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通達:雇用対策の一層の推進について

 

雇用対策の一層の推進について

平成5年8月3日発職第164号

(各都道府県知事あて労働事務次官)

 

雇用対策の推進については、昨年来「雇用情勢の変化に対応した雇用対策の推進について」(平成四年一二月一日付け、職発第八一二号)、「雇用対策の積極的な推進について」(平成五年四月二三日付け、労働省発職第一〇五号)に基づき、取り組んでいただいているところであるが、我が国経済は、回復に向けた動きが現れてきているものの総じて低迷しており、雇用失業情勢についても、本年六月には、有効求人倍率が〇・七四倍と今回の景気後退期では最も大きい減少幅となるとともに、完全失業率も二・五パーセントと厳しい状況が続いており、一層注意すべき状態にある。

今後の見通しについても、円高の進展など景気の先行き感には依然不透明な部分も多く、また、一般に雇用の回復は景気の回復に遅れる傾向があることから、雇用失業情勢は、今後とも厳しい状況が続くことが予想され、その動向には十分注意すべきである。

このような厳しい状況に対処し、雇用の安定を図るためには、これまでにも増して、地域の実情に即したきめ細かな雇用対策を実施することがより効果的であり、各都道府県の果たす役割が重要である。

ついては、各都道府県において、地域の雇用の安定を図るための積極的かつきめ細かな取組を進めていただきたく、以下の点について特段の御配慮をいただくよう、命により通達する。

 

1 職業紹介業務の推進

(1) 求人の確保

イ 景気の先行きに不安を持つ事業所が求人を手控えていることが、有効求人倍率の急速な低下の大きな要因となっているが、個々の求職者に対し適職に就く機会を提供するためには、求職者の希望に見合った求人が必要であり、それを確保することが喫緊の課題となっている。

このため、各都道府県におかれては、地域の産業・職種別の実情に即した求人開拓の積極的かつ計画的な推進に全力を挙げていただくようお願いする。求人開拓の実施にあたっては、例えば、過去に地域雇用開発助成金等の受給対象となるなど地域において職業安定行政とつながりの深い事業所に対する勧奨、事業主懇談会の開催等を通じた勧奨、貴都道府県及び貴下各市町村の広報誌の活用等、効果的な推進に努めて頂くようお願いする。

ロ また、平成六年三月の新規大学等卒業者の採用計画や、高等学校及び中学校卒業者に対する求人受理状況についてみても、経済の低迷の影響から求人の減少傾向がみられるところである。新規学校卒業者の就職は学生生活から新たに職業生活に入る人生の大きな転機であり、特に、その円滑な就職を促進する必要があるので、教育行政との密接な連携の下、新規学卒求人の確保にも努力して頂くようお願いする。

(2) 求人情報提供の強化等による求職者の就職促進

求職者の就職促進に関しては各都道府県の取組の結果、紹介件数や就職件数に関しては既に相当の成果が上がっているところであるが、厳しい雇用失業情勢に対処するため、地域の実情に応じながら、更に一層就職促進に努めて頂きたい。

就職促進策としては、きめ細かな職業相談・職業指導の実施、個々の求職者に真に見合った求人を選定した上での適格な職業紹介の推進、合同求人選考会の積極的開催、求人情報の積極的提供等の取組を一層推進して頂きたい。

特に、求人情報の提供にあたっては、当該求職者の希望等を勘案しながら、求人情報を同封したダイレクトメールを送付し、求人・求職の結合の可能性を高めるなど、更なる対策の推進に全力を挙げて頂くようお願いする。

2 失業予防対策の推進

(1) 雇用調整助成金制度の活用等による企業に対する雇用維持の要請

個々の事業主及び事業主団体に対しては、来たるべき労働力人口減少時代も見据えつつ、雇用調整助成金を活用し、雇用の維持に向けた努力を続けるよう、改めて要請して頂くようお願いする。

なお、その際、雇用調整助成金については、事業主の雇用維持努力を更に強力に支援するため、総合経済対策に盛り込まれた雇用対策の一環として、去る六月一一日から一年間、助成率の引上げ、対象事業主の拡大等充実が図られたところであること等、雇用調整助成金制度の周知等に努められたい。

(2) 事業主指導の実施

各都道府県におかれては、円高が急速に進展しつつあることや、個別の企業における事業再構築等の構造変化が雇用面にも影響するおそれがあること等に特に留意した上で、経済団体等関連機関との連絡を一層密にしつつ、地域における経済、雇用の動向の把握に引き続き努められたい。

また、経済、雇用の動向の把握の過程で、雇用調整の動きがみられる場合は、安易な雇用調整を行わないよう事業主指導を徹底するとともに、高年齢者、障害者、パートタイム労働者、期間工、日系人をはじめとする外国人等、比較的立場の弱い者に雇用調整の影響が集中することのないよう、十分指導されたい。