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通達:「70歳まで働ける企業」推進プロジェクトの実施について

 

「70歳まで働ける企業」推進プロジェクトの実施について

平成23年2月18日職発0218第4号

(各都道府県労働局長あて厚生労働省職業安定局長通知)

 

平成25年度から、公的年金の定額部分の支給開始年齢が65歳となり、併せて、報酬比例部分の支給開始年齢の段階的引上げが始まる状況の中で、65歳までの安定した雇用の確保が喫緊の課題となっている。また、少子高齢化の進行による将来の労働力人口の減少、団塊世代の65歳到達(平成24年)等を踏まえ、高い就業意欲を有する高年齢者が年齢にかかわりなく働ける仕組みの普及が必要である。

このため、平成19年度より、「70歳まで働ける企業」創出事業(以下「創出事業」という。)等を実施し、標記プロジェクトの推進を図ってきたところであり、平成22年度は、創出事業の内容を、希望者全員が65歳まで働ける制度や70歳まで働ける制度の導入の意義やノウハウ等を地域社会で共有し、関係者のコンセンサスを形成しつつ、地域の企業の取組を促進するための事業として実施しているところである。

平成23年度においては、平成22年度の事業趣旨を継承しつつ、一層効率的・効果的な事業とするため、創出事業の実施手法を変更し、別紙のとおり「「70歳まで働ける企業」推進プロジェクト実施要領」を改正して、引き続き標記プロジェクトを実施することとしたので、創出事業の効果的かつ円滑な実施等標記プロジェクトの推進について遺漏なきを期されたい。

なお、平成23年4月1日から適用することとし、平成23年3月31日をもって平成22年4月1日付け職発0401第31号「「70歳まで働ける企業」推進プロジェクトの実施について」は廃止する。

 

(別紙)

「70歳まで働ける企業」推進プロジェクト実施要領

Ⅰ 趣旨

厳しい雇用失業情勢の下、高年齢者の雇用の安定を図ることは、きわめて重要な課題である。

また、平成25年4月には、公的年金の定額部分の支給開始年齢が65歳に引き上げられるとともに、報酬比例部分の支給開始年齢の65歳までの段階的引上げが開始されることを踏まえると、高年齢者の生活の安定を図るためには、少なくとも65歳までの安定した雇用の確保が重要な課題となっている。

更に、少子高齢化の急速な進行により労働力人口の減少が見込まれる中、経済社会の活力を維持するためには、高年齢者が長年の職業人生で培った知識や経験等を活かし、社会の支え手として活躍し続けることができるようにしていくことが不可欠であり、いわゆる団塊の世代が平成24年には65歳に到達し始めることを踏まえると、意欲と能力がある限り年齢にかかわりなく働ける社会の実現に向けた取組を着実に進めていくことが必要である。

このため、高年齢者等職業安定対策基本方針(平成21年厚生労働省告示第252号。以下「基本方針」という。)においては、平成25年3月までに、すべての企業において確実に65歳までの高年齢者等の雇用の安定等に関する法律(昭和46年法律第68号。以下「高齢法という。)に基づく高年齢者雇用確保措置(以下「確保措置」という。)が講じられるようにするとともに、希望者全員が65歳まで働ける企業(65歳以上定年企業等)の割合を平成22年度末を目途に50%とし、平成25年3月までに更なる普及に努めることとされている。また、65歳までの雇用の確保を基盤としつつ、65歳を超えて「70歳まで働ける企業」の割合を平成22年度末を目途に20%とするなど年齢にかかわりなく働き続けることができる雇用の場の拡大に努めることとされている。

この点、公的年金の支給開始年齢(平成22年度から平成24年度まで64歳)までの確保措置は企業において着実に進展しているものの、希望者全員が65歳まで働ける企業の割合は平成22年6月1日現在で46.2%、「70歳まで働ける企業」の割合は同17.1%にとどまっている状況にある。

こうした状況を踏まえ、65歳までの安定した雇用の確保と「70歳まで働ける企業」の創出を確実に図るための取組を総合的に推進するため、「70歳まで働ける企業」推進プロジェクト(以下「プロジェクト」という。)を実施することとする。

Ⅱ プロジェクトの内容

1 希望者全員が65歳まで働ける制度等の定義

(1) プロジェクトにおける希望者全員が65歳まで働ける制度は、以下のとおりとする。

ア 65歳以上の定年の定め

イ 定年の定めなし

ウ 希望者全員を対象とした65歳以上までの継続雇用

(2) プロジェクトにおける70歳まで働ける制度は、以下のとおりとする。

ア 70歳以上の定年の定め

イ 定年の定めなし

ウ 70歳以上までの継続雇用制度(希望者全員又は基準に該当する者を対象とする制度)

エ 上記ア、イ及びウ以外で、企業の実情に応じて何らかの仕組みで70歳以上まで働くことができる制度

2 プロジェクトの構成

プロジェクトは、以下の(1)から(3)までの取組から構成されるものとし、相互の連携を図りつつ進めるものとする。

(1) 都道府県労働局、公共職業安定所と関係機関の連携による個別企業に対する働きかけ

都道府県労働局(以下「労働局」という。)及び公共職業安定所(以下「安定所」という。)においては、希望者全員が65歳まで働ける制度及び70歳まで働ける制度の導入に向け、具体的な目標を立て独立行政法人高齢・障害者雇用支援機構(以下「機構」という。)の地域障害者職業センター雇用支援課等(以下「機構地域センター」という。)との間で共有するとともに、制度導入を働きかける対象企業を選定し、次により計画的に取り組むことととする。また、働きかけに当たっては、労働局及び安定所と機構地域センターの高年齢者雇用アドバイザーや70歳雇用支援アドバイザー(以下「アドバイザー等」という。)、さらに、(2)の「70歳まで働ける企業」創出事業等と相互に連携を図りつつ、個別に企業に対し効果的な働きかけを行うこととする。

ア 希望者全員が65歳まで働ける制度の普及のための取組

(ア) 確保措置の指導における働きかけ

公的年金の支給開始年齢が、平成25年4月以降、定額部分が65歳に引き上げられ、報酬比例部分の引上げが始まる状況の中で、高齢者の生活の安定のため、確保措置の周知・指導においては、高齢法の趣旨、基本方針を踏まえ、希望者全員が65歳まで働ける制度の導入を積極的に働きかける。

(イ) 運用上希望者全員を継続雇用している企業等に対する働きかけ

65歳までの確保措置を基準該当者に対する継続雇用制度により実施しており実績として定年到達者全員を継続雇用している企業等、希望者全員が65歳まで働ける制度の導入に対する理解が相対的に高いと見込まれる企業に対して、安定所及びアドバイザー等の訪問による働きかけを行う。

イ 70歳まで働ける制度の普及のための取組

高年齢者雇用状況報告の⑫欄のハの(イ)、(ロ)又は(ハ)に該当する企業をはじめ、65歳以上70歳未満の確保措置を実施しており65歳以上の高齢者を雇用しているなど70歳までの雇用に理解のあると思われる企業等に対し、安定所からの要請文の発出等を行うとともに、70歳雇用支援アドバイザーと安定所による個別訪問を計画的に実施し、70歳まで働ける制度の実現に向けた相談・援助を行う。

(2) 「70歳まで働ける企業」創出事業の実施

希望者全員が65歳まで働ける制度や70歳まで働ける制度の一層の普及を図るためには、こうした制度の導入の意義やノウハウ等を地域社会で共有し、関係者のコンセンサスを形成することが必要である。

このため、3のとおり、地域において希望者全員が65歳まで働ける制度や70歳まで働ける制度を先進的に導入している企業の事例等を通して、制度導入のメリットや意義、制度導入に当たっての課題やその解決方法、具体的な取組等を分析し、その分析結果及び事例の内容等を取りまとめ、労使の代表等地域の関係者でその成果を共有しコンセンサスの形成を図るとともに、セミナー等において地域の企業等に対してその内容を広く紹介することにより、地域における取組機運を醸成し、一層の制度の導入を図る事業(「70歳まで働ける企業」創出事業)を実施することとする。

(3) 機構による普及・啓発

機構においては、「70歳まで働ける企業」の普及・促進のため以下の取組を行うこととしている。

ア プロジェクト会議等における取組

学識経験者、各方面の専門家等により構成されるプロジェクト会議において取りまとめられた「70歳まで働ける企業」の実現に向けた提言の普及・促進を図り、提言を受けて個別企業への対応策を具体化するための検討を行うとともに「70歳まで働ける企業」の先進事例等が国民に普及・浸透するよう取り組む。

イ 先進事例等の普及促進

「70歳まで働ける企業」の先進的な取組をしている全国の企業の事例を収集し、当該企業における人事処遇制度のポイントや高年齢者を中心とした人材活用方策等を盛り込んだ「70歳いきいき企業100選」の作成・配付等を行う。

ウ 70歳雇用支援アドバイザーの育成及び活用

「70歳まで働ける企業」の普及・促進に向けて、各企業独自の事業やニーズ等を踏まえつつ、賃金・退職金制度や人事・処遇制度の見直し、従業員の職務遂行能力の向上、職場環境や作業方法の改善等雇用環境の整備について個別提案を行う等、65歳までの確保措置の実施を中心とした高年齢者雇用アドバイザーの領域以外の領域にも対応可能な知見・ノウハウを有する70歳雇用支援アドバイザーを育成するとともに、労働局、公共職業安定所との連携を図りながら同アドバイザーの活用を促進する。

エ 調査研究

「70歳まで働ける企業」の普及・促進を進めていく上で阻害となる要因を除去するため、賃金・人事処遇制度等に関する調査研究及び事業主との共同研究等を実施し、併せてその研究成果をアドバイザー等の行う相談・援助業務に活用する。

オ 啓発広報活動の実施

事業主をはじめ社会全体の意識を醸成するため、下記の啓発広報活動を効果的かつ積極的に展開し、「70歳まで働ける企業」の実現に向けた基盤作りを図る。

また、「70歳まで働ける企業」の普及・促進に係るキャッチフレーズ、シンボルマークを積極的に使用し、「70歳まで働ける企業」の効果的な普及・促進を図る。

(ア) 高年齢者雇用開発コンテストの開催

(イ) 「70歳まで働ける企業」実現に向けたシンポジウムの開催

(ウ) 各種メディア等を活用した啓発広報活動

(エ) インターネットを活用した情報発信

(オ) 定期刊行誌の発行

カ 個別企業に対する相談・援助の実施

機構地域センターは、事業主等又は安定所からの要請に応じ、70歳雇用支援アドバイザーを派遣し、個別企業が抱える問題に応じた専門的・技術的な相談・援助を実施する。

3 「70歳まで働ける企業」創出事業の内容

労働局長は、希望者全員が65歳まで働ける制度や70歳まで働ける制度の導入の意義やノウハウ等を地域社会で共有するとともに、関係者のコンセンサスの形成を図り、地域における制度普及に向けた取組を推進するため、次の(1)から(5)までを内容とする「70歳まで働ける企業」創出事業(以下「創出事業」という。)を実施するものとする。

このうち(1)については、適切かつ効果的に事業運営を行うことができるよう、別に定める「「70歳まで働ける企業」創出事業に係る仕様書」(以下「仕様書」という。)に基づき、事業主団体、調査研究機関その他委託事業の内容が実施できる者に委託して実施するものとする。

(1) 委託事業の実施

以下のアからカまでを内容とする事業を委託により実施する。

ア 事業実施計画の策定

労働局は「70歳まで働ける企業」創出事業のスケジュール案」を事業受託者に示し、事業受託者はこれを踏まえた事業実施計画を策定する。

イ 先進企業等に対するヒアリングの実施

事業受託者は、先進企業等に対するヒアリング及び当該企業で働く高齢者に対するインタビューを実施し、その内容を取りまとめる。

(ア) ヒアリング企業の選定

事業受託者は、次のa及びbから各々製造業・非製造業各1社以上合計10社以上をヒアリング対象企業として選定する。ヒアリング対象企業は、可能な限り高年齢者雇用開発コンテスト受賞企業及び機構の「70歳いきいき企業100選」に選定されている企業以外から選定するものとする。

なお、先進企業等の選定に当たっては、労働局と事業受託者が事前に協議を行うこととし、労働局は当該先進企業等のヒアリング結果等が地域における普及啓発の資料として活かされるものであることに留意し、事業受託者に対して必要な指示及び助言を行うこと。この際、労働局は機構地域センターと情報交換を行い、本事業のヒアリング対象企業が平成23年度における2の(3)のオの(ア)の高年齢者雇用開発コンテストの応募勧奨企業及び2の(3)のイの「70歳いきいき企業100選」の事例収集候補企業と重複しないように調整すること。

また、労働局は、先進企業の選定に必要な最小限の範囲に限り、高年齢者雇用状況報告のデータ等を事業受託者に提供するものとする。

a 希望者全員が65歳まで働ける制度に係るヒアリング対象企業

・既に当該制度を導入している大企業

・当該制度を近年導入した企業

・当該制度を導入する予定の企業

b 70歳まで働ける制度に係るヒアリング対象企業

・既に当該制度を導入している企業(特に近年当該制度を導入した企業)

・当該制度を導入する予定の企業

(イ) 先進企業等に対するヒアリング及び高齢者に対するインタビュー

事業受託者は、地域の経済、雇用等に係る専門的な経験及び知識を有する者を先進企業等に派遣し、企業の代表者又は人事・労務の責任者及び当該企業で働く高齢者に対して、下記a~fの内容の把握することを中心としてヒアリング及びインタビューを実施する。

a 高齢者雇用に積極的に取り組んでいる企業の実態

定年制度、継続雇用制度、高齢従業員に係る賃金制度等の雇用管理制度等の内容及び運用状況、実際に就労している高齢従業員の姿等。

b 企業の高齢者雇用に対する姿勢

公的年金の支給開始年齢の65歳への引上げ、団塊世代の65歳到達、将来の労働力人口の不足等を踏まえて、高齢者を65歳まで、あるいは65歳を超えて雇用することについて、企業の経営戦略、人材戦略等の観点からどのように考えているか。また、制度の導入を決定するに至った経緯、契機、背景等。

c 制度導入のための課題となった事項と解決策

制度を導入するに当たっての阻害要因と、その解決策は何か。その他、制度の導入に当たって工夫した点は何か。

d 制度導入に至るまでの具体的な動き

制度導入に至るまで、当該企業でどのような体制・手順で制度導入に向けた検討・取組を行ったか。

e 制度導入のメリット、今後の課題等

制度の導入が企業にもたらしたメリット、従業員の反応、制度の導入によって明らかになった課題、今後の取組等。

f その他、高齢者の雇用に関して他の企業の参考となる取組等

ウ 地域の高齢者に対するアンケートの実施

高齢労働者の視点から、労働者が高齢期においても働く意欲を持ち続け、実際に働き続けられるようにするために必要な方策に係る着想を得ること等を目的として、事業受託者は、地域の60歳以上70歳未満の高齢者に対してアンケート調査を行い、回収した有効回答の中から下記の集計表の他分析に必要な集計表を作成し、その内容を分析する。

なお、調査対象者数は、有効回答数が50人以上となるように設定するとともに、分析の中心となる55歳時点で正社員として働いていた者の数が一定以上になる等、適切な分析を行うのに必要なサンプルが得られるよう、調査対象者の選定方法に工夫を行うものとする。

(ア) 回答者数(性、年齢階級別)

(イ) 55歳時の就業状況別内訳(性、年齢階級別)

(ウ) 現在の就業状況別内訳(性、年齢階級、55歳時の就業状態別)

(エ) 就業している者の就業理由別内訳(性、年齢階級、現在の就業形態別)

(オ) 就業していない者の就業希望の有無別内訳(性、年齢階級別)

(カ) 就業非希望者の不就業理由別内訳(性、年齢階級、55歳時の就業状態別)

(キ) 今後の就労希望年齢別内訳(性、年齢階級、現在の就業状態別)

(ク) 55歳時より継続して雇用されている者の経緯別内訳(性、年齢階級別)

(ケ) 継続雇用されている者の継続雇用を選択した理由別内訳(性、年齢階級別)

(コ) 継続雇用されている者の定年前の賃金に対する現在の賃金水準別内訳(性、年齢階級、継続雇用を選択した理由別)

(サ) 継続雇用されている者の現在の賃金に対する満足度別内訳(性、年齢階級、定年前の賃金に対する現在の賃金水準別)

(シ) 55歳時に雇用されていた会社を離職している者の離職経緯別内訳(性、年齢階級別)

(ス) 55歳時に雇用されていた会社を継続雇用を希望しない又は自己都合により離職した者の理由別内訳(性、年齢階級、離職の経緯別)

(セ) 高齢者雇用のために企業が取り組むべきと考える事項別内訳(性、年齢階級、現在の就業状態別)

エ 実施結果の取りまとめ

事業受託者は、上記イ(イ)及びウの結果に基づき、制度導入のメリットや意義、制度を導入するに当たっての課題やその解決方法、制度導入のために必要な具体的な取組等を分析し、その分析結果及び先進企業等の事例等からなる「先進事例集」を取りまとめる。

取りまとめに当たっては、労働局と事業受託者がその内容について事前に協議を行うこととし、労働局は当該「先進事例集」が地域における普及啓発の資料として活かされるものであることに留意し、事業受託者に対して必要な指示及び助言を行うこと。

オ その他の事業受託者の実施事項等

(ア) 高年齢者雇用推進委員会への報告

事業受託者は、労働局において設置・運営する高年齢者雇用推進委員会に出席し、事業の実施状況及び成果を報告する。

(イ) セミナー等における先進事例の紹介等

事業委託者は、労働局が開催する下記(3)のセミナー等において、取りまとめた分析結果及び先進企業等の事例を紹介し、制度導入のノウハウを提供する。

この際、事業受託者は、セミナー等で使用する説明資料を作成し、労働局に提出する。

カ 事業の実施状況・成果の報告

事業受託者は、事業終了時には、事業実施結果報告を労働局に提出する。この時、イのヒアリング及びインタビュー結果の詳細並びにウのアンケートの全ての集計表及び個票データを磁気媒体で提出する。

(2) 高年齢者雇用推進委員会における報告等

労働局が設置し運営する高年齢者雇用推進委員会において、事業受託者に上記(1)の委託事業により得た成果等を報告させ、労使の代表等地域の関係者での共有を図るとともに、その内容を踏まえて、地域における希望者全員が65歳まで働ける制度や70歳まで働ける制度の普及のための取組方針について議論を行い、関係者間でのコンセンサスの形成を図ること。

(3) セミナー等の実施

労働局は、65歳まで希望者全員の雇用が確保される制度及び70歳まで働ける制度の導入の意義や必要性、制度導入に当たっての課題と解決策、先進企業の事例提供など、地域の実情に応じた事業目的の実現に資するセミナー等を平成23年度中に原則として2回以上行うこと。

実施時期は、可能な限り機構の定める高年齢者雇用支援月間である10月中とすることが望ましいが、各地域の実情に応じて決定すること。

また、セミナー等には、合計で50社以上が参加するように、周知・参加勧奨に努めること。周知・参加勧奨に当たっては、地域の事業主団体や地方公共団体等に協力を仰ぐこと。

セミナー等においては、上記(1)の事業受託者に取りまとめた分析結果及び先進企業等の事例を紹介させる他、(1)の委託事業における先進企業等高齢者雇用に先進的に取り組む地域の事業主や高齢者雇用に係る専門家等による講演、機構地域センターによる助成金制度等の説明等を実施し、地域の企業に対し、希望者全員が65歳まで働ける制度や70歳まで働ける制度の導入をはじめとする高齢者雇用の推進のためのノウハウの提供等を行うこと。

なお、セミナー等参加者に対し、別添のアンケート調査票(ひな形)を参考にアンケート調査を実施し、セミナー等を参考にして制度導入の必要性等について理解が深まったと回答した企業の割合等を確認すること。なお、アンケート調査の方法は、セミナー等当日に実施する方法や後日郵送により実施する方法のいずれとしても差し支えない。

(4) 感謝状の授与

労働局長は、以下のいずれかに該当する企業等の事業主であって、表彰にふさわしいと認められる者がある場合は、当該事業主に対して感謝状を授与することにより、地域における高齢者雇用の機運の醸成を図るものとする。

ア 70歳まで働ける制度の導入等により多数の高齢者を雇用し、高齢者がいきいきと働ける職場を実現しており、他の企業にも好影響を与えていると考えられる企業等

イ 高齢者雇用に関して先進的な取組を実施している企業であって、労働局の主催するセミナー等で講師を務める等により、地域における高齢者雇用の推進に貢献している企業等

ウ 安定所の紹介により、多数の高齢者を採用している企業等

エ ア~ウの他、地域における高齢者雇用の促進に貢献していると認められる企業等

(5) その他本事業における実施事項等

ア 事業成果の積極的な活用

労働局及び安定所は、(1)の委託事業の成果物である「先進事例集」の内容等を事業所訪問、事業主向けの各種説明会等の機会を利用して事業主に積極的に提供するとともに、ホームページの活用等により積極的に周知する等、事業の成果物を積極的に活用し、地域における高齢者雇用の推進に努めること。

イ 関係機関との連携等

(ア) 機構地域センターとの連携

セミナー等においては、機構地域センターによる助成金制度等の説明の時間を設けるなどの連携を図ること。また、(1)の委託事業の成果物である「先進事例集」等を機構地域センターに提供し、積極的な活用を促すこと。その他、本事業の進め方等について定期的に意見交換・情報交換を行う等、機構地域センターとの密接な連携を図ること。

(イ) 機構による事業の成果の活用

2のとおり、機構においては「70歳まで働ける企業」の先進的な取組をしている全国の企業に関する事例収集、高年齢者雇用開発コンテストの実施、「70歳まで働ける企業」の普及・促進のための調査研究等を行うこととしているので、これらの成果の積極的な活用を図ること。

なお、機構で作成した「70歳まで働ける企業」の普及・促進に係るシンボルマーク、キャッチフレーズも、事業実施に当たって、適宜使用すること。

4 本省への報告等

労働局は、3の(1)の受託者と契約を締結したときは「「70歳まで働ける企業」創出事業委託契約書」の写しを、上記3(1)カの事業実施結果報告の提出を受けたときは、その写し並びにその添付資料及び成果物である「先進事例集」の電子データを、速やかに本省(職業安定局高齢・障害者雇用対策部高齢者雇用事業室)に提出すること。

また、平成24年4月10日までに次の事項を本省まで報告すること。

(1) 3の(3)のセミナー等に係る以下の数値

ア 各回ごとの出席者数及び出席企業数

イ 各回ごとのアンケート有効回答数

ウ 各回ごとのセミナー等により理解が深まったとする回答数

エ 各回ごとのセミナー等により理解が深まらなかったとする回答数

オ 各回ごとのセミナー等を参考として制度導入を検討しようと思うとする回答数

カ オのうち希望者全員が65歳まで働ける制度の導入を検討しようと思うとする回答数

キ オのうち70歳まで働ける制度の導入を検討しようと思うとする回答数

ク オのうち希望者全員が65歳まで働ける制度及び70歳まで働ける制度の導入を検討しようと思うとする回答数

ケ 各回ごとのセミナー等を参考として制度導入を検討しようと思わないとする回答数

(2) 3の(4)の感謝状授与件数

このほか、本省は、労働局に対し、本事業の実施状況等について必要がある場合は報告を求めることとし、これらの報告等を踏まえ、本事業が円滑かつ効果的に実施されるよう、必要に応じて指示を行うものとする。

Ⅲ その他

1 この要領は、平成23年4月1日から施行する。

2 この要領に定めるもののほか、事業に関し必要な事項は別途定める。