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職業能力開発促進法第十五条の八第一項及び職業訓練の実施等による特定求職者の就職の支援に関する法律第三条第一項の規定に基づく計画
制 定 平成二十九年三月三十一日厚生労働省告示第百三十六号
最終改正 令和二年三月三十一日厚生労働省告示第百五十八号
職業能力開発促進法(昭和四十四年法律第六十四号)第十五条の八第一項及び職業訓練の実施等による特定求職者の就職の支援に関する法律(平成二十三年法律第四十七号)第三条第一項の規定に基づき、職業訓練実施計画を次のように定める。
職業能力開発促進法第十五条の八第一項及び職業訓練の実施等による特定求職者の就職の支援に関する法律第三条第一項の規定に基づく計画
第一 総則
一 計画のねらい
産業構造の変化、技術の進歩その他の経済的環境の変化の中で、職業の安定、労働者の地位の向上及び経済社会の発展を図るためには、これらによる業務の内容の変化に対する労働者の適応性を増大させ、及び転職に当たっての円滑な再就職に資するよう、労働者に対して適切な職業能力開発を行う必要がある。このため、都道府県、事業主等が行う職業能力開発に関する自主的な努力を尊重しつつ、雇用失業情勢等に応じて、国が、職業能力開発促進法(昭和四十四年法律第六十四号。以下「能開法」という。)第十六条第一項の規定に基づき設置する公共職業能力開発施設(以下「公共職業能力開発施設」という。)において実施する職業訓練(能開法第十五条の七第三項の規定に基づき実施する職業訓練(以下「委託訓練」という。)を含む。以下「公共職業訓練」という。)及び職業訓練の実施等による特定求職者の就職の支援に関する法律(平成二十三年法律第四十七号。以下「求職者支援法」という。)第四条第一項の規定により厚生労働大臣の認定を受けた職業訓練(以下「求職者支援訓練」という。)の充実を図ることにより、労働者の十分な職業能力開発の機会を確保する必要がある。
本計画は、現下の雇用失業情勢等を踏まえ、本計画の対象期間(以下「計画期間」という。)中における公共職業訓練及び求職者支援訓練(以下「公的職業訓練」という。)の対象者数等を明確にし、計画的な公的職業訓練の実施を通じて、職業の安定、労働者の地位の向上等を図るものである。また、公共職業能力開発施設は、本計画を実施する際に、都道府県労働局、公共職業安定所、地方公共団体等関係機関との連携を図り、効率的かつ効果的な公共職業訓練の実施を図るものとする。
二 計画期間
計画期間は、令和二年四月一日から令和三年三月三十一日までとする。
三 計画の改定
本計画は、公的職業訓練の実施状況等を踏まえ、必要な場合には改定を行うものとする。
第二 労働市場の動向と課題等
一 労働市場の動向と課題
労働市場の状況をみると、最近の雇用情勢は、着実に改善が進んでいるものの、少子高齢化・人口減少社会が進展する中、我が国の持続的な経済成長のためには、働き方改革の推進等を通じた非正規雇用労働者の処遇改善、長時間労働の是正、安全で健康に働くことができる職場づくり、柔軟な働き方がしやすい環境整備、賃金引き上げのための支援、雇用吸収力、付加価値の高い産業への転換・再就職支援、人材育成の強化・人材確保対策・地方創生の推進などにより、労働環境の整備・生産性の向上を図ることが喫緊の課題である。
こうした中、いわゆる就職氷河期世代は、現在、三十代半ばから四十代半ばに至っているが、雇用環境が厳しい時期に就職活動を行った世代であり、様々な課題に直面している者がおり、就職氷河期世代が抱える固有の課題(希望する就業とのギャップ、実社会での経験不足等)や今後の人材ニーズを踏まえつつ、個々人の状況に応じた支援が求められている。
また、企業が付加価値の高い分野又は医療・情報通信分野等の今後成長が見込まれる分野への展開を図ることが重要であり、そのために必要となる人材の育成を行っていけるよう、公的職業訓練のあり方を不断に見直していくことが重要である。とりわけ、第四次産業革命(IOT、ロボット、ビッグデータ、AI等)の進展による技術革新に対応する人材の育成が求められている。
このため、これらの課題等に的確に対応するため、IT理解・活用力を習得する訓練をはじめとする離職者の再就職の実現に資する公的職業訓練を実施するとともに、産業界や地域の人材ニーズに合致した在職者の生産性の向上等、多様な職業能力開発の機会を確保・提供することが重要である。
特に、若年者については、完全失業率が年齢計に比べて相対的に高水準で推移し、フリーターの数については、平成三十年で百四十三万人と五年連続で減少している一方、フリーターと同属性の三十五~四十四歳の層は平成二十四年以降五十万人~六十万人台の水準で推移している。また、ニートである若年者もいまだ多い状況となっている。こうしたことから、今後の我が国の社会を支えていく若年者が職業能力を高めることができるよう、若年者にとって良好な雇用機会の創出やその育成のための施策を重点的に実施する必要がある。あわせて、能開法第十五条の四第一項に規定する職務経歴等記録書(以下「ジョブ・カード」という。)を活用し、若年者の職業能力向上を図り、安定的な雇用への円滑な移行を促進することが重要である。
また、女性については、出産・子育ての時期にある年齢層の就業率が低い状況にあり、女性の活躍を促進するため、出産等でキャリアを中断した女性の再就職を支援することが重要である。
人生百年時代を迎え、より長いスパンで個々人の人生の再設計が可能となる社会を実現するため、何歳になっても学び直し、職場復帰及び転職が可能となるリカレント教育を拡充していくことが求められている。高齢者については、現に六十歳を過ぎても多くの者が就業しており、年齢に関わりなくいつまでも働き続けたいという者も多い状況にある中で、政府としても七十歳までの就業機会の確保について高年齢者等の雇用の安定等に関する法律(昭和四十六年法律第六十八号)の改正も含めて環境整備を図る方針であること等を踏まえれば、生涯現役社会の実現に向けて、高齢者の継続雇用や再就職に向けた職業能力開発施策を一層充実させていくことが重要である。
また、我が国の基幹的な産業であるものづくり現場を支えてきた熟練技能者が、徐々に職業生活からの引退過程を迎えているため、ものづくり現場を支える熟練した技能及びこれに関する知識が若年者に円滑に継承されるよう、当該現場の戦力となる人材の育成を図ることが重要であるとともに、産業界や地域の人材ニーズに合わせて在職者の生産性の向上を図っていくことが求められる。このため、事業主等による多様な職業能力開発を一層推進するほか、公共職業能力開発施設においては、職業訓練指導員を派遣する等、事業主等による職業能力開発を支援するとともに、中小企業事業主等の人材ニーズに対応した公的職業訓練及びものづくり現場の戦力となる若年技能労働者の育成を一層推進する必要がある。
さらに、我が国の産業構造や資源には地域特性があることから、地域のニーズを踏まえた公的職業訓練を実施することが必要である。
障害者については、障害者の雇用の促進等に関する法律の一部を改正する法律(平成二十五年法律第四十六号)により、平成二十八年四月からは事業主に対して、雇用の分野における障害を理由とした差別的取扱いが禁止され、また、障害者が職場で働くに当たっての支障を改善するための合理的配慮の提供が義務付けられるとともに、平成三十年度からは精神障害者が法定雇用率の算定基礎に加えられたこと、法定雇用率が〇・二パーセント引き上げられたこと等を背景として、その就労意欲が高まっており、新規求職申込件数が年々増加している。このため、障害者が自らの能力を最大限発揮し自己実現できるよう支援することが求められている。また、障害者の福祉から就労への移行を促進するため、障害者雇用促進施策と障害者福祉施策が有機的な連携を図りつつ、個々の障害者の就業ニーズに即した職業能力開発を推進し、障害者の職業の安定を図る必要がある。
母子家庭等支援施策、生活保護制度や生活困窮者の自立支援施策については、母子家庭、父子家庭、生活保護法(昭和二十五年法律第百四十四号)の規定により保護を受けている世帯や生活困窮者(生活困窮者自立支援法(平成二十五年法律第百五号)第三条第一項に規定する生活困窮者をいう。以下同じ。)の自立・就労を支援する必要性が高まっていることから、地方公共団体等関係機関との連携を強化した上で、母子家庭の母、父子家庭の父、生活保護法第六条第一項に規定する被保護者や生活困窮者に対する職業能力開発を含めた就労支援の充実を図ることが必要である。
二 令和元年度における公的職業訓練をめぐる状況
令和元年度の新規求職者は令和元年十一月末現在で三百十六万三千六百九十二人であり、そのうち、求職者支援法第二条に規定する特定求職者に該当する可能性のある者の数は令和元年十一月末現在で百四十二万三千三百八十九人であった。
そうした中、令和元年度の公的職業訓練の受講者数は、公共職業訓練(離職者訓練)については、令和元年十一月末現在で七万四千五十八人であり、求職者支援訓練については、同月末現在で一万三千七百八十三人であった。
また、令和元年度の就職率は、公共職業訓練(離職者訓練)の施設内訓練(公共職業能力開発施設内で実施する訓練をいう。以下同じ。)が八十四・八パーセント、委託訓練が七十一・六パーセント、求職者支援訓練の基礎コースが五十七・三パーセント、実践コースが六十一・四パーセントであった。
注 求職者支援訓練については、平成二十六年四月に開講した職業訓練コースから雇用保険適用就職率を目標設定に用いている。
注 施設内訓練は令和元年八月末までの、委託訓練は同年七月末までの、求職者支援訓練の基礎コース及び実践コースは同年四月末までの訓練修了者等の訓練修了後三箇月の就職率である。
さらに、在職者訓練の受講者数は、令和元年十一月末現在で五万八千六百五十五人であり、学卒者訓練については、同年十月末現在で五千六百八十八人であった。
第三 計画期間中の公的職業訓練の対象者数等
離職者を対象とする公的職業訓練については、人材不足が深刻な分野、成長が見込まれる分野等における人材育成に重点を置きつつ実施する。
また、公的職業訓練が計画的かつ効果的に実施できるよう、引き続き、地域の関係者が連携・協力関係を強化するための連絡・協議の場を設けるとともに、産業界・教育訓練機関団体等の協力も得ながら、職業能力評価制度、民間教育訓練機関における職業訓練サービスガイドライン等の更なる整備及び普及も進めていくこととする。
一 公共職業訓練(離職者訓練)の対象者数等
(1) 対象者数及び就職率に係る目標
計画期間中に実施する離職者訓練の対象者数は、十五万八千百六十四人とする。
離職者訓練の対象者数のうち、二万三千人については、施設内訓練として実施するものとする。施設内訓練のうち、二千人については、企業実習と座学を一体的に組み合わせた訓練(以下「日本版デュアルシステム」という。)として実施するものとする。
また、離職者訓練の対象者数のうち、十三万五千百六十四人については、委託訓練として実施するものとする。委託訓練については、人材不足が深刻な建設、保育、介護等の分野や、今後成長が見込める医療、情報通信分野等において充実を図るものとし、その対象者数のうち、八千五百人については実践的職業能力の付与が必要な者に対する日本版デュアルシステムとして、それぞれ実施するものとする。
就職率は施設内訓練で八十パーセント、委託訓練で七十五パーセントを目指す。
(2) 離職者訓練の内容
離職者訓練については、職業能力に係る労働力需給のミスマッチを解消するため、知識の付与及び実習による技能の習得など、訓練の内容に応じた様々な民間教育訓練機関を活用した多様な職業能力開発の機会を都道府県又は市町村が能開法第十六条第一項又は第二項の規定に基づき設置する施設(障害者職業能力開発校を除く。)において実施する職業訓練との役割分担を踏まえつつ提供し、地域における離職者等の多様な就業ニーズ及び企業の人材ニーズに応じた支援を実施するものとする。
施設内訓練として実施する職業訓練については、民間教育訓練機関では実施できないものづくり分野において実施する。なお、ものづくり分野のIOT技術等第四次産業革命の進展に対応した職業訓練の実施にも取り組む。
また、雇用のセーフティネットとして、母子家庭の母等のひとり親、刑務所を出所した者、定住外国人等特別な配慮や支援を必要とする求職者に対して、それぞれの特性に応じた職業訓練を実施するものとする。出産・育児を理由とする離職者については、育児と職業訓練の両立を支援するため、短時間の訓練コース及び託児サービス付き訓練コースの設定を推進する。あわせて、多様な民間教育訓練機関等を活用し、育児中の女性等のリカレント教育に資する職業訓練を実施し、早期就職を支援する。さらに、これまで能力開発の機会に恵まれなかった非正規雇用労働者を対象とした国家資格の取得等を目指す長期の訓練コースについては、対象となる者の受講促進に努め、正社員就職に導くことができる充実した訓練の実施を一層推進する。
また、第四次産業革命による産業構造の変化や人材の流動化に対応するため、これから社会人として標準的に習得を求められるIT理解・活用力を習得する訓練を実施するほか、地域レベルのコンソーシアムにより開発した職業訓練の設定促進を図る。
(3) 効果的な離職者訓練の実施のための取組
産業界及び地域の人材ニーズを把握し、訓練コースの見直しを行うものとする。離職者訓練の訓練コースのうち、定員の充足状況や修了者の就職実績が低調なものについては、その原因の把握及び分析を行った上で、その内容等の見直しを図るほか、当該離職者訓練の受講者に対し、公共職業安定所との連携強化の下、ジョブ・カードを活用したキャリアコンサルティング(能開法第二条第五項のキャリアコンサルティングをいう。以下同じ。)、求人情報の提供等の計画的な就職支援を実施する。
また、安定的な雇用への円滑な移行を実現するためには、これまで以上に高い職業能力が求められることから、就職の実現に必要とされる知識・技能を習得するための長期間の訓練を積極的に設定することで、就職率の向上を図るものとする。
さらに、訓練修了前から就職までの一貫した支援のため、都道府県労働局と都道府県等で受講者の就職状況等の共有を図り、訓練修了時点で就職が決まらない可能性のある受講生に対しては、訓練修了前から公共職業安定所に誘導するなど就職支援の徹底を図る。
委託訓練については、就職実績に応じた委託費の支給を行うほか、都道府県労働局、地方公共団体、労使団体等関係機関の協働により、産業界や地域の人材ニーズに即した訓練カリキュラムの開発・検証等を推進することにより、就職率の向上を図るものとする。
二 公共職業訓練(在職者訓練)の対象者数等
(1) 対象者数
計画期間中に実施する在職者訓練の対象者数は、六万六千人とする。このほか、民間人材を活用した企業の生産性向上のための支援については二万五千三百人を、IT理解・活用力を習得するための支援については一万三千人を対象とする。
(2) 在職者訓練の内容
在職者訓練については、産業構造の変化、技術の進歩等による業務の変化に対応する高度な技能及びこれに関する知識を習得させる真に高度な職業訓練であって、都道府県等又は民間教育訓練機関において実施することが困難なものを実施するものとする。なお、第四次産業革命に対応してIOT技術等に対応した職業訓練の実施に取り組む。また、能開法第十五条の七第一項第四号に規定する職業能力開発促進センター(ポリテクセンター)等に設置した生産性向上人材育成支援センターによる在職者訓練のコーディネート、生産性向上のための支援、IT理解・活用力を習得するための事業主支援等を行い、民間人材等を活用した在職者訓練を拡充することにより、中小企業等の労働生産性向上等に向けた人材育成を支援する。併せて、七十歳までの就業機会の確保に向けた中高年齢者に対する訓練を実施する。
(3) 効果的な在職者訓練の実施のための取組
地域の中小企業事業主等の人材ニーズを把握した上で、真に必要とされている在職者訓練の訓練コースの設定を行うとともに、個々の中小企業事業主等の具体的なニーズに即した実施方法等により行うものとする。
三 公共職業訓練(学卒者訓練)の対象者数等
(1) 対象者数
計画期間中に実施する学卒者訓練の対象者数は、五千八百人とする。
学卒者訓練の対象者数のうち、四千人については専門課程による公共職業訓練として、千七百人については応用課程による公共職業訓練として、百人については普通課程による公共職業訓練として、それぞれ実施するものとする。専門課程による公共職業訓練の対象者数のうち、三百人については、日本版デュアルシステムとして実施するものとする。
(2) 学卒者訓練の内容
学卒者訓練については、新規高等学校卒業者等を対象に、ものづくりの現場の戦力となる高度な実践技能者の育成を図るため、職業に必要な技能及びこれに関する知識を習得させることを目的とした比較的長期間の公共職業訓練を実施するものとする。なお、第四次産業革命の進展に対応するため、特に、ロボット技術を活用した生産システムの構築、運用管理等ができる人材を養成するための職業訓練の実施にも取り組む。
(3) 効果的な学卒者訓練の実施のための取組
産業界及び地域の人材ニーズを把握し、訓練コースの見直しを行うものとする。学卒者訓練の訓練コースのうち、定員の充足状況や修了者の就職実績が低調なものについては、その原因の把握及び分析を行った上で、その内容等の見直しを図るものとする。
また、低所得世帯の者に対し、経済的負担を軽減することにより、職業に必要な技能・技術・知識を習得する機会の強化を図るため、学卒者訓練における支援措置を実施する。
四 障害者等に対する公共職業訓練の対象者数等
(1) 対象者数及び就職率に係る目標
計画期間中に実施する障害者等に対する公共職業訓練の対象者数は、六千八百三十人とする。
障害者等に対する公共職業訓練の対象者数のうち、二千九百八十人については、施設内訓練として、三千八百五十人については、委託訓練として実施するものとする。
また、就職率は施設内訓練で七十パーセント、委託訓練で五十五パーセントを目指す。
(2) 障害者等に対する公共職業訓練の内容
障害者職業能力開発校においては、精神障害者を始めとする職業訓練上特別な支援を要する障害者を重点的に受け入れて、個々の受講者の障害の特性等に応じた公共職業訓練を一層推進するものとする。
また、都道府県が能開法第十六条第一項の規定に基づき設置する職業能力開発校において、精神保健福祉士等の配置、精神障害者等の受け入れに係るノウハウの普及や対応力の強化に取り組むことにより、精神障害者等を受け入れるための体制整備に努める。
さらに、民間企業等に対して委託する障害者委託訓練の設定については、就職に結びつきやすい実践能力習得訓練コースに重点を置き、精神障害者向けの訓練コース設定を促進しつつ、委託元である都道府県が関係機関と連携を図り、対象となる障害者の確保、法定雇用率が未達成である企業や障害者の雇用の経験の乏しい企業を含めた委託先の新規開拓に取り組む。また、障害者委託訓練のうち知識・技能習得訓練コースにおいて就職した場合の経費の追加支給を実施するなど、訓練内容や就職支援の充実を図りながら、引き続き推進するものとする。
(3) 障害者に対する効果的な公共職業訓練の実施のための取組
障害者の就業ニーズ及び企業の人材ニーズを踏まえ、訓練コースの見直しを行うものとする。障害者に対する公共職業訓練の訓練コースのうち、定員の充足状況や修了者の就職実績が低調なものについては、その原因の把握及び分析を行った上で、その内容等の見直しを図るほか、当該公共職業訓練の受講者に対し、公共職業安定所等との連携強化の下、当該公共職業訓練の開始時から計画的な就職支援を実施し、就職率の向上を図るものとする。
また、地域における雇用、福祉、教育等の関係機関と連携を図りながら職業訓練を推進するとともに、平成二十八年七月に取りまとめた「職業能力開発施設における障害者職業訓練の在り方について」(障害者職業能力開発校の在り方に関する検討会報告書)を踏まえた取組を推進する。
五 求職者支援訓練の対象者数等
(1) 対象者数及び就職率に係る目標
計画期間中に実施する求職者支援訓練の対象者数は、非正規雇用労働者自営廃業者等の雇用保険の基本手当を受けることができない者に対する雇用のセーフティネットとしての機能が果たせるよう、二万七千六百十三人に訓練機会を提供するため、訓練認定規模四万八千四百四十人を上限とする。
また、雇用保険適用就職率は、基礎コースで五十八パーセント、実践コースで六十三パーセントを目指す。
(2) 求職者支援訓練の内容
求職者支援訓練については、基礎的能力を習得する職業訓練(基礎コース)及び実践的能力を習得する職業訓練(実践コース)を設定する。
その際、成長分野、人材不足分野とされている分野・職種に重点を置くとともに、地域における産業の動向及び求人ニーズを踏まえたものとする。育児中の女性等で再就職を目指す者、東日本大震災の被災者、未就職のまま卒業することとなった新規学卒者、コミュニケーション能力等の課題を有する生活困窮者、さらには短時間労働者等の不安定就労者、就職氷河期世代の者のうち不安定な就労に就いている者や無業状態の者など、対象者の特性・訓練ニーズに応じた職業訓練の設定にも努めることとする。特に出産・育児を理由とする離職者については、育児と職業訓練の両立を支援するため、短時間の訓練コース及び託児サービス付き訓練コースの設定を推進する。
訓練認定規模は、次のとおりとする。
イ 基礎コース 訓練認定規模の五十パーセント程度
ロ 実践コース 訓練認定規模の五十パーセント程度
実践コースのうち、介護系、医療事務系及び情報系の三分野の割合は、地域の実情に応じて設定するものとする。ただし、実践コース全体の訓練認定規模に占める各分野の下限の目安として、介護系二十パーセント程度、医療事務系五パーセント程度及び情報系五パーセント程度として設定するものとする。
より安定した就職の実現に資するよう、各地域の状況や工夫に応じて主体的に独自の訓練分野、特定の対象者又は特定の地域を念頭に置いた訓練等を設定する地域ニーズ枠を全ての都道府県の地域職業訓練実施計画で設定するものとする。地域ニーズ枠の設定に当たっては、公共職業訓練(離職者訓練)の訓練規模、分野及び時期も踏まえた上で、都道府県の認定規模の十パーセント以内で設定をするものとする。
求職者支援訓練のうち、次の値を上限として地域職業訓練実施計画で定めた割合以下の範囲で当該都道府県で求職者支援訓練に新規参入となる職業訓練を認定する。
イ 基礎コース 二十パーセント
ロ 実践コース 二十パーセント
注 求職者支援訓練は、地域職業訓練実施計画に則して、一箇月ごと又は四半期ごとに認定する(地域職業訓練実施計画で定めたコース別・分野別の訓練実施規模を超えては認定しない。)ものとする。
申請対象期間の設定数を超える認定申請がある場合は、次のとおり認定するものとする。
イ 新規参入枠については、職業訓練の案等が良好なものから認定するものとする。
ロ イ以外については、求職者支援訓練の就職実績等が良好なものから認定するものとする。
注 本計画において示した内容は、全国での目標であり、地域職業訓練実施計画においては、次の(イ)又は(ロ)に掲げる事項を除き、地域訓練協議会での議論を踏まえ、地域の実情に応じて異なる設定とすることができる。
(イ) 都道府県別の訓練認定規模を超えてはならないこと。
(ロ) 新規参入枠は右に掲げた値を超えてはならないこと及び全く新規参入枠を設定しないものとしてはならないこと。ただし、地域ニーズ枠については、全て新規参入枠とすることも可能とすること。また、一の申請対象期間における新規参入枠以外の設定数(以下「実績枠」という。)に対する認定申請が、当該実績枠の上限を下回る場合は、当該実績枠の残余を、当該申請対象期間内の新規参入枠とすることも可能とすること。
第四 公的職業訓練の実施に当たり留意すべき事項等
一 関係機関との連携
公的職業訓練全体の訓練規模、分野及び時期において公的職業訓練の機会及び受講者を適切に確保するとともに、公的職業訓練を効果的に実施し、訓練修了者の就職を実現していく上で、国及び都道府県の関係行政機関はもとより、地域の訓練実施機関の団体、労使団体等の幅広い理解・協力が求められる。また、その際、訓練カリキュラム等の見直しも含め、訓練の実施結果や地域の人材ニーズを踏まえた改善のための不断の取組が必要である。
このため、令和二年度においても、地域訓練協議会を開催して、関係者の連携・協力の下に、地域の実情を踏まえた、計画的で実効ある職業訓練の推進に資することとするほか、地域の産業ニーズを踏まえて訓練内容の検討を行うワーキングチームを開催する。
また、公共職業能力開発施設は、公共職業訓練を実施するに当たっては、都道府県労働局、公共職業安定所、地方公共団体、労使団体等関係機関により構成される協議の場を活用し、人材ニーズに応じた効果的な職業訓練が質及び量の両面において十分に実施されるよう検討、協議及び必要な調整を行うものとする。
さらに、公共職業能力開発施設は、都道府県労働局及び公共職業安定所と連携し、公共職業訓練の受講者の就職支援を実施するものとする。
二 公的職業訓練の受講生の能力及び適性に応じた公的職業訓練の実施
ジョブ・カードを活用したキャリアコンサルティングなど、労働者のキャリア形成に資する情報提供及び相談援助を行い、公的職業訓練の受講者の能力及び適性に応じた公的職業訓練を実施するものとする。
このほか、公的職業訓練におけるジョブ・カードを活用したキャリアコンサルティングの着実な実施等に資するため、地域ジョブ・カード運営本部において、効果的な周知・啓発の在り方を検討し、関係機関を通じた周知を図る。
改正文(平成三〇年三月三〇日厚生労働省告示第一六五号 抄)
平成三十年四月一日から適用する。
改正文(平成三〇年九月二八日厚生労働省告示第三四二号 抄)
平成三十年十月一日から適用する。
改正文(平成三一年三月二七日厚生労省告示第一〇〇号 抄)
平成三十一年四月一日から適用する。
改正文(令和二年三月三一日厚生労働省告示第一五八号 抄)
令和二年四月一日から適用する。