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通達:高年齢者雇用確保措置を講じていない企業等に対する効果的な指導の実施について

 

高年齢者雇用確保措置を講じていない企業等に対する効果的な指導の実施について

平成19年10月19日職高高発第1019001号

(各都道府県労働局職業安定部長あて厚生労働省職業安定局高齢・障害者雇用対策部高齢者雇用対策課長通知)

 

高年齢者等の雇用の安定等に関する法律(以下「法」という。)に沿った高年齢者雇用確保措置(以下「確保措置」という。)の実施に係る指導について、多大な御尽力をいただき厚く感謝申し上げる。

法第52条第1項に基づく6月1日現在の定年及び継続雇用制度の状況等の報告(以下「6月1日報告」という。)について、都道府県労働局(以下「労働局」という。)、公共職業安定所(以下「安定所」という。)においては、その内容確認等を行っていただいたところであり、本日付けで全国の集計結果を公表したところである。

6月1日報告は、確保措置の実施状況を的確に把握し、その結果に基づき取組の遅れている企業に対し効果的な指導を行うための基礎資料として極めて重要な意義を有していることから、各労働局においては、自局における確保措置の実施状況を踏まえ、的確な指導を行っていただきたい。

本年度の指導方針については、平成19年5月18日付け職高発第0518001号「平成19年度における高年齢者雇用確保措置の推進等に係る指導について」(以下「平成19年度通達」という。)及び平成19年5月18日付け職高企発第0518001号・職高高発第0518001号「平成19年度における高年齢者雇用確保措置の推進等に係る指導にあたっての留意事項について」(以下「平成19年度課長通知」という。)により指示されているところであるが、確保措置を実施していない企業等に対する本年度下半期における指導方針、留意事項等について、下記のとおり示すので、確保措置を実施していない企業の早期解消をはじめ高年齢者の雇用対策に特段の御配慮をお願いする。

 

1 確保措置の実施に関する効果的・効率的な指導の推進

(1) 6月1日報告を踏まえた計画的指導

法に沿った確保措置を実施していない企業(以下「未実施企業」という。)等に対する指導にあたっては、管内の規模別、産業別の確保措置の実施状況等を十分に把握・分析の上、各労働局、各安定所の実情やこれまでの指導経緯等を踏まえ、次のア及びイを基本として、最も効果的・効率的な指導となるよう各労働局としての方針を策定して計画的に取組を進めること。

なお、法に基づく文書指導等の実施については、平成19年度通達による改正後の職発第583号通達(以下「新第583号通達」という。)記第2の4に沿って、幹部指導を含む再三の指導にもかかわらず、確保措置の実施に向けて何ら取組がなされていない企業に対し、確保措置の実施に関する指導文書を発出すること。

ア 63歳までの確保措置を実施しておらず法違反となっている企業に対する指導

① 300人以上規模企業の未実施企業に対する個別指導等の早急な実施

300人以上規模企業において未実施企業が存在している労働局にあっては、当該企業が社会に与える影響等にかんがみ、年内に労働局長、職業安定部長をはじめとする労働局幹部指導を行い、当該未実施企業の早期解消を図るとともに、取組が進まない企業に対しては、新第583号通達に沿った文書指導を積極的に行い、優先して未実施の解消に努めること。

② 50人以上から300人未満規模企業の未実施企業に対する個別指導等の実施

50人以上規模企業の未実施企業については、以下の(2)における未実施の事情の類型に応じ、年度内に労働局幹部、安定所幹部による訪問指導を行うとともに、取組が進まない企業に対しては、新第583号通達に沿った文書指導など効果的な指導を実施すること。

③ 50人未満規模企業に対する指導の実施

50人未満規模企業については、新第583号通達により、安定所管内における対象企業の数等を勘案し、雇用状況報告の要請対象企業を優先して個別指導を行い、それ以外の企業には集団指導を行うこととしている。

50人未満企業の中には、確保措置の内容を知らない企業や就業規則の変更等を含むノウハウ不足の企業も多いと考えられるので、高年齢者雇用アドバイザーの積極的な活用、集団指導による確保措置の周知の徹底、集団指導・個別指導の戦略的な組合せなど、適時適切な助言・指導を実施すること。

イ 平成19年度中に65歳までの確保措置を実施する予定がない企業に対する指導

63歳までの確保措置を講じているものの、平成19年度中に65歳までの確保措置を実施する予定がない企業に対しては、当面違法状態とはならないが、65歳までの確保措置の導入に向けて順次、個別指導・集団指導等を計画的に実施すること。

(2) 未実施企業に対する効果的な指導

各労働局においては、未実施企業に対し、以下のア及びイに留意しつつ、各労働局、各安定所の幹部による直接訪問をはじめとして、効果的な指導を実施すること。

ア 未実施の事情の類型に応じた効果的な指導

確保措置の未実施企業については、取組が遅れている事情を十分把握・整理し、次の①から④の代表的な要因をはじめ、各要因ごとに、適切な対処方針を策定の上、効果的な個別指導を実施すること。

① 経営者が確保措置について理解不足の場合

経営者が法で義務づけられている確保措置について、再三の指導にもかかわらず理解を示さないような場合には、各労働局又は各安定所の幹部自らの直接訪問等を通じて企業トップに対し改めて強力な働きかけを行うほか、発出基準に該当する場合は、新第583号通達に沿った文書指導など効果的な指導を実施すること。

② 人事労務管理の改善等に係るノウハウが不足している場合

確保措置を実施していないものの「運用」により実施している企業、確保措置の導入については労使間で概ね合意しているが、賃金、退職金制度、人事管理制度等の見直し等についてのノウハウが不足しており、より具体的なアドバイスを求めている企業等については、高年齢者雇用アドバイザーの活用等を通じて、迅速な制度化に向けて具体的に助言・指導すること。

③ 組合協議が調わない等労使間での問題がある場合

確保措置の実施に向けて「労使協議中」の企業については、協議の内容及び協議の進捗状況を把握し、改正された法の施行から既に1年半が経過しており早急に確保措置を実施する必要がある旨を十分に説明するとともに、真摯な協議が進められるよう、定期的な進捗状況の把握や助言・指導等を必要に応じ実施すること。

また、このうち、継続雇用制度の対象となる高年齢者に係る基準について、協議が調う目途が立たないと認められる場合には、当面は、法附則第5条第1項に基づき就業規則の策定等により対応する特例措置の活用についても並行して検討するよう助言いただいているところであるが、とりわけ301人以上の大企業については、当該特例措置の期間が平成21年3月31日までとなっていることに留意し、併せて、早期に労使協定を締結する、又は希望者全員を対象とする旨指導すること。

④ 若年層のみの労働者で構成されておりすぐには対象者が出ない場合

若年層のみの労働者で構成されており、当面、確保措置の対象者が出ない等の事情を理由として、確保措置の実施への意欲そのものが乏しい事業主については、各労働局又は各安定所の幹部自らの直接訪問等を通じて企業トップに対し法の趣旨を説明し、改めて強力な働きかけを行うこと。

イ 労働局内指導体制の整備

取組が遅れている企業等が特定の地域に集中している場合には、当該地域を管轄する安定所のみでは、迅速な対応が困難である場合もあることから、労働局又は他の安定所による応援体制を組むなど、当該企業に対する指導を早急に実施できるよう、必要に応じて効率的かつ効果的な指導体制を構築すること。

2 確保措置の充実

継続雇用制度の対象者に係る基準を労使協定によらず就業規則等で定めることができる特例措置期間が、大企業においては、平成21年3月31日、中小企業においては、平成23年3月31日で終了することとなっており、また、平成25年までにすべての企業において65歳までの確保措置の実施が求められている。早期集計結果では依然として希望者全員の継続雇用制度の割合が4割弱となっている状況も踏まえ、上記の確保措置の円滑な実施に加え、希望者全員の65歳までの継続雇用、定年の引上げ、定年の定めの廃止といった確保措置の充実について企業に積極的に働きかけ、確保措置の充実を図ること。

3 高年齢者の再就職支援の強化

6月1日報告によると、定年到達予定者のうち継続雇用される予定の者の割合は77%となっているが、一方で基準非該当、継続雇用を希望しない等の理由で離職する高年齢者も相当数存在する。また、65歳以上の求職者が増加しており、その中には、無年金者や年金受給者であっても、年金のみで生活できない者等が含まれている場合もある。

労働局においては、こうした安定所における高年齢者の職業紹介・就職支援の実態を今一度把握し、積極的な求人開拓、年齢不問求人の指導、求人事業主への粘り強い働きかけ、試行雇用奨励金や特定求職者雇用開発助成金の活用、定年退職者等再就職支援事業等により、高年齢者に対する再就職支援を強化すること。

4 「70歳まで働ける企業」の普及・啓発

少子・高齢化の進行、人口減少社会の到来の中で、高年齢者が年齢にかかわりなく働ける社会の構築が必要である。また、厳しい雇用環境下にある高年齢者の再就職支援にあたっても、「70歳まで働ける企業」の普及が必要である。

このため、「70歳まで働ける企業」の実現に向けた提言(以下「提言」という。)を踏まえ、周知・PRを含め都道府県雇用開発協会との連携による各地域でのシンポジウムの開催、70歳雇用支援アドバイザー等の積極的な活用を図ること。

また、事業主説明会等の機会を捉まえ、70歳まで働ける社会を目指す必要性やメリット等を説明し、企業への理解を求めること。

さらに、6月1日報告における「70歳まで働ける企業」の割合が11.9%にとどまっていることも踏まえ、提言を活用した普及・啓発に取り組むとともに、「70歳まで働ける企業」推進プロジェクトの創出事業における傘下企業への利用促進など70歳以上の定年引上げに対する「定年引上げ等奨励金(「70歳まで働ける企業」奨励金)」を積極的に活用するよう企業に働きかけること。

5 フォローアップ

各労働局においては、1の(1)の①及び②について、各安定所における指導対象企業の確保措置導入状況や幹部指導、文書指導等の指導状況等について、フォローアップするとともに、①については本年末までに、②については本年度末までに当課雇用対策係あて報告すること。

なお、報告内容等の様式については追って通知することとする。