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職業安定行政における雇用情報業務の推進について
昭和45年9月1日職発第398号
(各都道府県知事あて労働省職業安定局長通達)
近年労働力の需給は、経済活動の著しい成長を反映して逐年ひつ迫の度を加えており、この傾向は今後もますます増大することが予想される。
さらに、労働力需給関係や社会情勢の変化につれて、求職者の職業選択に対する意識、求人者の求人活動の態様等も著しく変化している。
このような状況のもとで、職業安定機関が求人者、求職者等の期待にこたえつつ、労働力需給の適正、円滑な調整をはかつていくためには、職業紹介の刷新・強化とともに、雇用情報の積極的な提供を行なうことが必要となつてきている。
このため、今般下記により職業安定行政における雇用情報業務の推進をはかることとしたので、ご了知のうえこれが実効ある運営について特段のご配意をお願いする。
記
1 基本方針
雇用情報業務は、求人者、求職者その他関係者に対し、労働力の需給状況、求人・求職の条件その他雇用に関する情報を、迅速かつ的確に提供することにより、求人と求職との円滑、適正な結合に資することを目的とするものである。このため、これが業務の推進にあたつては、公共職業安定所の窓口における情報提供機能を強化するとともに、関係機関、団体等との連けいを強化して、来所者はもとより公共職業安定所に現われない潜在的な求人者、求職者層に対しても積極的に情報提供を行ない、公共職業安定所のイメージアツプと公共職業安定所利用の向上をはかるものとする。
2 情報収集の強化
雇用情報の収集にあたつては、求人者、求職者等が求めている情報の内容を的確に把握するとともに、公共職業安定所が労働市場の中核として、労働力需給の円滑な調整をはかり、求人者、求職者等に対する指導援助を行なううえで必要となる情報の内容を明らかにし、これらに対応する的確な資料を収集、整理するよう配意すること。
このためには、とくにつぎの点について留意すること。
(1) 既存資料の整理活用
雇用情報の資料としては、労働市場センターで作成される労働市場情報、各種業務統計、雇用計画資料等一般的、総括的なものと、公共職業安定所の窓口、事業所訪問、巡回相談その他関係機関、団体等との接触により得られる個別的、具体的なものとがあるが、ややもすると資料が分散し、あるいは、未活用のまま埋もれている場合が多い。
この際、既存資料を総点検し、これら資料を求人者、求職者の態様等に応じて情報として有効に提供できるよう分析、整理すること。
(2) 計画的な情報収集業務の推進
雇用情報は、既存資料のほか、公共職業安定所の窓口等における日常業務および事業所、関係機関、団体等との連けい、接触を通じて、得られるところが多いので、これを都道府県あるいは、公共職業安定所単位に組織的、計画的に収集するよう努めるものとする。
なお、雇用情報の収集にあたつては、雇用に直接関連するものにとどまらず、雇用をとりまく物価や住宅など生活や社会環境等の各種情報にも留意し、求人者、求職者等の期待にこたえるよう配意するとともに、また、個々にみてささいな情報であつても組織的、計画的に収集・整理することにより、重要な情報として活用できることに、とくに配意するものとする。
3 情報提供の強化
(1) 公共職業安定所の来所者に対する情報提供の強化
イ 雇用情報の提供は、来所した求人者、求職者等に対して個別的な指導、相談等の過程において行なうほか、待合室等においても資料の展示・配付あるいは視聴覚器材の利用等の方法により行ない、公共職業安定所に来所する各層の人々に対し、正確にして必要かつ豊富な情報を、的確、迅速に提供するよう努めること。
ロ 待合室等における情報資料の展示にあたつては、来所者が地域労働市場の実情、求人・求職の傾向等雇用に関する一般的な動向について、できるだけ豊富かつ平易に理解が得られるよう創意工夫をはかるとともに、昭和四五年六月三〇日付け職発第三〇八号通達「職業紹介業務の刷新・強化について」により指示した個別の求人・求職の公開ともあわせて行なうこと。
(2) 潜在的な求人者、求職者に対する情報提供の強化
公共職業安定所に現われない潜在的な求人者、求職者に対しては、労働市場の状況その他時宜に適した雇用情報を提供し、公共職業安定所利用の促進とその機運の醸成に努めるものとする。
このため、とくに市町村、教育、職業訓練、労働基準等の関係機関および経営者団体、労働組合、農業・漁業協同組合、婦人団体等の広報誌、掲示板、有線放送等を活用するほか、印刷物、マスコミ等を通じて積極的な雇用情報の提供を行なうこと。
4 体制の整備
(1) 業務処理体制の確立
雇用情報業務は、特定の担当者のみが行なう業務と理解することなく、職業紹介その他職業安定機関の日常業務にたずさわる各職員が、それぞれの担当業務を通じてこの業務を推進し、それぞれが有機的連けいをはかりつつ組織的、計画的に行なう体制を確立し、日常業務として定着させるよう配意すること。
(2) 雇用情報担当責任者の明確化
イ 雇用情報業務の適正かつ円滑な実施をはかるため、担当責任者を明確にするものとし、都道府県職業安定主務課においては業務担当課長補佐、公共職業安定所においては次長制所にあつては業務担当次長、その他の所にあつては職業紹介課長をこれにあてるものとする。
ロ 雇用情報担当責任者は、組織的、計画的な雇用情報業務を行なうための企画、調整を行なうこととし、
(イ) 都道府県においては、地方雇用計画官、地方職業指導官および各係間の調整をはかり、都道府県段階における業務の積極的な推進をはかるとともに公共職業安定所の雇用情報業務が効果的に行なわれるよう指導すること。
(ロ) 公共職業安定所においては、とくに関係各課(係)長および別途所長が指名する職員で構成する雇用情報連絡会議の開催等により関係各課(係)間の連けいの強化をはかり、雇用情報業務の推進に努めること。
5 主要公共職業安定所における情報提供機能の強化
(1) 情報提供機器等の導入
公共職業安定所における雇用情報提供機能を強化するため、主要公共職業安定所に情報提供用の近代的な機器および器材を導入するものとし、昭和四五年度においては別途指示するところにより、求人情報提供のためのテレガイド機および待合室等を利用して求人・求職その他労働市場に関する情報資料を展示するための器材を配付するほか、とくに既成大労働市場圏の中心となる公共職業安定所については、デイスプレイ装置を設置するものとする。
(2) 雇用情報専門官の配置
雇用情報専門官は、原則として情報提供機器等の導入をはかる主要公共職業安定所に配置するものとし、その設置等については、別途通達する。
職業安定行政手引の整理
〔新規〕三―四―(8) 雇用情報業務の推進
イ 基本方針
ロ 情報収集の強化
ハ 情報提供の強化
ニ 体制の整備
通達一覧整理番号 三―四―五