img1 img1 img1

◆トップページに移動 │ ★目次のページに移動 │ ※文字列検索は Ctrl+Fキー  

告示:デリツク構造規格

 

デリツク構造規格

制 定 昭和三十七年十月三十一日労働省告示第五十五号

最終改正 令和元年六月二十八日厚生労働省告示第四十八号

 

クレーン等安全規則(昭和三十七年労働省令第十六号)第七十九条第二項の規定に基づき、デリツク構造規格を次のように定め、昭和三十七年十一月一日から適用する。

<編注>本構造規格は昭和47年労告第77号にて安衛法第四十二条の規定に基づく厚生労働大臣が定める規格又は安全装置とされています。



デリツク構造規格

 

第一章 構造部分

第一節 材 料

第一条 構造部分(はしご、運転室、囲い、覆おおいその他機体の強度計算において荷重がかからないものとして取り扱われる部分を除く。以下同じ。)の材料は、次の各号に掲げる鋼材又はこれらと同等以上の機械的性質を有する鋼材でなければならない。ただし、つり上荷重が五トン未満又は主柱及びブームの長さが十二メートル未満のデリツクの構造部分の材料については、この限りでない。

一 日本産業規格G三一〇一(一般構造用圧延鋼材)に定める1種又は2種の規格に適合する鋼材

二 日本産業規格G三一〇六(溶接構造用圧延鋼材)に適合する鋼材

三 日本工業規格G三一〇四(リベツト用圧延鋼材)に適合する鋼材

四 日本産業規格G五一〇一(炭素鋼鋳鋼品)に定める2種から4種までの規格に適合する鋼材

2 前項本文の規定にかかわらず、構造部分の材料は、都道府県労働局長が認めた場合には、耐食アルミニユーム合金押出形材、耐食アルミニユーム合金板等の材料とすることができる。

3 第一項本文の規定は、構造部分の部材として使用するワイヤロープについては、適用しない。

 

第二条 前条第一項の鋼材の定数は、次の表の上欄に掲げる係数の種類に応じて、それぞれ同表の下欄に掲げる値によるものとする。

係数の種類

縦弾性係数(単位 ニュートン毎平方ミリメートル)

二〇六、〇〇〇

せん断弾性係数(単位 ニュートン毎平方ミリメートル)

七九、〇〇〇

ポアソン比

〇・三

線膨張係数

〇・〇〇〇〇一二

 

第三条 第一条第一項ただし書のデリツクの構造部分の材料として木材を使用する場合には、その木材は、強度上著しい欠点となる割れ、虫食い、節、繊維の傾斜等の欠陥がないものでなければならない。

jump

第二節 許容応力

第四条 次の表の上欄に掲げる鋼材であつて構造部分に使用するものの許容引張応力、許容圧縮応力、許容せん断応力及び許容曲げ応力の値は、それぞれ同表の下欄に掲げる値以下でなければならない。

鋼材の種類

許容応力の値(単位 ニュートン毎平方ミリメートル)

引張り

圧縮

せん断

曲げ

日本産業規格G三一〇一(一般構造用圧延鋼材)に定める1種の規格に適合する鋼材

一二〇

一二〇

八八

一二〇

日本産業規格G三一〇一(一般構造用圧延鋼材)に定める2種の規格に適合する鋼材

一四〇

一四〇

一一〇

一四〇

日本産業規格G三一〇六(溶接構造用圧延鋼材)に定める1種の規格に適合する鋼材

一四〇

一四〇

一一〇

一四〇

日本産業規格G三一〇六(溶接構造用圧延鋼材)に定める2種の規格に適合する鋼材

一九〇

一九〇

一五〇

一九〇

日本工業規格G三一〇四(リベツト用圧延鋼材)に適合する鋼材

一一〇

日本産業規格G五一〇一(炭素鋼鋳鋼品)に定める2種の規格に適合する鋼材

七八

七八

六三

七八

日本産業規格G五一〇一(炭素鋼鋳鋼品)に定める3種の規格に適合する鋼材

八八

八八

七一

八八

日本産業規格G五一〇一(炭素鋼鋳鋼品)に定める4種の規格に適合する鋼材

九八

九八

七八

九八

2 前項の鋼材(日本産業規格G五一〇一(炭素鋼鋳鋼品)に適合する鋼材を除く。)の許容座屈応力の値は、次の式により計算を行つて得た値以下でなければならない。

λ<20の場合 fk=fc

20≦λ≦200の場合 fk=(1/ω)fc

(この式において、fk、fc、ω及びλは、それぞれ次の値を表すものとする。

fk 許容座屈応力(単位 ニュートン毎平方ミリメートル)

fc 許容圧縮応力(単位 ニュートン毎平方ミリメートル)

ω 別表に定める座屈係数

λ 有効細長比)

3 第一項の鋼材のうち日本産業規格G五一〇一(炭素鋼鋳鋼品)に適合する鋼材の許容座屈応力の値は、都道府県労働局長が認める値以下でなければならない。

4 第一項の鋼材以外の鋼材であつて構造部分に使用するものの許容引張応力、許容圧縮応力、許容せん断応力、許容曲げ応力及び許容座屈応力(以下「許容応力」という。)の値は、次の各号に定める値以下でなければならない。

一 鋼材に関する日本産業規格に適合する鋼材にあつては、当該規格に定める機械的性質に基づき都道府県労働局長が認める値

二 日本産業規格Z二二四一(金属材料引張試験方法)に定める引張試験のみが行なわれたものにあつては、当該試験の結果に基づき都道府県労働局長が認める値

三 引張強さが明らかでない鋼材のうち鋳鋼品にあつては、日本産業規格G五一〇一(炭素鋼鋳鋼品)に定める2種の規格に適合する鋼材の許容応力の値

四 引張強さが明らかでない鋼材のうち鋳鋼品以外のものにあつては、日本産業規格G三一〇一(一般構造用圧延鋼材)に定める1種の規格に適合する鋼材の許容応力の値

 

第五条 鋼材で構成される構造部分の溶接箇所の溶着部の許容応力(許容座屈応力を除く。)の値は、前条第一項又は第四項に規定するそれぞれの値(溶接加工の方法がすみ肉溶接である場合には、許容せん断応力の値)に、次の表の上欄に掲げる溶接加工の方法及び同表の中欄に掲げる鋼材の種類に応じて、それぞれ同表の下欄に掲げる係数を乗じた値以下でなければならない。

溶接加工の方法

鋼材の種類

係数(単位 パーセント)

引張り

圧縮

せん断

曲げ

放射線試験を行なうもの

放射線試験を行なわないもの

放射線試験を行なうもの

放射線試験を行なわないもの

放射線試験を行なうもの

放射線試験を行なわないもの

突合せ接溶

A

一〇〇・〇

八四・〇

一〇〇・〇

九四・五

八四・〇

一〇〇・〇

八四・〇

B

一〇〇・〇

八〇・〇

一〇〇・〇

九〇・〇

八〇・〇

一〇〇・〇

八〇・〇

すみ肉溶接

A

八四・〇

八四・〇

八四・〇

B

八〇・〇

八〇・〇

八〇・〇

この表中の記号「A」は、日本産業規格G三一〇六(溶接構造用圧延鋼材)に適合する鋼材又はこれと同等以上の機械的性質を有する鋼材であつて特に溶接性がすぐれたものを、記号「B」は、A以外の鋼材を表わすものとする。

2 前項の表の放射線試験を行なうものの欄に掲げる係数は、日本工業規格Z二三四一(金属材料の放射線透過試験方法)に定める放射線試験を溶接箇所の全長の二十パーセント以上の長さについて行なう場合に限り、適用するものとする。

3 前項の放射線試験を行なう場合には、溶接箇所は、その補強盛りが、母材の表面と同一の面まで削られていなければならない。ただし、補強盛りの中央における高さが、次の表の上欄に掲げる母材の厚さに応じて、それぞれ同表の下欄に掲げる高さ以下である場合には、この限りでない。

母材の厚さ(単位 ミリメートル)

補強盛りの高さ(単位 ミリメートル)

一二以下

一・五

一二をこえ二五以下

二・五

二五をこえるもの

三・〇

 

第六条 次の表の上欄に掲げる木材であつて構造部分に使用するものの繊維方向の許容応力(許容座屈応力を除く。)の値は、それぞれ同表の下欄に掲げる値以下でなければならない。

木材の種類

許容応力の値(単位 ニュートン毎平方センチメートル)

引張り

圧縮

せん断

曲げ

針葉樹

あかまつ、くろまつ、からまつ、つが、ひば、ひのき、べいまつ又はべいひ

八八〇

七八〇

七〇

八八〇

すぎ、もみ、えぞまつ、とどまつ、べいすぎ又はべいつが

六九〇

五九〇

五〇

六九〇

広葉樹

かし

一、二七〇

八八〇

一四〇

一、二七〇

くり、なら、ぶな又はけやき

九八〇

六九〇

一〇〇

九八〇

2 前項の木材の繊維方向の許容座屈応力の値は、次の式により計算を行つて得た値以下でなければならない。

λ≦100の場合 fk=fc(1-0.007λ)

λ>100の場合 fk=fc(0.3/(λ/100)2)

(この式において、fk、fc及びλは、それぞれ次の値を表すものとする。

fk 許容座屈応力(単位 ニュートン毎平方ミリメートル)

fc 許容圧縮応力(単位 ニュートン毎平方ミリメートル)

λ 有効細長比)

 

第七条 第一条第二項の規定により使用する材料及びこれにより構成される構造部分の溶接箇所の溶着部の許容応力の値は、当該材料の化学的成分及び機械的性質に基づき都道府県労働局長が認める値以下でなければならない。

 

第八条 前四条に規定する許容応力の値は、応力の値が垂直動荷重の位置若しくは大きさ又は水平動荷重の方向若しくは大きさにより変化する場合には、同条の規定にかかわらず、最大応力の値と最小応力の値との比及び応力の値の変化の繰り返し数に応じて、同条に定める値を減少させた値でなければならない。

 

第九条 前五条に規定する許容応力の値は、第十四条第一項第二号又は第三号若しくは第四号の組合せによる計算においては、それぞれ十五パーセント以下又は三十パーセント以下の範囲において割り増した値とすることができる。

jump

第三節 荷 重

第十条 構造部分にかかる荷重は、次の各号に掲げる荷重とする。

一 垂直荷重

二 水平荷重

三 風荷重

四 地震荷重

2 前項の規定にかかわらず、屋外に設置されるデリツク以外のデリツクについては、同項第三号に掲げる荷重を構造部分にかかる荷重としないことができる。

 

第十一条 前条第一項第三号の風荷重は、次の式により計算を行うものとする。この場合において、風速は、暴風時にあつては毎秒五十メートル、暴風時以外にあつては毎秒十六メートルとする。

W=q C A

(この式において、W、q、C及びAは、それぞれ次の値を表すものとする。

W 風荷重(単位 ニュートン)

q 速度圧(単位 ニュートン毎平方メートル)

C 風力係数

A 受圧面積(単位 平方メートル))

2 前項の速度圧の値は、次の式により計算を行うものとする。

q=(V2/3.1)(4√h)

(この式において、q、v及びhは、それぞれ次の値を表すものとする。

q 速度圧(単位 ニュートン毎平方メートル)

v 風速(単位 メートル毎秒)

h 風を受ける面の地上からの高さ(単位 メートル)(高さが十五メートル未満の場合には、十五))

3 第一項の風力係数の値は、風洞試験による場合を除き、次の表の上欄に掲げる風を受ける面の種類及び同表の中欄に掲げる充実率に応じて、それぞれ同表の下欄に掲げる値とする。

風を受ける面の種類

充実率

風力係数

平面ラチス又は平面トラスにより構成される面

〇・一未満

二・〇

〇・一以下〇・三未満

一・八

〇・三以上〇・九未満

一・六

〇・九以上

二・〇

平面により構成される構造物の面

一・二

ワイヤロープの面

一・二

備考

充実率の値は、風を受ける面の見付面積を当該風を受ける面の面積で除した値とする。

4 第一項の受圧面積は、風を受ける面の風の方向に直角な面に対する投影面積とする。この場合において、風を受ける面が風の方向に対して二面以上重なつてあるときは、次の各号に定めるところによる。

一 風を受ける面が二面重なつてあるとき 風の方向に対して第一の面となる面の投影面積に、風の方向に対して第二の面となる面のうち第一の面と重なつている部分の投影面積の六十パーセントの面積及び風の方向に対して第二の面となる面のうち第一の面と重なつていない部分の投影面積を加えた面積

二 風を受ける面が三面以上重なつてあるとき 前号の面積に、風の方向に対して第三面以下となる面のうち前方にある面と重なつている部分の投影面積の五十パーセントの面積及び風の方向に対して第三面以下となる面のうち前方にある面と重なつていない部分の投影面積を加えた面積

 

第十二条 第十条第一項第四号の地震荷重は、デリツクにその垂直荷重の二十パーセントに相当する荷重の水平荷重がかかるものとして計算を行なうものとする。

jump

第四節 強度計算等

第十三条 主柱、ブーム又は圧縮力がかかる控えは、その有効細長比の値が百五十以下でなければならない。

 

第十四条 構造部分を構成する部材の断面に生ずる応力の値は、次の各号に掲げる組合せによる計算において、それぞれ第二節に定める許容応力の値をこえてはならない。

一 静荷重係数を乗じた垂直静荷重及び動荷重係数を乗じた垂直動荷重の組合せ

二 静荷重係数を乗じた垂直静荷重、動荷重係数を乗じた垂直動荷重、動荷重係数を乗じた水平動荷重及び暴風時以外のときの風荷重の組合せ

三 垂直静荷重、垂直動荷重(荷の荷重を除く。)及び暴風時の風荷重の組合せ

四 垂直静荷重、垂直動荷重(荷の荷重を除く。)及び地震荷重の組合せ

2 前項の規定による応力の値の計算は、同項各号に掲げる組合せにおいて構造部分の強度に関し最も不利となる場合の荷重によつて行なうものとする。

3 第一項第一号及び第二号の静荷重係数及び動荷重係数は、それぞれデリツクの種類、型式、荷重率、運転時間率、定格速度、衝撃及び構造部分の形状に応ずる値とする。

 

第十五条 構造部分は、当該デリツクの使用に支障となる変形が生じないように剛性が保持されているものでなければならない。

jump

第五節 控え等

第十六条 控えは、次の各号に定めるところによるものでなければならない。

一 架空電路に近接していないこと。

二 ガイロープである控えにあつては、次に定めるところによること。

イ クリツプ、ターンバツクル、シンブル等の金具を用いて緊張されていること。

ロ ガイロープ用アンカ又はこれと同等以上に堅固な固定物に確実に取り付けられていること。

ハ シヤツクル、シンブル等の金具を用いて主柱と緊結されていること。

ニ イの場合において金具としてターンバツクルが用いられているときは、よりもどりを防止するための措置が講じられていること。

三 ガイデリツク又はジンポールデリツクのガイロープである控えにあつては、次に定めるところによること。

イ 数は、ガイデリツクにあつては六以上、ジンポールデリツクにあつては三以上であること。

ロ 等間隔に配置されていること。

ハ 等間隔に配置することができない場合には、ガイロープの数を増すこと等の方法によつて主柱を安定させるための補強の措置が講じられていること。

 

第十七条 ガイデリツク又はスチフレツグデリツクであつてブルホイールを有するものは、当該ブルホイールと主柱とを結ぶ控えを有するものでなければならない。

 

第十八条 長さが二十メートルをこえる主柱は、はしごを全長にわたつて備えるものでなければならない。

 

第十九条 はしごは、次の各号に定めるところによるものでなければならない。

一 踏さんは、二十五センチメートル以上三十五センチメートル以下の間隔で、かつ、等間隔に設けられていること。

二 踏さんと直近の固定物までの水平距離は、十五センチメートル以上であること。

三 側木を有しないものにあつては、踏さんは、人の足が横に滑り出ないようになつているものであること。

jump

第六節 加 工

第二十条 リベツト穴又はボルト穴は、次の各号に定めるところによるものでなければならない。

一 ドリルを用いてあけられていること。

二 かえり又はまくれがないこと。

 

第二十一条 ボルト、ナツト及び小ねじは、ゆるみ止め又は抜け止めが施されているものでなければならない。

 

第二十二条 溶接及びリベツト締めが行なわれている部分は、溶接が行なわれた後にリベツト締めが行なわれたものでなければならない。

 

第二十三条 溶接は、鋼材について行なうときは、次の各号に定めるところによるものでなければならない。

一 アーク溶接であること。

二 日本工業規格Z三二一一(軟鋼用被覆アーク溶接棒)に適合する溶接棒又はこれと同等以上の性能を有する溶接棒を用いて行なわれたものであること。

三 母材が予熱される場合を除き、溶接を行なう場所の温度が摂氏零度以下のときに行なわれたものでないこと。

 

第二十四条 溶接箇所は、次の各号に定めるところによるものでなければならない。

一 溶け込みが十分で、かつ、割れ又はアンダカツト、オーバーラツプ、クレータ等であつて強度上の欠陥となるものがないこと。

二 放射線試験が行なわれたものにあつては、日本工業規格Z二三四一(金属材料の放射線透過試験方法)に定める試験結果の等級分類の三級(圧縮力のみがかかる溶接箇所については、四級)以上であること。

 

第二十五条 ガイデリツクのさら形の陣笠がさ(鋳鋼製のものを除く。)のさらの部分は、プレス加工により成形されたものでなければならない。

jump

第二章 機械部分

第一節 ブレーキ

第二十六条 つり上装置及びブームを起伏させるための装置(以下「起伏装置」という。)は、荷及びブームの降下を制動するためのブレーキを備えるものでなければならない。

2 前項のブレーキは、次の各号に定めるところによるものでなければならない。

一 制動トルクの値(つり上装置又は起伏装置に二以上のブレーキが備えられている場合には、それぞれのブレーキの制動トルクの値を合計した値)は、デリツクに定格荷重に相当する荷重の荷をつつたときにおける当該デリツクのつり上装置又は起伏装置のトルクの値のうち最大の値の一・五倍以上であること。

二 人力によるものにあつては、次に定めるところによること。

イ 力量及びストロークの値は、次の表の上欄に掲げる操作の方式に応じて、それぞれ同表の中欄に掲げる力量の値及び同表の下欄に掲げるストロークの値以下であること。

操作の方式

力量(単位 ニュートン)

ストローク(単位 センチメートル)

足踏み式

三〇〇

三〇

手動式

二〇〇

六〇

ロ 歯止め装置又は止め金を備えているものであること。

三 人力によるもの以外のものにあつては、動力がしや断されたときに自動的に作動するものであること。

3 前項第一号のつり上装置又は起伏装置のトルクの値の計算においては、つり上装置又は起伏装置の抵抗は、ないものとする。ただし、当該つり上装置又は起伏装置に七十五パーセント以下の効率を有するウオーム・ウオーム歯車機構が用いられている場合には、その歯車機構の抵抗により生ずるトルクの値の二分の一の値のトルクに相当する抵抗があるものとすることができる。

jump

第二節 ドラム等

第二十七条 ワイヤロープによりつり上げ、ブームの起伏等の作動をする装置(以下この節において「つり上装置等」という。)のドラムの直径と当該ドラムに巻き込まれるワイヤロープの直径との比又は当該つり上装置等のシーブの直径と当該シーブを通るワイヤロープの直径との比は、それぞれ二十以上でなければならない。ただし、エコライザシーブの直径と当該エコライザシーブを通るワイヤロープの直径との比は、十以上とすることができる。

2 前項のつり上装置等のドラム又はシーブの直径は、それぞれ当該ドラム又はシーブのピツチ円の直径とする。

 

第二十八条 つり上装置等の溝付きドラムにワイヤロープが巻き込まれる場合における当該溝付きドラムの溝に当該ワイヤロープが巻き込まれる方向と当該溝に巻き込まれるときの当該ワイヤロープの方向との角度は、四度以内でなければならない。

2 つり上装置等の溝付きでないドラムにワイヤロープが巻き込まれる場合におけるフリートアングルの値は、二度以内でなければならない。

 

第二十九条 ワイヤロープとつり上装置等のドラム、ブーム、フツクブロツク等の物とを緊結している部分は、合金詰めソケツト止め、クランプ止め、コツタ止め等の方法により緊結されているものでなければならない。

jump

第三節 安全装置等

第三十条 つり上装置及び起伏装置は、巻過防止装置を備えるものでなければならない。ただし、ウインチを用いるつり上装置及び起伏装置については、この限りでない。

 

第三十一条 前条の巻過防止装置は、次の各号に定めるところによるものでなければならない。

一 自動的に動力をしや断し、及び作動を制動する機能を有するものであること。

二 容易に調整及び点検を行なうことができる構造のものであること。

2 同条の巻過防止装置のうち電気式のものにあつては、前項に定めるところによるほか、次の各号に定めるところによるものでなければならない。

一 次に定めるところによる外箱を有すること。

イ 材料は、鋼板その他堅ろうなものであること。

ロ 水又は粉じんの侵入により巻過防止装置の機能に障害を生ずるおそれがないこと。

ハ 見やすい箇所に、巻過防止装置の定格周波数、定格電圧及び定格電流を標示した銘板が取り付けられていること。

二 接点が開放されることにより巻過ぎが防止される構造のものであること。

三 接点、端子、巻線その他電気を通ずる部分と第一号の外箱との間の絶縁部分は、絶縁効力についての試験において、日本工業規格C八三二五(交流電磁開閉器)の絶縁抵抗試験及び絶縁耐力試験の項に定める基準に適合する規格を有するものであること。

四 じか入れ式のものにあつては、接点、端子、巻線その他電気を通ずる部分は、温度についての試験において、日本工業規格C八三二五(交流電磁開閉器)の温度試験の項に定める基準に適合する規格を有するものであること。

 

第三十二条 ブームが起伏するデリツクは、これを運転する者が見やすい位置に、当該ブームの傾斜角の度合いを示す装置を備えるものでなければならない。

jump

第四節 操作回路等

第三十三条 電磁スイツチ又は電磁接触器の操作回路であつて、これが接地したときに当該電磁スイツチ又は電磁接触器が閉路されるおそれがあるものは、次の各号に定めるところにより接続されているものでなければならない。

一 コイルの一端を接地側の電線に接続すること。

二 コイルと接地側の電線との間に開閉器がないこと。

 

第三十四条 コントローラは、その見やすい箇所に、当該コントローラが制御する装置の名称、電路の開閉の状態並びにデリツクの作動の速度及び方向が標示されているものでなければならない。

jump

第五節 回転部分等

第三十五条 歯車、軸、軸継手等の回転部分は、回転中労働者が接触することにより危害を受けるおそれがある箇所に、当該接触を防止するための囲い又は覆おおいを備えるものでなければならない。

 

第三十六条 ボルト、ナツト、ねじ、キー、コツタ及びピンは、ゆるみ止め又は抜け止めが施されているものでなければならない。

 

第三十七条 つり上装置、起伏装置又は旋回装置に用いるウインチは、浮上り、ずれ又はふれが生じないようにすえ付けられているものでなければならない。

jump

第三章 ワイヤロープ

第三十八条 ワイヤロープは、次の各号に定めるところによるものでなければならない。

一 安全係数は、次の表の上欄に掲げるワイヤロープの種類に応じて、それぞれ同表の下欄に掲げる値以上であること。

種 類

巻上用ワイヤロープ又は起伏用ワイヤロープ

旋回用ワイヤロープ、ブームの支持用ワイヤロープ又はガイロープ

二 次のイからニまでの一に該当しないこと。

イ ワイヤロープ一よりの間において素線(フイラ線を除く。以下本号において同じ。)の数の十パーセント以上の素線が切断しているもの

ロ 直径の減少が公称径の七パーセントをこえるもの

ハ キンクしたもの

ニ 著しい形くずれ又は著しい腐食があるもの

三 巻上用ワイヤロープにあつては、つり具の位置が最低となる場合に、つり上装置のドラムに二巻き以上残る長さのものであること。

四 起伏用ワイヤロープにあつては、ブームの位置が最低となる場合に、起伏装置のドラムに二巻き以上残る長さのものであること。

2 前項の安全係数は、ワイヤロープの切断荷重の値を当該ワイヤロープにかかる荷重の最大の値で除した値とする。この場合において、巻上用ワイヤロープ及び起伏用ワイヤロープについては、これらの自重(当該デリツクの揚程が五十メートルをこえる場合における巻上用ワイヤロープの自重を除く。)及びこれらが通るシーブの抵抗がないものとして計算を行なうものとする。

jump

第四章 運転室及び運転台

第三十九条 デリツクは、運転室又は運転台を有するものでなければならない。

 

第四十条 運転室又は運転台は、次の各号に定めるところによるものでなければならない。ただし、第一号の規定は、運転をする者と玉掛けをする者との間の連絡が確実に保持される場合には、適用しない。

一 運転のため必要な視界を妨げない位置に設けられていること。

二 容易に操作することができる位置に開閉器、コントローラ、ブレーキの操作部分、警報装置等の装置が設けられていること。

三 内部の温度が著しく低温となるおそれがある運転室にあつては、採暖の設備(一酸化炭素を発散しないものに限る。)を備えていること。

四 上方から物体が落下するおそれがある場所に設けられる運転台にあつては、防網その他物体の落下による危害を防止するための設備を備えていること。

jump

第五章 雑 則

第四十一条 デリツクは、その運転をする者及び玉掛けをする者が見やすい位置に、定格荷重が明確に標示されているものでなければならない。

 

第四十二条 第一章から第四章までの規定(第三十条及び第三十三条の規定を除く。)は、輸入したデリツク又は特殊な構造のデリツクであつて厚生労働省労働基準局長が認めたもの又はその部分については、適用しない。

 

改正文(平成一一年九月三〇日労働省告示第九七号 抄)

 平成十一年十月一日から適用する。

 

附 則(平成一二年一月三一日労働省告示第二号 抄)

(適用期日)

第一 この告示は、平成十二年四月一日から適用する。

(経過措置)

第二 この告示の適用前にこの告示による改正前のそれぞれの告示の規定に基づき都道府県労働基準局長が行つた行為又はこの告示の適用の際現にこれらの規定に基づき都道府県労働基準局長に対してされている行為は、改正後のそれぞれの告示の相当規定に基づき都道府県労働局長が行った行為又は都道府県労働局長に対してされている行為とみなす。

附 則(平成一二年一二月二五日労働省告示第一二〇号 抄)

(適用期日)

第一 この告示は、内閣法の一部を改正する法律(平成十二年法律第八十八号)の施行の日(平成十三年一月六日)から適用する。

 

附 則(令和元年六月二八日厚生労働省告示第四八号 抄)

(適用期日)

1 この告示は、不正競争防止法等の一部を改正する法律の施行の日(令和元年七月一日)から適用する。

 

別表甲

日本産業規格G3101(一般構造用圧延鋼材)に定める1種及び2種の規格に適合する鋼材並びに日本産業規格G3106(溶接構造用圧延鋼材)に定める1種の規格に適合する鋼材の許容座屈応力の値の計算に用いる座屈係数

λ

0

1

2

3

4

5

6

7

8

9

20

1.04

1.04

1.04

1.05

1.05

1.06

1.06

1.07

1.07

1.08

30

1.08

1.09

1.09

1.10

1.10

1.11

1.11

1.12

1.13

1.13

40

1.14

1.14

1.15

1.16

1.16

1.17

1.18

1.19

1.19

1.20

50

1.21

1.22

1.23

1.23

1.24

1.25

1.26

1.27

1.28

1.29

60

1.30

1.31

1.32

1.33

1.34

1.35

1.36

1.37

1.39

1.40

70

1.41

1.42

1.44

1.45

1.46

1.48

1.49

1.50

1.52

1.53

80

1.55

1.56

1.58

1.59

1.61

1.62

1.64

1.66

1.68

1.69

90

1.71

1.73

1.74

1.76

1.78

1.80

1.82

1.84

1.86

1.88

100

1.90

1.92

1.94

1.96

1.98

2.00

2.02

2.05

2.07

2.09

110

2.11

2.14

2.16

2.18

2.21

2.23

2.27

2.31

2.35

2.39

120

2.43

2.47

2.51

2.55

2.60

2.64

2.68

2.72

2.77

2.81

130

2.85

2.90

2.94

2.99

3.03

3.08

3.12

3.17

3.22

3.26

140

3.31

3.36

3.41

3.45

3.50

3.55

3.60

3.65

3.70

3.75

150

3.80

3.85

3.90

3.95

4.00

4.06

4.11

4.16

4.22

4.27

160

4.32

4.38

4.43

4.49

4.54

4.60

4.65

4.71

4.77

4.82

170

4.88

4.94

5.00

5.05

5.11

5.17

5.23

5.29

5.35

5.41

180

5.47

5.53

5.59

5.66

5.72

5.78

5.84

5.91

5.97

6.03

190

6.10

6.16

6.23

6.29

6.36

6.42

6.49

6.55

6.62

6.69

200

6.75

 

 

 

 

 

 

 

 

 

備考

λは、有効細長比を表わす。

 

別表乙

日本産業規格G3106(溶接構造用圧延鋼材)に定める2種の規格に適合する鋼材の許容座屈応力の値の計算に用いる座屈係数

λ

0

1

2

3

4

5

6

7

8

9

20

1.05

1.06

1.06

1.07

1.07

1.08

1.08

1.09

1.10

1.10

30

1.11

1.11

1.12

1.12

1.13

1.14

1.15

1.16

1.17

1.17

40

1.18

1.19

1.20

1.21

1.22

1.23

1.23

1.24

1.25

1.27

50

1.28

1.28

1.29

1.31

1.32

1.33

1.35

1.36

1.37

1.38

60

1.39

1.41

1.42

1.44

1.45

1.46

1.48

1.50

1.51

1.52

70

1.54

1.56

1.58

1.60

1.61

1.63

1.65

1.67

1.69

1.71

80

1.73

1.74

1.76

1.79

1.81

1.83

1.85

1.88

1.90

1.93

90

1.95

1.98

2.01

2.03

2.05

2.07

2.11

2.15

2.20

2.24

100

2.29

2.34

2.39

2.43

2.48

2.53

2.58

2.62

2.67

2.72

110

2.77

2.82

2.88

2.93

2.98

3.03

3.09

3.14

3.19

3.24

120

3.30

3.35

3.40

3.46

3.52

3.58

3.63

3.69

3.75

3.82

130

3.88

3.94

4.00

4.06

4.12

4.18

4.24

4.30

4.37

4.43

140

4.49

4.56

4.63

4.69

4.75

4.81

4.88

4.95

5.02

5.09

150

5.16

5.22

5.29

5.36

5.43

5.50

5.57

5.64

5.72

5.79

160

5.86

5.94

6.02

6.09

6.17

6.25

6.32

6.40

6.48

6.55

170

6.62

6.70

6.78

6.86

6.94

7.02

7.10

7.17

7.25

7.34

180

7.42

7.51

7.60

7.68

7.76

7.85

7.94

8.02

8.10

8.18

190

8.27

8.36

8.45

8.54

8.62

8.70

8.79

8.88

8.98

9.08

200

9.18

 

 

 

 

 

 

 

 

 

備考

λは、有効細長比を表わす。