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看護婦等の人材確保の促進に関する法律の施行について
平成4年6月26日発健政第81号・発職第151号・文高医第299号
(各都道府県知事あて厚生・労働・文部事務次官連名通知)
看護婦等の人材確保の促進に関する法律については、別添のとおり、平成四年六月二六日法律第八六号をもって公布されたところであるが、本法の目的及び内容は左記のとおりであるので、ご了知の上、管下市町村、関係団体等にその周知徹底を図るとともに、本法の実施に関する諸般の準備等に遺憾なきよう留意されたい。
記
第一 法律の目的
この法律は、我が国における急速な高齢化の進展及び保健医療を取り巻く環境の変化等に伴い、看護婦等の確保の重要性が著しく増大していることにかんがみ、看護婦等の確保を促進するための措置に関する基本指針を定めるとともに、看護婦等の養成、処遇の改善、資質の向上、就業の促進等を、看護に対する国民の関心と理解を深めることに配慮しつつ図るための措置を講ずることにより、病院等、看護を受ける者の居宅等看護が提供される場所に、高度な専門知識と技能を有する看護婦等を確保し、もって国民の保健医療の向上に資することを目的とすること。
第二 看護婦等の人材確保の促進
1 基本指針
(1) 厚生大臣、労働大臣及び文部大臣(労働大臣にあっては(2)のウに掲げる事項のうち雇用管理に関する事項並びに(2)のオ及びカに掲げる事項に、文部大臣にあっては(2)のイに掲げる事項に限る。)は、看護婦等(保健婦、助産婦、看護婦、看護士、准看護婦及び准看護士をいう。以下同じ。)の確保を促進するための措置に関する基本的な指針(以下「基本指針」という。)を定め、これを公表しなければならないものとすること。
(2) 基本指針に定める事項は、次のとおりとすること。
ア 看護婦等の就業の動向に関する事項
イ 看護婦等の養成に関する事項
ウ 病院等(病院、診療所、助産所、老人保健施設及び指定老人訪問看護事業を行う事業所をいう。以下同じ。)に勤務する看護婦等の処遇の改善(国家公務員及び地方公務員である看護婦等に係るものを除く。2の(1)及び3において同じ。)に関する事項
エ 看護婦等の資質の向上に関する事項
オ 看護婦等の就業の促進に関する事項
カ その他看護婦等の確保の促進に関する重要事項
(3) 基本指針は、看護が国民の保健医療に関し重要な役割を果たしていることにかんがみ、病院等、看護を受ける者の居宅等看護が提供される場所に、高度な専門知識と技能を有する看護婦等を確保し、あわせて当該看護婦等が適切な処遇の下で、自信と誇りを持って心の通う看護を提供することができるように、看護業務の専門性に配慮した適切な看護業務の在り方を考慮しつつ、高度化し、かつ、多様化する国民の保健医療サービスへの需要に対応した均衡ある看護婦等の確保対策を適切に講ずることを基本理念として定めるものとすること。
(4) 厚生大臣、労働大臣及び文部大臣は、基本指針を定める等に際しては、厚生大臣及び文部大臣にあっては医療関係者審議会、労働大臣にあっては中央職業安定審議会の意見をそれぞれ聴き、及び都道府県の意見を求めるほか、自治大臣に協議しなければならないものとすること。
2 国及び地方公共団体の責務
(1) 国は、看護婦等の養成、資質の向上及び就業の促進並びに病院等に勤務する看護婦等の処遇の改善その他看護婦等の確保を促進するために必要な財政上及び金融上の措置等を講ずるよう努めなければならないものとすること。
(2) 国は、看護婦等の処遇の改善に努める病院等の健全な経営が確保されるよう必要な配慮をしなければならないものとすること。
(3) 国は、看護の重要性に対する国民の関心と理解を深めるとともに、看護に親しむ活動への国民の参加を促進することに努めなければならないものとすること。
(4) 地方公共団体は、看護に対する住民の関心と理解を深めるとともに、看護婦等の確保を促進するために必要な措置を講ずるよう努めなければならないものとすること。
3 病院等の開設者等の責務
病院等の開設者等(病院、診療所、助産所及び老人保健施設の開設者並びに指定老人訪問看護事業者をいう。以下同じ。)は、病院等に勤務する看護婦等が適切な処遇の下で、その専門知識と技能を向上させ、かつ、これを看護業務に十分に発揮できるよう、病院等に勤務する看護婦等の処遇の改善等に努めるとともに、看護に親しむ活動への国民の参加を促進するために必要な協力を行うよう努めなければならないものとすること。
4 看護婦等の責務
看護婦等は、保健医療の重要な担い手としての自覚の下に、国民の保健医療サービスへの需要に対応し、その能力の開発及び向上を図るとともに、自信と誇りを持ってこれを看護業務に発揮するよう努めなければならないものとすること。
5 国民の責務
国民は、看護の重要性に対する関心と理解を深め、看護に従事する者への感謝の念を持つよう心がけるとともに、看護に親しむ活動に参加するよう努めなければならないものとすること。
6 指導及び助言
国及び都道府県は、看護婦等の確保を図るため必要があると認めるときは、病院等の開設者等に対し、基本指針に定める事項について必要な指導及び助言を行うものとすること。
7 雇用福祉事業としての助成
政府は、病院等に勤務する看護婦等の福祉の増進を図るため、雇用保険法第六四条の雇用福祉事業として、病院等の開設者等に対して、雇用管理に関する必要な知識の習得のために必要な助成を行うものとすること。
8 公共職業安定所の職業紹介等
公共職業安定所は、就業を希望する看護婦等の速やかな就職を促進するため、雇用情報の提供、職業指導及び就職のあっせんを行う等必要な措置を講ずるものとすること。
9 看護婦等就業協力員
都道府県は、看護婦等の確保に関する施策及び看護に対する住民の関心と理解の増進に関する施策への協力等を行う看護婦等就業協力員を委嘱することができるものとすること。
10 看護婦等確保推進者の設置等
(1) 次のいずれかに該当する病院の開設者は、医師、歯科医師、保健婦、助産婦、看護婦、看護士その他看護婦等の確保に関し必要な知識経験を有する者として厚生省令で定めるもののうちから、病院の管理者を補佐し、看護婦等の確保に関する事項を処理すべき看護婦等確保推進者を置かなければならないものとすること。
ア 看護婦等の員数が、医療法第二一条第一項第一号の規定に基づく省令の規定によって定められた員数を著しく下回る病院として厚生省令で定めるもの
イ その他看護婦等の確保が著しく困難な状況にあると認められる病院として厚生省令で定めるもの
(2) その他看護婦等確保推進者に関し所要の規定を設けること。
11 国の開設する病院についての特例
国の開設する病院については、政令で、必要な特例等を定めることができるものとすること。
第三 ナースセンター
1 都道府県ナースセンター
(1) 都道府県知事は、(3)に掲げる業務を適正かつ確実に行うことができると認められる民法第三四条の法人を、都道府県ごとに一個に限り、都道府県ナースセンター(以下「都道府県センター」という。)として指定することができるものとすること。
(2) 都道府県知事は、職業安定法第三三条第一項の許可を受けて看護婦等につき無料の職業紹介事業を行う者でないときは、指定してはならないものとすること。
(3) 都道府県センターは、次に掲げる業務を行うものとすること。
ア 病院等における看護婦等の確保の動向及び就業を希望する看護婦等の状況に関する調査を行うこと。
イ 訪問看護その他の看護についての知識及び技能に関し、看護婦等に対して研修を行うこと。
ウ イに掲げるもののほか、看護婦等に対し、看護についての知識及び技能に関する情報の提供、相談その他の援助を行うこと。
エ 第二の10の(1)に規定する病院その他の病院等の開設者、管理者、看護婦等確保推進者等に対し、看護婦等の確保に関する情報の提供、相談その他の援助を行うこと。
オ 看護婦等について、無料の職業紹介事業を行うこと。
カ 看護に関する啓発活動を行うこと。
キ その他看護婦等の確保を図るために必要な業務を行うこと。
(4) 都道府県センターは、公共職業安定所との密接な連携の下に(3)のオに掲げる業務を行わなければならないものとすること。
(5) その他都道府県センターについて、所要の規定を整備すること。
2 中央ナースセンター
(1) 厚生大臣及び労働大臣は、(2)に掲げる業務を適正かつ確実に行うことができると認められる民法第三四条の法人を、全国を通じて一個に限り、中央ナースセンター(以下「中央センター」という。)として指定することができるものとすること。
(2) 中央センターは、次に掲げる業務を行うものとすること。
ア 都道府県センターの業務に関する啓発活動を行うこと。
イ 都道府県センターの業務について、連絡調整を図り、及び指導その他の援助を行うこと。
ウ 都道府県センターの業務に関する情報及び資料を収集し、並びにこれを都道府県センターその他の関係者に対し提供すること。
エ 二以上の都道府県の区域における看護に関する啓発活動を行うこと。
オ その他都道府県センターの健全な発展及び看護婦等の確保を図るために必要な業務を行うこと。
(3) その他中央センターについて、所要の規定を整備すること。
第四 雑則
罰則等に関し、所要の規定を置くこと。
第五 施行期日等
1 この法律は、公布の日から起算して六月を超えない範囲内において政令で定める日から施行すること。
2 関係法律について所要の規定の整備を行うこと。
別添 略