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通達:駐留軍関係離職者及び沖縄失業者求職手帳所持者にかかる就職促進手当支給要領等の改正について

 

駐留軍関係離職者及び沖縄失業者求職手帳所持者にかかる就職促進手当支給要領等の改正について

昭和50年3月31日職発第116号

(各都道府県知事あて労働省職業安定局長通達)

 

駐留軍関係離職者及び沖縄失業者求職手帳所持者に係る就職促進手当等の改正については、先般、「雇用保険法その他関係法令の施行について」(昭和五〇年労発徴第一七号、基発第一六六号、婦発第八二号、職発第九七号、訓発第五五号)により通達したところであるが、その具体的な事務処理は左記により行うこととしたので、その運用に遺憾のないよう御配意願いたい。

 

一 就職促進手当支給要領の改正

就職促進手当の支給については、別添一「駐留軍関係離職者就職促進手当支給要領」、別添二「沖縄失業者求職手帳所持者就職促進手当支給要領」により行うこと。なお、昭和四一年八月一七日職発第四八五号通達別添三「駐留軍関係離職者就職促進手当支給要領」、昭和四七年五月一五日職発第二三七号通達「沖縄振興開発特別措置法に基づく沖縄失業者就職援護措置実施要領」のうちの「就職促進手当支給要領」は廃止する。

二 諸様式の改正

「駐留軍関係離職者等臨時措置法に基づく就職指導及び就職促進手当の支給に関する省令」及び「沖縄振興開発特別措置法に基づく就職促進手当の支給等に関する省令」に基づく諸様式については、別添三「駐留軍関係離職者及び沖縄失業者に係る諸様式集」のとおり改正する。なお、この改正においては、就職促進手当の扶養加算の廃止等に伴う所要の整備を行うほか、沖縄県における駐留軍関係離職者及び沖縄失業者に係る様式を事務処理上の便宜等を考慮して可能な限り共通のものとしたこと。

三 経過措置

(一) 就職促進手当の支給

昭和五〇年三月三一日までの期間に係る就職促進手当の支給については従前の例によるものとすること。

(二) 就職促進手当の日額

昭和五〇年四月一日(以下「施行日」という。)以後の日については、就職促進手当の扶養加算は廃止される。これに伴い就職促進手当の日額の算定は次によるものとする。

イ 認定を受けた日又は手帳の発給の申請をした日が施行日前である者

施行日前、駐留軍関係離職者等臨時措置法第一〇条の二第一項又は第二項の規定により認定を受けた者(以下「認定を受けた者」という)又は沖縄振興開発特別措置法第四一条第一項の規定により沖縄失業者求職手帳の発給の申請をした者(以下「手帳発給申請者」という)については、改正前の駐留軍関係離職者等臨時措置法施行令(以下「旧駐留軍令」という)又は、改正前の沖縄振興開発特別措置法施行令(以下「旧沖縄振興令」という)の規定により算定した就職促進手当の日額(施行日の前日において旧駐留軍令第七条の三第二項又は旧沖縄振興令第一八条第三項に規定する扶養親族がある場合において、施行日以後最初に就職指導を受けるべき日までにその旨を公共職業安定所長に届け出た場合(天災その他やむを得ない理由により、その日までに届出をすることができなかつた者については、その理由がやんだ日から七日以内に届け出た場合)は、当該額に旧駐留軍令又は旧沖縄振興令の規定の例により算定した扶養加算額を加えた額)と、新駐留軍令又は新沖縄振興令の規定により算定した就職促進手当の日額とを比較し、その高い方の額をその者の就職促進手当の日額とする。

なお、この措置により旧駐留軍令又は旧沖縄振興令の規定の例により算定した扶養加算額を加えた就職促進手当の支給を受けることとなつた者については、届出を行つた扶養親族がその後において扶養親族の要件を欠くに至つた場合(例えば、子供が満一八歳となつた場合、配偶者がいなくなつた場合等)にあらためて計算を行ないその都度新駐留軍令又は新沖縄振興令の規定により算定した就職促進手当の日額と比較しなければならないので特に留意すること。従つてこのような者についてはその後の就職指導を受けるべき日に「就職促進手当の受給に係る申告書」((駐)・(沖)様式第一一号)により扶養親族に変更があつたかどうかを確認しなければならない。

旧駐留軍令又は旧沖縄振興令の規定の例により算定した扶養加算額を加えた就職促進手当の日額が、新駐留軍令又は新沖縄振興令の規定による就職促進手当の日額を下廻ることとなるときはその理由の生じた日の翌日(廃疾の状態にない子が一八歳に達した場合にはその日)以後の日分については、新駐留軍令又は、新沖縄振興令の規定による就職促進手当の日額がその者の日額となる。ただし、施行日以後最初に就職指導を受けるべき日までに届け出た扶養親族についてのみこの取扱いを受けることができるのであるが、この場合でも、当該理由(例えば、結婚、出産等)が施行日以後に生じたものであれば認められないので注意すること。

ロ 認定を受けた日又は手帳の発給の申請をした日が施行日後である者

離職の日如何にかかわらず、新駐留軍令又は、新沖縄振興令の規定による就職促進手当日額表によりその者の手当の日額を決定する。

(三) 賃金日額の算定

賃金額の算定は、従来、賃金支払基礎日数が一一日以上ある月を一箇月として計算してきたが、施行日以後は、賃金支払基礎日数が一四日以上ある月を一箇月として計算することとなるので、賃金日額の算定方法は次によること。

イ 施行日前に離職した者

施行日前に離職し、施行日以後に公共職業安定所に出頭して、認定を受け、又は手帳の発給の申請をした者に係る賃金日額の算定については、旧駐留軍令又は旧沖縄振興令の規定により算定するものとする。従つて、暦月単位、賃金支払基礎日数一一日以上を基準とする。

ロ 施行日前に雇用された者で引き続き同一事業主に雇用され施行日以後に離職した者

この場合における賃金日額の算定は、施行日前の期間と施行日以後の期間とを区分して計算を行うこと。従つて、施行日前の期間については、旧駐留軍令又は旧沖縄振興令の規定により暦月単位賃金支払基礎日数一一日以上を基準とし、施行日以後の期間については、新駐留軍令又は新沖縄振興令の規定により暦月単位、賃金支払基礎日数一四日以上を基準としそれぞれ計算すること。

(四) 就職指導の回数等の改正

就職指導及び就職促進手当の支払の回数は、施行日以後四週間に一回に改められるが、施行日の直前の就職指導を受ける日から、施行日以後の最初の就職指導を受けるべき日までの期間については従前のとおりの取扱いによること。

これを図示すると(例一)のとおりである。((例二)は誤り)

(例一)

/2週間\   /――――4週間――――\

│/  │  \│/  │   │   │  \│

―┴―――┴―――┴―――┴―――┴―――┴―――┴――

直前の 施行日 直後の

就職指     就職指

導 日     導 日

(例二)

/――――4週間――――\   /――――4週間

│/  │   │   │  \│/  │   │

―┴―――┴―――┴―――┴―――┴―――┴―――┴――

直前の  施行日  直後の

就職指       就職指

導 日       導 日

(五) 新駐留軍令第七条の五第一項及び新沖縄振興令第一九条第一項の規定の適用

施行日の前日において、既に認定を受けている者又は既に手帳の発給を受けている者は、廃止前の失業保険法の規定による失業保険金、傷病給付金(以下「旧保険給付等」という)の支給を受けていることが多いが、この場合において既に支給した旧保険給付等は、雇用保険法の規定により支給された基本手当又は傷病手当とみなされる。従つて、施行日において受給中である者は所定給付日数から既に支給した旧保険給付等を差し引いて得た日数分に相当する日数分を限度として基本手当又は傷病手当を受給することができる。

就職促進手当の始期についてはこの点を十分留意すること。

(様式略)

(別添二略)

 

別添一

駐留軍関係離職者就職促進手当支給要領

一 支給対象者

二 手当の日額

三 手当の支払い

 (一) 手当の支給

 (二) 支払日の決定

 (三) 手当の受領

 (四) 支給時の確認

四 手当の調整

 (一) 基本手当等との調整

 (二) 特例一時金との調整

 (三) 日雇労働求職者給付金との調整

 (四) 船員失業保険金との調整

 (五) 職業訓練手当との調整

 (六) 傷病手当金との調整

 (七) 自己の労働による収入との調整

五 手当の支給制限

 (一) 就職指導拒否による支給制限

 (二) 疾病又は負傷による支給制限

 (三) 支給制限の通知

六 届出事項

 (一) 氏名又は住所の変更

 (二) 労働収入を得たとき

 (三) 職業についたとき

 (四) 傷病手当金等の給付を受けたとき

七 受診命令

八 不正受給

 (一) 不正受給の防止

 (二) 不正受給による手当の不支給及び返還命令

九 手当支給台帳の作成及び記録

 (一) 支給台帳の作成の時期

 (二) 支給台帳の作成

 (三) 支給台帳の記録

 (四) 支給台帳の整理保管

一〇 その他の事務処理

 (一) 認定を受けた者が雇用保険の求職者給付受給のときの取扱い

 (二) 手当の支払いに伴う事務

 (三) 日雇労働者として求職登録した者の取扱い

〔凡例〕

この要領では、次に掲げる法令については、次の略称を用いるものとする。

・ 駐留軍関係離職者等臨時措置法………………………法

・ 駐留軍関係離職者等臨時措置法施行令………………政令

・ 駐留軍関係離職者等臨時措置法に基づく就職指導及び就職促進手当の支給に関する省令………………省令

駐留軍関係離職者就職促進手当支給要領

法第一〇条の二に規定する認定を受けた者に対する、法第一〇条の三に定める就職促進手当(以下「手当」という。)の支給についての事務はこの要領に定めるところによる。

一 支給対象者

手当は、法第二条に規定する駐留軍関係離職者であつて、法第一〇条の二第一項又は第二項の規定による認定を受けたもの(以下「認定を受けた者」という。)について、法第一〇条の二第一項の規定による職業指導を受けた場合に支給する。

二 手当の日額

(一) 手当の日額

手当の日額は、認定を受けた者の法第一〇条の二第一項第一号の離職の日前の賃金日額に応じて決定するものとし、雇用保険法(昭和四九年法律第一一六号)第一六条の規定による基本手当日額表に準じて、労働大臣が定める就職促進手当日額表におけるその者の賃金日額が属する賃金等級に応じて定められた金額とする。(政令第七条の三)

(二) 賃金日額の算定

賃金日額は、法第一〇条の二第一項又は第二項の認定の申請の際提出される駐留軍関係労務者離職証明書(又は雇用保険被保険者離職票)に基づいて次の要領により算定することとなるが、その者が雇用保険の基本手当(以下「基本手当」という。)の受給資格を有する者である場合には、その受給資格決定時に計算される賃金日額としてさしつかえない。

(イ) 賃金日額は、認定を受けた者が離職の日の属する月前一二月(月の末日において離職するに至つたときは、その月及びその前一一月)において賃金の支払の基礎となつた日数が一四日以上である各月(その月数が六をこえるときは、最後の六月)に支払を受けた賃金の総額を、三〇日にその月数を乗じて得た数で除して得た額とする。(政令第七条の四)

(ロ) (イ)により算定した額が次のいずれかの額に満たないときは、賃金日額は、それぞれ次のa又はbによつて算定された額とする。

a 賃金が、労働した日若しくは時間によつて算定され、又は出来高払制その他の請負制によつて定められている場合においては、(イ)の期間に支払われた賃金の総額をその期間中に労働した日数で除して得た額の一〇〇分の七〇に相当する額(政令第七条の四第二項第一号)

b 賃金の一部が、月、週その他一定の期間によつて定められている場合においては、その部分の総額をその期間の総日数(月の場合は、一月を三〇日として計算する。)で除して得た額と、aの額との合算額(政令第七条の四第二項第二号)

(ハ) (イ)若しくは(ロ)の方法によつて賃金日額を算定することが困難であるとき又は算定した賃金日額が著しく不当であるときは、駐留軍関係離職者等臨時措置法施行令の規定に基づき労働大臣が定める賃金日額の算定方法を定める告示(昭和五〇年労働省告示第一六号)の例により算定する額を賃金日額とする。(政令第七条の四第三項)

三 手当の支払い

(一) 手当の支給

イ 手当は、法第一〇条の二第一項又は第二項の規定による認定があつた日から起算して八日目に当たる日から当該認定がその効力を失うまでの間、認定を受けた者が就職指導を受けた場合に、当該就職指導を受けた日の直前の就職指導を受けるべき日の翌日(当該就職指導を受けた日が最初の就職指導を受けるべき日であるときは、認定があつた日から起算して八日目に当たる日)から当該就職指導を受けた日までの期間について支給する。(政令第七条の二第一項)

ロ 認定を受けた者が疾病、負傷、その他省令第一五条に定める理由により就職指導を受けることができない場合において、その理由を記載した証明書を提出したときは、当該就職指導を受けたものとみなして当該手当を支給する。(政令第七条の二第二項)

(二) 支払日の決定

イ 手当は、四週間に一回、管轄公共職業安定所長が定めて、手当の支給を受ける者に通知した日(以下「支払日」という。)に定期的にその支払日までに支給すべき分を一括して支払うものとする。(省令第一八条第一項)

また、省令第一五条第一項第二号の訓練を受ける者については、一月間に一回手当(職業訓練手当を受ける者についてはその差額)を支払うものとする。この場合においては、あらかじめ職業訓練等受講証明書((駐)様式第六号)を提出させるものとする(省令第一八条第一項)

なお、支払日の決定に当つては原則として出頭日と同一の日となるよう定めるものとする。

ロ 管轄公共職業安定所長は、手当の支給を受ける者について、疾病、負傷、就職その他やむを得ない理由により、当該支払日に手当の支払を受けるため出頭させることが著しく困難な事情があると認めるときは、当該支払日以外の日を指定してその指定された日にその日までに支給すべき分の手当を支払うことができる。(省令第一八条第二項)

(三) 手当の受領

イ 認定を受けた者が手当の支払を受けようとするときは、管轄公共職業安定所に出頭し、就職指導票を提出しなければならない。(省令第一九条)

ロ 認定を受けた者が疾病、負傷、就職、その他やむを得ない理由によつて、支払を受けるために管轄公共職業安定所に出頭できない場合に限り、代理人によつて手当の支払を受けることができる。この場合には、代理人は、その資格を証明する書類を就職指導票に添えて管轄公共職業安定所長に提出しなければならない。(省令第二〇条)

(四) 支給時の確認

管轄公共職業安定所は、認定を受けた者に対して手当を支給するときは、就職指導票を提出させて次のことを確認すること。

イ 認定を受けた者であるかどうか(ただし前記(三)のロの場合は正当な代理人であるかどうか)また、その就職指導票が失効していないかどうか。

ロ 出頭日に出頭し、就職指導を受けた者であるかどうか。(出頭免除又は省令第一八条第二項による支払日の変更を行つたものであるかどうか。)

ハ 手当の支給を受ける期間中に政令第七条の五の規定による手当の調整に該当することがあるかどうか。特に自己の労働によつて収入を得たかどうか等については、「就職促進手当の受給に係る申告書」((駐)様式第一一号。以下「申告書」という。)を提出させることによつて認定を行なうこと。

四 手当の調整

(一) 基本手当等との調整

イ 認定を受けた者が基本手当の受給資格者である場合には、その者が当該資格に基づく所定給付日数(雇用保険法第二二条第一項、又は第二三条第一項、第二四条第一項、第二五条第一項、又は第二七条第一項の規定による措置に基づき基本手当の支給を受けることができる日数をいう。)分の基本手当の支給を受け終るか又は受けることができなくなるまでの間は手当を支給しない。(政令第七条の五第一項)

ただし、基本手当又は傷病手当の日額が手当の日額に満たないときは、その差額を手当として支給すること。(政令第七条の五第六項)この事例は認定を受けた者が安定した職業についた後一年以内に離職を余儀なくされた場合等において、当該離職により新たな基本手当の受給資格を得たときにのみ生じうるものであること。

ロ 雇用保険法第二九条第一項又は同法第三四条第一項(第三七条第九項において準用する場合を含む。)の規定による給付制限を受けたため基本手当又は傷病手当の支給を受けられなくなつた場合は支給残日数と受給期間の残日数とのいずれか少ない方の日数が経過するまでの間は手当を支給しないこと。

この場合、基本手当又は傷病手当の日額と手当の日額との差額分に相当する手当の支給を受けていたときは、当該期間中はその差額分の支給も行なわないこと。(政令第七条の五第一項)

ハ 基本手当の受給資格者である認定を受けた者が雇用保険法第二九条第一項又は第三四条第一項(同法第三七条第九項において準用する場合を含む。)の規定による処分を受けた場合は、当該処分が同時に政令第七条の七による手当の支給制限の事由となるため、当該一月間についても手当は支給されない。(政令第七条の五第一項)

ニ 基本手当の支給を受けると同時に手当の差額の支給を受けている者については、基本手当が前回の認定日から今回の認定日の前日までについて失業の認定を行ない支給するのに対し、手当は、通常前回の支払日の翌日から今回の支払日までについて支払うこととしているので、今回の支払日についての手当は全額支給か差額支給かの疑義があるが、通常であれば、事前にその日について基本手当を支給できるか否か、したがつて、また差額支給を行うべきか否かは判るので、差額支給を行なうべき日であれば差額を支給することとなる。

(二) 特例一時金との調整

認定を受けた者が、雇用保険法第三九条第二項に規定する特例受給資格者である場合には、当該離職の日から六ケ月間(その者が当該資格に基づき特例一時金を受けた場合には、当該六カ月を経過する日と同法第四〇条第二項の認定が行われた日から五〇日を経過する日のうちいずれか早く到来する日までの間)は、手当は支給しない。ただし、特例一時金の日額が手当の日額に満たないときは、その差額を手当として支給する。

雇用保険法第四〇条において準用する同法第三四条第一項の規定による給付制限を受けたため、特例一時金の支給を受けられなくなつた場合は、同法第四〇条第二項の認定が行われ、又は認定が行われるべき日から五〇日を経過するまでの間(その間に当該離職の日から六カ月が経過するときは、その経過する日までの間)は手当を支給しない。この場合特例一時金の日額と手当の日額との差額分に相当する手当の支給を受けていたときは、当該期間中はその差額分の支給も行わないこと。(政令第七条の五第二項)

(三) 日雇労働求職者給付金との調整

イ 認定を受けた者が雇用保険法第四五条又は第五三条の規定に該当する場合には、その者が同法第五〇条若しくは第五四条第一号の規定による日雇労働求職者給付金の支給を受け終るか、又は受けることができなくなるまでの間は、手当を支給しない。

ロ その者が同法第五二条第三項(同法第五五条第四項において準用する場合を含む。)の規定による給付の制限を受けたため日雇労働求職者給付金の支給を受けることができなくなつた場合においては、同項に規定する期間が経過するまでの間も支給しない。(政令第七条の五第三項)

この場合には一般の基本手当の場合と異なり認定を受けた者の多くについて差額支給の事例が生じうること。

(四) 船員失業保険金との調整

認定を受けた者が船員保険法の規定による失業保険金の受給資格を有する場合には、その者が当該資格に基づく所定給付日数(同法第三三条の一二第一項又は同法第三三条の一三の三第一項の規定による措置に基づく船員失業保険金を受けることができる日数をいう。)分の失業保険金の支給を受け終わるか、又は受けることができなくなるまでの間は手当は支給しない。なお、手当との差額支給・給付制限の際の取扱いについては(一)と同様であること。(政令第七条の五第四項)

(五) 職業訓練手当との調整

イ 認定を受けた者が職業訓練等を受ける場合においてその者が法第一八条第一項第一号に規定する手当の支給を受けることとなつたときは、その訓練期間中は原則として手当を支給しないが、職業訓練手当の日額が手当の日額に満たないときは差額が手当として支給されること。

ロ その者が正当な理由がなく当該職業訓練等を受けなかつたため職業訓練手当の支給を受けることができなくなつた場合においては、そのためにその支給を受けることができない間は手当を支給しない(政令第七条の五第五項)。この場合、手当の日額と職業訓練手当の日額との差額に相当する分の手当の支給を受けている者についても同様とすること。

(六) 傷病手当金等との調整

認定を受けた者が健康保険法(大正一一年法律第七〇号)第四五条の規定による傷病手当金、労働基準法(昭和二二年法律第四九号)の第七六条の規定による休業補償、労働者災害補償保険法(昭和二二年法律第五〇号)の規定による休業補償給付若しくは休業給付又は次の各号に掲げる法律又は条例若しくは規約の規定による給付であつて、疾病又は負傷の療養のため勤務その他の業務に従事することができない場合において、給与その他の業務上の収入を得ることができないことを理由として支給されるものを受けることができる間は手当は支給しない。(政令第七条の五第七項)

イ 船員保険法(昭和一四年法律第七三号)第三〇条又は船員法(昭和二二年法律第一〇〇号)第九一条第一項。

ロ 国会議員の歳費、旅費及び手当等に関する法律(昭和二二年法律第八〇号)第一二条の三、国会議員法(昭和二二年法律第八五号)第二六条の二、特別職の職員の給与に関する法律(昭和二四年法律第二五二号)第一五条、国家公務員災害補償法(昭和二六年法律第一九一号)第一二条(裁判所職員臨時措置法(昭和二六年法律第二九九号)及び防衛庁職員給与法(昭和二七年法律第二六六号)第二七条第一項において準用する場合を含む。)、国会議員の秘書の給料等に関する法律(昭和三二年法律第一二八号)第五条の三又は裁判官の災害補償に関する法律(昭和三五年法律第一〇〇号)。

ハ 災害救助法(昭和二二年法律第一二八号)第二九条、消防組織法(昭和二二年法律第二二六号)第一五条の七、消防法(昭和二三年法律第一八六号)第三六条の二、水防法(昭和二四年法律第一九三号)第六条の二若しくは第三四条又は災害対策基本法(昭和三六年法律第二二三号)第八四条。

ニ 警察官の職務に協力援助した者の災害給付に関する法律(昭和二七年法律第二四五号)第五条第二項、海上保安官に協力援助した者等の災害給付に関する法律(昭和二八年法律第三三号)第五条第二項又は証人等の被害についての給付に関する法律(昭和三三年法律第一〇九号)第五条第二項。

ホ 日雇労働者健康保険法(昭和二八年法律第二〇七号)第一六条の二。

ヘ 公共企業体職員等共済組合法(昭和三一年法律第一三四号)第四四条。

ト 公立学校医、学校歯科医及び学校薬剤師の公務災害補償に関する法律(昭和三二年法律第一四三号)第二条。

チ 国民健康保険法(昭和三三年法律第一九二号)第五八条第二項の規定に基づく条例又は規約。

(七) 自己の労働による収入との調整

認定を受けた者が自己の労働により収入を得た場合は、当該収入を得た日に係る手当の額は、次により算定した額とする。

イ 認定を受けた者が自己の労働によつて得た収入の一日分に相当する額から五〇〇円を控除した残りの額と、その者に支給される手当の日額との合計額が賃金日額の一〇〇分の八〇に相当する額を超えないときは、手当の日額の全額を支給する。

ロ その合計額が当該賃金日額の一〇〇分の八〇に相当する額を超えるときは、その超過額を手当の日額から控除した残りの額を支給し、その超過額が手当の日額を超えるときは、手当を支給しない。

なお、例えば日雇労働に従事したような場合のごとく「安定した職業」以外の職業に就いた場合に、雇用保険では就職したと解してその日の基本手当は不支給としているのに対し、手当の支払のときは当該就労により収入を得た場合にその収入を自己の労働による収入と解して、手当の減額又は不支給の処理を行なうこと。(政令第七条の五第八項)

五 手当の支給制限

(一) 就職指導拒否による支給制限

手当の支給を受けることができる者が、次のいずれかに該当するときは当該事実のあつた日から起算して一月間は手当を支給しない。(政令第七条の七第一項)

イ 公共職業安定所の紹介する職業に就くことを拒んだとき。ただし、次のいずれかに該当するときを除く。

(イ) 紹介された職業がその者の能力からみて不適当であるとき。

(ロ) 就職するために現在の住所又は居所を変更することを要する場合において、その変更が困難であるとき。

(ハ) 就職先の賃金が同一地域において同一職種に従事する労働者に通常支払われる賃金に比べて不当に低いとき。

(ニ) その他正当な理由があるとき。

ロ 法第一〇条の二第三項の規定による公共職業安定所長の指示に従わなかつたとき。

イのただし書に該当するか否かについての認定基準は雇用保険法その他関係法令の施行について(昭和五〇、三、二五職発第九七号Ⅲ第一の九の(一))「法第三二条の給付制限」に規定されているところに準じて行うこと。

前記イ及びロの支給制限の処分を受けた者は、そのために手当が支給されない間もなお就職指導を受けるために公共職業安定所へ定期的に出頭しなければならないこと。

(二) 疾病又は負傷による支給制限

手当の支給を受けることができる者が、疾病又は負傷により就職指導を受けるために公共職業安定所に出頭することができない場合において、その期間が継続して九〇日をこえるときは当該九〇日をこえる期間は手当を支給しない。(政令第七条の七第二項)

(三) 支給期限の通知

手当の支給制限を行なう場合には管轄公共職業安定所長は就職指導票(支給制限欄)にその期間及びその理由を記載し本人に通知すること。(省令第二一条)

この場合においては本人の確認印を徴すること。

六 届出事項

認定を受けた者は次の各号のいずれかに該当するときはすみやかに当該各号に掲げる書面等を管轄公共職業安定所長に届け出なければならない。(省令第二二条)

(一) 氏名又は住所に変更が生じたとき等(省令第二二条第一号、第四号)。

イ 該定を受けた者が氏名又は住所に変更が生じたときはその変更が生じた日の後における最初の出頭日までに次の事項を記載した届書及び手帳

① 就職指導票交付番号、認定を受けた者の氏名および住所

② 変更前の氏名又は住所

③ 変更年月日

ロ 認定を受けた者が住所の移転等により管轄公共職業安定所に変更が生ずるときは、当該変更の事由が生ずる日までに次の事項を記載した届書および就職指導票

① 就職指導票交付番号および認定を受けた者の氏名

② 当該変更の事由

③ 変更が生ずる日

④ 変更予定先の住所

(二) 自己の労働により収入を得たとき(政令第二二条第二号)

認定を受けた者が手当の支給を受ける場合において、自己の労働によつて収入を得たときは当該収入を得た日の後における最初の手当の支払日までに当該申告書および就職指導票

(三) 新たに職業についたとき(省令第二二条第三号)

認定を受けた者が新たに職業についたときは当該職業についた日の後における最初の出頭日までに申告書により申告するとともに次の事項を記載した証明書および就職指導票

① 就職指導票交付番号および認定を受けた者の氏名

② 事業所の名称および所在地

③ 就職(開業)年月日

④ 職種または業種

⑤ 賃金および雇用期間(雇用された場合に限る。)

(四) 傷病手当金等給付を受けたとき(省令第二二条第五号)

認定を受けた者が手当の支給を受ける場合に政令第七条の五第七項に規定する給付又は、公害健康被害補償法第二五条第一項に規定する障害補償費を受けることができることとなつたときは当該給付を受けることができることとなつた日の後における最初の手当の支払いを受ける日までに申告書により申告するとともに次の事項を記載した届書および手帳

① 就職指導票交付番号および認定を受けた者の氏名

② 認定を受けた者が受けることができることとなつた給付の名称

③ 前号の給付を受けることができる期間

七 受診命令

手当の支給を受けることができる者で疾病若しくは負傷により就職指導を受けるために管轄公共職業安定所に出頭することができないものに対して、その指定する医師の診断を受けることを命ずることができる。(省令第二三条)

八 不正受給

(一) 不正受給の防止

手当の不正受給は極力これを防止しなければならない。従つて出頭日に申告書の提出を求めその確認をなすとともに、特に次に掲げる事項に留意すること。

イ 就職指導票が失効していると認められる事実があるのに隠していないか。

ロ 自己の労働による収入があるのに届出をしていないのではないか。

ハ 支給の制限に該当する事実があるのではないか。

なお、手当と他の給付との二重払を防止するために、その者が基本手当、傷病手当及び職業訓練手当その他調整の対象となる給付を受給しているか否かを調査確認しなければならない。とくに日雇労働求職者給付金は他の公共職業安定所で受給する場合があるので注意する必要があること。

(二) 不正受給による手当の不支給及び返還命令

偽りその他不正の行為によつて手当の支給を受け又は受けようとした場合には、認定は取り消すこととなる(法第一〇条の二第五項第四号)ので、その不正のあつた日以後手当は支給しない。従つて、不正のあつた日以後の分についてその者に支給した手当があるときはその分について返還を命じなければならない。(政令第七条の八)

九 就職促進手当支給台帳(以下「支給台帳」という。)の作成及び記録

(一) 支給台帳の作成の時期

支給台帳((駐)様式第八号)は手当の支給を開始するとき(手当の差額を支給するときを含む。基本手当の受給資格者にあつては支給終了又は受給期間が満了した日の翌日)に作成すること。

(二) 支給台帳の作成

支給台帳は次により記入すること。

イ 就職指導票交付番号……就職指導票交付番号を記入する。

ロ 取扱者印…………就職指導を担当する担当者印を押印する。

ハ 登録領収印………手当を受領する際の領収印を明瞭に押印させる。なお、この場合原則として就職指導票の受領印として使用した印を手当受領印として登録すること及びその者に対し、手当受領の際には同一の印章を持参すべきことを注意すること。

印章の紛失、き損等により印章を変更する必要がある場合には、新たな印章を捺印し、その下部に変更年月日を記入すること。(この場合、印章変更届(様式は任意)を徴すること)。

ニ 「氏名」「性別」「年齢、生年月日」「住所」……就職指導票に基づいてそれぞれ記入すること。

ホ 住所確認…………認定を受けた者の住所を確認し、その年月日およびその確認資料を記入すること。確認資料については住民票、健康保険証等の別を「住」、「健」と略して記入しても差し支えないこと。

ヘ 「就職指導票交票年月日」「就職指導票有効期限」「適用条項」……就職指導記録票に基づいてそれぞれ記入すること。

ト 就職促進手当関係……「就職促進手当」欄中の各欄に就職指導票等関係書類に基づいてそれぞれ所要事項を記入すること。

この場合、「支給の対象となる最初の日」欄には手当の支給の対象となる最初の日を、また「期間満了年月日」欄には就職指導票の交付に基づいて手当を受けることができる最後の日(就職指導票の有効期間の満了日)を記入すること。

チ 「雇用保険基本手当」…雇用保険支給台帳及びその関係資料に基づきその内容を確認のうえ記入すること。

リ 「その他の給付」……政令第七条の五に定める手当の調整に係る給付について申告書及び認定を受けた者の申告又は関係機関との連絡によつて把握確認したときに記入すること。

(三) 支給台帳の記録

手当の支給を行なうときに記録することとし、その記録にあたつては特に次の点に留意すること。

イ 就職指導出頭年月日……就職指導を受けるために出頭した日を記入すること。

ロ 支給期間…………当該支払日に支払う手当の支給対象となる期間、すなわち、点線左側に当該支払日に支払う手当についてその支給対象となつた最初の日を、点線右側にはその支給対象となつた最後の日(通常は当該支払日)を記入すること。

ハ 支給日数…………手当を支払う日数を記入すること。従つて「支給期間」中に含まれる日であつても、例えば、内職収入を得たため減額計算を行なつた結果、手当の支給されない日、日雇労働求職者給付の受給資格を得たため手当の支給されない日等は除くものであること。

ホ その他の記入

(イ) 認定を受けた者が、政令第七条の七の規定により手当が支給されない場合には、その支給状況を記録する必要はない。(「就職指導出頭年月日」欄の記入も必要ない。)が、この場合には、「処理状況」欄にその旨記入しておくこと。

(ロ) 認定を受けた者が、手当の差額(一部)を支給される場合には、「処理状況」欄にその旨記入しておくとともに、「就職促進手当」欄中の「手当の日額」の下にその差額を記入しておくこと。

(ハ) 処理状況…手当の支給に係る必要事項を記入すること。

(四) 支給台帳の整理保管

支給台帳は手当の支給記録として、また、領収証として重要なものであるので、その整理保管は厳重に行なうものとすること。

一〇 その他の事後処理

(一) 認定を受けた者が基本手当受給のときの取扱い

認定を受けた者に対する就職指導は就職促進指導官が行なうこととなるので、その者が基本手当の受給資格者であるときはその者に係る失業の認定等の事務は就職促進指導官が行なうこと。

(二) 手当の支払いに伴う事務

就職指導を行なつた後手当を支払う場合は就職指導票等に所要の記入等を行ない手当支払係へこれを回付する。

手当支払係は支払内訳書を作成後手当を支払い(領収印を徴し)就職指導票を返付すること。

(三) 日雇労働者として求職登録した者の取扱い

認定を受けた者が日雇労働者として求職登録をしたときは、就職促進指導官はその担当係との連絡を密にし就労及び日雇労働求職者給付金支給の有無について確認すること。