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高年齢者雇用確保措置を講じていない企業等に対する集中的かつ効果的な指導の実施について
平成18年10月13日職高高発第1013001号
(各都道府県労働局職業安定部長あて厚生労働省職業安定局高齢・障害者雇用対策部高齢者雇用対策課長通知)
高年齢者等の雇用の安定等に関する法律の一部を改正する法律(平成16年法律第103号。以下「改正高齢法」という。)の一部の施行により、平成18年4月1日から、65歳未満の定年の定めをしている事業主は、高年齢者雇用確保措置(高年齢者等の雇用の安定等に関する法律(昭和46年法律第68号。以下「法」という。)第9条に規定する高年齢者雇用確保措置をいう。以下同じ。)を講じなければならないこととされたところであり、こうした改正高齢法の施行をはじめとした高齢者雇用施策の着実な推進について、多大な御尽力をいただき厚く感謝申し上げる。
法第52条第1項により、事業主に対し、6月1日現在の定年及び継続雇用制度の状況等の報告(以下「6月1日報告」という。)を義務づけており、各都道府県労働局(以下「各労働局」という。)、各公共職業安定所(以下「各安定所」という。)においては、提出された6月1日報告の内容確認等を行っていただいたところである。
この6月1日報告は、本年6月9日付けで本省より公表した300人以上規模企業における高年齢者雇用確保措置の実施状況と並んで、規模の小さい企業を含めた全体の実施状況を的確に把握し、その結果に基づき取組の遅れている企業に対し効果的な指導を行うための基礎資料として極めて重要な意義を有しているものである。このため、平成18年5月9日付け職高高発第0509001号「平成18年度高年齢者雇用状況報告事業に係る留意事項について」により示しているとおり、6月1日報告の内容のうち、高年齢者雇用確保措置の実施状況に係る部分については、早期に把握・集計を行ったところである。
こうした6月1日報告の早期集計により51人以上規模企業における高年齢者雇用確保措置の実施状況(以下「早期集計結果」という。)が明らかとなったことから、これを踏まえ、平成18年10月13日付け職高発第1013001号「高年齢者雇用確保措置の実施状況(6月1日報告結果)を踏まえた集中的な指導の実施について」により、早期集計結果の分析を踏まえた、高年齢者雇用確保措置を講じていない企業等に対する集中的かつ効果的な指導等の実施を、指示したところである。
その具体的な実施方法等については下記のとおりとするので、高年齢者雇用確保措置を講じていない企業の解消に向けて、特段の御配慮をお願いする。
記
1 効果的・効率的な指導の推進
改正高齢法に沿った高年齢者雇用確保措置を講じていない企業(以下「未実施企業」という。)等に対する指導に当たっては、早期集計結果をもとに、管内の規模別、産業別の高年齢者雇用確保措置の実施状況等を十分に分析の上、各労働局、各安定所の実情に応じ、以下の方策を積極的に実施するなど、最も効果的・効率的な指導が可能となるよう方針を策定して取組を進めること。
① 重点指導対象となる企業規模層を明確にした効率的な個別指導
地域の実情等に応じて、重点指導対象となる企業規模層を明確に定めた個別指導を実施し、同規模層の企業における高年齢者雇用確保措置の導入に目途が立ち次第、順次小規模層に指導の重点を移行させること。
② 取組の遅れている業種の事業主団体への協力要請
早期集計結果の分析を踏まえ、全国段階で取組の遅れている業種の事業主団体に対しては、傘下企業に対し高年齢者雇用確保措置の導入を働きかけるよう、今後、必要に応じ、本省幹部により協力要請を行うこととしており、各労働局でも、管内において取組が遅れている業種の事業主団体がある場合には、当該団体に対し、労働局又は安定所の幹部による協力要請を実施すること。
③ 局内指導体制の整備
未実施企業等が特定の地域に集中している場合には、当該地域を管轄する安定所のみでは、迅速な対応が困難である場合もあることから、労働局又は他の安定所による応援態勢を組むなど、当該企業に対する集中的な指導を早急に実施できるよう、必要に応じて効率的かつ効果的な指導体制を構築すること。
2 早期集計結果を踏まえた集中的かつ効果的な指導の実施
(1) 6月1日報告の内容からみた、集中的な個別指導の優先順位
6月1日報告の内容からみた個別指導の優先順位を次のとおりとするので、これを踏まえつつ、各労働局の実情やこれまでの指導経緯等に応じた計画的な指導を実施すること。
なお、その際には、①のイからハに該当する企業については、(2)に示すとおり、規模300人以上は原則として本年10月末までを目途に、少なくとも規模50人以上300人未満については原則として年内に必要な指導を実施することとし、それらに目途がつき次第、②のイに該当する企業からハに該当する企業へ順次、指導の重点を移すことを基本とすること。
① 62歳までの高年齢者雇用確保措置を講じていない企業のうち、
イ 改正高齢法に沿った定年の改定・廃止予定又は継続雇用制度の導入・改定予定(以下「改定予定」という。)がなく、それらを検討中でもない企業
ロ 高年齢者雇用確保措置を講じることを検討中の企業及び平成19年度以降に改正高齢法に沿った改定予定がある企業
ハ 平成18年度中に改正高齢法に沿った改定予定がある企業
② 62歳までの高年齢者雇用確保措置を講じている企業のうち、
イ 63歳以上までの改定予定がなく、それらを検討中でもない企業
ロ 63歳以上までの高年齢者雇用確保措置を講じることを検討中の企業及び平成19年度以降に63歳以上までの改定予定がある企業
ハ 平成18年度中に63歳以上までの改定予定がある企業
(2) 未実施企業に対する指導
各労働局においては、(1)の①に規定する未実施企業に対し、以下の①から③にも留意しつつ、各労働局、各安定所の幹部による直接訪問をはじめとして、集中的かつ効果的な指導を早急に実施すること。
特に、300人以上規模の未実施企業については原則として本年10月末までを目途に、少なくとも50人以上300人未満規模の未実施企業については原則として、年内に個別指導を計画的かつ確実に実施するようにすること。
今後、300人以上規模の未実施企業については、平成18年11月1日現在の高年齢者雇用確保措置の実施状況を、50人以上300人未満規模の未実施企業については、平成19年1月1日現在の高年齢者雇用確保措置の実施状況を把握し、当課あてに報告することとし、その段階では未実施企業が一つでも多く解消されるよう、必要に応じて複数回訪問指導を行うとともに、労働局幹部が自ら指導するなど個別指導が確実に効果をあげるための様々な工夫を講じて、計画的な指導を進めること。
① 未実施の事情の類型に応じた効果的な指導
高年齢者雇用確保措置の未実施企業については、取組が遅れている事情を十分把握・整理し、次のイからハを基本として類型ごとに適切な対処方針を策定の上、効果的な個別指導を実施すること。
イ 高年齢者雇用確保措置の実施に向けて「労使協議中」の企業については、協議の進捗状況を把握し、改正高齢法の施行から既に6カ月が経過しており早急に高年齢者雇用確保措置を実施する必要がある旨を十分に説明するとともに、真摯な協議が進められるよう、定期的な進捗状況の把握や助言・指導等を必要に応じ実施すること。
また、このうち、継続雇用制度の対象となる高年齢者に係る基準について、協議が調う目途が立たないと認められる場合には、労使間の協議に支障を来さないよう十分留意しつつ、当面は、法附則第5条第1項に基づき就業規則の策定等により対応することについても並行して検討するよう、必要に応じ助言すること。なお、この対応が可能なのは、事業主が労使協定のために真摯に努力した場合のみであることを併せて十分に説明すること。
ロ 当面、高年齢者雇用確保措置の対象者が出ない等の事情を理由として、高年齢者雇用確保措置の実施への意欲そのものが乏しい事業主については、労働局又は安定所の幹部自らの直接訪問等を通じて企業トップに対し改めて強力な働きかけを行うこと。
ハ 高年齢者雇用確保措置を実施していないものの「運用」により実施している企業、高年齢者雇用確保措置の導入については労使間で概ね合意しているが、賃金、退職金制度、人事管理制度等の見直しについてより具体的なアドバイスを求めている企業等については、高年齢者雇用アドバイザーの活用等を通じて、迅速な制度化に向けて具体的に助言・指導すること。
② 法に基づく文書指導や勧告の的確な実施
高年齢者雇用確保措置に関する取組の状況に応じ、法に基づく文書指導等を行うよう、平成18年4月3日付け職高発第0403016号「平成18年度における高年齢者雇用確保措置の推進等に係る指導について」等(以下「通知等」という。)により指示しているところであり、高年齢者雇用確保措置の実施に向けて何ら取組がなされていない企業に対しては、通知等に従って、「高年齢者雇用確保措置の実施に関する指導文書」や「高年齢者雇用確保措置の実施に関する勧告書」を効果的かつ積極的に発出すること。
③ 63歳までの高年齢者雇用確保措置の実施に向けた指導等
上記の個別指導の際には、改正高齢法に基づき、平成19年4月1日から63歳までの高年齢者雇用確保措置を講じることが義務づけられていることを併せて十分に説明し、当該措置の確実な実施に向けて指導等を行うこと。
(3) 未実施企業以外の企業に対する63歳までの高年齢者雇用確保措置の実施に向けた指導等
平成19年4月1日から63歳までの高年齢者雇用確保措置を講じることが義務づけられており、当該措置の確実な実施に向けて、個別指導等を行うよう、通知等により指示しているところであるが、各労働局ごとに、早期集計結果をもとに、管内の規模別、産業別の高年齢者雇用確保措置の実施状況等を十分に分析の上、通知等に従って、(1)の②に規定する63歳までの高年齢者雇用確保措置を講じていない未実施企業以外の企業に対し、個別指導、集団指導等を計画的に実施すること。