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通達:国際協定の締結等に伴う漁業離職者に関する臨時措置法及び同法施行令の施行について

 

国際協定の締結等に伴う漁業離職者に関する臨時措置法及び同法施行令の施行について

昭和52年12月28日労働省発職第197号

(各都道府県知事あて労働事務次官通達)

 

国際協定の締結等に伴う漁業離職者に関する臨時措置法については、第八三回臨時国会において、昭和五二年一二月九日全会一致で可決成立し、同月二六日「昭和五二年法律第九四号」として公布され、昭和五三年一月二日から施行されることとなつた。

また、国際協定の締結等に伴う漁業離職者に関する臨時措置法施行令が、昭和五二年一二月二六日「昭和五二年政令第三二九号」として公布され、昭和五三年一月二日から施行されることとなつた。

この国際協定の締結等に伴う漁業離職者に関する臨時措置法等は、今後、漁業をめぐる国際環境の急激な変化による国際協定の締結等に伴い漁業離職者が多数発生することが見込まれること等に対処するため、漁業離職者の再就職の促進等に関し特別の措置を講じようとするものであり、その主な内容は下記のとおりであるので、その趣旨を十分理解の上、その施行に万全を期せられたく、命により通達する。

なお、漁業離職者のうち船員になろうとする者については、運輸省において同様の措置をとることとなつているので、これが連携に留意されたい。

 

第一 国際協定の締結等に伴う漁業離職者に関する臨時措置法関係

I 趣旨

この法律は、漁業をめぐる国際環境の急激な変化による国際協定の締結等に伴い、一時に多数の漁業離職者が発生することが見込まれること等の事情にかんがみ、漁業離職者の職業及び生活の安定に資するため、再就職の促進等に関し特別の措置を講じようとするものである。

Ⅱ 概要

1 目的(第一条関係)

この法律は、漁業をめぐる国際環境の急激な変化による国際協定の締結等の事態に対処するために実施される漁船の隻数の縮減に伴い、一時に多数の漁業離職者が発生することが見込まれること等の事情にかんがみ、再就職の促進等のための特別の措置を講じ、もつて漁業離職者の職業及び生活の安定に資することを目的とするものであること。

2 定義(第二条関係)

この法律において「特定漁業」とは、我が国の漁業者が行う漁業について操業区域、漁獲量等に関し国際協定等により規制が強化されたことに対処するため、緊急に漁船の隻数を縮減することを余儀なくされ、これに伴い一時に相当数の離職者が発生するものとして政令で定める業種に係る漁業をいい、「漁業離職者」とは、特定漁業に従事していた者であつて、国際協定等に対処するために漁業者が実施する漁船の隻数の縮減(以下「減船」という。)に伴い離職を余儀なくされたもののうち、現に失業しており、又はその職業が著しく不安定であるため失業と同様の状態にあると認められるものをいうものであること。

3 職業訓練(第三条関係)

(1) 労働大臣は、漁業離職者の再就職を容易にするため、必要な職業訓練の実施に関し、訓練時期、訓練期間、職業訓練に係る職種、委託訓練、職業訓練施設、受講定員等について特別の措置を講ずるものとしたこと。

(2) (1)の措置を係る専修職業訓練校における職業訓練に要する費用については、国は、職業訓練法による負担割合を超えた負担をすることができるものとしたこと。

4 漁業離職者求職手帳(第四条関係)

(1) 公共職業安定所長は、漁業離職者で離職日が労働省令で定める日以降の一定の期間内にあること、特定漁業への従事が一定期間あること等所定の要件に該当すると認定したものに対し、漁業離職者求職手帳(以下「手帳」という。)を発給するものとしたこと。

(2) 前項の労働省令の制定又は改正に当たつては、労働大臣は、農林大臣の意見を聴かなければならないものとしたこと。

(3) 手帳は労働省令で定める期間その効力を有するものとし、その他手帳に関し必要な規定を設けるものとしたこと。

5 就職指導(第五条及び第六条関係)

(1) 公共職業安定所長は、手帳の発給を受けた者(以下「手帳所持者」という。)に対し、就職指導を行うほか、公共職業訓練を受けることその他その者の再就職を促進するために必要な事項を指示することができるものとしたこと。

(2) 手帳所持者は、やむを得ない理由がない限り、定期的に、公共職業安定所長が指定した日に公共職業安定所に出頭し、就職指導を受けなければならないものとしたこと。

(3) 就職指導は、職業安定法による就職促進指導官に行わせるものとしたこと。

6 給付金の支給等(第七条から第九条まで関係)

(1) 国は、他の法令の規定に基づき支給するものを除くほか、手帳所持者がその有する能力に適合する職業に就くことを容易にし、及び促進するため、手帳所持者又は事業主に対し、次の各号に掲げる給付金を支給することができるものとしたこと。

イ 公共職業安定所長の指示した公共職業訓練施設の行う職業訓練を受けるために待期している間についての訓練待期手当又は手帳所持者の再就職の促進を図るための就職促進手当

ロ 広範囲の地域にわたる求職活動に要する費用に充てるための広域求職活動費(船員となろうとする者については、広域求職活動費は支給しないものとし、手帳所持者の知識及び技能の習得を容易にするための技能習得手当を支給するものとする。)

ハ 就職又は知識若しくは技能の習得をするための住所又は居所の変更に要する費用に充てるための移転費

ニ イからハまでに掲げる給付金以外の給付金であつて、政令で定めるもの

(2) 都道府県は、他の法令の規定に基づき支給するものを除くほか、手帳所持者がその有する能力に適合する職業に就くことを容易にし、及び促進するため、手帳所持者又は事業主に対し、次の各号に掲げる給付金を支給することができるものとしたこと。

イ 公共職業訓練施設の行う職業訓練又は作業環境に適応させる訓練を受けることを容易にするための訓練手当

ロ 手帳所持者を作業環境に適合させる訓練を行うことを促進するための職場適応訓練費

(3) 国は、都道府県に対し、訓練手当に要する費用の三分の二を、職場適応訓練費に要する費用の二分の一を、それぞれ負担するものとすること。

(4) (1)及び(2)の給付金の支給を受ける権利の譲渡等の禁止並びに(1)及び(2)の給付金(事業主に対して支給するものを除く。)についての公租公課の禁止について必要な規定を設けるものとしたこと。

7 公共事業についての配慮(第一〇条関係)

労働大臣は、必要があると認めるときは、公共事業の計画実施者等に対し、漁業離職者の雇入れの促進について配慮するよう要請することができるものとしたこと。

8 船員保険法の特例(第一二条関係)

四〇歳以上の手帳所持者であつて、所定給付日数内に再就職する見込みがなく、かつ、特に再就職のために援助を行う必要があること等一定の要件に該当すると公共職業安定所長等が認めたものについては、船員保険法の規定に基づく個別延長給付として、現行の給付日数(六〇日分)に三〇日分を加えたものを給付することができるものとしたこと。

Ⅲ 施行期日等

1 施行期日(附則第一項関係)

この法律は、公布の日から起算して七日を経過した日(昭和五三年一月二日)から施行するものであること。

2 失効(附則第二項関係)

この法律は、施行の日から起算して二年を経過した日にその効力を失うものであること。ただし、この法律の失効の際、現に手帳所持者である者に関しては、なお、その効力を有するものであること。

3 関係法律の整備(附則第三項及び第四項関係)

労働省設置法(昭和二四年法律第一六二号)及び社会保険労務士法(昭和四三年法律第八九号)について、所要の整備を行つたこと。

 

第二 国際協定の締結等に伴う漁業離職者に関する臨時措置法施行令関係

Ⅰ 概要

1 特定漁業の指定(第一条関係)

特定漁業は、次のとおりとしたこと。

一 沖合底びき網漁業

二 遠洋底びき網漁業

三 母船式底びき網等漁業

四 大型捕鯨業

五 母船式捕鯨業

六 中型さけ・ます流し網漁業

七 母船式さけ・ます漁業

八 小型さけ・ます流し網漁業

九 西部ベーリング海ずわいがに漁業

一〇 北洋にしんさし網漁業

一一 日本海さけ・ますはえなわ漁業

一二 ほつけ固定式さし網漁業

一三 めぬけ固定式さし網漁業

 一四 以南にしんさし網漁業

 一五 たら固定式さし網漁業

 一六 たら等はえなわ漁業

 一七 四島周辺かに漁業

 一八 樺太東ずわいがに漁業

 一九 えびかご漁業

 二〇 樺太東つぶ漁業

 二一 樺太東あぶらがに漁業

 二二 抱卵にしん漁業

 二三 オホーツク海あざらし漁業

2 政令で定める給付金(第二条関係)

国際協定の締結等に伴う漁業離職者に関する臨時措置法第七条第一項第四号の政令で定める給付金は、次のとおりとすること。

(1) 手帳所持者が事業を開始することに要する費用に充てるための自営支度金

(2) 手帳所持者が公共職業安定所の紹介により就職することを促進するための再就職奨励金

(3) 事業主が公共職業安定所の紹介により手帳所持者を雇い入れることを促進するための雇用奨励金

Ⅱ 施行期日等

1 施行期日(附則第一項関係)

この政令は、国際協定の締結等に伴う漁業離職者に関する臨時措置法の施行の日から施行するものとすること。

2 労働省組織令の一部改正(附則第二項関係)

労働省組織令(昭和二七年政令第三九三号)について、所要の整備を行うものとすること。