年及び継続雇用の実情の把握

高年齢者雇用状況報告、指導時における確認及び関係機関からの連絡等により企業における定年及び継続雇用の実情を把握した場合は、当該高年齢者雇用確保措置の現状及び今後の予定について、次の分類により企業を区分すること。

① 法の規定に違反している企業

② 改正法附則第3項に基づき、継続雇用制度の対象者に係る基準を設けている企業

③ ②のうち、継続雇用制度に係る対象者基準等についての指導・助言等を要する可能性のある企業

3 高年齢者雇用確保措置の実施のための個別指導等

(1) 指導の対象

上記2の①の分類に該当する企業については、個別指導を行うことを原則とする。高年齢者雇用確保措置が未実施となっている31人以上規模企業に対しては、これまでの指導等の状況も踏まえつつ、個別指導を実施すること。

なお、30人以下規模の小規模企業に対する指導は、下記(3)及び7のとおりとする。

①に該当する企業で複数の事業所を有する企業にあっては、本社を管轄する公共職業安定所において指導を実施すること。ただし、労務管理の権限の一部が各事業所に分散されており本社のみを対象としたのでは指導の効果を上げることができない場合には、公共職業安定所間、都道府県労働局間で連携を図り、本社以外の事業所を管轄する公共職業安定所においても指導を実施すること。

なお、企業グループ内で統一的な制度を設けている場合で、当該グループ内に中心的企業が有る場合には、各グループ企業を管轄する公共職業安定所間、都道府県労働局間で連携を図り、当該中心的企業に対して重点的指導を行うこと。ただし、当該グループ内に中心的企業がない場合には、当該グループ内の各企業を指導の対象とし、必要に応じ、公共職業安定所間、都道府県労働局間で連携を図ること。

(2) 個別指導の実施

上記(1)の企業に対する個別指導は、基本的に、以下に留意の上、公共職業安定所の職員の企業訪問等により実施するものとする。また、必要に応じ、都道府県高齢・障害者雇用支援センターとの連携の下に、高年齢者雇用アドバイザーを活用し、高年齢者雇用確保措置の実施に当たっての技術的な事項に関する専門的な相談・援助を行い、指導の効果を高めること。

イ 指導は継続して実施することを原則とし、企業に対応スケジュールを示すよう求め、対応が完了するまで定期的(原則として2か月に1回以上)に電話連絡等により進捗を確認し、必要に応じて再訪問を行うこと。企業に対応スケジュールを示させる場合には、不必要に長い期間とすることのないよう徹底すること。また、指導の過程においては、適宜高年齢者雇用確保措置の実施の阻害要因の分析を行い、その結果を踏まえた上で指導方針を決定すること等により、効果的な指導が行えるよう工夫すること。

ロ 指導を行っても進展が見られない場合は、都道府県労働局長を始めとする幹部又は公共職業安定所長を始めとする幹部により、企業の経営幹部等責任を有する者に対する指導を行うこと。なお、本社のみを指導の対象とした場合やグループ内の中心的企業、地域経済界において中心的存在となっている企業等、他の企業に及ぼす影響が大きいと考えられる企業等については、必要に応じて、早い段階から都道府県労働局長を始めとする都道府県労働局幹部や公共職業安定所長を始めとする公共職業安定所幹部が企業を訪問し指導を実施すること。

なお、これらの個別指導の実施後においても、当該指導に係る高年齢者雇用確保措置の実施に関して何ら取組がなされない企業等については、下記4の文書による指導を適切に行うこと。

(3) 小規模企業における高年齢者雇用確保措置の確実な実施の推進

30人以下規模の小規模企業については、下記7の集団指導により高年齢者雇用確保措置の実施を図ることを原則とするが、労働者等から法違反の事実の申立てがなされた場合等については、必要性を判断の上、(2)による個別指導を実施すること。

そのために、各公共職業安定所に高年齢者継続雇用相談窓口を設け、労働者等から法違反企業に係る相談を受け付けていることを周知すること。

4 文書による指導

個別指導の実施に当たっては、当該企業における高年齢者雇用確保措置に関する取組状況に応じ、以下の文書を発出することとし、文書発出企業に対しては、その後の取組状況、措置の改善状況を適宜、確認すること。

文書の発出後の計画作成等に関しては、都道府県高齢・障害者雇用支援センターと連携し、高年齢者雇用アドバイザーを活用するなどして、積極的に助言・援助を行い、適切な実施を促すための指導を行うこと。

(1) 高年齢者雇用確保措置の実施に関する指導文書(法第10条第1項に基づく指導)

上記2の①の分類に該当する企業のうち、下記の①から③のすべてに該当する企業については、原則として、法第10条第1項に基づき、高年齢者雇用確保措置の実施に関する指導文書(様式第2号。以下「指導文書」という。)を発出するものとする。

特に、厚生労働本省から別途通知する企業については、指導文書の発出を前提とした都道府県労働局又は公共職業安定所の幹部による個別指導を実施する等の重点的な指導実施すること。

ただし、下記の①から③の全てに該当するが、当分の間、高年齢者雇用確保措置が実施されないことによる離職者が発生しない企業、事業の継続が危ぶまれている等の特段の事情が認められる企業、効果的に指導を実施するためには指導文書を発出しないことが適当だと認められる企業があれば、厚生労働本省に協議すること。

なお、下記①及び②に要する期間については、不必要に長い期間とならないよう留意すること。

① 同一の事由で3回以上個別指導を実施していること(指導を拒否する企業を含む)

② そのうち少なくとも1回は、企業の経営幹部に対して個別指導を実施していること(指導を拒否する企業を含む)

③ ①及び②の指導にもかかわらず、何ら具体的な取組がなされていないことが確認されたこと

指導文書の発出に当たっては、関連するパンフレットを添付すること。また、指導文書の発出から2か月程度の期限を付し、高年齢者雇用確保措置に関する計画書(様式第3号。以下「計画書」という。)の提出を求めるとともに、計画書の計画期間の終期から1か月程度の期限を付し、高年齢者雇用確保措置に関する報告書(様式第4号。以下「報告書」という。)の提出を求めるものとすること。なお、計画書の計画期間は2か月程度とすること。提出された計画書の内容が法に違反しているなど適切なものではなかった場合、法に沿った内容となるよう指導を行い、1か月程度の期限を付し、再提出を求めること。

(2) 高年齢者雇用確保措置の実施に関する勧告書(法第10条第2項に基づく勧告)

(1)の指導文書の発出を行った事業主のうち、高年齢者雇用確保措置に関して何ら具体的な取組を行わない者(提出期限までに(1)の計画書又は報告書が提出されない場合を含む。)に対しては、指導文書の発出後少なくとも1回以上個別指導を実施すること。その際、原則として都道府県労働局長又は公共職業安定所長による指導を行うこととし、特に、当該企業が地域経済界において中心的存在になっている等、他の企業に及ぼす影響が大きいと考えられる場合等については、必ず都道府県労働局長又は公共職業安定所長による指導を実施すること。

個別指導を実施したにもかかわらず、高年齢者雇用確保措置に関して何ら具体的な取組を行わない事業主に対しては、法第10条第2項に基づき、都道府県労働局長名の高年齢者雇用確保措置の実施に関する勧告書(様式第5号)を発出するものとすること。

該当する事例が生じた場合には、厚生労働本省に協議すること。

発出に当たっては、2か月程度の期限を付し、勧告に基づく高年齢者雇用確保措置の実施に関する報告書(様式第6号。以下「実施報告書」という。)の提出を求めるものとすること。

なお、勧告の際には、事業主に対して次の点について十分に説明を行うこととし、さらに当該勧告以後も状況に応じて、是正に向けた指導、高年齢者雇用アドバイザーによる支援などを継続的に実施していくこと。

① 是正されない限り、継続的に指導等を実施するものであり、勧告に従わなかったときは、公表を前提とした特別指導を実施し、それでも是正されない場合は企業名の公表を行うこと。

② 勧告書が発出された事業主に対しては、原則として、公共職業安定所における求人の不受理・紹介保留、助成金の不支給などの措置を実施すること。

5 特別指導の実施

法においては、高年齢者雇用確保措置の実施に関する勧告を受けた者がこれに従わなかったときは、厚生労働大臣がその旨を公表できることとしている(法第10条第3項)。

しかしながら公表は、事業主に対して単に社会的制裁を加えることのみを目的とするものではなく、あくまで高年齢者雇用確保措置の実施についての事業主の自主的努力を促すために用いられるものであるので、高年齢者雇用確保措置未実施といった事由のみで直ちにこれを行うべきものではない。

したがって、勧告を行った場合は、次により公表を前提とした特別指導を行うものとし、特別指導を実施してもなお高年齢者雇用確保措置の実施がなされない事業主について、公表を行うものとする。

(1) 特別指導の対象及び公表の対象

高年齢者雇用確保措置の実施に関する勧告(都道府県労働局長による勧告に限る。)を受けた事業主のうち、実施報告書を提出しない事業主(報告書の内容が適切でない場合を含む。)を特別指導の対象(以下「対象企業」という。)とし、そのうち特別指導期間終了後の翌年の1月1日時点で高年齢者雇用確保措置が適法に講じられていない企業を公表の対象とする。

(2) 特別指導の期間

特別指導の実施期間は、実施報告書の提出期限終了後の翌年の1月1日から12月31日までとする。

(3) 特別指導の方法

イ 特別指導計画の作成

対象企業については、都道府県労働局職業安定部職業対策課が対象企業の本社を管轄する公共職業安定所(以下「管轄安定所」という。)と協力して特別指導計画(様式第7号)を作成するものとする。特別指導計画には、①高年齢者雇用確保措置を実施させるために都道府県労働局がとった措置、②この措置にもかかわらず実施されない理由及び③特別指導として実施する具体的内容等を記載するものとする。

ロ 対象企業の代表者に対する公表を前提とした指導の実施

都道府県労働局の幹部職員が中心となって、対象企業の代表者に対して、原則として特別指導開始後1か月以内に、再度の指導を実施すること。

なお、その際、公表については、公表が目的ではなく、あくまで高年齢者雇用確保措置の実施を図ることが目的であるので、その趣旨を十分説明し、企業の理解を求めること。

ハ 個別具体的な指導等の実施

特別指導は、特別指導計画に沿って都道府県労働局が主体となってこれを行うものとするが、特にその効果をあげるためには、対象企業幹部の高年齢者雇用確保措置についての理解と認識を高めることが不可欠であるので、都道府県労働局の幹部職員が中心となって対象企業幹部に対する指導を積極的に行うよう努めること。

あわせて、管轄安定所についても、都道府県労働局の指揮の下、指導を行うこと。

ニ 厚生労働本省における個別指導の実施

ロ及びハによる指導を行ったにもかかわらず、取組姿勢に改善のみられない対象企業については、必要に応じ厚生労働本省による個別指導を実施することとするので、都道府県労働局において厚生労働本省による個別指導が必要であると認めた場合には、その旨速やかに厚生労働本省あて報告すること。

この場合の報告は、様式第8号に報告時までの指導状況、これに対する対象企業の対応状況等を記入し、これに厚生労働本省による個別指導を必要とする理由を付して行うこと。

なお、厚生労働本省による個別指導の対象となった企業についても当該指導の実施後はその結果を踏まえ、都道府県労働局及び管轄安定所において引き続き強力かつ綿密な指導を行うこと。

6 企業に対する公表等の措置(法第10条第3項に基づく公表)

(1) 公表基準

5の特別指導を行ったにもかかわらず、正当な理由なく、特別指導の実施期間終了後の翌年の1月1日時点で高年齢者雇用確保措置が適法に講じられていない企業については、厚生労働本省において公表の措置を講ずる。

(2) 公表実施時期

特別指導の実施期間終了後の翌年の3月末とする。

(3) 継続的指導の実施

公表企業に対しては、特別指導と同様に都道府県労働局が中心となり、指導を引き続き実施するものとする。

7 高年齢者雇用確保措置の実施のための集団指導等

上記2の①の分類に該当する企業のうち、30人以下規模企業については、原則として、公共職業安定所が行う各種説明会等の場を活用した集団指導や、事業主団体の実施する会合等企業が広く集まる場を捉えることによる周知等を実施するとともに、参加した企業からの疑義や要請に対して、必要な指導・援助を行うこと。

また、こうした小規模企業に対しては、求人受理時や労働基準行政と連携するとき等、様々な機会を通じて、高年齢者雇用確保措置の実施状況の把握と啓発指導を行うこと。

なお、集団指導等を行う場合には、都道府県高齢・障害者雇用支援センターに対し高年齢者雇用アドバイザーの講師派遣を要請することや、参加した企業から専門的・技術的支援を求められた場合に個別訪問を要請するなど、効果的な連携を図ること。

8 希望者全員が65歳まで働ける企業の普及のための啓発指導等

上記2の②の分類に該当する企業に対しては、経過措置で継続雇用制度の対象者に係る基準が利用できるものの、希望者全員が65歳まで働ける制度の導入が原則であることから、都道府県労働局及び公共職業安定所においては、必要に応じて、当該企業に対し、希望者全員が65歳まで働ける制度の導入の必要性についての啓発指導等を実施するとともに、都道府県高齢・障害者雇用支援センターの高年齢者雇用アドバイザー等と連携を図ることで、希望者全員が65歳まで働ける制度の導入を効率的かつ効果的に推進すること。

9 継続雇用制度に係る対象者基準等についての啓発指導等

(1) 継続雇用制度に係る対象者基準等についての啓発指導等を要する可能性のある企業への対応

上記2の③の分類に該当する企業については、高年齢者雇用状況報告等を活用し、64歳以下の定年を定めている企業であって、定年到達者等に占める基準非該当となり離職する者や定年到達者のうち継続雇用を希望しない者の割合が高い企業等を抽出した上で、継続雇用制度に係る基準の内容や継続雇用後の労働条件等について確認を行い、必要に応じて、基準の内容や労働条件の変更等について啓発指導等を行うこと。

また、労働者等から、継続雇用制度に係る対象者基準の内容や継続雇用後の労働条件等について問題がある旨の情報提供があった場合についても、上記2の③の分類に該当する企業として同様に扱うこと。

(2) 高年齢者雇用確保措置に係る運用改善

運用指針において、事業主は、高年齢者雇用確保措置を適切かつ有効に実施し、高年齢者の意欲及び能力に応じた雇用を確保するために、賃金・人事処遇制度の見直しが必要な場合には、短時間勤務、隔日勤務等高年齢者の希望に応じた勤務制度の導入、継続雇用制度により雇用される場合の賃金水準や契約期間の設定、継続雇用の希望者の割合が低い場合の労働者のニーズ等を踏まえた制度の見直し等について留意することとされたことを踏まえ、高年齢者雇用アドバイザー等を活用し、事業主の取組を支援すること。

 

第3 高年齢者雇用状況報告書の様式

1 高年齢者雇用状況報告書の様式

則第33条に規定する高年齢者雇用状況報告書(様式第2号)の様式については、別添のとおりであること。

2 報告の主体

高年齢者雇用状況報告書については、原則として全ての事業主に報告を求めうるものであること。

3 報告の手続

高年齢者雇用状況報告書は、企業単位にこれを求め、管轄公共職業安定所に対し提出させるものであること。

 

II 高年齢者等の再就職の促進・援助等について

1 求職活動支援書の作成及び再就職援助措置の実施促進等

(1) 事業主及び高年齢者等に対する周知・啓発

イ 事業主に対する周知・啓発

各都道府県労働局及び各公共職業安定所は、求職活動支援書の趣旨、解雇等による離職が予定されている高年齢者等((2)イの交付対象者をいう。以下「高年齢離職予定者」という。)が希望した場合の作成・交付義務、事業主の再就職援助に係る努力義務等について周知・啓発活動を推進すること。

周知・啓発は、事業主団体等を通じて行うほか、様々な機会を捉えて積極的な周知・啓発を推進すること。

ロ 事業の縮小等により、解雇者が発生することを事前に把握した場合における周知

法第16条第1項に基づく多数離職の届出のほか、雇用対策法(昭和41年法律第132号)第24条第1項及び第25条第1項に基づく再就職援助計画並びに同法第27条第1項に基づく大量雇用変動の届出、新聞記事等により、事業の縮小等により解雇者が発生することを事前に把握した場合は、管轄公共職業安定所は、速やかに当該事業主に対して周知を行うこと。なお、多数離職の届出については、厚生労働省高齢・障害者雇用対策部高齢者雇用対策課が定める様式により報告すること。

ハ 長期職業キャリア・ジョブ・カードの活用に係る周知

求職活動支援書については、その様式として、中高年齢者等の職業キャリアが長い者や、そうした者を採用しようとする企業にとってより実用的に活用できる職業キャリアが長い方向けのジョブ・カード(以下「長期職業キャリア・ジョブ・カード」という。)を活用することが可能であることから、上記イ及びロ等の際、その積極的な活用について周知を図ること。

(2) 求職活動支援書の作成等

イ 交付対象者

事業主が求職活動支援書の作成・交付義務を負うのは、45歳以上65歳未満の者(日々又は期間を定めて雇用されている者(同一の事業主に6月を超えて引き続き雇用されるに至っている者を除く。)、試みの使用期間中の者(同一の事業主に14日を超えて引き続き雇用されるに至っている者を除く。)及び常時勤務に服することを要しない者として雇用されている者を除く。)であって以下の(イ)から(ハ)に該当する者が求職活動支援書の作成・交付を希望した場合であり、定年退職者は含まれないものであること。

(イ) 事業主都合による解雇(人員整理、事業の休廃止等による解雇その他、他の項目に該当しない解雇をいう。ただし、自己の責めに帰すべき理由によるものを除く。)

(ロ) 改正法附則第3項の規定によりなおその効力を有することとされる同法による改正前の法第9条第2項の継続雇用制度の対象となる高年齢者に係る基準を定めた場合における当該基準に該当しなかったこと

(ハ) その他事業主の都合による退職

a 事業主の勧奨等による任意退職

(a) 企業整備による人員整理等のため、事業主が希望退職を募り、労働者がこれに応じる場合

(b) 事業主の退職の勧奨に応じて退職する場合(実質的には労働者の都合による任意退職であるのに退職金等の関係から勧奨退職の形式をとる場合を除く。)

b 就業規則の解雇事由又は退職事由(年齢に係るものを除く。以下同じ。)に該当するとして継続雇用されなかった場合(解雇事由又は退職事由と同一内容である継続雇用しない事由に該当し継続雇用されなかった場合を含む。)

c その他社会通念上著しく妥当性を欠く理由その他の強制によって退職する場合

ロ 作成者

求職活動支援書の作成・交付は、法律上の義務を負う高年齢離職予定者を雇用する事業主が行うこととなる。ただし、実際の運用に当たっては、まず高年齢離職予定者が作成し、その内容を事業主が確認するという方法であっても、事務処理の簡素化等の観点から企業に必要性があり、高年齢離職予定者もこれに同意していれば差し支えないこととすること。

ハ 求職活動支援書の作成等についての留意点

(イ) 即時解雇の場合

事業主は、事業所の廃止等により雇用している高年齢者等を即時解雇せざるを得ない場合においても、高年齢離職予定者が希望した場合は、求職活動支援書の作成・交付義務があること。この場合、事業主に対してその趣旨及び作成・交付の義務を説明し、求職活動支援書の作成・交付について指導すること。

(ロ) 義務の時間的範囲

離職日前から、事業主が高年齢離職予定者に求職活動支援書の作成・交付についての希望を聴かなかった場合、又は、高年齢離職予定者が事業主に対して求職活動支援書の作成・交付を希望していたが、離職日前に求職活動支援書を作成できなかった場合(即時解雇等物理的に求職活動支援書の作成が困難な場合を含む。)は、当該高年齢離職予定者の離職後であっても、求職活動をしている間は、事業主は求職活動支援書の作成・交付義務は残ること。

(ハ) 事業主の負担軽減

求職活動支援書については、各高年齢離職予定者の事情を踏まえて個別に交付することとしており、様式は定めないこととするが、必要記載事項(①再就職援助措置の内容、②高年齢離職予定者の氏名、年齢及び性別、③高年齢離職予定者が離職することとなる日(決定していない場合は、離職することとなる時期)、④高年齢離職予定者の職務の経歴(従事した主な業務の内容、実務経験、業績及び達成事項を含む。)、⑤高年齢離職予定者が有する資格、免許及び受講した講習、⑥高年齢離職予定者が有する技能、知識その他の職業能力に関する事項、⑦高年齢離職予定者が職務の経歴等を明らかにする書面を作成するに当たって参考となる事項その他の再就職に関する事項)が記入されている必要があること。

また、必要記載事項の記載に代えて関係書類の添付を行うこと(例えば、長期職業キャリア・ジョブ・カードを添付すること。また、事業主が行う再就職援助措置の共通の内容については、求職活動支援基本計画書又は雇用対策法第24条1項及び第25条第1項に規定する再就職援助計画にも該当している場合は当該再就職援助計画書を添付すること、また本人の職歴については、別途企業で作成している既存の書類を添付するなど)も可能とすること。

ただし、助成金支給手続きに係る当該求職活動支援書が適正に作成されたかを確認するため、事業主(求職活動支援書を作成した事業所の長)又は再就職援助担当者の連絡先、当該高年齢離職予定者の雇用保険被保険者番号及び作成日付の記入を求めることとすること。

(ニ) 再就職援助担当者の活用

公共職業安定所は、求職活動支援書に基づく再就職援助措置が個々の高年齢離職予定者において実効あるものとなるように、人事担当者など高年齢離職予定者を十分把握している者が再就職援助担当者として選任されるよう事業主に対して指導すること。

また、再就職援助担当者を窓口として再就職援助措置の進捗状況を把握し、必要な情報提供及び支援を行うこととすること。

(3) 求職活動支援書の交付等に係る事業主指導について

イ 事業主指導の端緒

事業主が求職活動支援書の作成・交付義務を負うのは、高年齢離職予定者が希望した場合に限られるため、事業主指導は基本的に、高年齢離職予定者が公共職業安定所に申し出た場合に限られること。

ロ 求職活動支援書の作成は、事業主(本社)が行うことを原則とする。このため、事業主(本社)を所管しない公共職業安定所が高年齢離職予定者の申出等により情報を入手した場合は、事業主(本社)を所管する公共職業安定所との連絡調整を行う必要がある。ただし、雇用保険適用事業所が事業所単位になっていること等から、人事権が当該事業所にあると認められる場合には、事業主の所在地を管轄する公共職業安定所との連絡の下、当該事業所とすること(この場合は、二重に助言・指導等をしないよう調整すること。)。

ハ 指導対象事業主の範囲と指導の流れ

高年齢離職予定者が希望したにもかかわらず、求職活動支援書の作成・交付を行わないとの申出や求職活動支援書の内容が高年齢離職予定者の再就職に資するものとなっておらず不適切との申出等があった場合は、事業主に対して指導を行うこと。

ニ 指示に従わない事業主に対する指導、助言及び勧告の方法

(イ) 上記ハの指導をしたにもかかわらず、求職活動支援書の作成・交付を行わない場合は、管轄公共職業安定所長が当該事業主(本社の長)に対して、速やかに当該支援書の作成及び交付するよう作成指導書(様式第9号)(以下「指導書」という。)を発出すること。

指導書を発出する際には、求職活動支援書の様式例、同記載例のほか、求職活動支援書交付報告書(様式第10号)(以下「交付報告書」という。)を添付すること。

交付報告書は、事業主が再就職援助措置の実効を確保するために、求職活動支援書の作成及び交付を促すものであり、発出後1ヶ月程度を目安に、公共職業安定所に提出することを求めるものであること。

なお、離職日までの期間が短い場合は、状況に応じて提出日を短縮して設定すること。

また、事業主から交付報告書の提出があった場合は、必要な事項が記載されていることを確認後、公共職業安定所の受理印を押印の上、その写しを当該事業主に交付し、原本は公共職業安定所で保管すること。

(ロ) (イ)の指導に応じない事業主のうち、再三の指導にもかかわらず求職活動支援書の作成及び交付を行わない事業主に対しては、勧告書(様式第11号)を発出すること。

ホ 義務付けられていない高年齢者等に係る求職活動支援書の作成促進

交付対象者以外であっても、当該高年齢者等が再就職活動を行うことが明らかであり、かつ、求職活動支援書の作成を希望している場合は、当該高年齢者等に対しても作成・交付を行うよう必要に応じて事業主に促すこと。

ヘ 雇用対策法に基づく再就職援助計画との関係

(イ) 再就職援助計画と求職活動支援書

求職活動支援書については、求職活動支援書の対象となる高年齢者等の職務の経歴、職業能力その他の当該高年齢者等の再就職に資する事項及び再就職援助の措置に関する希望を聴いて作成し、その内容を記載した求職活動支援書を個々の労働者に交付することとされ、雇用対策法第24条第1項に規定する再就職援助計画(公共職業安定所長に提出)よりも個々の労働者に対して手厚い対応が求められることから、求職活動支援書を作成する義務が課される事業主にあっては、雇用対策法に基づく再就職援助計画を作成する場合であっても、別途求職活動支援書を作成する義務があること。

また、求職活動支援書の作成を指導する際に、雇用対策法に基づく再就職援助計画の作成が義務づけられている事業主であって未作成であるものに対しては、同計画についても作成し、公共職業安定所長の認定を受ける必要があることを周知すること。

(ロ) 再就職援助計画と求職活動支援基本計画書

雇用対策法の再就職援助計画は、事業規模の縮小等に伴い離職を余儀なくされる労働者の円滑な再就職を図ることに加え、地域の労働力需給への影響を未然に防止するという観点も含まれることから事業規模の縮小等に伴い離職を余儀なくされる離職者が相当数(1ヶ月以内に30人以上)発生する場合に作成し、公共職業安定所に申請し認定を受けることが義務づけられている(30人未満である場合等については任意での提出が可能)のに対して、求職活動支援基本計画書は、基本的に、労働移動支援助成金の支給を申請する場合に作成し、それ以外の場合は公共職業安定所に提出する必要はなく、その作成及び提出は事業主の任意となっており、その趣旨・目的、作成の契機及び内容が異なることから、それぞれの要件に応じて作成すること。

なお、事業主の負担を軽減する観点から、事業主から、備考欄に次の必要な事項を記載した雇用対策法第24条第1項に規定する再就職援助計画について、同法第24条第3項又は第25条第1項の規定に基づきその認定が申請され、安定所の長が認定した場合には、当該計画を「求職活動支援基本計画書」として取り扱うこと。

① 高年齢離職予定者(定年及び継続雇用制度がある場合における当該制度の定めるところにより離職が予定されているものを含む45歳以上65歳未満の者)の数

② 雇用対策法に基づく再就職援助担当者と法第17条第2項の規定に基づく再就職援助担当者が異なる場合は、後者の役職及び氏名

ト 労働基準法第22条第1項に基づく退職証明書との関係

求職活動支援書は、高年齢離職予定者が、その内容も参考にしつつ求職活動を行うことが、早期再就職のために効果的であるとの考え方に立つものであり、離職前のできる限り早期の交付が求められるものであること。したがって、その内容についても、労働者の希望があった日までの内容を記載すれば足りるものであること。

これに対し、労働基準法の退職証明書は、退職後に、賃金やその事業における地位など、労働者の請求した特定の事実について記載することが求められているものであり、退職証明書の請求・交付の時期と求職活動支援書の希望・交付の時期は異なるものであることから、1枚の書面で退職証明書と求職活動支援書を兼ねることはないものであること。

(4) 求職活動支援書を交付された高年齢離職予定者に対する助言その他の援助

イ 公共職業安定所における助言その他の援助

(イ) 公共職業安定所は、高年齢離職予定者をはじめとする高年齢求職者(高年齢離職予定者等)から求職活動支援書の提示を受けたときは、当該支援書の記載内容を参酌し、適切な職業相談や職業紹介及びその他の援助を行うこと。

(ロ) 求職活動支援書を交付された高年齢離職予定者等に対し、外部講師又は職員によるセミナー等を実施するほか、雇用職業情報の提供、パンフレット等を活用して再就職に向けた心構え、職業資産の確認、履歴書等の書き方及び面接の受け方等について助言を行うこと。

ロ 事業主への協力の要請

公共職業安定所において求職活動支援書を提示した高年齢離職予定者等に対し、助言その他の援助を行うに当たっては、当該求職活動支援書を作成した事業主と十分に連携をとり、進捗状況を確認しつつ、必要に応じて当該求職活動支援書及び再就職援助措置の内容を改善するよう協力を要請すること。

2 労働移動支援助成金(再就職支援給付金)について

(1) 労働移動支援助成金(再就職支援給付金)の概要

対象者について、その再就職に係る支援を民間の職業紹介事業者に委託し、45歳以上の対象者の再就職を離職の日から5か月(当該対象者がそれ以外の者であるときは2か月)以内に実現した中小企業事業主に、委託に要した費用の2/3(当該対象者がそれ以外の者であるときは1/2)を支給するもの。

(2) 求職活動支援基本計画書の提出等

(1)の助成金の支給については、高年齢離職予定者に共通して講じようとする再就職援助措置を記載した求職活動支援基本計画書を、労働組合等の同意を得た上で都道府県労働局長に提出することが支給要件となっている。

このため、事業主への求職活動支援書の作成指導等を行うに当たっては、労働移動支援助成金のパンフレット類並びに求職活動支援基本計画書及び同記載例を添付するなどにより、併せて求職活動支援基本計画書の作成について周知すること。

3 公共職業安定所における再就職支援

雇用対策法第10条の取扱については、「労働者の募集及び採用における年齢制限の禁止に関する取組等について」(平成19年9月28日付け職発第0928006号)により通知しているところであるが、公共職業安定所における年齢不問求人が大幅に増加し、求人に対する高年齢者の応募機会が拡大していることを踏まえ、必要に応じて特定求職者雇用開発助成金、トライアル雇用奨励金、シニアワークプログラム地域事業における技能講習等も活用し、高年齢離職予定者等に対する積極的な職業紹介を行うこと。

 

(様式第1号)


(様式第2号)


(様式第3号)


(様式第4号)


(様式第5号)


(様式第6号)


(様式第7号)


(様式第8号)


(様式第9号)


(様式第10号)

別紙


(様式第11号)


(別添)