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雇用保険法等の一部を改正する法律等の施行について(労働者災害補償保険法関係部分)
令和2年8月21日基発0821第1号
(都道府県労働局長あて厚生労働省労働基準局長通知)
雇用保険法等の一部を改正する法律(令和2年法律第14号)、雇用保険法等の一部を改正する法律の一部の施行に伴う関係政令の整備に関する政令(令和2年政令第219号)、雇用保険法等の一部を改正する法律の一部の施行に伴う関係省令の整備等に関する省令(令和2年厚生労働省令第141号)及び雇用保険法等の一部を改正する法律の一部の施行に伴う厚生労働省関係告示の整備に関する告示(令和2年厚生労働省告示第293号)が、本年9月1日から施行され、複数事業労働者に係る給付基礎日額の算定及び複数業務要因災害に係る労災保険制度が同日から施行されることとなった。新制度の大綱は、令和2年4月1日付け基発第0401第17号、職発第0401第17号「雇用保険法等の一部を改正する法律等について」記第1の2により、通達したところであるが、同制度に係る事務取扱いについては、下記事項を了知の上、業務運営に遺憾なきを期されたい。
(注) 法令の略称は、次のとおりである。
労災法 労働者災害補償保険法(昭和22年法律第50号)
改正法 雇用保険法等の一部を改正する法律
新労災法 改正法による改正後の労働者災害補償保険法
新徴収法 改正法による改正後の労働保険の保険料の徴収等に関する法律
整備省令 雇用保険法等の一部を改正する法律の一部の施行に伴う関係省令の整備等に関する省令
新労災則 整備省令による改正後の労働者災害補償保険法施行規則
新特支金則 整備省令による改正後の労働者災害補償保険特別支給金支給規則
新徴収則 整備省令による改正後の労働保険の保険料の徴収等に関する法律施行規則
記
第1 労働者災害補償保険法改正の趣旨
我が国における、事業主が同一人でない二以上の事業に使用される労働者(以下「複数事業労働者」という。)を取り巻く状況を見ると、多様な働き方を選択する者やパートタイム労働者として複数就業している労働者が増加している実情がある。また、「働き方改革実行計画」(平成29年3月28日働き方改革実現会議決定)等においても、副業・兼業の場合の労災補償の在り方について、検討を進めることとされていたところである。
今般、改正法により、複数事業労働者が安心して働くことができる環境を整備するため、複数事業労働者に関する保険給付について複数事業労働者を使用する全事業の賃金を合算すること、複数事業労働者を使用するそれぞれの事業における業務上の負荷のみでは業務と疾病等々の間に因果関係が認められない場合に、複数事業労働者を使用する全事業の業務上の負荷を総合的に評価すること等について、労災法等の改正が行われた。
1 労災保険の目的の改正
今般の改正により、労災保険の目的として、「複数事業労働者」の二以上の事業の業務を要因とする負傷、疾病、障害又は死亡(以下「複数業務要因災害」という。)についても保険給付を行うことが加えられた(新労災法第1条)。これに伴い、新労災法第2条の2において、新労災法第1条の目的を達成するため、保険給付を行う場合について複数業務要因災害が加えられた。この複数業務要因災害に関する保険給付は、それぞれの就業先の業務上の負荷のみでは業務と疾病等との間に因果関係が認められないことから、いずれの就業先も労働基準法(昭和22年法律第49号。以下「労基法」という。)上の災害補償責任は負わないものである。
また、複数事業労働者に関する保険給付を行うこととなるため、事務の所轄についても複数の都道府県労働局(以下「局」という。)及び労働基準監督署(以下「署」という。)が関係する場合が想定される。業務災害及び通勤災害に係る事務の所轄の取扱いは従来の通りであるが、複数業務要因災害に係る事務の所轄は、生計を維持する程度の最も高い事業の主たる事務所を管轄する局又は署となる(新労災則第1条)。この場合における、生計を維持する程度の最も高い事業の主たる事務所とは、原則として複数就業先のうち給付基礎日額の算定期間における賃金総額が最も高い事業場を指すものである。
なお、業務災害に係る事務を所轄する局又は署と複数業務要因災害に係る事務を所轄する局又は署が異なる場合、業務災害に係る事務を所轄する局又は署において保険給付に係る調査を優先して行うこととなるため、複数業務要因災害に係る事務を所轄する局又は署の事務の全部又は一部を、業務災害に係る事務を所轄する局又は署に委嘱することができることとした(新労災則第2条の2)。
2 保険給付関係
(1) 通則関係
ア 複数業務要因災害
新労災法第7条第1項第2号に複数業務要因災害の定義を定めたものである。
従来は、労働者を使用する事業ごとに業務上の負荷を評価しており、仮に単独の事業であれば業務災害と認定し得る業務上の負荷を複数の事業において受けている場合には保険給付が行われず、労働者の稼得能力や遺族の被扶養利益の損失に対する填補が不十分であった。
今般、業務災害には該当しないものの、各事業における業務上の負荷を総合的に評価すれば労災認定される場合には、労働者の稼得能力や遺族の被扶養利益の損失を填補する観点から複数業務要因災害という新たな保険給付が創設された。
ここで、「二以上の事業の業務を要因とする」とは、複数の事業での業務上の負荷を総合的に評価して当該業務と負傷、疾病、障害又は死亡(以下「傷病等」という。)の間に因果関係が認められることをいう。
なお、業務災害の認定に関する取扱いは従来のとおりであり、複数事業労働者に対して業務災害として保険給付を行う場合を除き、複数業務要因災害に該当するか否かの判断を行うものである。
イ 複数事業労働者
複数事業労働者については、新労災法第7条第1項第2号により、これに類する者も含むとしており、その範囲について新労災則第5条において、傷病等の原因又は要因となる事由が生じた時点において事業主が同一人でない2以上の事業に同時に使用されていた労働者と定めている。
これは、傷病等の要因となる出来事と傷病等の発症の時期が必ずしも一致しないことがあるため、複数業務要因災害の対象である複数事業労働者について、傷病等が発症した時点において複数事業労働者に該当しない場合であっても、当該傷病等の要因となる出来事と傷病等の因果関係が認められる期間の範囲内で複数事業労働者に当たるか否かを判断すべきときがあることから規定されたものである。
ウ 給付基礎日額
複数事業労働者に関する保険給付に係る給付基礎日額については、業務災害、複数業務要因災害及び通勤災害のいずれの場合においても、複数事業労働者を使用する事業ごとに算定した給付基礎日額に相当する額を合算することとなる(新労災法第8条第3項)。複数事業労働者に係る給付基礎日額の算定の詳細については別途通知する。
エ その他の通則規定
複数業務要因災害に係る新たな保険給付が新設されたことに伴い、新労災法第7条から第12条の7までの業務災害及び通勤災害に係る規定の間に複数業務要因災害に係る規定を加える所要の改正が行われた。
(2) 業務災害に関する保険給付関係
業務災害に関する保険給付については、原則として従来と取扱いが変わるものではないが、複数事業労働者に関する保険給付に係る給付基礎日額については、複数事業労働者を使用する事業ごとに算定した給付基礎日額に相当する額を合算することとなる。
これに伴い、一の事業場において有給休暇を取得するなどして一部の賃金を受けつつ、他の事業場において負傷又は疾病により無給での休業をして「賃金を受けない日」に該当する場合があり得る。複数事業労働者に対する稼得能力の填補の観点からは、一の事業場で有給休暇の取得により賃金を受けている場合であっても、他の事業場における無給での休業に対し、休業補償給付が支払われることが適切であることから、所定労働時間のうちその一部についてのみ労働する日に加えて、同じくその一部についてのみ賃金が支払われる休暇が新たに規定されたものである(新労災法第14条第1項)。
また、複数事業労働者が保険給付の請求を行う際には、給付基礎日額の算定等に影響があることから、複数事業労働者であるか否かを記載させるとともに、業務上の事由による傷病等が発生した事業場を除く事業場(以下「非災害発生事業場」という。)であっても賃金等について証明を受けることとした(新労災則第12条から第12条の3まで、第13条、第14条の2、第15条の2、第16条、第17条の2及び第18条の2)。
(3) 複数業務要因災害に関する保険給付関係
ア 保険給付の種類等
複数業務要因災害に関する保険給付は、新労災法第20条の2に規定されているとおり、複数事業労働者療養給付、複数事業労働者休業給付、複数事業労働者障害給付、複数事業労働者遺族給付、複数事業労働者葬祭給付、複数事業労働者傷病年金及び複数事業労働者介護給付であり、これらの給付はそれぞれ業務災害に関する療養補償給付、休業補償給付、障害補償給付、遺族補償給付、葬祭料、傷病補償年金及び介護補償給付又は通勤災害に関する療養給付、休業給付、障害給付、遺族給付、葬祭給付、傷病年金及び介護給付と同一内容であり、その給付内容、受給権者、他の社会保険による給付との調整等も業務災害又は通勤災害の場合と同様である(新労災法第20条の2から第20条の10まで)。
このため業務災害及び通勤災害に関する保険給付について療養(補償)給付のように略称していたものについては、今後、業務災害、複数業務要因災害及び通勤災害に関する保険給付をまとめて療養(補償)等給付のように略称するものとする。
イ 保険給付の請求
複数業務要因災害に関する保険給付は、局署において各事業場の業務上の負荷を調査しなければ分からないことがあること、また、業務災害又は複数業務要因災害のどちらに該当するかを請求人の請求の際に求めることは請求人の過度の負担となることから、複数業務要因災害に関する保険給付の請求と業務災害に関する保険給付の請求は、同一の請求様式に必要事項を記載させることとする。
このため、一の事業のみに使用される労働者が保険給付を請求する場合は、業務災害に関する保険給付のみを請求したものとし、複数事業労働者が保険給付を請求する場合は、請求人が複数業務要因災害に係る請求のみを行う意思を示す等の請求人の特段の意思表示のない限り業務災害及び複数業務要因災害に関する両保険給付を請求したものとする。この場合において、複数事業労働者の業務災害として認定する場合は、業務災害の認定があったことをもって複数業務要因災害に関する保険給付の請求が、請求時点に遡及して消滅したものとし、複数業務要因災害に関する保険給付の不支給決定及び請求人に対する不支給決定通知は行わないものとする。これに対し、業務災害の不支給を決定する場合は複数業務要因災害として認定できるか否かにかかわらず、その決定を行うとともに、請求人に対して不支給決定通知を行うこと。
ウ 複数業務要因災害の範囲
複数業務要因災害による疾病の範囲は、新労災則第18条の3の6により、労働基準法施行規則(昭和22年厚生省令第23号)別表1の2第8号及び第9号に掲げる疾病(以下「脳・心臓疾患、精神障害」という。)及びその他二以上の事業の業務を要因とすることの明らかな疾病としており、現時点においては、脳・心臓疾患、精神障害が想定されている。
(4) 通勤災害に関する保険給付関係
通勤災害に関する保険給付については、原則として従来と取扱いが変わるものではないが、複数事業労働者に関する保険給付に係る給付基礎日額については、複数事業労働者を使用する事業ごとに算定した給付基礎日額に相当する額を合算することとなる点について、業務災害と同様である。
また、複数業務要因災害に係る規定を新設したことに伴い、通勤災害に係る規定が複数業務要因災害の後に規定されることとなったため、従前の通達において通勤災害に関する事項について労災法等の関係法令の条項を指定している部分は、読み替えて適用すること。
3 社会復帰促進等事業関係
社会復帰促進等事業についても、複数業務要因災害に係る規定が追加されたものである(新労災法第29条)。
4 費用の負担関係
複数業務要因災害に係る事業主からの費用徴収については、通勤災害の場合と同様に、仮に複数業務要因災害を業務災害とみなした場合の災害補償の価額(ただし、当該複数事業労働者を使用する事業ごとに算定した額に限る。)の限度で行うことができることとされた(新労災法第31条)。
5 特別加入関係
労基法上の労働者でない者についても、業務の実態、災害の発生状況等からみて労働者に準じて労災保険により保護するにふさわしい者について特に労災保険の加入を認めるという特別加入の趣旨を踏まえれば、特別加入者に対しても、改正の対象に含めることが適当である。このため、労働者であってかつ他の事業場において特別加入をしている者及び複数の事業場において特別加入をしている者についても保護の対象とすることとされた(新労災法第33条から第37条まで)。
なお、特別加入者に係る給付基礎日額については新労災則46条の20各号(新労災則第46条の24及び第46条の25の3において準用する場合を含む。)に定める方法により算定することとなるものである。特に、従来から特別加入者に係る給付基礎日額については自動変更対象額及び年齢階層別の最高・最低限度額が適用されないものとされているところであり、この取扱いについて変更はない。このため、労働者であってかつ他の事業場において特別加入をしている者及び複数の事業場において特別加入をしている者の特別加入者としての給付基礎日額相当部分については、自動変更対象額及び年齢階層別の最高・最低限度額が適用されないものとして算定することとなるものである。
6 不服申立て及び訴訟関係
不服申立て及び訴訟に関する取扱いは従来からの変更はない。
なお、業務災害と複数業務要因災害の両保険給付の請求があった場合における業務災害としての支給決定に対する不服申立てについては、複数業務要因災害に係る請求は遡及して消滅することから、業務災害に対してのみ申立てがあったものとして処理すること。
7 雑則関係及び罰則関係
雑則関係及び罰則関係についても、複数業務要因災害に係る新たな保険給付が新設されたことに伴い、業務災害及び通勤災害に係る規定の間に複数業務要因災害に係る規定を加える所要の改正が行われたものであるが、取扱いについては従来と同様である。
8 暫定措置及び特例措置
業務災害及び通勤災害に係る年金前払一時金及び損害賠償との調整についても、複数業務要因災害に係る新たな保険給付が新設されたことに伴い、複数業務要因災害に係る規定を加える所要の改正が行われたものであるが、取扱いについては従来と同様である。
9 経過措置
施行日(令和2年9月1日)前に発生した傷病等に関し支給する業務災害又は通勤災害に関する保険給付について、従前の例により処理することとし、新労災法の規定は施行日以後に発生した傷病等に関し支給する業務災害、複数業務要因災害又は通勤災害に関する保険給付について適用するものである。この場合において、負傷又は死亡が発生した日とは、実際に負傷又は死亡があった日を、疾病が発生した日とは、疾病について現実に療養が必要となった日を、また、障害が発生した日とは、傷病が治ゆした日に障害が残存している場合の当該治ゆ日を指すものであり、給付基礎日額の算定における算定事由発生日とは異なることに留意すること。
10 労働者災害補償保険特別支給金支給規則の改正
特別支給金についても複数業務要因災害に関する支給を加えるとともに、複数事業労働者について災害発生事業場における賃金額や特別給与の金額だけでなく非災害発生事業場の賃金額や特別給与の金額も合算することとした。
なお、特別支給金の申請については、従来の取扱いを変更するものではない。
(1) 給付基礎日額について
休業特別支給金の支給に用いる休業給付基礎日額は、労災法に基づく休業給付基礎日額であることから、複数事業労働者に関し支給する休業特別支給金は、複数事業労働者を使用する事業ごとに算定した給付基礎日額に相当する額を合算した額を基礎として政府が算定する額をもとに算定されるものである。
(2) 複数業務要因災害に係る特別支給金について
特別支給金について、複数業務要因災害に関する支給を加えることとしたため、各支給金に係る規定に複数業務要因災害に係る規定を加えたものである。
(3) 算定基礎年額及び算定基礎日額について
特別支給金の算定に用いる算定基礎年額及び算定基礎日額については、労災法にはないものであるが、今般の法改正の趣旨を踏まえ、これらについても複数事業労働者に関する支給金の場合は、複数事業労働者を使用する事業ごとに算定した算定基礎年額に相当する額を合算した額をもとに算定することとした(新特支金則第6条)。
なお、障害特別支給金、遺族特別支給金及び傷病特別支給金については、給付基礎日額、算定基礎年額及び算定基礎日額を用いて支給していないことから、支給額に変更はない。
11 関係告示の改正
改正法の施行に伴い、労働者災害補償保険法の施行に関する事務に使用する文書の様式を定める件(昭和35年労働省告示第10号)等、関係告示について所要の改正を行ったものである。
12 関係通達の改正
改正法の施行に伴い、関係通達を別紙1のとおり改める。
なお、従来の通達等については、本通達に個別の記載が無いものについてもその趣旨を勘案し適宜読み替えて運用されたい。
13 その他の改正
従来、遺族に対し支給する保険給付及び特別支給金の請求書においては死亡した労働者の個人番号(行政手続きにおける特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律(平成25年法律第27号)第2条第5項に規定する個人番号をいう。以下同じ。)を記載させることとしていたが、死者について個人番号を求める必要性を考慮し、今後は死者の個人番号を求めないこととしたこと。
第2 労働保険の保険料の徴収等に関する法律改正関係(労災保険関係)
今般の改正法により、労働保険の保険料の徴収等に関する法律(昭和44年法律84号)についても、一般保険料、第二種特別加入保険料及び第三種特別加入保険料に係る規定に所要の改正が行われた(新徴収法第12条第2項及び第3項)。
特に、メリット収支率の算定に当たっては、別紙2に示す通り、災害発生事業場における賃金額をもとに算定した額に相当する額のみを算入する等しているため留意すること(新徴収則第12条から第12条の3)。
第3 失業保険法及び労働者災害補償保険法の一部を改正する法律及び労働保険の保険料の徴収等に関する法律の施行に伴う関係法律の整備に関する法律改正関係
失業保険法及び労働者災害補償保険法の一部を改正する法律及び労働保険の保険料の徴収等に関する法律の施行に伴う関係法律の整備に関する法律(昭和44年法律第85号)では、暫定任意適用事業における保険給付の特例について規定しているが、当該特例においても労災法に新設された複数業務要因災害に関する保険給付及び複数事業労働者に関する保険給付については複数事業労働者を使用する事業ごとに算定した給付基礎日額に相当する額を合算することとする必要があるため、所要の規定の整備が行われたものである。
なお、複数事業労働者を使用する事業に暫定任意適用事業で、保険関係が未成立の事業が含まれている場合は、新労災法による複数業務要因災害に関する保険給付や給付基礎日額の合算は行われないものであるため留意すること。
別紙1
関係通達の改正
1 昭和45年10月27日付け基発第774号「労災就学援護費の支給について」の改正
別添労災就学等援護費支給要綱中「業務災害又は通勤災害」を「業務災害、複数業務要因災害又は通勤災害」に、「10 実施期日」を「11 実施期日」に、「11 経過措置」を「12 経過措置」に改め、「9 通勤災害についての適用」の次に、次の項目を加える。
10 複数業務要因災害についての適用
3から8までの規定は、複数事業労働者遺族年金、複数事業労働者障害年金又は複数事業労働者傷病年金を受ける権利を有する者について準用する。この場合において、これらの規定中「遺族補償年金、障害補償年金又は傷病補償年金」とあるのは「複数事業労働者遺族年金、複数事業労働者障害年金又は複数事業労働者傷病年金」と、「遺族補償年金が」とあるのは「複数事業労働者遺族年金が」と、「第16条の5第1項」とあるのは「第20条の6第3項において準用する第16条の5第1項」と、「労働者災害補償保険法の一部を改正する法律」とあるのは「雇用保険法等の一部を改正する法律(令和2年法律第14号)附則第7条第2項において準用する労働者災害補償保険法の一部を改正する法律」と、「業務災害」とあるのは「複数業務要因災害に係る保険給付の支給決定を行った」と、「第15条の5第1項」とあるのは「第18条の3の12第5項において準用する第15条の5第1項」と、それぞれ読み替えるものとする。
2 昭和54年4月4日付け基発第160号「労災就労保育援護費の新設等について」の改正
「遺族補償年金又は遺族年金」を「遺族補償年金、複数事業労働者遺族年金又は遺族年金」に、「遺族(補償)年金」を「遺族(補償)等年金」に、「障害補償年金又は障害年金」を「障害補償年金、複数事業労働者障害年金又は障害年金」に、「障害(補償)年金」を「障害(補償)等年金」に、「傷病補償年金、複数事業労働者傷病年金又は傷病年金」に、「幼保連携型認定ことも園」を「幼保連携型認定こども園」に、「傷病補償年金又は障害年金」を「傷病補償年金、複数事業労働者障害年金、複数事業労働者遺族年金若しくは複数事業労働者傷病年金又は障害年金」に、「同法第22条の4第3項において」を「同法第20条の6第3項及び第22条の4第3項において」に、「附則第5条第2項において」を「附則第5条第2項及び雇用保険法等の一部を改正する法律(令和2年法律第14号)附則第7条第2項において」に改める。
3 平成7年4月3日付け基発第199号「長期家族介護者援護金の支給について」の改正
イ 「障害補償年金若しくは障害年金」を「障害補償年金、複数事業労働者障害年金若しくは障害年金」に、「障害(補償)年金」を「障害(補償)等年金」に、「傷病補償年金、複数事業労働者傷病年金若しくは傷病年金」に、「傷病(補償)年金」を「傷病(補償)等年金」に、「介護補償給付又は介護給付」を「介護補償給付、複数事業労働者介護給付又は介護給付」に、「介護(補償)給付」を「介護(補償)等給付」に、「遺族補償年金及び遺族年金」を「遺族補償年金、複数事業労働者遺族年金及び遺族年金」に、「遺族(補償)年金」を「遺族(補償)等年金」に、「遺族補償給付及び遺族給付」を「遺族補償給付、複数事業労働者遺族給付及び遺族給付」に、「遺族(補償)給付」を「遺族(補償)等給付」に、「(以下「所轄署長」という。)」を「(ただし、死亡した労働者が複数事業労働者障害年金又は複数事業労働者傷病年金を受給していた場合は、当該年金給付を支給決定した労働基準監督署長。以下「所轄署長」という。)」に改める。
ロ 別添長期家族介護者援護金支給要綱中「障害補償年金若しくは障害年金」を「障害補償年金、複数事業労働者障害年金若しくは障害年金」に、「障害(補償)年金」を「障害(補償)等年金」に、「傷病補償年金、複数事業労働者傷病年金若しくは傷病年金」に、「傷病(補償)年金」を「傷病(補償)等年金」に、「遺族補償年金及び遺族年金」を「遺族補償年金、複数事業労働者遺族年金及び遺族年金」に、「遺族(補償)年金」を「遺族(補償)等年金」に、「遺族補償給付及び遺族給付」を「遺族補償給付、複数事業労働者遺族給付及び遺族給付」に、「遺族(補償)給付」を「遺族(補償)等給付」に、「(以下「所轄署長」という。)」を「(ただし、死亡した労働者が複数事業労働者障害年金又は複数事業労働者傷病年金を受給していた場合は、当該年金給付を支給決定した労働基準監督署長。以下「所轄署長」という。)」に、「介護(補償)給付」を「介護(補償)等給付」に改める。
ハ 援護金様式第1号中「傷病(補償)年金」を「傷病(補償)等年金」に、「遺族(補償)年金」を「遺族(補償)等年金」に、「障害(傷病)補償年金」を「障害・傷病(補償)等年金」に改める。
別紙2
メリット収支率の分子の額に算入する保険給付等について(概要)
労災保険給付 |
|
保険給付等の種類 |
算入額 |
療養補償給付 |
療養開始後3年を経過する日前に支給すべき事由の生じたものの額の合計額 |
休業補償給付 (複数事業労働者) |
療養開始後3年を経過する日前に支給すべき事由の生じたものの額の合計額のうち災害発生事業場における賃金額をもとに算定した額に相当する額 |
休業補償給付 (複数事業労働者を除く) |
療養開始後3年を経過する日前に支給すべき事由の生じたものの額の合計額 |
障害補償年金 (複数事業労働者) |
労基法に規定する障害補償相当日数分のうち災害発生事業場における賃金額をもとに算定した額に相当する額 |
障害補償年金 (複数事業労働者を除く) |
労基法に規定する障害補償相当日数分 |
障害補償一時金 (複数事業労働者) |
支給したもののうち災害発生事業場における賃金額をもとに算定した額に相当する額(失権差額一時金を除く) |
障害補償一時金 (複数事業労働者を除く) |
支給したものの全額(失権差額一時金を除く) |
遺族補償年金 (複数事業労働者) |
労基法に規定する遺族補償相当日数分のうち災害発生事業場における賃金額をもとに算定した額に相当する額 |
遺族補償年金 (複数事業労働者を除く) |
労基法に規定する遺族補償相当日数分 |
遺族補償一時金 (複数事業労働者) |
支給したもののうち災害発生事業場における賃金額をもとに算定した額に相当する額(失権差額一時金を除く) |
遺族補償一時金 (複数事業労働者を除く) |
支給したものの全額(失権差額一時金を除く) |
傷病補償年金 (複数事業労働者) |
災害発生事業場における賃金額をもとに算定した額に相当する額をもとに療養開始後3年を経過する日の属する月の前月までの月分のものの額の合計額 |
傷病補償年金 (複数事業労働者を除く) |
療養開始後3年を経過する日の属する月の前月までの月分のものの額の合計額 |
葬祭料 (複数事業労働者) |
災害発生事業場における賃金額をもとに算定した額に相当する額をもとに算定した全額 |
葬祭料 (複数事業労働者を除く) |
支給したものの全額 |
介護補償給付 |
療養開始後3年を経過する日の属する月の前月までの月分のものの額の合計額 |
特別支給金 |
|
保険給付等の種類 |
算入額 |
休業特別支給金 |
休業補償給付に準じた取扱い(療養開始から3年以内) |
傷病特別支給金 |
業務災害について支給したものの全額 |
障害特別支給金 |
業務災害について支給したものの全額 |
遺族特別支給金 |
業務災害について支給したものの全額 |
障害特別年金 |
障害補償年金に準じた取扱(労基法相当日数分) |
障害特別一時金 |
障害補償一時金に準じた取扱い |
遺族特別年金 |
遺族補償年金に準じた取扱(労基法相当日数分) |
遺族特別一時金 |
遺族補償一時金に準じた取扱い |
傷病特別年金 |
傷病補償年金に準じた取扱(療養補償から3年以内) |
石綿救済法に基づく特別遺族給付金 |
|
保険給付等の種類 |
算入額 |
特別遺族年金 |
1,200万円 |
特別遺族一時金 |
支給したものの全額(失権差額一時金を除く) |
[改正後全文]
○労災就学援護費の支給について
昭和45年10月27日基発第774号
(各都道府県労働基準局長あて厚生労働省労働基準局長通知)
最終改正 令和2年8月21日
今般、別添「労災就学援護費支給要綱」により、労災就学援護費の支給を昭和45年11月1日から行うこととしたので、下記によりこれらが事務処理について遺漏なきを期されたい。なお、労災就学援護費の支給に関連して、労働者災害補償保険特別会計法施行令の一部を改正する政令(昭和45年9月22日政令第268号)の制定が行われ、労働者災害補償保険法施行規則の一部を改正する省令及び労働大臣が定める事務に関する告示の制定が行われる予定であるので申し添える。
記
1 趣旨
労災就学援護費(以下「援護費」という。)は、昭和44年8月27日、労働者災害補償保険審議会から労働大臣あてなされた「労働者災害補償保険制度の改善についての建議」における「重度障害者及び労災遺児に対する援護施設の拡充改善等について検討」すべき旨の指摘をうけて、各種調査等による死亡労働者の子弟の就学状況の実態及び遺家族等の要望並びに国家公務員、地方公務員に類似の制度が設けられていることなどを勘案して、労働者災害補償保険法(以下「法」という。)第29条第1項の社会復帰促進等事業として設けられたものである。
したがって、援護費は、他の育英制度による奨学金と異なり、その支給要件をみたす者で申請のあったものに支給されるものであり、返還を要しないものである。
2 支給対象
(1) 援護費の支給を受ける者は、「労災就学等援護費支給要綱」(以下「要綱」という。)3に掲げる者である。
(2) 援護費の支給を受けることができる者は、その者の受ける遺族補償年金、障害補償年金又は傷病補償年金に係る給付基礎日額が要綱3の(1)ただし書に規定する額以下の者である。
この理由は、援護費が社会復帰促進等事業であることから、その支給対象を援護を必要とする者に限ったことにある。すなわち、法第8条の3第1項の年金給付基礎日額が要綱3の(1)ただし書に規定する額を超える者については、その年金たる保険給付の額と厚生年金保険等の給付の額の合計額が、おおむね一般労働者の平均的な給与額を超えることとなるので、このような者については、支給の対象とはしないこととした。
(3) (2)に該当する者であっても、「学資の支弁が困難であると認められるもの」でなければ、援護費の支給を受けることができる者となれない。ここで「学資の支弁が困難であると認められる」とは、障害者、遺族又は長期傷病者が主として労働者災害補償保険の年金たる保険給付及び厚生年金保険等の給付で生活せざるを得ないような場合をいう。したがって、(2)に該当する者であっても、たとえば労働者の死亡等に伴う損害賠償金等の所得(実収見込)が6,000万円を超えるような場合は、原則として学資の支弁が困難であるとは認められない。しかしながら、援護費の支給にあたっては、特に支給を受ける者の所得調査を行う必要はなく、保険給付の支給決定にあたって了知しえた限度で、学資の支弁が困難であるかどうかを判断すればよい。
(4)
イ 援護費は、在学者等がある場合に限って支給するものである。
ロ 幼稚園以外の学校教育法第1条(昭和22年法律第26号)に定める学校とは、次のものをいう。
(イ) 小学校
(ロ) 中学校(いわゆる夜間中学校は学校教育法第1条の学校ではないが、援護費の支給に関しては中学校として扱うものとする。)
(ハ) 義務教育学校(援護費の支給に関しては、義務教育学校の前期課程については小学校、後期課程については中学校として扱うものとする。)
(ニ) 高等学校(定時制課程並びに専攻科及び別科を含む。)
(ホ) 中等教育学校(援護費の支給に関しては、中等教育学校の前期課程については中学校、後期課程については高等学校として扱うものとする。)
(ヘ) 特別支援学校(幼稚部を除く。援護費の支給に関しては、小学部は小学校、中学部は中学校、高等部は高等学校として扱うものとする。)
(ト) 大学(夜間学部、専攻科及び別科並びに短期大学、専門職大学、専門職短期大学、大学院及び専門職大学院及び大学院を含む。)
(チ) 高等専門学校(専攻科を含む。)
ハ したがって、各種学校に在学している者にあっては、それが職業教育を目的としている者であっても、その者に関しては援護費は支給しない。
(5) 要綱3の(1)イ支給対象者には、遺族補償年金の受給権者ではあったが、18歳になったことにより遺族補償年金の受給権を失った者は含まれない。ただし、この者が要綱3の(1)ロの在学者に該当すれば(たとえば、受給権者であった死亡労働者の子が18歳になったことにより失権しても、その兄弟姉妹又は死亡労働者の父母が受給権者となり、その子が当該受給権者と生計を同じくしつつなお在学中の場合など)、引き続きその在学者に関する援護費は要綱3の(1)ロの支給対象者に支給される。
(6) 要綱3の(1)ロの在学者等には、18歳になったことにより遺族補償年金の受給権又は受給資格を失った者であって、遺族補償年金受給権者と生計を同じくする高等学校、盲学校等の高等部、高等専門学校又は大学に在学する者も含まれる。
(7) 要綱3の(1)ロ、ニ及びホの「生計を同じくしている」かどうかの判断は、法別表第1の遺族補償年金の項の「生計を同じくしている」の判断と同じ基準による。
(8) 要綱3の(1)ハ、ニ及びホの在学者等については、要綱3の(1)ロの在学者等と同様、年齢の制限はない。
(9) 援護費は、年金たる保険給付の支給事由が発生した時に在学者等がなかったが、その後子供が小学校に入学する等の事情によって支給申請があれば支給することとする。
3 支給額
(1) 援護費の額は、直接的には国家公務員の奨学援護金制度の奨学援護金の額にならったものであるが、文部科学省調査による「子どもの学習費調査」、日本学生支援機構の奨学金の額その他を勘案して定めたものである。
(2) 在学者等が日本学生支援機構の奨学金を受ける場合や、他の奨学金制度の奨学金を受ける場合であっても、この援護費は、減額することはしない。
(3) 在学者等に対する援護費の額は、要綱4による。
(4) 2以上の学校に同時に在学する者に係る援護費の額は、要綱4に掲げる額のうちいずれか有利な額とする。
4 支給期間
(1) 援護費の支給は、年金たる保険給付と同じく月単位で行ない日割計算等は行わない。
(2) 援護費の支給期間は、援護費を支給すべき事由が生じた月から支給すべき事由の消滅した月までであるが、遺族補償年金、障害補償年金又は傷病補償年金の支給事由があることを基礎としているので、これらの年金たる保険給付が支給されない次の場合は援護費も支給されない。
イ 遺族補償年金、障害補償年金又は傷病補償年金を支給すべき事由が発生した月
ロ 遺族補償年金、障害補償年金又は傷病補償年金を支給すべき事由が消滅した月の翌月以降の月
ハ 法第16条の5第1項の規定により遺族補償年金の受給権者の所在が不明になったことにより遺族補償年金の支給を停止された期間
ニ 労働者災害補償保険法の一部を改正する法律(昭和40年改正法)附則第43条第3項の規定による若年停止の期間
(3) 要綱5の(1)イの「労災就学援護費を支給すべき事由が生じた月」とは、要綱3の(1)イ~ホに掲げる者に該当するに至った日の属する月(その者が受けるべき遺族補償年金、障害補償年金又は傷病補償年金に係る年金給付基礎日額が、同日において16,000円を超えており、同日後16,000円以下となった場合にあっては、当該16,000円以下となった日の属する月)とする。
(4) 要綱5(1)イの「通常の修業年限」とは次のとおりである。
イ 小学校 6年
ロ 中学校 3年
ハ 高等学校
(イ) 全日制課程 3年
(ロ) 定時制課程及び通信制課程 4年
(ハ) 専修学校(一般課程又は普通課程) 3年
ニ 高等学校(専攻科又は別科) 1年以上3年以下
ホ 高等専門学校
(イ) 商船に関する学科以外の学科 5年
(ロ) 商船に関する学科 5年6月
ヘ 高等専門学校(専攻科) 1年以上3年以下
ト 大学
(イ) 医学、歯学又は薬学以外の学部(夜間学部を含む。) 4年
(ロ) 医学、歯学又は薬学の学部 6年
(ハ) 専攻科又は別科 1年
(ニ) 短期大学 2年又は3年
(ホ) 専修学校(専門課程) 4年
(ヘ) 専門職大学 4年
(ト) 専門職短期大学 2年又は3年
チ 大学院
(イ) 大学院(修士課程) 2年
(ロ) 専門職大学院 2年
リ 大学院(博士課程) 3年
ヌ 公共職業能力開発施設
(イ) 普通職業訓練(普通課程) 2年
(ロ) 高度職業訓練(専門課程又は応用課程) 2年
(ハ) 高度職業訓練(総合課程) 4年
(5) 要綱5(1)イの「当該学校等の区分ごとに原則一度支給する」とは、援護費の支給は、4(4)のイ~リの各区分(以下「教育課程」という。)において、次の場合を除き、一度に限られることをいう。
・ 既に同一の教育課程に属する学校等(4(4)のハ(イ)~(ハ)、ホ(イ)・(ロ)、ト(イ)~(ト)、チ(イ)・(ロ)及びヌ(イ)~(ハ)をいう。以下同じ。)を卒業した後又は卒業する前に退学した後に(既に卒業又は退学した学校を、以下「既卒の学校等」という。)、再度、同一の教育課程に属する学校等に入学する場合であって、再度入学する学校等の通常の修業年限から、既卒の学校等に在学又は在校していた期間に援護費の支給を受けていた期間を差し引いた期間がある場合。
当該差し引いた期間について、支給申請があれば援護費を支給することとする。
5 欠格事由等
(1) 要綱6の(1)イの欠格事由は、法第16条の4に定める遺族補償年金の受給権の消滅と同様の考え方により、学資の支弁が困難ではなくなったものとして定められたものである。
(2) 要綱6の(1)ロの「特に労災就学援護費を支給することが適当でないと認むべき事情」とは次の場合をいう。
イ 休学又は停学のため学校に出席しないこと
ロ 留年又は落第により原級に留まっていること
ハ 学費の支弁が困難でなくなったこと
6 手続
(1) 援護費の支給は、要綱7の(1)ロに掲げる書類その他の資料を添えて提出された「労災就学等援護費支給(変更)申請書」(様式第1号)により、所轄署長が行うべき当面の事務の処理については、別紙「労災就学援護費の支給に係る当面の事務処理について」によることとされたい。
なお、事務処理要領の詳細については、「労災就学援護費支給事務処理要領(昭和46年2月6日基発第99号)」を参照していただきたい。
(2) 要綱7の(1)ニの「在学者の増加、減少又は変更」とは、同一の受給権者に係る在学者等の数に変更が生じた場合又は在学者等でなくなった者と在学者等となった者が同時に発生して援護費の額に変動がある場合をいい、すでに援護費を受けている者の進学による援護費の額の変更は含まない。進学による援護費の額の変更は、要綱8の(1)ロの「労災就学等援護費支給対象者の定期報告書」(様式第3号)により所轄署長が職権変更を行い、要綱7の(1)ホにより事務処理を行うこととする。
なお、遺族補償年金の受給権者が転給によって変わったときは、在学者等の数の変動に関係なく、新たな受給権者から「労災就学等援護費支給(変更)申請書」(様式第1号)を提出せしめることとする。
7 支払
(1) 援護費の支払は、年金たる保険給付の支払とあわせて、これと全く同様に行う。ただし、支払期月以外の支払は行わない。
(2) 援護費の支払期月は年金たる保険給付の支払期日と一致させ、各支払期日に支払われる援護費は学年に合致させて支払期月の前前月までの2ヶ月分とした。
(3) 要綱8の(1)ロの「所轄署長がこの報告を必要でないと認める場合」とは、次の場合をいう。
イ 毎年6月30日又は10月31日までに提出される則第21条の年金たる保険給付の定期報告において援護費の支給につき特に事情の変更がないと認められるとき、たとえば、遺族補償年金の受給権者については援護費の支給に係る在学者等が小学校又は中学校の低学年生であって、死亡、養子縁組の解消等により遺族補償年金の受給権又は受給資格を失う事実が認められない場合などである。
ロ その年の4月に入学その他の事情があって、「労災就学等援護費支給対象者の定期報告」(様式第3号)を提出すべき時期の直前に「労災就学等援護費支給(変更)申請書」(様式第1号)が提出されたとき。
(4) 要綱8の(1)ハの「未支給の労災就学援護費」とは、次のものをいう。
イ 援護費の支給を受ける者が死亡した場合において、その死亡した者に支給すべき援護費でまだその者に支給しなかったもの。
ロ 援護費の支給を受ける者が障害補償年金、遺族補償年金又は傷病補償年金の受給権を失った場合(死亡による失権を除き、遺族補償年金については転給者がいない場合に限る。)において、ある支払期月で障害補償年金、遺族補償年金又は傷病補償年金の支払は終わったが援護費のみの支払が次の支払期月まで残ったときの当該援護費の未払分。たとえば、障害補償年金の受給権者が4月に失権したとき、障害補償年金は5月に2月分、3月分、4月分が支払われるが、援護費は5月には1月分、2月分及び3月分しか支払われず、4月分は8月に支払われることとなる。その8月に支払われる4月分の援護費をいう。
(別添)
労災就学等援護費支給要綱
1 趣旨
業務災害、複数業務要因災害又は通勤災害により死亡し、重度障害を受け、又は長期療養を要する労働者の子のその後の就学状況及び保育の状況、労災遺家族等の就労の状況、これらの者の要望等にかんがみ、業務災害、複数業務要因災害又は通勤災害による重度障害者、長期療養者及び遺族に、労災保険の社会復帰促進等事業として労災就学等援護費を支給するものとする。
2 種類
労災就学等援護費の種類は、次のとおりとする。
(1) 労災就学援護費
(2) 労災就労保育援護費
3 支給対象者
(1) 労災就学援護費
労災就学援護費は、次に掲げる者に支給する。ただし、その者(労災就学等援護費の支給対象者であったことがある者を除く。)が受けるべき遺族補償年金、障害補償年金又は傷病補償年金に係る労働者災害補償保険法(昭和22年法律第50号。以下「法」という。)第8条の3第1項に規定する年金給付基礎日額が16,000円を超える場合には、この限りでない。
イ 遺族補償年金を受ける権利を有する者(以下「遺族補償年金受給権者」という。)のうち、学校教育法(昭和22年法律第26号)第1条に定める学校(幼稚園を除く。)若しくは同法第124条に定める専修学校(一般課程にあっては、都道府県労働局長が当該課程の程度が高等課程と同等以上であると認めるものに限る。以下同じ。)に在学する者又は職業能力開発促進法(昭和44年法律第64号)第15条の7第1項各号に掲げる施設(以下「公共職業能力開発施設」という。)において、職業能力開発促進法施行規則(昭和44年労働省令第24号)第9条に規定する普通職業訓練(短期課程のものを除く。以下同じ。)若しくは高度職業訓練(職業能力開発促進法第27条に規定する職業能力開発総合大学校において行われるものを含む。専門短期課程及び応用短期課程のものを除く。以下同じ。)を受ける者(以下「在学者等」という。)であって学資等の支弁が困難であると認められるもの。
ロ 遺族補償年金受給権者のうち、労働者の死亡の当時その収入によって生計を維持していた当該労働者の子(当該労働者の死亡の当時胎児であった子を含む。)で現に在学者等であるものと生計を同じくしている者であって当該在学者等に係る学資等の支弁が困難であると認められるもの。
ハ 障害補償年金を受ける権利を有する者(障害等級第1級から第3級までの等級に該当する身体障害がある者に限る。以下「障害補償年金受給権者」という。)のうち、在学者等であって学資等の支弁が困難であると認められるもの。
ニ 障害補償年金受給権者のうち、在学者等である子と生計を同じくしている者であって、当該在学者等に係る学資等の支弁が困難であると認められるもの。
ホ 傷病補償年金を受ける権利を有する者(せき髄損傷者等傷病の程度が特に重篤であると認められる者に限る。以下「傷病補償年金受給権者」という。)のうち、在学者等である子と生計を同じくしている者であって当該在学者等に係る学資等の支弁が困難であると認められるもの。
(2) 労災就労保育援護費
労災就労保育援護費は、次に掲げる者に支給する。(1)のただし書の規定は、この場合に準用する。
イ 遺族補償年金受給権者のうち、保育を必要とする未就学の児童(以下「要保育児」という。)であり、かつ、当該要保育児と生計を同じくしている者の就労のため保育所、幼稚園等に預けられている者であって、保育に係る費用の援護の必要があると認められるもの。
ロ 遺族補償年金受給権者のうち、労働者の死亡の当時その収入によって生計を維持していた要保育児たる当該労働者の子(当該労働者の死亡当時胎児であつた子を含む。)と生計を同じくしている者であり、かつ、就労のため当該要保育児を保育所、幼稚園等に預けている者であって、保育に係る費用の援護の必要があると認められるもの。
ハ 障害補償年金受給権者のうち、要保育児であり、かつ、当該受給権者と生計を同じくしている者の就労のため保育所、幼稚園等に預けられている者であって、保育に係る費用の援護の必要があると認められるもの。
ニ 障害補償年金受給権者のうち、要保育児たる当該受給権者の子と生計を同じくしており、かつ、当該要保育児を当該受給権者と生計を同じくしている者の就労のため保育所、幼稚園等に預けている者又は要保育児たる当該受給権者の子と生計を同じくしており、かつ、就労のため当該要保育児を保育所、幼稚園等に預けている者であって、保育に係る費用の援護の必要があると認められるもの。
ホ 傷病補償年金受給権者のうち、要保育児たる当該受給権者の子と生計を同じくしており、かつ、当該要保育児を当該受給権者と生計を同じくしている者の就労のため保育所、幼稚園等に預けている者であって、保育に係る費用の援護の必要があると認められるもの。
4 支給額
(1) 労災就学援護費
労災就学援護費の支給額は、次に掲げる在学者等の区分に応じ、在学者等一人につき、それぞれ次に掲げる額とする。
イ 小学校、義務教育学校の前期課程又は特別支援学校の小学部に在学する者
月額 14,000円
ロ 中学校、義務教育学校の後期課程、中等教育学校の前期課程又は特別支援学校の中学部に在学する者
月額 18,000円(ただし、通信制課程に在学する者にあっては、月額15,000円。)
ハ 高等学校(定時制課程の第4学年、専攻科及び別科を含む。)、中等教育学校の後期課程、高等専門学校の第一学年から第三学年まで、特別支援学校の高等部、専修学校の高等課程若しくは一般課程に在学する者又は公共職業能力開発施設において中学校卒業者若しくはこれと同等以上の学力を有すると認められる者を対象とする普通職業訓練若しくは職業訓練法施行規則の一部を改正する省令(昭和53年労働省令第37号)附則第2条に規定する第1類の専修訓練課程の普通職業訓練を受ける者
月額 18,000円(ただし、通信制課程に在学する者にあっては、月額15,000円。)
ニ 大学、専門職大学、短期大学、専門職短期大学、大学院、専門職大学院、高等専門学校の第四学年、第五学年若しくは専攻科若しくは専修学校の専門課程に在学する者又は公共職業能力開発施設において普通職業訓練を受ける者(ハに掲げる者を除く。)若しくは高度職業訓練を受ける者
月額 39,000円(ただし、通信制課程に在学する者にあっては、月額30,000円。)
(2) 労災就労保育援護費
労災就労保育援護費の支給額は、要保育児一人につき、月額12,000円とする。
5 支給期間
(1) 労災就学援護費
イ 労災就学援護費は、労災就学援護費を支給すべき事由が生じた月(労災就学援護費を支給すべき事由が生じた月が遺族補償年金、障害補償年金又は傷病補償年金を支給すべき事由の発生した月であるときは、その翌月)から支給すべき事由が消滅した月(労災就学援護費を支給すべき事由が消滅する前に遺族補償年金、障害補償年金又は傷病補償年金を支給すべき事由が消滅したときは、遺族補償年金、障害補償年金又は傷病補償年金を支給すべき事由が消滅した月)までの間支給する。ただし、在学者等が当該学校等に在学又は在校する場合における通常の就業年限に限り、当該学校等の区分ごとに原則一度支給する。また、その支給を受ける者に係る遺族補償年金が法第16条の5第1項又は昭和40年改正法附則第43条第3項の規定により支給停止されている期間については、支給しない。
ロ 公共職業能力開発施設において普通職業訓練又は高度職業訓練を受ける者についての労災就学援護費は、その者が当該訓練につき、雇用保険法(昭和49年法律第116号)第10条第2項に規定する技能修得手当、雇用対策法施行規則(昭和41年労働省令第23号)第2条第1項に規定する技能修得手当、その他法令又は条例の規定によるこれらの手当に相当する給付の支給を受けることができる期間については、支給しない。
(2) 労災就労保育援護費
(1)の規定は、労災就労保育援護費の支給期間について準用する。
6 欠格事由等
(1) 労災就学援護費
イ 労災就学援護費に係る在学者等(3の(1)のハに掲げる者を除く。)が次のいずれかの一に該当するに至ったときは、その該当する月の翌月以降、当該在学者等に係る労災就学援護費の支給を行わない。
(イ) 婚姻(届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にある場合を含む。)をしたとき。
(ロ) 直系血族又は直系姻族以外の者の養子(届出をしていないが、事実上養子縁組関係と同様の事情にある者も含む。)となったとき。
(ハ) 離縁によって死亡した労働者との親族関係が終了したとき。
ロ 在学者等について、特に労災就学援護費を支給することが適当でないと認むべき事情がある場合には、その事情のある月については、労災就学援護費を支給しないものとする。
(2) 労災就労保育援護費
(1)の規定は、要保育児についての労災就労保育援護費の欠格事由等について準用する。この場合において「(3の(1)のハに掲げる者を除く。)」とあるのは「(3の(2)のハに掲げる者を除く。)」と読み替えるものとする。
7 手続
(1) 労災就学援護費
イ 労災就学援護費の支給を受けようとする者は、「労災就学等援護費支給変更申請書」(様式第1号)を業務災害に係る事業場の所在地を管轄する労働基準監督署長(以下「所轄署長」という。)に提出しなければならないものとする。
ロ イの申請書には、次に掲げる書類その他の資料を添えなければならない。
(イ) 在学者等に関する在学証明書又は在校証明書(専修学校に在学する者にあっては、修業年限を証明することができる書類を、公共職業能力開発施設等又は職業能力開発総合大学校の在校者にあっては、訓練課程の種類及び訓練期間を証明することができる書類を、それぞれ添付すること。)
(ロ) 3の(1)のロに掲げる者にあっては、在学者等が当該申請がなされた日において18才に達する日以後の最初の3月31日を経過している場合には、次に掲げる資料。ただし、在学者等が労働者の死亡の日の属する月の翌月において18才に達する日以後の最初の3月31日までの間にあった場合には、この限りでない。
(i) 在学者等と死亡した労働者との身分関係を証明することができる戸籍の謄本又は抄本
(ii) 在学者等が死亡した労働者の収入によって生計を維持していたことを証明することができる資料(厚生労働大臣が住民基本台帳法(昭和42年法律第81号)第30条の9の規定により当該書類と同一の内容を含む機構保存本人確認情報(同条に規定する機構保存本人確認情報をいう。以下同じ。)の提供を受けることができるときは、この限りでない。)
(iii) 在学者等が申請人と生計を同じくしていることを証明することができる資料(厚生労働大臣が住民基本台帳法第30条の9の規定により当該書類と同一の内容を含む機構保存本人確認情報の提供を受けることができるときは、この限りでない。)
(ハ) 3の(1)のニ及びホに掲げる者にあっては、次に掲げる資料
(i) 在学者等と申請人との身分関係を証明することができる戸籍の謄本又は抄本
(ii) 在学者等が申請人と生計を同じくしていることを証明することができる資料(厚生労働大臣が住民基本台帳法第30条の9の規定により当該書類と同一の内容を含む機構保存本人確認情報の提供を受けることができるときは、この限りでない。)
ハ 遺族補償年金受給権者が二人以上あるときは、労働者災害補償保険法施行規則(昭和30年労働省令第22号)第15条の5第1項本文の規定により選任された代表者が、労災就学援護費の請求及び受領を行う者となるものとする。ただし、同項ただし書の規定により代表者が選任されないときは、この限りでない。
ニ 在学者等の増加、減少又は変更により労災就学援護費の額の変更を受けようとする者は、「労災就学等援護費支給変更申請書」(様式第1号)を所轄署長に提出しなければならないものとする。当該申請書の添付資料については、ロの規定を準用する。
ホ 所轄署長は、イ又はニの申請書を受け取ったときは、その内容を検討の上、支給・不支給又は変更の決定(以下「決定」という。)を行い、その旨を「労災就学等援護費支給変更・不支給通知書」(様式第2号)により申請者に通知するとともに、支給決定又は変更決定したものについては所要の事項を所轄都道府県労働局長を経由して本省労災保険業務課に報告する。所轄署長が8の(1)のロによる支給対象者に関する報告書等により、変更決定した場合における労災就学援護費の支給を受けている者への通知も同様とする。
また、労災就学援護費の決定については、処分性が認められるため、行政事件訴訟法(昭和37年法律第139号)、行政不服審査法(平成26年法律第68号)、行政手続法(平成5年法律第88号)の適用がある。
このため、所轄都道府県労働局長及び所轄署長は、次のとおり事務を行うこととする。
(イ) 労災就学援護費の決定は、行政不服審査法第1条第2項に規定する行政処分であるものとして、審査請求の対象として取り扱うこと。
(ロ) 労災就学援護費の決定に関する審査は、当該決定をした所轄署長の上級庁である所轄都道府県労働局長が行うこと。なお、再審査請求は行うことができないものであること。
(ハ) 決定を行う際は、その相手方に対し、「労災就学等援護費支給変更・不支給通知書」(様式第2号)をもって、行政不服審査法に基づく審査請求及び行政事件訴訟法に基づく取消訴訟の提起ができる旨の教示を行うこと。その際は、不服申立て手続の有無に関係なく、訴訟の提起が可能であることに留意すること。
(ニ) 労災就学援護費を変更又は不支給とする場合には、「労災就学等援護費支給変更・不支給通知書」(様式第2号)に当該決定の理由を付記する、又は、理由を明記した別紙を添付して通知すること。
(2) 労災就労保育援護費
(1)の規定(ロを除く。)は、労災就労保育援護費の支給手続について準用する。この場合において「在学者等」とあるのは「要保育児」と読み替え、準用された(1)のイの申請書には、次に掲げる書類その他の資料を添えなければならない。
イ 要保育児が保育所、幼稚園等に預けられていることを証明する書面
ロ 3の(2)のロに掲げる者にあっては、要保育児と死亡した労働者との身分関係を、3の(2)のニ及びホに掲げる者にあっては、要保育児と申請人との身分関係を証明することができる戸籍の謄本又は抄本
ハ 3の(2)のロに掲げる者にあっては、要保育児が死亡した労働者の収入によって生計を維持していたことを証明することができる資料(厚生労働大臣が住民基本台帳法第30条の9の規定により当該書類と同一の内容を含む機構保存本人確認情報の提供を受けることができるときは、この限りでない。)
ニ 要保育児と生計を同じくしている者が就労していることを証明する書面
ホ 申請人と生計を同じくしている者の要保育児の保育に関する状況を証明する書面
ヘ その他厚生労働省労働基準局長が必要と認めるもの
8 支払
(1) 労災就学援護費
イ 労災就学援護費の支払期日は2月、4月、6月、8月、10月及び12月とし、2月には前年の12月及び1月分を、4月には2月及び3月分を、6月には4月及び5月分を、8月には6月及び7月分を、10月には8月及び9月分を、12月には10月及び11月分を、それぞれの支払期日に支払うべき年金とあわせて銀行振込等により支払うものとする。
なお、各期の支払は受給者からの特別の請求は要しないものとするが、ロの定期報告をしない場合には支払を一時差し止めることができるものとする。
ロ 労災就学援護費の受給者は、所轄署長に対して毎年6月に「労災就学等援護費支給対象者の定期報告書」(様式第3号)(この場合において在学証明書(高等学校以上の在学者に限る。)又は在校証明書及び受給者と在学者等との同一生計関係を証明する書面を添付すること。ただし、厚生労働大臣が住民基本台帳法第30条の9の規定により当該書類と同一の内容を含む機構保存本人確認情報の提供を受けることができるときは、この限りでない。)を提出しなければならないものとする。ただし、所轄署長がこの報告を必要でないと認める場合には、この報告書の提出を省略させることができるものとする。
ハ 未支給の労災就学援護費については、労働者災害補償保険法第11条の規定に準じて取り扱うものとし、その支払は、所轄署長が行うものとする。
ニ 労災就学援護費を支給すべきでない事由が生じたにもかかわらず、その支給すべきでない期間の分として労災就学援護費が支払われたときは、その後に支払うべき労災就学等援護費の内払とみなす。労災就学援護費を減額すべき事由が生じたにもかかわらず、その事由が生じた月の翌月以後の分として減額しない額の労災就学援護費が支払われた場合における当該労災就学援護費の当該減額すべきであつた部分についても、同様とする。
ホ 支給開始後に労働者の死亡等に伴う損害賠償金等の所得(実収見込)が6,000万円を超えることを了知した場合、欠格事由に該当するため、受給者に懇切丁寧な説明を行った上、損害賠償金等の受領の事実が確認できた時点で支給を停止すること。しかしながら、当該受給者は損害賠償金等の所得額が明らかになるまでは学資の支弁が困難であり、不正利得を得ていたとも認められないことから、既支給分の回収はしないものとする。
(2) 労災就労保育援護費
(1)の規定は、労災就労保育援護費の支払について準用する。この場合において、同規定中「(この場合において在学証明書(高等学校以上の在学者に限る。)又は在校証明書及び受給者と在学者等との同一生計関係を証明する書面を添付すること。)」とあるのは、「(7の(2)に掲げる資料(イ及びニからヘまでに限る。)を添付すること。)」と読み替えるものとする。
9 通勤災害についての適用
3から8までの規定は、遺族年金、障害年金又は傷病年金を受ける権利を有する者について準用する。この場合において、これらの規定中「遺族補償年金、障害補償年金又は傷病補償年金」とあるのは「遺族年金、障害年金又は傷病年金」と、「遺族補償年金が」とあるのは「遺族年金が」と、「第16条の5第1項」とあるのは「第22条の4第3項において準用する第16条の5第1項」と、「労働者災害補償保険法の一部を改正する法律」とあるのは「労働者災害補償保険法の一部を改正する法律(昭和48年法律第85号)附則第5条第2項において準用する労働者災害補償保険法の一部を改正する法律」と、「業務災害」とあるのは「通勤災害」と、「第15条の5第1項」とあるのは「第18条の9第3項において準用する第15条の5第1項」と、それぞれ読み替えるものとする。
10 複数業務要因災害についての適用
3から8までの規定は、複数事業労働者遺族年金、複数事業労働者障害年金又は複数事業労働者傷病年金を受ける権利を有する者について準用する。この場合において、これらの規定中「遺族補償年金、障害補償年金又は傷病補償年金」とあるのは「複数事業労働者遺族年金、複数事業労働者障害年金又は複数事業労働者傷病年金」と、「遺族補償年金が」とあるのは「複数事業労働者遺族年金が」と、「第16条の5第1項」とあるのは「第20条の6第3項において準用する第16条の5第1項」と、「労働者災害補償保険法の一部を改正する法律」とあるのは「雇用保険法等の一部を改正する法律(令和2年法律第14号)附則第7条第2項において準用する労働者災害補償保険法の一部を改正する法律」と、「業務災害に係る事業場の所在地を管轄する」とあるのは「複数業務要因災害に係る保険給付の支給決定を行った」と、「第15条の5第1項」とあるのは「第18条の3の12第5項において準用する第15条の5第1項」と、それぞれ読み替えるものとする。
11 実施期日
(1) 労災就学援護費
労災就学援護費の支給は、昭和45年11月1日から実施することとする。
(2) 労災就労保育援護費
労災就労保育援護費の支給に関する規定は、昭和54年4月4日から実施し、同月1日から適用することとする。
12 経過措置
(1) 労災就学援護費
イ 昭和45年10月31日において3の(1)のイからニまでに該当するものについては、5の(1)に定めるところにかかわらず、その者が昭和45年12月20日までに支給の申請を行った場合には、昭和45年11月から労災就学援護費を支給することとする。
ロ 平成11年7月31日において年金給付基礎日額が16,000円を超えていた者が、同年8月1日以後新たに当該者に係る年金給付基礎日額が16,000円以下となったために労災就学援護費の支給を受けることができることとなった場合においては、5の(1)にかかわらず、その者が同年12月20日までに支給の申請を行った場合には、同年8月から労災就学援護費を支給することとする。
ハ 平成14年7月31日において年金給付基礎日額が16,000円を超えていた者(ロの規定により労災就学援護費の支給を受けることができる者を除く。)が、同年8月1日以後新たに当該者に係る年金給付基礎日額が16,000円以下となったために労災就学援護費の支給を受けることができることとなった場合においては、5の(1)にかかわらず、その者が同年12月20日までに支給の申請を行ったときは、同年8月から労災就学援護費を支給するものとする。
この場合において、8の(1)のイにかかわらず、同年10月又は11月に労災就学援護費の支給の申請を行った者の8月及び9月分については、同年12月に支払うものとし、同年12月(20日までに限る。)に労災就学援護費の支給の申請を行った者の8月から11月までの分については、平成15年2月に支払うものとする。
ニ 平成15年7月31日において年金給付基礎日額が16,000円を超えていた者(ロの規定により労災就学援護費の支給を受けることができる者を除く。)が、同年8月1日以後新たに当該者に係る年金給付基礎日額が16,000円以下となったために労災就学援護費の支給を受けることができることとなった場合においては、5の(1)にかかわらず、その者が同年12月22日までに支給の申請を行ったときは、同年8月から労災就学援護費を支給するものとする。
この場合において、8の(1)のイにかかわらず、同年10月又は11月に労災就学援護費の支給の申請を行った者の8月及び9月分については、同年12月に支払うものとし、同年12月(22日までに限る。)に労災就学援護費の支給の申請を行った者の8月から11月までの分については、平成16年2月に支払うものとする。
ホ 平成16年7月31日において年金給付基礎日額が16,000円を超えていた者(ロの規定により労災就学援護費の支給を受けることができる者を除く。)が、同年8月1日以後新たに当該者に係る年金給付基礎日額が16,000円以下となったために労災就学援護費の支給を受けることができることとなった場合においては、5の(1)にかかわらず、その者が同年12月20日までに支給の申請を行ったときは、同年8月から労災就学援護費を支給するものとする。
この場合において、8の(1)のイにかかわらず、同年10月又は11月に労災就学援護費の支給の申請を行った者の同年8月及び9月分については、同年12月に支払うものとし、同年12月(20日までに限る。)に労災就学援護費の支給の申請を行った者の同年8月から11月までの分については、平成17年2月に支払うものとする。
ヘ 平成17年7月31日において年金給付基礎日額が16,000円を超えていた者(ロの規定により労災就学援護費の支給を受けることができる者を除く。)が、同年8月1日以後新たに当該者に係る年金給付基礎日額が16,000円以下となったために労災就学援護費の支給を受けることができることとなった場合においては、5の(1)にかかわらず、その者が平成18年1月20日までに支給の申請を行つたときは、平成17年8月から労災就学援護費を支給するものとする。
この場合において、8の(1)のイにかかわらず、同年10月又は11月に労災就学援護費の支給の申請を行った者の同年8月及び9月分については、同年12月に支払うものとし、同年12月又は平成18年1月(20日までに限る。)に労災就学援護費の支給の申請を行った者の平成17年8月から11月までの分については、平成18年2月以降に支払うものとする。
ト 平成19年7月31日において年金給付基礎日額が16,000円を超えていた者(ロの規定により労災就学援護費の支給を受けることができる者を除く。)が、同年8月1日以後新たに当該者に係る年金給付基礎日額が16,000円以下となったために労災就学援護費の支給を受けることができることとなった場合においては、5の(1)にかかわらず、その者が平成20年1月21日までに支給の申請を行ったときは、平成19年8月から労災就学援護費を支給するものとする。
この場合において、8の(1)のイにかかわらず、平成19年10月又は11月に労災就学援護費の支給の申請を行った者の同年8月及び9月分については、同年12月又は平成20年2月に支払うものとし、平成19年12月又は平成20年1月(21日までに限る。)に労災就学援護費の支給の申請を行った者の平成19年8月から11月までの分については、平成20年2月又は4月に支払うものとする。
チ 平成20年3月31日以前に労災就学援護費を支給すべき事由が生じた者に係る支給開始月については、なお従前のとおりとする。
リ 平成25年3月以前の月分の労災就学援護費の額(4の(1)のハに規定するものに限る。)については、なお従前の例による。
ヌ 当該改正に関する規定は、平成25年4月1日に遡って適用する。
ル 平成26年3月31日以前に労災就学援護費を支給すべき事由が生じた者(職業能力開発総合大学校において長期課程による指導員訓練を受ける者に限る。)に係る支給については、なお従前の例による。
ヲ 平成31年3月31日以前に労災就学援護費を支給すべき事由が生じた者に係る支給期間については、なお従前の例による。
(2) 労災就労保育援護費
イ 昭和54年4月について、3の(2)のイからホまでに該当する者にあっては5の(2)に定めるところにかかわらず、その者が同年5月31日までに支給の申請を行った場合には、同年4月から労災就労保育援護費を支給することとする。
ロ (1)のロからチまでの規定は、労災就労保育援護費の支給について準用する。
○労災就労保育援護制度の新設等について
昭和54年4月4日基発第160号
(各都道府県労働基準局長あて労働省労働基準局長通知)
労災就学援護費の支給については、昭和45年10月27日付け基発第774号によって取り扱われてきたところであるが、今般標記の件に関し、別紙のとおり、労災就学援護費支給要綱及び昭和45年10月27日付け基発第774号通達本文の一部を改正し、昭和54年4月1日から適用することとしたので了知されるとともに、その取扱いについては、下記の点に留意し、遺漏なきを期されたい。
また、労災就労保育援護費の支給に関連して、別途通達するとおり、労働者災害補償保険法施行規則の一部を改正する省令(昭和54年労働省令第12号)及び労働大臣が定める事務に関する告示の一部を改正する告示(昭和54年労働省告示第30号)が施行され、また、近く労働保険特別会計法施行令(昭和47年政令第28号)の一部改正が行われる予定であるので、申し添える。
記
1 改正の趣旨
今次の要綱の改正は、労災就労保育援護制度の新設及び労災就学援護制度の改善を内容とするものであるが、労災就労保育援護制度は、保育に係る費用の一部を援護することにより保育を必要とする児童を抱える労災年金受給権者又はその家族の就労を促進し、被災労働者及びその遺家族等の援護を図ることを目的とするものである。
2 改正の内容
(1) 労災就労保育援護制度の新設
1 支給対象
(1) 労災就労保育援護費(以下「就労保育援護費」という。)の支給を受ける者は、労災就学等援護費支給要綱(以下「要綱」という。)3の(2)に掲げる者である。すなわち、次に掲げるとおり、一定の要件を満たす年金たる保険給付の受給権者が、就労保育援護費の支給を受ける者となる。
イ 遺族補償年金、複数事業労働者遺族年金又は遺族年金を受ける権利を有する者(以下「遺族(補償)等年金受給権者」という。)のうち、次に掲げる要件を満たすもの
(イ) 保育を必要とする未就学の児童(以下「要保育児」という。)であること。
(ロ) 当該受給権者と生計を同じくしている者の就労のため保育所、幼稚園に預けられているものであること
(ハ) 保育に係る費用の援護の必要があると認められるものであること
ロ 遺族(補償)等年金受給権者のうち、次に掲げる要件を満たすもの
(イ) 労働者の死亡の当時その収入によって生計を維持していた要保育児たる当該労働者の子(当該労働者の死亡の当時胎児であった子を含む。)と生計を同じくしている者であること
(ロ) 就労のため当該要保育児を保育所、幼稚園等に預けているものであること
(ハ) 保育に係る費用の援護の必要があると認められるものであること
ハ 障害補償年金、複数事業労働者障害年金又は障害年金を受ける権利を有する者(障害等級第1級から第3級までの等級に該当する身体障害がある者に限る。以下「障害(補償)等年金受給権者」という。)のうち、次に掲げる要件を満たすもの
(イ) 要保育児であること
(ロ) 当該受給権者と生計を同じくしている者の就労のため保育所、幼稚園等に預けられているものであること
(ハ) 保育に係る費用の援護の必要があると認められるものであること
ニ 障害(補償)等年金受給権者のうち、次に掲げる要件を満たすもの
(イ) 要保育児たる当該受給権者の子と生計を同じくしている者であること
(ロ) 生計を同じくしている者又は当該受給権者の就労のため当該要保育児が保育所、幼稚園等に預けられているものであること
(ハ) 保育に係る費用の援護の必要があると認められるものであること
ホ 傷病補償年金、複数事業労働者傷病年金又は傷病年金を受ける権利を有する者(せき髄損傷者等傷病の程度が特に重篤であると認められる者に限る。)のうち、次に掲げる要件を満たすもの
(イ) 要保育児たる当該受給権者の子と生計を同じくしている者であること
(ロ) 生計を同じくしている者の就労のため当該要保育児が保育所、幼稚園等に預けられているものであること
(ハ) 保育に係る費用の援護の必要があると認められるものであること
(2) 就労保育援護費の支給を受けることができる者は、労災就学援護費の場合と同様その者の受ける年金たる保険給付に係る給付基礎日額が16,000円以下(スライドによって、年金額が引き上げられた者については、給付基礎日額にそのスライド率を乗じて得た額が16,000円以下)の者である。
(3) (2)に該当する者であっても、「保育に係る費用の援護の必要があると認められるもの」であることが必要である。ここで、「保育に係る費用の援護の必要があると認められる」とは、労災就学援護費における「学資の支弁が困難」の場合と同様、障害者、遺族又は長期傷病者が主として労働者災害補償保険の年金たる保険給付及び厚生年金保険等の給付で生活せざるを得ないような場合をいう。したがって、例えば、労働者の死亡等に伴う損害賠償金等の所得がおおむね6,000万円をこえるような場合には、原則として保育に係る費用の援護の必要があるとは認められない。
(4) 就労保育援護費は、保育を必要とする未就学の児童(要保育児)と生計を同じくしている者(年金受給権者を含む。)の就労のためその要保育児が保育所、幼稚園等に預けられている場合に限って支給するものである。
イ 「要保育児」とは、次の者をいう。
(イ) 毎年当該年度に属する4月1日において6歳未満の児童
(ロ) 毎年当該年度に属する4月1日において6歳以上18歳未満の未就学の児童であって、保育を必要とするもの
ロ 「就労」とは、常態として就労する場合をいう。ここにいう就労には雇用労働者として働く場合のほか、自営業、内職等を営む場合も含まれる。常態として雇用労働者として働くものとして認めるには、就労日数が1ヶ月間においておおむね14日以上(パートタイマーの場合には1ヶ月間の労働時間がおおむね42時間以上)であることが必要である。
ハ 就労する者は、要保育児と生計を同じくしている者でなければならない。したがって、通常、同居の親族がこれに該当する。
「生計を同じくしている」かどうかの判断は、労働者災害補償保険法別表第1の遺族補償年金の項の「生計を同じくしている」の判断の基準による。
ニ 「保育所、幼稚園等」には、児童福祉法(昭和22年法律第164号)第39条に規定する保育所、学校教育法第22条に規定する幼稚園のほか、就学前の子どもに関する教育、保育等の総合的な提供の推進に関する法律(平成18年法律第77号)第2条第7項に規定する幼保連携型認定こども園、私設の託児施設等(例えば、無認可保育所、会社の託児施設、知人・隣人・親戚等が預かるもの等)が含まれる。
ホ 就労保育援護費の支給対象となるためには、その託児が「就労のため」のものであるといえなければならない。託児と就労との間に因果関係があることが必要である。すなわち、就労と託児とが相互に無関係に行われているような場合には、支給対象とはならない。なお、ここに述べた因果関係は、社会通念上託児が就労を円滑容易にしているという事実が認められれば足りるものであること。
なお、就労には、労働者の被災を契機に新たに働く場合と被災前から継続して働く場合とがあるので念のため。
(5) 就労保育援護費は、年金たる保険給付の支給事由が発生した時には要保育児がなかったが、その後の出生等によって支給要件を満たせば支給するものである。
2 支給額
就労保育援護費の支給額は、要保育児1人につき月額12,000円である。児童福祉手当等の社会保障給付を受ける場合であっても減額しない。
3 支給期間
(1) 就労保育援護費の支給は、年金たる保険給付と同じく月単位で行い、日割り計算等は行わない。
(2) 就労保育援護費の支給期間は、就労保育援護費を支給すべき事由が生じた月から支給すべき事由の消滅した月までであるが、もちろん、障害補償年金、遺族補償年金若しくは傷病補償年金、複数事業労働者障害年金、複数事業労働者遺族年金若しくは複数事業労働者傷病年金又は障害年金、遺族年金若しくは傷病年金の支給事由があることを基礎としているので、これらの年金たる保険給付が支給されない次の場合は就労保育援護費も支給されない。
イ 上記の年金たる保険給付を支給すべき事由が発生した月
ロ 上記の年金たる保険給付を支給すべき事由が消滅した月の翌月以降の月
ハ 労働者災害補償保険法第16条の5第1項の規定(同法第20条の6第3項及び第22条の4第3項において準用する場合を含む。)により遺族補償年金、複数事業労働者遺族年金又は遺族年金の受給権者の所在が不明になったことにより遺族補償年金、複数事業労働者遺族年金又は遺族年金の支給を停止された期間
ニ 労働者災害補償保険法の一部を改正する法律(昭和40年改正法)附則第43条第3項の規定(労働者災害補償保険法の一部を改正する法律(昭和48年法律第85号)附則第5条第2項及び雇用保険法等の一部を改正する法律(令和2年法律第14号)附則第7条第2項において準用する場合を含む。)による若年停止の期間
(3) 就労保育援護費を支給すべき事由が生じた月とは、要綱3の(2)イ~ホに掲げる者に該当するに至つた日の属する月(その者が受けるべき年金たる保険給付に係る労働者災害補償保険法第8条の3第1項に規定する年金給付基礎日額が、同日において16,000円を超えており、同日後16,000円以下となつた場合にあつては、当該16,000円以下となった日の属する月)とする。
4 欠格事由等
(1) 要綱6の(2)による準用規定における欠格事由は、法第16条の4に規定する遺族補償年金、複数事業労働者遺族年金又は遺族年金の受給権の消滅と同様の考え方により保育に係る費用の援護の必要がなくなったものとして類型的に定められたものである。
(2) 要綱6の(2)による準用規定における「特に労災就労保育援護費を支給することが適当でないと認むべき事情」とは、次の場合をいう。
イ 病気等により長期間にわたり保育所、幼稚園等に預けられていないこと
ロ 保育に係る費用の援護の必要がなくなったこと(1の(3)参照)
5 手続
(1) 就労保育援護費の支給は、要綱7の(2)に掲げる書類を添えて提出された「労災就学等援護費支給(変更)申請書」(様式第1号)により、所轄署長が支給決定して行う。なお、要綱7の(2)のヘ(要綱8の(2)において準用する場合を含む。)の「その他労働省労働基準局長が必要と認めるもの」は、要綱3の(2)のハに掲げる障害(補償)等年金受給権本人が就労する場合の就労証明書面とする。
(2) 要保育児の増加又は減少とは、同一の受給権者に係る要保育児の数に変動を生じた場合をいう。
なお、遺族(補償)等年金受給権者が転給によって変わったときは、新たな受給権者から「労災就学等援護費支給(変更)申請書」(様式第1号)を提出させるものとする。
6 支払
(1) 就労保育援護費の支払は、年金たる保険給付の支払とあわせて、これと全く同様に支払う。ただし、原則として支払期月以外の支払は行わない。
(2) 就労保育援護費の支払期日は年金たる保険給付の支払期日と一致させ、各支払期月に支払われる就労保育援護費は、労災就学援護費の場合に合致させて支払期月の前々月までの3ヶ月分とした。
(3) 所轄署長が定期報告を必要でないと認める場合とは、その年の4月に入園その他の事情があって、「労災就学等援護費支給対象者の定期報告書」(様式第3号)を提出すべき時期の直前に「労災就学援護費支給(変更)申請書」(様式第1号)が提出された場合等をいう。
(4) 未支給の労災就労保育援護費とは、次のものをいう。
イ 就労保育援護費の支給を受ける者が死亡した場合において、その死亡した者に支給すべき就労保育援護費でまだその者に支給しなかったもの
ロ 就労保育援護費の支給を受ける者が年金たる保険給付の受給権を失った場合(死亡による失権を除き、遺族補償年金、複数事業労働者遺族年金又は遺族年金については転給者がいない場合に限る。)において、ある支払期月で年金たる保険給付の支払は終わったが就労保育援護費のみの支払が次の支払期月まで残ったときの当該就労保育養護費の未払分。例えば、障害補償年金の受給権者が4月に失権したとき、障害補償年金は5月に2月分、3月分及び4月分が支払われるが、就労保育援護費は5月には1月分、2月分及び3月分しか支払われず、4月分は8月に支払われることとなる。その8月に支払われる4月分の就労保育援護費をいう。
7 経過措置
就労保育援護制度は、原則として支給の申請が行われた日から支給事由が消滅した月までの間支給されるが、制度発足の当初であることを考慮して、昭和54年4月において支給要件を満たすものについては同年5月31日までに支給の申請をすれば4月分から支給することとしたものである。
(2) 就労保育援護制度の新設に伴う事務の所轄について
労働者災害補償保険法施行規則及び労働大臣が定める事務を指定する告示(昭和45年労働省告示第60号)の一部改正を行い、就労保育援護費の支給に関する事務の所轄については、労災就学援護費の場合と同様とすることとしたので留意されたい。
(3) 労災就学援護制度の一部改正その他
1 傷病補償年金又は傷病年金の受給権者に係る労災就学援護費の支給対象の要件の一である「療養開始後3年を経過している」ことを廃止したこと。なお、昭和45年10月27日付基発第774号の該当部分については、これにより改めたものとすること。
2 1の通達において労災就学援護費の支給対象の要件である「学資の支弁が困難であると認められるもの」の例示として挙げられている労働者の死亡等に伴う損害賠償金等の所得が1,000万円をこえるような場合の1,000万円を6,000万円と改めたこと。
3 従来の労災就学援護費支給要綱に労災就労保育援護費の支給に関する規定を設けたことに伴い、同要綱について所要の字句整理及び支給申請等の様式の改正を行ったこと。
参考
[改正後全文]
○長期家族介護者援護金の支給について
平成7年4月3日基発第199号
(都道府県労働局長あて厚生労働省労働基準局長通知)
改正 令和2年8月21日基発0821第1号
今般、平成6年12月16日の労働者災害補償保険審議会の建議を踏まえ、長期間要介護状態にあった重度被災労働者が業務外の事由により死亡した場合において、長期間介護に当たってきた遺族に対して、別添「長期家族介護者援護金支給要綱」(以下「要綱」という。)により、長期家族介護者援護金(以下「援護金」という。)の支給を平成7年4月3日から行うこととし、同年4月1日以後死亡した被災労働者の遺族について適用することとしたので、下記によりこれが事務処理に遺漏なきを期されたい。
記
1 制度の趣旨
要介護状態にある重度被災労働者を抱える世帯においては、介護に当たる家族は精神的・肉体的な負担が大きく、世帯収入面で労災年金に大きく依存せざるを得ない状況にあり、重度被災労働者が業務外の事由により死亡した場合においては、その遺族の生活が著しく不安定になる場合が見られる。このような重度被災労働者の遺族の不安定な生活が長期間にわたる介護によってもたらされたものと認められる場合には、労災保険制度においても、その遺族に対して一定の支援措置を講じていくことが必要であると考えられる。
このため、長期間介護に当たってきた重度被災労働者の遺族に対して援護金を支給することにより、遺族の生活の激変を緩和しうるよう援助を行うものとする。
2 援護金の支給対象者
(1) 要綱2(1)の「受給者」とは、現に障害等級又は傷病等級第1級又は第2級の障害補償年金、複数事業労働者障害年金若しくは障害年金(以下「障害(補償)等年金」という。)又は傷病補償年金、複数事業労働者傷病年金若しくは傷病年金(以下「傷病(補償)等年金」という。)の支給を受けている者のほか、障害(補償)等年金又は傷病(補償)等年金の支給決定を受けているが、民事損害賠償との調整等により障害(補償)等年金又は傷病(補償)等年金の支給が停止されている者も含むものとする。
(2) 要綱2(1)の「受給期間が10年以上の者」とは、被災労働者が受給していた障害(補償)等年金又は傷病(補償)等年金の支給事由発生日の翌日から起算して、被災労働者の死亡年月日が10年以上経過後の日である者をいうものとする。
なお、障害等級又は傷病等級第1級又は第2級の障害(補償)等年金又は傷病(補償)等年金を受給していた者が、障害等級又は傷病等級の変更や再発等により当該年金を受給する権利を有しなくなった後に、再度、当該年金を受給していた者であるときは、最初に受給していた障害等級又は傷病等級第1級又は第2級の障害(補償)等年金又は傷病(補償)等年金の支給事由発生日の翌日からの期間により計算するものとする。
(3) 要綱2(1)①~③の要件については、被災労働者の死亡時点における状態に関し、介護補償給付、複数事業労働者介護給付又は介護給付(常時又は随時介護を要する状態にある者に行うものに限る。以下「介護(補償)等給付」という。)の支給対象者に係る要件の取扱いと同様の取扱いにより認定するものとする。なお、被災労働者が死亡した時点において介護(補償)等給付又は「労働者災害補償保険法等の一部を改正する法律の施行(第2次分)について」(平成8年3月1日付け基発第95号)第1の2の(12)の規定による廃止前の「介護料の支給について」(昭和55年4月5日付け基発第165号)に基づき支給される介護料(労働者災害補償保険法等の一部を改正する法律(平成7年法律第35号)附則第7条の規定による改正前の炭鉱災害による一酸化炭素中毒症に関する特別措置法(昭和42年法律第92号)第8条の規定による介護料を含む。以下同じ。)を受給していた場合及び被災労働者が過去において介護(補償)等給付又は介護料を受給していたことがある場合については、この要件を充たすものとして取り扱うものとする。
(4) 要綱2(2)の「妻又は55歳以上若しくは一定の障害の状態にある最先順位の遺族」とは、被災労働者の配偶者(被災労働者と婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にあった者を含む。以下同じ。)、父母、祖父母及び兄弟姉妹であって、労働者の死亡の当時その収入によって生計を維持していた者(妻以外の者にあっては、被災労働者の死亡の当時55歳以上又は一定の障害の状態にある者に限る。)のうち最先順位の者をいい、この認定に当たっては、遺族補償年金、複数事業労働者遺族年金及び遺族年金(以下「遺族(補償)等年金」という。)の受給権者の認定と同様の取扱いを行うものとする。
なお、これによると、支給対象者となるべき者の順位は、次に掲げる順位によることとなる。
① 妻又は60歳以上若しくは一定障害の夫
② 一定障害の子
③ 60歳以上又は一定障害の父母
④ 一定障害の孫
⑤ 60歳以上又は一定障害の祖父母
⑥ 60歳以上又は一定障害の兄弟姉妹
⑦ 55歳以上60歳未満の夫
⑧ 55歳以上60歳未満の父母
⑨ 55歳以上60歳未満の祖父母
⑩ 55歳以上60歳未満の兄弟姉妹
(5) 要綱2(3)の「遺族補償給付、複数事業労働者遺族給付及び遺族給付(以下「遺族(補償)等給付」という。)を受給することができないこと」とは、遺族(補償)等給付の請求が行われている場合にあっては、当該請求について不支給決定が行われていることをいい、また、遺族(補償)等給付の請求が行われていない場合にあっては、仮に遺族(補償)等給付の請求が行われれば不支給決定が行われると考えられることをいうものとし、この要件の認定に当たっては、遺族(補償)等給付の支給又は不支給の決定(以下「支給決定等」という。)の判断と同様の取扱いを行うものとする。
また、要綱2(3)の判断に当たっては、遺族(補償)等給付の判断との間に齟齬が生じないように留意する必要があり、具体的なケースにおける取扱方法を別紙1に示したので、参考にされたい。
具体的には、被災労働者が受給していた障害(補償)等年金又は傷病(補償)等年金に係る負傷等を被った事業場の所在地を管轄する労働基準監督署長(ただし、死亡した労働者が複数事業労働者障害年金又は複数事業労働者傷病年金を受給していた場合は、当該年金給付を支給決定した労働基準監督署長。以下「所轄署長」という。)は、援護金の申請人が遺族(補償)等給付を受けることができる可能性があると考えられる場合については、申請人に対して、遺族(補償)等給付の請求指導を行うものとする。また、援護金の請求が行われる以前に遺族(補償)等給付の請求が行われている場合及び援護金の申請書を受理したが、下記4(1)による所轄署長の管轄区域を管轄する都道府県労働局長(以下「所轄局長」という。)への進達前に遺族(補償)等給付の請求が行われた場合については、所轄署長は遺族(補償)等給付の支給決定等を行った上で所轄局長への進達を行うものとする。さらに、所轄署長が所轄局長へ進達を行った後であって所轄局長が援護金の支給決定等を行う前に遺族(補償)等給付の請求が行われた場合については、所轄署長は遺族(補償)等給付の支給決定等をまって援護金の支給決定等を行うよう所轄局長に連絡するものとする。
(6) 要綱2(4)の「その者を扶養する者」とは、援護金の申請時において、その収入により申請人の生計を主として維持している者をいうものとする。この「扶養する者」の具体的な認定に当たっては、申請人の属する世帯の住民票の写し、申請人とその者を扶養する者との身分関係を証明をすることができる戸籍の謄本又は抄本、申請人を扶養していることを証する民生委員の証明書、市町村長の発行する住民税課税・非課税証明書その他の申請人を扶養している事実の有無を証する書類に基づいて「扶養する者」の認定を行うものとする。
(7) 要綱2(4)の「所得税法の規定により所得税を納付しないこととなる者」とは、援護金の申請を行った日の前年における所得について所得税を納付していない者をいうものとし、その確認は原則として税務署長の発行する納税証明書により行うものとする。
(8) 要綱2柱書きの「援護金を支給することが適当ではないと考えられる一定の者」とは、原爆被爆者援護法の葬祭料の例にならい、おおむね、次のような事由により死亡した者をいうものとする。なお、①から③までに該当する場合であっても、業務上の傷病等により精神異常や心神喪失状態に陥った場合の自殺等事例によっては、これに該当しないものもあるので、個別具体的に判断するものとする。
① 先天性疾病、遺伝性疾病及び被災以前からの精神病等被災以前に原因がある疾病による死亡
② 他者の犯罪行為等他の外的作用が原因となった死亡
③ 自殺及び闘争、泥酔による負傷又は疾病に基づく死亡等自己の行為が原因となった死亡
3 申請の手続
援護金の支給を受けようとする者は、長期家族介護者援護金支給申請書(以下「申請書」という。別添様式第1号)に必要事項を記入し、所轄署長を経由して、所轄局長に提出するものとする。
4 援護金の支給又は不支給の決定
(1) 所轄署長は、申請書を受理したときは、当該申請書に記載すべき事項に係る記載漏れの有無、当該申請書に添付すべき資料の添付漏れの有無の確認を行うものとする。
また、所轄署長は、必要に応じて遺族(補償)等給付等の支給決定に準じた実施調査や専門医に対する意見書等の提出依頼を行うとともに、当該申請書に係る保険給付記録票、定期報告等の既存資料、死亡診断書、戸籍の謄本又は抄本等の請求書の添付資料及び実施調査の結果や専門医の意見書等の内容を検討し、申請人が支給要件に該当するか否かについての意見を申請書の「署長の意見欄」に簡潔に記入した上で、当該申請書に援護金の支給決定等に必要な資料を添付して所轄局長に進達するものとする。
さらに、所轄局長は、保険給付記録票の「社会復帰促進等事業欄」に「長期家族介護者援護金経由」の旨を記入するものとする。
なお、被災労働者が所轄署以外の署において、障害(補償)等年金又は傷病(補償)等年金の支給決定を受けている場合については、所轄署長は、障害(補償)等年金又は傷病(補償)等年金の支給決定を行った署との連携を図りつつ、申請人が支給要件に該当するか否かの確認を行うものとする。また、所轄署長は、申請人が支給要件に該当するか否かの確認を行うに当たって、専門医の意見書等を求めた場合については、当該意見書等に要する費用は、昭和56年1月28日付け基発第43号により、労働保険特別会計労災勘定(項)社会復帰促進等事業費(目)諸謝金から支出するものとする。ただし、遺族(補償)等給付の請求が行われている場合については、当該意見書等に要する費用は、労働保険特別会計労災勘定(項)業務取扱費(目)諸謝金から支出するものとする。
(2) 所轄局長は、申請書を受理したときは、申請人が支給要件に該当するか否かの確認を行い、援護金の支給決定等を行うものとする。
(3) 所轄局長は、援護金の支給決定等を行った場合は、その旨を長期家族介護者援護金支給・不支給決定通知書(以下「通知書」という。別添様式第2号)により当該申請者に通知するものとする。
なお、援護金の不支給決定を行う場合には、不支給とした理由を当該通知書に記載する、又は、理由を明記した別紙を添付して通知するものとする。
(4) 支給決定等については、処分性が認められるため、行政事件訴訟法(昭和37年法律第139号)、行政不服審査法(昭和37年法律第160号)、行政手続法(平成5年法律第88号)の適用がある。
このため、所轄局長は、次のとおり事務を行うものとする。
(ア) 援護金の支給決定等は、行政不服審査法第2条に規定する行政処分であるものとして、審査請求の対象として取り扱うこと。
(イ) 援護金の支給決定等に関する審査は、当該決定をした所轄局長の上級庁である厚生労働大臣が行うこと。
(ウ) 支給決定等を行う際は、その相手方に対し、通知書をもって、行政不服審査法に基づく審査請求及び行政事件訴訟法に基づく取消訴訟の提起ができる旨の教示を行うこと。その際は、不服申立て手続の有無に関係なく、取消訴訟の提起が可能であることに留意すること。
5 援護金の支出
(1) 所轄局長は、援護金の支給決定を行ったときは、当該援護金の額を労働保険特別会計労災勘定(項)社会復帰促進等事業費(目)労災援護給付金から支出するものとする。
(2) 所轄局長は、援護金の支出を行ったときは、別紙2「長期家族介護者援護金整理簿」に必要事項を記載するものとする。
(3) 援護金の請求があった場合の支出事務については、支出負担行為取扱規則第14条の規定による支出負担行為の整理区分は、規則別表甲号「26号保険金の類」によることとし、その必要な書類は、申請者からの「長期家族介護者援護金支給申請書」とするものとする。
(4) 会計検査院に提出する支出計算書の証拠書類は、「領収証書」、「支出負担行為及び支出決議書」、「支給調書」及び「長期家族介護者援護金支給申請書(原本)」とし、支出官が控えとして保管する証拠書類(副本)の綴には「支出負担行為及び支出決議書(副本)」に「支給調書」及び複写等により作成した「長期家族介護者援護金支給申請書(写)」を添付して編てつしておくものとする。
6 通達及び要綱に定める様式
この通達及び要綱に定める様式については、様式例を適宜複写して使用するものとする。
7 報告
所轄局長は、援護金の支給状況について、別紙3「長期家族介護者援護金支給状況報告書」により、前年度分を4月30日までに本省労働基準局労災管理課(企画調整係)あて報告するものとする。
8 実施時期
本通達は、平成7年4月3日から実施するものとし、同年4月1日以後死亡した被災労働者の遺族について適用するものとする。
9 経過措置
令和2年3月31日以前に長期家族介護者援護金の支給すべき事由が生じた者に係る支給については、なお従前の例による。
(別添)
長期家族介護者援護金支給要綱
1 趣旨
要介護状態にある重度被災労働者を抱える世帯においては、介護に当たる家族は精神的・肉体的な負担が大きく、世帯収入面で労災年金に大きく依存せざるを得ない状況にあり、被災労働者が業務外の事由により死亡した場合においては、その遺族の生活が著しく不安定になる場合が見られる。このような重度被災労働者の遺族の不安定な生活が長期間にわたる介護によってもたらされたものと認められる場合には、労災保険制度においても、その遺族に対して一定の支援措置を講じていくことが必要であると考えられる。
このため、長期間介護に当たってきた重度被災労働者の遺族に対して、長期家族介護者援護金(以下「援護金」という。)を支給することにより、遺族の生活の激変を緩和しうるよう援助を行うこととする。
2 支給対象者
援護金は、原則として、次のいずれの要件をも満たす者に対して支給することとする。ただし、援護金を支給することが適当ではないと考えられる一定の者は除くこととする。
(1) 障害等級第1級又は第2級の障害補償年金、複数事業労働者障害年金若しくは障害年金(以下「障害(補償)等年金」という。)又は傷病等級第1級又は第2級の傷病補償年金、複数事業労働者傷病年金若しくは傷病年金(以下「傷病(補償)等年金」という。)の受給者(ただし、受給期間が10年以上の者に限る。)であって、次のいずれかに該当していた者の遺族であること。
① 神経系統の機能又は精神の著しい障害により、常に又は随時介護を要すること(③に該当する場合を除く。)。
② 胸腹部臓器の機能の著しい障害により、常に又は随時介護を要すること。
③ せき髄の著しい障害により、常に又は随時介護を要すること。
(2) 妻又は55歳以上若しくは一定の障害の状態にある最先順位の遺族であること(順位等については遺族補償年金、複数事業労働者遺族年金又は遺族年金(以下「遺族(補償)等年金」という。)の支給の場合に準ずること)。
(3) 遺族補償給付、複数事業労働者遺族給付及び遺族給付(以下「遺族(補償)等給付」という。)を受給することができないこと。
(4) 生活困窮者(所得税法の規定により所得税を納付しないこととなる者であって、その者を扶養する者がいないか、又はその者を扶養する者が所得税法の規定により所得税を納付しないこととなる者)であること。
3 支給額
援護金の額は、100万円(援護金の支給を受けることができる遺族が2人以上の場合には、100万円をその数で除して得た額)とする。
4 申請の手続等
(1) 援護金の支給を受けようとする者(以下「申請人」という。)は、次に掲げる事項を記載した「長期家族介護者援護金支給申請書」(援護金様式第1号。以下「申請書」という。)を、死亡した労働者が受給していた障害(補償)等年金又は傷病(補償)等年金に係る負傷等を被った事業場の所在地を管轄する労働基準監督署長(ただし、死亡した労働者が複数事業労働者障害年金又は複数事業労働者傷病年金を受給していた場合は、当該年金給付を支給決定した労働基準監督署長。以下「所轄署長」という。)を経由して、当該所轄署長の管轄区域を管轄する都道府県労働局長(以下「所轄局長」という。)に提出するものとする。
① 死亡した労働者の氏名、生年月日及び死亡年月日
② 死亡した労働者が受給していた年金の種類及び受給期間並びに介護(補償)等給付又は介護料の受給関係
③ 死亡した労働者の死亡の原因
④ 申請人の氏名、生年月日、住所及び死亡した労働者との関係
⑤ 申請人の所得税の納付の有無、申請人を扶養する者の有無及び申請人を扶養する者がいる場合についてはその者の所得税の納付の有無
⑥ 援護金の払渡しを受けることを希望する金融機関の名称並びに預金の種類及び預金通帳の記号番号
(2) 上記(1)の申請書には、次の書類を添付するものとする。
ただし、②から⑤の書類については、申請人が遺族(補償)年金の請求書に当該書類を添付して提出しているときには、提出することを要しないものとする。
① 死亡した労働者が介護(補償)等給付(常時又は随時介護を要する状態にある者に行うものに限る。)又は「労働者災害補償保険法等の一部を改正する法律の施行(第2次分)について」(平成8年3月1日付け基発第95号)第1の2の(12)の規定による廃止前の「介護料の支給について」(昭和55年4月5日付け基発第165号)に基づき支給される介護料(労働者災害補償保険法等の一部を改正する法律(平成7年法律第35号)附則第7条の規定による改正前の炭鉱災害による一酸化炭素中毒症に関する特別措置法(昭和42年法律第92号)第8条の規定による介護料を含む。)を受給していたときは、介護(補償)等給付支給・不支給決定通知書又は介護料支給・不支給決定通知書の写しその他その事実を証明することができる書類
② 労働者の死亡に関して市町村長に提出した死亡診断書、死体検案書若しくは検視調書に記載してある事項についての市町村長の証明書又はこれに代わるべき書類
③ 申請人と被災労働者との身分関係を証明することができる戸籍の謄本又は抄本(申請人が被災労働者と婚姻の届出をしていないが事実上婚姻関係と同様の事情にあった者であるときは、その事実を証明することができる書類)
④ 申請人が被災労働者の収入によって生計を維持していたことを証明することができる書類
⑤ 申請人のうち被災労働者の死亡の時から引き続き障害の状態にある者については、その事実を証明することができる医師又は歯科医師の診断書その他の資料
⑥ 申請人の前年の所得税額についての税務署長が発行する納税証明書
⑦ 申請人の属する世帯の住民票の写し、申請人とその者を扶養する者との身分関係を証明することができる戸籍の謄本又は抄本、その他申請人を扶養する者の有無及び扶養する者を証明できる書類
⑧ 申請人を扶養する者がいるときは、その者の前年の所得税額についての税務署長が発行する納税証明書
(3) 援護金を受けることができる者が2人以上あるときは、これらの者はそのうち1人を援護金の申請及び受領についての代表者に選任するものとし、代表者を選任したときは、遅滞なく、「長期家族介護者援護金代表者選任届」(援護金様式第3号)を提出するものとする。
ただし、世帯を異にする等やむを得ない事情のため代表者を選任することができないときは、この限りではないものとする。
(4) 所轄局長は、申請書を受理したときは、支給又は不支給の決定を行い「長期家族介護者援護金支給・不支給決定通知書」(援護金様式第2号)により当該申請人に通知するものとする。
(5) 援護金の申請は、被災労働者の死亡の日の翌日から起算して2年以内に行うものとする。
なお、被災労働者の死亡の日の翌日から起算して2年以後に援護金の請求が行われた場合においても、被災労働者の死亡の日の翌日から起算して2年以内に遺族(補償)等給付の請求が行われている場合については、この期間の計算に当たっては、当該遺族(補償)等給付の請求が行われた時点に当該援護金の申請があったものとみなすものとする。
5 不正受給に対する措置
偽りその他不正の行為により援護金の支給を受けた者は、当該援護金を返還しなければならないものとする。
6 実施期日
この援護金の支給は、平成7年4月3日から実施するものとし、同年4月1日以後死亡した被災労働者の遺族について適用する。
7 経過措置
令和2年3月31日以前に長期家族介護者援護金の支給すべき事由が生じた者に係る支給については、なお従前の例による。