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港湾労働法の一部を改正する法律の施行等について
平成12年8月11日職発第539号
(関係都府県労働局長あて労働省職業安定局長通知)
平成12年8月11日付け労働省発職第172号労働事務次官通達)により、労働事務次官から貴職あて通達したところである。また、港湾労働法施行規則の一部を改正する省令(平成12年労働省令第34号)が本日公布され、本年10月1日から施行されることとなったところであるが、これらの法令の施行後における港湾労働法(昭和63年法律第40号。以下「法」という。)の施行に係る業務の詳細については下記によることとしたので、その実施に遺漏なきよう御配意願いたい。
記
第1 法の施行に関する留意事項
1 法の目的(法第1条関係)
法は港湾労働者の雇用の改善、能力の開発及び向上等に関する措置を講ずることにより、港湾運送に必要な労働力の確保に資するとともに、港湾労働者の雇用の安定その他の港湾労働者の福祉の増進を図ることを目的としていること。
2 法の適用範囲(法第2条関係)
(1) 港湾(法第2条第1号関係)
法の適用の対象となる港湾は、港湾における荷役量、港湾労働者の数等を考慮して、国民経済上に占める港湾の重要性及び必要労働力の確保その他港湾労働者の雇用の安定等に関する特別の措置を実施する必要がともに高い港湾である東京、横浜、名古屋、大阪、神戸、及び関門の各港湾であること(港湾労働法施行令(昭和63年政令第335号。以下「施行令」という。)第1条)。
また、適用港湾の水域は施行令別表の下欄に掲げるとおりであること。
(2) 港湾運送(法第2条第2号関係)
イ 法の適用の対象となる港湾運送とは、(1)の港湾において行う次に掲げる行為であること。
(イ) 港湾運送事業法(昭和26年法律第161号)第2条第1項に規定する港湾運送のうち、船内荷役、はしけ運送、沿岸荷役及びいかだ運送の各行為
(ロ) (イ)の行為と本質的機能を同じくするとともに、港湾運送の波動性の影響を受ける等労働の態様が港湾運送と類似し、実際に港湾運送との間に労働者の相互の流動がみられる行為である次に掲げる行為であって、他人の需要に応じて行うもの(施行令第2条)
a 船舶に積み込まれた貨物の位置の固定若しくは積載場所の区画又は船積貨物の荷造り若しくは荷直し
b (イ)の行為に先行し、又は後続する船倉の清掃
c 船舶若しくははしけにより若しくはいかだに組んで運送された(1)の港湾の水域の沿岸からおおむね500メートル(東京及び大阪の港湾にあっては200メートル)の範囲内において労働大臣が指定した区域内にある倉庫(船舶若しくははしけにより又はいかだに組んでする運送に係る貨物以外の貨物のみを通常取り扱うものを除く。以下「港湾倉庫」という。)への搬入(上屋その他の荷さばき場から搬出された貨物の搬入であって、港湾運送事業法第2条第3項に規定する港湾運送関連事業のうち同項第1号に掲げる行為に係るもの若しくは同法第3条第1号から第4号までに掲げる事業又は倉庫業法第2条第2項に規定する倉庫業のうち港湾倉庫に係るものを営む者(以下「港湾運送関係事業者」という。)以外の者が行うものを除く。)、船舶若しくははしけにより若しくはいかだに組んで運送されるべき貨物の港湾倉庫からの搬出(上屋その他の荷さばき場に搬入すべき貨物の搬出であって、港湾運送関係事業者以外の者が行うものを除く。)又は貨物の港湾倉庫における荷さばき。ただし、冷凍倉庫の場合にあっては、貨物の当該倉庫に附属する荷さばき場から冷蔵室への搬入、冷蔵室から当該倉庫に附属する荷さばき場への搬出及び冷蔵室における荷さばきを除く。
d 道路運送車両法第2条第1項に規定する道路運送車両若しくは鉄道(軌道を含む。)(以下「車両等」という。)により運送された貨物の港湾倉庫若しくは上屋その他の荷さばき場への搬入(港湾運送関係事業者以外の者が行う当該貨物の搬入を除く。)又は車両等により運送されるべき貨物の港湾倉庫若しくは上屋その他の荷さばき場からの搬出(港湾運送関係事業者以外の者が行う当該貨物の搬出を除く。)。ただし、冷蔵倉庫の場合にあっては、貨物の当該倉庫に附属する荷さばき場から冷蔵室への搬入及び冷蔵室から当該倉庫に附属する荷さばき場への搬出を除く。
ロ イの(ロ)のaの「船舶に積み込まれた貨物の位置の固定若しくは積載場所の区画」とは、船舶に積み込まれた貨物の移動又は荷くずれ等を防止するために行う支持または固縛の行為であって、通常ラッシング又はショアリングと呼ばれているものをいい、「船積貨物の荷造り若しくは荷直し」とは、船内、岸壁又は上屋等の荷さばき場において行われる船積貨物の梱包、袋詰め等の荷造り若しくは荷の詰め替え又は包装の修理等の荷直しの行為をいうものであること。
ハ イの(ロ)のbの「(イ)の行為に先行し、又は後続する船倉の清掃」とは、船倉(タンクを含む。)の清掃をいい、船員の居住区域、機関区域、燃料タンク、飲料水タンク等直接港湾運送事業の業務と関係のない区域の清掃の行為は含まないものであること。
ニ イの(ロ)のc及びdにおいて法の適用の対象となる「港湾倉庫」については、次のとおりとすること。
(イ) 「港湾倉庫」とは、次のいずれにも該当する倉庫であること。
a 労働大臣が指定した区域にあること。
b 船舶若しくははしけにより又はいかだに組んでする運送に係る貨物以外の貨物のみを通常取り扱うものではないこと。
(ロ) 「労働大臣が指定した区域」については、昭和63年労働省告示第101号をもって定めるところであること。
(ハ) 「船舶若しくははしけにより又はいかだに組んでする運送に係る貨物以外の貨物のみを通常取り扱う」倉庫以外の倉庫とは、最近1年間における入出庫高の実績により、次の算式により算定した数値がおおむね10を超える倉庫をいうこと。
((海からの入庫量+海への出庫量)/総入出庫量)×100
(注) 「海からの入庫量+海への出庫量」とは、船舶若しくははしけにより又はいかだに組んで運送された貨物の当該倉庫への搬入及び船舶若しくははしけにより又はいかだに組んで運送されるべき貨物の当該倉庫からの搬出に係る貨物量をいう。
なお、最近1年間における入出庫高の実績については、毎年1回、おおむね年度ごとに、過去1年間における入出庫品の実績に基づいて判定すること。
(ニ) 適用の対象とすべき倉庫を具体的に決定するに当たっては、各港湾における倉庫荷役の実態、当該倉庫に隣接する倉庫に対する法の適用状況、業界の協力体制等を総合的に勘案しつつ、公共職業安定所長が管轄運輸局長の意見を聴いて判断すること。
(ホ) 公共職業安定所長は、上記に示したところにより適用すべき倉庫を決定したときは、当該倉庫にその旨通知すること。
ホ イの(ロ)のcのいわゆる倉庫海側荷役については、次のとおりとすること。
(イ) 「船舶若しくははしけにより若しくはいかだに組んで運送された貨物の港湾倉庫への搬入」には、単に港湾倉庫に運び入れる作業だけでなく、港湾倉庫にはいつける作業まで含まれるものであること。
(ロ) 「船舶若しくははしけにより若しくはいかだに組んで運送されるべき貨物の港湾倉庫からの搬出」には、単に港湾倉庫から運び出す作業だけでなく、港湾倉庫ではいくずす作業まで含まれるものであること。
(ハ) 「上屋その他の荷さばき場から搬出された貨物の搬入」及び「上屋その他の荷さばき場へ搬入すべき貨物の搬出」については、港湾運送関係事業者が行う場合に限り、法の適用の対象となるが、港湾運送関係事業者であるか否かの判断については、次により行うこと。
a 法は、当該公共職業安定所の管轄区域内において港湾運送関係事業者として行う行為について適用されるものであること。
したがって、当該公共職業安定所の管轄区域以外の区域において港湾運送関係事業を行う事業者であっても、当該公共職業安定所の管轄区域においては港湾運送関係事業を行わないものについては、適用の対象とならない。
b 特定の公共職業安定所の管轄区域内において、港湾運送関係事業とこれ以外の事業を併せて行っている事業者の場合であって、労務管理体制が業種別に明確に分離されているときにおいては、港湾運送関係事業以外の事業の部門の労働者を使用して行う行為については、適用の対象とならないこと。
c 特定の公共職業安定所の管轄区域内において、支店、出張所等同一事業者の事業所が2以上ある場合において、これを1つの事業者として取り扱うか否かの判断については、求人申込みの取扱いのほか、経営(又は業務)の単位としてある程度独立しているか、事業所の施設が独立しており、かつ、一定期間継続して施設としての持続性を有する者であるか等により判断すること。
(ニ) 「貨物の港湾倉庫における荷さばき」とは、はい替え、仕訳け(特殊仕訳けを除く。)、看貫及び庫移しの作業を指すこと。
この場合において、「貨物」とは、船舶若しくははしけにより又はいかだに組んでする運送に係る貨物だけでなく、当該倉庫にあるすべての貨物をいうものであること。
(ホ) 冷蔵倉庫に係る海側倉庫荷役については、冷蔵倉庫に附属する荷さばき場(冷蔵倉庫のプラットホーム等冷蔵室における作業に従事する労働者がその作業の一環として従事する場所をいう。以下同じ。)と冷蔵室との間における荷役作業及び冷蔵室における荷さばきの作業に限り、法を適用しないことにしたものであって、いわゆる水切りをした貨物をプラットホームに搬入する作業、冷蔵室外における荷さばき等それ以外の作業については、法の適用があること。
(ヘ) 港湾倉庫以外の倉庫に係る寄託契約による貨物についてのはしけへの積込み又ははしけからの取卸し(いわゆる水切り作業)については、当該倉庫に係る倉庫荷役として取り扱うものであること。
ヘ イの(ロ)のdのいわゆる倉庫山側荷役については、次のとおりとすること。
(イ) 「貨物の港湾倉庫又は上屋その他の荷さばき場への搬入」には、単に港湾倉庫又は上屋その他の荷さばき場に運び入れる作業だけでなく、はいつける作業まで含まれるものであること。
(ロ) 「貨物の港湾倉庫又は上屋その他の荷さばき場からの搬出」には、単に港湾倉庫又は上屋その他の荷さばき場から運び出す作業だけでなく、はいくずす作業まで含まれるものであること。
(ハ) 冷蔵倉庫に係る倉庫山側荷役については、ホの(ホ)と同様であること。
ト 港湾運送事業法第2条第1項に規定する港湾運送の中には、検数(第6号)、鑑定(第7号)及び検量(第8号)の各行為が含まれているが、これらについては適用対象としていないので留意すること。
チ 「港湾運送」には、次の業務に係る行為は含まれないものであること。
(イ) 事務所、住宅、興行場、駐車場、遊園地等における盗難等の事故の発生を警戒し、防止する業務
(ロ) 人若しくは車両の雑踏する場所又はこれらの通行に危険のある場所における負傷等の事故の発生を警戒し、防止する業務
(ハ) 運搬中の現金、貴金属、美術品等に係る盗難等の事故の発生を警戒し、防止する業務
(ニ) 人の身体に対する危害の発生を、その身辺において警戒し、防止する業務
(3) 事業主(法第2条第3号関係)
法の適用の対象となる「事業主」とは、(2)の港湾運送を行う事業の事業主をいうものであるが、港湾運送事業法第3条第1号の一般港湾運送事業の事業主も、船内荷役、はしけ運送、沿岸荷役及びいかだ運送のすべてを行う事業の事業主であるので、法にいう「事業主」に含まれるものであること。
(4) 港湾労働者(法第2条第4号関係)
イ 「港湾労働者」とは、(2)の港湾運送の業務に直接従事する労働者(船員職業安定法第6条第1項に規定する船員を除く。)のみを指すものであって、次に掲げる者は、港湾運送の事業に使用される労働者であっても、法にいう「港湾労働者」には含まれないものであること。
(イ) 事務所に使用される事務又は技術の職員
(ロ) 現場職員(作業全般の企画に関する事務、貨物の荷主からの受取り又は荷主への引渡し、荷役機械の保守管理の業務、事務所と作業場との連絡等の業務に従事する労働者)
ロ なお、事業の種類別に港湾労働者の範囲に含まれるものを示すと、おおむね次のとおりであること。
(イ) 船内荷役
a 船内基幹労働者
(a) デッキマン 通常ギャング又はハッチの責任者であり、現場監督の指揮監督を受けて、甲板で、船倉の状況を監督しながらウインチマン、ハッチマンを指揮監督して、貨物の積卸作業を安全かつ能率的に進めるための職務を行う労働者
(b) ウインチマン 本船についている起重機(クレーン)又は巻揚機(ウインチ)をデッキマンの指揮により運転操作して貨物の積卸作業を行う労働者
b 船内一般労働者 船倉又ははしけ内においてモッコ、ワイヤー、バケット等により貨物の積卸作業を直接行う労働者
(ロ) 沿岸荷役
a ギャング責任者等
(a) 現場の1個作業班の責任者であり、現場監督の指揮監督を受け、ギャングの作業遂行を指揮監督する組長、世話役等と呼ばれる労働者
(b) ギャング責任者の補佐的職務を行い、作業単位が細分化される場合、その責任者となる小頭、副小頭と呼ばれる労働者
b 沿岸荷役機械運転手 起重機、巻揚機、フォークリフト等の運転に従事する労働者
c 沿岸一般労働者 水揚げ、横持ち、袋詰め等の沿岸荷役作業に直接従事する労働者
(ハ) はしけ運送
a はしけ船夫 はしけ(独航はしけを含む。以下同じ。)に乗り組み、はしけの維持管理、貨物の積卸しのためのはしけの準備、積荷の保管等の職務を行う労働者
b 汽艇員 引船、独航はしけに乗り組む労働者で、船員職業安定法第6条第1項に規定する船員以外のもの。この場合、船員法施行規則第4章の規定により船員手帳の交付を受けている者であっても、船員法第1条第2項に規定する引船、独航はしけに乗り組むため、船員職業安定法第6条第1項に規定する船員でない者が存在することに注意すること。
(ニ) いかだ運送
いかだ労働者 現場監督の指揮監督を受けて、いかだの編成、解体、航行中の保守等の作業を直接行う労働者
(ホ) 船舶貨物整備業
a 基幹労働者 デッキマン及びウインチマン(船内基幹労働者に準ずる。)
b 一般労働者 現場監督の指揮監督を受けて貨物の位置の固定、積載場所の区画、荷造り、荷直し又は船倉の清掃を行う労働者
(5) 港湾労働者派遣事業(法第2条第5号関係)
法に定める港湾労働者派遣事業とは、(3)の事業主が港湾運送の業務について、労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律(昭和60年法律第88号。以下「労働者派遣法」いう。)第2条第5号に規定する特定労働者派遣事業を行うものであること。
3 港湾雇用安定等計画(法第3条関係)
(1) 計画の策定及び公表(法第3条第1項、第4項関係)
港湾運送に必要な労働力を確保するとともに、港湾労働者の雇用の安定その他の福祉の増進を図るためには、港湾労働者の雇用改善並びに能力の開発及び向上に関し、国が行う措置と事業主及び港湾労働者雇用安定センター(6参照)が行う措置とが、整合的かつ計画的に実施されるとともに、これらの措置との調和の下に国及び港湾労働者派遣制度による労働力の需給の調整が適正に実施される必要があることから、労働大臣は、港湾ごとに、港湾労働者の雇用の安定その他の港湾労働者の福祉の増進に関する港湾雇用安定等計画を策定し、これを公表するものとしていること。
(2) 計画の内容(法第3条第2項関係)
港湾雇用安定等計画において定める事項は、次のとおりであること。
イ 港湾労働者の雇用の動向に関する事項
ロ 労働力の需給の調整の目標に関する事項
ハ 港湾労働者の雇用の改善、能力の開発及び向上を促進するための方策に関する事項
ニ 港湾労働者派遣事業の適正な運営を確保するための方策に関する事項
(3) 関係審議会への諮問等(法第3条第3項関係)
港湾雇用安定等計画は、港湾労働対策の実施に関する基本的事項を定めるものであるため、労働大臣がこれを定めるに当たっては、あらかじめ中央職業安定審議会及び港湾調整審議会の意見を聴くとともに、必要に応じて関係都道府県知事その他関係行政機関の意見を聴くこととして、関係者の意見を反映させる措置を講じていること。
(4) 計画期間
港湾雇用安定等計画の計画期間は、計画の中で定めることとなるが、原則として5年とし、中長期的な観点から策定するものであること。
4 港湾労働者の雇用の改善、能力の開発及び向上等(法第3章関係)
(1) 関係者の責務(法第4条、第5条関係)
イ 事業主の責務(法第4条関係)
(イ) 事業主は、募集、雇入れ及び配置を計画的に行うことその他の港湾労働者の雇用の改善に資する措置を講ずるとともに、港湾運送の業務の遂行に必要な能力を付与するための教育訓練を行うことにより、港湾労働者の安定した雇用の確保その他の港湾労働者の福祉の増進に努めなければならないこととしていること。
また、事業主及びその団体は、港湾労働者の安定した雇用の確保その他の港湾労働者の福祉の増進に関し、相互に協力するように努めなければならないこととしていること。
(ロ) 港湾労働者の安定した雇用の確保その他の港湾労働者の福祉の増進を図るためには、事業主等の自主的な取組みに待つべきところが大きいと考えられるので、会議等の機会を活用しつつ、規定の趣旨が全うされるよう行政指導に十分意を用いられたいこと。
ロ 国、地方公共団体等の責務(法第5条関係)
(イ) 国及び地方公共団体は、事業主及びその団体の自主的な努力を尊重しつつ、その実情に応じてこれらの者に対し必要な援助を行うこと等により、港湾労働者の雇用の安定その他の港湾労働者の福祉の増進に努めなければならないこととしていること。
また、国及び雇用・能力開発機構は、港湾労働者に対し事業主が行う教育訓練の円滑な実施に資するため、必要な職業訓練の効果的な実施について特別の配慮をするものとしていること。
(ロ) これに伴う国の援助措置としては、雇用・能力開発機構法に基づく雇用・能力開発機構の一般業務として、港湾労働者を雇い入れる事業主等を雇用促進融資の対象とし、港湾労働者用の住宅その他の福祉施設の建設を助成することとしていること。
(2) 雇用管理者(法第6条関係)
イ 雇用管理者の選任(法第6条第1項関係)
(イ) 事業主は、次に掲げる事項を管理させるため、港湾運送の業務を行う事業所ごとに、雇用管理者を選任しなければならないこととしていること(港湾労働法施行規則(昭和63年労働省令第35号。以下「施行規則」という。)第1条、第2条)。
a 港湾労働者の募集、雇入れ及び配置に関する事項
b 港湾労働者の教育訓練に関する事項
c 港湾労働者の雇用の安定その他の港湾労働者の福祉の増進を図るために事業主が行う労働時間等の労働環境の改善に関すること。
d 法第7条第1項の規定による勧告を受けた場合にあっては、当該勧告に係る公共職業安定所との連絡に関すること並びに同条第2項の雇用管理に関する計画の作成及び当該計画の円滑な実施に関すること。
(ロ) 雇用管理者は、各企業の内部において、港湾労働者の雇用管理に関する事項を管理させるために、事業主が選任するものであること。また、その選任によって、法令上事業主に義務づけられている雇用管理に関する事項についての責任が雇用管理者に移行するものではないこと。
(ハ) 選任の単位となる「事業所」とは、事業(営利の目的をもって行われるか否かを問わず、一定の場所において一定の組織の下に有機的に相関連して行われる一体的な経済活動をいう。)を場所的、施設的な面においてとらえたものであり、雇用保険法施行規則第3条の「事業所」と同一の概念であること。
すなわち、事業主に雇用されている港湾労働者の勤務する場所又は施設がすべて事業所に該当するものではなく、それが一の事業所として取り扱われるか否かは、次のaからcまでに該当するか否かによって判断すべきものであること。
a 場所的に他の(主たる)事業所から独立していること
b 経営(又は業務)単位としてある程度の独立性を有すること。すなわち、人事、経理、経営(又は業務)上の指導監督、労働の態様等においてある程度の独立性を有すること
c 一定期間継続し、施設としての持続性を有すること
(ニ) 雇用管理者の選任の方法については、法令上特に規定されておらず、辞令交付による任命、口頭による任命等その方法は事業主に任されていること。
(ホ) 雇用管理者の資格については、法令上特に規定されていないが、適正な雇用管理の実効を期するため、たとえば、社会保険労務士等労働に関する資格を有する者、雇用管理について相当の実務経験を有する者等が望ましいものであること。
(ヘ) 特に、小規模な企業において、事業主又はその代表者が自ら港湾労働者の雇用管理を行うことができる場合は、自ら雇用管理者としてその職務を行うこととして差し支えないものであること。
(ト) なお、港湾労働者派遣事業の許可を受けている事業所においては、派遣元責任者又は派遣先責任者と兼任する者を選任することも差し支えないものであること。
ロ 雇用管理者が管理すべき事項(法第6条第1項関係)
(イ) イの(イ)のaの「港湾労働者の募集、雇入れ及び配置に関する事項」とは、次の事項をいうものであること。
a 法第10条第1項の規定による公共職業安定所に対する求人の申込み、職業安定法第36条の規定による直接募集の届出、同法第37条第1項の規定による委託募集の許可の申請等港湾労働者の募集に関すること
b 港湾労働者の採用計画の策定、法第9条第1項の規定による港湾労働者の雇用の届出、法第10条第2項の規定による日雇労働者の雇用の届出、労働基準法第15条第1項の規定による労働条件の明示等港湾労働者の雇入れに関すること
c 職業適性検査、職場適応訓練の実施、配置転換等港湾労働者の配置に関すること
(ロ) イの(イ)のbの「港湾労働者の教育訓練に関する事項」とは、次の事項をいうものであること。
a 港湾労働者の教育訓練計画の策定に関すること
b 港湾労働者に対する技能実習その他の職業訓練の実施に関すること
c 職業訓練又は技能検定への港湾労働者の派遣に関すること
d 港湾労働者の技能評価に関すること
e その他の港湾労働者の職業能力の開発及び向上に関すること
ハ 雇用管理者の資質の向上(法第6条第2項関係)
(イ) 事業主は、雇用管理者について、必要な研修を受けさせる等雇用管理に関する事項を管理するための知識の習得及び向上を図るように努めなければならないこととしていること。
(ロ) (イ)に係る指導に当たっては、港湾労働者雇用安定センターが実施する雇用管理者研修を受講するよう指導すること。
(3) 雇用管理に関する勧告等(法第7条関係)
イ 雇用管理に関する勧告(法第7条第1項関係)
(イ) 公共職業安定所長は、当該港湾に係る港湾雇用安定等計画に定める事項に照らして、事業主が行う雇用管理について、その改善を図る必要があると認めたときは、当該事業主に対し必要な勧告をすることができることとしていること。
(ロ) 雇用管理に関する勧告は、港湾運送に必要とされる良質な技能労働力を安定的に確保するために重要である港湾労働者の雇用管理の改善を進めるに当たって、これまで事業主自身の努力のみによっては雇用管理の改善が十分に行われて来なかったという状況を勘案し、雇用管理に関する事項の改善に対する取組が十分でない事業主に対し、その改善を促そうとするものであること。
(ハ) 公共職業安定所長は、次のいずれかに該当する場合には、事業主に対して雇用管理に関する指導を精力的に行うものとすること。この場合、次のいずれかに該当するか否かの判断は、法第11条の規定により事業主が毎月公共職業安定所長に対して行う報告に基づいて行うこと。
a 当該事業主の事業所における港湾労働者の入職率及び離職率のいずれもが著しく高いとき。
b 当該事業主の事業所において行われる技能作業に係る就労延日数のうち、労働者派遣により受け入れた派遣労働者及び日雇労働者の就労延日数の割合が著しく高いとき。
c 当該事業主の事業所において行われる港湾運送の業務に係る就労延日数のうち、日雇労働者の就労延日数の割合が著しく高いとき。
d 当該事業主の事業所において港湾労働者派遣の役務の提供を受けるに当たって、港湾労働者雇用安定センターに対し、労働者派遣契約の締結についてのあっせんを求めていないとき。
(ニ) 公共職業安定所長は、(ハ)に基づく事業主に対する指導によっても改善が認められないときは、都府県労働局を通じ、次の事項を労働省に報告し、その了解を得た上で、当該事業主に対して雇用管理に関する勧告を行うものとすること。
a 当該事業主の事業所における雇用管理の実施状況及び問題点
b 当該事業主に対する指導の経緯及び改善状況
c 当該事業主に対して行うことが適当な勧告の内容
(ホ) 雇用管理に関する勧告は、当該勧告の対象となる事業主の事業所における港湾労働者の募集、雇入れ、配置、教育訓練等について、当該事業所における雇用管理の実施状況を踏まえて計画的に実施する必要がある旨を、書面により、勧告するものとすること。
(ヘ) 公共職業安定所長は、雇用管理に関する勧告を行ったときは、都府県労働局を通じて労働省に当該勧告の写しを送付すること。
ロ 雇用管理に関する計画(法第7条第2項関係)
(イ) イの(ホ)により雇用管理に関する勧告を受けた事業主は、必要に応じ雇用管理に関する計画を作成するものとしていること。
(ロ) 公共職業安定所長は、イの(ホ)により事業主に対して雇用管理に関する勧告を行うに当たっては、当該事業主に対し次の点について十分理解を深めるよう指導を行うものとすること。
a 港湾労働者の雇用管理の改善の必要性
b 雇用管理に関する勧告の趣旨
c 当該事業主の事業所における港湾労働者の雇用管理の問題点及び改善の方向
d 雇用管理に関する計画の作成
(ハ) 事業主が作成する雇用管理に関する計画に定めるべき事項は、次のものであること。
a 港湾労働者の採用計画
b 港湾労働者の配置、処遇計画
c 港湾労働者の教育訓練計画
ハ 雇用管理に関する助言・援助(法第7条第3項関係)
(イ) 公共職業安定所長は、雇用管理に関する勧告に関し、並びに雇用管理に関する計画の作成及びその円滑な実施に関し、必要な助言その他の援助を行うものとしていること。
(ロ) 公共職業安定所長が行う助言・援助は、次のことを行うものとすること。
a 適格な港湾労働者の採用に資するよう求人・求職の実態に係る情報を提供すること
b 港湾労働者の適正配置に必要な適性検査の実施について援助すること
c 港湾労働者の職業能力の開発及び向上を図るため、公共職業訓練施設を紹介すること
(ハ) なお、助言・援助の対象となる事業主の事業所における雇用管理の実態に即して、(ロ)のaからcまでに掲げる事項以外の事項であって、港湾労働者の募集、雇入れ、配置、教育訓練その他港湾労働者の雇用管理に関するものについても、必要に応じて助言・援助を行うものとすること。
(ニ) 雇用管理は、基本的に、事業主の自主性に基づいて行われるべきものであり、公共職業安定所長による雇用管理に関する勧告その他助言・援助等は事業主の自主的な雇用管理の改善を促進し、援助するために行うものであるので、勧告その他助言・援助等を行うに当たっては、この趣旨を十分に踏まえ、事業主が行う雇用管理に介入することのないよう留意すること。
(4) 職業紹介(法第8条関係)
イ 公共職業安定所は、港湾運送の業務に関する職業紹介については、当該港湾に係る港湾雇用安定等計画の定めるところに即して、迅速かつ的確に行うよう努めなければならないものとしていること。
ロ 公共職業安定所において港湾運送の業務に関する職業紹介を行うに当たっては、適格な求職者の紹介、求人・求職情報の積極的な提供に努めること等により、迅速かつ的確な職業紹介の実施に努められたいこと。
(5) 港湾労働者の雇用の届出等(法第9条関係)
イ 港湾労働者の雇用の届出(法第9条第1項関係)
(イ) 事業主は、その雇用する労働者(日々又は2月以内の期間を定めて雇用する労働者(以下「日雇労働者」という。)を除く。)を港湾運送の業務に従事させようとするときは、その者の氏名、港湾運送の業務に従事させる期間その他労働省令で定める事項を公共職業安定所長に届け出なければならないこととしていること。
(ロ) 港湾労働者の雇用の届出を事業主に義務づけることとしているのは、港湾運送に必要な労働力の迅速かつ的確な需給調整を確保するとともに、港湾における日雇労働者の就労に第三者が介入することを排除するために、事業主が日雇労働者として港湾運送の業務に従事させる労働者について公共職業安定所の紹介を受けることを原則としており、その実効を確保するために、公共職業安定所において当該港湾における港湾労働者全体を把握するためのものであること。
(ハ) 事業主が届け出るべき事項として労働省令で定める事項は、次のとおりであること(施行規則第3条第1項)。
a 届出に係る労働者に関する次に掲げる事項
(a) 生年月日、性別及び住所
(b) 雇入年月日及び雇用期間
(c) 主として従事する業務
(d) 港湾労働者派遣の派遣対象労働者である場合には、その旨
(e) 雇用保険及び健康保険その他の社会保険の適用の状況
b 届出に係る労働者を港湾運送の業務に従事させる事業所の名称及び所在地
c 届出に係る労働者が港湾運送の業務に従事する港湾
(ニ) 港湾労働者の雇用の届出は、港湾労働者雇用届(施行規則様式第1号)を管轄公共職業安定所長に提出することによって行わなければならないこととしていること(施行規則第3条第2項)。
なお、「管轄公共職業安定所長」とは、届出に係る労働者を港湾運送の業務に従事させる事業所の所在地を管轄する公共職業安定所であって職業安定法施行規則第6条第4項の規定により港湾労働者証に関する事務を取り扱う公共職業安定所の長をいうこと。この場合、当該事業所の所在地を管轄する公共職業安定所が同項の規定により、港湾労働者証に関する事務を取り扱う公共職業安定所でないときは、同項の規定により当該事務を取り扱う公共職業安定所の中から、当該事業所において常時港湾運送の業務に従事させるすべての常用労働者(日雇労働者以外の労働者をいう。以下同じ。)に係る当該事務を取り扱う公共職業安定所を事業主に選択させることとし、当該公共職業安定所の長を管轄公共職業安定所の長とすること。
(ホ) 常時港湾運送の業務に従事する常用労働者に係る港湾労働者雇用届には、当該常用労働者の写真(届出の日前6月以内に撮影した縦4センチメートル、横3センチメートルの正面無帽上三分身像で、裏面に氏名を記載したもの)1枚を添えなければならないこととしていること(施行規則第3条第3項)。
この場合、「常時港湾運送の業務に従事する」とは、港湾運送の業務のみに従事することを意味するものではなく、臨時に他の業務に従事することがあってもその常時性は失われないものであるが、具体的に「常時港湾運送の業務に従事する」か否かの判断は、港湾労働者雇用届の「港湾運送の業務に従事する期間」欄の記載により行うこと。
(ヘ) 港湾労働者雇用届の提出を受けた管轄公共職業安定所長は、必要があると認めるときは、届出に係る労働者が当該事業主に雇用される常用労働者であることを証明するに足りる書類の提出又は提示を求めることができることとしていること(施行規則第3条第4項)。
常用労働者であるか否かは、単に形式的に雇用期間がどうなっているかによって区別するのではなく、その雇用の実態に即して実質的に判断するものとし、常用労働者であるならば、原則として、雇用保険法、健康保険法その他の社会保険法及び労働基準法の適用等について次のようになっていなければならないことに留意すること。
a 社会保険の適用
健康保険(日雇労働被保険者の保険を除く。)及び厚生年金保険の被保険者となっていること(健康保険法第13条、第13条の2、厚生年金保険法第6条、第12条)。
また、雇用保険については一般被保険者となっていること(雇用保険法第6条)。
b 労働基準法の適用
事業主が常用労働者を解雇しようとする場合においては解雇の予告が必要であり(労働基準法第20条及び第21条)、また、使用者の責に帰すべき事由によって常用労働者を休業させる場合には休業手当を支払わなければならないこと(同法第26条)。その他労働者名簿及び賃金台帳の調整(同法第107条及び第108条)、健康診断の実施(労働安全衛生法第66条)等常時雇用される常用労働者として遵守されていなければならない諸規定があること。
したがって、港湾労働者雇用届の提出を受けた管轄公共職業安定所長は、その受理に当たって、当該届出に係る常用労働者の社会保険の適用関係を確認するため、当該常用労働者の健康保険被保険者証並びに雇用保険及び厚生年金保険の被保険者資格取得確認通知書又はこれら社会保険の被保険者資格取得届の写しの提示を求めるものとすること。
また、常用労働者が真に常用労働者としての実態を備えているか否かの判断に当たっては、公共職業安定所と労働基準監督署、社会保険事務所等との連携が必要とされるので、法の実効の確保に遺憾なきを期すこと。
ロ 港湾労働者証の交付(法第9条第2項関係)
(イ) 管轄公共職業安定所長は、港湾労働者の雇用の届出に係る労働者であって常時港湾運送の業務に従事するものに対し港湾労働者証(施行規則様式第2号)を交付することとしていること。
(ロ) 港湾労働者証の交付は、当該労働者を雇用する事業主を通じて行うものとしていること(施行規則第4条第1項)。
ハ 港湾労働者証の改訂
(イ) 事業主は、次に掲げる場合に該当するときは、港湾労働者証を添えて文書でその旨を届け出なければならないものとしていること(施行規則第5条第1項、第2項)。
a 港湾労働者証の交付を受けた常用労働者の氏名に変更があったとき。
b 港湾労働者証の交付を受けた常用労働者を他の事業所に転勤させて、港湾運送の業務に従事させるとき。
c 港湾労働者証の交付を受けた常用労働者を新たに港湾労働者派遣事業に係る労働者派遣の対象としたとき又は港湾労働者派遣事業に係る労働者派遣の対象から除外したとき。
d 港湾労働者証の交付を受けた常用労働者が主として従事する業務に変更があったとき。
e 主たる業務への従事経験が1年未満ではあるが、労働安全衛生法(昭和47年法律第57号)において就業制限が行われている業務についてそれぞれの業務の就業資格を有することにより派遣対象労働者となった者の主たる業務への従事経験が1年を経過したとき。
f 事業所の名称又は所在地に変更があったとき。
(ロ) 港湾労働者証の交付を受けた常用労働者は、事業主にその氏名の変更を知らせるため、及び届出の際に添付すべき港湾労働者証の提出を容易ならしめるため、その氏名を変更したときは、速やかに港湾労働者証を添えてその旨を事業主に申し出るとともに、事業主が当該届出をするために当該常用労働者に港湾労働者証の提出を求めたときは、これを事業主に提出しなければならないものとしていること(施行規則第5条第3項、第4項)。
(ハ) 港湾労働者証の交付を受けた常用労働者をほかの事業所に転勤させたときの届出は、転勤後の事業所に係る管轄公共職業安定所長に対して行わせるものとし、届出を受けた公共職業安定所長は、転勤前の事業所に係る管轄公共職業安定所長にその旨を連絡するものとすること。
ニ 港湾労働者証の再交付等
(イ) 港湾労働者証については、次に掲げる場合には、事業主の申請(施行規則様式第3号)に基づき、その再交付又は写真のはり換えを行うものであること(施行規則第6条第1項前段)。
a 港湾労働者の交付を受けた港湾労働者が港湾労働者証を亡失し、若しくは滅失したとき。
b 港湾労働者証の写真が本人であることを認め難くなったとき。
なお、事業主がその雇用する常用労働者に係る港湾労働者証を亡失し、又は滅失したときも同様としていること(施行規則第6条第1項後段)。
(ロ) 港湾労働者証の再交付の申請は、事業主が行うこととしたことに伴い、港湾労働者証の交付を受けた常用労働者が港湾労働者証を亡失し、若しくは滅失したとき又はその写真が本人であることを認め難くなったときは、その旨を当該常用労働者から事業主に申し出させることとしていること(施行規則第6条第3項)。
ホ 港湾労働者証の有効期間
港湾労働者証に有効期間を設けることとし、港湾労働者証の裏面に有効期間満了の日を記載することとしていること。
なお、有効期間は、当該港湾労働者証を交付してから2年以上3年未満の間で、公共職業安定所の業務の繁閑を考慮して、短期間で一斉に書き換えることが望ましいものであること(たとえば、港湾労働者証を交付した日から2年を経過した日の属する年の○月○日まで有効ということにすれば3年ごとに集中的に書き換えることができることとなる。)。
ただし、主たる業務に従事して1年未満であるが、労働大臣が定める資格を有することにより港湾労働者派遣事業の派遣対象労働者となっている者の場合は、主たる業務への従事経験が1年を超えると推定される期日を、有効期間満了の日とすること。
ヘ 港湾労働者証の返納
港湾労働者証の交付を受けた常用労働者が次のいずれかに該当するときは、事業主は、港湾労働者証を返納しなければならないこととしていること(施行規則第7条第1項)。
(イ) 死亡したとき。
(ロ) 退職したとき。
(ハ) (イ)及び(ロ)に掲げる場合のほか、常時港湾運送の業務に従事する常用労働者でなくなったとき。
ト 港湾労働者証の交付等の業務の実施方法
港湾労働者証の交付等の業務については、ロからヘまでに定めるもののほか、別添1「港湾労働者証の交付関係業務実施要領」の定めるところによるものとすること。
チ 港湾労働者証の携帯及び提示(法第9条第3項関係)
港湾労働者証の交付を受けた労働者は、港湾運送の業務に従事するときは、港湾労働者証を携帯し、公共職業安定所の職員から提示を求められたときは、これを提示しなければならないこととしていること。
なお、港湾労働者証の紛失を防止するため、常用労働者が港湾労働者証のコピー又はこれと同視し得る証票等を所持している場合には、港湾労働者証の携帯とみなすものとすること。
(6) 日雇労働者の雇用(法第10条関係)
イ 公共職業安定所紹介の原則(法第10条第1項関係)
(イ) 事業主は、公共職業安定所の紹介を受けて雇い入れた者でなければ、日雇労働者として港湾運送の業務に従事させてはならないこととしていること。
ただし、次の理由がある場合には、例外的に直接雇用を行うことができること(施行規則第8条)。
a 公共職業安定所に日雇労働者に係る求人の申込みをしたにもかかわらず適格な求職者がいないためにその紹介を受けることができないこと。
b 公共職業安定所に日雇労働者に係る求人の申込みをし、公共職業安定所から日雇労働者の紹介を受けたにもかかわらず、当該日雇労働者が正当な理由なく港湾運送の業務に就くことを拒み、又は当該事業主が正当な理由により当該日雇労働者の雇入れを拒んだ場合において、当該日雇労働者に代わる日雇労働者の紹介を受けることができないこと。
c 天災その他やむを得ない理由により緊急に港湾運送の業務を行う必要がある場合において、公共職業安定所に日雇労働者に係る求人の申込みを行ういとまがないこと。
d 天災その他避けることができない事故により、公共職業安定所に求人の申込みをすることができないこと。
e 職業安定法第20条の規定により、公共職業安定所から日雇労働者の紹介を受けることができないこと。
f aからeまでに掲げる理由に準ずる理由であって労働大臣が定めるもの
(ロ) 港湾運送の業務に従事させる日雇労働者について公共職業安定所の紹介を受けることを原則とすることとしたのは、港湾運送の業務に係る日雇労働者の求人と求職とを公共職業安定所に集中させ、迅速かつ的確な需給調整を図るとともに、併せて、手配師等第三者による就労への違法な介入の排除を図ることとしたものであること。
(ハ) (イ)のaからfまでに掲げる理由の有無を判断するに当たっては、次の点に留意されたいこと。
a (イ)のaの「公共職業安定所に日雇労働者に係る求人の申込みをしたにもかかわらず適格な求職者がいないためにその紹介を受けることができないこと」の「求人の申込みをしたにもかかわらず」については、その前提として、当該事業主が、港湾労働者雇用安定センターに対して、当該求人により雇い入れる労働者に従事させようとした業務について港湾労働者派遣の契約締結のあっせんを求め、又は当該港湾におけるすべての港湾労働者派遣事業の事業主に対して労働者の派遣を求めていることが必要であること。
b (イ)のbの「日雇労働者が正当な理由なく港湾運送の業務に就くことを拒み」の「正当な理由」とは、次に掲げる理由とし、その具体的判断は、雇用保険法第52条第2項の規定に基づき労働大臣が定めた基準に準じて行うものとすること。
(a) 紹介された業務が、その者の能力からみて不適当であると認められたこと。
(b) 紹介された業務に対する賃金が、当該港湾における同種の業務及び同程度の技能に係る一般の賃金水準と比べて不当に低いこと。
(c) 職業安定法第20条の規定に該当する労働争議が発生している事業所に紹介されたこと。ただし、同条第2項だたし書の場合を除く。
(d) その他正当な理由があるとき。
c (イ)のbの「事業主が正当な理由により当該日雇労働者の雇入れを拒んだ場合」の「正当な理由」とは、次に掲げる理由とすること。
(a) 紹介された日雇労働者を求人の申込みに係る業務に従事させることが、その者の体力又は技能から明らかに不適当と認められること。
(b) 紹介された日雇労働者が、求人の申込みに係る業務に従事するために法令上必要とされる資格を有しないこと。
(c) 紹介された日雇労働者を求人の申込みに係る業務に従事させることが法令上禁止されていること。
(d) 紹介された日雇労働者が、酒気を帯びて事業場に出頭する等当該労働者に明らかに就労の意欲が認められないこと又は就労に必要でない危険物若しくは有害物を所持して事業場に出頭したこと。
(e) 紹介された日雇労働者が、従前、事業主の事業場において暴行、脅迫、窃盗、その他刑罰法規に違反する悪質な行為を行ったことがあり、当該労働者を雇い入れることが正常な業務の遂行の妨げとなると認められること。
d (イ)のcの「天災その他やむを得ない理由により緊急に港湾運送の業務を行う必要がある場合」とは、暴風雨等によって船体に損傷があって緊急に荷揚げをする必要がある場合、火災、爆発等のために荷物を緊急に移動させる必要がある場合等の差し迫って荷役を行う必要がある場合をいうものであること。
なお、緊急に港湾運送の業務を行う必要がある場合であっても、その必要性が事前に判明し、この業務に必要な労働者を公共職業安定所の紹介によって確保できるときは、「公共職業安定所に日雇労働者に係る求人の申込みをするいとまがないこと」に該当しないものであること。したがって、この理由に該当することにより日雇労働者を直接雇用できるのは、原則として当該作業を行う日に限られ、その日以降の日については、公共職業安定所の求人の申込みをして、公共職業安定所の紹介した日雇労働者を雇用しなければならないものであること。
e (イ)のdの「天災その他避けることのできない事故により、公共職業安定所に求人の申込みをすることができないこと」とは、天災、火災、爆発等により又は交通機関若しくは通信機関のストライキ等により、交通、通信等がと絶したため、公共職業安定所に求人の申込みをすることができないことをいうものであること。この場合、直接雇用することができるのは、上記の理由が存する間であり、その人数は当該期間に行う荷役に必要な人数であること。
f (イ)のeの「職業安定法第20条の規定により、公共職業安定所から日雇労働者の紹介を受けることができないこと」とは、次の場合をいうものであること。
(a) 日雇労働者に係る求人の申込みをした事業主の事業所において同盟罷業又は作業所閉鎖が行われているため、職業安定法第20条第1項の規定により公共職業安定所が当該事業所に日雇労働者を紹介することができないとき。
(b) 労働委員会から公共職業安定所に対して、当該事業所に対して、当該事業所に同盟罷業又は作業所閉鎖に至るおそれの多い争議が発生していること及び求職者を無制限に紹介することによって当該争議の解決が妨げられることを通報してきた場合であって、同法第20条第2項本文の規定により公共職業安定所が当該事業所に日雇労働者を紹介することができないこと。
なお、この理由に該当することによって日雇労働者を直接雇用できるのは、当該理由の存する間であること。
また、港湾運送事業のうち労働関係調整法第8条に定める公益事業に該当する事業を行う事業主の事業所において争議行為(同法第7条)が行われる場合には、同法第37条第1項の規定に基づき、少なくとも10日前までには労働委員会及び労働大臣又は都道府県知事にその旨が予告されることとなっているので、この予告によって争議行為の発生を事前に把握するとともに、職業安定法施行規則第14条第1項の規定に基づき、都府県労働局長は、地方労働委員会と密接な連絡を保ち、事業所における争議行為の発生状況等について十分な情報を得るよう努めること。また、同規則第14条第2項の規定に基づき、求人者である事業主に対して争議行為に関する届出を励行させること。
g (イ)のfの「前各号に掲げる理由に準ずる理由であって労働大臣が定めるもの」としては、次のものが定められているので、事業主に徹底されたいこと。
(a) 常用労働者が病気、交通事故等のために港湾運送の業務(以下gにおいて「業務」という。)に従事できなくなり、当該労働者に代わる労働者がいなければ当該業務の遂行が困難であること。
(b) 港湾派遣元事業主から派遣された労働者又は公共職業安定所が紹介した日雇労働者が、病気、交通事故等のために業務に従事できなくなり、かつ、当該労働者に代わる日雇労働者に係る求人の申込みを公共職業安定所に行ういとまがないこと。
(c) 業務の開始直前に、港湾労働者派遣による労働者派遣の役務の提供を受けることができないことが確認され、かつ、当該労働者派遣に代わる日雇労働者に係る求人の申込みを公共職業安定所に行ういとまがないこと。
(d) 港湾派遣元事業主から派遣された労働者が業務の開始直前までに就労場所に到着せず、かつ、当該労働者に代わる日雇労働者に係る求人の申込みを公共職業安定所に行ういとまがないとき。
(e) 公共職業安定所が紹介した日雇労働者が、業務の開始直前までに就労場所に到着しなかったこと。
(f) 港湾派遣元事業主から派遣された労働者がその従事すべき業務について適格な労働者ではなく、かつ、当該労働者に代わる日雇労働者に係る求人の申込みを公共職業安定所に行ういとまがないこと。
ロ 日雇労働者雇用届(法第10条第2項関係)
(イ) 事業主は、イの(イ)のaからcまでに掲げる理由がある場合において、公共職業安定所の紹介を受けないで日雇労働者を直接雇い入れようとするときは、事前に日雇労働者雇用届(施行規則様式第4号)を管轄公共職業安定所長に提出しなければならないこととしていること(施行規則第9条)。
ただし、天災その他やむを得ない理由がある場合には、当該理由がやんだ後直ちに(当該日雇労働者を港湾運送の業務に従事させた日中、遅くとも当該日の翌日中)、当該届出を提出させるものとすること。この場合、「天災その他やむを得ない理由」とは、次のとおりであること。
a 天災等による交通の途絶、荷役作業の開始時間との関係等で、直接雇用をした日雇労働者を港湾運送の業務に従事させる前に届け出ることができないこと。
b イの(ハ)のgの(b)から(f)までの理由により、直接雇用すること。
(ロ) 届出の対象となる日雇労働者は、イの(イ)のaからfまでに該当することにより新たに雇い入れた労働者のほか、事業主が陸上運送業、倉庫業等を兼業している場合において、当該事業所の港湾運送の業務以外の部門で雇用されている日雇労働者を港湾運送の業務に転用する場合の当該労働者も、届出の対象となる日雇労働者であること。
(ハ) 届出に係る日雇労働者を港湾運送の業務に従事させることができるのは、イの(イ)のaからfまでに掲げる理由が存する間であり、dまたはeに該当する場合を除いて原則として1日であること。
したがって、日雇労働者雇用届に記載されて港湾運送の業務に従事させる期間が当該労働者の直接雇用が認められる理由の存する期間を超えている場合には、その超えている期間について当該労働者を港湾運送の業務に従事させた場合には、第10条第1項本文の規定に違反することとなるので、事業主に対し、その旨の徹底を図ること。
(7) 事業主の報告(法第11条関係)
イ 事業主は、毎月における次に掲げる事項について、港湾運送の業務を行う事業所ごとに、港湾労働者就労状況等報告(施行規則様式第5号)により、翌月15日までに管轄公共職業安定所長に報告しなければならないこと。
報告期間を歴月によらず、賃金締切日等を最終日とする1月間とした場合においても同様であるが、報告期間の末日が歴月の1から15までの間にあり、15日までに報告することが著しく困難である場合には、報告期間を歴月とするよう指導すること。
なお、教育訓練の状況に関する報告については、年1回、3月における報告において当該年度分をまとめて報告させることとすること。
ロ 報告の集計等は、次により行うものとすること。
(イ) 公共職業安定所
a 報告は、公共職業安定所及び出張所ごとに別添様式により集計し、その結果を都府県労働局へ2部提出すること。なお、公共職業安定所の報告内容には、出張所分を含めるものとすること。
b 事業主から提出のあった報告書は、公共職業安定所において保管管理すること。
(ロ) 都府県労働局
関係都府県労働局においては、公共職業安定所から提出のあった報告を点検の上取りまとめ、別添様式により都府県労働局集計表を作成し、公共職業安定所及び出張所提出の原票を添付して、25日までに労働省へ提出すること。
5 港湾労働者派遣事業(法第4章関係)
(1) 許可等(法第12条から第17条まで関係)
イ 港湾労働者派遣事業の許可
(イ) 港湾労働者派遣事業を行おうとする事業主は、事業所ごとに、次に掲げる事項を記載した港湾労働者派遣事業許可申請書(施行規則様式第6号)を労働大臣に提出し、その許可を受けなければならないこととしていること(法第12条第1項、第2項)。
a 氏名又は名称及び住所並びに法人にあっては、その代表者の氏名
b 法人にあっては、その役員の氏名及び住所
c 当該港湾労働者派遣事業の事業所の名称及び所在地
d 港湾ごとの派遣事業対象業務の種類
e 港湾ごとの当該事業主が営んでいる港湾運送事業の種類
f 法第23条の規定により読み替えて適用する労働者派遣法第36条の規定により選任する派遣元責任者の氏名及び住所
(ロ) (イ)の申請書には、当該港湾労働者派遣事業の事業計画書(港湾労働者派遣事業計画書(施行規則様式第8号))のほか、次の書類を添付しなければならないこととしていること。(法第12条第3項、施行規則第11条第2項、第3項、第4項)
a 申請者が法人である場合
(a) 定款又は寄附行為
(b) 登記簿の謄本
(c) 役員の住民票(外国人にあっては、外国人登録証明書。以下同じ。)の写し及び履歴書
(d) 役員が未成年者で港湾労働者派遣事業に関し営業の許可を受けていない場合にあっては、その法定代理人の住民票の写し及び履歴書
(e) 個人情報の適正管理及び秘密の保持に関する規程
(f) 港湾労働者派遣事業許可申請書に記載された派遣事業対象業務と同一の種類の港湾運送の業務を行う港湾運送事業の港湾労働者派遣事業の許可の申請の日の属する月の前月末を末日とする一年間の実績報告書(港湾運送事業実績報告書(施行規則様式第7号))
(g) 最近の事業年度における貸借対照表及び損益計算書
(h) 港湾労働者派遣事業に関する資産の内容及びその権利関係を証する書類
(i) 選任する派遣元責任者の住民票の写し及び履歴書
b 申請者が個人である場合
(a) 住民票の写し及び履歴書
(b) 申請者が未成年で港湾労働者派遣事業に関し営業の許可を受けていない場合にあっては、その法定代理人の住民票の写し及び履歴書
(c) aの(e)、(f)、(h)及び(i)に掲げる書類
c 申請者が複数の事業所を設けて港湾労働者派遣事業を行おうとする場合において、1つの事業所に関する港湾労働者派遣事業の許可の申請に際し、法人にあってはイの(ロ)のaの(a)から(d)までに掲げる書類を、個人にあってはイの(ロ)のbの(a)及び(b)に掲げる書類を添付したときは、当該事業所(以下「統括事業所」という。)以外の事業所に関する許可申請に際しては、当該書類を添付することを要しないものとしていること。
d 申請者が他の事業所において港湾労働者派遣事業を行っている場合において、当該申請者が港湾労働者派遣事業を行っている当該他の事業所の派遣元責任者を当該申請に係る事業所の派遣元責任者として引き続き選任するときは、選任する派遣元責任者の履歴書(選任する派遣元責任者に住所の変更がないときは、住民票の写し及び履歴書)を添付することを要しないものとしていること。
(ハ) 労働大臣は、港湾労働者派遣事業の許可をしようとするときは、あらかじめ、中央職業安定審議会の意見を聴かなければならないこととしていること。
ロ 許可の欠格事由(法第13条関係)
次のいずれかに該当する事業主は、港湾労働者派遣事業の許可を受けることができないものとしていること。
(イ) 禁錮以上の刑に処せられ、又は法若しくは読替え後の労働者派遣法の規定その他労働に関する法律の規定であって政令で定めるもの、港湾運送事業法の規定若しくは暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律の規定(第48条の規定を除く。)により、若しくは刑法第204条、第206条、第208条、第208条の2、第222条若しくは第247条の罪若しくは暴力行為等処罰に関する法律の罪を犯したことにより、罰金の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から起算して5年を経過しない者
(ロ) 健康保険法第87条若しくは第91条、船員保険法第68条若しくは第70条、労働者災害補償保険法第51条前段若しくは第54条第1項、厚生年金保険法第102条第1項、第104条(第102条第1項に係る部分に限る。)、第182条第1項若しくは第2項若しくは第184条(第182条第1項若しくは第2項に係る部分に限る。)、労働保険の保険料の徴収等に関する法律第46条前段若しくは第48条第1項(第46条前段に係る部分に限る。)又は雇用保険法第83条若しくは第86条(第83条に係る部分に限る。)の規定により罰金の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から起算して5年を経過しない者
(ハ) 成年被後見人若しくは被保佐人又は破産者で復権を得ないもの
(ニ) 法第21条第1項(第1号を除く。)の規定により港湾労働者派遣事業の許可を取り消され、当該取消しの日から起算して5年を経過しない者
(ホ) 営業に関し成年者と同一の能力を有しない未成年者であって、その法定代理人が(イ)から(ニ)までのいずれかに該当するもの
(ヘ) 法人であって、その役員のうちに(イ)から(ホ)までのいずれかに該当する者があるもの
ハ ロの(イ)の「労働に関する法律の規定であって政令で定めるもの」とは、次のとおりであること(施行令第3条)。
(イ) 労働基準法第117条、第118条第1項(第6及び第56条に係る部分に限る。)、第119条(第16条、第17条、第18条第1項及び第37条に係る部分に限る。)及び第120条(第18条第7項及び第23条から第27条までに係る部分に限る。)の規定並びにこれらの規定に係る同法第121条の規定(これらの規定が労働者派遣法第44条(第4項を除く。)の規定により適用される場合を含む。)
(ロ) 職業安定法第63条、第64条、第65条(第1号を除く。)及び第66条の規定並びにこれらの規定に係る第67条の規定
(ハ) 最低賃金法第44条の規定及び同条の規定に係る第46条の規定
(ニ) 建設労働者の雇用の改善等に関する法律第12条(第1号に係る部分に限る。)の規定及び当該規定に係る第13条の規定
(ホ) 賃金の支払の確保等に関する法律第18条の規定及び同条の規定に係る同法第20条の規定
(ヘ) 中小企業における労働力の確保及び良好な雇用の機会の創出のための雇用管理の改善の促進に関する法律第19条、第20条及び第21条(第1号に係る部分に限る。)の規定並びにこれらの規定に係る第22条の規定
(ト) 育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律第53条、第54条及び第56条の規定並びにこれらの規定に係る第57条の規定
(チ) 林業労働力の確保の促進に関する法律第32条、第33条及び第34条(第1号に係る部分に限る。)の規定並びにこれらの規定に係る第35条の規定
(リ) 労働者派遣法第44条第4項の規定により適用される労働基準法第118条、第119条及び第121条の規定並びに労働者派遣法第45条第7項の規定により適用される労働安全衛生法第119条及び第122条の規定
ニ 許可の基準等(法第14条関係)
(イ) 労働大臣は、港湾労働者派遣事業の許可の申請が次の基準に適合していると認めるときでなければ、許可をしてはならないこととしていること。
a 港湾労働者派遣事業許可申請書に記載された派遣事業対象業務と同一の種類の港湾運送の業務を行う港湾運送事業を適法に営んでいる事業主であって次のいずれかに該当するものであること。(施行規則第12条)
(a) 申請時から過去一年間において毎月港湾運送事業の実績を有する者
(b) (a)以外の者であって港湾労働者派遣事業の許可の日以後において、毎月港湾運送事業を行うことが確実と見込まれるもの
b 当該港湾労働者派遣事業の計画の内容が、次のいずれにも該当すること。
(a) 派遣事業対象業務ごとの港湾労働者派遣事業に係る労働者派遣に関する料金の港湾労働者派遣事業の派遣労働者一人一日当たりの平均的な額が、それぞれ、当該派遣事業対象業務ごとの港湾労働者派遣事業の派遣労働者の賃金の一人一日当たりの平均的な額を著しく超えるものでないこと(平成12年労働省告示第75号)。
(b) 当該港湾労働者派遣事業の派遣労働者が派遣就業をする日数が、派遣対象労働者1人につき、1月当たり7日を超えないこと(平成12年労働省告示第76号)。
c 申請者が、当該港湾労働者派遣事業の派遣労働者に係る雇用管理を適正に行うに足りる能力を有する者であること。
d 個人情報を適正に管理し、及び派遣労働者等の秘密を守るために必要な措置が講じられていること。
e このほか、申請者が、当該港湾労働者派遣事業を的確に遂行するに足りる能力を有する者であること。
(ロ) 労働大臣は、港湾労働者派遣事業の許可をしないときは、遅滞なく、理由を示してその旨を当該申請者に通知しなければならないこととしていること。
ホ 許可証(第15条関係)
(イ) 労働大臣は、港湾労働者派遣事業の許可をしたときは、港湾労働者派遣事業許可証(施行規則様式第9号。以下単に「許可証」という。)を交付しなければならないこととしていること。
(ロ) 許可証の交付を受けた事業主は、当該許可証を、当該事業所に備え付けるとともに、関係者から請求があったときは提示しなければならないこととしていること。
(ハ) 許可証の交付を受けた事業主は、当該許可証を亡失し、又は当該許可証が滅失したときは、速やかに許可証再交付申請書(施行規則様式第10号)を労働大臣に提出し、許可証の再交付を受けなければならないこととしていること。
(ニ) 許可証の返納(施行規則第15条関係)
a 許可証の交付を受けた事業主は、次のいずれかに該当することとなったときは、当該事実のあった日の翌日から起算して10日以内に、許可証((c)の場合は発見し、又は回復した許可証)を労働大臣に返納しなければならないこととしていること。
(a) 許可が取り消されたとき。
(b) 許可の有効期間が満了したとき。
(c) 許可証の再交付を受けた場合において、亡失した許可証を発見し、又は回復したとき。
b 許可証の交付を受けた事業主が次の(a)又は(b)に該当することとなったときは、(a)又は(b)に掲げる者は、当該事実のあった日の翌日から起算して10日以内に、許可証を労働大臣に返納しなければならないこととしていること。
(a) 許可証の交付を受けた者が死亡した場合においては同居の親族又は法定代理人
(b) 法人が合併により消滅した場合においては合併後存続し、又は合併により設立された法人の代表者
ヘ 許可の条件(法第16条関係)
港湾労働者派遣事業の許可には、条件を付し、及びこれを変更することができることとし、その条件は、当該許可の趣旨に照らして、又は当該許可に係る事項の確実な実施を図るために必要な最小限度のものに限り、かつ、当該許可を受ける事業主に不当な義務を課すこととなるものであってはならないものとしていること。
ト 許可の有効期間等(法第17条関係)
(イ) 港湾労働者派遣事業の許可の有効期間は、許可の日から起算して3年とすること。
(ロ) 許可の有効期間の満了後も引き続き当該港湾労働者派遣事業を行おうとする事業主は、有効期間が満了する日の30日前までに、港湾労働者派遣事業許可有効期間更新申請書(施行規則様式第6号)を、労働大臣に提出し、許可の有効期間の更新を受けなければならないこととしていること(施行規則第16条第1項)。
(ハ) 労働大臣は、許可の有効期間の更新の申請があった場合において、当該申請がニの(イ)の許可基準に適合していないと認めるときは、許可の有効期間の更新をしてはならないものとしていること。
(ニ) 許可の有効期間の更新を受けた場合においては、当該許可の有効期間は、更新前の有効期間の満了の日の翌日から起算して5年とすることとしていること。
(ホ) 事業主は、港湾労働者派遣事業許可有効期間更新申請書には、港湾労働者派遣事業計画書(施行規則様式第8号)のほか、次の書類を添付しなければならないこととしていること(施行規則第16条第2項)。
a 申請者が法人である場合にあっては、イの(ロ)のaの(a)、(b)及び(d)から(h)までに掲げる書類
b 申請者が個人である場合にあっては、イの(ロ)のaの(e)(f)及び(h)に掲げる書類
(ヘ) 労働大臣は、許可の有効期間の更新を受けようとする者がロの許可の欠格事由に該当するときは、当該許可の有効期間の更新をしてはならないこととしていること。
また、許可の有効期間の更新をしないときは、遅滞なく、理由を示してその旨を当該申請者に通知しなければならないこととしていること。
(2) 派遣事業対象業務の種類の変更等(法第18条関係)
イ 港湾労働者派遣事業の許可を受けた事業主(以下「港湾派遣元事業主」という。)は、港湾ごとの派遣事業対象業務の種類を変更しようとするときは、派遣事業対象業務変更許可申請書(施行規則様式第11号)を労働大臣に提出し、その許可を受けなければならないこととしていること。ただし、ホの場合はこの限りでないこととしていること。
ロ 派遣事業対象業務変更許可申請書には、港湾労働者派遣事業計画書(施行規則様式第8号)のほか、当該派遣対象業務変更許可申請書に記載された派遣事業対象業務と同一の種類の港湾運送の業務を行う港湾運送事業の、変更の許可の申請の前月末を末日とする1年間の実績報告書(施行規則様式第7号)を添付しなければならないこととしていること。
ハ 労働大臣は、当該変更の許可の申請をした事業主が(1)のイの許可の欠格事由に該当するとき又は当該変更の許可の申請が(1)のニの(イ)の許可の基準に適合していると認められないときは、当該変更の許可をしてはならないこととしていること。また、労働大臣は、当該変更の許可をしないこととしたときは、遅滞なく、理由を示してその旨を申請者に通知しなければならないこととしていること。
ニ 派遣事業対象業務の種類の変更の許可は、当該許可を受けようとする者が現に有する許可証と引き換えに新たな許可証を交付することにより行うものとしていること(施行規則第17条第4項)。
ホ 当該派遣事業対象業務の種類の変更が、複数の派遣事業対象業務の種類について許可を受けている事業主が当該派遣事業対象業務の種類の一部について廃止することに伴う変更のみであるときは、労働大臣の許可を要しないこと。この場合においては、当該変更に係る事実のあった日の翌日から起算して10日以内に、必要書類を添付して、港湾労働者派遣事業変更届出書及び許可証書換申請書(施行規則様式第10号)により労働大臣に届け出て、その書換えを受けなければならないこととしていること(施行規則第18条第1項及び第2項)。
(3) 氏名等の変更(法第19条関係)
イ 港湾派遣元事業主は(1)のイの(イ)のaからfまでの事項に変更があったときは、当該変更に係る事実のあった日の翌日から起算して10日以内に、必要書類を添付して、労働大臣に届け出なければならないこととしていること。このとき、当該届出に係る事項が許可証の記載事項に該当しない場合にあっては港湾労働者派遣事業変更届出書(施行規則様式第10号)を提出することとしていること。また、当該届出に係る事実が許可証の記載事項に該当する場合にあっては港湾労働者派遣事業変更届出書及び許可証書換申請書(施行規則様式第10号)を提出し、その書換えを受けなければならないこととしていること(施行規則第18条第1項)。
ロ ただし、複数の事業所について港湾労働者派遣事業の許可を受けている事業主が1つの事業所について(1)のイの(イ)のa及びbまでの法第12条第2項第1号又は第2号に掲げる事項の変更を届け出たときは、当該事業所以外の事業所に係る当該事項の変更に関しては、届け出る必要がないものとしていること。
ハ また、複数の事業所について港湾労働者派遣事業を行っている事業主が、派遣元責任者の変更についてイの届出をする場合において、他の事業所おいて選任している派遣元責任者を当該届出に係る事業所の派遣元責任者として引き続き選任したときは、届出書に添付することとされている書類のうち、派遣元責任者の履歴書(当該派遣元責任者に住所の変更がないときは、履歴書及び住民票)については不要としていること(施行規則第18条第3項)。
(4) 事業の廃止(法第20条関係)
イ 港湾派遣元事業主は、当該港湾労働者派遣事業を廃止したときは、廃止した日の翌日から起算して10日以内に、許可証を添えて、港湾労働者派遣事業廃止届出書(施行規則様式第12号)を提出し(施行規則第19条)、労働大臣に届け出なければならないこととし、当該届出があったときは、港湾労働者派遣事業の許可は、その効力を失うものとしていること。
ロ 複数の事業所において港湾労働者派遣事業を行う事業主は、統括事業所に係る港湾労働者派遣事業を行わなくなったときは、速やかに、その旨を記載した書面を労働大臣に提出しなければならないこととしていること。その際、労働大臣は、必要があると認めるときは、当該事業主の意見を聴いて、当該事業主に係る他の事業所を統括事業所として定めるものとしていること(施行規則第20条)。
(5) 許可の取消し等(法第21条関係)
イ 労働大臣は、港湾派遣元事業主が次のいずれかに該当するときは、港湾労働者派遣事業の許可を取り消すことができることとしていること。
(イ) (1)のロの(イ)から(ヘ)までのいずれかに該当しているとき。
(ロ) (1)のニの(イ)のa又はbに掲げる基準に適合しなくなったと認めるとき。
(ハ) 法、法第23条による読替え後の労働者派遣法若しくは職業安定法の規定又はこれらの規定に基づく命令若しくは処分に違反したとき。
(ニ) (1)のヘで付された許可の条件に違反したとき。
ロ 労働大臣は、港湾派遣元事業主がイの(ロ)から(ニ)のいずれかに該当するときは、期間を定めて当該港湾労働者派遣事業の全部又は一部の停止を命ずることができるものとしていること。
(6) 名義貸しの禁止(法第22条関係)
港湾派遣元事業主は、自己の名義をもって、他人に港湾労働者派遣事業を行わせてはならないこととしていること。
(7) 労働者派遣法の特例(法第23条関係)
港湾派遣元事業主が行う港湾労働者派遣事業については、労働者派遣法第4条第1項第1号(港湾運送の業務に係る部分に限る。)、第2章第2節、第23条第3項、第26条第3項、第48条第2項及び第54条の規定は適用しないものとし、労働者派遣法の他の規定の適用については港湾派遣元事業主を労働者派遣法第23条第1項に規定する派遣元事業主とみなすこととしていること。この場合において、労働者派遣法及び労働者派遣法施行規則の適用について、法及び施行規則において所要の読替え規定を置いていること。
(8) 労働者派遣契約の内容等の特例(法第24条関係)
イ 港湾派遣元事業主は、港湾労働者派遣事業に係る労働者派遣契約(以下単に「労働者派遣契約」という。)の締結に際し、当該契約に係る派遣就業が行われることとなる港湾において自己が営んでいる港湾運送事業に係る港湾運送の業務と異なる種類の港湾運送の業務を定めてはならないものとしていること。
ロ 港湾派遣元事業主は、労働者派遣契約の締結に際し、自己が港湾運送事業を営んでいる港湾以外の港湾を派遣就業の場所とする定めをしてはならないものとしていること。
(9) 港湾労働者派遣事業に係る労働者派遣の実施方法(法第25条関係)
イ 港湾派遣元事業主は、労働者派遣契約の締結に際して定めた港湾運送の業務の種類と労働者派遣の対象としようとする労働者が派遣就業をしないときに主として従事している港湾運送の業務(以下「主たる業務」という。)の種類が異なるときは、当該労働者を派遣労働者とする労働者派遣を行ってはならないものとしていること。
ロ 主たる業務に該当するかどうかの基準は平成12年労働省告示第77号において定めるとおりとしていること。
ハ 港湾派遣元事業主は、労働者派遣契約の締結に際して定めた派遣就業の場所が労働者派遣の対象としようとする労働者の主たる業務が行われている港湾の区域内にないときは、当該労働者を派遣労働者とする労働者派遣を行ってはならないものとしていること。
ニ 港湾労働者派遣事業に係る労働者派遣は、4の(5)のロの(イ)の港湾労働者証の交付を受けた労働者であって、港湾運送の業務に1年以上(平成12年労働省告示第 号)従事した経験を有するもの又は平成12年労働省告示第 号に定める資格を有するものを派遣することにより行わなければならないものとしていること。
6 港湾労働者雇用安定センター(法第5章関係)
(1) 指定等(法第28条関係)
イ 指定(法第28条第1項関係)
(イ) 港湾労働者の雇用の安定その他福祉の増進を目的として設立された公益法人であって、法第30条に規定する業務に関し、次に掲げる基準に適合すると認められるものを、その申請により、当該業務を行う者(港湾労働者雇用安定センター)として各港湾について一つに限り労働大臣が指定することができることとしていること。
a 業務の実施に関する計画が適正なものであり、かつ、その計画を確実に遂行するに足りる経理的及び技術的な基礎を有すると認められること。
b aに定めるもののほか、業務の運営が適正かつ確実に行われ、港湾労働者の雇用の安定その他の港湾労働者の福祉の増進に資すると認められること。
(ロ) 指定の申請(施行規則第24条)
a 指定を受けようとする者は、各港湾について、次の事項を記載した申請書を労働大臣に提出しなければならないものとしていること。
(a) 名称及び住所
(b) 代表者の氏名
(c) 事務所の所在地
b 申請書には、次の書面を添付しなければならないものとしていること。
(a) 定款又は寄附行為及び登記簿の謄本
(b) 最近の事業年度における事業報告書、貸借対照表、収支決算書、財産目録その他の経理的及び技術的基礎を有することを明らかにする書類
(c) 申請の日を含む事業年度及び翌事業年度における(3)の業務に関する基本的な計画及びこれに伴う予算
(d) 役員の氏名及び略歴を記載した書面
ロ 指定の欠格要件(法第28条第2項関係)
次のいずれかに該当するときは、労働大臣は指定をしてはならないものとしていること。
(イ) 現に当該港湾について他に指定した者があること。
(ロ) 申請者が(13)のイの規定により指定を取り消され、その取消しの日から起算して5年を経過していない者であること。
(ハ) 申請者の役員のうちに、次のいずれかに該当する者があること。
a 禁錮以上の刑に処せられ、又はこの法律の規定により罰金の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から起算して5年を経過していない者
b 成年被後見人若しくは被保佐人又は破産者で復権を得ないもの
ハ 指定の公示(法第28条第3項関係)
労働大臣は、港湾労働者雇用安定センターの指定を行った場合には、当該港湾労働者雇用安定センターの名称及び住所並びに事務所の所在地を公示しなければならないものとしていること。
ニ 変更の届出及び公示(法第28条第4項、第5項関係)
(イ) 港湾労働者雇用安定センターは、その名称若しくは住所又は事務所の所在地を変更しようとするときは、次の事項を記載した書面を労働大臣に提出して、その旨を届け出なければならないものとしていること。(施行規則第25条)
a 変更後の名称若しくは住所又は事務所の所在地
b 変更しようとする日
c 変更の理由
(ロ) また、労働大臣は、当該届出に係る事項を公示しなければならないものとしていること。
(2) 指定の条件(法第29条関係)
(1)のイの指定に当たって、単に(1)のイの(イ)の指定の基準に適合するだけでなく、指定後も一定の条件の下にこれらの業務を実施させることが必要な場合には、条件を付し、及びこれを変更できるものとしていること。
(3) 業務(法第30条関係)
港湾労働者雇用安定センターは、次の業務を行うものとしていること。
イ 事業主に対し、港湾労働者の雇用管理に関する技術的事項について相談その他の援助を行うこと。
ロ 港湾労働者に対する訓練を行うこと。
ハ 港湾労働者派遣事業その他の港湾運送に必要な労働力の需給調整に関する措置に係る情報の収集、整理及び提供を行うこと。
ニ 港湾労働者派遣事業に係る労働者派遣契約の締結についてのあっせんを行うこと。
ホ (4)のイの雇用福祉事業関係業務を行うこと。
ヘ 前記イからホに掲げるもののほか、港湾労働者の雇用の安定その他港湾労働者の福祉の増進を図るための業務を行うこと。
(4) 港湾労働者雇用安定センターによる雇用福祉事業関係業務の実施(法第31条関係)
イ 雇用福祉事業関係業務
労働大臣は、港湾労働者雇用安定センターを指定したときは、港湾労働者雇用安定センターに雇用保険法第64条の雇用福祉事業のうち次のいずれかに該当するものに係る業務の全部又は一部を行わせるものとしていること。(法第31条第1項)
(イ) 港湾労働者派遣事業の派遣労働者の福祉の増進に関する調査研究を行うこと。
(ロ) 港湾労働者派遣事業の派遣労働者の福祉の増進を図るための措置について、事業主その他の関係者に対して相談その他の援助を行うこと。
(ハ) 港湾労働者派遣事業の派遣労働者に対して、港湾労働者派遣事業に係る派遣就業について相談その他の援助を行うこと。
(ニ) 雇用管理者及び読替え後の労働者派遣法第36条の規定により選任された派遣元責任者(港湾派遣元事業主が選任したものに限る。)に対する研修を行うこと。
(ホ) 前記(イ)から(ニ)に掲げるもののほか、港湾労働者派遣事業の派遣労働者の福祉の増進を図るために必要な事業を行うこと。
ロ 届出
(イ) 港湾労働者雇用安定センターは、イの(イ)から(ホ)までに掲げる業務(以下「雇用福祉事業関係業務」という。)の全部又は一部を開始する際、当該業務の種類ごとに、当該業務を開始する日及び当該業務を行う事務所の所在地を労働大臣に届け出なければならないこと。当該業務を行う事務所の所在地を変更しようとするときも同様としていること(法第31条第2項)。
(ロ) 雇用福祉事業関係業務を行う事務所の所在地の変更の届出
港湾労働者雇用安定センターは、雇用福祉事業関係業務を行う事務所の所在地を変更しようとするときは、次の事項を記載した届出書を労働大臣に提出しなければならないこととしていること(施行規則第26条)。
a 変更後の雇用福祉事業関係業務を行う事務所の所在地
b 変更しようとする日
c 変更しようとする理由
ハ 労働大臣は、港湾労働者雇用安定センターに行わせる雇用福祉事業関係業務の種類及びロの届出に係る事項を公示しなければならないこと(法第31条第3項)。
(5) 業務規程の認可(法第32条関係)
イ 認可
(イ) 港湾労働者雇用安定センターは、(3)のハ若しくはニの業務(以下「事業主支援業務」という。)又は雇用福祉事業関係業務を行うときは、これらの業務の開始前に、これらの業務の実施に関する規定(以下「業務規程」という。)を定め、労働大臣の認可を受けなければならないこと。これを変更しようとするときも、同様としていること。
(ロ) 変更の認可の申請
港湾労働者雇用安定センターは、業務規程の変更の認可を受けようとするときは、次の事項を記載した申請書を労働大臣に提出しなければならないものとしていること(施行規則第27条)。
a 変更しようとする事項
b 変更しようとする日
c 変更の理由
ロ 記載事項(法第32条第2項関係)
業務規程には、次の事項を定めておかなければならないものとしていること(施行規則第28条)。
(イ) 事業主支援業務の実施方法に関する事項
(ロ) 雇用福祉事業関係業務の実施方法に関する事項
ハ 変更命令(法第32条第3項関係)
労働大臣は、認可した業務規程が事業主支援業務又は雇用福祉事業関係業務の適性かつ確実な実施上不適当となったと認めるときは、港湾労働者雇用安定センターに対し、その業務規程を変更すべきことを命ずることができることとしていること。
(6) 区分経理(法第33条関係)
イ 経理原則
港湾労働者雇用安定センターは、その業務の財政状態を明らかにするため、財産の増減及び異動をその発生の事実に基づいて経理しなければならないこととしていること(施行規則第29条)。
ロ 区分経理の方法
港湾労働者雇用安定センターは、事業主支援業務に係る経理、雇用福祉事業関係業務に係る経理及びその他の業務に係る経理をそれぞれ区分して整理しなければならないものとしていること(施行規則第30条)。
(7) 事業計画書等(法第34条関係)
イ 事業計画書の認可等(法第34条第1項関係)
(イ) 港湾労働者雇用安定センターは、毎事業年度開始前に(指定を受けた日の属する事業年度にあっては、その指定を受けた後遅滞なく)事業計画書及び収支予算書を作成し、労働大臣の認可を受けなければならないものとしていること。また、これを変更しようとするときも同様としていること(施行規則第31条)。
(ロ) 事業計画書には、次に掲げる事項に関する計画を記載しなければならないこととしていること(施行規則第32条)。
a 法第31条第1項第1号の調査研究に関する事項
b 法第31条第1項第2号の相談その他の援助に関する事項
c 法第31条第1項第3号の相談その他の援助に関する事項
d 法第31条第1項第4号の研修に関する事項
e 法第31条第1項第5号の港湾労働者派遣事業の派遣労働者の福祉の増進を図るために必要な事業に関する事項
f aからeの事項のほか、法第30条各号に掲げる業務に関する事項
(ハ) 収支予算書は、収入にあってはその性質、支出にあってはその目的にしたがって区分するものとしていること(施行規則第33条)。
(ニ) 収支予算書の認可の申請に当たっては、認可申請書に次に掲げる書類を添付して労働大臣に提出しなければならないこととしていること(施行規則第34条)。
a 前事業年度の予算貸借対照表
b 当該事業年度の予定貸借対照表
c その他当該収支予算書の参考となる書類
(ホ) 事業計画書又は収支予算書の変更の認可の申請に当たっては、変更しようとする事項及びその理由を記載した申請書を労働大臣に提出しなければならないこととしていること。この場合において、収支予算書の変更が(ニ)のb又はcに掲げる書類の変更を伴うときは、当該変更後の書類を添付しなければならないこととしていること(施行規則第35条)。
(ヘ) 港湾労働者雇用安定センターは、予見することができない理由による支出予算の不足を補うため、収入支出予算に予備費を設けることができることとしていること。また、港湾労働者雇用安定センターは、雇用福祉事業関係業務特別勘定の予備費を使用したときは、使用の理由、金額及び積算の基礎を明らかにした書類をもって、速やかに、その旨を労働大臣に通知しなければならないこととしていること(施行規則第36条)。
(ト) 予算の流用等
a 港湾労働者雇用安定センターは、支出予算については、収支予算書に定める目的の外に使用してはならないこととしていること。ただし、予算の実施上適当かつ必要であるときは、(ハ)による区分にかかわらず、相互流用することができることとしていること(施行規則第37条第1項)。
b 港湾労働者雇用安定センターは、労働大臣が指定する経費の金額については、流用又は使用の理由、金額及び積算の基礎を明らかにした書類を労働大臣に提出し、承認を受けなければ、それらの経費の間又は他の経費との間に相互流用し、又はこれに予備費を使用することができないこととしていること(施行規則第37条第2項及び第3項)。
(チ) 予算の繰越し
a 港湾労働者雇用安定センターは、支出予算の経費の金額のうち当該事業年度内に支出決定を終わらないものについて、予算の実施上必要があるときは、これを翌事業年度に繰り越して使用することができることとしていること。
ただし、労働大臣が指定する経費の金額については、あらかじめ、当該事業年度末までに、事項ごとに繰越を必要とする理由及び金額を明らかにした書類を労働大臣に提出し、承認を受けなければならないこととしていること(施行規則第38条第1項及び第2項)。
b 港湾労働者雇用安定センターは、雇用福祉事業関係業務特別勘定について繰越をしたときは、当該事業年度終了後二月以内に、繰越計算書を労働大臣に提出しなければならないこととしていること(施行規則第38条第3項)。
c bの繰越計算書は、支出予算と同一の区分により作成し、かつ、当該繰越計算書に繰越しに係る経費の予算現額並びに当該経費の予算現額のうち支出決定済額、翌事業年度への繰越額及び不用額を記載しなければならないこととしていること(施行規則第38条第4項)。
ロ 事業計画書の作成(法第34条第2項関係)
事業計画書は、当該港湾に係る港湾雇用安定等計画の定めるところに即して作成するものとしていること。
ハ 事業報告書等の承認(法第34条第3項関係)
(イ) 港湾労働者雇用安定センターは、事業報告書、貸借対照表、収支決算書及び財産目録を作成し、毎時行年度終了後3ヶ月以内に労働大臣に提出し、その承認を受けなければならないこととしていること(施行規則第39条)。
(ロ) 収支決算書
収支決算書は、収入支出予算と同一の区分により作成し、かつ、当該収支決算書に次に掲げる事項を示さなければならないこととしていること(施行規則第40条)。
a 収入
(a) 収入予算額
(b) 収入決定済額
(c) 収入予算額と収入決定済額との差額
b 支出
(a) 支出予算額
(b) 前事業年度からの繰越額
(c) 予備費の使用の金額及びその理由
(d) 流用の金額及びその理由
(e) 支出予算の現額
(f) 支出決定済額
(g) 翌事業年度への繰越額
(h) 不用額
(8) 交付金(法第35条関係)
国は、予算の範囲内において、港湾労働者雇用安定センターに対し、雇用福祉事業関係業務に要する費用の全部又は一部に相当する金額を交付することができることとしていること。
(9) 会計規定(施行規則第41条)
イ 港湾労働者雇用安定センターは、その財務及び会計に関し、法及び施行規則で定めるもののほか、会計規程を定めなければならないこととしていること(施行規則第41条第1項)。
ロ 港湾労働者雇用安定センターは、会計規程を定めようとするときは、その基本的事項について労働大臣の承認を受けなければならないこととしていること(施行規則第41条第2項)。
ハ 港湾労働者雇用安定センターは、会計規程を制定し、又は変更したときは、その理由及び内容を明らかにして、遅滞なく労働大臣に提出しなければならないこととしていること(施行規則第41条第3項)。
(10) 役員の選任及び解任の認可等(法第37条関係)
イ 認可等(法第37条第1項関係)
(イ) 港湾労働者雇用安定センターの役員の選任及び解任は、労働大臣の認可を受けなければその効力を生じないものとしていること。
(ロ) 港湾労働者雇用安定センターは、(イ)の認可を受けようとするときは、次の事項を記載した申請書を労働大臣に提出しなければならないものとしていること。
a 選任又は解任に係る役員氏名及び略歴
b 選任又は解任の理由
ロ 解任命令(法第37条第2項関係)
港湾労働者雇用安定センターの役員が次の場合に該当するときは、労働大臣は、当該港湾労働者雇用安定センターに対し、その役員を解任すべきことを命ずることができるものとしていること。
(イ) 法第5章の規定(当該規定に基づく命令又は処分を含む。)又は法第32条第1項の規定により認可を受けた業務規程に違反する行為をしたとき。
(ロ) 法第30条に規定する業務に関し著しく不適当な行為をしたとき。
(ハ) その在任により港湾労働者雇用安定センターが法第28条第2項第3号に該当することとなるとき。
(11) 報告及び検査(法第38条関係)
イ 労働大臣は、法第30条に規定する業務の適正な運営を確保するために必要な限度において、港湾労働者雇用安定センターに対し、当該業務の状況に関し必要な報告をさせ、又は所属の職員に、港湾労働者雇用安定センターの事務所に立ち入り、業務の状況若しくは帳簿、書類その他の物件を検査させることができることとしていること。
ロ 立入検査をする職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係者に提示しなければならないものとしていること。
ハ 立入検査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならないものとしていること。
(12) 監督命令(法第39条関係)
労働大臣は、法第5章の規定を施行するために必要な限度において、港湾労働者雇用安定センターに対し、第30条に規定する業務に関し、監督上必要な命令をすることができることとしていること。
(13) 指定の取消し等(法第40条関係)
イ 指定の取消し等(法第40条第1項関係)
労働大臣は、港湾労働者雇用安定センターが次のいずれかに該当するときは指定を取り消し、又は期間を定めて法第30条に規定する業務の全部若しくは一部の停止を命ずることができることとしていること。
(イ) 法第30条に規定する業務を適正かつ確実に実施することができないと認められるとき。
(ロ) 指定に関し不正の行為があったとき。
(ハ) 法第5章の規定又は当該規定に基づく命令若しくは処分に違反したとき。
(ニ) 法第29条第1項の条件に違反したとき。
(ホ) 法第32条第1項の規定により認可を受けた業務規程に違反して事業主支援業務又は雇用福祉事業関係業務を行ったとき。
ロ 公示(法第40条第2項関係)
労働大臣は、イの命令を行ったときは、その旨を公示しなければならないこととしていること。
(14) 聴聞(法第41条関係)
イ 労働大臣は、行政手続法(平成5年法律第88号)の規定により、同法第13条第1項の区分に基づいて、法第32条第3項の規定による業務規程の変更命令又は法第39条の規定による監督命令をしようとするときは弁明を、法第37条第2項の規定による役員の解任命令をしようとするときは、聴聞を行わなければならないものであること。
なお、当該弁明又は聴聞に係る手続の具体的内容は、行政手続法及び労働省における聴聞及び弁明の機会の付与の手続に関する規則(平成6年労働省令第43号)によることとされるものであること。
ロ 労働大臣は、法第40条第1項の規定による指定の取消し又は業務の全部若しくは一部の停止命令をしようとするときは、行政手続法の規定にかかわらず聴聞を行わなければならないものであること(法第41条第1項)。
ハ 法第40条第1項の規定による処分に係る聴聞に際しては、当該処分に係る利害関係人が当該聴聞に関する手続に参加することを求めたときは、聴聞の主宰者はこれを許可しなければならないこととされるものであること(法第41条第2項)。(行政手続法第17条第1項において、聴聞の主宰者は、必要があると認めるときは、関係人に対し、聴聞手続への参加を求め、又は許可することができるとしているところ、法第25条は、その特例となるものであること。)
なお、「利害関係人」とは、労働大臣が行う処分によって自己の利益を害されるおそれのある地位にある者をいい、具体的には、その対象となる港湾労働者雇用安定センターが常時雇用する労働者や当該港湾労働者雇用安定センターがある港湾の事業主がこれに該当する者であること。
ニ 法第41条は、行政手続法の特例として置かれるものであるが、法第41条に基づく聴聞に係る手続の具体的内容については行政手続法及び労働省における聴聞及び弁明の機会の付与の手続に関する規則によることとされるものであること。
7 雑則及び罰則(法第6章関係及び第7章)
(1) 港湾労働者派遣事業に係る事業主の義務(法第43条関係)
イ 事業主は、適用港湾において、その常時雇用する労働者以外の者を港湾運送の業務に従事させようとするときは、港湾労働者派遣事業に係る労働者派遣の役務の提供を受けなければならないこととしていること。ただし、当該港湾において港湾労働者派遣事業を営んでいるすべての港湾派遣元事業主に対し労働者の派遣を求め、又は港湾労働者雇用安定センターに対し労働者派遣契約の締結についてのあっせんを求めたにもかかわらず当該港湾労働者派遣事業に係る労働者派遣の役務の提供を受けられない場合は、この限りでないこと。
ロ イの「常時雇用する労働者」とは、労働者派遣法第2条第5号の「常時雇用される労働者」と同義であり、雇用契約の形式の如何を問わず、事実上期間の定めなく雇用されている労働者をいうものであること。
ハ 公共職業安定所は、法第10条第1項の規定による事業主からの求人の申込みを受理するに当たっては、港湾労働者雇用安定センターに対して、当該事業主が当該求人により雇い入れる労働者に従事させようとした業務についての労働者派遣契約の締結のあっせんを求めたか否かを確認すること。
ニ ハにおいて、港湾労働者雇用安定センターに対してあっせんを求めていない場合には、港湾労働者雇用安定センターが派遣元事業主から受けているあっせんの申込みの中に、当該日雇労働者の求人により雇い入れる労働者に従事させようとした業務について派遣可能なものがあるか否かを確認し、派遣可能なものがある場合には、当該日雇労働者の求人を申し込んだ事業主に対して、港湾労働者雇用安定センターに対してあっせんを申し込むよう指導すること。
ホ ハ及びニの確認は、事業主の法第43条の遵守を担保するためのものであるが、日雇労働者の求人を申し込んだ事業主が、港湾労働者雇用安定センターに対して日雇労働者の求人に係る業務についての労働者派遣契約の締結のあっせんを求めていない場合においては、法第43条の趣旨を説明することとし、たとえ当該事業主が当該港湾におけるすべての港湾派遣元事業主に対して労働者の派遣を求めていたとしても、港湾労働者雇用安定センターによる労働者派遣契約の締結のあっせんの利便性を説明し、これを利用するよう助言を行うこと。
なお、港湾雇用安定等計画において事業主が港湾労働者派遣の役務の提供を受けるに際して、港湾労働者雇用安定センターに対し、労働者派遣契約の締結についてあっせんを求める旨の記述がなされる場合には、その記述内容にしたがい、港湾労働者雇用安定センターに対してあっせんの申込みを行うことが必要であることからあっせんの申込みを行わない事業主に対して必要な指導を行うこと。
(2) 公共職業安定所長に対する申告(第44条関係)
イ 港湾労働者は、事業主が法第3章(これに基づく命令を含む。)又は法第43条の規定に違反する事実がある場合においては、その事実を公共職業安定所長に申告することができることとしていること。
ロ 事業主は、イの申告をしたことを理由として、港湾労働者に対して解雇その他不利益な取扱いをしてはならないこととしていること。
(3) 報告及び検査(法第45条関係)
イ 管轄公共職業安定所長は、法第7条の規定を施行するために必要な限度において、事業主に対し、報告すべき事項及び報告をさせる理由を書面により通知し、必要な事項を報告させることができることとしていること(施行規則第45条)。
ロ 管轄公共職業安定所長は、法第7条の規定を施行するために必要な限度において、所属の職員に、事業主の事業所その他の施設に立ち入り、関係者に質問させ、又は帳簿、書類その他の物件を検査させることができるものとしていること。
(4) 罰則(法第48条から第52条まで関係)
事業主が、偽りその他の不正の行為により港湾労働者派遣事業の許可又は港湾労働者派遣事業の許可の有効期間の更新を受けたとき等について、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金を科すこと等法の違反について所要の罰則を規定するとともに、法人の違反の場合における両罰規定を置いていること。
第2 関係告示の制定について
本日、港湾労働法第十四条第一項第二号イの規定に基づき労働大臣が定める基準を定める件(平成12年労働省告示第75号)、港湾労働法第十四条第一項第二号ロの規定に基づき労働大臣が定める日数を定める件(平成12年労働省告示第76号)、港湾労働法第二十五条第二項の規定に基づき労働大臣が定める基準を定める件(平成12年労働省告示第77号)、港湾労働法第二十五条第四項の規定に基づき労働大臣が定める期間を定める件(平成12年労働省告示第78号)及び港湾労働法第二十五条第四項の規定に基づき労働大臣が定める資格を定める件(平成12年労働省告示第79号)が定められた。
第3 港湾労働者派遣事業関係業務の運営について
港湾労働者派遣事業関係業務の運営については、別添2「港湾労働者派遣事業関係業務取扱要領」によることとする。
第4 関係通達の廃止及び改正について
1 昭和63年12月23日付け労発第150号、職発第663号、能発第287号「港湾労働法の施行について」を廃止する。
2 平成12年2月14日付け職発第64号「職業安定行政定例業務報告作成要領の改定について」の「Ⅳ様式の説明」中「第230号港湾労働関係職業紹介等状況報告(月報)」に係る部分を平成12年10月内容月から次のように改める。
別添1
港湾労働者証の交付関係業務実務要領
第1 常時港湾運送の業務に従事する港湾労働者の雇用の届出及び港湾労働者証の交付に関する手続
1 港湾労働者の雇用の届出の受理及びその確認
港湾労働者の雇用の届出の受理及びその確認に関する手続きについては、記の第1の4の(5)のイによるほか、次の事項に留意するものとすること。
(1) 届出に係る労働者が、常用労働者であるか否かの確認は、原則として社会保険の適用関係に基づき、次により行うものとすること。
イ 届出に係る常用労働者が雇用保険の一般被保険者であり、かつ、健康保険(日雇保険を除く。以下同じ。)及び厚生年金保険の被保険者であるときは、港湾労働者雇用届(施行規則様式第1号)に添えて提示された前記社会保険の被保険者証及び被保険者資格取得確認通知書又は被保険者資格取得届の写により、その適用関係を確認し、雇用期間については、日々又は2月以内の期間を定めて雇用する労働者に該当することが明らかである場合以外は、特に雇用契約書の提示を求めることなく、届出を行った事業主に雇用される常用労働者であると認めるものとすること(その際、届出に係る常用労働者を使用している事業所における労働基準法第20条及び第26条の遵守の状況を考慮すること。)。
ロ 届出に係る常用労働者が、新規に採用された者であるため、雇用保険、健康保険及び厚生年金保険が未適用である場合において、これら保険の被保険者資格の取得を申請中であるときは、その被保険者資格取得届の写を、また、その手続中のため、又は緊急に雇用するために社会保険の被保険者資格取得届の写を提出できないときは、港湾労働者雇用届に添えて雇用契約書(写にても可とする。)その他雇用期間を明らかにすることができる書類を提出せしめ、これにより常用労働者であることを確認するものとすること。
(2) 港湾労動者雇用届を受理するに当たっては、同時に(1)により社会保険の適用関係等を確認するための書類の提出又は提示を求めるものとするが、これらの書類を届出と同時に提出又は提示することが不可能であるときは、届出後において提出又は提示を受けることとして差し支えないものとすること。
(3) 「常時港湾運送の業務に従事する」に該当するか否かの判断に当たっては、港湾労働者雇用届の「港湾運送の業務に従事する期間」欄の1に丸印が付いている場合に、これに該当するものとして取り扱うこと。
(4) 届出に係る労働者が、「港湾労働者派遣事業関係」欄において派遣対象労働者に該当するか否かの判断に当たっては、港湾労働者雇用届の「港湾労働者派遣事業関係」欄の1に丸印が付いている場合には、事業主が事前に当該労働者が派遣対象労働者となることについて同意したことを確認したものとして、これに該当するものとすること。
(5) 「1年以上主として従事している業務」欄において、届出に係る港湾労働者が、主たる業務に1年以上従事しているかどうかについての確認は、次により行うものとすること。
イ 届出に係る港湾労働者が常用労働者であり、かつ派遣対象労働者である場合には、丸印がついている番号の業務について、これに該当するものとして取り扱うこととする。
ロ 届出に係る港湾労働者が常用労働者になる前に主たる業務につき日雇労働者としての経験等がある場合は、実際に1年以上主として従事している業務について確認するための書類の提出又は提示を求め、届出を受けた当該事業所を管轄する公共職業安定所(以下、「管轄安定所」という。)の所長の裁量により資格要件を外すことができるものとする。
(6) 「取得資格欄」に記載されている資格についての確認は、届出に係る港湾労働者が港湾労働者雇用届(施行規則様式第1号)に記載された資格を取得していることを客観的に証明する公的証書(写しでも可)の提出を求めるものとする。
(7) 上記により、常時港湾運送の業務に従事する常用労働者であることの確認及び届出に係る労働者が派遣対象労働者である場合においては1年以上主たる業務に従事していることあるいは資格を取得していることの確認を行った場合は、届出を受けた管轄安定所は、港湾労働者雇用届に次の事項を記入したうえ、薄紙に安定所のスタンプ(日付は受付年月日とする。)を押印し、港湾労働者証とともに、事業主に返戻するものとすること。
イ 事業所番号(管轄安定所(本所)又はその出張所ごとに一連番号とし、管轄安定所又はその出張所の頭文字を付する。)
ロ 番号(管轄安定所及び雇用事業所が判明するよう各港ごとにその番号の付け方を決定する。)(下例参照)
(例) 港14―1
港…港公共職業安定所
14…港公共職業安定所における当該事業所の番号
1…個人の番号
ハ 交付年月日(港湾労働者証交付の年月日)
(8) 届出に係る労働者が、常用労働者ではあるが、常時港湾運送の業務に従事する者でないときは、管轄安定所は、港湾労働者雇用届に(7)のイ及びロの事項を記入したうえ、薄紙に安定所のスタンプ(日付は受付年月日とする。)を押印し、事業主に返戻するものとすること。
2 港湾労働者証の交付
届出に係る労働者が、常時港湾運送の業務に従事する常用労働者であることを確認したときは、1の(7)に示した処理を行うとともに、港湾労働者証を作成し、事業主を経由して当該労働者に交付するものとするが、港湾労働者証の作成については、次の事項に留意するものとすること。
(1) 「No.」欄には、1の(7)のロによる番号を記入する。
(2) 「氏名」欄には、当該労働者の氏名及び生年月日を記入する。
(3) 「事業所」欄には、当該労働者を雇用する事業所の名称及び所在地を記入する。
(4) 「港湾労働者派遣関係」欄には、当該労働者が派遣対象労働者である場合には丸印をつける。
(5) 「派遣事業対象業務の種類」欄については、届出に係る労働者が主として従事している業務に丸印をつけるものとすること。
(6) 「取得資格」欄については、届出に係る港湾労働者が港湾運送業務に従事した経験が1年未満である場合に、当該労働者が取得している資格について「施行規則様式第1号(第3条第2項関係)(第4面)7 資格一覧表」のうち該当する資格番号を記入すること。
(7) 写真欄には、当該労働者の写真を貼付し、下部に割印を刻印する。
(8) 欄外には、港湾労働者証の交付年月日及び管轄安定所名を記入するとともに港湾労働者港湾労働者雇用届の交付年月日欄と合せ契印を押印する。
第2 港湾労働者証の改訂、再交付等に関する手続
1 港湾労働者証の改訂
港湾労働者証の改訂の手続については、記の第1の4の(5)のハによるほか、次の事項にも留意するものとすること。
(1) 港湾労働者証の交付を受けた常用労働者の氏名に変更があったとき
イ 港湾労働者証の交付をを受けた常用労働者の労働者の氏名に変更があったときは、事業主は速やかに管轄安定所に次の書類を提出してその旨を届け出るものとすること。
(イ) 常用労働者氏名変更届(別紙様式第1号)
(ロ) 当該常用労働者の港湾労働者証
ロ 届出を受けた管轄安定所は、港湾労働者雇用届の氏名欄に「変更」と朱書きし裏面記事欄に、当該届出を受けた年月日及び変更内容を記入の上、扱者の印を捺印するとともに、当該労働者の港湾労働者証の氏名を訂正し、事業主に返戻するものとすること。
(2) 港湾労働者証の交付を受けた常用労働者を他の事業所に転勤させたとき
イ 港湾労働者証の交付を受けた常用労働者を他の事業所に転勤させて常時港湾運送の業務に従事させるときは、事業主は速やかに転勤後の事業所の管轄安定所に、次の書類を提出してその旨を届け出るものとすること。
(イ) 常用労働者転勤届(別紙様式第3号)
(ロ) 当該常用労働者の港湾労働者証
ロ 転勤後の事業所の管轄安定所が、転勤前の事業所の管轄安定所と同一である場合は、管轄安定所は(1)のロに準じ、港湾労働者雇用届及び港湾労働者証に必要な改訂を加え、港湾労働者証を事業主に返戻するものとすること。
ハ 転勤後の事業所の管轄安定所が転勤前の事業所の管轄安定所と異なる場合は、転勤後の事業所の管轄安定所は、(2)に準じて港湾労働者証に必要な改訂を加えて事業主に返戻するとともに、転勤前の事業所の管轄安定所にその旨を通報するものとすること。この場合、統計上はこれを新規港湾労働者証交付件数に計上するものとすること。
ニ ハによる通報を受けた安定所は、当該常用労働者に係る港湾労働者雇用届を、転勤後の事業所の管轄安定所に送付するものとすること。
ホ ニにより港湾労働者雇用届の送付を受けた安定所は、(1)のロに準じてこれに必要な改訂(転勤であることを明示する。)を加えた上で、保管するものとすること。
(3) 港湾労働者証の交付を受けた常用労働者を新たに港湾労働者派遣事業に係る労働者派遣の対象としたとき又は港湾労働者派遣事業に係る労働者派遣の対象から除外したとき
イ 港湾労働者証の交付を受けた常用労働者を新たに港湾労働者派遣事業に係る労働者派遣の対象としたとき又は港湾労働者派遣事業に係る労働者派遣の対象から除外したときは、事業主は速やかに管轄安定所に次の書類を提出してその旨を届け出るものとすること。
(イ) 港湾労働者派遣事業関係変更届(別紙様式第4号)
(ロ) 当該常用労働者の港湾労働者証
ロ 届出を受けた管轄安定所は、(1)のロに準じ、港湾労働者雇用届及び港湾労働者証に必要な改訂を加え、港湾労働者証を事業主に返戻するものとすること。
(4) 港湾労働者証の交付を受けた派遣対象労働者の主として従事する業務に変更があったとき
イ 港湾労働者証の交付を受けた派遣対象労働者の主として従事する業務に変更があったときは、事業主は速やかに管轄安定所に次の書類を提出してその旨を届け出るものとすること。
(イ) 主たる業務変更届(別紙様式第5号)
(ロ) 当該常用労働者の港湾労働者証
ロ 届出を受けた管轄安定所は、(1)のロに準じ、港湾労働者雇用届及び港湾労働者証に必要な改訂を加え、港湾労働者証を事業主に返戻するものとすること。
(5) 資格を有することにより派遣対象労働者であった港湾労働者が派遣就労する主たる業務に1年以上従事するに至ったとき
イ 主たる業務への従事経験が1年未満であるが、平成12年労働省告示第 号に規定する資格を有することにより派遣対象労働者であった港湾労働者が派遣就業する主たる業務に1年以上従事するに至ったときは、事業主は、速やかに管轄安定所に次の書類を提出してその旨を届け出るものとすること。
(イ) 派遣資格変更届(別紙様式第6号)
(ロ) 当該常用労働者の港湾労働者証
ロ 届出を受けた管轄安定所は、(1)のロに準じ、港湾労働者雇用届及び港湾労働者証に必要な改訂を加え、港湾労働者証を事業主に返戻するものとすること。
(6) 事業所の名称又は所在地に変更があったとき
イ 事業所の名称又は所在地に変更があったときは、事業主は速やかに管轄安定所に次の書類を提出してその旨を届け出るものとすること。
(イ) 事業所名称、所在地変更届(別紙様式第2号)
(ロ) 当該事業所において港湾運送の業務に従事する常用労働者の港湾労働者証
ロ 届出を受けた管轄安定所は、(1)のロに準じ、港湾労働者雇用届及び港湾労働者証に必要な改訂を加え、港湾労働者証を事業主に返戻するものとすること。
2 港湾労働者証の再交付等
港湾労働者証の再交付を受けた常用労働者が、港湾労働者証を亡失し、若しくは滅失したとき又は港湾労働者証の写真が本人であることを認め難くなったときの港湾労働者証の再交付等の手続は、記の第1の4の(5)のニによるほか、次によるものとすること。
(1) 事業主は、上記の事由に該当することにより港湾労働者証の再交付等が必要であるときは、管轄安定所に次の書類を提出してその旨を申請するものとすること。
イ 港湾労働者証再交付申請書(施行規則様式第3号)
ロ 当該常用労働者の写真 1枚
ハ 港湾労働者証が亡失又は滅失したこと以外の理由で申請する場合は、当該港湾労働者証
(2) (1)の申請を受けた管轄安定所は、申請に応じ、その旨及び年月日を港湾労働者雇用届の裏面記事欄に記入するとともに、「再交付」の押印を行った港湾労働者証の再交付又は写真のはり換えを行うものとすること。
第3 港湾労働者証の有効期間及び返納に関する手続き
1 港湾労働者証の有効期間
港湾労働者証の有効期間及びその書換えについては、記の第1のホによるほか、次の事項に留意するものとすること。
(1) 港湾労働者証の有効期間は、関係各管轄安定所の業務の繁閑に応じ、適宜これを設定するものとするが、同一港湾にあっては同一の期日となるよう配慮すること。
(2) 事業主は、港湾労働者証の有効期間内に次の書類を提出して、港湾労働者証の書換えを申請するものとすること。
イ 港湾労働者証書換え申請書(別紙様式第7号)
ロ 当該常用労働者の写真 1枚
ハ 書換えに係る港湾労働者証
(3) 申請を受けた管轄安定所は、申請に応じ、港湾労働者使用届の裏面記事欄にその旨及び年月日を記入するとともに、港湾労働者証を作成し、事業主を通じて当該労働者に交付するものとすること。
(4) 管轄安定所は、(2)の申請が短時日の間に集中しないよう事業主を指導するものとすること。
(5) (4)の指導にかかわらず、申請が短時日の間に集中したときは、1ヶ月に限り、港湾労働者証の有効期間を延長し、その間に書換えを行うことができるものとするが、この場合は、従前交付した港湾労働者証の余白に「○月○日まで有効期間延長」の押印を行い、使用に供せしめるものとすること。
2 港湾労働者証の返納
港湾労働者証の交付を受けた常用労働者が、死亡したとき、当該事業主に雇用される常用港湾労働者でなくなったとき又は常時港湾運送の業務に従事する常用労働者でなくなったときにおける港湾労働者証の返納の手続は、記の第1の4の(5)のヘによるほか、次によるものとすること。
(1) 事業主は、上記の場合に該当したときは、管轄安定所に対し、当該港湾労働者証を返納するものとすること。
(2) (1)の返納を受けた管轄安定所所は、口頭その他の方法によりその旨及び理由を確認の上、それらの事項及びその年月日を、港湾労働者雇用届の裏面記事欄に朱書するものとすること。