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通達:雇用保険受給資格者の職業紹介について

 

雇用保険受給資格者の職業紹介について

昭和60年5月10日職発第240号

(各都道府県知事あて労働省職業安定局長)

 

雇用保険受給資格者(以下「受給資格者」という。)に対する職業紹介については、一般求職者と同じ求職活動を行つている者として、個々の特性に応じた相談・援助を行い、一般求職者と同程度の就職機会が確保されるよう努めてきたところである。

先般、最近の雇用構造の著しい変化に対応し、失業者の生活の安定及びその再就職の促進等を図るため、雇用保険法の一部が改正されたところであるが、それに伴つて受給資格者の求職活動には大きな変化がみられ、公共職業安定所(以下「安定所」という。)のサービスに対する期待度も極めて大きい者が増加している。

その反面、再就職の緊要度が必ずしも高くなく、また、再就職のための継続的な指導・援助を必要とする者も依然として多いなど、受給資格者の就職ニーズは一般求職者と比べ一層多様なものとなつている。

これに対応し、少なくとも一般求職者と同等の就職機会の確保を図るため、今後受給資格者の職業紹介に当たつては、再就職の緊要度、安定所のサービスに対する期待度等を的確に把握したうえで、それに応じて下記により的確かつ円滑な再就職の促進を図ることとしたので、特段の御配意をお願いする。

なお、本通達をもつて、昭和五五年三月二二日付け職発第一一〇号別添四「一般職業紹介業務取扱要領」の第六「雇用保険受給資格者に対する取扱い」は廃止する。

 

1 求職受理及び受給資格確認後の職業相談

受給資格者の求職受理及び受給資格確認後の職業相談は、原則として次により行う。この場合において、雇用保険法第三三条の給付制限(以下「法三三条の給付制限」という。)の期間、再就職手当の支給要件等が受給資格者の求職活動に大きくかかわることから、法三三条の給付制限を受けるか否かを明確にしたうえで職業相談を行うよう留意すること。

(1) 受給資格者が求職の申込みを行つた場合は、受給資格確認後に職業相談を行う旨を説明したうえで、認定担当部門に誘導すること。

(2) 認定担当部門は、受給資格確認後、受給資格者を職業紹介担当部門の窓口に誘導すること。

(3) 職業紹介担当部門は、職業相談において受給資格者に対し、早期再就職のための援助内容、再就職手当制度等について説明を行い、アンケート等により再就職の緊要度、安定所のサービスに対する期待度等を把握すること。

(4) その際、再就職の緊要度が特に高く安定所のサービスに対する期待度の大きいことが明らかな者については、有効求人との照合を行い、適格求人がある場合には即時紹介を行うこと。

この場合、就職日が待期期間の経過後であれば、再就職手当が支給されることに配慮すること。

2 早期あつ旋対象者の選定

受給資格者の就職ニーズに的確に対応するため、相談・援助を早期の段階で集中して行うことが望ましい者(以下「早期あつ旋対象者」という。)の選定を行うものとする。この早期あつ旋対象者の選定は、原則として求職受理時の相談により行うこととするが、その後の相談・援助の過程で早期あつ旋のためのサービスを提供することが望ましいと判断されるに至つた者については、早期あつ旋対象者に追加選定する等の変更を行うこと。

(1) 早期あつ旋対象者の選定に当つては、上記1の(3)の結果及び求職条件等を総合的に判断し、次のような条件を満たす者を中心に選定すること。

① 再就職の緊要度の高い者

② 安定所の紹介あつ旋に対する期待度の高い者

③ 希望条件等からみて適格求人の確保が図れると判断される者

④ その他早期あつ旋対象者として選定することが適当であると判断される者

(2) 早期あつ旋対象者は、各窓口ごとの受給資格者数、職員数等を勘案し選定することとするが、その場合、法三三条の給付制限を受ける者を優先すること。

3 相談・援助の内容と方法

受給資格者に対する相談・援助は、それぞれの職業選択上の問題点及び求人との結合可能性に基づき態様別に行うことを基本とするが、これに加えて、各々の再就職の緊要度、安定所のサービスに対する期待度等の違いに基づく、次の三つの類型に応じた相談・援助を実施するものとすること。

即ち、自主選択コースに区分される者については、その自主的活動が促進されるよう援助しつつ、また、職業相談コースに区分される者については、職業問題の解決のための援助を図りつつ、また、特別援助コースに区分される者については、求人開発等の援助をも図りつつ、以下の類型に応じた相談・援助を行うこと。

(1) 法三三条の給付制限を受ける早期あつ旋対象者

この類型に対する相談・援助は、主として、再就職の緊要度が高く、安定所の紹介でなければ再就職手当が支給されないため安定所の紹介あつ旋に対する期待度の大きい者を対象とするものであり、法三三条の給付制限を受ける期間中においても失業の認定日に準じて来所する日を指定する再来日指定方式により、次のような相談・援助を早期の段階で集中的に行うこと。

なお、この類型の者は、法三三条の給付制限を受ける期間満了後は、再就職の緊要度、安定所のサービスに対する期待度等を再確認したうえで、次の(2)又は(3)に示す類型として取り扱うこと。

イ 指定した再来日前に有効求人との照合により適格求人の確保を図る等十分な準備に基づく職業相談を実施すること。

ロ 求職条件に適合する求人が受理された場合には、求人公開等に先立つて電話等により優先的に情報提供すること。

電話により情報提供を行う場合は、併せて簡易な相談を実施すること。

ハ 求人者に対して求職公開カード、求職者情報一覧表等により、求職者情報を提供し、求人者からリクエストを求めての紹介方式を積極的に活用すること。

ニ 上記ロまたはハにより受給資格者が応募する場合、紹介状の自宅送付、電話による紹介等迅速かつ簡便な紹介サービスの提供を図ること。

ホ 就職情報誌等に掲載された求人を希望する者に対しては、当該求人を開拓し、あつ旋する等の利便を図ること。

(2) 法三三条の給付制限を受けない早期あつ旋対象者

この類型に対する相談・援助は、主として、再就職の緊要度は高いものの安定所の紹介あつ旋に対する期待度は一様でない者を対象とするものであり、自己就職のための援助を含めた次のような相談・援助を失業の認定日を中心に積極的に行うこと。

イ これらの者に対する相談・援助は失業の認定日以外であつても適宜来所を勧奨して行うこと。

ロ 呼出紹介、管理選考を積極的に行うこと。

ハ 管理選考の機能に重点を置いた再就職促進講習の活用を図ること。

ニ 安定所だけでなく民間職業紹介機関、あるいは就職情報誌等を利用しての自己就職活動の進め方等についても、助言・援助を実施すること。

ホ その他、上記(1)の類型に準じたサービスを提供すること。

(3) 早期あつ旋対象者以外の者

この類型に対する相談・援助は再就職の緊要度が必ずしも高くない者、求職条件に適合する求人の確保が困難な者等を対象とするものであり、就職意欲の向上や結合可能性の改善等に重点を置いた、次のようなサービスを計画的に提供すること。

イ 失業の認定日等の来所の機会を活用して、求人情報等を積極的に提供すること。

ロ 求職条件の緩和等のため、類似の希望条件・態様を持つ者に対し、グループワーク・求人説明会等の集団的指導を実施すること。

ハ 集団指導の機能及び技能を追加付与する機能に重点を置いた再就職促進講習並びに職業訓練諸制度の活用を図ること。

4 再就職手当の積極的活用

再就職手当制度については、紹介担当部門と認定担当部門との連係により、各受給資格者の再就職手当の支給条件(法三三条の給付制限を受ける者が待期満了後二カ月経過した時点、支給残日数が三分の二又は二分の一になる時点)等を十分把握し、求職受理時、職業相談時その他適切な機会を捉え、本制度を活用した早期再就職についての指導に努めること。

5 認定担当部門と紹介担当部門との連携

(1) 雇用保険受給者初回説明会における指導

受給資格者に対する早期の対応を図るため、雇用保険受給者

初回説明会においては、職業紹介機関等のサービスの活用の仕方、再就職手当、再就職促進講習等について説明を行い、紹介窓口への立寄りと相談を勧奨すること。

(2) 失業の認定日の設定

失業の認定日の設定に当たつては、紹介担当部門と連携を図り、失業の認定日を利用しての面接相談が十分行えるよう、可能な限り一日当たりの認定人数を減ずるとともに、時間帯についても工夫すること。

更に、集団指導、管理選考等のための条件整備を図るため、必要に応じ、職種別に失業の認定日を設定すること。

(3) その他

イ 紹介担当部門は、次に掲げる場合にはすみやかにその旨を求職票等により認定担当部門へ連絡すること。

① 心身障害者等就職困難者と認められる事実があつた場合

② 就職の決定、又は求職の取消しがあつた場合

③ 公共職業訓練等の受講指示、広域職業紹介活動によるあつ旋対象者としての認定又は広域求職活動の認定を行つた場合

④ 紹介された職業に就くこと、受講指示された公共職業訓練等を受けること又は職業指導を受けることを拒んだ場合

⑤ その他失業の認定に当たつて特に参考となるべき事実を把握した場合

ロ 認定担当部門は、次に掲げる場合にはその旨を紹介担当部門へ連絡すること。

① 法三三条の給付制限に係る事実を確認した場合

② 基本手当の支給残日数が所定給付日数の三分の二又は二分の一近くになつた場合

③ 受給期間満了又は支給終了となつた場合

④ 連続して二回失業の認定日に来所しなかつた場合

⑤ 上記(4)により連絡を行つた後来所した場合

⑥ 委嘱、移管を行つた場合

⑦ その他職業紹介、職業指導を行うに当たつて特に参考となるべき事実を把握した場合

ハ 認定担当部門は、失業の認定に当たつて、職業紹介、職業指導その他求職活動の具体的状況等について、必要に応じ、紹介担当部門に照会すること。