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船員に対する性別を理由とする差別の禁止等に関する規定に定める事項に関し、事業主が適切に対処するための指針
制 定 平成十九年三月八日国土交通省告示第二百七十九号
最終改正 平成二十六年七月十七日国土交通省告示第七百三十六号
雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律(昭和四十七年法律第百十三号)第三十一条第一項の規定により読み替えて適用される同法第十条第一項の規定に基づき、船員に対する性別を理由とする差別の禁止等に関する規定に定める事項に関し、事業主が適切に対処するための指針を次のとおり定め、平成十九年四月一日から適用する。
なお、募集及び採用並びに配置、昇進及び教育訓練について事業主が適切に対処するための指針(平成十一年運輸省告示第百五十六号)は、平成十九年三月三十一日限り廃止する。
船員に対する性別を理由とする差別の禁止等に関する規定に定める事項に関し、事業主が適切に対処するための指針
第1 はじめに
この指針は、船員職業安定法(昭和23年法律第130号)第6条第1項に規定する船員及び同項に規定する船員になろうとする者に関して、雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律(以下「法」という。)第31条第1項の規定により読み替えて適用される第10条第1項の規定に基づき、法第5条、法第31条第1項の規定により読み替えて適用される第6条及び第7条、法第9条第1項及び第2項並びに法第31条第1項の規定により読み替えて適用される第9条第3項の規定に定める事項に関し、事業主が適切に対処することができるよう、これらの規定により禁止される措置として具体的に明らかにする必要があると認められるものについて定めたものである。
第2 直接差別
1 募集及び採用(法第5条関係)
(1) 法第5条の「募集」とは、船員を雇用しようとする者が、自ら又は他人に委託して、船員となろうとする者に対し、その被用者となることを勧誘することをいう。
法第5条の「採用」とは、労働契約を締結することをいい、応募の受付、採用のための選考等募集を除く労働契約の締結に至る一連の手続を含む。
(2) 募集及び採用に関し、例えば、次に掲げる措置を講ずることは、法第5条により禁止されるものである。ただし、11の(1)のポジティブ・アクションを講ずる場合については、この限りではない。
イ 募集又は採用に当たって、その対象から男女のいずれかを排除すること。
(排除していると認められる例)
① 一定の職種(船長、機関長、一等航海士、一等機関士、事務長、事務員等)について、募集又は採用の対象を男女のいずれかのみとすること。
② 募集又は採用に当たって、男女のいずれかを表す職種の名称(旅客船におけるスチュワード、スチュワーデス等)を用い(対象を男女のいずれかのみとしないことが明らかである場合を除く。)、又は「男性歓迎」、「女性向きの職種」等の表示を行うこと。
③ 男女をともに募集の対象としているにもかかわらず、応募の受付や採用の対象を男女のいずれかのみとすること。
ロ 募集又は採用に当たっての条件を男女で異なるものとすること。
(異なるものとしていると認められる例)
募集又は採用に当たって、女性についてのみ、未婚者であること、子を有していないこと、自宅から通勤すること等を条件とし、又はこれらの条件を満たす者を優先すること。
ハ 採用選考において、能力及び資質の有無等を判断する場合に、その方法や基準について男女で異なる取扱いをすること。
(異なる取扱いをしていると認められる例)
① 募集又は採用に当たって実施する筆記試験や面接試験の合格基準を男女で異なるものとすること。
② 男女で異なる採用試験を実施すること。
③ 男女のいずれかについてのみ、採用試験を実施すること。
④ 採用面接に際して、結婚の予定の有無、子供が生まれた場合の継続就労の希望の有無等一定の事項について女性に対してのみ質問すること。
ニ 募集又は採用に当たって男女のいずれかを優先すること。
(男女のいずれかを優先していると認められる例)
① 採用選考に当たって、採用の基準を満たす者の中から男女のいずれかを優先して採用すること。
② 男女別の採用予定人数を設定し、これを明示して、募集すること。又は、設定した人数に従って採用すること。
③ 男女のいずれかについて採用する最低の人数を設定して募集すること。
④ 男性の選考を終了した後で女性を選考すること。
ホ 求人の内容の説明等募集又は採用に係る情報の提供について、男女で異なる取扱いをすること。
(異なる取扱いをしていると認められる例)
① 会社の概要等に関する資料を送付する対象を男女のいずれかのみとし、又は資料の内容、送付時期等を男女で異なるものとすること。
② 求人の内容等に関する説明会を実施するに当たって、その対象を男女のいずれかのみとし、又は説明会を実施する時期を男女で異なるものとすること。
2 配置(業務の配分及び権限の付与を含む。)(法第6条第1号関係)
(1) 法第6条第1号の「配置」とは、船員を一定の職務に就けること又は就いている状態をいい、従事すべき職務における業務の内容及び乗り組む船舶を主要な要素とするものである。
なお、配置には、業務の配分及び権限の付与が含まれる。また、派遣元事業主が、船員派遣契約に基づき、その雇用する派遣船員に係る船員派遣をすることも、配置に該当する。
法第6条第1号の「業務の配分」とは、特定の船員に対し、甲板部、機関部、事務部等が所掌している複数の業務のうち一定の業務を割り当てることをいい、日常的な業務指示は含まれない。
また、法第6条第1号の「権限の付与」とは、船員に対し、一定の業務を遂行するに当たって必要な権限を委任することをいう。
(2) 配置に関し、例えば、次に掲げる措置を講ずることは、法第6条第1号により禁止されるものである。ただし、11の(1)のポジティブ・アクションを講ずる場合については、この限りではない。
イ 一定の職務への配置に当たって、その対象から男女のいずれかを排除すること。
(排除していると認められる例)
① 外航コンテナ船の一等航海士の職務、内航カーフェリーの事務長の職務又は旅客サービスに関わる職務等一定の職務への配置に当たって、その対象を男女のいずれかのみとすること。
② 時間外労働の多い職務(入管及び通関等の入出港手続き、安全管理又は船舶保安に係る職務)への配置に当たって、その対象を男子船員のみとすること。
③ 派遣元事業主が、一定の船員派遣契約に基づく船員派遣について、その対象を男女のいずれかのみとすること。
④ 一定の職務への配置の資格についての試験(例えば、外航船の一等航海士への配置に当たっての英会話試験等)について、その受験資格を男女のいずれかに対してのみ与えること。
ロ 一定の職務への配置に当たっての条件を男女で異なるものとすること。
(異なるものとしていると認められる例)
① 女子船員についてのみ、婚姻したこと、一定の年齢に達したこと又は子を有していることを理由として、一定の職務への配置の対象から排除すること。
② 一定の職務への配置に当たって、女子船員についてのみ、一定の国家資格の取得や研修の実績を条件とすること。
ハ 一定の職務への配置に当たって、能力及び資質の有無等を判断する場合に、その方法や基準について男女で異なる取扱いをすること。
(異なる取扱いをしていると認められる例)
① 一定の職務への配置に当たり、人事考課を考慮する場合において、男子船員は平均的な評価がなされている場合にはその対象とするが、女子船員は特に優秀という評価がなされている場合にのみその対象とすること。
② 一定の職務への配置の資格についての試験の合格基準を、男女で異なるものとすること。
③ 一定の職務への配置の資格についての試験の受験を男女のいずれかに対してのみ奨励すること。
ニ 一定の職務への配置に当たって、男女のいずれかを優先すること。
(優先していると認められる例)
内航カーフェリーの事務長の職務への配置の基準を満たす船員が複数いる場合に、男子船員を優先して配置すること。
ホ 配置における業務の配分に当たって、男女で異なる取扱いをすること。
(異なる取扱いをしていると認められる例)
① 男子船員には夜間当直に従事させるが、女子船員については夜間当直から排除し、昼間当直のみに従事させること(船員法(昭和22年法律第100号)第88条の4に規定する妊産婦の夜間労働の制限に該当する場合を除く。)。
② 男子船員には通常の業務のみに従事させるが、女子船員については通常の業務に加え、船内における安全又は衛生に関する委員会等会議の庶務、お茶くみ、そうじ当番等の雑務を行わせること。
ヘ 配置における権限の付与に当たって、男女で異なる取扱いをすること。
(異なる取扱いをしていると認められる例)
船内航行組織の指揮命令系統において、男子船員には職務上の命令を行える権限を与えるが、女子船員にはこのような権限を与えないこと。
ト 配置転換に当たって、男女で異なる取扱いをすること。
(異なる取扱いをしていると認められる例)
① 経営の合理化に際し、女子船員についてのみ出向の対象とすること。
② 一定の年齢以上の女子船員のみを出向の対象とすること。
③ 女子船員についてのみ、婚姻又は子を有していることを理由として、通勤が不便な港を拠点として航海に従事する船舶に配置転換すること。
④ 事業規模の縮小により運航船舶を減らす場合において、女子船員についてのみ通勤が不便な港を拠点に航海する船舶に配置すること。
3 昇進(法第6条第1号関係)
(1) 法第6条第1号の「昇進」とは、企業内での船員の位置付けについて下位の職位から上位の職位への移動(一等航海士から船長、事務員から主席事務員又は事務長等)を行うことをいう。昇進には、職制上の地位の上方移動を伴わないいわゆる「昇格」も含まれる。
(2) 昇進に関し、例えば、次に掲げる措置を講ずることは、法第6条第1号により禁止されるものである。ただし、11の(1)のポジティブ・アクションを講ずる場合については、この限りではない。
イ 一定の職位への昇進に当たって、その対象から男女のいずれかを排除すること。
(排除していると認められる例)
① 女子船員についてのみ、一定の職位への昇進の機会を与えない、又は一定の職位までしか昇進できないものとすること。
② 一定の職位に昇進するための試験について、その受験資格を男女のいずれかに対してのみ与えること。
ロ 一定の職位への昇進に当たっての条件を男女で異なるものとすること。
(異なるものとしていると認められる例)
① 女子船員についてのみ、婚姻したこと、一定の年齢に達したこと又は子を有していることを理由として、昇格できない、又は一定の職位までしか昇進できないものとすること。
② 事務長への昇進に当たり、女子船員については主席事務員を経ることを要するものとする一方、男子船員については主席事務員を経ることなく事務長に昇進できるものとすること。
③ 男子船員については出勤率が一定の率以上である場合又は一定の勤続年数を経た場合に昇格させるが、女子船員についてはこれらを超える出勤率又は勤続年数がなければ昇格できないものとすること。
④ 一定の職位に昇進するための試験について、女子船員についてのみ上長の推薦を受けることを受験の条件とすること。
ハ 一定の職位への昇進に当たって、能力及び資質の有無等を判断する場合に、その方法や基準について男女で異なる取扱いをすること。
(異なる取扱いをしていると認められる例)
① 一定の職位に昇進するための試験の合格基準を、男女で異なるものとすること。
② 男子船員については人事考課において平均的な評価がなされている場合には昇進させるが、女子船員については特に優秀という評価がなされている場合にのみその対象とすること。
③ AからEまでの5段階の人事考課制度を設けている場合において、男子船員については最低の評価であってもCランクとする一方、女子船員については最高の評価であってもCランクとする運用を行うこと。
④ 一定年齢に達した男子船員については全員一定の職位に昇進できるように人事考課を行うものとするが、女子船員についてはそのような取扱いをしないこと。
⑤ 一定の職位に昇進するための試験について、男女のいずれかについてのみその一部を免除すること。
⑥ 一定の職位に昇進するための試験の受験を男女のいずれかに対してのみ奨励すること。
ニ 一定の職位への昇進に当たり男女のいずれかを優先すること。
(優先していると認められる例)
一定の職位への昇進基準を満たす船員が複数いる場合に、男子船員を優先して昇進させること。
4 降格(法第6条第1号関係)
(1) 法第6条第1号の「降格」とは、企業内での船員の位置付けについて上位の職位から下位の職位への移動を行うことをいい、昇進の反対の措置である場合と、昇格の反対の措置である場合の双方が含まれる。
(2) 降格に関し、例えば、次に掲げる措置を講ずることは、法第6条第1号により禁止されるものである。
イ 降格に当たって、その対象を男女のいずれかのみとすること。
(男女のいずれかのみとしていると認められる例)
一定の職位を廃止するに際して、当該職位に就いていた男子船員については同格の職位に配置転換をするが、女子船員については降格させること。
ロ 降格に当たっての条件を男女で異なるものとすること。
(異なるものとしていると認められる例)
女子船員についてのみ、婚姻又は子を有していることを理由として、降格の対象とすること。
ハ 降格に当たって、能力及び資質の有無等を判断する場合に、その方法や基準について男女で異なる取扱いをすること。
(異なる取扱いをしていると認められる例)
一定の職位を廃止するに際して、降格の対象となる船員を選定するに当たり、人事考課を考慮する場合に、男子船員については最低の評価がなされている者のみ降格の対象とするが、女子船員については特に優秀という評価がなされている者以外は降格の対象とすること。
ニ 降格に当たって、男女のいずれかを優先すること。
(優先していると認められる例)
一定の職位を廃止するに際して、降格の対象となる船員を選定するに当たって、男子船員よりも優先して、女子船員を降格の対象とすること。
5 教育訓練(法第6条第1号関係)
(1) 法第6条第1号の「教育訓練」とは、事業主が、その雇用する船員に対して、その船員の業務の遂行の過程外(いわゆる「オフ・ザ・ジョブ・トレーニング」)において又は当該業務の遂行の過程内(いわゆる「オン・ザ・ジョブ・トレーニング」)において、現在及び将来の業務の遂行に必要な能力を付与するために行うものをいう。
(2) 教育訓練に関し、例えば、次に掲げる措置を講ずることは、法第6条第1号により禁止されるものである。ただし、11の(1)のポジティブ・アクションを講ずる場合については、この限りではない。
イ 教育訓練に当たって、その対象から男女のいずれかを排除すること。
(排除していると認められる例)
① 一定の職務に従事する者を対象とする教育訓練を行うに当たって、その対象を男女のいずれかのみとすること。
② 新たな機器の導入に伴う機器メーカーの研修(国内・海外を問わない。)を行うに当たって、その対象を男子船員のみとすること。
③ 接遇訓練を行うに当たって、その対象を女子船員のみとすること。
ロ 教育訓練を行うに当たっての条件を男女で異なるものとすること。
(異なるものとしていると認められる例)
① 女子船員についてのみ、婚姻したこと、一定の年齢に達したこと又は子を有していることを理由として、将来従事する可能性のある職務に必要な知識を身につけるための教育訓練の対象から排除すること。
② 教育訓練の対象者について、男女で異なる勤続年数を条件とすること。
③ 女子船員についてのみ、上長の推薦がなければ教育訓練の対象としないこと。
④ 男子船員については全員を教育訓練の対象とするが、女子船員については希望者のみを対象とすること。
ハ 教育訓練の内容について、男女で異なる取扱いをすること。
(異なる取扱いをしていると認められる例)
教育訓練の期間や課程を男女で異なるものとすること。
6 福利厚生(法第31条第1項の規定により読み替えて適用される法第6条第2号・船員均等則第1条各号関係)
(1) (2)において、「福利厚生の措置」とは、法第31条第1項の規定により読み替えて適用される法第6条第2号の規定及び船員に関する雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律施行規則(昭和61年運輸省令第1号。以下「船員均等則」という。)第1条各号に掲げる以下のものをいう。
(法第31条第1項の規定により読み替えて適用される法第6条第2号及び船員均等則第1条各号に掲げる措置)
イ 住宅資金の貸付け(法第31条第1項の規定により読み替えて適用される法第6条第2号)
ロ 生活資金、教育資金その他船員の福祉の増進のために行われる資金の貸付け(船員均等則第1条第1号)
ハ 船員の福祉の増進のために定期的に行われる金銭の給付(船員均等則第1条第2号)
ニ 船員の資産形成のために行われる金銭の給付(船員均等則第1条第3号)
ホ 住宅の貸与(船員均等則第1条第4号)
(2) 福利厚生の措置に関し、一の雇用管理区分において、例えば、次に掲げる措置を講ずることは、法第31条第1項の規定により読み替えて適用される法第6条第2号により禁止されるものである。
イ 福利厚生の措置の実施に当たって、その対象から男女のいずれかを排除すること。
(排除していると認められる例)
男子船員についてのみ、社宅を貸与すること。
ロ 福利厚生の措置の実施に当たっての条件を男女で異なるものとすること。
(異なるものとしていると認められる例)
① 女子船員についてのみ、婚姻を理由として、社宅の貸与の対象から排除すること。
② 住宅資金の貸付けに当たって、女子船員に対してのみ、配偶者の所得額に関する資料の提出を求めること。
③ 社宅の貸与に当たり、世帯主であることを条件とする場合において、男子船員については本人の申請のみで貸与するが、女子船員に対しては本人の申請に加え、住民票の提出を求め、又は配偶者に一定以上の所得がないことを条件とすること。
7 退職の勧奨(法第6条第4号関係)
(1) 法第6条第4号の「退職の勧奨」とは、雇用する船員に対し退職を促すことをいう。
(2) 退職の勧奨に関し、例えば、次に掲げる措置を講ずることは、法第6条第4号により禁止されるものである。
イ 退職の勧奨に当たって、その対象を男女のいずれかのみとすること。
(男女のいずれかのみとしていると認められる例)
女子船員に対してのみ、経営の合理化のための早期退職制度の利用を働きかけること。
ロ 退職の勧奨に当たっての条件を男女で異なるものとすること。
(異なるものとしていると認められる例)
① 女子船員に対してのみ、子を有していることを理由として、退職の勧奨をすること。
② 経営の合理化に際して、既婚の女子船員に対してのみ、退職の勧奨をすること。
ハ 退職の勧奨に当たって、能力及び資質の有無等を判断する場合に、その方法や基準について男女で異なる取扱いをすること。
(異なる取扱いをしていると認められる例)
経営合理化に伴い退職勧奨を実施するに当たり、人事考課を考慮する場合において、男子船員については最低の評価がなされている者のみ退職の勧奨の対象とするが、女子船員については特に優秀という評価がなされている者以外は退職の勧奨の対象とすること。
ニ 退職の勧奨に当たって、男女のいずれかを優先すること。
(優先していると認められる例)
① 男子船員よりも優先して、女子船員に対して退職の勧奨をすること。
② 退職の勧奨の対象とする年齢を女子船員については45歳、男子船員については50歳とするなど男女で差を設けること。
8 定年(法第6条第4号関係)
(1) 法第6条第4号の「定年」とは、船員が一定年齢に達したことを雇用関係の終了事由とする制度をいう。
(2) 定年に関し、例えば、次に掲げる措置を講ずることは、法第6条第4号により禁止されるものである。
定年の定めについて、男女で異なる取扱いをすること。
(異なる取扱いをしていると認められる例)
イ 定年年齢の引上げを行うに際して、厚生年金の支給開始年齢に合わせて男女で異なる定年を定めること。
ロ 定年年齢の引上げを行うに際して、既婚の女子船員についてのみ、異なる定年を定めること。
9 解雇(法第6条第4号関係)
(1) 法第6条第4号の「解雇」とは、労働契約を将来に向かって解約する事業主の一方的な意思表示をいい、労使の合意による退職は含まない。
(2) 解雇に関し、例えば、次に掲げる措置を講ずることは、法第6条第4号により禁止されるものである。
イ 解雇に当たって、その対象を男女のいずれかのみとすること。
(男女のいずれかのみとしていると認められる例)
経営の合理化に際して、女性のみを解雇の対象とすること。
ロ 解雇の対象を一定の条件に該当する者とする場合において、当該条件を男女で異なるものとすること。
(異なるものとしていると認められる例)
① 経営の合理化に際して、既婚の女子船員のみを解雇の対象とすること。
② 一定年齢以上の女子船員のみを解雇の対象とすること。
ハ 解雇に当たって、能力及び資質の有無等を判断する場合に、その方法や基準について男女で異なる取扱いをすること。
(異なる取扱いをしていると認められる例)
経営合理化に伴う解雇に当たり、人事考課を考慮する場合において、男子船員については最低の評価がなされている者のみ解雇の対象とするが、女子船員については特に優秀という評価がなされている者以外は解雇の対象とすること。
ニ 解雇に当たって、男女のいずれかを優先すること。
(優先していると認められる例)
解雇の基準を満たす船員の中で、男子船員よりも優先して女子船員を解雇の対象とすること。
10 労働契約の更新(法第6条第4号関係)
(1) 法第6条第4号の「労働契約の更新」とは、期間の定めのある労働契約について、期間の満了に際して、従前の契約と基本的な内容が同一である労働契約を締結することをいう。
(2) 労働契約の更新に関し、例えば、次に掲げる措置を講ずることは、法第6条第4号により禁止されるものである。
イ 労働契約の更新に当たって、その対象から男女のいずれかを排除すること。
(排除していると認められる例)
経営の合理化に際して、男子船員のみを、労働契約の更新の対象とし、女子船員については、労働契約の更新をしない(いわゆる「雇止め」をする)こと。
ロ 労働契約の更新に当たっての条件を男女で異なるものとすること。
(異なるものとしていると認められる例)
① 経営の合理化に際して、既婚の女子船員についてのみ、労働契約の更新をしない(いわゆる「雇止め」をする)こと。
② 女子船員についてのみ、子を有していることを理由として、労働契約の更新をしない(いわゆる「雇止め」をする)こと。
ハ 労働契約の更新に当たって、能力及び資質の有無等を判断する場合に、その方法や基準について男女で異なる取扱いをすること。
(異なる取扱いをしていると認められる例)
労働契約の更新に当たって、男子船員については平均的な勤務成績である場合には労働契約の更新の対象とするが、女子船員については、特に勤務成績が良い場合にのみその対象とすること。
ニ 労働契約の更新に当たって男女のいずれかを優先すること。
(優先していると認められる例)
労働契約の更新の基準を満たす船員の中から、男女のいずれかを優先して労働契約の更新の対象とすること。
11 法違反とならない場合
(1) 1から3まで及び5に関し、次に掲げる措置を講ずることは、法第8条に定める雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保の支障となっている事情を改善することを目的とする措置(ポジティブ・アクション)として、法第5条及び第6条の規定に違反することとはならない。
イ 女子船員が男子船員と比較して相当程度少ない場合における募集又は採用に当たって、当該募集又は採用に係る情報の提供について女性に有利な取扱いをすること、採用の基準を満たす者の中から男性より女性を優先して採用することその他男性と比較して女性に有利な取扱いをすること。
ロ 女子船員が男子船員と比較して相当程度少ない職務に新たに船員を配置する場合に、当該配置の資格についての試験の受験を女子船員のみに奨励すること、当該配置の基準を満たす船員の中から男子船員より女子船員を優先して配置することその他男子船員と比較して女子船員に有利な取扱いをすること。
ハ 女子船員が男子船員と比較して相当程度少ない職位への昇進に当たって、当該昇進のための試験の受験を女子船員のみに奨励すること、当該昇進の基準を満たす船員の中から男子船員より女子船員を優先して昇進させることその他男子船員と比較して女子船員に有利な取扱いをすること。
ニ 女子船員が男子船員と比較して相当程度少ない職務又は職位に従事するに当たって必要とされる能力を付与する教育訓練に当たって、その対象を女子船員のみとすること、女子船員に有利な条件を付すことその他男子船員と比較して女子船員に有利な取扱いをすること。
(2) 船員法第88条の6の規定により女性を就業させることができないことから、通常の業務を遂行するために、船員の性別にかかわりなく均等な機会を与え又は均等な取扱いをすることが困難であると認められる場合において、1から3までにおいて掲げる措置を講ずることは、性別にかかわりなく均等な機会を与えていない、又は性別を理由とする差別的取扱いをしているとは解されず、法第5条及び第6条の規定に違反することとはならない。
第3 間接差別(法第31条第1項の規定により読み替えて適用される法第7条関係)
1 雇用の分野における性別に関する間接差別
(1) 雇用の分野における性別に関する間接差別とは、①性別以外の事由を要件とする措置であって、②他の性の構成員と比較して、一方の性の構成員に相当程度の不利益を与えるものを、③合理的な理由がないときに講ずることをいう。
(2) (1)の①の「性別以外の事由を要件とする措置」とは、男性、女性という性別に基づく措置ではなく、外見上は性中立的な規定、基準、慣行等(以下第3において「基準等」という。)に基づく措置をいうものである。
(1)の②の「他の性の構成員と比較して、一方の性の構成員に相当程度の不利益を与えるもの」とは、当該基準等を満たすことができる者の比率が男女で相当程度異なるものをいう。
(1)の③の「合理的な理由」とは、具体的には、当該措置の対象となる業務の性質に照らして当該措置の実施が当該業務の遂行上特に必要である場合、事業の運営の状況に照らして当該措置の実施が雇用管理上特に必要であること等をいうものである。
(3) 法第31条第1項の規定により読み替えて適用される法第7条は、募集、採用、配置、昇進、降格、教育訓練、福利厚生、退職の勧奨、定年、解雇並びに労働契約の更新に関する措置であって、(1)の①及び②に該当するものを国土交通省令で定め、(1)の③の合理的な理由がある場合でなければ、これを講じてはならないこととするものである。
国土交通省令で定めている措置は、具体的には、次のとおりである。
(船員均等則第2条各号に掲げる措置)
イ 船員の募集又は採用に当たって、船員の身長、体重又は体力を要件とすること(船員均等則第2条第1号関係)。
ロ 船員の募集若しくは採用又は昇進に当たって、転居を伴う転勤に応じることができることを要件とすること(船員均等則第2条第2号関係)。
ハ 船員の昇進に当たり、当該船員が乗り組む船舶と航海の期間又は態様の異なる船舶に配置転換された経験があることを要件とすること(船員均等則第2条第3号関係)。
2 船員の募集又は採用に当たって、船員の身長、体重又は体力を要件とすること(法第31条第1項の規定により読み替えて適用される法第7条・船員均等則第2条第1号関係)
(1) 船員均等則第2条第1号の「船員の募集又は採用に関する措置であって、船員の身長、体重又は体力に関する事由を要件とするもの」とは、募集又は採用に当たって、身長若しくは体重が一定以上若しくは一定以下であること又は一定以上の筋力や運動能力があることなど一定以上の体力を有すること(以下「身長・体重・体力要件」という。)を選考基準とするすべての場合をいい、例えば、次に掲げるものが該当する。
(身長・体重・体力要件を選考基準としていると認められる例)
イ 募集又は採用に当たって、身長・体重・体力要件を満たしている者のみを対象とすること。
ロ 複数ある採用の基準の中に、身長・体重・体力要件が含まれていること。
ハ 身長・体重・体力要件を満たしている者については、採用選考において平均的な評価がなされている場合に採用するが、身長・体重・体力要件を満たしていない者については、特に優秀という評価がなされている場合にのみその対象とすること。
(2) 合理的な理由の有無については、個別具体的な事案ごとに、総合的に判断が行われるものであるが、合理的な理由がない場合としては、例えば、次のようなものが考えられる。
(合理的な理由がないと認められる例)
荷物を運搬する業務を内容とする職務について、当該業務を行うために必要な筋力より強い筋力があることを要件とする場合
3 船員の募集若しくは採用又は昇進に当たって、転居を伴う転勤に応じることができることを要件とすること(法第7条・船員均等則第2条第2号関係)
(1) 船員均等則第2条第2号の「船員の募集若しくは採用又は昇進に関する措置であつて、船員が住居の移転を伴う配置転換に応じることができることを要件とするもの」とは、船員の募集若しくは採用又は昇進に当たって、転居を伴う転勤に応じることができること(以下「転勤要件」という。)を選考基準とするすべての場合をいい、例えば、次に掲げるものが該当する。
(転勤要件を選考基準としていると認められる例)
船員の募集若しくは採用若しくは昇進に当たって、転居を伴う転勤に応じることができる者のみを対象とすること又は複数ある採用若しくは昇進の基準の中に、転勤要件が含まれていること。
(2) 合理的な理由の有無については、個別具体的な事案ごとに、総合的に判断が行われるものであるが、合理的な理由がない場合としては、例えば、次のようなものが考えられる。
(合理的な理由がないと認められる例)
通勤可能な港を拠点として航海に従事する船舶のみに船員を乗り組ませており、かつ、転居を伴う港を拠点とする航海に従事する船舶に船員を乗り組ませる計画がない場合。
4 船員の昇進に当たり、当該船員が乗り組む船舶と航海の期間又は態様の異なる船舶に配置転換された経験があることを要件とすること(法第7条・船員均等則第2条第3号関係)
(1) 船員均等則第2条第3号の「船員の昇進に関する措置であつて、当該船員が乗り組む船舶と航海の期間又は態様の異なる船舶に配置転換された経験があることを要件とするもの」とは、一定の職位への昇進に当たり、船員に当該船員が乗り組む船舶と航海の期間又は態様の異なる船舶に配置転換された経験があることを選考基準とするすべての場合をいい、例えば、次に掲げるものが該当する。
(当該船員が乗り組む船舶と航海の期間又は態様の異なる船舶に配置転換された経験を選考基準としていると認められる例)
イ 一定の職位(例えば、日帰りの旅客船の船長)への昇進に当たって、航海の期間の異なる船舶(例えば、24時間以上航海する船舶)又は一定の職位(例えば、内航船の船長)への昇進に当たって、航海の態様の異なる船舶(例えば、外航船)に配置転換された経験がある者のみを対象とすること。
ロ 複数ある昇進の基準の中に、当該船員が乗り組む船舶と航海の期間又は態様の異なる船舶に配置転換された経験が含まれていること。
ハ 当該船員が乗り組む船舶と航海の期間又は態様の異なる船舶に配置転換された経験がある者については、一定の職位への昇進の選考において平均的な評価がなされている場合に昇進の対象とするが、当該船員が乗り組む船舶と航海の期間又は態様の異なる船舶に配置転換された経験がない者については、特に優秀という評価がなされている場合にのみその対象とすること。
ニ 当該船員が乗り組む船舶と航海の期間又は態様の異なる船舶に配置転換された経験がある者についてのみ、昇進のための試験を全部又は一部免除すること。
(2) 合理的な理由の有無については、個別具体的な事案ごとに、総合的に判断が行われるものであるが、合理的な理由がない場合としては、例えば、次のようなものが考えられる。
(合理的な理由がないと認められる例)
外航船及び内航船に乗り組む船員を雇用している企業において、内航船の船長としての職務を遂行する上で、航海の態様の異なる外航船における経験が特に必要とは認められない場合において、内航船の船長に昇進するに際し、航海の態様の異なる外航船に配置転換された経験を要件とする場合
第4 婚姻・妊娠・出産等を理由とする不利益取扱いの禁止(法第9条関係)
1 婚姻・妊娠・出産を退職理由として予定する定め(法第9条第1項関係)
女子船員が婚姻したこと、妊娠したこと、又は出産したことを退職理由として予定する定めをすることは、法第9条第1項により禁止されるものである。
法第9条第1項の「予定する定め」とは、女子船員が婚姻、妊娠又は出産した場合には退職する旨をあらかじめ労働協約、就業規則又は労働契約に定めることをいうほか、労働契約の締結に際し船員がいわゆる念書を提出する場合や、婚姻、妊娠又は出産した場合の退職慣行について、事業主が事実上退職制度として運用しているような実態がある場合も含まれる。
2 婚姻したことを理由とする解雇(法第9条第2項関係)
女子船員が婚姻したことを理由として解雇することは、法第9条第2項により禁止されるものである。
3 妊娠・出産等を理由とする解雇その他不利益な取扱い(法第31条第1項の規定により読み替えて適用される法第9条第3項関係)
(1) その雇用する女子船員が妊娠したことその他の妊娠又は出産に関する事由であって船員均等則第3条各号で定めるもの(以下「妊娠・出産等」という。)を理由として、解雇その他不利益な取扱いをすることは、法第91条第1項の規定により読み替えて適用される法第9条第3項(船員職業安定法第91条の規定により適用することとされる場合を含む。)により禁止されるものである。
法第31条第1項の規定により読み替えて適用される法第9条第3項の「理由として」とは、妊娠・出産等と、解雇その他不利益な取扱いとの間に因果関係があることをいう。
船員均等則第3条各号においては、具体的に次のような事由を定めている。
(船員均等則第3条各号に掲げる事由)
イ 妊娠したこと(船員均等則第3条第1号関係)。
ロ 出産したこと(船員均等則第3条第2号関係)。
ハ 妊娠中及び出産後の健康管理に関する措置(母性健康管理措置)を求め、又は当該措置を受けたこと(船員均等則第3条第3号関係)。
ニ 妊娠中又は産後の就業制限の規定により就業できないこと又は作業に従事しなかったこと(船員均等則第3条第4号関係)。
ホ 妊娠中に軽易な作業への申出をし、又は軽易な作業に従事したこと(船員均等則第3条第5号関係)。
ヘ 母性保護上有害な作業に従事できないこと(船員均等則第3条第6号関係)。
ト 妊産婦に対する1日当たりの法定労働時間を超えて作業に従事できず、又は作業に従事しなかったこと(船員均等則第3条第7号関係)。
チ 妊産婦に対して1週間について少なくとも1日の休日を付与することにより作業に従事できず、又は作業に従事しなかったこと(船員均等則第3条第8号関係)。
リ 妊産婦に対する夜間労働の制限の規定により作業に従事できず、又は作業に従事しなかったこと(船員均等則第3条第9号関係)。
ヌ 妊娠又は出産に起因する症状により労務の提供ができないこと若しくはできなかったこと又は労働能率が低下したこと(船員均等則第3条第10号関係)。
なお、ヌの「妊娠又は出産に起因する症状」とは、つわり、妊娠悪阻、切迫流産、出産後の回復不全等、妊娠又は出産をしたことに起因して妊産婦に生じる症状をいう。
(2) 法第31条第1項の規定により読み替えて適用される法第9条第3項により禁止される「解雇その他不利益な取扱い」とは、例えば、次に掲げるものが該当する。
イ 解雇すること。
ロ 期間を定めて雇用される者について、契約の更新をしないこと。
ハ 退職の強要を行うこと。
ニ 降格させること。
ホ 就業環境を害すること。
ヘ 不利益な自宅待機を命ずること。
ト 減給をし、又は賞与等において不利益な算定を行うこと。
チ 昇進・昇格の人事考課において不利益な評価を行うこと。
リ 不利益な配置の変更を行うこと。
ヌ 派遣船員として就業する者について、派遣先が当該派遣船員に係る船員派遣の役務の提供を拒むこと。
(3) 妊娠・出産等を理由として(2)のイからホまでに掲げる取扱いを行うことは、直ちに不利益な取扱いに該当すると判断されるものであるが、これらに該当するか否か、また、これ以外の取扱いが(2)のヘからヌまでに掲げる不利益な取扱いに該当するか否かについては、次の事項を勘案して判断すること。
イ 勧奨退職は、船員の表面上の同意を得ていたとしても、これが船員の真意に基づくものでないと認められる場合には、(2)のハの「退職の強要を行うこと」に該当すること。
ロ 業務に従事させない、専ら雑務に従事させる等の行為は、(2)のホの「就業環境を害すること」に該当すること。
ハ 事業主が、産前産後休業の休業終了予定日を超えて休業すること又は医師の指導に基づく休業の措置の期間を超えて休業することを船員に強要することは、(2)のヘの「不利益な自宅待機を命ずること」に該当すること。
なお、女子船員が船員法第87条第3項の規定により軽易な作業への申出をした場合において、客観的にみても他に軽易な作業がない場合、女子船員がやむを得ず休業する場合には、(2)のヘの「不利益な自宅待機を命ずること」には該当しないこと。
ニ 次に掲げる場合には、(2)のトの「減給をし、又は賞与等において不利益な算定を行うこと」に該当すること。
① 実際には労務の不提供や労働能率の低下が生じていないにもかかわらず、女子船員が、妊娠し、出産したこと等のみをもって、賃金又は賞与若しくは退職金を減額すること。
② 賃金について、妊娠・出産等に係る就労しなかった又はできなかった期間(以下「不就労期間」という。)分を超えて不支給とすること。
③ 賞与又は退職金の支給額の算定に当たり、不就労期間や労働能率の低下を考慮の対象とする場合において、同じ期間休業した疾病等や同程度労働能率が低下した疾病等と比較して、妊娠・出産等による休業や妊娠・出産等による労働能率の低下について不利に取り扱うこと。
④ 賞与又は退職金の支給額の算定に当たり、不就労期間や労働能率の低下を考慮の対象とする場合において、現に妊娠・出産等により休業した期間や労働能率が低下した割合を超えて、休業した、又は労働能率が低下したものとして取り扱うこと。
ホ 次に掲げる場合には、(2)のチの「昇進・昇格の人事考課において不利益な評価を行うこと」に該当すること。
① 実際には労務の不提供や労働能率の低下が生じていないにもかかわらず、女子船員が、妊娠し、出産したこと等のみをもって、人事考課において、妊娠をしていない者よりも不利に取り扱うこと。
② 人事考課において、不就労期間や労働能率の低下を考慮の対象とする場合において、同じ期間休業した疾病等や同程度労働能率が低下した疾病等と比較して、妊娠・出産等による休業や妊娠・出産等による労働能率の低下について不利に取り扱うこと。
ヘ 配置の変更が不利益な取扱いに該当するか否かについては、配置の変更の必要性、配置の変更前後の賃金その他の労働条件、通勤事情、船員の将来に及ぼす影響等諸般の事情について総合的に比較考量の上、判断すべきものであるが、例えば、通常の人事異動のルールからは十分に説明できない職務の変更を行うことにより、当該船員に相当程度経済的又は精神的な不利益を生じさせることは、(2)のリの「不利益な配置の変更を行うこと」に該当すること。
例えば、次に掲げる場合には、人事ローテーションなど通常の人事異動のルールからは十分に説明できず、「不利益な配置の変更を行うこと」に該当すること。
① 妊娠した女子船員が、その従事する職務において業務を遂行する能力があるにもかかわらず、賃金その他の労働条件、通勤事情等が劣ることとなる配置の変更を行うこと。
② 妊娠・出産等に伴いその従事する職務において業務を遂行することが困難であり配置を変更する必要がある場合において、他に当該船員を従事させることができる適当な職務があるにもかかわらず、特別な理由もなく当該職務と比較して、賃金その他の労働条件、通勤事情等が劣ることとなる配置の変更を行うこと。
③ 産前産後休業からの復帰に当たって、原職又は原職相当職に就けないこと。
ト 次に掲げる場合には、(2)のヌの「派遣船員として就業する者について、派遣先が当該派遣船員に係る派遣の役務の提供を拒むこと」に該当すること。
① 妊娠した派遣船員が、派遣契約に定められた役務の提供ができると認められるにもかかわらず、派遣先が派遣元事業主に対し、派遣船員の交替を求めること。
② 妊娠した派遣船員が、派遣契約に定められた役務の提供ができると認められるにもかかわらず、派遣先が派遣元事業主に対し、当該派遣船員の派遣を拒むこと。
改正文(平成二六年七月一七日国土交通省告示第七三六号 抄)
平成二十六年八月一日から適用する。