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告示:平成三十一年度雇用施策実施方針の策定に関する指針

 

平成三十一年度雇用施策実施方針の策定に関する指針

制 定 平成三十一年三月二十九日厚生労働省告示第百五号

 

雇用対策法施行規則の一部を改正する省令(平成二十九年厚生労働省令第九十三号)附則第二条第二項の規定に基づき、平成三十一年度雇用施策実施方針の策定に関する指針を次のように定める。

 

平成三十一年度雇用施策実施方針の策定に関する指針

目次

 第一 趣旨

 第二 平成三十一年度の重点施策

 一 働き方改革に取り組む中小企業・小規模事業者等に対する支援等

 (一) 労働時間法制の見直し及び中小企業・小規模事業者等に対する支援制度の利用促進

 二 長時間労働の是正をはじめとする労働者が健康で安全に働くことができる職場環境の整備

 (一) 長時間労働の是正

 三 雇用形態又は就業形態に関わらない公正な待遇の確保

 (一) パートタイム・有期雇用労働法、改正労働者派遣法の周知及び事業主に対する支援

 (二) 無期転換ルールの円滑な運用や多様な正社員の普及

 四 柔軟な働き方がしやすい環境整備

 (一) 雇用型テレワークの導入支援

 (二) 自営型テレワークの就業環境の整備

 (三) 副業・兼業の普及促進

 五 治療と仕事の両立支援

 (一) 治療と仕事の両立支援に関する取組の促進

 六 最低賃金や賃金の引上げに向けた生産性向上等のための支援等

 七 人材確保支援の総合的な推進、地域雇用対策の推進

 (一) 公共職業安定所における人材確保支援の充実

 (二) 雇用管理改善による「魅力ある職場づくり」の促進等

 (三) 地方公共団体等と連携した地域雇用対策の推進

 八 雇用吸収力、付加価値の高い産業への転職・再就職支援

 (一) 職業能力の見える化及び職業能力評価の促進

 (二) 公共職業安定所におけるマッチング機能の充実

 九 女性の活躍推進等

 (一) 女性の活躍促進に向けた職業能力開発の推進

 (二) 女性活躍推進法に基づく取組の推進等

 (三) 総合的なハラスメント対策の推進

 (四) 仕事と家庭の両立支援の推進

 十 外国人材受入れの環境整備等

 (一) 特定技能外国人をはじめとする外国人労働者の適切な雇用管理の確保等

 (二) 外国人留学生等の就職支援

 (三) 定住外国人等に対する就職支援

 (四) 外国人技能実習制度の適正かつ円滑な運用

 十一 障害者の活躍促進

 (一) 公務部門における障害者雇用の推進

 (二) 法定雇用率の引上げに対応した、障害者雇用ゼロ企業を含む中小企業に対する支援の推進

 (三) 精神障害者、発達障害者、難病患者等の多様な障害特性に対応した就労支援の強化

 十二 高年齢者の就労支援・環境整備

 (一) マッチングによるキャリアチェンジの促進

 (二) 継続雇用延長等に向けた環境整備

 (三) 地域における多様な就業機会の確保

 十三 若者・就職氷河期世代に対する就労支援等

 (一) 新卒者等への正社員就職の支援

 (二) フリーター等の正社員就職の支援

 (三) 若年無業者等の社会的・職業的自立のための支援の推進

 十四 生活困窮者等の活躍促進

 (一) 公共職業安定所における生活困窮者の就労支援

 

第一 趣旨

この指針は、都道府県労働局長が、雇用対策法施行規則の一部を改正する省令附則第二条第二項の規定に基づき、毎年度、都道府県労働局及び公共職業安定所における職業指導及び職業紹介の事業その他の雇用に関する施策を講ずるに際しての方針(以下「雇用施策実施方針」という。)を策定するための指針である。

国と地方公共団体との連携強化の方向性は、それぞれの強みを発揮し、一体となって雇用対策を進めることで、住民サービスの更なる強化を目指すことであり、地域の自主性及び自立性を高めるための改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律(平成二十八年法律第四十七号)により、公共職業安定所利用者の利便性を高めることを第一義として、国と地方公共団体の連携を抜本的に拡充したところである。

具体的な取組としては、国と地方公共団体が一体となって総合的に雇用対策に取り組むため、都道府県労働局長と地方公共団体の長による雇用対策協定の締結や、公共職業安定所の求人情報・求職情報を地方公共団体等にオンラインで提供する取組、国が行う無料職業紹介等と地方公共団体が行う福祉等の業務を一体的に実施する取組、国と市町村が連携して設置するふるさとハローワークでの就職支援、各種の共同事業等がある。これらの取組については、都道府県労働局と地方公共団体が日頃から意思疎通を図り、利用者の様々なニーズにきめ細かく応え、着実に成果を上げていくことが重要である。

このため、雇用対策協定に基づく運営協議会等の開催、都道府県労働局職業安定部長を連絡責任者とする地方公共団体との連絡窓口の活用、また、各都道府県の労働力需給推計等の政策立案に資する情報の共有等を通じて、地方公共団体と一層緊密な連携・協力関係を構築する必要がある。

都道府県労働局長は、雇用対策協定を実施するための計画(都道府県労働局長と都道府県知事が締結した雇用対策協定に係るものに限る。)を作成することとした場合を除き、この指針を踏まえ、都道府県知事の意見を聴いて雇用施策実施方針を定め、国の講ずる雇用に関する施策と都道府県の講ずる雇用に関する施策とが密接な関連の下に円滑かつ効果的に実施されるよう努めるものとする。

 

第二 平成三十一年度の重点施策

一 働き方改革に取り組む中小企業・小規模事業者等に対する支援等

(一) 労働時間法制の見直し及び中小企業・小規模事業者等に対する支援制度の利用促進

ア 労働時間法制の見直しへの対応

長時間労働は、健康の確保だけでなく、仕事と家庭生活の両立を困難にし、少子化の原因や、女性のキャリア形成を阻む原因、男性の家庭参加を阻む原因となっている。労働者の健康確保を大前提に、生産性を上げつつ、労働者がそれぞれの事情に応じた多様な働き方を選択できる社会を実現する必要がある。

このため、罰則付きの時間外労働の上限規制や高度プロフェッショナル制度の創設等が盛り込まれた、働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律(平成三十年法律第七十一号。以下「働き方改革関連法」という。)の適正な履行確保に向けて、事業主等に対して法制度の周知を図る。特に、時間外労働の上限規制については、労働基準法第三十六条第一項の協定で定める労働時間の延長及び休日の労働について留意すべき事項等に関する指針(平成三十年厚生労働省告示第三百二十三号)に沿って周知を図る。

また、上限規制の適用が猶予される自動車運転業務、建設業等については、トラック運送事業に係る「取引環境と長時間労働の改善に向けたガイドライン」や、「建設工事における適正な工期設定等のためのガイドライン」を周知すること等により、長時間労働の是正に向けた環境整備を推進する。

イ 中小企業・小規模事業者等に対する支援制度の利用促進

中小企業・小規模事業者等が、働き方改革関連法の施行に向けて円滑に対応するため、働き方改革の趣旨や働き方改革関連法の内容について浸透させるとともに、中小企業・小規模事業者等が自社の労務管理改善に向けた具体的な取組を行えるよう、相談・支援体制を整備することが重要である。

このため、平成三十年四月から各都道府県に設置した働き方改革推進支援センターにおいて、中小企業・小規模事業者等を中心に、地方公共団体や関係機関との連携により、支援を実施する。

二 長時間労働の是正をはじめとする労働者が健康で安全に働くことができる職場環境の整備

(一) 長時間労働の是正

ア 生産性を高めながら労働時間の縮減等に取り組む事業者等の支援

労働者の健康確保、仕事と生活の調和、女性の活躍推進等の観点から、所定外労働時間の削減、年次有給休暇の取得促進等の働き方改革を進めていくことが求められている。

このため、働き方改革の実現に向けて、都道府県との連携の下、都道府県労働局は、働き方・休み方の見直しに向けた周知・広報を行うとともに、地方公共団体等との協働による地域における年次有給休暇の取得促進に向けた取組や、キッズウィークの推進、短納期発注など長時間労働につながる商慣行の見直し等の取組を実施する。

また、「働き方改革実行計画」(平成二十九年三月二十八日働き方改革実現会議決定)及び働き方改革関連法に基づき、時間外労働の上限規制や年次有給休暇の確実な取得など、働き方改革の趣旨や内容について周知を図る。

さらに、中小企業等における時間外労働の削減や人材の確保・育成、女性や若者にとって魅力ある職場づくりが進むよう、事業主団体や地方公共団体等と連携を図りながら好事例の情報提供、助成金を活用した改善に向けた支援を実施する。

イ 過労死等の防止

過労死等がなく、仕事と生活を調和させ、健康で充実して働き続けることのできる社会を実現するため、平成三十年七月に変更された「過労死等の防止のための対策に関する大綱」(平成三十年七月二十四日閣議決定)に基づく対策を着実に推進し、都道府県をはじめ地方公共団体との連携・協力を図りながら、啓発等を実施する。

三 雇用形態又は就業形態に関わらない公正な待遇の確保

(一) パートタイム・有期雇用労働法、改正労働者派遣法の周知及び事業主に対する支援

ア パートタイム・有期雇用労働法、改正労働者派遣法の円滑な施行に向けた周知等

雇用形態又は就業形態に関わらない公正な待遇を確保するため、二〇二〇年四月から施行される働き方改革関連法による改正後の短時間労働者及び有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する法律(平成五年法律第七十六号)及び労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律(昭和六十年法律第八十八号)について、その円滑な施行に向けて、地方公共団体と連携して法律の趣旨・内容の周知を行う。

イ 事業主に対する相談支援

非正規雇用労働者の均等・均衡待遇の実現に向けて取り組む事業主に対して、地方公共団体や関係機関と連携のうえ、四十七都道府県に設置した働き方改革推進支援センターにおいてきめ細かい相談支援を行うとともに、職務分析・職務評価の導入支援、助成金の活用促進等により雇用管理改善の取組を促進する。

(二) 無期転換ルールの円滑な運用や多様な正社員の普及

平成二十五年四月から施行された労働契約法(平成十九年法律第百二十八号)に基づく無期転換ルールにより、平成三十年四月以降、多くの有期契約労働者に無期転換申込権が発生しており、法の趣旨を踏まえた対応が求められる。また、これを契機として、正社員と非正規雇用労働者の二極化を緩和し、待遇の改善やワーク・ライフ・バランスの実現のため、多様な正社員の普及を図ることが重要である。

このため、地方公共団体と連携しながら、セミナーの開催等により、労使双方に対し、無期転換ルールの周知啓発及び多様な正社員の普及を図る。

四 柔軟な働き方がしやすい環境整備

(一) 雇用型テレワークの導入支援

子育てや介護と仕事の両立の手段となり、雇用の安定に資する雇用型テレワークが、適正な労務管理下で実施されるよう「情報通信技術を利用した事業場外勤務の適切な導入及び実施のためのガイドライン」について、地方公共団体と連携して企業に周知徹底を図る。

(二) 自営型テレワークの就業環境の整備

自営型テレワークの契約に係る紛争を未然に防止し、良好な就業形態とするために必要な事項を示した「自営型テレワークの適正な実施のためのガイドライン」について、地方公共団体と連携して注文者、仲介事業者及び自営型テレワーカーへの周知徹底を図る。

(三) 副業・兼業の普及促進

自身の能力を一企業にとらわれずに幅広く発揮したい、スキルアップを図りたいといった希望を持つ労働者が副業・兼業を行うことができる環境を整備するため、平成二十九年度に策定した「副業・兼業の促進に関するガイドライン」及び改定版モデル就業規則の周知を行い、地方公共団体と連携しながら副業・兼業の普及促進に努める。

五 治療と仕事の両立支援

(一) 治療と仕事の両立支援に関する取組の促進

ア 都道府県における「地域両立支援推進チーム」を通じた両立支援の取組の推進

治療と仕事の両立支援対策の推進に当たっては、保健医療施策、福祉施策等との連携を含めた総合的かつ横断的な対策が重要である。このため、都道府県労働局は、「地域両立支援推進チーム」を活用し、地方公共団体等と連携を図りながら、治療と仕事の両立を社会的にサポートする仕組みを整え、疾病等(がん、難病、障害等)を抱える労働者を支援する取組を促進する。

イ がん等の疾病による長期療養が必要な求職者に対する就労支援の強化等

都道府県労働局及び公共職業安定所は、地方公共団体やがん診療連携拠点病院等関係機関と連携し、がん等の疾病による長期療養が必要な求職者に対する就職支援や事業主の理解を促進するための取組を引き続き実施する。

六 最低賃金や賃金の引上げに向けた生産性向上等のための支援等

最低賃金については、年率三%程度を目途として引上げ、全国加重平均千円となることを目指しており、最低賃金や賃金の引上げを図っていくためには、企業の生産性向上の実現を後押しすることが必要である。

都道府県労働局及び公共職業安定所は、最低賃金や賃金の引上げに向けた生産性向上等の支援を目的とした各種の労働関係助成金について、事業主団体や地方公共団体等と連携しながら、事業主に対して積極的に周知を行い、当該助成金の利用の促進を図る。

七 人材確保支援の総合的な推進、地域雇用対策の推進

(一) 公共職業安定所における人材確保支援の充実

福祉分野のほか、建設、警備、運輸など雇用吸収力の高い分野における人材確保に向けて、関係団体や地方公共団体等との連携による求人者向け・求職者向けセミナー、事業所見学会、就職面接会等の人材確保支援を実施する。

(二) 雇用管理改善による「魅力ある職場づくり」の促進等

雇用管理改善、生産性向上等に取り組む事業主等を支援する人材確保等支援助成金の活用による建設、介護、保育分野等の雇用管理改善の推進等について、地方公共団体と連携して周知・啓発を行い、あらゆる機会を活用して「魅力ある職場づくり」を推進する。

特に、介護分野においては、公益財団法人介護労働安定センターが設置する「介護労働懇談会」等を通じて、地方公共団体や介護関係団体等と情報共有や業務の連携を図る。

(三) 地方公共団体等と連携した地域雇用対策の推進

地方公共団体においては、まち・ひと・しごと創生法(平成二十六年法律第百三十六号)に基づき策定した地方版総合戦略を踏まえた取組が進められている。厚生労働省においても、地方公共団体による雇用創出や人材育成・確保等の自主的な取組を支援するため、地域雇用活性化推進事業及び中途採用等支援助成金(UIJターンコース)を創設するとともに、地域活性化雇用創造プロジェクト、地域雇用開発助成金及び地方就職希望者活性化事業等を引き続き実施する。都道府県労働局においては、各地域の取組がより効果的なものとなるようその知見を積極的に地方公共団体等へ提供する。

八 雇用吸収力、付加価値の高い産業への転職・再就職支援

(一) 職業能力の見える化及び職業能力評価の促進

技能検定、資格制度、業界団体等による検定制度などの企業横断的なものさしとなる資格制度等による技術技能の評価の人員配置、昇格及び賃金への反映状況について調査し、技能レベルの見える化を図るとともに、職業能力評価の促進を図る必要がある。

また、ものづくり分野など地域における人材の育成を支援するため、若者が技能検定を受検しやすい環境の整備、技能が尊重される社会・機運の醸成に取り組む必要がある。

このため、都道府県等の関係機関と連携して、技能検定制度の若者の受検料減免措置、「ものづくりマイスター」及び「ITマイスター」の周知・広報に取り組む。また、「グッドスキルマーク」及び「地域発!いいもの」等の優れた技能に基づく製品等についても、機会を捉えて活用、支援に取り組む。

(二) 公共職業安定所におけるマッチング機能の充実

外部労働市場全体としてのマッチング機能の最大化に向けて、公共職業安定所、地方公共団体等様々なマッチング機関が密接に連携し、それぞれの得意分野・手法によりその役割を果たすことが必要である。

このため、公共職業安定所は、保有する求人情報・求職情報を地方公共団体等にオンラインで提供する取組を引き続き実施する。求人情報の提供については、求人者の意向確認等を徹底し、オンラインでの提供割合を向上させることに努める。

九 女性の活躍推進等

(一) 女性の活躍促進に向けた職業能力開発の推進

子育て等により離職した女性の再就職を支援するため、公的職業訓練において、育児等による時間的制約のある方向けの短時間訓練コースの設定や、託児サービス支援の提供等を引き続き推進する必要がある。都道府県労働局は、都道府県や独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構支部と連携し、訓練コースの一層の設定促進に努める。

(二) 女性活躍推進法に基づく取組の推進等

女性の活躍推進の取組を着実に前進させるため、女性の職業生活における活躍の推進に関する法律(平成二十七年法律第六十四号)に基づく一般事業主行動計画策定等が努力義務である常時雇用する労働者が三百人以下の中小企業に対し、女性活躍推進の取組を促進する必要がある。また、求職者の企業選択に資するよう「女性の活躍推進企業データベース」(以下「データベース」という。)の利用を促進する必要がある。

このため、両立支援等助成金(女性活躍加速化コース)の支給や、行動計画を策定した企業や好事例企業の紹介、データベース利用のメリット等、地方公共団体と連携した広報活動や情報提供等により、女性活躍推進に取り組む。

また、働く人が性別により差別されることなく、かつ、働く女性が母性を尊重されつつ、その能力を発揮できる雇用環境を整備するため、地方公共団体と連携し、雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律(昭和四十七年法律第百十三号)の周知・広報に取り組む。

(三) 総合的なハラスメント対策の推進

職場におけるセクシュアルハラスメント、妊娠・出産、育児休業等に関するハラスメント及びパワーハラスメントのない職場環境を整備するため、都道府県労働局は、地方公共団体と連携し、職場環境におけるハラスメント防止対策に関する総合的・一体的な周知・広報に取り組む。

(四) 仕事と家庭の両立支援の推進

ア 育児・介護休業法の周知徹底

希望出生率一.八の実現、介護離職ゼロに向け、育児休業や介護休業等を取得しやすい環境を整備するため、地方公共団体と連携して、育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律(平成三年法律第七十六号)の内容の周知徹底を行う。

特に、介護に直面した労働者に介護休業制度に関する情報提供がされるよう、地方公共団体や地域包括支援センター等と連携し、介護休業制度の周知・広報に取り組む。

イ 仕事と家庭の両立支援に取り組む事業主への支援

働きながら安心して育児や介護を行える職場環境を整備するため、地方公共団体と連携し、仕事と家庭の両立支援に取り組む事業主への各種助成金の支給や次世代育成支援対策推進法(平成十五年法律第百二十号)に基づく認定制度・特例認定制度の周知等を通じて、事業主の取組を促進する。

ウ 女性の再就職支援の一層の推進

子育て等により離職した女性の再就職を支援するため、マザーズハローワーク事業において、地方公共団体との連携による保育サービス関連情報提供等を引き続き実施する。

十 外国人材受入れの環境整備等

(一) 特定技能外国人をはじめとする外国人労働者の適切な雇用管理の確保等

特定技能外国人等の地域における安定した就労を促進するため、地方公共団体と協力して事業主に対するセミナーを開催する等により、事業主による雇用管理の改善に向けた取組みを促すとともに、地域の公共職業安定所に外国人が来訪した場合には、通訳の活用等により本人の希望を丁寧に確認しつつ、外国人と地域の企業等とのマッチング支援を推進する。その際、外国人本人の職業選択に資するよう地方公共団体と連携し、住環境や行政サービスの紹介等に関する情報もあわせて提供するよう努める。

(二) 外国人留学生等の就職支援

「日本再興戦略二〇一六」(平成二十八年六月二日閣議決定)を踏まえ、留学生の日本国内での就職率を平成三十二年度までに五割以上とするため、外国人雇用サービスセンター等の増設など支援体制の強化を図り、地方公共団体や地域の教育機関とも連携しつつ、インターンシップやセミナーを実施する等により、留学生と企業との更なるマッチングを推進する。

(三) 定住外国人等に対する就職支援

ア 日系人及びその子弟を含む、定住外国人等に向けた職業相談の実施

就労を希望する定住外国人等に対して的確な職業相談を実施するため、定住外国人等が集住する地域を中心に通訳員を配置し、多言語による就職支援を実施する。

イ 外国人就労・定着支援研修の実施

定住外国人等の地域における安定した就労を促進するため、日本語コミュニケーション能力の向上や我が国の雇用慣行、社会保険制度等に関する知識の習得を目的とした研修を実施する。

(四) 外国人技能実習制度の適正かつ円滑な運用

外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律(平成二十八年法律第八十九号)に基づき新設された外国人技能実習機構において技能実習生に対して相談・支援等を行っており、適切な連携を行う。

さらに、都道府県労働局、外国人技能実習機構、地方入国管理局、業所管省庁の出先機関、地方公共団体等で構成され、ブロック単位で都道府県労働局が事務局として開催する地域協議会において、中央協議会で策定される方針等を踏まえ、技能実習制度の適正化に向け、地域の課題の共有、取組方針の協議、関係機関との連携の確保・強化に取り組む。

十一 障害者の活躍促進

(一) 公務部門における障害者雇用の推進

公務部門における障害者雇用に関する基本方針に基づき、各府省や地方公共団体が法定雇用率を速やかに達成するために必要な支援を実施する必要がある。

このため、各府省等向けのセミナー・職場見学会等の開催により、障害者雇用に関する理解を促進する。また、公共職業安定所に就職支援ナビゲーター・職場適応支援者を配置することにより、各府省等における障害者の雇用の促進や雇用された障害者の職場における定着を図る。

(二) 法定雇用率の引上げに対応した、障害者雇用ゼロ企業を含む中小企業に対する支援の推進

障害者の雇用者数が過去最高を更新し、また、平成三十年四月から精神障害者の雇用義務化に伴う障害者雇用率の引上げが行われたことから、障害者雇用の充実及び強化を図る必要がある。

このため、都道府県労働局及び公共職業安定所は、障害者就業・生活支援センター等との連携の強化を図りながら、雇用された障害者の職場における定着を促進する。

また、障害者雇用ゼロ企業(障害者の雇用義務のある企業のうち、一人も障害者を雇用していない企業をいう。)に対して、当該企業の状況を踏まえた支援計画を作成し、採用の準備段階から採用後の定着支援までを一貫して支援する。

(三) 精神障害者、発達障害者、難病患者等の多様な障害特性に対応した就労支援の強化

身体障害、知的障害、精神障害、発達障害、難病といった多様な障害特性や本人の希望、能力等に応じて就労することができる環境を実現する必要がある。

このため、公共職業安定所は、地域の関係機関と連携したチーム支援や、特別支援学校等を対象にする就職ガイダンスの積極的な実施により、そのマッチング機能を強化する。

また、多様な障害特性に対応するため、地域の就労支援機関に加え、医療機関や発達障害者支援センター、難病相談支援センター、大学等との連携を強化する。

都道府県労働局及び公共職業安定所は、都道府県や地域の関係機関等と連携し、的確な職業訓練の受講あっせんや就職支援に努める。また、精神障害者等の新規求職申込件数が大幅に増加していることを踏まえ、障害者雇用率の達成指導等の機会を捉えて職業訓練ニーズを把握し、都道府県への情報提供を行う等、都道府県が適切な訓練コースを設定できるよう支援するとともに、訓練者数が減少傾向であること及び障害者訓練の委託先機関の確保が難しいこと等の状況を把握した場合は、都道府県が円滑に訓練の運営ができるよう支援する。

特に、職業能力開発校(一般校)において精神障害者等を対象とした職業訓練を円滑に実施するため、都道府県労働局は事業の実施や訓練生の確保等について都道府県を支援する。

十二 高年齢者の就労支援・環境整備

(一) マッチングによるキャリアチェンジの促進

高年齢者等の雇用の安定等の法律(昭和四十六年法律第六十八号)に基づく高年齢者雇用確保措置の実施が着実に図られるなか、今後は六十五歳を超えても働きたい高年齢求職者に対する再就職支援が重要となっている。

このため、全国の主要な公共職業安定所に設置された「生涯現役支援窓口」を増設し、地方公共団体との連携を図りながら、特に六十五歳以上の高年齢求職者に対する再就職支援を強化する。

(二) 継続雇用延長等に向けた環境整備

高年齢者が意欲と能力のある限り働き続けることができる生涯現役社会を実現するため、継続雇用の延長や定年引上げに向けた環境を整える必要がある。

このため、地方公共団体等と連携しながら、高年齢者雇用の必要性等を周知し、生涯現役社会の実現に向けた気運の醸成を図るとともに、六十五歳以上への定年引上げ、六十六歳以上の継続雇用制度の導入や高年齢者の雇用管理制度の整備を行う企業を支援する「六十五歳超雇用推進助成金」の利用の促進を図る。

(三) 地域における多様な就業機会の確保

企業を退職した高年齢者の活動の中心となる地域社会において、多様な就業機会が確保されるようにしていくことが重要となっている。

このため、地方公共団体をはじめとする高年齢者の就業等に係る地域の関係者から構成される協議会の設置及び「生涯現役促進地域連携事業」の実施を推進し、地域の高年齢者の就業促進に向けて連携強化等を図る。

また、シルバー人材センターを活用する高齢者が人手不足の悩みを抱える企業を一層強力に支えるため、地方公共団体等と連携を図りながら、シルバー人材センターの業務拡大等を推進する。

十三 若者・就職氷河期世代に対する就労支援等

(一) 新卒者等への正社員就職の支援

青少年の雇用の促進等に関する法律(昭和四十五年法律第九十八号)に基づき、若者の適職選択に資する職場情報の提供及び若者の雇用管理が優良な中小企業を認定するユースエール認定制度等の取組を引き続き促進するとともに、公共職業安定所において一定の労働関係法令違反を繰り返す事業所等の新卒求人を受け付けない求人不受理を引き続き実施する。

また、学校等との連携を強化し、新卒応援ハローワークに関する周知・広報を図るとともに、未就職卒業者や学校を退学した者等についても、都道府県や学校等と連携を図りながら、地方公共団体が参加する新卒者等人材確保推進本部等を活用し、地域の実情に応じた就職支援を実施する。

さらに、学卒全員正社員就職に向け、学校等と連携を強化し、就職活動が困難な学生や地方就職等の多様なニーズを持つ学生を都道府県労働局・公共職業安定所が早期に把握し、新卒応援ハローワークに適切に誘導する。特に、コミュニケーション能力等に課題を抱える者に対し、心理的サポートも含めた早期からの総合的な支援等を行うとともに、新卒者の希望にマッチした求人確保や人手不足業種などの企業と学生とのマッチングなどにより、就職支援を強化する。

(二) フリーター等の正社員就職の支援

わかものハローワーク等において、担当者制によるきめ細かな職業相談・職業紹介を行うとともに、都道府県が設置するジョブカフェとの連携、トライアル雇用等の活用を通じてフリーター等のニーズに応じた正社員就職の支援を実施する。

また、いわゆる就職氷河期に就職時期を迎えた不安定就労者等に対し、短期・集中的なセミナー、企業に対する雇入れ支援等により、正社員就職に向けた集中的な支援を引き続き実施する。また、わかものハローワークにおいて、引き続き実践的スキルの付与が必要な者を対象に公的職業訓練への積極的な誘導を行う。

(三) 若年無業者等の社会的・職業的自立のための支援の推進

地域若者サポートステーションにおいて、高校中退者等を含む若年無業者等に対し、地方公共団体と連携し、個々の若者の状況に応じた相談機会の提供、職場体験等各種プログラムの実施、アウトリーチ(訪問)型支援の活用など、職業的自立に向けた切れ目のない支援を推進する。

また、就職氷河期に就職時期を迎えた者等、自立に向けて深刻化・複合化した課題を抱える無業者を対象に、地域若者サポートステーションの就労支援と生活困窮者自立支援制度をワンストップ形態で提供を可能とする体制整備等を行い、その成果・課題等の検証を行うためのモデル事業に新たに取り組む。

十四 生活困窮者等の活躍促進

(一) 公共職業安定所における生活困窮者の就労支援

生活保護受給者数が高止まりの状況にあること等から、公共職業安定所と地方公共団体が一体となった就労支援を推進する必要がある。

このため、地方公共団体に公共職業安定所の常設窓口を設置することの他、福祉事務所等での出張相談や就労準備の整った者を積極的に公共職業安定所の就労支援に誘導すること等により、ワンストップによる相談を実施する。さらに、生活保護受給者等を雇い入れる事業主に対して助成金を支給するとともに就職後の定着を支援し、生活保護受給者を含む生活困窮者等の就労による自立を推進する。