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通達:公共職業安定所の業務改善の実施について

 

公共職業安定所の業務改善の実施について

平成6年3月28日職発第160号

(各都道府県知事あて労働省職業安定局長通達)

 

職業安定行政の第一線機関である公共職業安定所の在り方については、昭和五五年の公共職業安定所の再編整備によりその見直しを行って以降一四年が経過したところであるが、その間、産業・雇用構造のサービス化、高齢化の加速、女子労働者の増加、求職者の就業ニーズの多様化等、社会経済及び労働市場の状況は著しく変化しているところである。

また、職業安定行政の施策の面では、種々の新法の制定等により、高齢化への対応、労働者派遣事業の創設、地域雇用対策、介護・看護労働力確保のための対策等の新規施策の展開等が図られ、これに対応し、公共職業安定所の課題も一層多様化しているところである。

さらに、中長期的観点からは、労働力の供給制約の中で、第七次雇用対策基本計画に基づく、労働者のニーズにあった事業所指導等の展開が要請されている。

このような状況にあって、今後、公共職業安定所が雇用総合サービス機関として、国民の勤労権と職業選択の自由の確保をはじめとするその役割を着実に果たしていくためには、中央・地方を挙げて業務、組織、研修等の面から機能発揮のための体制を整備することが必要となっている。加えて、これに係る重要な視点として、

① 今後の長期的な労働市場の特徴となる労働力の供給制約の状況や、個人の価値観の変化に対応できるか「人間尊重時代に相応しい安定所づくり」

② 個別の地域・労働市場の状況・ニーズに対応できる、それぞれに独自性ある安定所づくり

が必要とされている。

さらに、現時点においても、

① 公共職業安定所のサービスの内容、方法等は利用者の、時代とともに複雑、多様化するニーズに真に適合する充実したものでなければならないこと

② 公共職業安定所のサービスの基礎となる専門的・技術的水準が十分に満足し得るものでなければならないこと

③ 業務を執行する組織、窓口の体制が適切かつ効率的に機能するものでなければならないこと

④ 求人・求職の結合機能が円滑かつ効果的に作動するものでなければならないこと

⑤ 公共職業安定所のサービスが、利用者の信頼感と満足感を十分に満たしているものでなければならないこと

等の要請も、更に強まっている状況にある。

このような認識に立ち、今後の人間尊重時代に相応しい安定所づくりをめざす取組として、平成二年度より公共職業安定所の業務改善の検討を開始し、平成三年度、平成四年度には試行実施、平成五年度には、全公共職業安定所における実施の準備として、全都道府県においてモデル実施と検討を行ってきた。この間、労働力需給の逼迫・緩和の雇用情勢の両局面において検討と効果の確認を重ね、厳しい雇用情勢下あるいは労働力不足の状況の中で、第一線機関の窓口が雇用情勢の変化に的確に対応し求職者の就職の促進と雇用の安定に最大限に努めてきたところである。このような検討と実施を踏まえ、今般、平成六年四月一日より、以下に示すような基本的考え方に基づき、公共職業安定所の基本機能である職業紹介等業務の運営および執行体制等について、左記により改善を行うこととしたので、その円滑な運営について特段の御配意をお願いする。

ア 求職者ニーズに応じたサービス提供機能の強化

職員の専門性の向上、正確で詳細・具体的な事業所情報の収集・蓄積・共有等により、職業相談の質を向上するとともに、求職者の多様なニーズに応じたきめ細かな職業相談の充実強化とニーズに的確に対応した情報提供を行う。

イ 「需要側を供給側に合わせる」枠組みでの需給調整機能の強化

安定所を代表する者による事業所指導、独任官と事業所担当部門との有機的な連携により、事業所に対する求人条件・雇用管理等の指導機能を強化する。

ウ 種々の政策課題に対応するための機能の強化

労働者の保護、労働市場のルール確保、適切な需給調整等を図るため、全国的な方針を踏まえ、個別地域のニーズに対応した業務処理体制を整備することにより、種々の政策課題に迅速な対応を図る。

エ 地域・労働市場に相応しいサービスを自ら構築する機能の強化

全国斉一的な基本的枠組を踏まえつつ、個々の地域、労働市場の状況に応じ、各公共職業安定所ごとに業務実施方法、事務分掌、業務処理体制の見直しを定期的に行なうことにより、管内状況の変化に即応した業務処理を実施する。

また、以上の業務運営及び業務執行体制の改善に併せ、職員の専門性の向上を図るための安定所研修の実施、安定所の機能発揮・職員の執務環境改善のためのレイアウトの変更も含めた庁舎環境の整備を行うとともに、制度面・運用面両面にわたる一層の業務簡素化を進めていく。

なお、これに伴い、別紙1にあげる通達は、平成六年三月三一日をもって廃止する。

 

1 職業紹介業務に係る取扱の改正について

(1) 業務改善実施事項の実施

各公共職業安定所において、個々の地域・労働市場の状況を業務実施体制を含めて分析・検討し、重点課題を明らかにした上で、別紙2にあげる事項を参考として、実施事項を決定し、実施する。

なお、実施事項の検討に当たっては、平成五年七月二日付職発第五五四号「平成五年度における職業安定行政業務の改善の実施について」別添一「職業安定行政業務の改善方針(案)」を参考にすること。

(2) 「一般職業紹介業務取扱要領」の改正

「一般職業紹介業務取扱要領」を改正する。

なお、当該要領については、別途通知する予定であるが、それまでの間は、引き続き昭和五五年職発第一一〇号「公共職業安定所の再編整備の実施について」別添四「一般職業紹介業務取扱要領」(改正 昭和六一年職発第四九五号「総合的雇用情報システムの実施並びに職業紹介業務及び産業雇用情報業務等の取扱いについて」別添1「一般職業紹介業務取扱要領」)に基づき職業紹介業務を運営することとする。

2 公共職業安定所の内部組織の改正について

職業紹介業務の充実、各種政策課題への迅速な対応を目的として公共職業安定所の内部組織の改正を行う。

なお、詳細については別途指示する。

3 職員研修の実施について

公共職業安定所の研修については従来通り体系的に中央研修・地方研修を行うほか、専門性向上のため、公共職業安定所においても、OJTの実施、研修会・講習の開催、事業所見学等の安定所研修を実施する。

4 庁舎内レイアウトの変更について

業務改善の実施に伴い、利用者の流れ、所内業務の効率的実施、利用者のプライバシーの尊重、職場環境の向上等の観点から、総合的雇用情報システムの更改を踏まえつつ、各公共職業安定所ごとに効率的なレイアウトの変更を検討・実施する。

 

別紙1

昭和五五年職発第一一〇号「公共職業安定所の再編整備の実施について」

 

別紙2 業務改善実施事項一覧

職業紹介業務に係る業務改善の実施事項例

1 対求職者業務

(1) 求職者ニーズに応じたサービス提供の徹底

① 職業相談の質の向上

ア 相談技法の向上等

イ 詳細・具体的な事業所情報の把握・共有・蓄積

ウ 適性検査の充実

エ グループワークの実施

オ プライバシーが尊重できるスペースでの相談の実施

カ 予約相談とそのための専門窓口の設置等によるカウンセリングの充実

② 求職者ニーズに応じた情報提供の在り方の検討

ア 求人公開方法の工夫

イ 求人票以上の詳細な情報提供

③ 求職者ニーズに応じた対応の充実

ア 態様区分方法の工夫

イ 態様に応じたサービスの工夫

④ 障害者等、特定の求職者についてのサービスの在り方の検討

ア 障害者、職業選択困難者等についてのケースワーク方式の導入

イ 高齢者に対するサービスの在り方の検討

ウ 在職者に対するサービスの在り方の検討

(2) 雇用保険受給者についての緊要度の的確な把握等

ア 受給者の真意を的確に把握するためのアンケートや職業相談

イ 緊要度の高い者や支給終了者に対するサービスの充実

(3) 計画的マッチングの強化

ア 効果的なマッチングのための基礎の強化

イ 通信紹介、管理選考等の手法の工夫

2 対事業所業務

(1) 求人条件面・雇用管理面等での事業主に対する指導強化

ア 事業所指導に必要な知識の獲得

イ 事業所指導の強化のための手法の工夫

(2) 正確で詳細・具体的な事業所情報の収集等

ア 事業所情報の収集の充実強化

イ 事業所情報の共有・蓄積の充実強化

(3) 求職者ニーズに合った求人の確保と事業所の信頼の獲得

3 企画機能とデスクワーク等業務

(1) 企画機能と各種政策課題に対処するためのデスクワーク等業務の充実

ア 企画機能の強化

イ 各種政策課題に対応するためのデスクワーク・渉外業務の充実

(2) 地域の各種団体等との連携

ア 外郭団体、地域商工団体、市町村等地方公共団体との連携の強化

イ 中学、高校等とのさらなる連携の強化

4 業務執行体制

(1) グループ編成との所掌事務の見直し

ア 複数部門の統合による大グループ化

イ ユニット制とローテーション

ウ 部門の所掌事務の見直し

(2) 独任官の職務・配置の見直し