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働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律による改正後の労働時間等の設定の改善に関する特別措置法の施行について
平成30年9月7日基発0907第12号・雇均発0907第2号
(都道府県労働局長あて厚生労働省労働基準局長、厚生労働省雇用環境・均等局長通知)
働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律(平成30年法律第71号。以下「整備法」という。)の公布については、平成30年7月6日付け基発0706第1号・職発0706第2号・雇均発0706第1号「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律について」により通知したところであるが、整備法による改正後の労働時間等の設定の改善に関する特別措置法(平成4年法律第90号。以下「新設定改善法」という。)及び働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律の施行に伴う厚生労働省関係省令の整備等に関する省令(平成30年厚生労働省令第112号)による改正後の労働時間等の設定の改善に関する特別措置法施行規則(平成4年労働省令第26号。以下「新設定改善則」という。)の内容等は以下のとおりであるので、これらの施行に遺漏なきを期されたい。
記
1 勤務間インターバルの努力義務化(新設定改善法第1条の2及び第2条第1項関係)
(1) 趣旨
勤務間インターバル(前日の終業時刻と翌日の始業時刻の間に一定時間の休息を確保することをいう。以下同じ。)については、労働者が十分な生活時間や睡眠時間を確保し、ワーク・ライフ・バランスを保ちながら働き続けることを可能にする制度であり、その普及促進を図る必要がある。
このため、労働時間等の設定の改善に関する特別措置法を改正し、勤務間インターバルを事業主の努力義務としたものであること。
(2) 「労働時間等の設定」の定義(新設定改善法第1条の2第2項関係)
「労働時間等の設定」の定義に深夜業の回数、終業から始業までの時間を加え、「労働時間、休日数、年次有給休暇を与える時季、深夜業の回数、終業から始業までの時間その他の労働時間等に関する事項を定めることをいう。」と改めたものであること。
(3) 事業主の責務(新設定改善法第2条第1項関係)
事業主がその雇用する労働者の労働時間等の設定の改善を図るための責務として、「健康及び福祉を確保するために必要な終業から始業までの時間の設定」を規定したものであること。
2 取引上配慮すべき事項(新設定改善法第2条第4項関係)
(1) 趣旨
整備法による改正前の労働時間等の設定の改善に関する特別措置法(以下「旧設定改善法」という。)においては、労働時間等の設定の改善の取組が他の事業主によって阻害されることのないよう、事業主が他の事業主との取引を行う場合において配慮すべき事項について規定しているところであるが、依然として、取引先からの短納期発注や頻繁な仕様変更等により長時間労働を余儀なくされている実態が認められることから、事業主が取引上配慮すべき事項について改正したものであること。
(2) 具体的な配慮事項(新設定改善法第2条第4項関係)
事業主が他の事業主との取引を行う場合において配慮するように努めなければならないこととして、著しく短い期限の設定及び発注の内容の頻繁な変更を行わないことを追加したものであること。
3 労働時間等設定改善委員会の決議に係る労働基準法の適用の特例(新設定改善法第7条関係)
(1) 労働時間等設定改善委員会の議決により労使協定に代替することができる事項(新設定改善法第7条関係)
①整備法による改正後の労働基準法(昭和22年法律第49号)第32条の3第2項及び第3項の規定により読み替えて適用する場合の同条第1項に規定する事項並びに②同法第36条第1項、第2項及び第5項に規定する事項を、労働時間等設定改善委員会の委員の5分の4以上の多数による議決により労使協定に代替することができる事項として追加したものであること。
(2) 一定の要件を満たす衛生委員会を労働時間等設定改善委員会とみなす規定の廃止(旧設定改善法第7条第2項関係)
旧設定改善法第7条第2項においては、労働安全衛生法(昭和47年法律第57号)第18条第1項の規定により設置された衛生委員会のうち一定の要件を満たすものを労働時間等設定改善委員会とみなす規定を設けていたところであるが、労働時間等の設定の改善を図るための措置についての調査審議機会をより適切に確保する観点から、当該規定を廃止したものであること。
4 労働時間等設定改善企業委員会(新設定改善法第7条の2及び新設定改善則第4条関係)
(1) 趣旨
各企業における労働時間、休日及び休暇等の改善に向けた労使の自主的取組を一層促進するため、企業単位で設置される労働時間等設定改善委員会を明確に位置づけ、同委員会における決議に法律上の特例を設けることとしたものであること。
(2) 労働時間等設定改善企業委員会の要件及び役割(新設定改善法第7条の2及び新設定改善則第4条関係)
ア 労働時間等設定改善企業委員会の設置に当たっては、事業場ごとに、当該事業場における労働時間等の設定の改善に関する事項について、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者との書面による協定により、全部の事業場を通じて一つの委員会であって、次の①から③までの要件に該当するもの(労働時間等設定改善企業委員会)に調査審議させ、事業主に対して意見を述べさせることを定める必要があること。なお、②及び③については、新設定改善則第2条及び第3条の規定が準用されるものであること。
① 全部の事業場を通じて一つの委員会の委員の半数については、当該事業主の雇用する労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者の推薦に基づき指名されていること。
② 全部の事業場を通じて一つの委員会の議事について、厚生労働省令で定めるところにより、議事録が作成され、かつ、保存されていること。
③ ①及び②に掲げるもののほか、厚生労働省令で定める要件
イ 労働時間等設定改善企業委員会において、その委員の5分の4以上の多数による議決により、代替休暇(労働基準法第37条第3項)、年次有給休暇の時間単位取得(同法第39条第4項)及び計画的付与制度(同条第6項)に関する事項について決議が行われたときは、当該決議はこれらの事項に関する事業場ごとの労使協定と同様の効果を有するものであること。
5 施行期日及び経過措置(整備法附則第1条及び第10条関係)
労働時間等の設定の改善に関する特別措置法に係る改正規定の施行期日は、平成31年4月1日であること。
なお、経過措置として、旧設定改善法第7条第2項の規定により労働時間等設定改善委員会とみなされた衛生委員会(労働安全衛生法第19条第1項の規定により設置された安全衛生委員会を含む。)の旧設定改善法第7条第1項に定める決議については、平成34年3月31日(平成31年3月31日を含む期間を定めているものであって、その期間が平成34年3月31日を超えないものについては、その期間の末日)までの間は、なおその効力を有するものであること。