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通達:賃金の口座振込み等について

 

賃金の口座振込み等について

令和4年11月28日基発1128第4号

(都道府県労働局長あて厚生労働省労働基準局長通知)

 

今般、労働基準法施行規則の一部を改正する省令(令和4年厚生労働省令第158号)により、使用者が労働者に賃金を支払う場合において、従来から認められていた銀行その他の金融機関の預金又は貯金の口座(以下「預貯金口座」という。)への賃金の振込み及び証券会社の一定の要件を満たす預り金に該当する証券総合口座(以下「証券総合口座」という。)への賃金の払込みに加え、厚生労働大臣が指定する資金移動業者(以下「指定資金移動業者」という。)の口座(以下「指定資金移動業者口座」という。)への賃金の資金移動による支払が認められることとなった。

これに伴い、預貯金口座への賃金の振込み、証券総合口座への賃金の払込み又は資金移動業者口座への賃金の資金移動(以下「口座振込み等」という。)を実施する使用者に対しては、今後、下記により指導することとされたい。

なお、平成10年9月10日付け基発第530号は、本通達の施行をもって廃止する。

 

1 口座振込み等は、書面又は電磁的記録(以下「書面等」という。)による個々の労働者の同意により開始し、その書面等には次の(1)から(3)までに掲げる事項を記載すること。

ただし、資金移動業者口座への賃金の資金移動を行う場合には、労働者が指定する指定資金移動業者に応じて、その書面等に次の(4)に掲げる事項も記載すること。また、別紙の同意書の様式例を用いる等により、使用者から預貯金口座又は証券総合口座への賃金支払も併せて選択肢として提示すること及び使用者又は使用者から委託された資金移動業者が必要な事項の説明を行うこと。

なお、(2)における、指定資金移動業者の口座を特定するために必要な情報は、指定資金移動業者ごとに異なりうるため、厚生労働省が公表する指定資金移動業者一覧にて確認すること。また、(4)については、賃金支払に当たって指定資金移動業者口座の受入上限額を超えた際に超過相当額の金銭を労働者が受け取る場合、指定資金移動業者の破綻時に当該指定資金移動業者と保証委託契約等を結んだ保証機関(金融機関、保証会社その他保証を行う主体をいう。以下同じ)から弁済を受ける場合等に利用が想定される代替となる口座であり、仮に指定資金移動業者が直接把握する場合においても、使用者も把握するために記載すること。

(1) 口座振込み等を希望する賃金の範囲及びその金額

(2) 労働者が指定する金融機関店舗名並びに預金又は貯金の種類及び口座番号、労働者が指定する証券会社店舗名及び証券総合口座の口座番号、又は労働者が指定する指定資金移動業者名、資金移動サービスの名称、指定資金移動業者口座の口座番号(アカウントID)及び名義人(その他、指定資金移動業者口座を特定するために必要な情報があればその事項(例:労働者の電話番号等))

(3) 開始希望時期

(4) 代替口座として指定する金融機関店舗名、預金若しくは貯金の種類及び口座番号又は代替口座として指定する証券会社店舗名及び証券総合口座の口座番号

2 口座振込み等を行う事業場に労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合と、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者と、次に掲げる事項を記載した書面又は電磁的記録による協定を締結すること。なお、協定の締結においては、労使で合意した上で労使双方の合意がなされたことが明らかな方法(記名押印又は署名など)により協定を締結すること。例えば、電磁的記録により協定を行う場合は、その真正性を担保するため、署名等に代えて、電子署名及び認証業務に関する法律(平成12年法律第102号)第2条第1項による「電子署名」を行うことが望ましいこと。

(1) 口座振込み等の対象となる労働者の範囲

(2) 口座振込み等の対象となる賃金の範囲及びその金額

(3) 取扱金融機関、取扱証券会社及び取扱指定資金移動業者の範囲

(4) 口座振込み等の実施開始時期

3 使用者は、口座振込み等の対象となっている個々の労働者に対し、所定の賃金支払日に、次に掲げる金額等を記載した賃金の支払に関する計算書を交付すること。

(1) 基本給、手当その他賃金の種類ごとにその金額

(2) 源泉徴収税額、労働者が負担すべき社会保険料額等賃金から控除した金額がある場合には、事項ごとにその金額

(3) 口座振込み等を行った金額

4 口座振込み等がされた賃金は、所定の賃金支払日の午前10時頃までに払出し又は払戻しが可能となっていること。ただし、指定資金移動業者口座への資金移動による場合には、所定の賃金支払日の午前10時頃までに為替取引としての利用(労働者の預貯金口座への出金指図、店舗等における代金支払への充当、第三者への送金指図等)が行い得る状態となっていること及び所定の賃金支払日のうちに賃金の全額が払い出し得る状態となっていることを要すること。

5 取扱金融機関、取扱証券会社及び取扱指定資金移動業者は、金融機関、証券会社又は指定資金移動業者の所在状況等からして1行、1社に限定せず複数とする等労働者の便宜に十分配慮して定めること。ただし、指定資金移動業者口座への賃金の資金移動を行おうとする場合には、預貯金口座への賃金の振込み又は証券総合口座への賃金の払込みを選択できるようにすること。

6 使用者は、証券総合口座への賃金払込みを行おうとする場合には、当該証券総合口座への賃金払込みを求める労働者、又は証券総合口座を取り扱う証券会社から信託約款及び投資約款の写しを得て、当該証券会社の口座が「MRF」(「マネー・リザーブ・ファンド」)により運用される証券総合口座であることを確認の上、払込みを行うものとすること。また、使用者が労働者等から得た当該信託約款及び投資約款の写しについては、当該払込みの継続する期間中保管すること。

7 使用者は、指定資金移動業者口座への賃金の資金移動を行おうとする場合には、労働者が指定する口座が賃金支払口座として認められている口座であることを厚生労働省が公表する指定資金移動業者一覧を確認の上、資金移動を行うものとすること。また、労働者が預貯金口座への賃金の振込み又は証券総合口座への賃金の払込みを選択することができるようにするとともに、当該労働者に対し、別紙の同意書の様式例を用いる等により、次に掲げる必要な事項を説明した上で、労働者の同意を得ること。

・資金移動業者は、預金若しくは貯金又は定期積金等(銀行法(昭和56年法律第59号)第2条第4項に規定する定期積金等をいう。)を受け入れていないこと。併せて、資金決済に関する法律(平成21年法律第59号。以下「資金決済法」という。)等における滞留規制を踏まえ、指定資金移動業者口座への資金移動を希望する賃金の範囲及びその金額(希望額等)は、各労働者において、その利用実績や利用見込みを踏まえ、為替取引に用いられる範囲内に設定する必要があること。また、希望額等の設定に当たっては、指定資金移動業者が設定している口座残高上限額(100万円以下)及び指定資金移動業者が1日当たりの払出上限額を設定している場合には当該額以下に設定する必要があること。

・指定資金移動業者の破綻時には、指定資金移動業者と保証委託契約等を結んだ保証機関により、労働者と保証機関の保証契約等に基づき、労働者に口座残高の弁済が行わ

・労働者の意思に反して権限を有しない者の指図が行われる等により指定資金移動業者口座の資金が不正に出金等された際に、労働者に過失がない場合には損失額全額が補償されること。また、労働者に過失がある場合には個別対応を妨げるものではないが、損失を一律に補償しないといった取扱いとはされないこと。なお、労働者の親族等による払戻の場合、労働者が資金移動業者に対して虚偽の説明を行った場合等においては、この限りではないこと。損失発生日から一定の期間内に労働者から指定資金移動業者に通知することを要件としている場合には、当該期間は少なくとも損失発生日から30日以上は確保されていること。

・払出(現金化)の手段については、各指定資金移動業者により異なるものの、現金自動支払機(CD)又は現金自動預払機(ATM)の利用や預貯金口座への出金等の通貨による受取が可能となる手段を通じて、少なくとも毎月1回は労働者に手数料負担が生じることなく資金移動業者の口座から払出ができること。

・口座残高については、口座に係る資金移動が最後にあった日から少なくとも10年間は債務が履行できるようにされていること。

なお、労働者への説明については、使用者から指定資金移動業者に委託することも認められるものの、労働者の同意については、使用者が得る必要があること。

8 指定資金移動業者が①指定を取り消された場合、②指定を辞退しようとする場合、③資金決済法第61条第1項の規定による廃止又は破産手続開始の申立等の届出を行った場合に、当該指定資金移動業者口座に賃金支払を行っていた使用者は、当該賃金支払に係る労働者に速やかに賃金支払の別の方法を確認の上、使用者が既に当該指定資金移動業者口座への送金指図を行っている等の特段の事情がない限り、以降の賃金支払を労働者が指定する別の方法によって行う必要があること。

 

別紙

資金移動業者口座への賃金支払に関する同意書(参考例)

(使用者名) 殿

私(労働者名)は、資金移動業者口座への賃金支払いについて、以下の内容を確認しました。

□使用者から、賃金支払の方法として、厚生労働大臣の指定を受けた資金移動業者(以下「指定資金移動業者」という。)の口座(以下「指定資金移動業者口座」という。)のほか、預貯金口座(銀行口座等)又は証券総合口座への賃金支払も併せて選択肢として提示されたこと

□使用者又は使用者から委託を受けた指定資金移動業者から、裏面の留意事項について説明を受け、その内容を確認したこと

その上で、私(労働者名)は、資金移動業者口座への賃金支払いについて以下のとおり選択します。

□私(労働者名)は、以下の事項を確認した上で、指定資金移動業者口座への賃金支払に同意し、その取扱いは、下記のとおりとするよう申し出ます。

□私(労働者名)は、資金移動業者口座への賃金支払いに同意しません。(こちらを選択する場合、以下の記入は不要です)

1.指定資金移動業者口座への資金移動を希望する賃金の範囲及びその金額

※指定資金移動業者口座は、資金の受入上限額が100万円以下とされています。希望する賃金の範囲及びその金額は、裏面の留意事項「2.資金移動業者口座の資金」を確認の上設定することが必要です。

ア.定期賃金円

イ.賞与円

ウ.退職金円

2.労働者が指定する指定資金移動業者名、サービスの名称、口座番号(アカウントID)及び名義人(その他口座を特定するために必要な情報があればその事項)

指定資金移動業者名

資金移動サービスの名称

口座番号(アカウントID)

名義人

(その他必要であれば口座を特定するために必要な情報(例:労働者の電話番号等))

3.指定資金移動業者口座への支払開始希望時期

年 月 日

4.代替口座として指定する金融機関店舗名並びに預金又は貯金の種類及び口座番号又は指定する証券会社店舗名並びに証券総合口座の口座番号、名義人

※本口座は、指定資金移動業者口座の受入上限額を超えた際に超過相当額の金銭を労働者が受け取る場合、指定資金移動業者の破綻時に保証機関から弁済を受ける場合等に利用が想定されます。

金融機関店舗名又は証券会社店舗名

口座番号

名義人

年月日

氏名

 

 

資金移動業者口座への賃金支払に関する留意事項

資金移動業者とは、資金決済に関する法律(平成21年法律第59号。以下「資金決済法」という。)に基づき、内閣総理大臣(財務局長に委任)の登録を受けて、銀行その他の金融機関以外の者で為替取引を業として営む事業者です。

 

【1.労働者の同意】

使用者又は使用者から委託を受けた指定資金移動業者は、労働者に対して、以降に記載する事項について説明しなければなりません。また、資金移動業者口座への賃金支払を行う場合には、使用者は、労働者に対して、賃金支払方法の選択肢として、現金又は資金移動業者口座以外に、預貯金口座(銀行口座)又は証券総合口座への賃金支払も併せて提示しなければなりません。仮に、使用者が、賃金支払方法として、現金か資金移動業者口座かの2つの選択肢のみを労働者に提示した場合や、形式的に選択肢を提示していたとしても実質的に労働者に資金移動業者口座への賃金支払を強制している場合には、使用者は、労働基準法(昭和22年法律第49号)第24条に違反し、罰則の対象となり得ます。

 

【2.資金移動業者口座の資金】

資金移動業者口座の資金は、預貯金口座の「預金」とは異なり、為替取引(送金や決済等)を目的としたものです。労働者が資金移動業者口座への賃金支払を利用する際には、口座への資金移動を行う賃金額は、為替取引(送金や決済等)に利用する範囲内とし、送金や決済等に利用しない資金を滞留させないことが必要です。このため、資金移動業者の口座への資金移動を希望する賃金の範囲及びその金額(希望額等)については、労働者の利用実績や利用見込みを踏まえたものとする必要があります。また、希望額等の設定に当たっては、資金移動業者が設定している口座残高上限額(100万円以下)及び指定資金移動業者が1日当たりの払出上限額を設定している場合には当該額以下に設定する必要があります。

また、賃金支払が認められる資金移動業者口座は、資金の受入上限額が100万円以下となっています。このため、賃金支払に当たって口座の受入上限額を超えた場合の送金先の金融機関名又は証券会社名及びその口座番号等をあらかじめ登録しておく必要があります。仮に受入上限額を超過した際には、あらかじめ登録された預貯金口座等に資金移動業者が送金を行いますが、その際に送金手数料の負担を求められる場合があります。

 

【3.資金移動業者が破綻した場合の保証】

銀行等の金融機関が破綻した場合には、預金保険法に基づく預金保険制度により一定額の預金が速やかに保護されますが、賃金支払が認められる資金移動業者が破綻した場合には、預金保険制度の対象とはなりません。資金移動業者が破綻した場合には、資金移動業者と保証委託契約等を結んだ保証機関により、労働者と保証機関との保証契約等に基づき、速やかに労働者に口座残高の全額が弁済される仕組みとなっています。

 

【4.資金移動業者口座の資金が不正に出金等された場合の補償】

賃金支払が認められる資金移動業者口座の資金が労働者の意思に反して権限を有しない者の指図が行われる等の労働者の責めに帰すことができない理由により口座の資金が不正に出金等された際に、労働者に過失が無い場合には損失全額が補償されます。また、労働者に過失がある場合にも損失を一律に補償しないといった取扱いとはされず、少なくとも個別対応とされます。なお、労働者の親族等による払戻の場合、労働者が資金移動業者に対して虚偽の説明を行った場合等においては、この限りではありません。また、損失発生日から一定の期間内に労働者から資金移動業者に通知することが資金移動業者による補償の要件となっている場合には、当該期間は少なくとも損失発生日から30日以上は確保することとなっています。

 

【5.資金移動業者口座の資金を一定期間利用しない場合の債権】

賃金支払が認められる資金移動業者口座残高について、資金移動業者が利用規約等により有効期限を定める場合には、口座残高が最後に変動した日から少なくとも10年間は債務が履行できるようにされていることとなっています。

 

【6.資金移動業者口座の資金の換金性】

賃金支払が認められる資金移動業者口座の資金は、現金自動支払機(CD)又は現金自動預払機(ATM)の利用や預貯金口座への出金等の通貨による受取が可能となる手段を通じて資金移動業者口座の資金を1円単位で払出をすることができます。また、少なくとも毎月1回は、労働者に手数料負担が生じることなく資金移動業者口座から払出をすることができます。

(以上)