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地方就職等支援事業の実施について
平成20年4月1日職発第0401014号
(各都道府県労働局長あて厚生労働省職業安定局長通知)
標記については、平成19年4月2日付け職発第0402001号「地方就職等支援事業実施要領の改正について」により、実施しているところであるが、近年、都市生活者の地方生活への関心が高まっており、特に、団塊世代が退職期を迎えることに伴い、U・Iターンにより就業、起業及び地域の社会貢献を目指す高年齢者の増加が見込まれているところである。
また、地方公共団体においても、地方における消費需要の拡大や人材確保等を図るため、U・Iターン促進のための各種施策が講じられている。その一方で、地方の求人情報等仕事に関する情報が入手しにくいことがU・Iターンの促進を阻害する要因の一つとなっている。
このため、今般、地方就職希望者に対する支援を一層強化する観点から「地方就職等支援事業実施要領」を一部改正し、別紙のとおりとしたので、引き続き本事業の円滑な実施について特段の御配意をお願いする。
地方就職等支援事業実施要領
1.事業の目的
首都圏(東京都、埼玉県、千葉県及び神奈川県)、愛知県及び大阪府(以下「首都圏等」という。)への経済機能、人材等の集中が進展する一方で、近年の都市生活者の地方生活への関心の高まりとともに、地方圏においては技術、知識を有する人材の不足などが生じている。
また、団塊世代の高齢化に伴い、U・Iターンにより就業、起業及び地域の社会貢献を目指す高年齢者の増加が見込まれているところである。
こうした状況の中で、首都圏等在住者へきめ細かな広域職業紹介等を行い円滑な労働移動を促進していく事業を実施し、地域における雇用機会を開発し地域の活性化を図る。
2.事業の内容
本事業は、首都圏等在住者で、地方への就職を希望している者(以下「地方就職希望者」という。)に対して、地方就職支援コーナー(以下「コーナー」という。)を拠点として、地方における企業の人材需要状況や新たな企業立地、事業展開等による人材需要動向等の情報提供をはじめ、首都圏等のコーナー未設置公共職業安定所(以下「首都圏等所」という。)、首都圏等以外のコーナー未設置公共職業安定所(以下「地方所」という。)及び関係機関との連携の下にきめ細かな職業紹介等を行うものである。
また、地方において地方就職希望者を採用しようとする企業(地方に進出するに当たって地方就職希望者の採用を希望する企業を含む。以下「地方採用希望企業」という。)に対して、地方所において地方就職希望者の人材情報を提供し、地方への就職等のための適切な相談等を行う。
なお、人材情報の提供に当たっては「行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律」(平成15年法律第58号)に基づき適正に個人情報を取り扱うこととする。
3.支援対象者
首都圏等在住者で地方への就職を希望している者を対象とする。
4.実施機関
首都圏等の人材供給地としての重要性にかんがみ、以下の東京、愛知及び大阪の公共職業安定所等にコーナーを設置し、当該業務を実施するに際しては、「地方就職支援コーナー」と称することとする。
(1) 東京都
ア 品川公共職業安定所
イ 池袋公共職業安定所
ウ 立川公共職業安定所 ハローワークプラザ立川
(2) 愛知県
名古屋中公共職業安定所
(3) 大阪府
ア 梅田公共職業安定所
イ 大阪西公共職業安定所
5.事業の運営
(1) 首都圏等の業務
ア コーナーの業務
(ア) 情報の収集・整理・提供
地方就職希望者に係る求職情報並びに首都圏等以外の道府県内の地方採用希望企業に係る求人情報、企業立地等の産業動向に係る情報及び住宅、教育、医療等の生活関連情報を各道府県の労働局及び地方事務所等(以下「道府県労働局等」という。)を通じて収集し、整理するとともに、来所者に対し保有する情報を随時閲覧に供するほか、必要に応じ、入手済みの又は入手し得るその他の情報を提供すること。
(イ) 求職受理及び職業相談
来所者が上記(ア)の情報提供に基づいて地方就職についての職業相談を希望する場合は、求職申込書に必要事項の記入を求め、これを受理し、職業相談を行うこと。
また、職業相談に当たっては、以下のとおり重点支援対象者と潜在的支援対象者との見極めを行い、それぞれの対象者に応じた支援を行うこととする。
a 重点支援対象者(以下のいずれかに該当する者)
(a) 地方就職を希望する地域や時期等を明確に決めており、早期の地方就職を希望する者
(b) 地方就職による転職を希望する在職者で早期の転職の意思が明確な者
(c) その他コーナーにおいて重点支援対象者として支援することが相応しいと考えられる者であって、早期の就職を希望する者
b 潜在的支援対象者(以下のいずれかに該当する者)
(a) 地方就職を希望しているが、希望する地域や時期等を明確に決めておらず、早期の就職を希望していない者
(b) 地方就職による転職を希望する在職中の求職者のうち、早期の転職を希望しない者
(c) その他重点支援対象者以外の者であって情報提供を行い、地方就職に対する意識の明確化を図ることが相応しいと考えられる者
① 重点支援対象者に対する支援
重点支援対象者に対しては、キャリア・コンサルティングを行うなど、きめ細かな職業相談を実施するとともに、地方採用希望企業にアピールする観点から求職公開を勧奨すること。また、以下のとおり企業情報、求人情報の提供等の支援を積極的に行うこと。
なお、求職公開に当たって、「求職者情報シート」を活用する場合は、当該求職者の了承を取った上で、当該求職者の希望する地域を管轄する公共職業安定所に対して、当該求職者の求職番号を伝達し、「求職者情報シート」の展示等を依頼すること。
(i) 上記(ア)において収集された情報について、その内容を補完する必要があると認められるときは、下記(2)のオに基づき情報の提供を受けた道府県労働局等に照会し、即日又は後日にその回答を提供すること
(ii) 総合的雇用情報システム(以下「システム」という。)を活用して重点支援対象者が希望する地域の求人情報の検索を行い、提供すること
(iii) 求職者の希望する求人がない場合は、当該求職者の希望する地域を管轄する公共職業安定所に対して個別求人開拓を依頼すること
② 潜在的支援対象者に対する支援
潜在的支援対象者に対しては、収集した各種情報を閲覧に供するほか、必要に応じて提供方法に十分配慮した上で電子メール等を活用した情報提供を行い、地方就職に対する意識の明確化に努めることとする。
(ウ) 職業紹介
上記(イ)の職業相談の結果を踏まえ、当該求職者が希望する地方採用希望企業の所在地を管轄する公共職業安定所との連携の下に職業紹介を行うこと。
また、下記(2)のイに基づき地方所から職業紹介の求めがあった場合には、呼出紹介等により職業紹介を行うこと。
(エ) 地方就職支援団体との連携
地方での就職を支援する団体等が増加していることから、コーナーは、こうした地方就職支援団体と連携を図り、当該団体に来所した者で公共職業安定所での職業相談等を必要とする者に対して、公共職業安定所への誘導の依頼等を行うよう努めること。
(オ) 実施体制
以上の事業を実施するため、コーナーに職業相談員(地方就職支援)(別紙)を置く。
イ 首都圏等所の業務
首都圏等所に地方就職希望者が来所した場合は、一般職業紹介業務取扱要領に基づき、求職申込みの受理、職業紹介等を行うこととするが、必要に応じ、コーナーへ誘導することとする。
(2) 首都圏等以外の道府県労働局の業務
首都圏等以外の道府県労働局(以下「地方局」という。)においては、首都圏等の地方就職希望者を対象として上記(1)のアのコーナーの業務に対応し、以下の業務を行う。このうち、アからオに係る業務は、管轄下の地方所において行う。
ア 求人申込書の受理及び情報の収集・整理
地方採用希望企業からの求人申込書の受理に当たっては、必要に応じ企業のパンフレット等の情報を併せて収集及び整理すること。
イ 情報の提供
求人申込みを行った地方採用希望企業が、地方就職希望者の情報を求める場合は、システムを活用して、コーナー等に求職申込みをしている地方就職希望者のうち、就業希望地が当該企業の存在する道府県である者であって、かつ、求職公開を希望している者を検索し、当該求職者の情報を提供すること。
また、上記(1)のアの(イ)の①に基づき、コーナーから連絡を受けた求職者については、「求職情報シート」等を地方所内に展示し、これを求人者に閲覧させる措置をとるほか、地方採用希望企業に対して積極的に提供すること。
なお、当該企業が求職者の職業紹介を求めた場合は、コーナー等当該求職者が求職申込みを行った公共職業安定所に対して連絡すること。
ウ 地方就職希望者に対する職業相談等
地方所に地方就職希望者が来所した場合は、一般職業紹介業務取扱要領に基づき、求職申込みの受理、職業紹介等を行うこととするが、首都圏等在住者で帰省等により一時的に地方所に来所した場合等については、必要に応じ、コーナーの利用を勧奨することとする。
エ NPO法人との連携
地方での就職を希望する求職者の中には、団塊世代で退職期を迎える者も含まれており、地域の社会貢献を目指す高年齢者が増加することが見込まれていることから、地方所は、地域のNPO法人との連携を図り、求人情報等を把握し、必要に応じて求職者への情報の提供を行うように努めることとする。
オ コーナー設置労働局への情報提供
上記アにより収集した情報を首都圏等の労働局を通じてコーナーに提供すること(既に提供した情報に変更があった場合において、当該変更された情報を提供することを含む。)。
なお、上記(1)のアの(イ)の①に基づき、コーナーから企業の詳細な情報等について照会を受けた場合は、必要な情報を収集し、速やかにコーナーへ送付すること。
カ 地方合同面接会の開催
地方就職希望者に対して地方企業との面接の機会等を提供するため、地域の実情に応じ、地方局が主体となって地方自治体との連携を図り、合同面接会を実施し、職業相談、生活関連情報の提供等を行い、地方就職を促進する。
(ア) 参加募集・周知等
地方局は、企業の求人状況を勘案し、ハガキ等により企業に開催を周知し参加を呼びかけ、参加企業を決定する。
また、地方局は管轄する地方所等において把握するUターン等希望者に対し、ハガキ等による合同面接会開催通知を行い、積極的な参加を呼びかける。
(イ) 実施方法
合同面接会においては、原則として、地方採用希望企業の求人を公共職業安定所に提出した事業所の人事担当者とUターン等希望者が一堂に会して面接を行うものとするが、具体的内容については、地域の実情に応じ、地方局が主体となって地方自治体と連携を図り企画するものとし、時期・場所についても内容に即したものとして差し支えない。また、複数の労働局と地方自治体が連携を図り実施しても差し支えないものとする。
(3) 道府県内の既存の事業との連携
ア 道府県労働局は、道府県の地方事務所等における類似の事業の実施について、コーナーにその情報を集約する方法や、併存させる方法等、それぞれの道府県の実情に即した体制とするよう工夫し、各コーナーへ情報を提供すること。
イ 道府県労働局及び公共職業安定所との情報交換や報告・連絡等の方法及び市区町村の行うUターン等事業に対する連携や指導の方法については、道府県労働局において実情に即して定めること。
6.その他
求人・求職情報の取扱いに関すること等本事業の業務運営に当たっては、本要領に定めるほかは、一般職業紹介業務取扱要領によるものとし、また、業務運営細目については、別途指示するところによる。