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中小企業における労働力の確保のための雇用管理の改善の促進に関する法律の一部を改正する法律の施行について
平成10年12月28日職発第880号・能発第293号・平成10・12・25企庁第5号
(各都道府県知事あて中小企業庁長官・労働省職業安定局長・労働省職業能力開発局長通知)
「中小企業における労働力の確保のための雇用管理の改善の促進に関する法律の一部を改正する法律」(平成10年法律第148号)、「中小企業における労働力の確保のための雇用管理の改善の促進に関する法律の一部を改正する法律の施行期日を定める政令」(平成10年政令第414号)、「中小企業における労働力の確保のための雇用管理の改善の促進に関する法律の一部を改正する法律の施行に伴う関係政令の整備に関する政令」(平成10年政令第415号)及び「中小企業における労働力の確保のための雇用管理の改善の促進に関する法律施行規則の一部を改正する省令」(平成10年通商産業省・労働省令第2号)の施行については、「中小企業における労働力の確保のための雇用管理の改善の促進に関する法律の一部を改正する法律の施行について」(平成10年12月28日付け平成10・12・25企第5号、労働省発職第300号)により、通商産業事務次官及び労働事務次官から貴職あてその趣旨を通達したところであるが、平成11年1月1日からの施行の詳細については下記によるところとするので、御了知の上、その円滑かつ的確な実施について特段の御配慮をお願いする。
なお、本通達の施行に伴い、「中小企業における労働力の確保のための雇用管理の改善の促進に関する法律の施行について」(平成7年11月1日付け7企庁第1574号、職発第779号、能発第272号)は廃止する。
記
1 改善計画の認定申請
法第4条の規定に基づき改善計画の認定を申請しようとする事業協同組合等(中小企業における労働力の確保及び良好な雇用の機会の創出のための雇用管理の改善の促進に関する法律(平成3年法律第57号。以下「法」という。)第2条第2項に規定する事業協同組合等をいう。以下「組合等」という。)又は中小企業者(法第2条第1項に規定する中小企業者をいう。)は、前者にあっては様式第1号「改善計画認定申請書」を、後者にあっては様式第2号「改善計画認定申請書」をそれぞれ作成して、当該申請書及びその写し3通をその主たる事務所の所在地を管轄する都道府県知事に提出するものとする。
なお、様式第2号のⅡの2の新分野進出等(創業、又は異業種進出)に係る改善計画については、新分野進出等に係る準備行為を始めた時点(事業所開設に当たっての賃貸契約書の締結、設備・備品等の設置、それらの資金の確保(資金の金融機関からの借り入れ)、法人登記等)から6カ月以内に提出するものとする。ここでいう創業とは、個人が新たに事業を始めること、もしくは個人・企業が新たに企業を設立することであり、異業種進出とは、企業が現在営んでいる事業とは別の業種(原則として総務庁作成の日本標準産業分類の細分類における別の細分類)に進出しようとすることである。
また、企業が新たに企業を設立する場合においては、新たに設立する企業の法人登記の前であっても、新たに設立される企業の予定される所在地・名称・代表者により提出して差し支えない。
2 改善計画の認定
(1) 都道府県知事は、商工担当部局及び労働担当部局のうち、それぞれ必要と認めた者からなる中小企業労働力確保連絡協議会(以下「協議会」という。)を設置し、当該協議会において、改善計画の認定に係る事務を行うものとする。この場合、平成2年6月25日付け2企庁第1121号、労発第127号、基発第409号、婦発第146号、職発第348号、能発第142号「中小企業人材確保推進のための商工部局と労働部局との連携について」により設置方要請した「連絡会」又はこれに準ずる既存の場を活用することとして差し支えないものとする。
なお、当該協議会の庶務等運営に関する事項については、都道府県知事の定めるところとする。
(2) 都道府県知事は、組合等又は中小企業者から「改善計画認定申請書」の提出を受けたときは、遅滞なく、(1)の協議会において、当該計画が法令及び3の認定基準に照らして適切であるか否かを審査し、適切であると判断されるものについて認定するものとする。
(3) 都道府県知事は、改善計画を認定したときは、遅滞なく、様式第3号「改善計画認定通知書」により、当該認定に係る組合等(以下「認定組合等」という。)又は当該認定に係る中小企業者(以下「認定中小企業者」という。)に対して通知するものとする。
(4) 認定組合等の構成中小企業者の主たる事務所が他の都道府県に所在する場合には、当該認定を行った都道府県知事は、遅滞なく、当該構成中小企業者の主たる事務所の所在地を管轄するすべての都道府県知事に通知するものとする。
3 改善計画の認定基準
組合等又は中小企業者の改善計画が、次に掲げる基準のいずれにも適合するものであること。
(1) 組合等の改善計画の認定基準
① 改善事業の目標、内容及び実施時期が基本指針に照らして適切なものであること。
② 改善事業の内容、実施時期並びに事業実施に必要な資金の額及びその調達方法が、事業の目標を確実に達成するために適切なものであること。
③ 労働時間の短縮、職場環境の改善、福利厚生の充実、募集・採用の改善、教育訓練の充実及びその他の雇用管理の改善の6項目のうち、当該組合等の実情に照らして、労働力確保のために必要かつ適切な項目に取り組むこととするものであること。
④ 構成中小企業者の概ね3分の1以上が、③の組合等が取り組むこととした項目のうち、募集・採用の改善を除くもののいずれかについて、当該組合等が掲げる目標に沿った目標を掲げて事業に取り組むこととしていること。
⑤ 組合等が、その構成中小企業者から委託を受けて労働者の募集を行う場合においては、その募集に係る労働条件その他の募集の内容が適切なものであり、かつ、労働者の利益に反しないものであること。
⑥ 構成中小企業者(組合等が中小企業者として行う場合を含む。)が組合等が改善計画において掲げる目標に沿った目標を掲げて設備投資を行う場合であって、課税の特例措置を期待する場合には、次のすべての要件を満たすものであること。
イ 改善計画に基づいて労働時間の短縮のための設備投資を行う場合には、次のすべての要件を満たすものであること。
(イ) 労働時間の短縮の目標が、週所定労働時間に換算して1時間以上であること。
(ロ) 労働時間の短縮の目標が適切なものであること。
(ハ) 労働時間の短縮の目標の達成が確実であると認められること。
(ニ) 新たに導入する設備の能力(生産性)が既存設備を上回るものであること。
(ホ) 新たに導入する設備が、高温、振動等の職場環境を著しく悪化させるものでないと認められること。
(ヘ) 一連の設備投資の終了後1年以内に労働時間の短縮の目標を達成するものであること。
(ト) 設備投資の内容が、目標とする労働時間の短縮を達成するために必要かつ十分なものであること。
ロ 職場環境の改善のための設備投資を行う場合には、次のすべての要件を満たすものであること。
(イ) 職場環境の改善の目標の設定が適切なものであること。
(ロ) 設備の更新を行う場合には、新たに導入する設備が職場環境の改善の点で既存設備の能力を上回るものであること。
(ハ) 補助的な設備を導入する場合には、当該設備が職場環境を改善する能力を有していること。
(2) 中小企業者の改善計画の認定基準
① 改善事業の目標、内容及び実施時期が基本指針に照らして適切なものであること。
② 改善事業の内容、実施時期並びに事業実施に必要な資金の額及びその調達方法が、事業の目標を確実に達成するために適切なものであること。
③ 労働時間の短縮、職場環境の改善、福利厚生の充実、募集・採用の改善、教育訓練の充実及びその他の雇用管理の改善の6項目のうち、当該中小企業者の実情に照らして、職業に必要な高度の技能及びこれに関する知識を有する者の確保・育成のために必要かつ適切な項目又は新分野進出等に伴う良好な雇用の機会の創出に資する項目に取り組むこととするものであること。
④ ③の取り組むこととした項目のうち、募集・採用の改善を除くいずれかの項目に取り組むこととしていること。
4 改善計画の実施期間
改善計画の実施期間は、概ね5年間(終期は5年目の日を含む事業年度の末日まで)以内とする。
5 改善計画の変更の認定
(1) 認定組合等又は認定中小企業者は、法第5条第1項の規定に基づき、当該認定に係る改善計画(以下「認定計画」という。)の変更の認定を申請しようとするときは、様式第4号「改善計画変更認定申請書」を作成して、当該申請書1通及びその写し3通をその主たる事務所の所在地を管轄する都道府県知事に提出するものとする。
(2) 2の(2)から(4)の規定は、改善計画の変更の認定を行う場合について準用する。なお、この場合、当該認定組合等又は認定中小企業者に通知するときは、様式第5号「改善計画変更認定通知書」によるものとする。
(3) 変更後の改善計画の実施期間は、変更前の改善計画の実施期間を含め、概ね5年間(終期は5年目の日を含む事業年度の末日まで)以内とする。
6 改善計画の認定の取消
(1) 都道府県知事は、認定計画の実施に遅滞あると認められる場合には、認定組合等又は認定中小企業者に対し、当該認定計画に従って円滑な実施が行われるよう指導するほか、必要に応じ、認定計画の変更を指導するものとする。
(2) 都道府県知事は、認定計画の実施に著しい支障が生じて、当該認定計画に従って事業を実施する見込みがなくなったと認められる場合、または、当該認定計画が法令及び3の認定基準を満たさなくなったと認められる場合には、当該認定を取り消すものとする。
(3) 2の(2)から(4)の規定は、改善計画の認定を取り消す場合について準用する。なお、この場合、当該認定組合等又は認定中小企業者に通知するときは、様式第6号「改善計画認定取消通知書」によるものとする。
7 報告の徴収
(1) 都道府県知事は、認定組合等又は認定中小企業者から、各年度の改善事業の実施状況について、様式第7号「改善事業実施状況報告」により、翌年度の4月末日までに報告を受けるものとする。
(2) (1)の他、都道府県知事は、必要があると認めるときは、法第17条の規定に基づき、認定組合等又は認定中小企業者に対し、認定計画に係る改善事業の実施状況について随時報告を求めるものとする。
8 指導及び助言
都道府県は、認定組合等及びその構成中小企業者並びに認定中小企業者に対して、認定計画に係る改善事業が的確に実施されるよう、必要な指導及び助言を行うものとする。
9 関係機関への協議等
(1) 都道府県知事は、改善計画の認定等をしようとするときは、通商産業局長(沖縄県にあっては沖縄開発庁沖縄総合事務局通商産業部長。以下同じ。)及び都道府県労働基準局長、並びに当該計画中に女性に関する事項が記載されているときは都道府県女性少年室長、国家公安委員会の所掌に係る事業に関しては都道府県公安委員長、また、運輸省所管の組合等又は中小企業者の改善計画については地方運輸局長に、それぞれあらかじめ十分な時間的余裕をもって協議し、その意見を十分に尊重するものとする。
(2) 改善計画においては、外国人労働者について記載することは想定していないが、そのような記載があった場合には、都道府県知事は、あらかじめ所轄地方入国管理局長に協議するものとする。
(3) 都道府県知事は、国家公安委員会の所掌に係る事業に関して報告の徴収をしようとするときは、都道府県公安委員長にあらかじめ十分な時間的余裕をもって協議するものとする。
(4) 都道府県知事は、報告の徴収をしたときは、通商産業局長及び都道府県労働基準局長に通知するものとする。
(5) 都道府県知事は、運輸省がその所管の組合等又は中小企業者に対して、改善計画の提出をする際、事前に地方運輸局に相談するよう指導することとしていることに留意するものとする。
10 政労使の意見交換の場の確保
(1) 労働力の確保及び良好な雇用の機会の創出のための雇用管理改善は、労使双方の理解と協力の下に進められることが不可欠であることにかんがみ、都道府県知事は、法の施行状況に関し、商工担当部局、労働担当部局及び労使団体を構成員とする意見交換の場を原則として年2回確保するものとする。この場合、各都道府県の実情に応じて、既存の場を活用することとして差し支えないものとする。
(2) この意見交換の場に参集を求める労使団体の関係者及び会議の名称その他の形式については、地域の実情に応じて、都道府県知事の定めるところによるものとする。
(3) 当該場においては、商工担当部局及び労働担当部局の担当者が次の事項を報告するものとする。
① 改善計画の認定、変更の認定及び認定の取消の状況
② 認定計画に係る改善事業の実施状況