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通達:労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律施行令の一部改正に伴う医療関連業務への紹介予定派遣に係る取扱いについて

 

労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律施行令の一部改正に伴う医療関連業務への紹介予定派遣に係る取扱いについて

平成16年5月28日医総発第0528001号・医指発第0528001号・職需発第0528001号

(各都道府県衛生主管部(局)長あて厚生労働省医政局総務課長・厚生労働省医政局指導課長・厚生労働省職業安定局需給調整事業課長通知)

 

労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律施行令(昭和61年政令第95号)の一部改正により、これまで禁止してきた病院等における医療関連業務への労働者派遣について、紹介予定派遣の場合には実施可能となり、その概要等について「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律施行令の一部改正の施行について」(平成16年3月31日付け医政発第0331010号・職発第0331012号・老発第0331008号厚生労働省医政局長・職業安定局長・老健局長連名通知。以下「連名通知」という。)により、各都道府県知事あてに通知されたところである。

病院等における医療関連業務へ紹介予定派遣を受け入れるに際しては、6箇月を超えて同一の派遣労働者を受け入れてはならないこととされている(連名通知2(2)①参照)。しかし、ある派遣労働者の紹介予定派遣が直接雇用に至らなかった場合等、同一の業務に複数名の派遣労働者が継続して紹介予定派遣される場合が考えられ、そのような場合、「同一の派遣労働者」に係る6箇月の紹介予定派遣の派遣受入期間の制限とは別に、「同一の業務」に係る最長3年の派遣受入期間の制限(労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律(昭和60年法律第88号。以下「労働者派遣法」という。)第40条の2第1項から第5項まで)の適用を受けることとなる。この場合の派遣受入期間の制限の概要と「同一の業務」の解釈は以下のとおりであるので、管下市町村、関係団体等に周知をお願いしたい。

また、紹介予定派遣により医師等を受け入れた場合の医療法に基づく立入検査における医師等の員数の算定に係る考え方は以下のとおりであるので、併せて御留意いただき、関係者へ周知いただくようお願いする。

Ⅰ 派遣受入期間の制限について

1 派遣受入期間の制限の概要

(1) 派遣受入期間の制限

派遣先は、当該派遣先の「事業所その他派遣就業の場所ごとの同一の業務」について、最長3年を超えて継続して労働者派遣を受けてはならないこととされている(労働者派遣法第40条の2第1項から第3項まで)。

「同一の業務」における労働者派遣の受入れである限り、異なる派遣元事業主から、異なる派遣労働者を受け入れる場合であっても、最長3年を超えることはできない。

(2) 派遣受入期間が1年を超える場合の意見聴取

1年を超える期間労働者派遣を受けようとする場合は、派遣先の労働者の過半数で組織する労働組合等に対し意見聴取をした上で、3年以内の範囲において、労働者派遣を受けようとする期間を定めなければならない(労働者派遣法第40条の2第3項及び第4項)。

したがって、「同一の業務」において、6箇月以内の期間の紹介予定派遣を、複数の派遣労働者について継続して受け入れる場合については、1人目の紹介予定派遣の受入れから通算して1年を超えることが見込まれる時点までに意見聴取の手続が必要であり、また通算して3年を超えることができないこととなる。

 

図

 

2 「事業所その他派遣就業の場所」ごとの「同一の業務」の一般的解釈

(1) 「事業所その他派遣就業の場所」の一般的な解釈

派遣受入期間の制限に係る「事業所その他派遣就業の場所」とは、一般に、課、部、事業所全体等、①場所的に他の部署と独立していること、②経営の単位として人事、経理、指導監督、労働の態様等においてある程度の独立性を有すること、③一定期間継続し、施設としての持続性を有すること等の観点から、実態に即して判断する。

(2) 「同一の業務」の一般的な解釈

「同一の業務」とは、一般に、派遣先における組織の最小単位において行われる業務は、同一の業務であるとみなしているところである。なお、この場合における最小単位の組織としては、業務の内容について指示を行う権限を有する者と、その者の指揮を受けて業務を遂行する者とのまとまりのうち最小単位のものをいう。係又は班のほか、課、グループ等が該当する場合もあり、名称にとらわれることなく実態に即して判断する。

3 医療関連業務における具体例

(1) 「事業所その他派遣就業の場所」について

具体的には、実態に即して判断されるが、医療機関について、場所的な独立性、経営の単位としての独立性、施設としての持続性等を勘案すれば、一般的には、病院、診療所等の各施設が「事業所その他派遣就業の場所」となるものと考えられる。

(2) 「同一の業務」について

具体的には、実態に即して判断されるが、医療機関における業務の内容や組織の単位等を勘案すれば、一般的には、例えば、以下のようになるものと考えられる。

① 医師又は歯科医師の例

(ア) 各診療科ごとに科長、医長等が任命され、その診療科内の医師(又は歯科医師)全体が統括されており、各医師(又は歯科医師)が業務や時間帯等を交代しながらその診療科の業務全体を実施している場合は、各医師(又は歯科医師)を統括する科長、医長等とその指揮を受けて業務を遂行する医師(又は歯科医師)とのまとまりが組織の最小単位であると考えられ、各診療科ごとの科長、医長等と医師(又は歯科医師)のグループにより遂行される業務全体が「同一の業務」であると判断される。

(イ) 一診療科に、外来医長、病棟医長等の複数の長が任命され、その診療科内の医師(又は歯科医師)がそれぞれ外来担当、病棟担当等に明確に区分されて統括されており、各医師(又は歯科医師)が業務や時間帯等を交代しながら所属する担当の業務全体を実施している場合は、外来、病棟等のそれぞれの医師(又は歯科医師)を統括する外来医長、病棟医長等とその指揮を受けて業務を遂行する医師(又は歯科医師)とのまとまりが組織の最小単位であると考えられ、外来医長と外来担当の医師(又は歯科医師)とのグループ、病棟医長と病棟担当の医師(又は歯科医師)とのグループ等により遂行される業務全体のそれぞれが「同一の業務」と判断される。

なお、一診療科に科長、医長等の下に、外来医長、病棟医長等の複数の長が任命されている場合であっても、その診療科内の医師(又は歯科医師)の担当する業務が明確に区分されておらず、一の医師(又は歯科医師)が業務ごとや時間帯等によって外来医長、病棟医長等の複数の長からの指揮を受けて業務を実施する場合は、外来医長、病棟医長等と医師(又は歯科医師)のグループにより遂行される業務全体が「同一の業務」であるとは判断されず、(ア)の考え方により、各診療科ごとの業務全体が「同一の業務」と判断されるかを検討する必要がある。

(ウ) 診療所等で科長、医長等が任命されておらず、各医師(又は歯科医師)が診療所長等である医師(又は歯科医師)から直接指揮を受けて業務や時間帯等を交代しながら、その業務全体を実施している場合は、当該業務の内容について指示を行う診療所長等と、その指揮を受けて当該業務を遂行する医師(又は歯科医師)とのまとまりが組織の最小単位であると考えられることから、当該業務の内容について指示を行う診療所長等と当該業務を行う医師(又は歯科医師)のグループにより遂行される業務全体が「同一の業務」であると判断される。

② 看護師の例

(ア) 各病棟ごとに看護師長が任命され、当該看護師長にその病棟の看護師全体が統括されており、各看護師が業務や時間帯等を交代しながらその病棟の業務全体を実施している場合は、各看護師を統括する看護師長とその指揮を受けて業務を遂行する看護師とのまとまりが組織の最小単位であると考えられ、各病棟ごとの看護師長と看護師のグループにより遂行される業務全体が「同一の業務」であると判断される。

(イ) 各外来ごとに看護師長が任命され、当該看護師長にその外来の看護師全体が統括されており、各看護師が業務や時間帯等を交代しながらその外来の業務全体を実施している場合は、各看護師を統括する看護師長とその指揮を受けて業務を遂行する看護師とのまとまりが組織の最小単位であると考えられ、各外来ごとの看護師長と看護師のグループにより遂行される業務全体が「同一の業務」であると判断される。

(ウ) 診療所等で看護師長が任命されておらず、各看護師が医師から直接指揮を受けて業務や時間帯等を交代しながら、その業務全体を実施している場合は、当該業務の内容について指示を行う医師と、その指揮を受けて当該業務を遂行する看護師とのまとまりが組織の最小単位であると考えられることから、当該業務の内容について指示を行う医師と当該業務を行う看護師のグループにより遂行される業務全体が「同一の業務」であると判断される。

③ 臨床検査技師等の例

(ア) 臨床検査技師等が検査部等に所属し、技師長等により検査部等に属する臨床検査技師等全体が統括されており、各臨床検査技師等が業務や時間帯等を交代しながら検査部等の業務全体を実施している場合は、各臨床検査技師等を統括する技師長等とその指揮を受けて業務を遂行する臨床検査技師等とのまとまりが組織の最小単位であると考えられ、技師長等と臨床検査技師等のグループにより遂行される業務全体が「同一の業務」であると判断される。

(イ) 臨床検査技師等が各診療科に所属し、その診療科に所属する業務の内容について指示を行う権限を有する者から指揮を受ける場合は、診療科内における業務の内容について指示を行う者と、その指揮を受けて当該業務を遂行する者とのまとまりが組織の最小単位であると考えられることから、各診療科の業務の内容について指示を行う者と各診療科の当該業務を行う臨床検査技師等のグループにより遂行される業務全体が「同一の業務」であると判断される。

Ⅱ 医療法に定める医師等の員数の算定方法について

紹介予定派遣により病院等に勤務する医師等について、医療法第25条の規定に基づく立入検査において病院の医師等の員数を算定する際には、当該医師等の勤務の実態により、「医療法第25条第1項の規定に基づく立入検査の要綱について」(平成13年6月14日付け医薬発第637号・医政発第638号厚生労働省医薬局長・医政局長連名通知。以下「立入検査要綱」という。)の算定の方法によることとし、具体的には、原則として病院で定めた医師等の勤務時間のすべてを勤務する者については常勤医師等、それ以外の者については非常勤医師等とみなし、立入検査要綱の「非常勤医師の常勤換算」に定める方法により算定する。