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通達:雇用対策法及び雇用促進事業団法の一部を改正する法律の施行について

 

雇用対策法及び雇用促進事業団法の一部を改正する法律の施行について

昭和48年10月1日訓発第279号・職発第380号

(各都道府県知事あて労働省職業安定局長、労働省職業訓練局長通達)

 

雇用対策法及び雇用促進事業団法の一部を改正する法律(昭和四八年法律第一〇七号。以下「法」という。)の施行については、昭和四八年一〇月一日付け労働省発職第一四九号をもつて労働事務次官から貴職あて通達されたところであるが、改正法の施行にあたつては、同通達によるほか、下記事項に御留意のうえ、その運用に遺憾のないよう特段の御配慮をお願いする。

 

第一 高年齢者の職業の安定を図るための施策の充実

一 定年の引上げの促進

今後五年間程度の間に六〇歳定年が一般化することを目標として定年の引上げに関する労使当事者の自主的努力を助長し、定年の引上げを促進するため、職業安定機関としては、次の措置を講ずること。

(一) 定年の引上げに関する広報及び指導援助

イ 広報に関しては、都道府県又は市町村の広報誌紙を活用し、又は報道機関の協力を得て、定年の引上げの必要性について広報活動を行い、労使関係者、報道機関関係者、一般住民の理解を深めること。

ロ 指導援助に関しては、次によること。

(イ) 地方労働問題懇話会、事業主に対する求人説明会等の場を利用して、定年の引上げの必要性及び進め方について、労使関係者の理解を深めるとともにコンセンサスの形成を図ること。

(ロ) 労使関係者から定年の引上げに関して相談を受けた場合には、資料その他の情報の提供等により指導援助を行うこと(雇用対策法(昭和四一年法律第一三二号。以下「法」という。)第二〇条の二参照)

ハ 上記業務の推進にあたつては、労働者福祉対策連絡協議会の場の活用等により、内部部局及び都道府県労働基準局との連携を密にし、相互協力のもとに効果的に実施されるように特に配慮すること。

(二) 定年延長奨励金の支給

本年度から、定年の引上げを促進するための具体的施策の一つとして定年の引上げを実施した中小企業の事業主に対し、別紙一「定年延長奨励金支給要領」の定めるところにより、定年延長奨励金を支給することとしているので中小企業の事業主に対し、この制度の趣旨及び内容の周知を図り、その効果的な運用に努めること。

二 定年に達する労働者の再就職等の促進

(一) 再就職援助計画

イ 再就職援助計画の記載事項

(イ) 定年に達する労働者の再就職の援助等に関する計画(以下「再就職援助計画」という。)においては、六〇歳未満の年齢を定年とされている労働者であつて、再就職援助計画の作成の日が属する年度(四月一日から翌年三月三一日までの期間をいう。以下同じ。)の翌翌年度中に当該定年に達するもの(以下「援助計画対象者」という。)の総数を記載するとともに、援助計画対象者について事業主が講じようとする再就職の援助等に関する措置の種類及び当該措置の種類別の援助計画対象者の数を記載することとされている(雇用対策法施行規則(昭和四一年労働省令第二三号。以下「則」という。)第七条の三第一項第一号及び第二号)が、「事業主が講じようとする再就職の援助等に関する措置の種類」については、次の区分によること。

① 勤務延長(定年に達しても直ちに退職させることなく個別審査の上退職時期を延期する措置をいう。)

② 再雇用(定年に達した者を一応退職させた上再び雇用する措置をいう。)

③ 密接な資本関係又は取引関係のある企業(以下「関連企業」という。)等への再就職のための援助(求人の開拓、求人に関する情報の収集・提供等)

④ 公共職業安定所、公共の職業訓練機関等の行う定年に達する労働者の再就職を促進するための措置(職業紹介、職業指導、定年退職前職業講習・職業訓練(後記(四)の職業講習・職業訓練をいう。以下同じ。)等の措置をいう。以下「再就職促進措置」という。)を受けることについての便宜の供与等の援助

この区分は、事業主の自主的努力のみによつて講じ得る措置の種類として①~③の措置を掲げ、事業主の自主的努力のみによつては対処し得ず再就職促進措置が必要である者について事業主が講ずる措置として④の措置を掲げたものであること(ただし、③の措置を補完するため、定年退職前職業講習・職業訓練は、③の措置の対象者についても実施することとしていること。)

なお、援助計画対象者の中には、自己の努力による自営業の開始若しくは再就職又は職業生活からの引退により再就職の援助等に関する措置の不要な者も存在することがあり得るが、これらの者についてもその数を記載するものとすること。

(ロ) 援助計画対象者のうち、公共職業安定所、公共の職業訓練機関等の行う定年に達する労働者の再就職を促進するための措置を受けることが必要であると認められるもの(前記(イ)の③の措置の対象者のうち定年退職前職業講習・職業訓練を受講する者及び④の措置の対象者をいう。)については、その氏名、性別、年齢、職種、離職することとなる日及びその者について事業主が講じようとする再就職の援助に関する措置の内容について記載することとされている(則第七条の三第一項第三号)が、これは、公共職業安定所が再就職促進措置の対象者についてその特性をは握するとともに、事業主にその者について再就職の援助に関する措置(再就職促進措置を受けることについての便宜の供与、再就職促進措置の実施に関する協力等)を講じさせることにより、再就職促進措置の円滑な実施を図ろうとするものであること。

なお、事業主の措置の内容の記載は、「定年退職前職業講習・職業訓練受講中についての便宜を図る等できるかぎり具体的に行うものとすること。

(ハ) 再就職援助計画には(イ)及び(ロ)に掲げる事項のほか、定年退職後の就業希望職種、公共職業安定所の職業紹介を受けることについての希望の有無及び定年退職前職業講習・職業訓練を受けることについての希望の有無についても記載するものとすること。また、定年退職前職業講習・職業訓練を受ける希望を有する者については、さらに希望の具体的内容を後記ニの再就職の援助等に関する計画書(別記様式第二)に付表「定年退職前職業講習・職業訓練受講希望者一覧表」を添付すること。ただし、本年度及び昭和四九年度に定年に達する労働者のうち、昭和四八年八月三一日付け職発第三三九号・訓発第二二七号「定年退職前職業講習・職業訓練制度の実施について」の記の四の(一)により提出される「定年退職前職業講習・職業訓練受講希望者一覧表」に記載される者に関しては、この限りでないこと。

ロ 再就職援助計画の作成を要請することができる場合

(イ) 公共職業安定所長が事業主に対して再就職援助計画の作成を要請することができる場合は、

① 当該事業主の事業所が六〇歳未満の年齢を定年としている事業所であつて、当該年齢を定年とされている労働者を常時一〇〇人以上使用するものであるとき。

② 当該事業主の事業所が六〇歳未満の年齢を定年としている事業所であつて、一の年度中に当該定年に達する労働者を相当数使用するものであるとき①に該当する場合を除く。)のいずれかとされている(則第七条の二)が、②の場合の「一の年度」とは、再就職援助計画の対象となる者が則第七条の三第一項において再就職援助計画の作成の日が属する年度の翌翌年度中に当該定年に達する労働者とされていることからみて、再就職援助計画の作成に係る年度の翌翌年度(ただし、雇用対策法施行規則の一部を改正する省令(昭和四八年労働省令第二八号。以下「改正省令」という。)附則第二項の規定により、作成に係る年度が本年度であるときは、本年度及び昭和四九年度も含まれること。)を、「相当数」とは、五人程度を意味するものであること。

なお、再就職援助計画の作成を要請することができる場合が事業所単位で規定されることにかんがみ、再就職援助計画の作成も事業所単位で行うものであること。

(ロ) 再就職援助計画の作成を要請することができる場合のは握については、公共職業安定所では握している情報を活用するほか、事業主団体、労働組合の連合体、労働基準監督署等の協力を得るものとすること。

ハ 再就職援助計画の作成の要請

(イ) 再就職援助計画の作成の要請は、書面(別記様式第一)により行うこととし、「再就職の援助等に関する計画書」(別記様式第二)を添付するものとすること。

この場合において、上記ロの(イ)の①の場合に該当するときの要請については、毎年度行う必要はなく、将来にわたる計画の作成を一度の要請で行い得るので、将来にわたる計画の作成の要請である旨を明示(別記様式第二の注意を参照のこと)して要請を行うものとすること。

また、上記ロの(イ)の②の場合に該当するときの要請については該当する都度行うものであること。

(ロ) 再就職援助計画の作成の要請は、事業主団体の協力を得て再就職援助計画制度に関する説明会等を開催し併せてその場で行う等、その他の方法をとるものとすること。

ニ 再就職援助計画を作成すべき期限等

(イ) 再就職援助計画を作成すべき期限については、要請の際作成すべき期限を指定するものとされている(則第七条の二)が、四月からの職業訓練校への入校の便宜、事務処理期間等を考慮して原則として、毎年一月末日までに作成するよう要請するものとすること。

なお、経過措置として、本年度及び昭和四九年度に定年に達する労働者についても再就職援助計画の作成ができることとされている(改正省令附則第二項)ので、本年度(昭和四九年二月及び三月に限る。)及び昭和四九年度に定年に達する労働者についても、明年一月末までに再就職援助計画を作成するよう要請するものとすること。この場合、再就職援助計画は、年度別に作成するものとするが、それぞれの計画に共通する事項の記載は、一の年度に係る計画に記載すれば足りるものであること。

(ロ) 援助計画対象者等の意向の尊重のため、事業主が再就職援助計画を作成するにあたつては、援助計画対象者及びその者が加入している労働組合の意見をきくものとされている(則第七条の三第二項)が、これについては再就職援助計画中に意見をきいた旨の記載をさせることとしていること。

(二) 再就職援助担当者

イ 再就職援助担当者の業務については、次によること。

(イ) 援助計画対象者に係る求人の開拓及び援助計画対象者に係る求人に関する情報の収集並びにこれらによつて得た求人に関する情報の援助計画対象者に対する提供(則第七条の五第一項第一号)については、再就職援助担当者を選任した企業に関連企業がある場合には、積極的に、当該企業について求人の開拓又は求人に関する情報の収集を行うとともに、これらによつて得た求人に関する情報を援助計画対象者に提供すべきものであること。

なお、関連企業以外の企業について求人に関する情報を得たときも、援助計画対象者に提供するものとすること。

(ロ) 援助計画対象者に対する再就職を容易にするため必要な相談(則第七条の五第一項第二号)の内容としては、再就職に関する相談、定年退職前職業講習・職業訓練の受講の便宜供与に関する相談等があること。

(ハ) 援助計画対象者に係る公共職業安定所、公共職業訓練機関等との連絡(則第七条の五第一項第三号)の内容としては、援助計画対象者の特性を十分把握している事業主側の窓口として、再就職援助計画の内容の変更等の場合の公共職業安定所への連絡、公共職業安定所との求人に関する情報の交換、公共職業安定所からの照会に対する回答等があること。

(ニ) (イ)~(ハ)に掲げる業務のほか、援助計画対象者の再就職の援助のために必要な業務(則第七条の五第一項第四号)の内容としては、その事業所において再雇用するために行う事業内訓練の実施等があること。

ロ 再就職援助担当者は、その業務だけを行う者を新たに選任する必要はないが、人事課長、労務課長等人事に関する責任者をあてることが適当であること。

ハ 事業主は、再就職援助担当者に、援助計画対象者及びその者が加入している労働組合の意見をきいて、その業務を行わせるべきものとされている(則第七条の五第二項)ので、事業主に周知を図ること。

(三) 再就職援助計画に関する援助

イ 再就職援助計画は、定年に達する労働者の再就職等の援助についての事業主の自主的努力を促すとともに国と事業主との間の協力体制を強化しようとするものであるので、事業主の計画実施の努力に対しては、公共職業安定所長としても積極的に援助を行うものとすること。

ロ 公共職業安定所長は、再就職援助計画を提出した事業主に対して、当該計画の円滑な実施のため必要な助言その他の援助を行うものとされている(法第二〇条の三第四項)が、その他の援助としては、求人情報の提供、定年退職前職業講習・職業訓練の実施に関する情報の提供、再就職援助担当者会議の開催等があること。

ハ 事業主による定年に達する労働者の再就職の援助等についての自主的努力を促すため、公共職業安定所は、再就職援助計画の実施の場合に限らず、その作成の過程においても相談に応ずるほか、積極的に助言、援助に努めること。

(四) 国の行う再就職促進措置

定年に達する労働者について、本年度から、定年に達する前に職業講習及び職業訓練を実施するとともに、当該職業講習又は職業訓練を受講する労働者に対しては受講給付金を支給することとしているが、これについては、別紙二「定年退職前職業講習・職業訓練実施要領」の定めるところによるものとすること。

なお、この制度の趣旨及び内容の周知を図り、その効果的な運用に努めること。

三 業務処理体制

以上の一及び二の対策の関係の業務処理については、別紙三によることとするので、業務処理体制の整備に努めること。

 

第二 大量の雇用変動の場合の届出又は通知

大量の雇用変動の場合の届出等については、昭和四二年一月一三日付け職発第二二号をもつて貴職あて通達したところであるが、このたび離職に係る大量の雇用変動の場合には届出又は通知を大量の雇用変動の前に行うべきこととされたことに伴い以下のとおりの取扱いとなるので留意されたいこと。

一 離職に係る大量の雇用変動の定義

(一) 則第八条第二項の改正により、試の使用期間中の者(同一の事業主に一四日をこえて引き続き雇用されるに至つた者を除く。)及び天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となつたことにより離職する者を除くこととしたのは、届出又は通知を大量の雇用変動の前に行うべきこととされたことに伴い、労働基準法(昭和二二年法律第四九号)第二〇条の解雇予告制度の場合との均衡を考慮したものであること。

イ 「試の使用期間中の者」とは、本採用決定前の試験的使用期間中の労働者であつて、その期間中に勤務態度、能力、技能、性格等をみて正式に採用するか否かが決定される労働者をいうこと。したがつて、見習工等と称しても本採用決定前の過渡的なものでなく、一種の企業内における身分制度である場合には、試の使用期間中の者には該当しないこと。

ロ 「天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となつたことにより離職する者」

(イ) 「やむを得ない事由」とは、天災事変に準ずる程度に不可抗力に基づきかつ、突発的な事由の意であり、事業の経営者として社会通念上採るべき必要な措置を以てしても通常如何ともなし難い場合をいうものであること。

すなわち、事業所が火災にかかり焼失した場合(事業主の故意又は重大な過失による場合を除く)、法令の施行又は改廃等によつて公布後猶予期間なしに事業の廃止が命ぜられた場合等をいうものであること。

(ロ) 「事業の継続が不可能となる」とは、事業の全部又は大部分の継続が不可能となる場合をいうものであり、例えば事業所の中心となる主要な建物、設備、機械等が焼失を免れ多少の労働者を解雇すれば従来通り操業し得る場合、従来の事業は廃止するが多少の労働者を解雇すれはそのまま別個の事業に転換しうる場合の如く事業がなおその主たる部分を保持して継続しうる場合又は一時的に操業中止のやむなきに至つたが、事業の現況、資材、資金の見通し等から全労働者を解雇する必要に迫られず、近く再開復旧の見込が明らかである場合は含まれないものであること。

なお、事業所そのものが直接天災事変の影響を受けない場合にあつても、その事業所が属する企業の本社及び工場の大部分が天災事変により被害を受け企業全体として再建資金に行きづまりを来し、解散するため、被災事業所も事業の継続が不可能となつた場合は含まれること。

(二) 則第八条第二項の改正により、炭鉱離職者臨時措置法(昭和三四年法律第一九九号)第二条第一項の炭鉱労働者として雇用されていた者及び港湾労働法(昭和四〇年法律第二〇号)第二条第六号の常用港湾労働者として雇用されている者を大量の雇用量の変動を構成する離職者の範囲から除かないこととしたのは、炭鉱離職者臨時措置法及び港湾労働法においては、離職の状況についての事後の報告制度はとられているが、事前の届出制度がとられていないことによるものであること。

(三) 則第八条第二項の改正により、「離職の際に労働者として雇用される意思を有する者」以外の者を離職に係る大量の雇用変動を構成する者の範囲から除外しないこととしたのは、このような意思の有無を事前に判定することは困難であるので、そのような意思の有無を問わないこととしたものであること。

(四) (一)及び(二)に記述したことのほか、則第八条第二項について若干の改正を行つているが。これは離職に係る大量の雇用変動の届出又は通知を大量の雇用変動の前に行うべきこととされたことに伴い、所要の字句修正を行つているにすぎないこと。

二 離職に係る大量の雇用変動の届出又は通知の期限

(一) 届出又は通知を行うべき時期は、大量の雇用変動に係る離職がある日(その変動に係る離職の全部が同一の日に生じない場合にあつては、その変動に係る最後の離職が生じる日)の少なくとも一月前とされている(雇用対策法施行令第四条、則第九条)が、これは、同一の日における離職者の発生のみで、則第八条第二項に規定する大量の雇用変動の要件に該当する場合には、その離職者の発生の日の少なくとも一月前に、同一の日における離職者の発生のみでは当該大量の雇用変動の要件には該当せず、複数の日において発生する離職者の数を合計してはじめて当該大量の雇用変動の要件に該当する場合には、その最後の離職者の発生の日の少なくとも一月前に行うべきことを定めたものであること。

なお、「少なくとも一月前に」とは、大量の雇用変動がある日の属する月の前月における当該大量の雇用変動がある日の応当日(応当日がない場合には、その月の末日)の少なくとも前日までにということを意味するものであること。

また、その日が日曜日又は祭日のときは、その翌日までさしつかえないこと。

三 離職に係る大量の雇用変動の場合の届出又は通知の様式

届出又は通知を大量の雇用変動の前に行うべきこととされたことに伴い、大量離職届及び大量離職通知書の様式及び注意が改められ、それぞれ別記様式第三および別記様式第四のようになつたこと。

四 経過措置

(一) 大量の雇用変動の場合の届出又は通知に係る規定は、雇用対策法及び雇用促進事業団法の一部を改正する法律の施行の日から起算して六月を経過した日(昭和四九年四月一日。以下「施行日」という。)から施行することとされている(雇用対策法及び雇用促進事業団法の一部を改正する法律(以下「改正法」という。)附則第一項)が、これは施行日までの間改正後の制度の周知徹底を図るための措置であること。

(二) 大量の雇用変動の場合の届出又は通知に係る規定は、大量の雇用変動に係る離職の全部が施行日以後であるものについて適用し、離職の全部又は一部が施行日前であるものについては、なお従前の例によることとされている(改正法附則第二項)が、従前の例によるとは、大量の雇用変動があつた日の翌日から起算して一〇日以内の届出又は通知をいうものであること。大量の雇用変動に係る離職の全部が施行日前であるものについて従前の例によることとすることは当然のことであるが、大量の雇用変動に係る離職の一部が施行日前であるものについても、同様に、なお従前の例によることとしたものであること。

(三) 届出又は通知を行うべき一月前の日が施行日前であるときは、届出又は通知は、施行日に行うべきこととされている(雇用対策法施行令の一部を改正する政令附則第二項、改正省令附則第四項)が、これは、届出又は通知を大量の雇用変動の前に行うべきこととなるのは施行日以後であるため、届出又は通知を行うべき一月前の日が施行日前であるときは届出又は通知をその日に行い得ないことによるものであること。

(四) 改正前の則第八条第二項の規定に該当する離職者は、改正後の同項の規定の適用については、改正後の同項の規定に該当する離職者とみなすこととされている(改正省令附則第三項)が、これは、この規定をおかないと則第八条第二項の改正によつて施行日前と施行日以後で大量の雇用変動を構成する離職者の範囲が異なることとなるため、施行日以後改正前の則第八条第二項の規定に該当する離職者の数を大量の雇用変動を構成する離職者の数に含めることができなくなることによるものであること。

五 届出又は通知を受理した後の措置

離職に係る大量の雇用変動の場合の届出又は通知を受けたときは、広範囲にわたる職業紹介等の措置にとどまらず、必要な場合には、職業訓練の受講をあつせんするものとすること。

本年度から離職に係る大量の雇用変動の場合の届出又は通知に係る労働者のうち一定の要件に該当するものが職業訓練を受講する場合には、受講給付金を支給することとしているが、その細目については、別途通達すること。

六 事前届出または通知制度の周知

大量の雇用変動の届出をせず、または偽りの届出をした者については、法第二四条の罰則の規定の適用があるので、改正後の制度について事業主及び任命権者に対する周知の徹底に努められたいこと。

 

第三 心身障害者の職業の安定を図るための施策の充実

心身障害者を多数雇用する事業所(いわゆるモデル工場)の事業主に対して、当該事業所の事業の用に供する施設又は設備の設置又は整備に要する資金の貸付けを行う制度の運用の細目については、別途通達することとするが、その概要は次のとおりとする予定であるので了知されたいこと。

一 貸付条件

(一) 貸付対象

従業員のうち心身障害者を常時五〇%以上かつ一〇人以上雇用する中小企業の事業主の事業所の施設又は設備の設置又は整備に要する資金

(二) 貸付額

貸付対象の八〇%以内の額とし、その限度は、一五〇、〇〇〇、〇〇〇円とする。ただし、労働大臣が承認するものについての限度額は二〇〇、〇〇〇、〇〇〇円とする。

(三) 利率

心身障害者の雇用にかかる施設又は設備 年四・六%

その他の施設又は設備 年六・五%

(四) 償還期間

資金の種類

貸付対象施設

償還期間

備考

施設

労働者住宅

三五年以内

耐火構造の場合

労働者住宅以外

二〇年以内(三年以内のすえ置き期間を含む。)

耐火構造の場合

設備

七年以内(一年以内のすえ置き期間を含む。)

二 都道府県職業安定主務課及び公共職業安定所の業務

モデル工場に対する資金の貸付業務は雇用促進事業団が行うものであるが、都道府県職業安定主務課及び公共職業安定所が協力する業務としては、雇用促進事業団への借入申請書提出前における借受希望事業所に対する職業安定局業務指導課への事業計画書の提出指導、借受希望事業所の心身障害者雇用状況の証明等があること。