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通達:雇用保険法その他関係法令の施行について

 

雇用保険法その他関係法令の施行について

昭和50年3月25日発職第50号

(各都道府県知事、各都道府県労働基準局長、各都道府県婦人少年室長あて労働事務次官通達)

 

雇用保険法及び雇用保険法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律(以下「整備法」という。)については、昭和四九年一二月二五日国会で一部修正の上可決成立し、同年一二月二八日昭和四九年法律第一一六号及び第一一七号として公布され、昭和五〇年四月一日から施行されることとなった(雇用調整給付金に関する暫定措置に係る部分は、昭和五〇年一月一日から施行されている。)。

また、雇用保険法施行令及び雇用保険法の施行に伴う関係政令の整備等に関する政令(以下「整備政令」という。)が、本年三月一〇日昭和五〇年政令第二五号及び第二六号として公布され、四月一日から施行されることとなった。

この雇用保険法等は、今後の経済社会の動向に即応し、その機能を十分発揮できるよう現行失業保険制度を抜本的に改め、雇用保険制度を創設しようとするものであり、また、労災保険についても、これを機会に適用拡大を行おうとするものであって、その主たる内容は、下記のとおりであるので、その趣旨を十分理解の上、その施行に万全を期せられたく、命により通達する。

 

第一 雇用保険法関係

Ⅰ 雇用保険法の趣旨

雇用保険法は、高齢者社会への移行等今後の経済社会の動向に即応し、また、最近の雇用失業情勢にみられるような雇用不安の下において、その機能を十分発揮し得るよう、現行失業保険制度を抜本的に改善、発展させ、雇用に関する総合的機能を有する雇用保険制度を創設しようとするものである。

Ⅱ 雇用保険法の概要

一 総則

(1) 目的(第一条関係)

雇用保険は、労働者が失業した場合に必要な給付を行うことにより、労働者の生活の安定を図るとともに、求職活動を容易にする等その就職を促進し、あわせて、労働者の職業の安定に資するため、雇用構造の改善、労働者の能力の開発、向上その他労働者の福祉の増進を図ることを目的とすること。

(2) 管掌(第二条関係)

雇用保険は、政府が管掌し、その事務の一部は、政令で定めるところにより、都道府県知事に行わせることができること。

(3) 事業内容(第三条関係)

雇用保険は、(1)の目的を達成するため、失業給付を行うほか、雇用改善事業、能力開発事業及び雇用福祉事業を行うこと。

(4) 定義(第四条関係)

「被保険者」とは二の(1)の適用事業に雇用される労働者であって二の(2)以外のものをいうものとし、「失業」とは、被保険者が離職し、労働の意思及び能力を有するにもかかわらず、職業に就くことができない状態にあることをいうものとする等必要な定義に関する規定を設けたこと。

二 適用事業等

(1) 適用事業(第五条関係)

雇用保険においては、労働者が雇用される事業を適用事業とするものとし、その保険関係の成立及び消滅については、労働保険の保険料の徴収等に関する法律(昭和四四年法律第八四号。以下「徴収法」という。)の定めるところによること。

(2) 適用除外(第六条関係)

次の各号に掲げる者については、雇用保険の適用を除外すること。

イ 日雇労働者であって、六の(1)のイからハまでのいずれにも該当しないもの(公共職業安定所長の任意加入の認可を受けた者を除く。)

ロ 四箇月以内の期間を予定して行われる季節的事業に雇用される者

ハ 船員保険の被保険者

ニ 国、都道府県、市町村等に雇用される者のうち、法令等に基づく退職手当の内容が、失業給付の内容を超えると認められる者

(3) 被保険者に関する届出等(第七条から第九条まで関係)

事業主の被保険者に関する届出、被保険者となったこと及び被保険者でなくなったことの確認等被保険者に関する手続に関する規定を設けたこと。

三 失業給付(第一〇条第一項関係)

失業給付は、求職者給付及び就職促進給付とすること。

四 一般被保険者の求職者給付

(1) 種類(第一〇条第二項関係)

一般被保険者の求職者給付は、基本手当、技能習得手当、寄宿手当及び傷病手当とすること。

(2) 基本手当の受給資格(第一三条及び第一四条関係)

イ 基本手当は、被保険者が失業した場合において、離職の日以前一年間(傷病等の期間がある場合には、最長四年間)に、被保険者期間が六箇月以上であったときに、支給すること。

ロ 被保険者期間は、被保険者であった期間を離職日からさかのぼって一箇月ごとに区分した各期間で、賃金の支払の基礎となった日数が一四日以上であるものを一箇月として計算すること。

(3) 失業の認定(第一五条関係)

イ 基本手当は、受給資格者が離職後、公共職業安定所に出頭し、求職の申込みをした上、失業の認定を受けた日について支給すること。

ロ 失業の認定は、原則として、四週間に一回ずつ行うこと。

(4) 基本手当の日額等(第一六条から第一八条関係)

イ 基本手当の日額は、労働大臣が定める基本手当日額表における賃金等級に応じて定められた金額とするものとすること。この場合、賃金日額が三、〇〇〇円を超え七、五〇〇円以下の賃金等級については一〇〇分の六〇、賃金日額が一、八〇〇円以上三、〇〇〇円以下の賃金等級については一〇〇分の八〇を最高の率として逓減した率により、基本手当の日額を定めること。

ロ 賃金日額は、原則として、離職の日以前一年間における最後の六箇月の被保険者期間に支払われた賃金の総額を一八〇で除して得た額とすること。ただし、一、八〇〇円を最低限度額とし、七、五〇〇円を最高限度額とすること。

ハ 労働大臣は、毎月勤労統計による平均定期給与月額が二〇パーセント以上変動した場合には、その変動した率に応じてイの賃金日額及びロの額を変更した上基本手当日額表を改正すること。

(5) 支給の期間(第二〇条第一項関係)

基本手当を支給する期間は、原則として離職の日の翌日から起算して一年(当該一年の期間内に妊娠、出産、育児その他労働省令で定める理由により引き続き三〇日以上職業に就くことができない受給資格者の申出のあった場合には、当該理由により職業に就くことができない日数を加算するものとし、その期間が四年を超えるときは、四年とする。)の期間とすること。

(6) 待期(第二一条関係)

基本手当は、公共職業安定所への求職申込み日以後の失業の日数が通算して七日に満たない期間は、支給しないこと。

(7) 基本手当の給付日数(第二二条から第二七条まで関係)

イ 所定給付日数

所定給付日数は、受給資格者の離職時の年齢等に応じて、次のとおりとすること。

被保険者として雇用された期間

年齢等

一年未満

一年以上

三〇歳未満

九〇日

九〇日

三〇歳以上四五歳未満

九〇日

一八〇日

四五歳以上五五歳未満

九〇日

二四〇日

五五歳以上

九〇日

三〇〇日

心身障害者等

五五歳未満

九〇日

二四〇日

就職困難な者

五五歳以上

九〇日

三〇〇日

ロ 給付日数の延長

次に該当する場合には、それぞれに掲げる日数分給付日数を延長すること。

(イ) 受給資格者が、政令で定める基準により就職が困難である者と認められた場合 政令で定める日数を限度とする日数(個別延長給付)

(ロ) 受給資格者が公共職業訓練等(訓練期間が政令で定める期間を超えるものを除く。)を受ける場合 当該公共職業訓練等を受ける期間(訓練延長給付)

(ハ) 失業多発地域における広域職業紹介対象者 政令で定める日数を限度とする日数(広域延長給付)

(ニ) 全国の失業率が政令で定める基準を超えた場合であって、労働大臣が就職状況からみて必要があると認めるとき 政令で定める日数を限度とする日数(全国延長給付)

(8) 未支給の基本手当(第三一条関係)

受給資格者が死亡した場合において、その者に支給されるべき基本手当でまだ支給されていないものがあるときは、遺族は、その未支給の基本手当の支給を請求することができること。

(9) 給付制限等(第三二条から第三五条まで関係)

イ 受給資格者が、正当な理由がなく、公共職業安定所の職業紹介、公共職業訓練等の受講の指示又は職業指導を拒んだときは、その拒んだ日から起算して一箇月間(職業指導を拒んだ場合には、一箇月以内の間)の基本手当を支給せず、又は給付延長措置を停止すること。

ロ 被保険者が自己の責めに帰すべき重大な理由によって解雇され、又は正当な理由がなく自己の都合によって退職した場合には、一箇月以上二箇月以内の間、基本手当を支給しないこと。

ハ 偽りその他不正の行為により求職者給付又は就職促進給付の支給を受け、又は受けようとした者には、これらの給付の支給を受け、又は受けようとした日以後の基本手当を支給しない(やむを得ない理由がある場合には、この限りでないこと。)。

ニ 政府は、不正受給を行った者に対して、支給額の全部又は一部の返還命令を行うことができ、また、一定の基準により、当該不正受給額以下の金額の納付命令を行うことができること。

(10) 技能習得手当及び寄宿手当(第三六条関係)

イ 技能習得手当は、受給資格者が公共職業安定所等の指示した公共職業訓練等を受ける場合に、その公共職業訓練等を受ける期間について支給すること。

ロ 寄宿手当は、受給資格者が、公共職業安定所長の指示した公共職業訓練等を受けるため、同居の扶養親族と別居して寄宿する場合に、その寄宿する期間について支給すること。

(11) 傷病手当(第三七条関係)

傷病手当は、受給資格者が、離職後公共職業安定所に出頭し、求職の申込みをした後において、疾病又は負傷のために職業に就くことができない場合に、基本手当の所定給付日数を限度として、基本手当相当額を支給すること。

五 短期雇用特例被保険者の求職者給付

(1) 短期雇用特例被保険者(第三八条関係)

被保険者(日雇労働被保険者を除く。)であって、季節的に雇用されるもの又は短期の雇用(同一の事業主に引き続き被保険者として雇用される期間が一年未満である雇用をいう。)に就くことを常態とするもの(以下「短期雇用特例被保険者」という。)に係る求職者給付は、(3)の特例一時金とすること。

(2) 特例一時金の受給資格(第三六条及び附則第六条関係)

イ 特例一時金は、短期雇用特例被保険者が失業した場合において、離職の日以前一年間(傷病等の期間がある場合には、最長四年間)に、被保険者期間が六箇月以上であったときに、支給すること。

ロ 被保険者期間は、当分の間、現行失業保険制度における場合と同様、被保険者であった期間のうち賃金支払基礎日数が一一日以上ある一暦月を一箇月として計算すること。

(3) 特例一時金の支給(第四〇条関係)

イ 短期雇用特例被保険者が失業した場合に支給する特例一時金は、五〇日分とすること。

ロ 特例一時金の支給を受けようとする短期雇用特例被保険者は、離職の日の翌日から起算して六箇月以内に公共職業安定所に出頭し、求職の申込みをした上、失業の認定を受けなければならないこと。

(4) 公共職業訓練等を受ける場合の特例措置(第四一条関係)

短期雇用特例被保険者が、公共職業安定所長の指示した公共職業訓練等を受ける場合には、特例一時金を支給せず、四の求職者給付を支給すること。

六 日雇労働被保険者の求職者給付

(1) 日雇労働被保険者(第四三条関係)

被保険者である日雇労働者であって、次のいずれかに該当するものであるもの又は任意加入の認可を受けたもの(以下「日雇労働被保険者」という。)に係る求職者給付は(2)によること。

イ 公共職業安定所の近隣の市町村等の区域(以下「適用区域」という。)に居住し、適用事業に雇用される者

ロ 適用区域外の地域に居住し、適用区域内にある適用事業に雇用される者

ハ 適用区域外の地域に居住し、適用区域外の地域にある適用事業であって、労働大臣が指定したものに雇用される者

(2) 日雇労働求職者給付金(第四五条から第五四条まで関係)

イ 支給要件

日雇労働被保険者に係る求職者給付(以下「日雇労働求職者給付金」という。)は、失業の日の属する月の前二月間に、印紙保険料が通算して二八日分以上納付されているときに、その失業の日について、支給すること。

ロ 給付の日額

日雇労働求職者給付金の日額は、次表中欄の要件により、次表下欄のとおりとすること。

等級

等級決定要件

給付金日額

第一級

前二月間の第一級印紙保険料の納付日数が二四日分以上の場合

二、七〇〇円

第二級

イ 前二月間の第一級印紙保険料又は第二級印紙保険料の納付日数が二四日分以上の場合

ロ 前二月間の給付された印紙保険料の平均額が第二級印紙保険料の日額以上の場合

一、七七〇円

第三級

その他の場合

一、一六〇円

ハ 給付の日額等の自動的変更

労働大臣は、日雇労働者の賃金水準の変動により、等級別の日雇労働求職者給付金の受給者数の構成比率が著しく不均衡となるに至った場合には、一定の方法により、日雇労働求職者給付金の日額等を変更することができること。

ニ 支給日数

(イ) 日雇労働者求職者給付金は、日雇労働被保険者が失業した日の属する月の前二月間の印紙保険料の納付日数に応じて一三日分から一七日分までの範囲で支給すること。

(ロ) 日雇労働求職者給付金は、各週における最初の不就労日については、支給しないこと。

ホ 日雇労働求職者給付金の特例

継続する六月間に印紙保険料が各月一一日分以上、かつ、通算して八四日分以上納付されており、その保険料に基づく日雇労働求職者給付金の支給を受けていない者は、引き続く四月の間に六〇日分を限度として日雇労働求職者給付金の支給を受けることができること。

ヘ 日雇労働求職者給付金の支給方法等

日雇労働求職者給付金の支給を受けようとする者は、原則として、公共職業安定所に出頭し、求職の申込みをした上、失業の認定を受けること。

ト 給付制限

日雇労働求職者給付金の支給を受けることができる者が、正当な理由なく公共職業安定所の紹介する業務に就くことを拒んだときは、その拒んだ日から起算して七日間、不正の行為により求職者給付又は就職促進給付の支給を受け、又は受けようとしたときは、その月及びその翌月から三月間、日雇労働求職者給付金を支給しないこと。

七 就職促進給付

(1) 就職促進給付の種類(第一〇条第四項関係)

就職促進給付は、常用就職支度金、移転費及び広域求職活動費とすること。

(2) 常用就職支度金(第五七条関係)

身体障害者その他の就職が困難な者として政令で定める受給資格者が安定した職業に就いた場合において、必要があると認められるときに、基本手当の日額(日雇受給資格者については、日雇労働求職者給付金の日額)の三〇日分を限度として常用就職支度金を支給すること。

ただし、前三年間に常用就職支度金を受給したことのある者については、支給しないこと。

(3) 移転費(第五八条関係)

受給資格者が公共職業安定所の紹介した職業に就くため、又は公共職業安定所長の指示した公共職業訓練等を受けるため、その住所又は居所を変更する場合において、必要があると認められるときに、移転費を支給すること。

(4) 広域求職活動費(第五九条関係)

受給資格者が公共職業安定所の紹介により広範囲の地域にわたる求職活動をする場合において、必要があると認められるときに、広域求職活動費を支給すること。

八 雇用改善事業、能力開発事業及び雇用福祉事業

(1) 雇用改善事業(第六二条関係)

政府は、被保険者及び被保険者であった者(以下「被保険者等」という。)に関し、雇用状態の是正、失業の予防その他雇用構造の改善を図るため、雇用改善事業として、次の事業を行うことができること。

イ 年齢別の雇用の改善

事業主に対して、定年の引上げの促進、高年齢者の雇入れの促進その他年齢別の雇用構造の改善を図るために必要な助成及び援助を行うこと。

ロ 地域的な雇用の改善

事業主に対して、雇用機会を増大させる必要がある地域への事業所の移転による雇用機会の増大、季節的に失業する者が多数居住する地域における通年雇用の促進その他地域的な雇用構造の改善を図るために必要な助成及び援助を行うこと。

ハ 産業間の雇用の不均衡の改善

事業主に対して、産業構造の変化等に伴い特定の産業から一時に多数発生した離職者の雇入れの促進その他産業間の雇用構造の改善を図るために必要な助成及び援助を行うこと。

ニ 経済変動に伴う雇用調整措置

事業主に対して、景気の変動、国際経済事情の急激な変化その他の経済上の理由により事業活動の縮小を余儀なくされた場合における失業を予防するために必要な助成及び援助を行うこと。

ホ その他雇用構造の改善を図るために必要な事業であって労働省令で定めるものを行うこと。

(2) 能力開発事業(第六三条関係)

イ 能力開発事業の内容

政府は、被保険者等に関し、職業生活の全期間を通じて、これらの者の能力を開発し、及び向上させることを促進するため、能力開発事業として、次の事業を行うことができること。

(イ) 事業主等の行う職業訓練の振興

職業訓練を行う事業主等及び職業訓練の推進のための活動を行う者に対して、助成及び援助を行い、並びに当該助成及び援助を行う都道府県に対して補助を行うこと。

(ロ) 被保険者等に対する公共職業訓練の充実

公共職業訓練施設の設置運営を行うこと及び公共職業訓練施設を設置運営する都道府県に対して補助を行うこと。

(ハ) 被保険者等の再就職促進のための講習等の実施

求職者及び退職予定者に対して職業講習及び職場適応訓練の実施を行うこと。

(ニ) 有給教育訓練休暇制度の助成及び援助

職業に関する教育訓練を受ける労働者に有給教育訓練休暇を与える事業主に対して、必要な助成及び援助を行うこと。

(ホ) 訓練等の受講の奨励

(ロ)及び(ハ)の職業訓練等の受講者に対して、当該職業訓練等の受講の奨励のために必要な給付金を支給し、及び有給で労働者に公共職業訓練を受けさせる事業主に対する助成を行うこと。

(ヘ) 技能評価の実施及び援助

技能検定の実施に要する経費を負担すること及び技能検定を行う団体に対して技能検定を促進するために必要な助成を行うこと。

(ト) その他労働者の能力の開発及び向上のための必要な事業であって労働省令で定めるものを行うこと。

ロ 能力開発事業の実施

公共職業訓練施設の一部の設置運営は、雇用促進事業団に行わせること。

(3) 雇用福祉事業(第六四条関係)

イ 雇用福祉事業の内容

政府は、被保険者等に関し、職業生活上の環境の整備改善、就職の援助その他これらの者の福祉の増進を図るため、雇用福祉事業として、次の事業を行うことができること。

(イ) 移転して就職する被保険者等のための宿舎の設置運営を行うこと。

(ロ) 労働者の就職、雇入れ、配置等について相談その他の援助を行うこと及び当該援助のための施設の設置運営を行うこと。

(ハ) 教養、文化、体育又はレクリエーションの施設その他の福祉施設の設置運営を行うこと。

(ニ) 求職者の就職のため、必要な資金の貸付け、身元保証その他必要な援助を行うこと。

(ホ) 職業に関する調査、研究及び資料の整備を行うこと。

(ヘ) その他被保険者等の福祉の増進を図るために必要な事業であって労働省令で定めるものを行うこと。

ロ 雇用福祉事業の実施

雇用福祉事業の全部又は一部の実施は、雇用促進事業団に行わせること。

(4) 員外利用(第六五条関係)

(1)から(3)までの事業又は当該事業に係る施設は、被保険者等の利用に支障がなく、かつ、その利益を害さない限り、これらの者以外の者に利用させることができること。

九 費用の負担

(1) 国庫の負担(第六六条及び第六七条関係)

イ 原則

国庫は、次の区分によって、求職者給付に要する費用の一部を負担すること。

(イ) 日雇労働求職者給付金以外の求職者給付については、当該求職者給付に要する費用の四分の一

(ロ) 日雇労働求職者給付金については、当該日雇労働求職者給付金に要する費用の三分の一

ロ 財政が赤字又は黒字に転じた場合の特例

(イ) 日雇労働被保険者以外の被保険者に係る求職者給付については、国庫は、毎会計年度において、支給した当該求職者給付の総額の四分の三に相当する額が、徴収した保険料のうち当該給付に充てるべき部分の額を超える場合には、当該超過額に応じ、当該会計年度において支給した当該求職者給付の総額の三分の一に相当する額に達する額までを負担すること。

(ロ) 日雇労働求職者給付金については、国庫は、毎会計年度において、徴収した日雇労働被保険者に係る保険料のうち当該給付に充てるべき部分の額が、支給した日雇労働求職者給付金の総額の三分の二に相当する額を超える場合には、当該超過額に応じ、国庫負担率を減じて当該会計年度において支給した当該日雇労働求職者給付金の総額の四分の一に相当する額に達する額までを負担すること。

ハ 広域延長給付が決定された場合には、イにかかわらず、国庫は、広域延長給付を受ける者に係る求職者給付の支給に要する費用の三分の一を負担すること。

ニ 国庫は、毎年度、予算の範囲内において、雇用保険事業の事務の執行に要する経費を負担すること。

(2) 保険料(第六八条関係)

イ 雇用保険事業に要する費用に充てるため政府が徴収する保険料については、徴収法の定めるところによること。

ロ 徴収した保険料のうち、一、〇〇〇分の一〇の率に応ずる部分の額は、失業給付に要する費用に充てるものとし、一、〇〇〇分の三の率に応ずる部分の額は、雇用改善事業、能力開発事業及び雇用福祉事業に要する費用に充てること。

一〇 その他(第六章から第八章まで関係)

以上に定めるほか、不服申立て及び訴訟、諮問機関、不利益取扱いの禁止、時効、報告その他の雑則、罰則等所要の規定を設けたこと。

一一 施行期日等(附則関係)

(1) この法律は、昭和五〇年四月一日から施行すること。ただし、(6)については、同年一月一日から施行すること。

(2) 失業保険法を廃止すること。

(3) 農林水産業であって、政令で定めるものは、当分の間、第二の一にかかわらず、任意適用事業とすること。

(4) 短期雇用特例被保険者期間の計算方法については、当分の間、賃金支払基礎日数が一一日以上ある一暦月を一箇月の被保険者期間として計算すること。

(5) 施行日の前後に継続して被保険者として雇用されていた短期雇用特例被保険者が離職した場合には、特例一時金を支給せず、一般の求職者給付金を支給するものとし、この場合の所定給付日数は、旧法の所定給付日数に関する規定が効力を有するものとした場合の日数とすること。

(6) 政府は、昭和五〇年一月一日からこの法律の施行日の前日までの間において、必要があるときは、失業保険の福祉施設として、八の(1)のニの経済変動に伴う雇用調整措置を実施できること。

(7) 雇用保険法の施行の際、現に失業保険法の規定による失業保険金の支給を受けている者についての経過措置その他所要の経過措置等を設けたこと。

Ⅲ 雇用保険法施行令の概要

一 都道府県知事に行わせる事務(第一条関係)

次に掲げる事務は、都道府県知事に行わせることとしたこと。

(1) 市町村その他これに準ずるものの事業に雇用される者について、雇用保険法(以下「法」という。)を適用しない旨の認定に関する事務

(2) 能力開発事業のうち、有給教育訓練休暇制度の助成及び職業訓練等の受講の奨励の事業の一部のものの実施に関する事務

二 公共職業訓練等の範囲(第二条関係)

公共職業訓練等は、公共職業訓練施設の行う職業訓練のほか、次のとおりとしたこと。

(1) 能力開発事業として行う職業講習及び職場適応訓練

(2) 炭鉱離職者に対して行う職業講習

(3) 身体障害者に対して行う適応訓練

(4) 中高年齢失業者等求職手帳の所持者に対して行う職場適応訓練

(5) 沖縄失業者求職手帳の所持者に対して行う職場適応訓練及び職業講習

三 個別延長給付の対象者及び支給日数(第三条関係)

(1) 個別延長給付の対象者

個別延長給付は、次に掲げる受給資格者であって、所定給付日数分の基本手当の支給終了後(他の延長給付が行われる場合には、当該延長給付の終了後)も引き続き職業指導その他再就職のために必要な援助を行う必要があると認められるもの(正当な理由なく、公共職業安定所の紹介する職業に就くこと、その指示した公共職業訓練等を受けること又は再就職の促進のために必要な職業指導を受けることを拒んだ者を除く。)について行うこととしたこと。

イ 中高年齢失業者等求職手帳の所持者

ロ 身体障害者及びこれに準ずる程度の身体上の欠陥がある者

ハ 労働省令で定める精神薄弱者

ニ 景気の変動等の経済的理由によりその雇用される事業の事業活動に支障が生じたことに伴い、離職を余儀なくされた者であって労働省令で定める者

ホ その他労働省令で定める就職が困難な者

(2) 個別延長給付の支給日数

個別延長給付により所定給付日数を超えて支給する基本手当は、六〇日分を限度としたこと。

四 訓練延長給付の対象となる公共職業訓練等の期間(第四条関係)

訓練延長給付の対象となる公共職業訓練等の期間は一年までとしたこと。ただし、身体障害者等が受講する場合は、二年までとしたこと。

五 広域延長給付の発動基準及び支給日数(第五条関係)

(1) 広域延長給付の発動基準

広域延長給付の措置は、広域職業紹介活動の命令に係る地域において、イの率がロの率の二倍以上となるに至り、かつ、その状態が継続すると認められるときに行うものとしたこと。

イ 当該地域における過去四月間の初回受給率

ロ 全国における過去五年間の初回受給率

(2) 広域延長給付の措置を行う近接地域の基準

広域延長給付の対象地域の近接地域(広域職業紹介活動の命令に係る地域に限る。)のうち、次のいずれにも、該当する地域については、広域延長給付の措置を行うものとしたこと。

イ 失業の状況が(1)の状態に準ずること。

ロ 他の地域における就職を希望する受給資格者であって、所定給付日数分の基本手当を受け終わるまでに就職することができないものが相当数生じると認められること。

(3) 広域延長給付の支給日数

広域延長給付により所定給付日数を超えて支給する基本手当は、九〇日分を限度としたこと。

六 全国延長給付の発動基準及び支給日数(第六条関係)

(1) 全国延長給付の発動の要件となる失業状況

全国延長給付の発動の要件となる失業状況は、次のいずれにも該当する場合としたこと。

イ 連続する四月の各月において、受給率が一〇〇分の四を超えること。

ロ 当該四月間において、初回受給率が低下する傾向になく、その状態が継続すると認められること。

(2) 全国延長給付の支給日数

全国延長給付により所定給付日数を超えて支給する基本手当は、九〇日分を限度としたこと。

七 全国延長給付に係る指定期間の延長の基準(第七条関係)

全国延長給付に係る指定期間が経過した後も六の(1)の基準に該当するときは、全国延長給付の措置を延長することができるものとしたこと。

八 延長給付に関する調整(第八条関係)

(1) 法第二八条第一項に規定する延長給付のうちいずれかの延長給付(甲延長給付)に引き続き他の延長給付(乙延長給付)を受ける場合

イ 受給期間は、離職の日の翌日から甲延長給付の最終日までの期間(甲延長給付の最終日が法第二〇条第一項の規定による受給期間(以下「本来の受給期間」という。)の満了日(以下「満了日」という。)以前であるときは、本来の受給期間)に、乙延長給付の延長日数を加えた期間としたこと。

ロ 基本手当を支給する日数は、乙延長給付の延長日数を限度としたこと。

(2) (1)の場合において、乙延長給付が行わないものとされた甲延長給付を乙延長給付が終わった後受けるとき。

イ 受給期間

(イ) 乙延長給付の最初の日が満了日以前である場合

離職の日の翌日から乙延長給付の最終日までの期間(乙延長給付の最終日が満了日以前であるときは、本来の受給期間)に、甲延長給付の延長日数を加えた期間としたこと。

(ロ) 乙延長給付の最初の日が満了日後である場合

離職の日の翌日から乙延長給付の最終日までの期間に、甲延長給付の最初の日(その日の満了日前であるときは、満了日)から乙延長給付の最初の日の前日までの日数を甲延長給付の延長日数から差し引いた日数を加えた期間としたこと。

ロ 基本手当の支給日数

甲延長給付の延長日数から既に甲延長給付の支給の対象となった日数を差し引いた日数を限度としたこと。

九 傷病手当と調整する給付(第九条関係)

傷病手当と支給を調整する給付は、健康保険法による傷病手当金、労働基準法による休業補償並びに労働者災害補償保険法による休業補償給付及び休業給付のほか、次の法令により、業務に従事することができず、傷病のため業務上の収入を得ることができないことを理由として支給されるものとしたこと。

(1) 船員保険法

(2) 国会議員の歳費、旅費及び手当等に関する法律、国会職員法、特別職の職員の給与等に関する法律、国家公務員災害補償法、裁判所職員臨時措置法、防衛庁職員給与法、国会議員の秘書の給料等に関する法律又は裁判官の災害補償に関する法律

(3) 地方公務員災害補償法又は同法に基づく条例

(4) 災害救助法、消防組織法、消防法、水防法又は災害対策基本法

(5) 警察官の職務に協力援助した者の災害給付に関する法律、海上保安官に協力援助した者等の災害給付に関する法律又は証人等の被害についての給付に関する法律

(6) 日雇労働者健康保険法

(7) 公共企業体職員等共済組合法、国家公務員共済組合法、私立学校職員共済組合法又は地方公務員等共済組合法

(8) 公立学校の学校医、学校歯科医及び学校薬剤師の公務災害補償に関する法律

(9) 国民健康保険法に基づく条例又は規約

一〇 特例受給資格者に関する公共職業訓練等の期間(第一〇条関係)

特例受給資格者が公共職業安定所長の指示により公共職業訓練等を受けることにより、一般の受給資格者とみなされる場合における当該公共職業訓練等の期間は、五〇日以上としたこと。

一一 常用就職支度金の支給対象者及び支給基準(第一一条関係)

(1) 支給対象者

常用就職支度金の支給対象者は、次のとおりとしたこと。

イ 身体障害者

ロ 労働省令で定める身体障害者

ハ 労働省令で定める年齢以上の受給資格者

ニ 労働省令で定める特例受給資格者

ホ 労働省令で定める日雇受給資格者

ヘ その他労働省令で定める理由により就職が困難な者

(2) 常用就職支度金の支給基準

常用就職支度金は、(1)の者が次の要件のいずれにも該当する場合に支給するものとしたこと。

イ 公共職業安定所の紹介により、一年以上雇用されることが確実と認められる安定した職業に就いたものであること。

ロ 離職前の事業主に雇用されたものでないこと。

ハ 待期及び給付制限期間の経過した後に職業に就いたこと。

ニ その他常用就職支度金を支給することが、その者の職業の安定に資すると認められること。

一二 公共職業訓練施設の設置運営を行う都道府県に対する補助(第一二条関係)

(1) 政府は、能力開発事業として、都道府県が設置する専修

職業訓練校又は高等職業訓練校に要する経費(向上訓練、再訓練並びに事業主の委託を受けて行う養成訓練及び能力再開発訓練に係る経費に限る。)から収入金を控除した額の二分の一について補助を行うものとしたこと。

(2) (1)の補助は、専修職業訓練校又は高等職業訓練校の設置又は運営が職業訓練基本計画に適合する場合に行うものとしたこと。

一三 経過措置等(附則関係)

(1) この政令は、雇用保険法の施行の日(昭和五〇年四月一日)から施行することとしたこと。

(2) 失業保険法施行令を廃止すること。

(3) 農林水産業のうち当分の間雇用保険の暫定任意適用事業とする事業は、常時五人以上の労働者を雇用する事業以外の事業(国、都道府県、市町村その他これらに準ずるものの事業及び法人である事業主の事業を除く。)としたこと。

(4) 広域延長給付及び全国延長給付の基準に係る初回受給率及び受給率の計算について、必要な経過措置を設けたこと。

(5) 失業の認定、施行日前の期間に係る失業保険の福祉施設給付金の支給並びに従前の例により支給する失業保険の保険給付及び福祉施設給付金の支給に要する費用の区分について、必要な経過措置を設けたこと。

 

第二 関係法律及び関係政令の一部改正関係

Ⅰ 雇用保険法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律の概要

一 職業安定法の一部改正(第三条関係)

雇用保険法の施行に伴い、政府の行う業務及び公共職業安定所の設置に関し、「失業保険法」を「雇用保険法」に改める等字句の整備を行ったこと。

二 国家公務員等退職手当法の一部改正(第一四条及び第一五条関係)

(1) 雇用保険法の施行による給付内容の改善、整備に伴い、国家公務員等退職手当法の規定による失業者の退職手当の内容について同様の改善、整備を行うほか、同法の規定について所要の整備等を行ったこと。

(2) この法律の施行の際現に改正前の国家公務員等退職手当法の規定により退職手当の支給を受けることができる者についての経過措置その他所要の経過措置を設けたこと。

三 労働保険審査官及び労働保険審査会法の一部改正(第一六条及び第一七条関係)

(1) 雇用保険法の施行に伴い、「失業保険審査官」を「雇用保険審査官」に改める等所要の整備を行ったこと。

(2) 雇用保険審査官及び労働保険審査会について、旧失業保険法の規定による処分に対する審査請求及び再審査請求の事件を取り扱うことができること等(1)の改正に伴う所要の経過措置を設けたこと。

四 炭鉱離職者臨時措置法の一部改正(第一八条及び第一九条関係)

(1) 雇用保険法の施行による給付内容の改善、整備に伴い、炭鉱離職者臨時措置法の規定による就職促進手当の内容について同様の改善、整備を行うほか、同法の規定について所要の整備を行ったこと。

(2) 施行日前に炭鉱離職者求職手帳の発給の申請をした者に係る就職促進手当の日額についての経過措置その他所要の経過措置を設けたこと。

五 職業訓練法の一部改正(第二八条及び第二九条関係)

職業訓練法について次の改正を行ったこと。

(1) 養成訓練の訓練課程の拡充

養成訓練の訓練課程として、現行の専修訓練課程及び高等訓練課程のほか、新たに高度な技能を有する労働者の養成を目的とする特別高等訓練課程を設けること。

(2) 公共職業訓練施設の拡充

イ 公共職業訓練施設として、現行の専修職業訓練校、高等職業訓練校、職業訓練大学校及び身体障害者職業訓練校のほか、新たに職業訓練短期大学校及び技能開発センターを設けること。

ロ 職業訓練短期大学校の業務は、特別高等訓練課程の養成訓練、向上訓練、能力再開発訓練、再訓練等を行うこと。

ハ 技能開発センターの業務は、向上訓練、能力再開発訓練、再訓練、公共職業訓練施設以外のものの行う職業訓練についての援助等を行うこと。

ニ 職業訓練短期大学校及び技能開発センターは、雇用促進事業団が設置するほか、労働大臣の認可を受けて都道府県が設置することができること。

(3) その他所要の整備を行うこと。

(1)の改正に伴う所要の経過措置を設けること。

六 徴収法の一部改正(第三〇条及び第三一条関係)

(1) 徴収法の一部改正

雇用保険法の施行に伴い、徴収法について次の改正を行ったこと。

イ 雇用保険の保険料率

雇用保険の保険料率は、現行の失業保険の保険料率と同様、一、〇〇〇分の一三とすること。

ロ 雇用保険の保険料の事業主及び被保険者による負担区分

事業主は、賃金総額の一、〇〇〇分の八に相当する額を、被保険者は、賃金総額の一、〇〇〇分の五に相当する額をそれぞれ負担すること。

ハ 短期雇用特例被保険者を多数雇用する産業に関する保険料率等の特例

農林水産業、建設業、清酒製造業等の短期雇用特例被保険者を多数雇用する産業に係る保険料率は、一、〇〇〇分の一五とし、事業主は賃金総額の一、〇〇〇分の九に相当する額を、被保険者は賃金総額の一、〇〇〇分の六に相当する額をそれぞれ負担すること。

ニ 日雇労働被保険者に関する保険料の特例

日雇労働被保険者に関し一般保険料のほかに徴収する印紙保険料については、給付の三段階制の採用に対応して、次のような三段階の日額とすること。

等級

賃金区分日額

印紙保険料日額

第一級

三、五四〇円以上

六三円

第二級

二、三二〇円以上三、五四〇円未満

四一円

第三級

二、三二〇円未満

二七円

ホ 高年齢労働者に関する保険料の特例

一定年齢以上の高年齢労働者に関しては、政令で定めるところにより、雇用保険の保険料の納付及び負担を免ずること。

ヘ その他所要の整備を行ったこと。

(2) この法律の施行前の期間に係る労働保険料等についての経過措置その他所要の経過措置を定めること。

七 失業保険法及び労働者災害補償保険法の一部を改正する法律及び労働保険の保険料の徴収等に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律の一部改正(第三二条関係)

雇用保険法の施行に伴い、所要の整備を行うとともに、労働保険事務組合に対する報奨金の交付に関する権限について、政令で定めるところにより、その一部を都道府県知事に委任することができることとしたこと。

八 労働保険特別会計法の一部改正(第三三条及び第三四条関係)

(1) 雇用保険法の施行に伴い、「失業勘定」を「雇用勘定」に改める等所要の整備を行ったこと。

(2) その支給についてなお従前の例によることとされる失業保険の保険給付等に要する費用は労働保険特別会計の雇用勘定の歳出とする等(1)の改正に伴う所要の経過措置を設けたこと。

九 その他の法律の一部改正(第一条、第二条、第四条から第一三条まで、第二〇条から第二七条まで、第三五条及び第三六条関係)

(1) 船員保険法について、雇用保険法同様の給付内容の改善、整備を行うために所要の改正を行ったほか、雇用保険法の施行に伴い、地方財政法、印紙をもってする歳入金納付に関する法律、日本専売公社法、日本国有鉄道法、郵政事業特別会計法、労働省設置法、国等の債権債務等の金額の端数計算に関する法律、地方税法、国有財産特別措置法、日本電信電話公社法、雇用促進事業団法、激甚災害に対処するための特別の財政援助等に関する法律、所得税法、港湾労働法、印紙税法、社会保険労務士法及び沖縄の復帰に伴う特別措置に関する法律について、所要の整備を行ったこと。

(2) (1)の改正に伴う所要の経過措置を設けたこと。

一〇 その他の経過措置(第三七条及び第三八条関係)

(1) この法律に規定するもののほか、この法律の施行に関し必要な経過措置は、政令で定めること。

(2) この法律の施行の日前にした行為及びこの法律の規定により従前の例によることとされる事項に関するこの法律の施行の日以後にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例によること。

一一 施行期日(附則関係)

この法律は、雇用保険法の施行の日(昭和五〇年四月一日)から施行することとしたこと。

Ⅱ 雇用保険法の施行に伴う関係政令の整備等に関する政令の概要

一 関係政令の一部改正

(1) 地方自治法施行規程の一部改正(第一条関係)

雇用保険法の施行に伴い、地方事務官の行う事務について、所要の整備を行ったこと。

(2) 労働省組織令の一部改正(第三条関係)

雇用保険法の施行に伴い、「失業保険課」を「雇用保険課」に改めること、職業安定局雇用政策課の所掌事務の範囲について整備を行うこと等所要の整備を行ったこと。

(3) 国家公務員等退職手当法施行令の一部改正(第五条関係)

国家公務員等退職手当法の一部改正に伴い、常用就職支度金、移転費及び広域求職活動費に相当する退職手当の支給に関する規定を設ける等所要の整備を行ったこと。

(4) 労働保険審査官及び労働保険審査会法施行令の一部改正(第七条及び第八条関係)

イ 雇用保険法の施行に伴い、「失業保険審査官」を「雇用保険審査官」に改める等所要の整備を行ったこと。

ロ 関係労働者又は関係事業主を代表する者の任期についての経過措置その他イに伴う経過措置を設けたこと。

(5) 駐留軍関係離職者等臨時措置法施行令の一部改正(第九条及び第一〇条関係)

イ 雇用保険法の施行による給付内容の改善、整備に伴い、駐留軍関係離職者等臨時措置法施行令の規定による就職促進手当の内容について同様の改善及び整備を行うほか、同施行令の規定について所要の整備を行ったこと。

ロ 施行日前に駐留軍関係離職者等臨時措置法第一〇条の二第一項又は第二項の規定による認定を受けた者に係る就職促進手当の日額についての経過措置その他所要の経過措置を設けたこと。

(6) 炭鉱離職者臨時措置法施行令の一部改正(第一三条関係)

就職促進手当の日額の算定の基礎となる賃金日額の範囲を三、八七五円未満と定めたこと。

(7) 港湾労働法施行令の一部改正(第一四条及び第一五条関係)

イ 雇用保険法の施行により日雇労働被保険者に係る印紙保険料の額が三段階制になったことに伴う整備その他所要の整備を行ったこと。

ロ 施行日前に登録日雇港湾労働者として就労した者について、その日に係る納付金について経過措置を設けたこと。

(8) 雇用対策法施行令の一部改正(第一六条及び第一七条関係)

イ 職業転換給付金のうち、帰省旅費、労働者住宅確保奨励金及び繊維工業事業転換離職者雇用奨励金を廃止したこと。

ロ 施行日の前日において労働者住宅確保奨励金又は繊維工業事業転換離職者雇用奨励金の支給を受けることができる事業主に対しては、その支給が終了するまでの間、従前同様の給付を行う等イに伴う所要の経過措置を設けたこと。

(9) 労働保険の保険料の徴収等に関する法律施行令の一部改正(第一九条関係)

高年齢者の保険料の免除は、短期雇用特例被保険者及び日雇労働被保険者以外の被保険者について行うことその他所要の整備を行ったこと。

(10) 失業保険法及び労働者災害補償保険法の一部を改正する法律及び労働保険の保険料の徴収等に関する法律の施行に伴う関係政令の整備等に関する政令の一部改正(第二〇条関係)

労災保険の暫定任意適用事業は、農林水産業(都道府県等の事業、法人である事業主の事業及び業務災害の発生のおそれが多いものとして労働大臣が定める事業を除く。)であって、常時五人以上の労働者を使用する事業以外の事業としたこと。

(11) 労働保険特別会計法施行令の一部改正(第二一条及び第二二条関係)

イ 雇用保険法の施行に伴い、「失業勘定」を「雇用勘定」に改める等所要の整備を行ったこと。

ロ イによる改正後の労働保険特別会計法施行令の規定は、昭和五〇年度の予算から適用することとしたこと。

(12) 沖縄の復帰に伴う労働省関係法令の適用の特別措置等に関する政令の一部改正(第二三条及び第二四条関係)

イ 雇用保険法の施行に伴い所要の整備を行ったこと。

ロ 昭和五〇年三月及び四月に専ら沖縄における適用事業に雇用されていた日雇労働被保険者については、同年四月中に第一級印紙保険料が一〇日以上納付された場合には、第一級の日雇労働求職者給付金を支給することとしたこと。

(13) 沖縄振興開発特別措置法施行令の一部改正(第二六条及び第二七条関係)

駐留軍関係離職者等臨時措置法施行令の一部改正((4)参照)と同様の改正を行ったこと。

(14) 労働保険事務組合に対する報奨金に関する政令の一部改正(第二八条関係)

報奨金の交付に関する権限(労災保険に係る保険関係が成立している事業のうち二元適用事業及び一人親方等の団体のみの委託を受けている労働保険事務組合に係る権限を除く。)は、都道府県知事に委任することとしたこと。

(15) その他の政令の一部改正(第二条、第四条、第六条、第一一条、第一二条、第一八条、第二五条、第二九条及び第三〇条関係)

地方税法施行令、建設省組織令、国有資産等所在市町村交付金及び納付金に関する法律施行令、雇用促進事業団法施行令、激甚災害に対処するための特別の財政援助等に関する法律施行令、繊維業離職者に係る職業転換給付金の臨時特例に関する政令、沖縄の復帰に伴う国家公務員等退職手当法の適用の特別措置等に関する政令、港湾運送事業離職者に係る職業転換給付金の臨時特例に関する政令及び公害健康被害補償法施行令について、字句の整理及び所要の整備を行ったこと。

二 関係法律の一部改正に伴う経過措置(第三一条から第三五条まで関係)

印紙をもってする歳入金納付に関する法律等、国家公務員退職手当法、炭鉱離職者臨時措置法、徴収法及び労働保険特別会計法の一部改正に伴い、所要の経過措置を設けたこと。

三 施行期日(附則関係)

この政令は、雇用保険法の施行の日(昭和五〇年四月一日)から施行することとしたこと。