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労働時間等設定改善指針の一部を改正する件について
平成30年10月30日雇均発1030第1号
(都道府県労働局長あて厚生労働省雇用環境・均等局長通知)
労働時間等の設定の改善に関する特別措置法(平成4年法律第90号。以下「法」という。)第4条第1項の規定に基づく労働時間等設定改善指針(平成20年厚生労働省告示第108号。以下「指針」という。)については、働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律(平成30年法律第71号。以下「働き方改革関連法」という。)や「今後の労働時間法制等の在り方について(建議)」(平成27年2月13日労働政策審議会建議。以下「建議」という。)等を踏まえ、本日、労働時間等設定改善指針の一部を改正する件(平成30年厚生労働省告示第375号。以下「改正告示」という。)が公示され、平成31年4月1日から適用されることとされた。
ついては、下記の事項に十分留意の上、改正告示による改正後の指針(以下「改正指針」という。)の円滑かつ的確な実施について遺憾なきを期されたい。
記
1 改正の趣旨
第196回国会において働き方改革関連法が成立し、労働者がそれぞれの事情に応じた多様な働き方を選択できる社会を実現する働き方改革を総合的に推進するため、勤務間インターバルを導入する努力義務や時間外労働の上限規制、年次有給休暇に係る時季指定義務の創設等、労働時間等に関する見直しがなされ、これらの改正規定の大半は平成31年4月1日より施行される。こうした改正等を踏まえ、労働時間等の設定の改善に関する取組を一層推進するため、指針を改正するものである。
2 改正の主な内容
(1) 前文
指針制定の背景として、働き方改革関連法及び過労死等防止対策推進法(平成26年法律第100号)の制定並びに「過労死等の防止のための対策に関する大綱」(平成30年7月24日閣議決定)の策定を追加する。
(2) 労使間の話合いの機会の整備(改正指針2(1)イ(ロ))
① 働き方改革関連法による法の改正を踏まえ、労使間の話合いの機会として、労働時間等設定改善企業委員会を追加するとともに、労働安全衛生法(昭和47年法律第57号)第18条第1項の規定により設置された衛生委員会に関する規定を削除する。
② 労働時間等設定改善委員会及び労働時間等設定改善企業委員会の決議は、労働基準法(昭和22年法律第49号)上の労働時間等に関する規定に係る特例が認められているので、必要に応じてその活用を図ることを新たに規定する。
(3) 年次有給休暇を取得しやすい環境の整備(改正指針2(1)ハ)
① 年次有給休暇の取得促進を図るに当たっては、個々の労働者の年次有給休暇の取得状況を把握することが重要であることから、働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律の施行に伴う厚生労働省関係省令の整備等に関する省令(平成30年厚生労働省令第112号)による改正後の労働基準法施行規則(昭和22年厚生省令第23号)第24条の7の規定に基づき年次有給休暇管理簿を作成するのみならず、取得状況を労働者本人及びその上司に周知して業務負担の軽減等により年次有給休暇の取得につなげるなど、取得促進に活用することを新たに規定する。
② 計画的な年次有給休暇の取得に係る取組は、働き方改革関連法による改正後の労働基準法第39条第7項の規定による使用者の義務を果たすことにもつながることを新たに規定する。
(4) 時間外・休日労働の削減(改正指針2(1)ニ)
時間外・休日労働の削減に取り組むに当たっては、働き方改革関連法により時間外労働の上限及び当該上限を超えて労働させた場合の罰則が定められたことや、労働基準法第三十六条第一項の協定で定める労働時間の延長及び休日の労働について留意すべき事項等に関する指針(平成30年厚生労働省告示第323号)に規定する事項に留意することを新たに規定する。
(5) 多様な正社員、ワークシェアリング、テレワーク等の活用(改正指針2(1)ヘ)
① 多様な働き方の選択肢を拡大するための措置として、労働時間等が限定された多様な正社員として勤務する制度の導入を加えることとし、その活用に当たっては、当該制度の導入の可否、制度の内容及び処遇について、労使で十分に話し合うことが必要であることを新たに規定する。
② テレワークの制度の導入に当たっては、「情報通信技術を利用した事業場外勤務の適切な導入及び実施のためのガイドライン」に基づき、あらかじめ導入の目的、対象となる業務及び労働者の範囲、テレワークの方法等について、労使で十分に協議することが望ましいこと等を新たに規定する。
(6) 終業及び始業の時刻に関する措置(改正指針2(1)ト)
① 労働者の健康の保持や仕事と生活の調和を図るため、深夜業の回数を制限することを検討することを新たに規定する。
② 勤務間インターバルについて、労働者の生活時間や睡眠時間を確保し、労働者の健康の保持や仕事と生活の調和を図るために有効であることから、その導入に努めることを新たに規定する。
併せて、勤務間インターバルの時間を設定するに当たって、労働者の通勤時間、交替制勤務等の勤務形態や勤務実態等を十分に考慮し、仕事と生活の両立が可能な実効性ある休息が確保されるよう配慮することを新たに規定する。
③ いわゆる朝型の働き方の導入を検討することを新たに規定する。
(7) 地域活動等を行う労働者(改正指針2(2)ト)
ボランティア活動や地域活動等へ参加するための休暇等に係る制度を設けた場合には、その周知を図ることを新たに規定する。
(8) 事業主が他の事業主との取引上配慮すべき事項(改正指針2(4))
中小企業等において時間外・休日労働の削減に取り組むに当たっては、長時間労働につながる取引慣行の見直しが必要であることを新たに規定する。
3 改正指針の周知
改正指針の周知について、今後送付するパンフレット等を活用し、あらゆる機会を通じた周知を行い、その徹底を図ること。
なお、当面の周知に当たっては、今後発出される「平成30年度における『働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律』等の周知について」に基づいて行うこと。
4 労働局各部の連携について
改正指針の周知に当たっては、平成28年4月1日付け基発0401第64号、雇児発0401第27号「都道府県労働局における雇用環境・均等部(室)と労働基準部との連携について」及び平成28年4月1日付職発0401第66号、雇児発0401第28号「都道府県労働局における雇用環境・均等部(室)と職業安定部等との連携について」に基づき、労働局内での連携に努めること。