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通達:精神障害者の常用雇用への移行促進に向けた支援の実施について

 

精神障害者の常用雇用への移行促進に向けた支援の実施について

平成20年3月31日職高発第0331001号

(各都道府県労働局長あて厚生労働省職業安定局長通知)

 

精神障害者については、障害者雇用促進法の改正により実雇用率に算定可能となったところであるが、改正法施行の状況をみると、常用雇用が大きく促進されているとはいえない状況である。

一方、公共職業安定所(以下「安定所」という。)においては、きめ細かな支援を要する精神障害者の求職者が増加しており、これらの求職者に対して精神障害の特性を十分理解した専門的な就職・職場定着支援を行い、常用雇用への移行に向けた支援を実施する必要がある。

このため、安定所に精神障害の専門的知識や支援経験を有する精神障害者就職サポーターを配置し、精神障害者の求職者に対して専門的なカウンセリング等の支援を実施するとともに、一定の期間をかけて段階的に就業時間を延長しながら精神障害者の特性や職場適応を見極めることのできる精神障害者ステップアップ雇用奨励金を創設することとし、これらの精神障害者の特性に応じた支援策を活用した「精神障害者の常用雇用への移行促進に向けた支援事業」を平成20年4月1日より実施することとした。

各都道府県労働局においては、「精神障害者の常用雇用への移行促進に向けた支援事業実施要領」(別添)に基づき、関係機関と十分な連携を図り、それぞれ各地域の実情に応じた創意工夫も積極的に取り入れることによって事業の的確かつ多様な展開が図られるよう、特段の御配意を願う。

 

(別添)

精神障害者の常用雇用への移行促進に向けた支援事業実施要領

1.趣旨

精神障害者については、障害者雇用促進法の改正により実雇用率に算定可能となったところであるが、平成19年雇用状況報告によれば、56人以上の企業で週20時間以上就業している精神障害者は約4,200名にとどまっており、改正法施行後、常用雇用が大きく促進されている状況とは言えない。

一方、公共職業安定所(以下「安定所」という。)においては、きめ細かな支援を要する精神障害者の求職者が増加しており、これらの求職者に対して精神障害の特性を十分理解した専門的な就職・職場定着支援を行い、常用雇用への移行に向けた支援を実施する必要がある。

また、精神障害者は、就職が可能であっても当初から週20時間以上勤務するのは難しい場合が多いこと、常用雇用として雇い入れることが可能であると判断できるまでには一定の期間を要すること等から、事業主においても、精神障害者に対する理解が進まず、常用雇用に踏み切れないものと考えられる。

このため、安定所に精神障害の専門的知識や支援経験を有する精神障害者就職サポーターを配置し、精神障害者の求職者に対して専門的なカウンセリング等の支援を実施するとともに、一定の期間をかけて段階的に就業時間を延長しながら精神障害者の特性や職場適応を見極めることのできるよう精神障害者ステップアップ雇用奨励金を活用すること等により、精神障害者の常用雇用への移行促進に向けた支援を実施する。

2.事業の内容

本事業は次の事項からなること。

(1) 精神障害者の特性に配慮した的確な就職支援の実施

(2) 精神障害者ステップアップ雇用奨励金を活用した常用雇用への移行促進

(3) 精神障害者の雇用に対する理解の促進

3.精神障害者の特性に配慮した的確な就職支援の実施

(1) 専門的なカウンセリングの実施

主治医の意見書等により症状が安定し就労が可能な状態であると判断されている求職者であっても、あっせんを行う段階でない場合や直ちに20時間以上の就業が難しい等の課題を抱えていることが多く、また、障害への認知や受容が十分でない者、課題があるにもかかわらず早急なあっせんにこだわる者も多い。

さらに、就職活動に伴うストレスや疲労等から精神面、身体面に様々な症状が生じることも多いことから、就職活動中の本人の状態の変化等には十分注意を払いながら支援を行う必要がある。

このため、職業相談の過程において、本人の障害への認知と受容を促進しながら、現在の状態(症状)、仕事・職場への適応可能性等常用雇用を阻害する様々な課題を把握し、適切な解決策を講じることが重要であり、精神障害者の特性を熟知した精神保健の専門家によるカウンセリング等の支援を実施する。

(2) 精神障害者就職サポーターによる支援

上記(1)によるカウンセリング等を実施するために、安定所に精神障害者就職サポーター(以下「サポーター」という。)を配置し、次の業務を行う。

ア 支援対象者の見極め

精神障害者の求職者のうち、次のような状態にある者の中から、サポーターによる支援対象者として把握すること。

なお、精神疾患の症状が顕著にみられる場合は、通院や服薬状況を確認するとともに、本人の障害の受容状況を勘案しながら、精神保健福祉センター、保健所等の医療機関等の利用を促すこと。

(ア) 障害への受容や認知が十分でない者

(イ) 緊張感や不安感が非常に強い者

(ウ) 相談中にしばしば混乱してコミュニケーションが困難である者

(エ) 精神障害等により生活面での課題がある者

(オ) 安定所以外の適切な支援機関の援助が得られない者

イ 支援内容

サポーターは、予約制による対応を原則とし、上記アで把握した支援対象者に対して次の支援を行うこととする。

なお、支援対象者の課題が改善した場合は、サポーターによる支援を終了し、求人事業所の情報提供や面接訓練等の就職に向けた次の段階の支援に移行すること。また、サポーターによる支援をしても効果が全く見込まれない場合についても支援を終了すること。

(ア) カウンセリング

予め職業相談の時間を特定して相談を行うこととし、障害への受容や自己理解を促すとともに、精神障害者特有の緊張感や不安感、混乱等の改善・軽減に向けたカウンセリングを行うこと。

(イ) グループワーク

就職活動に伴う課題の解決やコミュニケーションスキルの向上等を目指した当事者同士によるグループワークは効果的であることから、支援対象者が参加できる機会を設け実施すること。また、必要に応じてサポーターの支援対象者以外の精神障害者の求職者や在職中の精神障害者の参加も可能とすること。

(ウ) 職場適応への支援

支援対象者は、新たな職場環境や人間関係で疲労やストレスを強く感じる者が多いことから、職場適応へ向けた支援を行うこと。また、支援対象者の希望や必要性に応じて、応募先や就職先の事業所に対し、本人の障害特性や職場での配慮事項を説明するための同行紹介・職場訪問等を実施すること。

(エ) 適切な支援機関の開拓・誘導

在宅者や医療機関での受診以外の支援を得ていない者に対して、適切な支援機関を選定・開拓し、情報提供するとともに、希望に応じて誘導すること。特に、長期入院等により体力が落ちている者や生活リズムが形成されていない者が、自己理解や障害受容がなされないまま職業紹介や就職にこだわる場合は、サポーターによるカウンセリングを通じて自立・生活訓練機関等への誘導を図ること。

ウ 実施体制

(ア) 精神障害者就職サポーターの配置

サポーターについては、別紙1「精神障害者就職サポーター委嘱要領」により安定所に配置するものとし、配置場所及び稼働日数については、精神障害者の求職者の多い安定所におけるニーズに応じて柔軟に設定することを可能とすること。

(イ) 精神障害者就職サポーターの要件

サポーターの業務は、精神障害者への専門的なカウンセリング等を行うことから、相応の専門性及び経験を有する者を委嘱すること。具体的には、次のいずれかの要件を具備する者を委嘱すること。

a 精神保健福祉士又は臨床心理士の資格保有者で精神障害者の相談に係る実務経験を有する者

b 社会福祉士、作業療法士、看護師、保健師又は産業カウンセラーの資格保有者で、精神障害者の相談に係る実務経験を1年以上有する者

c 精神科病院、精神保健福祉センター、保健所、精神障害者の生活支援施設等で精神障害者の相談に係る実務経験を2年以上有する者等

(ウ) その他

安定所の職員等は、サポーターとの密接な連携を図りながら、サポーターによる支援に協力すること。また、支援対象者の精神症状に配慮して、落ち着いた環境でカウンセリングが受けられるよう配慮すること。

さらに、相談時における支援対象者のプライバシーの保護に十分配慮するとともに、個人情報の管理を徹底すること。

(3) 職業準備支援、就労移行支援、社会適応訓練等の積極的な活用

精神障害者は、就業経験のない者や離転職を繰り返している者が多いことから、就職に向けて職業準備性や社会適応能力を十分高めておくことが重要である。

本人の状況を十分に把握し必要に応じて、地域障害者職業センターの職業評価、職業準備支援等への誘導を行うのはもとより、生活リズムが形成されていない等の生活面での課題が多く就職の段階ではないと判断する場合は、障害者就業・生活支援センターや市町村の精神保健福祉担当課と連携し、就労移行支援や相談支援を行う就労移行支援事業者、相談支援事業者及び地域活動支援センター(Ⅰ型)等に関する情報提供や当該機関への誘導を行うこと。また、社会適応訓練事業が実施されている地域においては、保健所と十分連携し、受入れ情報等の提供や利用勧奨を行うこと。

さらに、新たな職業技能の習得が必要と考えられる者については、公共職業能力開発施設での受入れや障害者の態様に応じた多様な委託訓練(以下「障害者委託訓練」という。)の実施状況を確認し、積極的に情報提供や受講あっせんを行うこと。特に、企業現場を活用した障害者委託訓練については、弾力的な訓練時間の設定が可能であり、事業主、精神障害者双方にとって利用しやすい制度であるので積極的に活用すること。

(4) 職場定着に向けた支援

ア 職業紹介等に当たっての留意点

精神障害者の職場定着のためには、職業紹介の際に精神保健福祉手帳の所持にかかわらず、事業主に対して精神障害をオープンにすることを基本とすること。いわゆるクローズでの職業紹介を希望する精神障害者に対しては、職場定着のために事業主に対して職場における配慮事項等を説明することや職場への適応支援のために職場訪問等を行うこと等が必要であること、さらに事業主自らが精神障害の特性を理解し常用雇用に向けた取り組みを推進する必要があること等、精神障害をオープンにした就職の必要性を理解させるよう努めること。

さらに、これまで精神障害者を雇用したことがない事業所に対する職業紹介に当たっては、障害者就業・生活支援センターや相談支援事業者等の関係機関による支援が期待できる精神障害者をできるだけ紹介すること。

また、職業紹介において、求職者が精神障害者というだけで面接を断る求人事業所もあるため、下記5(1)により、事業主に対して日頃から精神障害者の雇用促進への理解を図ること。

イ 採用後の支援

精神障害者の離職理由には、他の障害と比べて体調悪化を理由とするものが多く、仕事による疲労やストレスの蓄積等が悪化の原因になると思われる。

このため、精神障害者の職場定着に向けて、地域障害者職業センター、障害者就業・生活支援センター、ジョブコーチ支援実施機関、本人の主治医等医療機関等と連携しながら、仕事の負担や職場への適応状況、通院や休憩時間の確保、服薬管理等が十分配慮されているかどうかに留意し本人や事業所に対して支援を行うこと。

また、サポーターは必要に応じて職員等と連携し、事業所訪問による相談支援を行うこと。特に、初めて精神障害者を雇用する事業主に対しては、精神障害に関する知識や主治医・医療機関との連携方法、相談機関の情報提供等を行うなどきめ細かに対応すること。

(5) 医療、保健福祉等の関係機関と連携した就職支援の実施

ア 関係機関との連携体制の構築

精神障害者の就職や職場定着のためには、医療面や生活面も含めて、本人や事業所に対して継続的な支援が必要であり、関係機関との役割分担の下、安定所が中核となって緊密な連携体制を築いておくことが必要である。

このため、安定所は、地域の医療、保健福祉等の関係機関との間で、個々の精神障害者について支援に必要な情報を適切に共有できるよう、日頃から緊密に意思疎通を図るとともに、障害者就業・生活支援センターと連携して、本人や事業所に対して必要な支援が途切れないよう、支援全体をコーディネートすること。

イ チーム等による個別支援の実施

職業相談の場面において当該求職者の状態像を正確に理解するためには、相談窓口における聴取だけでは十分に把握できないことが多いため、本人がこれまで関わってきた機関、現在支援を受けている機関等を把握し、安定所から積極的に連携を働きかけること。

さらに、安定所のチーム支援は、精神障害者の就職・職場定着にとって効果的であるので、サポーターの支援対象者についても積極的にチーム支援の対象とすること。チームの構成に当たっては、必要に応じて地域障害者職業センター、障害者就業・生活支援センターに加え、主治医や精神保健福祉センター、保健所等の医療機関の協力を要請するとともに、サポーターも参画すること。また、チーム支援において下記4による精神障害者ステップアップ雇用についても利用を図ること。

4.精神障害者ステップアップ雇用奨励金を活用した常用雇用への移行促進

(1) 精神障害者ステップアップ雇用奨励金及びグループ雇用奨励加算金の趣旨

実雇用率に算定できる週20時間以上の就業で直ちに働くことが困難な精神障害者の求職者に対しては、より短時間の就業から始め一定の期間をかけ、職場への適応状況等に合わせて就業時間を延長していくことが必要である。一方、事業主にとって、精神障害者は採用後に仕事等の影響から不安定な状態が続くことも多いため、精神障害者の雇入れについて不安が大きい。

こうしたことから、精神障害者及び事業主の相互理解を促進するため、必ずしも当該事業所での常用雇用への移行は前提とはしないが、20時間未満の就業から始め、一定の期間をかけながら週20時間以上の就業を目指す試行雇用である精神障害者ステップアップ雇用(以下「ステップアップ雇用」という。)を行う事業主に対し、精神障害者ステップアップ雇用奨励金(以下「奨励金」という。)を最長1年間支給する。

さらに、精神障害者が数人のグループでお互いに支え合いながら働くことは職場適応等を促進するために効果的であることから、ステップアップ雇用に係る精神障害者を同一の事業所においてグループで雇用する場合には、奨励金と併せてグループ雇用奨励加算金(以下「グループ加算金」という。)を支給する。

(2) 精神障害者ステップアップ雇用計画数の調整等

都道府県労働局(以下「労働局」という。)は、別途通知するステップアップ雇用計画数に基づき、管轄する安定所における精神障害者の求職者の状況を踏まえて、安定所間におけるステップアップ雇用実施計画数を調整するものとする。

(3) 精神障害者ステップアップ雇用の内容

ア 対象者

ステップアップ雇用の対象となる労働者(以下「対象者」という。)は、次の(ア)及び(イ)のいずれにも該当する者のうち、その作業遂行能力、就業経験、労働市場の状況等から判断して常用雇用に移行するためにステップアップ雇用が必要であると、管轄する安定所の長が認める者とする。

(ア) 安定所に求職申込をしていること。

(イ) 障害者雇用促進法第2条第6号に規定する精神障害者

イ 精神障害者ステップアップ雇用の対象事業主

ステップアップ雇用を実施することができる事業主は、上記4(1)のステップアップ雇用の趣旨を十分理解し、別紙2「精神障害者ステップアップ雇用奨励金及びグループ雇用奨励加算金の支給要領」の2「支給対象事業主」に該当とすることが見込まれる事業主とする。

ウ 期間及び労働条件

(ア) 精神障害者ステップアップ雇用期間

ステップアップ雇用期間は、対象者を雇い入れた日から起算して、原則として6か月以上12か月以内とする。

なお、3か月以下の場合は、ステップアップ雇用期間とみなさないものであるが、3か月を超えて6か月未満の場合は、実施事業主と対象者が書面で合意していればステップアップ雇用期間として差し支えないものとする。

(イ) 精神障害者ステップアップ雇用期間中の労働時間

1週間の所定労働時間は、原則として10時間以上20時間未満とすること。ただし、ステップアップ雇用を開始した日から起算して3か月を経過した後、対象者の職場適応状況や体調等に応じて20時間以上としてもよいこととする。

(ウ) 労働条件

ステップアップ雇用期間中の労働条件に関する事項については、労働基準法等の労働関係法令に基づき、実施事業主と対象者との間で有期の雇用契約を結ぶものとし、この間、当該対象者に対しては、当然実施事業主から賃金が支払われることとする。

また、雇用契約の締結に際しては、労働基準法等に基づき、労働時間その他労働条件を書面で明示することとなっていること。

(4) 精神障害者ステップアップ雇用奨励金及びグループ雇用奨励加算金の支給

都道府県労働局(以下「労働局」という。)及び安定所は、別紙2「精神障害者ステップアップ雇用奨励金及びグループ雇用奨励加算金支給要領」(以下「支給要領」という。)に定めるところにより、ステップアップ雇用実施事業主に対する奨励金の支給に関する業務を行うものとする。

(5) 精神障害者ステップアップ雇用開始までの支援

ア 精神障害者ステップアップ雇用の対象となる求職者の把握及び職業相談

(ア) 求職者に対する周知及び対象者の把握

安定所は、精神障害者の求職者の状況を十分把握し、上記(3)アによる対象者の要件を踏まえ、対象となる求職者に対しステップアップ雇用についての周知等を行い、積極的に利用を呼びかけるものとする。

また、対象者となる求職者について求職票を区分する等整理しておくこと。なお、安定所における対象者の確保は、労働局から示されるステップアップ雇用計画数を踏まえて行うものとする。

(イ) 職業相談

安定所は、対象者に対してステップアップ雇用に係る職業相談を行うに当たっては、次のaからcについて説明するものとする。

a ステップアップ雇用は、精神障害者の特性や職場適応の可能性を見極め、求職者と求人者の相互理解を深めることで、精神障害者の常用雇用の促進を図るものであること。

ただし、実施事業主に精神障害に対する知識や雇用経験を持たせ、その受入れ等の不安感等を除去し、精神障害者の特性を理解し雇用に取り組むきっかけを作る観点からも行われるものであり、必ずしも当該事業所において常用雇用への移行を前提とするものではないこと。

b ステップアップ雇用期間について、一定の要件を満たせば実施事業主に対し奨励金が支給されること。

c 上記4(3)ウの内容。

イ 精神障害者ステップアップ雇用受入求人の開拓及び求人受理

(ア) 事業主に対する周知及び求人開拓

事業主に対して、求人申込み等の来所時、事業主指導及び各種セミナー等を利用して、ステップアップ雇用及びグループ雇用に関する周知・勧奨を行うこと。

特に、ステップアップ雇用は、精神障害者の特性を理解し雇入れに係る不安感を解消すること等を趣旨・目的とすることから、これまで精神障害者を雇用したことのない事業主に対して積極的に勧奨するなど、効果的に周知を図り、求人開拓を行うこと。

また、対象者に対する職業相談等により把握した本人の希望や状況に応じて、ステップアップ雇用のために求人開拓(個別求人開拓を含む。)を行うこと。

(イ) 精神障害者ステップアップ雇用に係る求人の取扱い

ステップアップ雇用に係る求人については、精神障害者のステップアップ雇用のみに限定した受入れを予定する「精神障害者ステップアップ雇用求人」とし、他の求人とは併用しないこと。また、求人票の「備考」欄に「ステップアップ雇用」と記載すること。

なお、「精神障害者ステップアップ雇用求人」は、求職者のうち、ステップアップ雇用を利用して常用雇用の可能性が高まると判断する精神障害者に対して紹介を行うことから、一般職業紹介業務取扱要領(平成16年11月1日付け職発第1101001号)第3部第1の6の(4)のウ「求人非公開」の(イ)(160頁)「安定所における求人条件等に関する適切な助言や補足的情報提供がないままに、直接求職活動が行われた場合に、求職者が誤解をすること等によって、トラブルとなると判断される求人」に該当することから、非公開とすること。

(ウ) 精神障害者ステップアップ雇用及び精神障害者ステップアップ雇用奨励金についての説明

上記(ア)及び(イ)により開拓した求人に係る事業主に対して、安定所は、ステップアップ雇用及び奨励金について十分説明することとし、その際、上記4(3)イ及びウの内容の他、次のaからgの内容について必ず説明を行い、また、必要に応じてhからjの内容について説明を行った上で、ステップアップ雇用の実施を勧奨すること。

a ステップアップ雇用は、雇用期間終了後に常用雇用への移行を図ることが望ましいものであるが、実施事業主に精神障害に対する知識や雇用経験を持たせ、その受入れの不安感等を除去し、精神障害者の雇用に取り組むきっかけを作る観点からも行われるものであり、必ずしも常用雇用への移行を前提とするものではないこと。

b 実施事業主と対象者との合意により12か月を超えてステップアップ雇用を実施することは可能であるが、その場合は奨励金の支給は12か月を限度とすること。

c 奨励金の支給時期は、ステップアップ雇用を開始してから6か月経過後及び雇用期間終了後の2回とするが、事業主の希望に応じて、ステップアップ雇用期間終了後に一括して支給することができること。

d ステップアップ雇用を実施しても、奨励金の支給申請がされた時点において、支給要件を満たさないことが判明した場合は、奨励金の支給はされないこと。

e ステップアップ雇用終了後に常用雇用に移行した場合、特定求職者雇用開発助成金(特定就職困難者雇用開発助成金)の要件に合致していれば、支給の対象となる可能性があること。

f ステップアップ雇用を終了した対象者は、同一の事業所においてトライアル雇用の対象にはしないこと。

g 安定所がステップアップ雇用に係る職業紹介を行う以前に、対象者本人との間に雇用予約がある場合は、そもそも職業紹介が成り立たないため、当然、対象者の職業紹介が行えない(いわゆる「形式紹介」は認められない。)こと。

h 派遣求人、請負求人については、次の理由により、ステップアップ雇用対象求人として取扱うことはできないこと。

ステップアップ雇用は、精神障害者を一定期間試行的に雇用することにより精神障害者の特性や職場適応を見極めること等を通じて雇用促進を図ることを目的としている。このため、労働者派遣の場合は、求人事業主の事業所で就業せず、同事業主の指揮命令の下に置かれないため、ステップアップ雇用の趣旨にそぐわないこと、また、請負求人の場合は、請負契約の打切り等が発生しやすい状況等を踏まえると、職場適応のための安定的な就業の場が確保されたとは言い難いことからステップアップ雇用の趣旨にそぐわないという理由によるものであること。

i 在宅勤務者(雇用関係の下、自宅等において勤務する労働者をいう。以下同じ。)については、労働者性や雇用関係について次の①から④までの要件を満たす在宅勤務に係る求人については、ステップアップ雇用の対象とすることができること。

① 指揮監督系統の明確性

② 拘束時間等の明確性

③ 勤務管理の明確性

④ 報酬の労働対償性の明確性

また、在宅勤務者に対するステップアップ雇用実施期間中には、実施事業主が適切な雇用管理(研修、訓練、監督、指導等)が行われているかを確認するため、ステップアップ雇用労働者本人の自宅等就業場所及び当該実施事業主の事業所を、安定所担当者が必ず訪問することになること。

j 精神障害者が数人のグループでお互いに支え合いながら働くことは職場への適応を促進する上で効果的であることから、同一事業所において、一定の要件のもとステップアップ雇用に係る対象者をグループで雇用する場合には、奨励金の加算があること。

(エ) 求人の受理

安定所は、対象者のステップアップ雇用の受入れを希望する事業主に対し、上記(ウ)について十分理解を求めた上で、当該事業主からステップアップ雇用に係る求人を受理すること。

ウ 職業紹介

(ア) ステップアップ雇用に係る職業紹介は、ステップアップ雇用の対象者となる要件及びステップアップ雇用に係る求人内容を十分照合して、当該対象者となる求職者がステップアップ雇用により常用雇用への可能性が高まるか等を判断し紹介することが重要であること。

(イ) ステップアップ雇用に係る求人に対しては、求人数を超える求職者は紹介しないこと及び対象者についてのあっせんが不調に終わった場合には引き続き紹介することを、当該事業主に説明を行った上で紹介すること。

(ウ) 職業紹介に当たり事業主へ連絡をとる際には、ステップアップ雇用に係る応募であることを明確に告げること。また、紹介状、採否通知書の余白に「ステップアップ雇用」と明記すること。

(エ) 職業紹介により、対象者が事業主に雇用される日の前日から起算して過去3年間に離職した事業所に係る事業主と同一の事業主の事業所へ雇用される場合には、ステップアップ雇用の要件を満たさず、奨励金の支給対象とはならない旨(支給要領2.(6)参照)を事業主に十分説明した上で、職業紹介を行うこと。

(オ) ステップアップ雇用求人を受理した安定所(以下「管轄安定所」という。)においてあっせんが不調に終わり、ステップアップ雇用の対象者として紹介できる適切な求職者がいない場合には、近隣の安定所に当該求人を連絡し、連絡先の安定所における求職者のうちから対象者となる者の紹介を行うこと(以下、紹介を行った安定所は「紹介安定所」という。)。その際には、管轄安定所は、上記(イ)に留意し、紹介安定所に採否についての確認を行うなど、当該求人の職業紹介に係る調整を行うこと。

また、ステップアップ雇用求人が未充足である場合のフォローアップについては、管轄安定所が責任を持って行うものとすること。

エ 精神障害者ステップアップ雇用受入事業主についての手続

(ア) 精神障害者ステップアップ雇用奨励金等の支給申請方法及び精神障害者ステップアップ雇用結果報告書兼奨励金支給申請書等様式の交付等

管轄安定所はステップアップ雇用による採用が決まった事業主に対して、奨励金の支給申請方法について次の事項を説明すること。

a 奨励金の支給は、ステップアップ雇用を開始してから6か月経過後及びステップアップ雇用期間終了後の2回を原則とする。ただし、事業主の希望に応じて、雇用期間終了後に一括して支給することができるので支給時期の希望を把握すること。なお、6か月経過後の支給申請がない場合には、終了後の一括支給となること。

b 奨励金の支給を受けようとする事業主は、ステップアップ雇用を開始した日から起算して6か月を経過した日の翌日から起算して1か月以内及びステップアップ雇用を終了した日の翌日から起算して1か月以内に、管轄労働局長に対し、報告書兼支給申請書にその他の関係書類を添付して行うものであること、ただし当該提出については、管轄安定所長を経由して行うことができる等、奨励金の支給申請について必要な説明を行い、報告書兼支給申請書を交付するものとする。

c 報告書兼支給申請書については当該対象者の確認を得て、本人が記名・押印又は署名を行ったものを提出する必要があること。

d グループ加算金の対象になる事業主に対しては、グループ加算金の支給は、グループ雇用を開始してから6か月経過後及び12か月経過後の2回を原則とする。また、グループ雇用が終了した場合においてもグループ加算金を支給できるものとする。支給申請の時期等は上記a及びbと同様であること。また、グループのメンバーは奨励金の支給対象者となることがグループ加算金支給の要件になるため、全てのメンバーに係る奨励金が支給申請中であるか、又は既に支給を受けていることが必要であること。

(イ) 代理人の取扱い

事業主は、奨励金に係る事務について、支給要領6.(2)により代理人を専任して処理させることができること。

(6) 精神障害者ステップアップ雇用期間中の措置

ア 実施事業主に対する雇用契約の締結の指導

実施事業主に対しては、ステップアップ雇用は有期の雇用契約を締結した上で実施するものであり、雇用契約に基づく労働条件を遵守するよう指導すること。

イ 精神障害者ステップアップ雇用の実施状況の把握

労働局及び安定所は、必要に応じ、対象者の雇入れや職場適応の状況を積極的に把握すること。また、在宅勤務者に係るステップアップ雇用の場合においては、当該実施事業主において適切な雇用管理が行われているかどうかを確認するため及び対象者本人に対して相談等の援助を行うため(状況を確認しフォローアップを行うため)、必要に応じて1か月に1度程度は、当該対象者が在宅勤務する場所及び当該実施事業主の事業所を訪問すること。

なお、管轄安定所と紹介安定所は、適宜連携して確認を行うこと。

(7) 精神障害者ステップアップ雇用終了に当たっての取扱い

ア 精神障害者ステップアップ雇用終了前の助言・指導

ステップアップ雇用の終了前に、管轄安定所は、必要に応じて紹介安定所と連携し、対象者の常用雇用移行予定の有無(移行しない予定の場合にはその理由)を、実施事業主から確認した上で、次の(ア)及び(イ)について実施事業主に説明・指導を行うものとする。

(ア) 実施事業主は、ステップアップ雇用の終了した日の翌日から起算して1か月以内に関係書類を添付して報告書兼支給申請書を管轄労働局長に提出する必要があること。なお、当該提出については、管轄安定所長を経由して行うことができるものであること。

(イ) 対象者が常用雇用へ移行しなかった場合であっても、奨励金の支給対象となるが、ステップアップ雇用中に対象者を事業主の都合により離職させた場合(天災その他やむを得ない理由のため事業の継続が不可能となったこと又は労働者の責めに帰すべき理由により解雇した事業主を除く。)には、奨励金の支給対象とはならないこと。さらに、当該事業主に対して既に支給が行われた奨励金についても支給を取り消すこととなること。

イ 提出された報告書兼支給申請書の取扱い

(ア) 記載内容の確認

労働局又は管轄安定所は、事業所から報告書兼支給申請書が提出された場合には、報告部分に記入漏れがないか等を確認すること。また、当該事業所に対し、報告した内容について、後ほど労働局又は管轄安定所から連絡がある場合があることを伝えること。

(イ) 提出後の取扱い

労働局又は管轄安定所は提出された報告書兼支給申請書の写しを3部取り、写し1部を事業所ごとに区分して整理・保管し、写し1部を当該事業所に返却し、写し1部を紹介安定所において事業所ごとに区分・整理することとし、原本は管轄労働局長に送付すること。

(ウ) 報告書兼支給申請書提出に当たっての取扱い

助成金関係業務の集中化を行っている場合等、上記(ア)及び(イ)について柔軟に取り扱ってもよいが、受理を行う労働局又は管轄安定所が責任を持って書類の受理、送付等の処理を行うこと。

ウ 精神障害者ステップアップ雇用終了後の相談、支援

安定所は、ステップアップ雇用終了後も当該対象者を継続して雇用する事業主に対して、必要に応じて相談、支援等を行う。なお、管轄安定所と紹介安定所は、適宜連携して支援を行うこと。

また、常用雇用に移行しなかった対象者について、引き続きステップアップ雇用の対象と判断する場合には、対象者として必要な支援を行うものとする。

(8) グループ雇用についての取扱い

ア 事業主に対する利用の促進

精神障害者がお互いに支え合いながら働くことのできるグループ雇用は、職場への適応を高め精神障害者の常用雇用への移行促進にとって効果的であることからこれを奨励するために、同一事業所でステップアップ雇用に係る対象者をグループで雇用する場合は奨励金の加算があるので、事業主に積極的に周知し、グループ雇用の利用促進を図ること。

イ グループ雇用奨励加算金の対象となるグループ雇用の内容

グループ加算金の対象となる場合は以下のとおりである。

(ア) グループの人数

1グループの人数は、2人以上5人以下とすること。ただし、いずれも奨励金の支給対象となる者であること。

また、原則としてグループのメンバーは同一の者であることとするが、メンバーの離職及び常用雇用への移行により奨励金の支給対象とならなくなり、奨励金の支給対象となるメンバーの人数が2人を下回る場合には、グループ加算金の支給対象とならないため、新たなメンバーを補充することができる。

(イ) 就業場所

同一のグループは、同じ就業場所にある同一の事業所で就業していること。ただし、職務内容及び配置場所については必ずしも同じでなくともよいこと。

(ウ) グループ雇用となる就業日

グループのメンバーが同一の日に勤務することが必要であり、1か月につき、2人以上のメンバーの勤務した日が8日以上重なっていること。また、当該勤務日については、2人以上のメンバーの就業時間が1時間以上重なっているものであること。

(エ) 支援担当者の選任

雇用管理のために必要な知識及び経験を有し、かつ職務に係る作業についての安全及び衛生に関する知識を有する者を、1名支援担当者として選任し、グループ雇用の対象者の職場への適応等の援助や安定所及び支援機関等との調整を行うこととすること。

(オ) 同一の事業所におけるグループ雇用の取扱い

同一の事業所において、グループ加算金の支給対象となるグループは、1つ限りであること。ただし、当該グループ雇用に係るグループ加算金の支給期間が終了した後、新たなメンバーでグループ雇用を開始する場合は、グループ加算金の対象とすることができる。

5.精神障害者の雇用に対する理解の促進等

(1) 事業主に対する理解の促進等

事業主にとっては精神障害者の障害特性や雇用管理に関する知識・ノウハウが十分に蓄積しておらず、雇入れや職場定着についての負担や不安が大きいところである。

各種セミナー等集団的な手法を用いた周知啓発はもとより、個別の事業所への訪問等の機会を捉え、精神障害者の障害特性、雇用支援策及び雇入れ後の支援体制等を提示しながら理解促進を図ること。

ア 周知啓発

労働局、安定所、関係機関等が開催するセミナー・シンポジウムにおいて、精神障害者の雇用への理解を深める内容を盛り込むとともに、ステップアップ雇用を始めとする精神障害者の雇用に資する支援策等の紹介や雇用管理ノウハウに関する周知を図ること。

イ 個々の事業所に対する働きかけ

雇用率達成指導や求人開拓等の事業所訪問の機会を捉えて、管内の精神障害求職者の状況、企業で働く精神障害者の事例、雇入れ・職場定着のための雇用支援策、雇入れ後の支援・相談を行う関係機関等について説明する等、個々の事業所に対して、精神障害者の雇用に対する理解の促進を図ること。

また、平成20年1月31日付け職高障発第0131001号「地域障害者職業センター等との連携による事業主指導・支援の効果的な実施について」を踏まえ、精神障害者個々の障害特性に応じた職務再設計や職場定着に必要な雇用管理ノウハウの提供等同センターによる専門的支援の活用が効果的と考えられる事業主に対して、同センターの専門的支援等の情報提供を行い、利用勧奨を行うこと。

なお、特例子会社や身体障害者や知的障害者を積極的に雇用している事業所においても精神障害者に関しては理解や雇用管理ノウハウが不足している場合が多く、同様に働きかけること。

(2) 医療機関等に対する理解促進

医療機関や精神障害者を支援する福祉サービス事業者の中には、一般雇用や雇用支援策に対する理解が十分でない場合も多く、連携による精神障害者の就労支援を効果的に行うために、精神障害者のジョブガイダンス事業及び障害者就労支援基盤整備事業等を通じて関係機関への理解促進、共通認識の醸成をしておくこと。

6.適用期間

本要領は平成20年4月1日より適用する。

 

(別紙1)

精神障害者就職サポーター委嘱要領

公共職業安定所の専門支援部門窓口において、精神障害者の求職者に対して精神症状に配慮したカウンセリングを行いながら就労支援を行うことが必要である。

このため、都道府県労働局において専門家を「精神障害者就職サポーター」(以下「サポーター」という。)として委嘱し、精神障害者の就職支援を行うこととする。

1 職務

サポーターの職務は、「精神障害者の常用雇用への移行促進に向けた支援事業実施要領」に規定する事業のうち、以下のとおりとする。

(1) 公共職業安定所の専門支援部門等の相談窓口における精神障害者の求職者に対して、精神障害に関する専門的知見に基づいてカウンセリング等を行うこと。

(2) 精神障害者である求職者、精神障害者を雇用している又は雇用しようとする事業主等に対して、精神障害者の特性や職場適応に関する助言を行うこと。

(3) 労働局が実施する精神障害に関する研修等に協力すること。

2 委嘱等

(1) サポーターは、以下のアからエのいずれかの要件を具備する者のうちから、都道府県労働局長が委嘱する。

ア 精神保健福祉士又は臨床心理士の資格保有者で、精神障害者の相談に係る実務経験を有する者

イ 社会福祉士、作業療法士、看護師、保健師又は産業カウンセラーの資格保有者で、精神障害者の相談に係る実務経験を1年以上有する者

ウ 精神科病院、精神保健福祉センター、保健所、精神障害者の生活支援施設等で精神障害者の相談に係る実務経験を2年以上有する者

エ 上記に準ずると認められる者

(2) 委嘱の期間は1年以内とし、予算年度を超えないこと。また、具体的な稼働日数等については、公共職業安定所の支援ニーズ等に応じて設定して差し支えないこと。

(3) 都道府県労働局長は、本人から申出のあったとき、又はその者にサポーターとしてふさわしくない非行があったときは、サポーターを解嘱することができるものとする。

3 守秘義務等

サポーター及びサポーターであった者は、国家公務員法(昭和22年法律第120号)の定めるところにより、その職務上知ることが出来た秘密を漏らしてはならないものであること。

また、サポーターは国家公務員法に規定する政治的行為をしてはならない。

4 研修の実施

都道府県労働局長は、委嘱したサポーターに対して、委嘱後の早い時期に職業安定法、雇用保険法、障害者雇用促進法、当該地域の労働市場状況など職務を遂行するのに必要な知識等についての研修を行うものとする。

5 その他

この要領に定めるもののほか、サポーターに関し必要な事項は、別途定めるものとする。

 

(別紙2)

精神障害者ステップアップ雇用奨励金及びグループ雇用奨励加算金の支給要領

1.趣旨

精神障害者の常用雇用への移行促進に向けた支援事業実施要領(以下「実施要領」という。)に基づく精神障害者ステップアップ雇用奨励金(以下「奨励金」という。)及びグループ雇用奨励加算金(以下「グループ加算金」という。)の支給は、この支給要領の定めるところにより行うものとする。

2.支給対象事業主

奨励金は次の(1)~(12)までのいずれにも該当する事業主(以下「支給対象事業主」という。)に対して支給するものとする。さらに、(13)に該当する事業主に対しては、グループ加算金を併せて支給するものとする。

ただし、国、地方公共団体、特定独立行政法人及び特定地方独立行政法人は除くものとする。

(1) 実施要領4に定めるところにより、公共職業安定所(以下「安定所」という。)の紹介により、精神障害者をステップアップ雇用として雇い入れた事業主であること。

(2) 安定所からステップアップ雇用に係る職業紹介を受ける以前に、当該職業紹介に係る精神障害者を雇用することを約している事業主以外の事業主であること。

(3) 雇用保険の適用事業の事業主であること。

(4) ステップアップ雇用を開始した日の前日から起算して6か月前の日からステップアップ雇用を終了した日までの間(以下「基準期間」という。)に、当該ステップアップ雇用に係る事業所において雇用する雇用保険被保険者(短期雇用特例被保険者及び日雇労働被保険者を除く。)を解雇等をしたことがない事業主であること。ただし、解雇等とは、労働者の責めに帰すべき理由による解雇及び天災その他やむを得ない理由のため事業の継続が不可能となったことによる解雇以外の解雇に勧奨退職等を加えたものであること。

(5) 基準期間に、当該ステップアップ雇用に係る事業所において、特定受給資格者となる離職理由により離職した者として受給資格決定処理が行われたものの数を、当該事業所における当該雇入れ日における被保険者(短期雇用特例被保険者及び日雇労働被保険者を除く。)数で除した割合が6%を超えている(特定受給資格者となる離職理由により離職した者として受給資格決定処理がなされたものの発生数が3人以下である場合を除く。)事業主以外の事業主であること。ただし、本取扱いは、次のアからオまでに掲げるいずれかの特定受給資格者となる離職理由により離職した者には適用しないこととする。

ア 雇用保険法施行規則第34条第4号に定める者となる離職理由

イ 同令第35条第1号に定める離職理由(災害等によるものに限る。)

ウ 同令第35条第7号に定める離職理由(同令第35条第1号に定める離職理由を除く。)

エ 同令第35条第7号の2に定める離職理由

オ 同令附則第3条に基づく特定受給資格者に関する暫定措置の対象となる雇用保険法第33条第1項の正当な理由

(6) ステップアップ雇用を開始した日の前日から起算して過去3年間において、当該ステップアップ雇用に係る対象者を雇用したことがない事業主であること。

(7) ステップアップ雇用を開始した日の前日から起算して1年前の日から当該ステップアップ雇用開始の日の前日までの間において、当該ステップアップ雇用に係る対象者(日雇労働者を除く。)を雇用していた事業主と、以下のいずれかに該当する場合その他の資本金、経済的・組織的関連性等からみて、新たに雇い入れられたものとして奨励金を支給するに当たって適当でないと判断される事業主以外の事業主であること。

ア 雇入れ日において当該ステップアップ雇用に係る対象者を雇用していた事業主(又は雇入れ事業主)の発行済株式の総数又は出資の総額に占める雇入れ事業主(対象者を雇用していた事業主)の所有株式数又は出資の割合が50%を超えるものであること。

イ 取締役会の構成員について、次のいずれかに該当すること。

(ア) 代表者が同一人物であること。

(イ) 取締役を兼務している者がいずれかの取締役会の過半数を占めていること。

(8) 奨励金の支給を行う際に、前々年度より前のいずれかの保険年度(労働保険の保険料の徴収等に関する法律(昭和44年法律第84号。以下「徴収法」という。)第2条第4項に規定する「保険年度」をいう。)に、ステップアップ雇用を実施した事業所において労働保険料(同法第41条により徴収する権利が時効によって消滅しているものを除く。)を納入していない事業主以外の事業主であること。

(9) ステップアップ雇用を開始した日の前日から起算して3年前の日から奨励金の支給決定を行う日までの間において、不正行為により本来受けることのできない奨励金及び雇用保険法第4章の雇用安定事業等に係る各種給付金の不支給措置を受けたことがない事業主であること。

(10) ステップアップ雇用を実施する事業所において、次のアからウの書類(以下「労働関係帳簿」という。)を整備・保管している事業主であること。

ア ステップアップ雇用に係る対象者の出勤状況が日ごと明らかにされた出勤簿等の書類

イ ステップアップ雇用に係る対象者に対して支払われた賃金について基本賃金とその他の諸手当とが明確に区分されて記載された賃金台帳

ウ 当該事業所を離職した常用労働者の氏名、離職年月日、離職理由等が明らかにされた労働者名簿等の書類

(11) ステップアップ雇用期間中の当該ステップアップ雇用に係る対象者に支払うべき賃金について、支払期日を超えて支払っていない事業主(支給申請期間内に支払期限が到達したものであって、当該支払期限に係る賃金を支払った事業主を除く。)以外の事業主であること。

(12) 基準期間に、当該ステップアップ雇用に係る事業所において、労働関係法令の違反を行っていることにより、適正な雇用管理を行っていると認められないため、奨励金を支給することが適切でない事業主以外の事業主であること。

(13) 安定所の紹介時点と異なる条件で雇い入れた場合で、対象者に対し労働条件に関する不利益又は違法行為があり、かつ、当該対象者から求人条件が異なることについて申出があった事業主以外の事業主であること。

(14) 奨励金の支給対象事業主であって、同一事業所において奨励金の支給対象となる精神障害者に対して、実施要領4(8)で定めるところによりグループ雇用を行い、雇用管理のために必要な知識及び経験を有し、かつ職務に係る作業についての安全及び衛生に関する知識を有する者を支援担当者として1グループに1名選任している事業主であること。

3.支給対象期間等

(1) 精神障害者ステップアップ雇用奨励金

奨励金の支給対象期間は、対象者をステップアップ雇用として雇い入れた日から起算して、1か月単位で最長12か月とする。ただし、次のいずれかに該当する場合、それぞれに定める期間とする。なお、ステップアップ雇用期間は実施要領4(3)ウによるものであること。

また、本要領における1か月とは、起算日からその翌月の応当日の前日までの期間をいい、支給対象期間は雇入れ日から起算するものとする。

ア ステップアップ雇用に係る対象者が支給対象期間の途中で離職(次の(ア)から(エ)までの理由による離職に限る)した場合

次の(ア)から(エ)までの理由に応じ、それぞれ支給対象期間の途中で離職した日までの期間とする。

(ア) 本人の責めに帰すべき理由による解雇

(イ) 本人の都合による退職

(ウ) 本人の死亡

(エ) 天災その他やむを得ない理由により、事業の継続が不可能になったことによる解雇

イ ステップアップ雇用の支給対象期間の途中で常用雇用へ移行した場合

常用雇用へ移行する日の前日までの期間とする。

ウ ステップアップ雇用に係る対象者の失踪等のため離職日が不明確な場合

ステップアップ雇用に係る対象者に賃金が支払われた最後の日までの期間とする。

(2) グループ雇用奨励加算金

グループ加算金の支給対象期間は、奨励金の対象となるステップアップ雇用に係る対象者のグループ雇用を開始した日(以下「グループ雇用開始日」という。)から起算して、1か月単位で最長12か月とする。

ただし、グループ加算金の支給対象期間の途中で、当該メンバーの離職及び常用雇用への移行により、当該グループの人数が2人を下回った場合、当該メンバーの離職等の日の翌日から起算して1か月以内に2人以上を満たすことにならない場合は、当該グループにかかるグループ加算金の支給は当該起算日をもって終了とするものとする。

(3) ステップアップ雇用期間中に対象者を雇用しなくなった場合(上記(1)のアの(ア)から(エ)までのいずれかに該当する場合を除く。)は、奨励金の支給を受けることはできない。また、既に支給が行われた支給対象期間の分に係る支給を取り消すこととなる。

4.支給額

(1) 精神障害者ステップアップ雇用奨励金

ステップアップ雇用に係る対象者1人当たりの奨励金支給額は、ステップアップ雇用として雇い入れられた日を基準とし、月額2万5千円として支給対象期間の各月支給額の合計額とする。

ただし、次のア及びイの場合は、その期間についての奨励金の額は、次のウの額とする。

ア 上記3(1)のアからウの場合であって、雇用期間が1か月に満たない月の場合。

イ 支給対象期間のある1か月について、ステップアップ雇用の対象労働者本人の都合による休暇(ただし年次有給休暇等法令により事業主が労働者に対し付与を義務付けられている休暇は除く。)又は実施事業主の都合による休業の場合。

ウ ステップアップ雇用に係る対象者が、就労を予定していた日数に対する実際に就労した日数の割合に応じて次の額を支給する。

a=ステップアップ雇用に係る対象者が1か月間に実際に就労した日数/ステップアップ雇用に係る対象者が当該1か月間に就労を予定していた日数

割合

支給額(月額)

a≧60%

2万5千円

60%>A>0%

1万円

a=0%

不支給

(2) グループ雇用奨励加算金

グループ加算金の支給額は、1グループにつき1名の支援担当者を選任し、グループ雇用開始日を基準とし、月額2万5千円として支給対象期間の各月支給額の合計額とする。

ただし、グループ加算金はアの場合に支給するものとし、次のイ及びウの場合についてのグループ加算金の額は、次のエの額とする。

ア グループのメンバーが同一の事業所において同一の日に勤務することが必要であり、少なくとも、支給対象期間のある1か月について、2人以上のメンバーの実際に勤務した日が8日以上重なっていること。なお、当該勤務日においては、2人以上のメンバーのあらかじめ定められている就業時間が1時間以上重なっていること。

イ 支給対象期間のある1か月について、グループ雇用の対象労働者本人の都合による休暇(ただし年次有給休暇等法令により事業主が労働者に対し付与を義務付けている休暇は除く。)又は実施事業主の都合による休業の場合。

ウ 支給対象期間の途中でメンバーの離職によりグループの人数が2人を下回った場合。

エ グループ雇用として実際に就労した日数に応じて次の額を支給する。

a=上記アの要件を満たした日数

割合

支給額(月額)

a≧8日

2万5千円

a<8日

不支給

5.支給方法

(1) 支給申請

ア 精神障害者ステップアップ雇用奨励金

奨励金に係る支給申請時期は、ステップアップ雇用を開始してから6か月経過後及びステップアップ雇用期間終了後を原則とする。ただし、事業主の希望に応じて、ステップアップ雇用期間の終了後に一括して申請することができるため、支給時期の希望を把握すること。なお、6か月経過後の支給申請がない場合には、終了後の一括申請になる。

ステップアップ雇用を開始してから6か月経過後に奨励金の支給を受けようとする事業主は、ステップアップ雇用を開始した日から起算して6か月を経過した日の翌日から起算して1か月以内に、次のウの書類(以下「申請書類」という。)労働局または管轄安定所に提出しなければならない。

また、ステップアップ雇用期間終了後に奨励金の支給を受けようとする事業主は、ステップアップ雇用を終了した日の翌日から起算して1か月以内(ただし、天災その他当該期間に申請しなかったことについてやむを得ない理由があるときは、当該理由のやんだ日の翌日から起算して1か月以内。この場合、当該理由を記した書面を添えること。)に次の申請書類を労働局又は管轄安定所に提出しなければならない。

イ グループ雇用奨励加算金

グループ加算金に係る支給申請時期は、グループ雇用を開始してから6か月経過後及び12か月経過後を原則とするが、グループ雇用が途中で終了した場合においても終了後に申請することができるものとする。また、事業主の希望に応じて、12か月経過後(グループ雇用が途中で終了した場合は、グループ雇用終了後)に一括して申請することができるものとするため、6か月経過後の支給申請がない場合には、12か月経過後又はグループ雇用終了後の一括申請になる。

グループ雇用を開始してから6か月経過後にグループ加算金の支給を受けようとする事業主は、グループ雇用を開始した日から起算して6か月を経過した日の翌日から起算して1か月以内に、次のウの書類(以下「申請書類」という。)を労働局又は管轄安定所に提出しなければならない。

グループ雇用を開始してから12か月経過後にグループ加算金の支給を受けようとする事業主は、グループ雇用を終了した日の翌日から起算して1か月以内(ただし、天災その他当該期間に申請しなかったことについてやむを得ない理由があるときは、当該理由のやんだ日の翌日から起算して1か月以内。この場合、当該理由を記した書面を添えること。)に申請書類を労働局又は管轄安定所に提出しなければならない。

また、グループ雇用終了後に加算金の支給を受けようとする事業主は、グループ雇用を終了した日の翌日から起算して1か月以内(ただし、天災その他当該期間に申請しなかったことについてやむを得ない理由があるときは、当該理由のやんだ日の翌日から起算して1か月以内。この場合、当該理由を記した書面を添えること。)に申請書類を労働局又は管轄安定所に提出しなければならない。

なお、グループ加算金の支給申請に当たっては、グループの全てのメンバーに係る奨励金が支給申請中であるか、又は既に支給を受けていることが必要である。

ウ 申請書類

(ア) 精神障害者ステップアップ雇用奨励金結果報告書兼支給申請書(別添様式第1号)

a 当該対象者の確認を得て、本人が記名・押印又は署名を行ったものであること。

b ただし、対象者本人の死亡・失踪等、事業主の責に帰さない理由によりステップアップ雇用労働者本人の記名・押印又は署名をとることができず、かつ、当該対象者の代理となるべき者もいない場合で、当該対象者のステップアップ雇用を実施したことを事業主が書面により証明した場合に限り、その理由を備考欄に付記した報告書兼支給申請書を管轄労働局長は受理するものとする。

(イ) グループ雇用奨励加算金支給申請書(別添様式第2号)

グループ加算金の支給を受けようとする事業主は、グループ雇用に係る全員のメンバーの状況を記入すること。

(ウ) 労働関係帳簿のうちステップアップ雇用に係る対象者の出勤状況が確認できる出勤簿及びステップアップ雇用に係る対象者に対して支払われた賃金について記載された賃金台帳等の写し

(エ) 支給要件を確認するに当たってその他管轄労働局長が必要と認める書類

(2) 代理人による代理及び社会保険労務士による提出代行・事務代理

事業主は、奨励金に係る事務について、代理人を専任して処理させることができる。

この場合において、代理人は、支給申請等に当たっては、報告書兼支給申請書等に記名・押印又は署名を行うとともにその代理する事業所の住所及び氏名(事業主が法人である場合には、主たる事務所の所在地、法人の名称及び代表者の氏名)(事業主の印は不要)を記するものとする。また、報告書兼支給申請書等の受理に当たっては、正当な権限のある代理人であるか否かを確認するため、委任状(またはその写し)の提出を求めることとする。

なお、社会保険労務士が、社会保険労務士法(昭和43年法律第89号)第2条第1項第1号の2又は第1号の3に基づき、「提出代行者」又は「事務代理者」として報告書兼支給申請書等の提出を行う場合には、社会保険労務士法施行規則第16条から第16条の3までの規定に基づき、報告書兼支給申請書等に事業主の記名押印又は署名させることに加え、「提出代行者」又は「事務代理者」と表示し、かつ、社会保険労務士の名称を冠して記名押印させなければならない。

(3) 申請書類の受理

管轄労働局長は、申請書類が提出されたときは、次のアからウについて確認を行った上で当該申請書類を受理する。

なお、当分の間、管轄労働局長は当該業務の全部又は一部を、その指揮監督する安定所の長に行わせることができることとする。

ア 支給申請期間内に提出されていること

イ 所要の事項が記載されていること

ウ 所要の添付書類が添付されていること

(4) 支給及び不支給の決定

管轄労働局長は、事業主から申請書類を受理した場合には、次のアからクにより上記2の支給対象事業主に該当することの確認を行い、適当と認められる場合には、支給額を確定し奨励金等の支給決定を行い、精神障害者ステップアップ雇用奨励金・グループ雇用奨励加算金支給決定通知書(別添様式第3号)を、適当と認められない場合には、奨励金等の不支給決定を行い、精神障害者ステップアップ雇用奨励金・グループ雇用奨励加算金不支給決定通知書(別添様式第4号)を、当該事業主に送付するものとする。

ア 上記2の(3)から(6)に係る確認

雇用保険適用事業所台帳によること。ただし、(6)については、精神障害者ステップアップ雇用結果報告書兼支給申請書の④の(1)欄にもよること。

イ 上記2の(7)に係る確認

精神障害者ステップアップ雇用結果報告書兼支給申請書④の(2)欄によること。

ウ 上記1の(8)に係る確認

労働保険適用徴収システムの滞納事業所名簿、滞納事業処理経過カードによること。

エ 上記2の(9)に係る確認

奨励金及び他の雇用安定事業等の各種給付金について不正受給を行ったことによる不支給又は返還の措置を受け、その後3年間の不支給措置の期間中に支給申請が行われたものについては、奨励金を支給しないこととなるので(下記8「不正受給」参照)、これに該当する事業所に係る事業主からの申請でないことを確認すること。

オ 上記2の(10)・(11)に係る確認

精神障害者ステップアップ雇用結果報告書兼支給申請書に添付される労働関係帳簿のうちステップアップ雇用に係る対象者の出勤状況が確認できる出勤簿、ステップアップ雇用に係る対象者に対して支払われた賃金について記載された賃金台帳(この写しを含む。)等によること。

支給申請の時点で支払期日までに支払われていない賃金がある場合には、支給申請期間末日までに支給要件判定を保留し、当該賃金の支払いを行うよう事業主を指導し、支払われない場合には不支給要件に該当するものとする。なお、支給申請期間内に賃金支払日が到達していないものについては確認を要さないこととし、この部分に係る賃金台帳等については添付を省略して、支給事務を進めることとして差し支えないこと。

ただし、この場合であって、後日、支給決定前に賃金支払日が到達し、当該支払日に係る賃金の未払いが確認できた場合は、不支給とすること。

カ 上記2の(12)に係る確認

基準期間に、労働関係法令の違反を行っていることについて以下に該当する場合にこの不支給要件に該当するものとして取り扱う。

(ア) 都道府県労働局労働基準部から送検処分がなされた旨の連絡を受けた場合

(イ) 都道府県労働局職業安定部及び需給調整事業部の告訴又は告発により送検処分された場合

(ウ) その他(ア)、(イ)以外の者の告訴又は告発により送検処分されたことが明確な場合

キ 上記2の(13)に係る確認

対象者から求人条件と異なる条件で雇用されている旨の申出があった場合に必要な調査を行うこととし、支給申請書の対象労働者の記名押印又は署名欄から判断し必要なものについて、申出内容を聴取する。申出内容の聴取に当たっては、具体的な労働条件を聴取し、これに係る客観的な証拠の提示を求める。

労働条件の不利益又は違法行為があったことの認定に当たっては、賃金額、労働時間、休日又は社会保険(健康保険、構成年金保険)の加入に関して、雇入れ前に事業主より示された求人条件と雇入れ後の労働条件が著しく異なっていること、雇入れ後の労働条件が労働関係法令に違反するものであること等を確認する。

ク 上記2の(14)に係る確認

グループ雇用奨励加算金支給申請書④欄に記載されているメンバーに係る奨励金が支給されていること、又は支給申請中であること。

支援担当者については、グループ雇用奨励加算金支給申請書⑤欄によること。

ケ 対象労働者であることの確認

精神障害者ステップアップ雇用結果報告書兼支給申請書と併せて提出される労働関係帳簿により確認すること。

(5) ステップアップ雇用を実施した事業主に対する指導

労働局及び安定所は、奨励金を受けようとする事業主に対して、申請書類の作成、提出及び奨励金の支給申請について必要な指導、助言を行うものとする。

(6) 奨励金の支給方法

管轄労働局長は、ステップアップ雇用を実施した事業主の指定した金融機関の口座へ振込をすることにより奨励金を支給するものとする。

(7) 支給台帳への記入及び書類の保管

管轄労働局長は、ステップアップ雇用を実施した事業主から提出された支給申請書等ごとに、当該支給申請に係る事業所の名称、支給決定年月日、支給決定番号その他の所要事項を精神障害者ステップアップ雇用奨励金支給台帳(様式第5号)及びグループ雇用奨励加算金支給台帳(様式第6号)に記載し、支給申請書等その他関係書類の写しを、奨励金等の支給決定日の属する年度の終了後5年間保管するものとする。

6.併給調整

奨励金及びグループ加算金と併給できる可能性がある他の助成金について、次のとおり調整を行う。

(1) 同一の事由により、キャリア形成促進助成金(訓練等支援促進給付金、職業能力評価推進給付金、地域雇用開発能力開発助成金、中小企業雇用創出等能力開発助成金)、介護雇用管理助成金又は試行雇用奨励金の支給を受けた場合は、奨励金を支給しないものとする。

(2) 同一の事由により、雇用保険法施行規則等の一部を改正する省令(平成18年厚生労働省令第71号)附則第2条第4項の規定によりなお従前の例によることとされた同令第1条の規定による改正前の雇用保険法施行規則(以下「旧雇保則」という。)第102条の5第2項第3号又は第4号に該当する事業主に係る同項の求職活動等支援給付金及び同附則第2条第18項の規定によりなお従前の例によることとされた旧雇保則第118条第2項第1号イ(2)に規定する職業相談者配置事業に係る同項の中小企業雇用管理改善助成金の支給を受けた場合は、奨励金を支給しないものとする。

(3) 同一の事由により、障害者の雇用の促進等に関する法律第49条に基づくグループ就労訓練雇用型助成金の支給を受けた場合は、グループ雇用奨励加算金は支給しないものとする。

7.他の助成金等との関係

(1) 奨励金の支給を受け、当該ステップアップ雇用後に常用雇用に移行した場合、特定求職者雇用開発助成金(特定就職困難者雇用開発助成金)の要件に合致していれば支給の対象とする。

(2) 奨励金の支給を受け、当該ステップアップ雇用後に常用雇用に移行した場合、雇用支援制度導入奨励金の要件に合致していれば支給の対象とする。

8.不正受給

(1) 偽りその他不正の行為により本来受けることのできない奨励金の支給を受け、又は受けようとした事業主に対しては、当該不正に係る奨励金について不支給とするか又は支給を取り消すものとする。

なお、不正行為とは、詐欺、脅迫、贈賄等刑法各本条に抵触する行為を含むことはもちろんであるが、刑法上犯罪を構成するに至らない場合であっても、故意に支給申請書類に虚偽の記載を行い、又は偽りの証明を行うことにより、本来受けることのできない奨励金を受け、又は受けようとすることをいう。ただし、申請書類の記載誤りが故意によらない軽微なものと認められる場合にはこれに該当しない。

また、不正行為と認められる場合には、当該事業主は、奨励金を不支給とした日又は支給を取り消した日以後3年間、当該奨励金及び雇用保険法第4章の雇用安定事業等に係る各種給付金を受けることができないものとする(本取扱いについては、以下「不支給措置」という。)。

(2) 不正受給であることが判明した場合には、下記8「返還」により、返還の手続きを行う。

(3) 不支給措置については、文書により通知することとし、不支給措置に係る効果により、当該期間に再び奨励金を受けようとステップアップ雇用を実施しようとすることは不正行為に当たることを併せて通知する。

9.返還

管轄労働局長は、奨励金の支給を受けた事業主が次の(1)又は(2)に該当する場合は、精神障害者ステップアップ雇用奨励金等支給決定取消及び返還通知書(様式第○号)により、当該事業主に対して、支給決定した奨励金の全部又は一部について支給決定を取り消し、返還させる旨の通知を行うものとする。

(1) 偽りその他不正の行為によって支給を受けた場合

(2) ステップアップ雇用開始6か月経過後に支給を受けた場合、残りのステップアップ雇用期間中に対象労働者を雇用しなくなった場合(次のアからエまでのいずれかに該当する場合を除く。)

ア 本人の責めに帰すべき理由による解雇

イ 本人の都合による退職

ウ 本人の死亡

エ 天災その他やむを得ない理由により、事業の継続が不可能になったことによる解雇

(3) 支給すべき額を超えて支給を受けた場合