img1 img1 img1

◆トップページに移動 │ ★目次のページに移動 │ ※文字列検索は Ctrl+Fキー  

通達:「児童扶養手当法等の一部改正による児童扶養手当と労災保険の年金たる給付との調整規定の見直しについて」の改正について

 

「児童扶養手当法等の一部改正による児童扶養手当と労災保険の年金たる給付との調整規定の見直しについて」の改正について

平成27年12月24日基管発1224第1号・基保発1224第1号

(都道府県労働局労働基準部長あて厚生労働省労働基準局労災管理課長・労災保険業務課長通知)

 

児童扶養手当と労災保険の年金たる保険給付が同時に支給されうる場合の調整規定に係る事務処理については、平成26年10月23日付け基管発1023第1号・基保発1023第1号「児童扶養手当法等の一部改正による児童扶養手当と労災保険の年金たる給付との調整規定の見直しについて」により取り扱われてきたところであるが、今般、児童扶養手当法施行令の一部を改正する政令(平成27年政令第433号)により児童扶養手当法施行令が改正され、平成28年1月1日から施行されることに伴い、労働基準監督署における事務処理についても一部変更することとなったので、事務処理に遺漏なきを期されたい。

 

1 改正の内容

前払一時金の支給による年金の支給停止期間について、児童扶養手当との調整に当たり、支給が停止されていないものとみなされる年金に障害年金及び遺族年金を加えるため、「児童扶養手当法等の一部改正による児童扶養手当と労災保険の年金たる給付との調整規定の見直しについて」(平成26年10月23日付け基管発1023第1号・基保発1023第1号)の全部を別添のとおり改正する。

2 施行期日等

本通達は、平成28年1月1日から施行する。

 

○児童扶養手当法等の一部改正による児童扶養手当と労災保険の年金たる給付との調整規定の見直しについて

平成26年10月23日基管発1023第1号・基保発1023第1号

(都道府県労働局労働基準部長あて厚生労働省労働基準局労災管理課長・労災保険業務課長通知)

「次代の社会を担う子どもの健全な育成を図るための次世代育成支援対策推進法等の一部を改正する法律」(平成26年法律第28号。以下「次世代法等改正法」という。)(別添1参照)、「次代の社会を担う子どもの健全な育成を図るための次世代育成支援対策推進法等の一部を改正する法律の一部の施行に伴う関係政令の整備に関する政令」(平成26年政令第313号。以下「次世代法等整備政令」という。)(別添2参照)及び「次代の社会を担う子どもの健全な育成を図るための次世代育成支援対策推進法等の一部を改正する法律の一部の施行に伴う厚生労働省関係省令の整備等に関する省令」(平成26年厚生労働省令第115号。以下「次世代法等整備省令」という。)(別添3参照)が、それぞれ平成26年4月23日、9月25日、9月30日に公布されたところである。

児童扶養手当法(昭和36年法律第238号)、同法施行令(昭和36年政令第405号)及び同法施行規則(昭和36年厚生省令第51号)が、次世代法等改正法第3条、次世代法等整備政令第3条及び次世代法等整備省令第3条の規定によりそれぞれ一部改正され、平成26年12月1日から施行されることとなる。これにより、児童扶養手当と労災保険の年金たる保険給付が同時に支給されうる場合の調整規定が見直されることとなり、労働基準監督署において下記のとおり対応することとなるので、事務処理に遺漏なきを期されたい。

なお、2(2)エのとおり、次世代法等改正法第3条の規定の施行日である平成26年12月1日より前であっても、今般の見直し後の調整規定を踏まえて労働基準監督署において照会等への対応が必要となる場合があるので、留意すること。

1 調整規定の見直しの趣旨について

従来、児童扶養手当の支給に当たっては、労働者災害補償保険法(昭和22年法律第50号)に基づく年金たる給付を含む公的年金給付(児童扶養手当法第3条第2項に規定する公的年金給付をいう。以下同じ。)を児童(児童扶養手当法第3条第1項に規定する児童をいう。以下同じ。)又はその母若しくは父若しくは養育者(児童扶養手当法第6条第1項に規定する受給資格者に限る。)が受けることができるときは、公的年金給付については支給額の調整を行わない一方、児童扶養手当についてはその全額を支給しないこととする調整が行われてきたところである(次世代法等改正法第3条の規定による改正前の児童扶養手当法(以下「旧児童扶養手当法」という。)第4条第2項、第3項)。

しかしながら、今般の児童扶養手当法の改正により、公的年金給付を受けることができるときでも、その額が児童扶養手当額に満たない場合には、公的年金給付(支給額の調整は引き続き行わない。)に加えて、公的年金給付額と児童扶養手当額との差額を受給できることとなった(次世代法等改正法第3条の規定による改正後の児童扶養手当法(以下「新児童扶養手当法」という。)第13条の2、次世代法等整備政令第3条の規定による改正後の児童扶養手当法施行令(以下「新児童扶養手当令」という。)第6条の3、第6条の4)。

2 都道府県知事等からの照会への対応に係る見直しについて

(1) 見直しの概要

児童扶養手当の受給資格者(児童の母、父又は養育者をいい、児童扶養手当法第6条第1項に規定する受給資格者に限る。以下同じ。)等に対する労災保険の年金たる給付の支給状況については、これまでも都道府県知事等(旧児童扶養手当法第4条第1項各号列記以外の部分に規定する都道府県知事等をいう。以下同じ。)から資料の提供依頼等の照会が職権により行われてきたところである(旧児童扶養手当法第30条)。

1のとおり今般の児童扶養手当法改正により、労災保険の年金たる給付の支給の有無だけでなく、具体的な給付額等の情報も都道府県知事等は確認する必要が生じることとなった。その照会については原則として児童扶養手当の受給資格者が直接労働基準監督署長に対し所定の様式で証明の依頼を行うほか、必要に応じて都道府県知事等から労働基準監督署あて照会がなされることとなったものである(新児童扶養手当法第30条)。

(2) 児童扶養手当の受給資格者からの証明依頼又は都道府県知事等からの照会(以下「証明依頼等」という。)に対する証明機関及び対応方法等

ア 証明機関

証明依頼等の内容は、支給決定した労災年金の年額に係る情報が主であることから、労働基準監督署長名で証明を行うこと。

イ 児童扶養手当の支給調整対象となる労災保険の年金たる給付について

児童扶養手当の支給調整対象となる労災保険の年金たる保険給付は、今般の児童扶養手当法の改正に関わらず引き続き下記のとおりである。

・障害補償年金

・遺族補償年金

・傷病補償年金

・障害年金

・遺族年金

・傷病年金

なお、前払一時金の支給による年金の支給停止期間については、児童扶養手当との調整に当たっては、下記の年金について、その支給が停止されていないものとみなされるため留意すること(新児童扶養手当令第6条の3第2項、第6条の4第2項、次世代法等整備省令第3条の規定による改正後の児童扶養手当法施行規則(以下「新児童扶養手当法施行規則」という。)第24条の4)。

・障害補償年金

障害補償年金前払一時金の支給による同年金の支給停止期間

・遺族補償年金

遺族補償年金前払一時金の支給による同年金の支給停止期間

・障害年金

障害年金前払一時金の支給による同年金の支給停止期間

・遺族年金

遺族年金前払一時金の支給による同年金の支給停止期間

ウ 労働基準監督署長に対し証明依頼等を行う者

児童扶養手当の受給資格者は、支給要件を満たす児童の母、父又は養育者であり、これらの者が都道府県知事等に対し児童扶養手当の受給資格及び手当の額について認定請求を行うこととなる。児童扶養手当の受給資格者は、児童又は受給資格者自身が労災保険の年金たる給付を支給される場合に、児童又は受給資格者自身が被災した事業場を所轄する労働基準監督署長に対し、受給している労災保険の年金たる給付の額等について証明依頼を行うこととなる(新児童扶養手当法施行規則第1条第9号イ、第10号イほか)。

また、毎年8月1日付けの年金スライド率の改定による労災保険の年金たる給付額の改定に伴う児童扶養手当支給額の改定に係る事務処理を地方公共団体が行う場合等には、必要に応じて児童扶養手当の認定を行う都道府県知事等が職権により労働基準監督署への照会を行うことがあるが、当該照会を行う都道府県知事等とは具体的には下記のとおりである(新児童扶養手当法第4条第1項各号列記以外の部分、第30条)。

・都道府県知事(福祉事務所を管理しない町村に係る照会を行う。)

・市長(特別区の区長を含む。)

・福祉事務所を管理する町村長

エ 証明依頼等が開始される時期

前記のとおり、新児童扶養手当法は平成26年12月1日から施行されることとなっているが、平成26年12月1日において新児童扶養手当法の規定による児童扶養手当の支給要件に該当すべき者は、同日前においても、同日に新支給要件に該当することを条件として、当該新手当について都道府県知事等に対し新児童扶養手当法第6条第1項の規定による認定の請求の手続をとることができるとされている(次世代法等改正法附則第4条第1項)。このため、新児童扶養手当法等の規定を踏まえた児童扶養手当支給事務の新たな取扱いについて本省雇用均等・児童家庭局家庭福祉課が地方公共団体あて事務処理要領(平成26年10月17日付け雇児福発1017第1号「公的年金給付又は遺族補償等の給付が行われる場合の児童扶養手当支給事務の取扱いについて」。以下「事務処理要領」という。)を発出した後は、平成26年12月1日より前であっても証明依頼等が行われることとなるので、了知されたい。

オ 証明依頼等に対する対応方法

労働基準監督署長に対する児童扶養手当の受給資格者からの証明依頼は事務処理要領別紙様式1―2(別添4参照)及び別紙様式1―3(別添5参照)により、また都道府県知事等からの照会は事務処理要領別紙様式2―1(別添6参照)、別紙様式2―2(別添7参照)及び別紙様式2―3(別添8参照)により行われることとなる。労働基準監督署において証明依頼等に基づく証明を行うに当たっては、当該各様式中の各欄の記載に際し、以下の点に留意すること。

(ア) 児童扶養手当の受給資格者から事務処理要領別紙様式1―2及び別紙様式1―3により証明の依頼がされたときは、決議書類のほか、労災行政情報管理システム(以下「システム」という。)における年金・一時金検索等を参照の上、証明を行うこと。

(イ) 事務処理要領別紙様式1―2及び別紙様式1―3中【公的年金給付等の支給機関記入欄】には「本人が公的年金給付等を受給」及び「児童が公的年金給付等を受給」の2つの欄があるが、これらの欄は、それぞれ児童扶養手当の受給資格者本人が公的年金給付等を受給している場合及び児童(受給資格者の子など)が公的年金給付等を受給している場合に記載する欄である。

いずれの欄を記載するかについては、【本人記入欄】中の右欄の記載内容により判断すること。

(ウ) 事務処理要領別紙様式1―2及び別紙様式1―3の各欄において記載すべき具体的な内容は、各様式裏面の注意事項によるほか、以下の表を参照すること。

なお、事務処理要領別紙様式1―2は、児童又は児童扶養手当の受給資格者が労災保険の年金たる給付を支給される場合のうち、障害補償年金前払一時金の支給による同年金の支給停止期間、遺族補償年金前払一時金の支給による同年金の支給停止期間、障害年金前払一時金の支給による同年金の支給停止期間又は遺族年金前払一時金の支給による同年金の支給停止期間を除き用いられる証明依頼様式である。

また、事務処理要領別紙様式1―3は、児童又は児童扶養手当の受給資格者が労災保険の年金たる給付を支給される場合のうち、障害補償年金前払一時金の支給による同年金の支給停止期間、遺族補償年金前払一時金の支給による同年金の支給停止期間、障害年金前払一時金の支給による同年金の支給停止期間又は遺族年金前払一時金の支給による同年金の支給停止期間にあるときに用いられる証明依頼様式である。

事務処理要領別紙様式1―2及び別紙様式1―3の用途区分については、これらの様式中にも明示されているほか、地方公共団体担当者からも児童扶養手当の受給資格者に対し教示が行われるものであるが、誤った様式により労働基準管署長に対し証明依頼が行われた場合は、適正な様式により再度証明依頼を行うよう、児童扶養手当の受給資格者に対し求めること。

①事務処理要領別紙様式1―2の各欄に記載すべき内容

項番

項目名

記入項目

1

①氏名

労災年金の受給権者氏名を記入すること。

2

②受給者番号

該当する年金証書番号を記入すること。

3

③公的年金給付等の種類

「レ」と記入すること。

4

④支給開始月

(受給権発生月)

「支給開始月」については、労災年金の支給開始月(原則、支給事由発生年月の翌月)であり、支払を開始した月ではないことに注意すること。

また「受給権発生月」については、支給事由発生年月を記入すること。

5

⑤証明日現在の給付額

(年額)

証明日現在における労災年金の年額(支給決定又は変更決定された年額)を記入すること。ただし、支給停止又は支払差止の場合は0円となる。

なお、一般的には、支給決定決議書に記載された年金の支給決定額のほか、システムの「年金額等計算検索」における「年額」がこれに該当するが、個別に事案を確認の上、記入すること。

6

⑥左記の対象期間

証明日現在の給付額(項番5の年額)の支給が開始された年月を記入すること。なお、項番4と同様、支払月でないので注意すること。

記入例:「平成26年8月~」

7

⑦支給停止の状況

(有無及びその内容)

支給停止中であるかにより、「有・無」のいずれかに○を付し、「有」の場合、その概要を「(内容)」欄に記入すること。

なお、障害補償年金前払一時金の支給による同年金の支給停止期間、遺族補償年金前払一時金の支給による同年金の支給停止期間、障害年金前払一時金の支給による同年金の支給停止期間又は遺族年金前払一時金の支給による同年金の支給停止期間にあるときは、「有」に○を付し、「(内容)」欄に「障害補償年金前払一時金の支給による支給停止」、「遺族補償年金前払一時金の支給による支給停止」、「障害年金前払一時金の支給による支給停止」又は「遺族年金前払一時金の支給による支給停止」と記入すること。

また、支払差止中の場合は、その旨を記入すること。

記入例

:「第三者から同一の事由について損害賠償を受けたことによる支給停止」

8

備考(欄外)

証明すべき事項について、該当する記入欄がない場合は、備考欄に記入すること。

※上記表は、「本人が公的年金給付等を受給」欄を記載する場合の記入項目を示したものであり、「児童が公的年金給付等を受給」欄を記載する場合は、これに準じること。

②事務処理要領別紙様式1―3の各欄に記載すべき内容

項番

項目名

記入項目

1

①氏名

労災年金の受給権者氏名を記入すること。

2

②受給者番号

該当する年金証書番号を記入すること。

3

③公的年金給付等の種類

「ロ」と記入すること。

4

④支給開始月

(受給権発生月)

「支給開始月」については、労災年金の支給開始月(原則、支給事由発生年月の翌月)であり、年金の支払を開始した月や、前払一時金の支給月ではないことに注意すること。

また「受給権発生月」については、支給事由発生年月を記入すること。

5

⑤証明日現在の給付額

(年額)

証明日現在における労災年金の年額(支給決定又は変更決定された年額)を記入すること。ただし、障害補償年金前払一時金の支給による同年金の支給停止期間、遺族補償年金前払一時金の支給による同年金の支給停止期間、障害年金前払一時金の支給による同年金の支給停止期間又は遺族年金前払一時金の支給による同年金の支給停止期間にあるときは、支給停止前の労災年金の年額を記入すること。これらの前払一時金の支給以外の原因による年金の支給停止又は支払差止の場合、本項目は0円となる。

なお、一般的には、支給決定決議書に記載された年金の支給決定額のほか、システムの「年金額等計算検索」における「年額」がこれに該当するが、個別に事案を確認の上、記入すること。

6

⑥左記の対象期間

証明日現在の給付額(項番5の年額)の支給が開始された年月を記入すること。なお、項番4と同様、支払月でないので注意すること。

記入例:「平成26年8月~」

7

⑦前払一時金の支給状況

前払一時金の支給月

前払一時金の支給決定額、給付基礎日額及び支払が行われた月を記入すること。

8

⑧⑦以外による支給停止の状況

(有無及びその内容)

前払一時金以外に支給停止となる原因があれば「有」に○を付し、その概要を「(内容)」欄に記入すること。

なお、支払差止中の場合は、その旨を記入すること。

記入例:「民事損害賠償受領のため」

9

備考(欄外)

証明すべき事項について、該当する記入欄がない場合は、備考欄に記入すること。

※上記表は、「本人が公的年金給付等を受給」欄を記載する場合の記入項目を示したものであり、「児童が公的年金給付等を受給」欄を記載する場合は、これに準じること。

(エ) 都道府県知事等から照会される場合における事務処理要領別紙様式2―2及び別紙様式2―3についても、(ウ)に準じて適宜証明を行うこと。

(3) 労働基準法(昭和22年法律第49号)の規定による遺族補償の取扱い

労働基準法の規定による遺族補償を児童又は児童扶養手当の受給資格者が受けることができる場合も、児童扶養手当の全部又は一部を支給しない形で調整が行われることとなる(新児童扶養手当法第13条の2第1項第4号、第2項第2号)。

この場合に、当該遺族補償の額等について証明を行うのは、当該遺族補償の給付を行う者、すなわち被災事業場の使用者であり、労働基準監督署長ではないため、留意すること。なお、この点については、本省雇用均等・児童家庭局家庭福祉課から地方公共団体あて周知済であるため、念のため申し添える。