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通達:港湾労働法の一部を改正する法律の施行について

 

港湾労働法の一部を改正する法律の施行について

平成12年8月11日労働省発職第172号

(各都道府県労働局長あて労働事務次官通知)

 

「港湾労働法の一部を改正する法律」については、第147回国会において、平成12年5月12日に成立し、5月19日に平成12年法律第72号として公布された。

また、本日、「港湾労働法の一部を改正する法律の施行期日を定める政令」が平成12年政令第405号として公布され、「港湾労働法の一部を改正する法律」の施行期日を本年10月1日とするとともに、「港湾労働法施行令等の一部を改正する政令」が平成12年政令第406号として公布され、本年10月1日から施行されることとなった。

「港湾労働法の一部を改正する法律」は、最近における港湾労働をめぐる情勢に対応して、港湾運送に必要な労働力の確保に資するとともに、港湾労働者の雇用の安定その他福祉の増進を図ることを目的としており、その主たる内容は下記第1のとおりであり、また、「港湾労働法の一部を改正する法律の施行期日を定める政令」及び「港湾労働法施行令等の一部を改正する政令」の主たる内容は、それぞれ下記第2及び第3のとおりであるので、その趣旨を十分理解の上、その施行に万全を期されたく、命により通達する。

 

第1 港湾労働法の一部を改正する法律関係

1 趣旨

この法律は、港湾運送事業における規制改革の実施等に対応し、港湾労働者の雇用の安定を図るとともに、港湾運送事業主の効率的な経営・就労体制の確立に資するため、港湾運送事業主間で港湾労働者を相互に活用することができる制度(港湾労働者派遣制度)を導入することとし、これに伴い、港湾労働者雇用安定センターが従来実施してきた労働者派遣業務を廃止するとともに、港湾労働者雇用安定センターを港湾労働者派遣制度の適正な実施のための支援機関として活用することとしたものである。

2 概要

(1) 定義(第2条関係)

この法律において、「港湾労働者派遣事業」とは、事業主が港湾運送の業務について行う特定労働者派遣事業をいうものとすること(第5号関係)。

(2) 港湾雇用安定等計画(第3条第2項第4号関係)

港湾労働者派遣事業の適正な運営を確保するための方策に関する事項を港湾雇用安定等計画に定める事項に加えること。

(3) 港湾労働者派遣事業(第12条から第27条まで関係)

イ 港湾労働者派遣事業の許可(第12条関係)

(イ) 港湾労働者派遣事業を行おうとする事業主は、事業所ごとに、労働大臣の許可を受けなければならないものとすること(第1項関係)。

(ロ) (イ)の許可を受けようとする者は、事業計画書等の書類を添えて、申請書を労働大臣に提出しなければならないものとすること(第2項から第4項まで関係)。

(ハ) 労働大臣は、(イ)の許可をしようとするときは、あらかじめ、中央職業安定審議会の意見を聴かなければならないものとすること(第5項関係)。

ロ 許可の欠格事由(第13条関係)

次のいずれかに該当する者は、イ(イ)の許可を受けることができないものとすること。

(イ) 禁錮こ以上の刑に処せられ、又はこの法律若しくは労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律(昭和60年法律第88号。以下「労働者派遣法」という。)の規定その他労働に関する法律の規定、港湾運送事業法の規定若しくは暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律の規定により、若しくは刑法の傷害等の罪を犯したことにより、罰金の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から起算して5年を経過しない者

(ロ) 健康保険法、船員保険法、労働者災害補償保険法、厚生年金保険法、労働保険の保険料の徴収等に関する法律又は雇用保険法の一定の規定により罰金の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から起算して5年を経過しない者

(ハ) 成年被後見人若しくは被保佐人又は破産者で復権を得ないもの

(ニ) 港湾労働者派遣事業の許可を取り消され、取消しの日から5年を経過しない者

(ホ) 営業に関し成年者と同一の能力を有しない未成年者であって、その法定代理人が(イ)から(ニ)までのいずれかに該当するもの

(ヘ) 法人で、その役員のうちに(イ)から(ホ)までのいずれかに該当する者があるもの

ハ 許可の基準(第14条関係)

労働大臣は、イ(イ)の許可の申請が次のいずれにも適合していると認めるときでなければ、許可をしてはならないものとすること(第1項関係)。

(イ) 申請者が、当該港湾労働者派遣事業に係る派遣事業対象業務と同一の港湾運送の業務を行う港湾運送事業を営んでいるものであること。

(ロ) 当該港湾労働者派遣事業の計画の内容が、次のいずれにも該当すること。

a 労働者派遣に関する料金の額が、派遣労働者の賃金その他の港湾労働者派遣事業に要する経費の水準等を勘案して労働大臣が定める基準に適合していること。

b 派遣労働者が派遣就業をする日数が、港湾労働者が港湾運送の業務に従事する日数を勘案して労働大臣が定める日数を超えないこと。

(ハ) 申請者が、派遣労働者の雇用管理を適正に行うに足りる能力を有するものであること。

(ニ) 個人情報を適正に管理し、派遣労働者等の秘密を守るために必要な措置が講じられていること。

(ホ) 港湾労働者派遣事業を的確に遂行するに足りる能力を有するものであること。

ニ 許可証(第15条関係)

労働大臣は、イ(イ)の許可をしたときは、許可証を交付しなければならないものとすること。また、許可証の交付を受けた事業主は、当該許可証を事業所に備え付けるとともに、関係者から請求があったときは提示しなければならないものとすること。

ホ 許可の条件(第16条関係)

イ(イ)の許可には、条件を付し、及びこれを変更することができるものとすること。

ヘ 許可の有効期間等(第17条関係)

(1)イの許可の有効期間は、許可の日から3年とし、その満了後引き続き港湾労働者派遣事業を行おうとする事業主は、許可の更新を受けなければならないものとすること。また、更新を受けた許可の有効期間は、更新前の許可の有効期間の満了する日の翌日から5年とするものとすること。

ト 派遣事業対象業務の種類の変更等(第18条関係)

港湾派遣元事業主は、派遣事業対象業務の種類を変更しようとするときは、労働大臣の許可を受けなければならないものとすること。

チ 氏名等の変更等(第19条及び第20条関係)

港湾派遣元事業主は、事業所の所在地等を変更し、又は当該港湾労働者派遣事業を廃止したときは、遅滞なく、その旨を労働大臣に届け出なければならないものとすること。

リ 許可の取消し等(第21条関係)

(イ) 労働大臣は、港湾派遣元事業主が次のいずれかに該当するときは、許可を取り消すことができるものとすること(第1項関係)。

a ロ(イ)から(ハ)まで、(ホ)又は(ヘ)に該当するとき。

b ハ(イ)又は(ロ)の基準に適合しなくなったと認めるとき。

c この法律、労働者派遣法若しくは職業安定法の規定又はこれらの規定に基づく命令若しくは処分に違反したとき。

d ホの許可の条件に違反したとき。

(ロ) 労働大臣は、港湾派遣元事業主が(イ)bからdまでのいずれかに該当するときは、港湾労働者派遣事業の停止を命ずることができるものとすること(第2項関係)。

ヌ 名義貸しの禁止(第22条関係)

港湾派遣元事業主は、自己の名義をもって、他人に港湾労働者派遣事業を行わせてはならないものとすること。

ル 労働者派遣法の特例(第23条関係)

イからヌまでのほか、港湾労働者派遣事業に係る事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等については、他の労働者派遣事業と同様の措置を講ずるものとすること。

ヲ 労働者派遣契約の内容の特例(第24条関係)

港湾派遣元事業主は、労働者派遣契約を締結する際には、自己が営んでいない港湾運事業に係る港湾運送の業務に労働者を派遣する旨の定め及び自己が港湾運送事業を営んでいない港湾に労働者を派遣する定めをしてはならないものとすること。

ワ 労働者派遣の実施方法(第25条関係)

(イ) 港湾派遣元事業主は、派遣労働者をその者が主として従事している港湾運送の業務と異なる港湾運送の業務に労働者派遣してはならないものとすること(第1項関係)。

(ロ) 港湾派遣元事業主は、派遣労働者をその者の主たる業務が行われている港湾以外の港湾に労働者派遣してはならないものとすること(第3項関係)。

(ハ) 港湾派遣元事業主が行う労働者派遣は、港湾労働者証の交付を受けた労働者であって、港湾運送の業務に一定期間以上従事した経験を有する者又は港湾運送の業務に関して一定の資格を有するものを派遣することにより行わなければならないものとすること(第4項関係)。

(4) 港湾労働者雇用安定センター

イ 業務の変更(第30条関係)

労働者派遣の業務を廃止するとともに、次に掲げる業務を港湾労働者雇用安定センターが行う業務として追加するものとすること。

(イ) 港湾労働者派遣事業に係る情報の収集、整理及び提供を行うこと。

(ロ) 港湾労働者派遣事業に係る労働者派遣契約の締結についてのあっせんを行うこと。

(ハ) ロの業務を行うこと。

ロ 雇用福祉事業関係業務(第31条関係)

労働大臣は、港湾労働者雇用安定センターに次のいずれかに該当するものに係る業務の全部又は一部を行わせるものとすること。

(イ) 港湾労働者派遣事業の派遣労働者の福祉の増進に関する調査研究を行うこと。

(ロ) 港湾労働者派遣事業の派遣労働者の福祉の増進を図るための措置について、事業主その他の関係者に対して相談その他の援助を行うこと。

(ハ) 港湾労働者派遣事業の派遣労働者に対して、派遣就業について相談その他の援助を行うこと。

(ニ) 雇用管理者及び派遣元責任者に対する研修を行うこと。

(ホ) その他港湾労働者派遣事業の派遣労働者の福祉の増進を図るために必要な事業を行うこと。

ハ 業務規程の認可(第32条関係)

(イ) 港湾労働者雇用安定センターは、事業主支援業務(イ(イ)及び(ロ)の業務)及び雇用福祉事業関係業務の実施に関する規程を定め、又は変更しようとするときは、労働大臣の認可を受けなければならないものとすること(第1項関係)。

(ロ) 労働大臣は、(イ)の業務規程が事業主支援業務又は雇用福祉事業関係業務の適正かつ確実な実施上不適当となったと認めるときは、その業務規程を変更すべきことを命ずることができるものとすること(第3項関係)。

ニ 交付金等(第33条から第35条まで関係)

(イ) 港湾労働者雇用安定センターは、事業主支援業務に係る経理、雇用福祉事業関係業務に係る経理及びその他の業務に係る経理をそれぞれ区分して整理しなければならないものとすること(第33条関係)。

(ロ) 国は、予算の範囲内において、港湾労働者雇用安定センターに対し、雇用福祉事業関係業務に要する費用の全部又は一部に相当する金額を交付することができるものとすること(第35条関係)。

(5) 雑則

イ 港湾労働者派遣事業に係る事業主の義務(第43条関係)

事業主は、その常時雇用する労働者以外の者を港湾運送の業務に従事させようとするときは、港湾労働者派遣の役務の提供を受けなければならないものとすること。ただし、当該港湾において港湾労働者派遣事業を営んでいるすべての港湾派遣元事業主に対し労働者の派遣を求め、又は港湾労働者雇用安定センターに対し労働者派遣契約の締結についてのあっせんを求めたにもかかわらず、港湾労働者派遣の役務の提供を受けられない場合はこの限りでないものとすること。

ロ 公共職業安定所長に対する申告(第44条関係)

(イ) 事業主がこの法律((3)を除く。)の規定に違反する事実がある場合においては、港湾労働者は、その事実を公共職業安定所長に申告することができるものとすること(第1項関係)。

(ロ) 事業主は、(イ)の申告をしたことを理由として、港湾労働者に対して解雇その他不利益な取扱いをしてはならないものとすること(第2項関係)。

ハ 報告及び検査(第45条関係)

公共職業安定所長は、雇用管理の勧告をするために必要な限度において、事業主に対し、必要な事項を報告させ、又は所属の職員に事業主の事業所その他の施設に立ち入り、関係者に質問させ、若しくは帳簿、書類その他の物件を検査させることができるものとすること。

(6) 罰則(第48条から第52条まで関係)

この法律の関係規定に違反した者に対して、所要の罰則を科すこと。

(7) 施行期日等

イ この法律は、公布の日から起算して6月を超えない範囲内において政令で定める日から施行するものとすること(附則第1条関係)。

ロ この法律の施行に関し必要な経過措置を定めるとともに関係法律の規定の整備を行うものとすること(附則第2条、第3条及び第5条から第7条まで関係)。

ハ 政府は、この法律の施行後3年を経過した場合において、この法律による改正後の港湾労働法の施行の状況を勘案し、必要があると認めるときは、同法の規定について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとすること(附則第4条関係)。

 

第2 港湾労働法の一部を改正する法律の施行期日を定める政令関係

港湾労働法の一部を改正する法律附則第1条において政令で定めることとされている同法の施行期日を平成12年10月1日とすること。

 

第3 港湾労働法施行令等の一部を改正する政令関係

1 港湾労働法施行令の一部改正

法第13条第1号における港湾労働者派遣事業の許可の欠格事由に係る労働に関する法律の規定であつて政令で定めるものとして、労働基準法、職業安定法等の罰則規定(強制労働、中間搾取、賃金の支払、労働力の需給調整等に関する規定等)を定めるものとすること(第1条関係)。

2 職業安定法施行令の一部改正

職業安定法第32条第1号における有料職業紹介事業の許可の欠格事由に係る労働に関する法律の規定であつて命令で定めるものに、港湾労働法の罰則規定を追加するものとすること(第2条関係)。

3 労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律施行令の一部改正

労働者派遣法第6条第1号における労働者派遣事業の許可の欠格事由に係る労働に関する法律の規定であつて政令で定めるものに、港湾労働法の罰則規定を追加するものとすること(第3条関係)。

4 施行期日

この政令は、平成12年10月1日から施行するものとすること(附則関係)。