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通達:授産施設、小規模作業所等において作業に従事する障害者に対する労働基準法第9条の適用について

 

授産施設、小規模作業所等において作業に従事する障害者に対する労働基準法第9条の適用について

平成19年5月17日基発第0517002号

(都道府県労働局長あて厚生労働省労働基準局長通知)

 

標記については、障害者自立支援法に基づく就労継続支援事業を実施している施設以外にも、いわゆる授産施設、小規模作業所等の形態により、障害者が物品の生産等の作業に従事している施設(以下「小規模作業所等」という。)が見受けられるが、これら小規模作業所等において作業に従事する障害者が、労働基準法第9条の労働者に当たるか否かについて、疑義が生じていることから、今後、その判断に当たっては、下記によることとしたので、了知の上、その運用に遺憾なきを期されたい。

 

1 基本的な考え方

労働基準法第9条において、「労働者」とは「事業又は事務所に使用される者で、賃金を支払われる者」と定義されており、この労働者性の判断は、使用従属性があるか否かを労務提供の形態や報酬の労務対償性及びこれらに関連する諸要素を勘案して総合的に判断するものである。

小規模作業所等における作業に従事している障害者の多くは、当該作業に従事することを通じて社会復帰又は社会参加を目的とした訓練等(以下「訓練等」という。)を行うことが期待されている場合が多く、障害者の労働習慣の確立、職場規律や社会規律の遵守、就労意欲の向上等を主たる目的として具体的な作業指示が行われているところである。このため、このような作業については訓練等を目的としているとしても、使用従属関係下において行われているか否かを判断することが困難な場合が多い。

このため、小規模作業所等において作業に従事する障害者の労働者性の判断に当たっては、以下により取り扱うこと。

なお、当該小規模作業所等における事業収入が一般的な事業場に比較して著しく低い場合には、事業性を有しないと判断される場合があることに留意すること。

2 訓練等の計画が策定されている場合

①小規模作業所等において行われる作業が訓練等を目的とするものである旨が定款等の定めにおいて明らかであり、②当該目的に沿った訓練等の計画(下記3の(1)から(4)の要素が含まれていないものに限る。)が策定され、③小規模作業所等において作業に従事する障害者又はその保護者との間の契約等において、これら訓練等に従事することの合意が明らかであって、④作業実態が訓練等の計画に沿ったものである場合には、当該作業に従事する障害者は、労働基準法第9条の労働者ではないものとして取り扱うこと。

3 訓練等の計画が策定されていない場合

訓練等の計画が策定されていない小規模作業所等において作業に従事する障害者については、次の(1)から(4)のいずれかに該当するか否かを、個別の事案ごとに作業実態を総合的に判断し、使用従属関係下にあると認められる場合には、労働基準法第9条の労働者であるものとして取り扱うこと。

(1) 所定の作業時間内であっても受注量の増加等に応じて、能率を上げるため作業が強制されていること

(2) 作業時間の延長や、作業日以外の日における作業指示があること

(3) 欠勤、遅刻・早退に対する工賃の減額制裁があること

(4) 作業量の割当、作業時間の指定、作業の遂行に関する指導命令違反に対する工賃の減額や作業品割当の停止等の制裁があること

4 その他

授産施設において作業を行う障害者の労働基準法第9条の適用については、昭和26年10月25日付け基収第3821号「授産事業に対する労働基準法の適用除外について」(以下「26年通達」という。)に従い判断しているところであるが、昭和26年当時と異なり、福祉の場における障害者の就労実態が大きく変化し、26年通達を適用する意義が失われていることから、26年通達は、本通達をもって廃止することとし、今後は、本通達に基づき判断すること。