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派遣元事業主が講ずべき措置に関する指針
制 定 平成十一年十一月十七日労働省告示第百三十七号
最終改正 令和四年三月二十五日厚生労働省告示第九十二号
労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律(昭和六十年法律第八十八号)第四十七条の三の規定に基づき、派遣元事業主が講ずべき措置に関する指針を次のように定め、平成十一年十二月一日から適用し、平成八年労働省告示第百二号(派遣元事業主及び派遣先が講ずべき措置に関する指針)は、平成十一年十一月三十日限り廃止する。
派遣元事業主が講ずべき措置に関する指針
第一 趣旨
この指針は、労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律(以下「労働者派遣法」という。)第二十四条の三並びに第三章第一節及び第二節の規定により派遣元事業主が講ずべき措置に関して、その適切かつ有効な実施を図るために必要な事項を定めたものである。
また、労働者派遣法第二十四条の三の規定により派遣元事業主が講ずべき措置に関する必要な事項と併せ、個人情報の保護に関する法律(平成十五年法律第五十七号)の遵守等についても定めたものである。
第二 派遣元事業主が講ずべき措置
一 労働者派遣契約の締結に当たっての就業条件の確認
派遣元事業主は、派遣先との間で労働者派遣契約を締結するに際しては、派遣先が求める業務の内容及び当該業務に伴う責任の程度(八及び九において「職務の内容」という。)、当該業務を遂行するために必要とされる知識、技術又は経験の水準、労働者派遣の期間その他労働者派遣契約の締結に際し定めるべき就業条件を事前にきめ細かに把握すること。
二 派遣労働者の雇用の安定を図るために必要な措置
(一) 労働契約の締結に際して配慮すべき事項
派遣元事業主は、労働者を派遣労働者として雇い入れようとするときは、当該労働者の希望及び労働者派遣契約における労働者派遣の期間を勘案して、労働契約の期間について、当該期間を当該労働者派遣契約における労働者派遣の期間と合わせる等、派遣労働者の雇用の安定を図るために必要な配慮をするよう努めること。
(二) 労働者派遣契約の締結に当たって講ずべき措置
イ 派遣元事業主は、労働者派遣契約の締結に当たって、派遣先の責に帰すべき事由により労働者派遣契約の契約期間が満了する前に当該労働者派遣契約の解除が行われる場合には、派遣先は当該労働者派遣に係る派遣労働者の新たな就業機会の確保を図ること及びこれができないときには少なくとも当該労働者派遣契約の解除に伴い当該派遣元事業主が当該労働者派遣に係る派遣労働者を休業させること等を余儀なくされることにより生ずる損害である休業手当、解雇予告手当等に相当する額以上の額について損害の賠償を行うことを定めるよう求めること。
ロ 派遣元事業主は、労働者派遣契約の締結に当たって、労働者派遣の終了後に当該労働者派遣に係る派遣労働者を派遣先が雇用する場合に、当該雇用が円滑に行われるよう、派遣先が当該労働者派遣の終了後に当該派遣労働者を雇用する意思がある場合には、当該意思を事前に派遣元事業主に示すこと、派遣元事業主が職業安定法(昭和二十二年法律第百四十一号)その他の法律の規定による許可を受けて、又は届出をして職業紹介を行うことができる場合には、派遣先は職業紹介により当該派遣労働者を雇用し、派遣元事業主に当該職業紹介に係る手数料を支払うこと等を定めるよう求めること。
(三) 労働者派遣契約の解除に当たって講ずべき措置
派遣元事業主は、労働者派遣契約の契約期間が満了する前に派遣労働者の責に帰すべき事由以外の事由によって労働者派遣契約の解除が行われた場合には、当該労働者派遣契約に係る派遣先と連携して、当該派遣先からその関連会社での就業のあっせんを受けること、当該派遣元事業主において他の派遣先を確保すること等により、当該労働者派遣契約に係る派遣労働者の新たな就業機会の確保を図ること。また、当該派遣元事業主は、当該労働者派遣契約の解除に当たって、新たな就業機会の確保ができない場合は、まず休業等を行い、当該派遣労働者の雇用の維持を図るようにするとともに、休業手当の支払等の労働基準法(昭和二十二年法律第四十九号)等に基づく責任を果たすこと。さらに、やむを得ない事由によりこれができない場合において、当該派遣労働者を解雇しようとするときであっても、労働契約法(平成十九年法律第百二十八号)の規定を遵守することはもとより、当該派遣労働者に対する解雇予告、解雇予告手当の支払等の労働基準法等に基づく責任を果たすこと。
(四) 労働者派遣契約の終了に当たって講ずべき事項
イ 派遣元事業主は、無期雇用派遣労働者(労働者派遣法第三十条の二第一項に規定する無期雇用派遣労働者をいう。以下同じ。)の雇用の安定に留意し、労働者派遣が終了した場合において、当該労働者派遣の終了のみを理由として当該労働者派遣に係る無期雇用派遣労働者を解雇してはならないこと。
ロ 派遣元事業主は、有期雇用派遣労働者(労働者派遣法第三十条第一項に規定する有期雇用派遣労働者をいう。以下同じ。)の雇用の安定に留意し、労働者派遣が終了した場合であって、当該労働者派遣に係る有期雇用派遣労働者との労働契約が継続しているときは、当該労働者派遣の終了のみを理由として当該有期雇用派遣労働者を解雇してはならないこと。
三 適切な苦情の処理
派遣元事業主は、派遣労働者の苦情の申出を受ける者、派遣元事業主において苦情の処理を行う方法、派遣元事業主と派遣先との連携のための体制等を労働者派遣契約において定めること。また、派遣元管理台帳に苦情の申出を受けた年月日、苦情の内容及び苦情の処理状況について、苦情の申出を受け、及び苦情の処理に当たった都度、記載すること。また、派遣労働者から苦情の申出を受けたことを理由として、当該派遣労働者に対して不利益な取扱いをしてはならないこと。
四 労働・社会保険の適用の促進
派遣元事業主は、その雇用する派遣労働者の就業の状況等を踏まえ、労働・社会保険の適用手続を適切に進め、労働・社会保険に加入する必要がある派遣労働者については、加入させてから労働者派遣を行うこと。ただし、新規に雇用する派遣労働者について労働者派遣を行う場合であって、当該労働者派遣の開始後速やかに労働・社会保険の加入手続を行うときは、この限りでないこと。
五 派遣先との連絡体制の確立
派遣元事業主は、派遣先を定期的に巡回すること等により、派遣労働者の就業の状況が労働者派遣契約の定めに反していないことの確認等を行うとともに、派遣労働者の適正な派遣就業の確保のために、きめ細かな情報提供を行う等により、派遣先との連絡調整を的確に行うこと。特に、労働基準法第三十六条第一項の時間外及び休日の労働に関する協定の内容等派遣労働者の労働時間の枠組みについては、情報提供を行う等により、派遣先との連絡調整を的確に行うこと。なお、同項の協定の締結に当たり、労働者の過半数を代表する者の選出を行う場合には、労働基準法施行規則(昭和二十二年厚生省令第二十三号)第六条の二の規定に基づき、適正に行うこと。
また、派遣元事業主は、割増賃金等の計算に当たり、その雇用する派遣労働者の実際の労働時間等について、派遣先に情報提供を求めること。
六 派遣労働者に対する就業条件の明示
派遣元事業主は、モデル就業条件明示書の活用等により、派遣労働者に対し就業条件を明示すること。
七 労働者を新たに派遣労働者とするに当たっての不利益取扱いの禁止
派遣元事業主は、その雇用する労働者であって、派遣労働者として雇い入れた労働者以外のものを新たに労働者派遣の対象としようとする場合であって、当該労働者が同意をしないことを理由として、当該労働者に対し解雇その他不利益な取扱いをしてはならないこと。
八 派遣労働者の雇用の安定及び福祉の増進等
(一) 無期雇用派遣労働者について留意すべき事項
派遣元事業主は、無期雇用派遣労働者の募集に当たっては、「無期雇用派遣」という文言を使用すること等により、無期雇用派遣労働者の募集であることを明示しなければならないこと。
(二) 特定有期雇用派遣労働者等について留意すべき事項
イ 派遣元事業主が、労働者派遣法第三十条第二項の規定の適用を避けるために、業務上の必要性等なく同一の派遣労働者に係る派遣先の事業所その他派遣就業の場所(以下「事業所等」という。)における同一の組織単位(労働者派遣法第二十六条第一項第二号に規定する組織単位をいう。以下同じ。)の業務について継続して労働者派遣に係る労働に従事する期間を三年未満とすることは、労働者派遣法第三十条第二項の規定の趣旨に反する脱法的な運用であって、義務違反と同視できるものであり、厳に避けるべきものであること。
ロ 派遣元事業主は、労働者派遣法第三十条第一項(同条第二項の規定により読み替えて適用する場合を含む。以下同じ。)の規定により同条第一項の措置(以下「雇用安定措置」という。)を講ずるに当たっては、当該雇用安定措置の対象となる特定有期雇用派遣労働者等(同条第一項に規定する特定有期雇用派遣労働者等をいう。以下同じ。)(近い将来に該当する見込みのある者を含む。)に対し、キャリアコンサルティング(職業能力開発促進法(昭和四十四年法律第六十四号)第二条第五項に規定するキャリアコンサルティングのうち労働者の職業生活の設計に関する相談その他の援助を行うことをいう。)や労働契約の更新の際の面談等の機会を利用し、又は電子メールを活用すること等により、労働者派遣の終了後に継続して就業することの希望の有無及び希望する雇用安定措置の内容を把握すること。
ハ 派遣元事業主は、雇用安定措置を講ずるに当たっては、当該雇用安定措置の対象となる特定有期雇用派遣労働者等の希望する雇用安定措置を講ずるよう努めること。また、派遣元事業主は、特定有期雇用派遣労働者(労働者派遣法第三十条第一項に規定する特定有期雇用派遣労働者をいう。)が同項第一号の措置を希望する場合には、派遣先での直接雇用が実現するよう努めること。
ニ 派遣元事業主は、雇用安定措置を講ずるに当たっては、当該雇用安定措置の対象となる特定有期雇用派遣労働者等の労働者派遣の終了の直前ではなく、早期に当該特定有期雇用派遣労働者等の希望する雇用安定措置の内容について聴取した上で、十分な時間的余裕をもって当該措置に着手すること。
(三) 労働契約法等の適用について留意すべき事項
イ 派遣元事業主は、派遣労働者についても労働契約法の適用があることに留意すること。
ロ 派遣元事業主が、その雇用する有期雇用派遣労働者について、当該有期雇用派遣労働者からの労働契約法第十八条第一項の規定による期間の定めのない労働契約の締結の申込みを妨げるために、当該有期雇用派遣労働者に係る期間の定めのある労働契約の更新を拒否し、また、空白期間(同条第二項に規定する空白期間をいう。)を設けることは、同条の規定の趣旨に反する脱法的な運用であること。
ハ 派遣元事業主は、短時間労働者及び有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する法律(平成五年法律第七十六号)第八条の規定により、その雇用する有期雇用派遣労働者の通勤手当について、その雇用する通常の労働者の通勤手当との間において、当該有期雇用派遣労働者及び通常の労働者の職務の内容、当該職務の内容及び配置の変更の範囲その他の事情のうち、当該通勤手当の性質及び当該通勤手当を支給する目的に照らして適切と認められるものを考慮して、不合理と認められる相違を設けてはならないこと。また、派遣元事業主は、同法第九条の規定により、職務の内容が通常の労働者と同一の有期雇用派遣労働者であって、当該事業所における慣行その他の事情からみて、当該派遣元事業主との雇用関係が終了するまでの全期間において、その職務の内容及び配置が当該通常の労働者の職務の内容及び配置の変更の範囲と同一の範囲で変更されることが見込まれるものについては、有期雇用労働者であることを理由として、通勤手当について差別的取扱いをしてはならないこと。なお、有期雇用派遣労働者の通勤手当については、当然に労働者派遣法第三十条の三又は第三十条の四第一項の規定の適用があることに留意すること。
(四) 派遣労働者等の適性、能力、経験、希望等に適合する就業機会の確保等
派遣元事業主は、派遣労働者又は派遣労働者となろうとする者(以下「派遣労働者等」という。)について、当該派遣労働者等の適性、能力、経験等を勘案して、最も適した就業の機会の確保を図るとともに、就業する期間及び日、就業時間、就業場所、派遣先における就業環境等について当該派遣労働者等の希望と適合するような就業機会を確保するよう努めなければならないこと。また、派遣労働者等はその有する知識、技術、経験等を活かして就業機会を得ていることに鑑み、派遣元事業主は、労働者派遣法第三十条の二の規定による教育訓練等の措置を講じなければならないほか、就業機会と密接に関連する教育訓練の機会を確保するよう努めなければならないこと。
(五) 派遣労働者に対するキャリアアップ措置
イ 派遣元事業主は、その雇用する派遣労働者に対し、労働者派遣法第三十条の二第一項の規定による教育訓練を実施するに当たっては、労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律施行規則第一条の四第一号の規定に基づき厚生労働大臣が定める基準(平成二十七年厚生労働省告示第三百九十一号)第四号に規定する教育訓練の実施計画(以下「教育訓練計画」という。)に基づく教育訓練を行わなければならないこと。
ロ 派遣元事業主は、派遣労働者として雇用しようとする労働者に対し、労働契約の締結時までに教育訓練計画を説明しなければならないこと。また、派遣元事業主は、当該教育訓練計画に変更があった場合は、その雇用する派遣労働者に対し、速やかにこれを説明しなければならないこと。
ハ 派遣元事業主は、その雇用する派遣労働者が教育訓練計画に基づく教育訓練を受講できるよう配慮しなければならないこと。特に、教育訓練計画の策定に当たっては、派遣元事業主は、教育訓練の複数の受講機会を設け、又は開催日時や時間の設定について配慮すること等により、可能な限り派遣労働者が教育訓練を受講しやすくすることが望ましいこと。
ニ 派遣元事業主は、その雇用する派遣労働者のキャリアアップを図るため、教育訓練計画に基づく教育訓練を実施するほか、更なる教育訓練を自主的に実施するとともに、当該教育訓練に係る派遣労働者の費用負担を実費程度とすることで、派遣労働者が教育訓練を受講しやすくすることが望ましいこと。
ホ 派遣元事業主は、その雇用する派遣労働者のキャリアアップを図るとともに、その適正な雇用管理に資するため、当該派遣労働者に係る労働者派遣の期間及び派遣就業をした日、従事した業務の種類、労働者派遣法第三十七条第一項第十号に規定する教育訓練を行った日時及びその内容等を記載した書類を保存するよう努めること。
(六) 労働者派遣に関する料金の額に係る交渉等
イ 労働者派遣法第三十条の三の規定による措置を講じた結果のみをもって、派遣労働者の賃金を従前より引き下げるような取扱いは、同条の規定の趣旨を踏まえた対応とはいえないこと。
ロ 派遣元事業主は、労働者派遣に関する料金の額に係る派遣先との交渉が当該労働者派遣に係る派遣労働者の待遇の改善にとって極めて重要であることを踏まえつつ、当該交渉に当たるよう努めること。
ハ 派遣元事業主は、労働者派遣に関する料金の額が引き上げられた場合には、可能な限り、当該労働者派遣に係る派遣労働者の賃金を引き上げるよう努めること。
(七) 同一の組織単位の業務への労働者派遣
派遣元事業主が、派遣先の事業所等における同一の組織単位の業務について継続して三年間同一の派遣労働者に係る労働者派遣を行った場合において、当該派遣労働者が希望していないにもかかわらず、当該労働者派遣の終了後三月が経過した後に、当該同一の組織単位の業務について再度当該派遣労働者を派遣することは、派遣労働者のキャリアアップの観点から望ましくないこと。
(八) 派遣元事業主がその雇用する協定対象派遣労働者(労働者派遣法第三十条の五に規定する協定対象派遣労働者をいう。以下同じ。)に対して行う安全管理に関する措置及び給付のうち、当該協定対象派遣労働者の職務の内容に密接に関連するものについては、派遣先に雇用される通常の労働者との間で不合理と認められる相違等が生じないようにすることが望ましいこと。
(九) 派遣元事業主は、派遣労働者が育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律(平成三年法律第七十六号)第二条第一号に規定する育児休業から復帰する際には、当該派遣労働者が就業を継続できるよう、当該派遣労働者の派遣先に係る希望も勘案しつつ、就業機会の確保に努めるべきであることに留意すること。
(十) 障害者である派遣労働者の有する能力の有効な発揮の支障となっている事情の改善を図るための措置
派遣元事業主は、障害者の雇用の促進等に関する法律(昭和三十五年法律第百二十三号。以下「障害者雇用促進法」という。)第二条第一号に規定する障害者(以下単に「障害者」という。)である派遣労働者から派遣先の職場において障害者である派遣労働者の有する能力の有効な発揮の支障となっている事情の申出があった場合又は派遣先から当該事情に関する苦情があった旨の通知を受けた場合等において、同法第三十六条の三の規定による措置を講ずるに当たって、当該障害者である派遣労働者と話合いを行い、派遣元事業主において実施可能な措置を検討するとともに、必要に応じ、派遣先と協議等を行い、協力を要請すること。
九 派遣労働者の待遇に関する説明等
派遣元事業主は、その雇用する派遣労働者に対し、労働者派遣法第三十一条の二第四項の規定による説明を行うに当たっては、次の事項に留意すること。
(一) 派遣労働者(協定対象派遣労働者を除く。以下この(一)及び(二)において同じ。)に対する説明の内容
イ 派遣元事業主は、労働者派遣法第二十六条第七項及び第十項並びに第四十条第五項の規定により提供を受けた情報(十一及び十二において「待遇等に関する情報」という。)に基づき、派遣労働者と比較対象労働者(労働者派遣法第二十六条第八項に規定する比較対象労働者をいう。以下この九において同じ。)との間の待遇の相違の内容及び理由について説明すること。
ロ 派遣元事業主は、派遣労働者と比較対象労働者との間の待遇の相違の内容として、次の(イ)及び(ロ)に掲げる事項を説明すること。
(イ) 派遣労働者及び比較対象労働者の待遇のそれぞれを決定するに当たって考慮した事項の相違の有無
(ロ) 次の(i)又は(ii)に掲げる事項
(i) 派遣労働者及び比較対象労働者の待遇の個別具体的な内容
(ii) 派遣労働者及び比較対象労働者の待遇に関する基準
ハ 派遣元事業主は、派遣労働者及び比較対象労働者の職務の内容、職務の内容及び配置の変更の範囲その他の事情のうち、待遇の性質及び待遇を行う目的に照らして適切と認められるものに基づき、待遇の相違の理由を説明すること。
(二) 協定対象派遣労働者に対する説明の内容
イ 派遣元事業主は、協定対象派遣労働者の賃金が労働者派遣法第三十条の四第一項第二号に掲げる事項であって同項の協定で定めたもの及び同項第三号に関する当該協定の定めによる公正な評価に基づき決定されていることについて説明すること。
ロ 派遣元事業主は、協定対象派遣労働者の待遇(賃金、労働者派遣法第四十条第二項の教育訓練及び労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律施行規則(昭和六十一年労働省令第二十号)第三十二条の三各号に掲げる福利厚生施設を除く。)が労働者派遣法第三十条の四第一項第四号に基づき決定されていること等について、派遣労働者に対する説明の内容に準じて説明すること。
(三) 派遣労働者に対する説明の方法
派遣元事業主は、派遣労働者が説明の内容を理解することができるよう、資料を活用し、口頭により説明することを基本とすること。ただし、説明すべき事項を全て記載した派遣労働者が容易に理解できる内容の資料を用いる場合には、当該資料を交付する等の方法でも差し支えないこと。
(四) 比較対象労働者との間の待遇の相違の内容等に変更があったときの情報提供
派遣元事業主は、派遣労働者から求めがない場合でも、当該派遣労働者に対し、比較対象労働者との間の待遇の相違の内容及び理由並びに労働者派遣法第三十条の三から第三十条の六までの規定により措置を講ずべきこととされている事項に関する決定をするに当たって考慮した事項に変更があったときは、その内容を情報提供することが望ましいこと。
十 関係法令の関係者への周知
派遣元事業主は、労働者派遣法の規定による派遣元事業主及び派遣先が講ずべき措置の内容並びに労働者派遣法第三章第四節に規定する労働基準法等の適用に関する特例等関係法令の関係者への周知の徹底を図るために、説明会等の実施、文書の配布等の措置を講ずること。
十一 個人情報等の保護
(一) 個人情報の収集、保管及び使用
イ 派遣元事業主は、派遣労働者となろうとする者を登録する際には当該労働者の希望、能力及び経験に応じた就業の機会の確保を図る目的の範囲内で、派遣労働者として雇用し労働者派遣を行う際には当該派遣労働者の適正な雇用管理を行う目的の範囲内で、派遣労働者等の個人情報(以下この(一)、(二)及び(四)において単に「個人情報」という。)を収集することとし、次に掲げる個人情報を収集してはならないこと。ただし、特別な業務上の必要性が存在することその他業務の目的の達成に必要不可欠であって、収集目的を示して本人から収集する場合はこの限りでないこと。
(イ) 人種、民族、社会的身分、門地、本籍、出生地その他社会的差別の原因となるおそれのある事項
(ロ) 思想及び信条
(ハ) 労働組合への加入状況
ロ 派遣元事業主は、個人情報を収集する際には、本人から直接収集し、又は本人の同意の下で本人以外の者から収集する等適法かつ公正な手段によらなければならないこと。
ハ 派遣元事業主は、高等学校若しくは中等教育学校又は中学校若しくは義務教育学校の新規卒業予定者であって派遣労働者となろうとする者から応募書類の提出を求めるときは、職業安定局長の定める書類によりその提出を求めること。
ニ 個人情報の保管又は使用は、収集目的の範囲に限られること。このため、例えば、待遇等に関する情報のうち個人情報に該当するものの保管又は使用は、労働者派遣法第三十条の二、第三十条の三、第三十条の四第一項、第三十条の五及び第三十一条の二第四項の規定による待遇の確保等という目的((四)において「待遇の確保等の目的」という。)の範囲に限られること。なお、派遣労働者として雇用し労働者派遣を行う際には、労働者派遣事業制度の性質上、派遣元事業主が派遣先に提供することができる派遣労働者の個人情報は、労働者派遣法第三十五条第一項各号に掲げる派遣先に通知しなければならない事項のほか、当該派遣労働者の業務遂行能力に関する情報に限られるものであること。ただし、他の保管若しくは使用の目的を示して本人の同意を得た場合又は他の法律に定めのある場合は、この限りでないこと。
(二) 適正管理
イ 派遣元事業主は、その保管又は使用に係る個人情報に関し、次に掲げる措置を適切に講ずるとともに、派遣労働者等からの求めに応じ、当該措置の内容を説明しなければならないこと。
(イ) 個人情報を目的に応じ必要な範囲において正確かつ最新のものに保つための措置
(ロ) 個人情報の紛失、破壊及び改ざんを防止するための措置
(ハ) 正当な権限を有しない者による個人情報へのアクセスを防止するための措置
(ニ) 収集目的に照らして保管する必要がなくなった個人情報を破棄又は削除するための措置
ロ 派遣元事業主が、派遣労働者等の秘密に該当する個人情報を知り得た場合には、当該個人情報が正当な理由なく他人に知られることのないよう、厳重な管理を行わなければならないこと。
ハ 派遣元事業主は、次に掲げる事項を含む個人情報適正の管理規程を作成し、これを遵守しなければならないこと。
(イ) 個人情報を取り扱うことができる者の範囲に関する事項
(ロ) 個人情報を取り扱う者に対する研修等教育訓練に関する事項
(ハ) 本人から求められた場合の個人情報の開示又は訂正(削除を含む。以下同じ。)の取扱いに関する事項
(ニ) 個人情報の取扱いに関する苦情の処理に関する事項
ニ 派遣元事業主は、本人が個人情報の開示又は訂正の求めをしたことを理由として、当該本人に対して不利益な取扱いをしてはならないこと。
(三) 個人情報の保護に関する法律の遵守等
(一)及び(二)に定めるもののほか、派遣元事業主は、個人情報の保護に関する法律第十六条第二項に規定する個人情報取扱事業者(以下「個人情報取扱事業者」という。)に該当する場合には、同法第四章第二節に規定する義務を遵守しなければならないこと。また、個人情報取扱事業者に該当しない場合であっても、個人情報取扱事業者に準じて、個人情報の適正な取扱いの確保に努めること。
(四) 待遇等に関する情報のうち個人情報に該当しないものの保管及び使用
派遣元事業主は、待遇等に関する情報のうち個人情報に該当しないものの保管又は使用を待遇の確保等の目的の範囲に限定する等適切に対応すること。
十二 秘密の保持
待遇等に関する情報は、労働者派遣法第二十四条の四の秘密を守る義務の対象となるものであること。
十三 派遣労働者を特定することを目的とする行為に対する協力の禁止等
(一) 派遣元事業主は、紹介予定派遣の場合を除き、派遣先による派遣労働者を特定することを目的とする行為に協力してはならないこと。なお、派遣労働者等が、自らの判断の下に派遣就業開始前の事業所訪問若しくは履歴書の送付又は派遣就業期間中の履歴書の送付を行うことは、派遣先によって派遣労働者を特定することを目的とする行為が行われたことには該当せず、実施可能であるが、派遣元事業主は、派遣労働者等に対してこれらの行為を求めないこととする等、派遣労働者を特定することを目的とする行為への協力の禁止に触れないよう十分留意すること。
(二) 派遣元事業主は、派遣先との間で労働者派遣契約を締結するに当たっては、職業安定法第三条の規定を遵守するとともに、派遣労働者の性別を労働者派遣契約に記載し、かつ、これに基づき当該派遣労働者を当該派遣先に派遣してはならないこと。
(三) 派遣元事業主は、派遣先との間で労働者派遣契約を締結するに当たっては、派遣元事業主が当該派遣先の指揮命令の下に就業させようとする労働者について、障害者であることを理由として、障害者を排除し、又はその条件を障害者に対してのみ不利なものとしてはならず、かつ、これに基づき障害者でない派遣労働者を当該派遣先に派遣してはならないこと。
十四 安全衛生に係る措置
派遣元事業主は、派遣労働者に対する雇入れ時及び作業内容変更時の安全衛生教育を適切に行えるよう、当該派遣労働者が従事する業務に係る情報を派遣先から入手すること、健康診断等の結果に基づく就業上の措置を講ずるに当たって、派遣先の協力が必要な場合には、派遣先に対して、当該措置の実施に協力するよう要請すること等、派遣労働者の安全衛生に係る措置を実施するため、派遣先と必要な連絡調整等を行うこと。
十五 紹介予定派遣
(一) 紹介予定派遣を受け入れる期間
派遣元事業主は、紹介予定派遣を行うに当たっては、六箇月を超えて、同一の派遣労働者の労働者派遣を行わないこと。
(二) 派遣先が職業紹介を希望しない場合又は派遣労働者を雇用しない場合の理由の明示
派遣元事業主は、紹介予定派遣を行った派遣先が職業紹介を受けることを希望しなかった場合又は職業紹介を受けた派遣労働者を雇用しなかった場合には、派遣労働者の求めに応じ、派遣先に対し、それぞれその理由を書面、ファクシミリ又は電子メールその他のその受信をする者を特定して情報を伝達するために用いられる電気通信(電気通信事業法(昭和五十九年法律第八十六号)第二条第一号に規定する電気通信をいう。以下この(二)において「電子メール等」という。)(当該派遣元事業主が当該電子メール等の記録を出力することにより書面を作成することができるものに限る。)により明示するよう求めること。また、派遣先から明示された理由を、派遣労働者に対して書面、ファクシミリ又は電子メール等(当該派遣労働者が当該電子メール等の記録を出力することにより書面を作成することができるものに限る。)(ファクシミリ又は電子メール等による場合にあっては、当該派遣労働者が希望した場合に限る。)により明示すること。
(三) 派遣元事業主は、派遣先が障害者に対し、面接その他紹介予定派遣に係る派遣労働者を特定することを目的とする行為を行う場合に、障害者雇用促進法第三十六条の二又は第三十六条の三の規定による措置を講ずるに当たっては、障害者と話合いを行い、派遣元事業主において実施可能な措置を検討するとともに、必要に応じ、派遣先と協議等を行い、協力を要請すること。
十六 情報の提供
派遣元事業主は、派遣労働者及び派遣先が良質な派遣元事業主を適切に選択できるよう、労働者派遣の実績、労働者派遣に関する料金の額の平均額から派遣労働者の賃金の額の平均額を控除した額を当該労働者派遣に関する料金の額の平均額で除して得た割合、教育訓練に関する事項、労働者派遣法第三十条の四第一項の協定を締結しているか否かの別並びに当該協定を締結している場合における協定対象派遣労働者の範囲及び当該協定の有効期間の終期等の情報提供に当たっては、常時インターネットの利用により、広く関係者、とりわけ派遣労働者に必要な情報を提供することを原則とすること。また、労働者派遣の期間の区分ごとの雇用安定措置を講じた人数等の実績及び教育訓練計画については、インターネットの利用その他の適切な方法により関係者に対し情報提供することが望ましいこと。
改正文(平成一五年一二月二五日厚生労働省告示第四四八号 抄)
平成十六年三月一日から適用する。
改正文(平成一六年一一月四日厚生労働省告示第三九二号 抄)
平成十七年四月一日から適用する。
改正文(平成二〇年二月二八日厚生労働省告示第三七号 抄)
平成二十年四月一日から適用する。
改正文(平成二一年三月三一日厚生労働省告示第二四四号 抄)
公布の日から適用する。
改正文(平成二四年八月一〇日厚生労働省告示第四七四号 抄)
平成二十四年十月一日から適用する。
改正文(平成二七年九月二九日厚生労働省告示第三九三号 抄)
平成二十七年九月三十日から適用する。
改正文(平成二八年二月三日厚生労働省告示第二二号 抄)
平成二十八年四月一日から適用する。
附 則(平成二八年三月四日厚生労働省告示第四九号 抄)
(適用期日)
第一 この告示は、平成二十八年四月一日から適用する。
改正文(平成二八年三月二二日厚生労働省告示第七七号 抄)
平成二十八年四月一日から適用する。
改正文(平成二八年一〇月二〇日厚生労働省告示第三七九号 抄)
平成二十九年一月一日から適用する。
改正文(平成二九年五月二九日厚生労働省告示第二一〇号 抄)
平成二十九年五月三十日から適用する。
改正文(平成三〇年一二月一九日厚生労働省告示第四一七号 抄)
平成三十一年四月一日から適用する。
改正文(平成三〇年一二月二八日厚生労働省告示第四二七号 抄)
平成三十二年四月一日から適用する。ただし、働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律附則第三条第一項に規定する中小事業主については、平成三十三年三月三十一日までの間、この告示による改正後の派遣元事業主が講ずべき措置に関する指針第二の八の(三)の規定は適用せず、この告示による改正前の派遣元事業主が講ずべき措置に関する指針第二の八の(三)の規定は、なおその効力を有する。
改正文(令和二年一〇月九日厚生労働省告示第三四六号 抄)
令和三年一月一日から適用する。
改正文(令和二年一〇月九日厚生労働省告示第三四七号 抄)
令和三年四月一日から適用する。
改正文(令和四年三月二五日厚生労働省告示第九二号 抄)
令和四年四月一日から適用する。