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介護労働者の雇用管理の改善等に関する法律の施行について
平成12年4月1日職発第169号・能発第72号
(各都道府県知事・各都道府県労働局長あて労働省職業安定局長・労働省職業能力開発局長通知)
介護労働者の雇用管理の改善等に関する法律(平成4年法律第63号。以下「法」という。)の施行については、「介護労働者の雇用管理の改善等に関する法律の施行について」(平成12年4月1日付け労働省発職第77号)により労働事務次官から貴職あてその趣旨を通知したところであるが、関係政省令等を含め、その詳細については下記によることとするので、御了知の上、その円滑かつ的確な実施について特段の御配慮をお願いする。
なお、平成4年7月1日付け職発第472号・能発第159号「介護労働者の雇用管理の改善等に関する法律の施行について」は、廃止する。
記
第1 総則
1 定義(法第2条関係)
(1) 介護関係業務(法第2条第1項、則第1条関係)
イ 身体上又は精神上の障害があることにより日常生活を営むのに支障がある者に対し、介護労働者の雇用管理の改善等に関する法律施行規則(平成4年労働省令第18号。以下「則」という。)第1条に掲げる次の福祉サービス又は保健医療サービスを行う業務をいうものであること。
[1] 介護保険法(平成九年法律第百二十三号)第八条第二項に規定する訪問介護
[2] 介護保険法第八条第三項に規定する訪問入浴介護
[3] 介護保険法第八条第四項に規定する訪問看護又は老人保健法(昭和五十七年法律第八十号)第六条第五項に規定する老人訪問看護事業
[4] 介護保険法第八条第五項に規定する訪問リハビリテーション
[5] 介護保険法第八条第六項に規定する居宅療養管理指導
[6] 介護保険法第八条第七項に規定する通所介護
[7] 介護保険法第八条第八項に規定する通所リハビリテーション
[8] 介護保険法第八条第九項に規定する短期入所生活介護
[9] 介護保険法第八条第十項に規定する短期入所療養介護
[10] 介護保険法第八条第十一項に規定する特定施設入居者生活介護
[11] 介護保険法第八条第十二項に規定する福祉用具貸与
[12] 介護保険法第八条第十三項に規定する特定福祉用具販売
[13] 介護保険法第八条第十五項に規定する夜間対応型訪問介護
[14] 介護保険法第八条第十六項に規定する認知症対応型通所介護
[15] 介護保険法第八条第十七項に規定する小規模多機能型居宅介護
[16] 介護保険法第八条第十八項に規定する認知症対応型共同生活介護
[17] 介護保険法第八条第十九号に規定する地域密着型特定施設入居者生活介護
[18] 介護保険法第八条第二十項に規定する地域密着型介護老人福祉施設入居者生活介護
[19] 介護保険法第八条第二十一項に規定する居宅介護支援
[20] 介護保険法第八条第二十四項に規定する介護福祉施設サービス
[21] 介護保険法第八条第二十五項に規定する介護保健施設サービス
[22] 介護保険法第八条第二十六項に規定する介護療養施設サービス
[23] 介護保険法第八条の二第二項に規定する介護予防訪問介護
[24] 介護保険法第八条の二第三項に規定する介護予防訪問入浴介護
[25] 介護保険法第八条の二第四項に規定する介護予防訪問看護
[26] 介護保険法第八条の二第五項に規定する介護予防訪問リハビリテーション
[27] 介護保険法第八条の二第六項に規定する介護予防居宅療養管理指導
[28] 介護保険法第八条の二第七項に規定する介護予防通所介護
[29] 介護保険法第八条の二第八項に規定する介護予防通所リハビリテーション
[30] 介護保険法第八条の二第九項に規定する介護予防短期入所生活介護
[31] 介護保険法第八条の二第十項に規定する介護予防短期入所療養介護
[32] 介護予防法第八条の二第十一項に規定する介護予防特定施設入所者生活介護
[33] 介護保険法第八条の二第十二項に規定する介護予防福祉用具貸与
[34] 介護保険法第八条の二第十三項に規定する特定介護予防福祉用具販売
[35] 介護保険法第八条の二第十五項に規定する介護予防認知症対応型通所介護
[36] 介護保険法第八条の二第十六項に規定する介護予防小規模多機能型居宅介護
[37] 介護保険法第八条の二第十七項に規定する介護予防認知症対応型共同生活介護
[38] 介護保険法第八条の二第十八項に規定する介護予防支援
[39] 障害者自立支援法(平成十七年法律第百二十三号)第五条第一項に規定する障害福祉サービス
[40] 障害者自立支援法第五条第二十一項に規定する地域活動支援センターにおいて行われる入浴、排せつ、食事等の介護及び機能訓練
[41] 児童福祉法(昭和二十二年法律第百六十四号)第四十二条に規定する知的障害児施設において行われる入浴、排せつ、食事等の介護
[42] 児童福祉法第四十三条に規定する知的障害児通園施設において行われる入浴、排せつ、食事等の介護
[43] 児童福祉法第四十三条の二に規定する盲ろうあ児施設において行われる入浴、排せつ、食事等の介護
[44] 児童福祉法第四十三条の三に規定する肢体不自由児施設において行われる入浴、排せつ、食事等の介護
[45] 児童福祉法第四十三条の四に規定する重症心身障害児施設において行われる入浴、排せつ、食事等の介護
[46] 生活保護法(昭和二十五年法律第百四十四号)第三十八条第二項に規定する救護施設において行われる入浴、排せつ、食事等の介護
[47] 原子爆弾被爆者に対する援護に関する法律(平成六年法律第百十七号)第三十八条に規定する居宅生活支援事業及び同法第三十九条に規定する養護事業を行う施設において行われる入浴、排せつ、食事等の介護
[48] [1]、[2]、[23]、[24]、[39]及び[47]に掲げるもののほか、身体上又は精神上の障害があることにより日常生活に支障がある者の居宅において行われる入浴、排せつ、食事等の介護その他の日常生活上の世話
[49] 福祉用具(介護保険法第八条第十二項に規定する福祉用具をいう。)の販売([12]及び[34]に掲げるものを除く。)
[50] 移送
[51] 居宅にある身体上又は精神上の障害があることにより日常生活に支障がある者に対する食事の提供
[52] [1]から[51]までに掲げる福祉サービス又は保健医療サービスに準ずるサービスであって厚生労働大臣が定めるもの
① 重症心身障害児通園事業として行われる入浴、排せつ、食事等の介護及び機能訓練
② ①に掲げる福祉サービス又は保健医療サービスに準ずるものとして厚生労働省職業安定局長が認める福祉サービス又は保健医療サービス(「移動理美容車や出張理美容チームによる訪問理美容サービス」(平成12年12月1日適用)
※ なお、障害者自立支援法の一部の施行に伴う厚生労働省関係省令の整備等に関する省令(平成18年厚生労働省令第169号。以下「改正省令」という。)による改正前の則第1条第49号から第53号までにおいて介護関係業務とされていた各施設サービスについては、改正省令第25条に経過措置が定められていることに留意すること。
(参考)改正省令第25条
施行日から法(注:障害者自立支援法)附則第1条第3号に掲げる規定の施行の日の前日までの間は、介護労働者の雇用管理の改善等に関する法律(平成4年法律第63号)第2条第1項の厚生労働省令で定める福祉サービス又は保健医療サービスは、介護労働者の雇用管理の改善等に関する法律施行規則第1条各号に掲げるもののほか、次の各号に掲げるものとする。
一 法附則第41条第1項の規定によりなお従前の例により運営をすることができることとされた同項に規定する身体障害者更生援護施設において行われる入浴、排せつ、食事等の介護
二 法附則第58条第1項の規定によりなお従前の例により運営をすることができることとされた同項に規定する知的障害者援護施設(法附則第52条の規定による改正前の知的障害者福祉法(昭和35年法律第37号)第21条の6に規定する知的障害者更生施設及び同法第21条の7に規定する知的障害者授産施設に限る。)において行われる入浴、排せつ、食事等の介護
(2) 介護労働者(法第2条第2項関係)
要介護者等に対する福祉サービス又は保健医療サービスに従事する労働者を総称する概念として用いられているものであり、具体的には法第2条第1項に規定する介護関係業務に従事する医師、歯科医師、看護師、薬剤師、理学療法士、作業療法士、ホームヘルパー、いわゆる家政婦紹介所の行う職業紹介事業に係る家政婦等を便宜上総称するものであること。したがって、この定義によってこれまで福祉及び保健医療の分野において用いられてきた「介護」及び「看護」の各概念の意義に何ら影響を与えるものではないこと。
(3) 事業主(法第2条第4項関係)
イ 他の事業と兼業する者であっても、介護事業を行う部門における雇用管理の改善等に対する助成等の必要性は専業事業主と変わるものではないことから、介護事業を専ら行う者である必要はなく、他の事業と兼業する者であっても事業主に該当しうるものとしていること。
ロ 事業主には、会社のほか、社会福祉法人、医療法人、消費生活協同組合、農業協同組合、公益法人、特定非営利活動法人(いわゆるNPO法人)等が該当しうるものであること。
(4) 職業紹介事業者(法第2条第5項関係)
介護労働者について厚生労働大臣の許可を受けて有料の職業紹介事業を行う者をいうものであり、具体的には、いわゆる家政婦紹介所が該当するものであること。
2 事業主等の責務(法第3条関係)
(1) 事業主の責務(法第3条第1項関係)
介護労働者の福祉の増進を図るためには、雇用管理の改善を図るために必要な措置が事業主によって講じられることが不可欠であると考えられることから、事業主は、その雇用する介護労働者について、労働環境の改善、教育訓練の実施、福利厚生の充実その他の雇用管理の改善を図るために必要な措置を講ずることにより、その福祉の増進に努めるものとしていること。
なお、社会福祉事業の事業主については、社会福祉法(昭和26年法律第45号)第89条第2項第2号に規定する措置の内容を実施するよう努めなければならないことから、同号に規定する措置とは別に措置を講ずることを義務付けるものではないこと。
(2) 職業紹介事業者の責務(法第3条第2項関係)
職業紹介事業者の行う職業紹介事業に係る介護労働者については、一般に雇用主が個人家庭であり、雇用主の自主的努力に基づき雇用管理を改善する基盤を欠いているため、これらの労働者と現実に密接な関係にある職業紹介事業者に対し責務を課したものであること。
(3) 国及び地方公共団体の責務(法第4条関係)
国の具体的施策としては、本法に基づく介護労働安定センター及び独立行政法人雇用・能力開発機構による介護労働者の福祉の増進を図るための各種業務の実施、職業訓練の実施についての厚生労働大臣の特別の配慮、厚生労働大臣による職業紹介の充実等必要な措置を実施することとしているが、各都道府県におかれても、介護労働者の福祉の増進を図るために必要な施策の推進について十分御配意をお願いするとともに、各市町村におかれても同様の配意がなされるよう併せて御配意をお願いしたいこと。
(4) 適用除外(法第5条関係)
国家公務員及び地方公務員については、国家公務員法(昭和22年法律第120号)、地方公務員法(昭和25年法律第261号)等の法令に基づいて勤務条件等が定められ、介護労働者の福祉の増進を図るための施策を適用する余地がないことから、また、船員については、海上労働に従事する者であり、概して一般の陸上の労働市場と別個の労働市場を形成し、従来から船員職業安定法(昭和23年法律第130号)の体系で規定されていることから、本法を適用しないこととしたこと。
第2 介護雇用管理改善等計画
(1) 介護雇用管理改善等計画の策定(法第6条第1項関係)
介護労働者の福祉の増進を図るための施策は、本法に基づくもののほか、他の関係法律に基づく施策等多岐にわたり、その実施に当たる機関も、職業安定機関のほか、地方公共団体、独立行政法人雇用・能力開発機構、介護労働安定センター等が含まれている。これらの諸施策を円滑かつ効率的に実施していくためには、介護労働者の雇用の動向を基礎に、介護労働者対策の総合的かつ長期的な施策の目標、方向を明らかにし、その実施に当たる行政機関等に対して、行政運営に当たっての適正な方針を示すことが必要であることから、厚生労働大臣は、介護雇用管理改善等計画を策定し、その概要を公表するものとしていること。
なお、現在、「介護雇用管理改善等計画」(平成12年労働省告示第106号)が告示されていること。
(2) 要請(法第7条関係)
介護雇用管理改善等計画の実施に当たっては、同計画に記載された国の施策について、事業主、職業紹介事業者その他の関係者に活用を働きかける等その協力を求めることが必要な場合がある。
このため、厚生労働大臣は、介護雇用管理改善等計画の円滑な実施のため必要があると認めるときは、事業主、職業紹介事業者その他の関係者に対し、介護労働者の雇用管理の改善、介護労働者の能力の開発及び向上その他の介護労働者の福祉の増進に関する事項について必要な要請をすることができることとしていること。
なお、ここでいう「要請」とは、介護雇用管理改善等計画に記載された国の施策について、事業主、職業紹介事業者その他の関係者に自主的活用を働きかけることを意味するものであり、規制的性格を有するものではないこと。
第3 介護労働者の雇用管理の改善等
1 改善計画の認定(法第8条関係)
(1) 趣旨
イ 介護労働者の雇用管理の改善については、本来、個々の事業主が行うべきものであるが、事業主の努力のみでは進まない面もあることから、本法においては、国が事業主の努力を助成・援助することとしている。しかしながら、こうした助成・援助については、一定の制限があり、極力有効かつ効果的なものに対して行う必要があることから、事業主の作成した改善計画についての認定制度を設けたものであること。
ロ 介護分野における良好な雇用機会の確保を図る観点から、新たなサービスの提供又は介護事業の開始の場面においては、まさに新たな雇用機会が確保されることに加え、新たな教育訓練の実施、就業規則など雇用管理制度の見直しなどが必要となることが多く、特に費用を要すると考えられるため、その場面において行われる雇用管理の改善に関する措置のみを認定制度の対象とし、当該措置に対して法に基づく助成・援助を重点的に行うこととしたものであること。
(2) 「介護関係業務に係るサービスで現に提供しているものと異なるものの提供」等の意義(法第8条第1項関係)
イ 「介護関係業務に係るサービスで現に提供しているものと異なるものの提供」とは、既に介護事業を行っている事業主が、当該事業主が提供している介護関係業務に係るサービスと実質的に異なる介護関係業務に係るサービスを提供すれば足りるものであること。
ロ 「介護事業の開始」とは、介護事業を行っていない者が新たに介護事業を開始することをいうものであり、他の事業を行っている者が新たに介護事業を兼業する場合と、そもそも事業を行っていない者が介護事業を創業する場合の双方を含むものであること。
(3) 改善計画の認定申請(法第8条第1項関係)
法第8条第1項により、改善計画の認定を申請しようとする事業主は、改善計画を作成して、当該事業主の主たる事業所の所在地を管轄する都道府県知事に提出するものとされていること。
なお、改善計画の認定を申請する際の様式としては、[介]様式参考例1「改善計画認定申請書」が考えられること。また、申請書の提出に当たって特定の機関を経由させることについては、都道府県において特段の定めが可能であること(下記第4の3(1)参照)。
(4) 改善計画の記載事項(法第8条第2項関係)
法第8条第2項により、改善計画には、次の事項を記載しなければならないこととされていること。
① 改善措置の目標
② 改善措置の内容
③ 改善計画の実施時期
(5) 改善計画の認定通知
法第8条第1項の解釈として、都道府県知事は、改善計画を認定したときは、遅滞なく、当該認定に係る事業主(以下「認定事業主」という。)に対して通知する必要があること。
なお、当該通知の様式としては、[介]様式参考例2「改善計画認定通知書」が考えられること。
(6) 改善計画の認定基準(法第8条第3項、令第1条関係)
イ 法第8条第3項及び介護労働者の雇用管理の改善等に関する法律施行令(平成4年政令第233号。以下「令」という。)第1条により、都道府県知事は、改善計画が次に掲げる基準のいずれにも適合するものであるときは、改善計画の認定をするものとされていること。
① 改善計画が、当該事業主が雇用する介護労働者の雇用管理の改善を図るために有効かつ適切なものであること。
② 当該事業主が改善計画を達成する見込みが確実であること。
ロ 上記イ①については、具体的には、改善措置の内容が雇用管理の改善のために必要かつ十分のものであること、改善措置の規模が当該事業主が雇用する介護労働者の数に照らして適切なものであること、改善措置の内容が法令に違反するものでないこと、改善措置の内容が介護雇用管理改善等計画の内容と矛盾するものでないこと等が基準として考えられるものであること。
ハ 上記イ②については、具体的には、改善計画の内容が具体的かつ明確なものとなっていること等が基準として考えられるものであること。
(7) 改善計画の実施期間
改善計画の実施期間については、法令上特段の定めはないが、余りに長期にわたる場合には改善計画の達成見込み(上記(6)イ②参照)の判断が困難となること、法に基づく助成措置においては労働者住宅のような設置又は整備に長期間を要する施設は助成対象としていないことから、1年間を上限とすることが適当と考えられるものであること。
なお、介護雇用管理改善事業のうち教育訓練に係る改善計画の実施期間については、当該措置の準備期間を取ることが困難な場合等もあることから、3年間を上限とすることが適当であること。
2 改善計画の変更等(法第9条関係)
(1) 改善計画の変更の認定(法第9条第1項及び第3項関係)
イ 法第9条第1項により、認定事業主は、当該認定に係る改善計画の変更の認定を申請しようとするときは、当該認定事業主の主たる事業所の所在地を管轄する都道府県知事の認定を受けなければならないものとされていること。
なお、改善計画の変更の認定を申請する際の様式としては[介]様式参考例3「改善計画変更認定申請書」が考えられること。また、申請書の提出に当たって特定の機関を経由させることについては、都道府県において特段の定めが可能であること(下記第4の3(1)参照)。
ロ 上記1(5)は改善計画の変更の認定を行う場合についても同様であること。また、この場合の通知の様式としては、[介]様式参考例4「改善計画変更認定通知書」が考えられること。
ハ 法第9条第3項により、都道府県知事は、改善計画の変更が改善計画の認定に係る基準に適合するものであるときは、改善計画の変更の認定をすることとされていること。また、したがって、上記1(6)は改善計画の変更の認定についても同様であること。
ニ 上記1(7)は、変更後の改善計画の実施期間についても同様であり、変更前の改善計画の実施期間を含め1年間(介護雇用管理改善事業のうち教育訓練に係る改善計画の実施期間については、3年間)を上限とすることが考えられるものであること。
(2) 改善計画の認定の取消(法第9条第2項関係)
イ 法第9条第2項により、都道府県知事は、認定事業主が認定計画に従って改善措置を講じていないと認めるときはその認定を取り消すことができることとされていることから、都道府県知事は、認定計画の実施に遅滞があると認められる場合には、認定事業主に対し、認定計画に従って改善措置を講じるよう認定事業主を指導するほか、必要に応じ、認定計画の変更を指導するものとすること。
ロ 法第9条第2項により、都道府県知事は、認定計画の実施に著しい支障が生じ当該認定計画に従って改善措置が講じられる見込みがなくなったと認められる場合には、当該認定を取り消すことができるものとされていること。
ハ 上記1(5)は改善計画の認定の取消を行う場合についても同様であること。また、この場合の通知の様式としては、[介]様式参考例5「改善計画認定取消通知書」が考えられること。
3 雇用安定事業等としての助成及び援助(法第10条関係)
(1) 雇用安定事業等としての助成及び援助(法第10条第1項)
政府は、認定計画に係る改善措置の実施を促進するため、当該認定計画に基づきその雇用する介護労働者の福祉の増進を図るために必要な措置を講ずる認定事業主に対して、雇用保険法(昭和49年法律第116号)の雇用安定事業、能力開発事業又は雇用福祉事業として、次に掲げる助成及び援助を行うこととしているものであること。
① 認定事業主のみに対する助成
・ 都道府県労働局による介護基盤人材確保助成金の支給(法第18条第1項第1号関係)
・ 介護労働安定センターによる介護雇用管理助成金の支給(法第18条第1項第1号、則第4条及び第5条関係)
② 認定事業主を含む事業主に対する助成及び援助
介護労働安定センターによる相談その他の援助(法第18条第1項第3号関係)
(2) 内定者に係る特例(法第10条第2項)
上記(1)の介護雇用管理助成金のうち教育訓練に係るものに関しては、認定事業主が講ずる上記1の措置に係る内定者を被保険者とみなして雇用保険法第62条の規定を適用するものとすること。
4 指導及び助言(法第11条関係)
認定事業主が行う改善措置は、国及び都道府県の適切な指導及び助言を受けて行うことが適切であるとともに、改善計画については、都道府県知事の認定を受けることとし、認定を受けた改善計画については国が支援措置を講ずることとしているので、その的確な実施を政策的にも確保する必要がある。このため、国及び都道府県は、認定事業主に対し、認定計画に係る改善措置の的確な実施に必要な指導及び助言を行うものとしていること。
5 報告の徴収(法第12条関係)
都道府県知事は、改善事業の実施状況を的確に把握しておくべきものであり、認定事業主から定期に又は随時に報告を受けることが適当と考えられること。
なお、報告の様式としては[介]様式参考例6「改善措置実施状況報告」が考えられること。
6 職業訓練の実施(法第13条関係)
介護労働力への需要の増大に対処するためには、介護労働者の育成が急務になっており、職業訓練の充実に特別の配慮をすべき必要が生じていることから、厚生労働大臣は、介護関係業務の遂行に必要な労働者の能力の開発及び向上を図るため、必要な職業訓練の効果的な実施について特別の配慮をするものとすること。
7 職業紹介の充実等(法第14条関係)
(1) 職業紹介の充実等(法第14条第1項関係)
介護労働力の需要の増大に対処するためには、介護労働力の需給の適正な調整を行う必要があるが、そのためには、まず公共職業安定所における介護労働力の需給調整機能を充実する必要がある。このため、介護労働者になろうとする者にその有する能力に適合する職業に就く機会を与えるため、及び介護関係業務に係る労働力の充足を図るため、介護関係業務に係る労働力の需給の状況並びに求人及び求職の条件、介護労働者の雇用管理の状況その他必要な雇用に関する情報((2)において「雇用情報」という。)の提供、職業指導及び職業紹介の充実等必要な措置を講ずるように努めるものとしたものであること。
具体的には、介護労働力等の確保の拠点となる公共職業安定所を各都道府県に1箇所「福祉重点ハローワーク」に指定しているものであること。
(2) 職業安定機関と職業紹介事業者等の協力(法第14条第2項関係)
介護分野においてはいわゆる家政婦紹介所等が労働力の需給の調整に果たしてきた役割が大きいことから、職業安定法(昭和22年法律第141号)第5条の2に規定する職業安定機関と職業紹介事業者等との相互協力を法においても確認的に規定するものであって、職業安定機関及び職業紹介事業者等に対して同条の範囲を超える努力義務を課すものではないこと。
なお、「その他の関係者」には、介護関係業務について労働者を供給する労働者供給事業者、福祉人材センター等が含まれると解されるほか、介護労働安定センターも雇用情報の提供に関する協力について含まれると解されるものであること。
第4 介護労働安定センター
1 介護労働安定センターの指定(法第15条関係)
我が国における急速な高齢化の進展等に伴う介護労働力への需要の増大に対処するため、介護労働者の雇用管理の改善、能力の開発及び向上その他の介護労働者の福祉の増進を図ることが必要となっている。
このため、事業主に対する相談・援助、給付金の支給、介護労働者に対する教育訓練、職業紹介事業者等に関する情報の提供等の業務を行う必要があるが、これらの業務については、雇用管理の改善は本来企業経営や労使関係に直接関わる問題であること、介護関係業務が直接人の生命・身体を扱うという性質上専門的な知識を持った者が行う必要があること等から、国が直接行うよりはむしろ介護労働者の雇用管理の改善等に関する専門的知識・経験を持った民間団体により専門的、弾力的にきめ細かく対応していくことが適当であると考えられるため、そのような団体に相談その他の援助、給付金の支給等の業務を行わせることとしたものであること。
2 業務(法第17条及び第18条関係)
(1) 給付金の支給(法第18条第1項第1号、則第4条及び第5条)
介護労働安定センターは、認定事業主に対して介護雇用管理助成金を支給するものとすること。
(2) 介護労働者等に対する教育訓練(法第18条第1項第4号)
介護労働安定センターによる介護労働者等に対する教育訓練は、雇用保険法第63条第1項第3号の講習として行われるものであり、公共職業安定所長による受講指示の対象となるものとされていること(雇用保険法第15条第3項、雇用保険法施行令(昭和50年政令第25号)第2条第1号及び雇用保険法施行規則(昭和50年労働省令第3号)第129条並びに雇用対策法(昭和41年法律第132号)第18条第2号及び雇用対策法施行規則(昭和41年労働省令第23号)第2条第2項)。
なお、受講指示の取扱いについては、昭和56年6月8日付け職発第320号・訓発第124号別添「職業訓練受講指示要領」によるものとすること。
3 関係機関の連携
(1) 都道府県、介護労働安定センター及び都道府県労働局との連携
法第8条第1項に基づく改善計画の認定は都道府県の自治事務として行われるものである一方、認定事業主に対する給付金の支給は厚生労働大臣が介護労働安定センターに行わせる国の事務又は都道府県労働局の事務であるが、改善計画の認定は給付金の支給の前提となるものであるから、都道府県、介護労働安定センター及び都道府県労働局の連携を図り、それぞれの判断に不一致が生じないようにすることが事業主のために不可欠である。また、事業主にとっては、都道府県知事に対して行う改善計画の認定申請と介護労働安定センター又は都道府県労働局に対して行う給付金の支給申請はいずれも給付金を受けるという一つの目的のための行為であるから、できる限り1箇所で集中して行うようにすることが便宜であり、近年の行政サービスのワンストップ化の趣旨にも沿うものである。
このため、都道府県と介護労働安定センター(具体的には、各都道府県において実務を行う都道府県支部)との間で次のような連携の仕組みを設けることが考えられるので配意願いたいこと。
① 事業主は、改善計画の認定申請を介護労働安定センター都道府県支部を経由して行うことができることとする(介護労働安定センター都道府県支部が都道府県に当該申請を提出することとなる。)。
② 介護労働安定センター都道府県支部は、改善計画の認定申請を都道府県に提出するに当たり、改善計画の認定基準を踏まえ、かつ、給付金の支給の可否も考慮して改善計画の内容を吟味し、その妥当性についての判断を意見として付すこととする。
③ 都道府県は、上記②の意見を考慮して改善計画の認定業務をできる限り迅速に行う。
(2) 職業安定機関と介護労働安定センターとの連携
介護労働安定センターには、給付金関係業務等を通じて介護分野の事業主の労働需要に関する情報が集積されることとなるので、事業主の了解を得た上で職業安定機関に当該情報を提供し、職業安定機関における求人開拓に活用すること等が可能となる。また、職業安定機関は、求人開拓等を通じて介護分野の事業主であって上記2(1)の給付金を活用できると思われるものを把握することもあるので、事業主に対して周知等を積極的に行うほか、介護労働安定センター都道府県支部への相談を勧奨すること等が可能となる。
このため、職業安定機関と介護労働安定センター都道府県支部との間で実効ある連携を図ること。
第5 独立行政法人雇用・能力開発機構の業務
1 独立行政法人雇用・能力開発機構の業務(法第32条第1項、令第2条関係)
独立行政法人雇用・能力開発機構は、介護労働者の福祉の増進を図るため、法第32条第1項第1号から第4号までに掲げる業務のほか、次に掲げる業務を行うこと。
① 介護労働安定センターが行う法第17条第2号に掲げる業務に係る職業紹介事業者に対して、当該業務の円滑な実施を促進するために当該職業紹介事業者が行う業務に関し必要な助成を行うこと。
② 介護労働者の労働環境の改善に関する調査研究を行う者に対して、当該調査研究に関し必要な助成を行うこと。
2 関係機関の連携
(1) 職業安定機関と独立行政法人雇用・能力開発機構との連携
上記1の独立行政法人雇用・能力開発機構の業務は、本法による介護労働者の福祉の増進のための施策において大きな意義を有するものであるが、これが円滑に施行されるためには、職業安定機関による独立行政法人雇用・能力開発機構への積極的な援助・協力が必要である。
このため、独立行政法人雇用・能力開発機構都道府県センターとの緊密な連携の下に、独立行政法人雇用・能力開発機構の行う事業について事業主、職業紹介事業者その他の関係者に対して周知等を積極的に行われたいこと。
(2) 介護労働安定センターと独立行政法人雇用・能力開発機構との連携
事業主にとっては、介護労働安定センターによる給付金の支給と独立行政法人雇用・能力開発機構による債務保証はいずれも介護労働者の福祉の増進という一つの目的に関わる制度であるから、できる限り1箇所で集中して行うようにすることが便宜であり、近年の行政サービスのワンストップ化の趣旨に沿うものである。
このため、介護労働安定センターと独立行政法人雇用・能力開発機構との間においても、債務保証に係る事業主の手続のワンストップ化のための連携を図ることとしているところであり、職業安定機関においてもこれに協力するものとすること。