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通達:専門的知識等を有する有期雇用労働者等に関する特別措置法の施行について

 

専門的知識等を有する有期雇用労働者等に関する特別措置法の施行について

平成27年3月18日基発0318第1号

(都道府県労働局長あて厚生労働省労働基準局長通知)

改正 平成30年12月28日基発1228第18号

 

労働契約法(平成19年法律第128号)第18条の規定の適用に関する特例等について規定した「専門的知識等を有する有期雇用労働者等に関する特別措置法」(平成26年法律第137号。以下「法」という。)については、平成26年11月28日に公布され、同日付け基発1128第1号「専門的知識等を有する有期雇用労働者等に関する特別措置法の施行について」により法の趣旨及び内容について貴職あて通達したところである。

本日、専門的知識等を有する有期雇用労働者等に関する特別措置法施行規則(平成27年厚生労働省令第35号)、特定有期雇用労働者に係る労働基準法施行規則第五条の特例を定める省令(平成27年厚生労働省令第36号。以下「特定有期条件明示省令」という。)、専門的知識等を有する有期雇用労働者等に関する特別措置法第二条第一項の規定に基づき厚生労働大臣が定める基準(平成27年厚生労働省告示第67号)及び事業主が行う特定有期雇用労働者の特性に応じた雇用管理に関する措置に関する基本的な指針(平成27年厚生労働省告示第69号)について、それぞれ公布及び告示され、平成27年4月1日から施行及び適用されることとなったことに伴い、法の趣旨、内容及び施行に当たっての留意事項は下記のとおりとなるので、十分に了知の上、その円滑な施行に遺漏なきを期されたい。

なお、本通達の施行に伴い、平成26年11月28日付け基発1128第15号「専門的知識等を有する有期雇用労働者等に関する特別措置法の施行について」は廃止する。

また、併せて平成24年8月10日付け基発0810第2号「労働契約法の施行について」について、これを改正する通達を別紙1のとおり発出しているほか、特定有期条件明示省令の施行に関する通達を別紙2のとおり発出している旨留意されたい。

 

目次

第1 法制定の背景及び趣旨等

第2 法の内容

1 目的(法第1条関係)

2 定義(法第2条関係)

3 基本指針(法第3条関係)

4 第一種計画の認定(法第4条関係)

5 第一種計画の変更等(法第5条関係)

6 第二種計画の認定(法第6条関係)

7 第二種計画の変更等(法第7条関係)

8 労働契約法の特例(法第8条関係)

9 援助(法第9条関係)

10 指導及び助言(法第10条関係)

11 報告の徴収(法第11条関係)

12 適用除外(法第12条関係)

13 権限の委任(法第13条関係)

14 厚生労働省令への委任(法第14条関係)

15 附則(法附則第1条~法附則第6条関係)

 別紙1 「労働契約法の施行について」の一部改正について<編注:略>

 別紙2 特定有期雇用労働者に係る労働基準法施行規則第五条の特例を定める省令の施行について<編注:略>

 

第1 法制定の背景及び趣旨等

期間の定めのある労働契約(以下「有期労働契約」という。)については、契約期間の満了時に当該有期労働契約が更新されずに終了する場合がある一方で、労働契約が反復更新され、長期間にわたり雇用が継続する場合も少なくない。こうした中で、有期労働契約を締結している労働者(第1において「有期雇用労働者」という。)については、雇止め(使用者が有期労働契約の更新を拒否することをいう。)の不安があることによって、年次有給休暇の取得など労働者としての正当な権利行使が抑制されるなどの問題が指摘されている。

こうした有期労働契約の現状を踏まえ、平成25年4月1日に施行された労働契約法の一部を改正する法律(平成24年法律第56号)による改正後の労働契約法(平成19年法律第128号)第18条において、同一の使用者との間で、有期労働契約が通算5年を超えて反復更新された場合には、有期雇用労働者の申込みにより、期間の定めのない労働契約に転換させる仕組み(以下「無期転換ルール」という。)が規定されているところである。

一方で、平成25年12月13日に公布された国家戦略特別区域法(平成25年法律第107号)附則第2条においては、産業の国際競争力の強化及び国際的な経済活動の拠点の形成の推進を図る観点から、高収入かつ高度な専門的知識等を有する有期雇用労働者等について、無期転換申込権発生までの期間の在り方等について検討を行い、平成26年の通常国会に所要の法案の提出を目指す旨が規定された。

このような経緯を踏まえて制定された「専門的知識等を有する有期雇用労働者等に関する特別措置法」(平成26年法律第137号。以下「法」という。)は、高度な専門的知識等を有する有期雇用労働者及び定年後引き続いて雇用される有期雇用労働者が、その能力を有効に発揮し、活力ある社会を実現できるよう、これらの有期雇用労働者の特性に応じた雇用管理に関する特別の措置が行われる場合に、無期転換ルールに関する特例を設けるものであること。

なお、法は、労働契約法第18条の規定の趣旨を変更するものではないこと。

 

第2 法の内容

1 目的(法第1条関係)

(1) 趣旨

法第1条は、法の目的を明らかにしたものであること。

(2) 内容

法は、専門的知識等を有する有期雇用労働者等の能力の維持向上及び活用を図ることが当該専門的知識等を有する有期雇用労働者等の能力の有効な発揮及び活力ある社会の実現のために重要であることに鑑み、専門的知識等を有する有期雇用労働者がその有する能力を維持向上することができるようにするなど有期雇用労働者の特性に応じた雇用管理に関する特別の措置を講じ、併せて労働契約法の特例を定め、もって国民経済の健全な発展に資することを目的とすること。

2 定義(法第2条関係)

(1) 趣旨

法第2条及び「専門的知識等を有する有期雇用労働者等に関する特別措置法施行規則」(平成27年厚生労働省令第35号。以下「施行規則」という。)第1条は、法に規定する「専門的知識等」、「有期雇用労働者」及び「特定有期雇用労働者」について、その定義を明らかにしたものであること。

(2) 専門的知識等(法第2条第1項関係)

ア 法において「専門的知識等」とは、専門的な知識、技術又は経験であって、高度のものとして厚生労働大臣が定める基準に該当するものをいうものとすること。

イ 当該基準については、「専門的知識等を有する有期雇用労働者等に関する特別措置法第二条第一項の規定に基づき厚生労働大臣が定める基準」(平成27年厚生労働省告示第67号)の規定により、次のいずれかに該当する者が有する専門的な知識、技術又は経験とするものとすること。

① 博士の学位(外国において授与されたこれに該当する学位を含む。)を有する者

② 次に掲げるいずれかの資格を有する者

a 公認会計士

b 医師

c 歯科医師

d 獣医師

e 弁護士

f 一級建築士

g 税理士

h 薬剤師

i 社会保険労務士

j 不動産鑑定士

k 技術士

l 弁理士

③ 情報処理の促進に関する法律(昭和45年法律第90号)第7条に規定する情報処理技術者試験の区分のうちITストラテジスト試験に合格した者若しくは情報処理技術者試験規則等の一部を改正する省令(平成19年経済産業省令第79号)第2条の規定による改正前の当該区分のうちシステムアナリスト試験に合格した者又はアクチュアリーに関する資格試験(保険業法(平成7年法律第105号)第122条の2第2項の規定により指定された法人が行う保険数理及び年金数理に関する試験をいう。)に合格した者

④ 特許法(昭和34年法律第121号)第2条第2項に規定する特許発明の発明者、意匠法(昭和34年法律第125号)第2条第4項に規定する登録意匠を創作した者又は種苗法(平成10年法律第83号)第20条第1項に規定する登録品種を育成した者

⑤ 農林水産業若しくは鉱工業の科学技術(人文科学のみに係るものを除く。以下同じ。)若しくは機械、電気、土木若しくは建築に関する科学技術に関する専門的応用能力を必要とする事項についての計画、設計、分析、試験若しくは評価の業務に就こうとする者、情報処理システム(電子計算機を使用して行う情報処理を目的として複数の要素が組み合わされた体系であってプログラムの設計の基本となるものをいう。⑥において同じ。)の分析若しくは設計の業務(⑥において「システムエンジニアの業務」という。)に就こうとする者又は衣服、室内装飾、工業製品、広告等の新たなデザインの考案の業務に就こうとする者であって、次のいずれかに該当するもの

a 学校教育法(昭和22年法律第26号)による大学(短期大学を除く。)において就こうとする業務に関する学科を修めて卒業した者(昭和28年文部省告示第5号に規定する大学を卒業した者と同等以上の学力があると認められる者であって、就こうとする業務に関する学科を修めた者を含む。)であって、就こうとする業務に5年以上従事した経験を有するもの

b 学校教育法による短期大学又は高等専門学校において就こうとする業務に関する学科を修めて卒業した者であって、就こうとする業務に6年以上従事した経験を有するもの

c 学校教育法による高等学校において就こうとする業務に関する学科を修めて卒業した者であって、就こうとする業務に7年以上従事した経験を有するもの

⑥ 事業運営において情報処理システムを活用するための問題点の把握又はそれを活用するための方法に関する考案若しくは助言の業務に就こうとする者であって、システムエンジニアの業務に5年以上従事した経験を有するもの

⑦ 国、地方公共団体、一般社団法人又は一般財団法人その他これらに準ずるものによりその有する知識、技術又は経験が優れたものであると認定されている者(①から⑥までに掲げる者に準ずる者として厚生労働省労働基準局長が認める者に限る。)

(3) 有期雇用労働者(法第2条第2項関係)

法において「有期雇用労働者」とは、事業主と有期労働契約を締結している労働者をいうものとすること。

(4) 特定有期雇用労働者(法第2条第3項関係)

ア 法において「特定有期雇用労働者」とは、次の①又は②のいずれかに該当する有期雇用労働者をいうものとすること。

① 専門的知識等を有する有期雇用労働者(事業主との間で締結された有期労働契約の契約期間に当該事業主から支払われると見込まれる賃金の額を1年間当たりの賃金の額に換算した額が1,075万円以上である者に限る。)であって、当該専門的知識等を必要とする業務(5年を超える一定の期間内に完了することが予定されているものに限る。以下「特定有期業務」という。)に就くもの(②に掲げる有期雇用労働者に該当するものを除く。)。

② 定年(60歳以上のものに限る。以下同じ。)に達した後引き続いて当該事業主(高年齢者等の雇用の安定等に関する法律(昭和46年法律第68号。以下「高年齢者雇用安定法」という。)第9条第2項に規定する特殊関係事業主にその定年後に引き続いて雇用される場合にあっては、当該特殊関係事業主。以下同じ。)に雇用される有期雇用労働者

イ アの①の「支払われると見込まれる賃金の額」とは、契約期間中に支払われることが確実に見込まれる賃金の額をいうものであること。具体的には、個別の労働契約又は就業規則等において、名称の如何にかかわらず、あらかじめ具体的な額をもって支払われることが約束され、支払われることが確実に見込まれる賃金は全て含まれる一方で、所定外労働に対する手当や労働者の勤務成績等に応じて支払われる賞与、業務給等その支給額があらかじめ確定されていないものは含まれないものと解されること。ただし、賞与や業績給でもいわゆる最低保障額が定められ、その最低保障額については支払われることが確実に見込まれる場合には、その最低保障額は含まれるものと解されること。この解釈については、平成15年10月22日付け基発1022001号「労働基準法の一部を改正する法律の施行について」第1の1の(2)のアの(ク)のaが参考となるものと考えられるものであること。

3 基本指針(法第3条関係)

(1) 趣旨

法第3条は、厚生労働大臣は、事業主が行う特定有期雇用労働者の特性に応じた雇用管理に関する措置に関する基本的な指針(以下「基本指針」という。)を定めなければならないものとし、基本指針に定める事項及び基本指針に係る手続を定めたものであること。

(2) 内容

ア 厚生労働大臣は、基本指針を定めなければならないものとすること。

イ 基本指針に定める事項は、次のとおりとすること。

① 特定有期雇用労働者の雇用の動向に関する事項

② 事業主が行う特定有期雇用労働者の特性に応じた雇用管理に関する措置の内容に関する事項

ウ 厚生労働大臣は、基本指針を定め、又はこれを変更しようとするときは、労働政策審議会の意見を聴かなければならないものとすること。

エ 厚生労働大臣は、基本指針を定め、又はこれを変更したときは、遅滞なく、これを公表しなければならないものとすること。

オ 基本指針の具体的内容については、「事業主が行う特定有期雇用労働者の特性に応じた雇用管理に関する措置に関する基本的な指針」(平成27年厚生労働省告示第69号)により、次のとおりであること。

① 特定有期雇用労働者の雇用の動向に関する事項

有期雇用労働者並びに第一種特定有期雇用労働者(特定有期雇用労働者のうち2の(4)のアの①に掲げる者をいう。以下同じ。)及び第二種特定有期雇用労働者(特定有期雇用労働者のうち2の(4)のアの②に掲げる者をいう。以下同じ。)の動向について、最新の統計結果等を盛り込んだものであること。

② 事業主が行う特定有期雇用労働者の特性に応じた雇用管理に関する措置の内容に関する事項

a 第一種特定有期雇用労働者の特性に応じた雇用管理に関する措置

事業主は、計画対象第一種特定有期雇用労働者(第一種計画(事業主が行う第一種特定有期雇用労働者の特性に応じた雇用管理に関する措置についての計画をいう。以下同じ。)について4の認定を受けようとする事業主が雇用する第一種特定有期雇用労働者をいう。以下同じ。)に対し、次に掲げる計画対象第一種特定有期雇用労働者の特性に応じた雇用管理に関する措置のうち、事業主が置かれている実情に照らして適切なものを行うことが必要であること。

(a) 教育訓練に係る休暇の付与

計画対象第一種特定有期雇用労働者がその職業生活を通じて発揮することができる能力の維持向上を自主的に図るための教育訓練(計画対象第一種特定有期雇用労働者の能力の維持向上に資するものに限る。以下aにおいて同じ。)を受けるための有給休暇(労働基準法(昭和22年法律第49号)第39条の規定による年次有給休暇として与えられるものを除く。以下(a)において「有給教育訓練休暇」という。)又は長期にわたる休暇(同条の規定による年次有給休暇として与えられるもの及び有給教育訓練休暇を除く。)の付与

(b) 教育訓練に係る時間の確保のための措置

始業又は終業時刻の変更、勤務時間の短縮その他計画対象第一種特定有期雇用労働者が職業に関する教育訓練を受ける時間を確保するために必要な措置

(c) 教育訓練に係る費用の助成

受講料等の金銭的援助その他計画対象第一種特定有期雇用労働者の自発的な職業能力の開発を支援するための教育訓練に係る費用の助成

(d) 業務の遂行の過程外における教育訓練の実施

計画対象第一種特定有期雇用労働者の業務の遂行の過程外において、事業主が自ら若しくは共同して行う教育訓練の実施又は職業能力の開発及び向上について適切と認められる事業主以外の機関等の施設により行われる教育訓練を受ける機会(学会への参加を含む。)の確保

(e) 職業能力検定を受ける機会の確保

事業主が自ら若しくは共同して行う職業能力検定又は職業能力の開発及び向上について適切と認められる他の者の行う職業能力検定を受ける機会の確保

(f) 情報の提供、相談の機会の確保等の援助

計画対象第一種特定有期雇用労働者の職業生活設計に即した自発的な職業能力の開発及び向上を促進するために、業務の遂行に必要な技能及びこれに関する知識の内容及び程度その他の事項に関する情報の提供、キャリア・コンサルタント等による相談の機会の確保その他の援助

b 第一種特定有期雇用労働者の雇用管理に関する留意事項

事業主は、計画対象第一種特定有期雇用労働者の雇用管理を行うに際し、次に掲げる事項に留意することが必要であるものとすること。

(a) 一般の労働者との労働条件の均衡

計画対象第一種特定有期雇用労働者の年収以外の処遇及び雇用管理については、労働契約は、就業の実態に応じて、均衡を考慮しつつ締結し、又は変更すべき旨を定める労働契約法第3条第2項の趣旨も踏まえ、契約締結時の年収水準以外の社会保険、諸手当、福利厚生、企業内職業訓練等についても、一般の労働者(第一種特定有期雇用労働者以外の労働者)との均衡を考慮したものとなるよう、配慮すべきこと。なお、計画対象第一種特定有期雇用労働者及び計画対象第二種特定有期雇用労働者(第二種計画(事業主が行う第二種特定有期雇用労働者の特性に応じた雇用管理に関する措置についての計画をいう。以下同じ。)について6の認定を受けようとする事業主が雇用する第二種特定有期雇用労働者をいう。以下同じ。)についても、期間の定めがあることによる不合理な労働条件を禁止する労働契約法第20条の適用対象となるものであること。

(b) 合理的な理由のない雇止めの回避

計画対象第一種特定有期雇用労働者については、特定有期業務の期間中の雇用の安定に配慮し、合理的な理由のない雇止めを回避することが望ましいこと。なお、計画対象第一種特定有期雇用労働者及び計画対象第二種特定有期雇用労働者についても、有期労働契約を締結した労働者であり、いわゆる雇止め法理を規定する労働契約法第19条の適用対象となるものであること。

(c) 産前産後休業又は育児休業の取得促進のための環境整備

労働基準法第65条第1項若しくは第2項の規定による産前産後の休業又は育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律(平成3年法律第76号)第2条第1号に規定する育児休業について、計画対象第一種特定有期雇用労働者による取得を促進するために必要な環境の整備に努めるべきものであること。

c 第二種特定有期雇用労働者の特性に応じた雇用管理に関する措置

事業主は、高年齢者雇用安定法第9条第1項各号に掲げる高年齢者雇用確保措置のいずれかを講じるとともに、計画対象第二種特定有期雇用労働者に対し、次に掲げる計画対象第二種特定有期雇用労働者の特性に応じた雇用管理に関する措置のうち、事業主が置かれている実情に照らして適切なものを行うことが必要であること。

(a) 高年齢者雇用安定法第11条の規定による高年齢者雇用推進者の選任

(b) 計画対象第二種特定有期雇用労働者に対する配置、職務、職場環境等に関する配慮

i 職業能力の開発及び向上のための教育訓練の実施等

高年齢者の有する知識、経験等を活用できるようにするための効果的な職業訓練としての、業務の遂行の過程外における教育訓練の実施又は教育訓練の受講機会の確保

ii 作業施設・方法の改善

身体的機能や体力等が低下した高年齢者の職業能力の発揮を可能とするための作業補助具の導入を含めた機械設備の改善、作業の平易化等作業方法の改善、照明その他の作業環境の改善及び福利厚生施設の導入・改善

iii 健康管理、安全衛生の配慮

身体的機能や体力等の低下を踏まえた職場の安全性の確保、事故防止への配慮及び健康状態を踏まえた適正な配置

iv 職域の拡大

身体的機能の低下等の影響が少なく、高年齢者の能力、知識、経験等が十分に活用できる職域を拡大するための企業における労働者の年齢構成の高齢化に対応した職務の再設計等の実施

v 知識、経験等を活用できる配置、処遇の推進

高年齢者の知識、経験等を活用できる配置、処遇の推進のための職業能力を評価する仕組みや資格制度、専門職制度等の整備

vi 賃金体系の見直し

高年齢者の就労の機会を確保するための能力、職務等の要素を重視する賃金制度の整備

vii 勤務時間制度の弾力化

高齢期における就業希望の多様化や体力の個人差に対応するための短時間勤務、隔日勤務、フレックスタイム制、ワークシェアリング等を活用した勤務時間制度の弾力化

d 第二種特定有期雇用労働者の雇用管理に関する留意事項

事業主は、計画対象第二種特定有期雇用労働者の雇用管理を行うに際し、事業主が継続雇用制度を導入し、定年後に有期労働契約によって引き続き雇用する際は、原則65歳までは契約更新がされるものであるとの高年齢者雇用安定法の趣旨を踏まえ、適切な措置を行うことが望ましいこと。

e その他の雇用管理等に関する留意事項

(a) 個別労働関係紛争の未然防止

i 法に基づく労働契約法の特例の適用に当たっては、個別労働関係紛争を未然に防止するため、「特定有期雇用労働者に係る労働基準法第五条の特例を定める省令」(平成27年厚生労働省令第36号)の規定に基づき、事業主は、労働契約の締結・更新時に、計画対象第一種特定有期雇用労働者に対しては、特定有期業務の期間(最長10年)、計画対象第二種特定有期雇用労働者に対しては、定年後引き続いて雇用されている期間、無期転換申込権は発生しないことを原則として書面で明示するとともに、計画対象第一種特定有期雇用労働者に対しては、特例の対象となる業務の具体的な範囲も原則として書面で明示することが必要である。ただし、当該計画対象第一種特定有期雇用労働者又は当該計画第二種特定有期雇用労働者が次のいずれかの方法によることを希望した場合には、当該方法とすることができること。なお、当該方法の具体的な解釈については、「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律による改正後の労働基準法関係の解釈について」(平成30年12月28日付け基発1228第15号)を参照すること。

① ファクシミリを利用してする送信の方法

② 電子メール等の送信の方法(当該労働者が当該電子メール等の記録を出力することにより書面を作成することができるものに限る。)

また、労働条件の明示の際は、モデル労働条件通知書の活用を図ることが望ましいこと。

ii 第一種計画又は第二種計画が認定されたことにより有期労働契約の期間中に無期転換申込権発生までの期間が変更となる場合や、第一種計画に記載された特定有期業務の完了の日が変更となることにより無期転換申込権発生までの期間が変更となる場合には、速やかに特例の対象となる労働者にその旨を明示することが適当であること。

f 関係労働者の理解と協力

事業主が特定有期雇用労働者の特性に応じた雇用管理に関する措置を行うに当たっては、関係労働者の理解と協力が重要であり、当該雇用管理の内容について関係労働者に対し意見聴取を行う、周知する等、関係労働者の理解と協力を得るよう努めることが求められる。なお、第一種計画又は第二種計画の策定に際し、実施する雇用管理に関する措置の内容に関して就業規則の変更を行う場合は、就業規則の作成及び届出に関する事項を規定する労働基準法第89条並びに就業規則の作成の手続に関する事項を規定する同法第90条並びに就業規則による労働契約の内容の変更に関する事項を規定する労働契約法第9条及び第10条の規定に留意することが必要であること。

4 第一種計画の認定(法第4条関係)

(1) 趣旨

法第4条及び施行規則第2条は、事業主は、第一種計画を作成し、これを13により厚生労働大臣の権限の委任を受けた都道府県労働局長(以下この4から7まで並びに10及び11において「局長」という。)に提出して、その第一種計画が適当である旨の認定を受けることができるものとし、第一種計画に記載すべき内容や認定要件等について定めたものであること。

(2) 内容

ア 第一種計画に係る認定を受けようとする事業主は、「第一種計画認定・変更申請書」(様式第1号)一通及びその写し一通を、その主たる事業所の所在地を管轄する局長に提出して、その第一種計画が適当である旨の認定を受けることができるものとすること。「第一種計画認定・変更申請書」及びその写しには、就業規則その他の書類であって、イの②の措置を実施することを明らかにするものを添付しなければならないものとすること。

イ 第一種計画には、次に掲げる事項を記載しなければならないものとすること。

① 計画対象第一種特定有期雇用労働者が就く特定有期業務の内容並びに開始及び完了の日

② 計画対象第一種特定有期雇用労働者がその職業生活を通じて発揮することができる能力の維持向上を自主的に図るための教育訓練を受けるための有給休暇(労働基準法第39条の規定による年次有給休暇として与えられるものを除く。)の付与に関する措置その他の能力の維持向上を自主的に図る機会の付与に関する措置(ウの③において「有給教育訓練休暇付与等の措置」という。)その他の当該事業主が行う計画対象第一種特定有期雇用労働者の特性に応じた雇用管理に関する措置の内容

ウ 局長は、アの認定の申請があった場合において、その第一種計画が次の①から③までのいずれにも適合するものであると認めるときは、その認定を行い、「第一種計画認定通知書」(様式第2号)を当該事業主に交付すること。

① イの①の特定有期業務が2の(2)のイの基準に該当する専門的知識等を必要とする業務であること。

② イの②に掲げる事項が基本指針に照らして適切なものであること。

③ ②に定めるもののほか、有給教育訓練休暇付与等の措置その他の当該事業主が行う雇用管理に関する措置の内容が計画対象第一種特定有期雇用労働者の特性に応じた雇用管理に関する措置として有効かつ適切なものであること。

エ 局長は、アの認定の申請があった場合において、その第一種計画がウの①から③までのいずれかに適合しないものであると認めるときは、認定を行わない旨を理由を添えて「第一種計画不認定通知書」(様式第3号)により当該事業主に通知すること。

オ ウの認定及びエの不認定は、行政処分性を有するものであること。

5 第一種計画の変更等(法第5条関係)

(1) 趣旨

法第5条及び施行規則第3条は、第一種計画の変更及び認定の取消しについて定めたものであること。

(2) 内容

ア 4の(2)のアの認定に係る事業主(以下「第一種認定事業主」という。)は、4の(2)のアの認定に係る第一種計画を変更しようとするときは、「第一種計画認定・変更申請書」一通及びその写し一通を、その主たる事業所の所在地を管轄する局長に提出して、局長の認定を受けなければならないものとすること。「第一種計画認定・変更申請書」及びその写しには、就業規則その他の書類であって、4の(2)のイの②の措置を実施することを明らかにするものを添付しなければならないものとすること。

イ 局長は、アの変更の申請があった場合において、その変更後の第一種計画が4の(2)のウの①から③までのいずれにも適合するものであると認めるときは、その変更の認定を行い、「第一種計画変更認定通知書」(様式第4号)を当該第一種認定事業主に交付すること。

ウ 局長は、アの変更の申請があった場合において、その変更後の第一種計画が4の(2)のウの①から③までのいずれかに適合しないものであると認めるときは、変更の認定を行わない旨を理由を添えて「第一種計画変更不認定通知書」(様式第5号)により当該第一種認定事業主に通知すること。

エ 局長は、4の(2)のアの認定に係る第一種計画(イによる変更の認定があったときは、その変更後のもの。以下「第一種認定計画」という。)が4の(2)のウの①から③までのいずれかに適合しなくなったと認めるときは、その認定を取り消すことができるものとすること。認定を取り消す場合については、「第一種計画認定取消通知書」(様式第6号)により当該第一種認定事業主に通知すること。

オ イの認定、ウの不認定及びエの認定の取消しは、行政処分性を有するものであること。

6 第二種計画の認定(法第6条関係)

(1) 趣旨

法第6条及び施行規則第4条は、事業主は、第二種計画を作成し、これを局長に提出して、その第二種計画が適当である旨の認定を受けることができるものとし、第二種計画に記載すべき内容や認定要件等について定めたものであること。

(2) 内容

ア 第二種計画に係る認定を受けようとする事業主は、「第二種計画認定・変更申請書」(様式第7号)一通及びその写し一通を、その主たる事業所の所在地を管轄する局長に提出して、その第二種計画が適当である旨の認定を受けることができるものとすること。

「第二種計画認定・変更申請書」及びその写しには、就業規則その他の書類であって、次に掲げる書類を添付しなければならないものとすること。

① イの措置を実施することを明らかにするもの

② 高年齢者雇用安定法第9条第1項に規定する高年齢者雇用確保措置を現に講じていることを明らかにするもの

イ 第二種計画には、計画対象第二種特定有期雇用労働者に対する配置、職務及び職場環境に関する配慮その他の当該事業主が行う計画対象第二種特定有期雇用労働者の特性に応じた雇用管理に関する措置の内容を記載しなければならないものとすること。

ウ 局長は、アの認定の申請があった場合において、その第二種計画が次の①及び②のいずれにも適合するものであると認めるときは、その認定を行い、「第二種計画認定通知書」(様式第8号)を当該事業主に交付すること。

① イに掲げる事項が基本指針に照らして適切なものであること。

② ①に定めるもののほか、イに掲げる配置、職務及び職場環境に関する配慮その他の当該事業主が行う雇用管理に関する措置の内容が計画対象第二種特定有期雇用労働者の特性に応じた雇用管理に関する措置として有効かつ適切なものであること。

エ 局長は、アの認定の申請があった場合において、その第二種計画がウの①及び②のいずれかに適合しないものであると認めるときは、認定を行わない旨を理由を添えて「第二種計画不認定通知書」(様式第9号)により当該事業主に通知すること。

オ ウの認定及びエの不認定は、行政処分性を有するものであること。

7 第二種計画の変更等(法第7条関係)

(1) 趣旨

法第7条及び施行規則第5条は、第二種計画の変更及び認定の取消しについて定めたものであること。

(2) 内容

ア 6の(2)のアの認定に係る事業主(以下「第二種認定事業主」という。)は、6の(2)のアの認定に係る第二種計画を変更しようとするときは、「第二種計画認定・変更申請書」一通及びその写し一通を、その主たる事業所の所在地を管轄する局長に提出して、局長の認定を受けなければならないものとすること。「第二種計画認定・変更申請書」及びその写しには、就業規則その他の書類であって、6の(2)のアの①及び②に掲げる書類を添付しなければならないものとすること。

イ 局長は、アの変更の申請があった場合において、その変更後の第二種計画が6の(2)のウの①及び②のいずれにも適合するものであると認めるときは、その変更の認定を行い、「第二種計画変更認定通知書」(様式第10号)を当該第二種認定事業主に交付すること。

ウ 局長は、アの変更の申請があった場合において、その変更後の第二種計画が6の(2)のウの①及び②のいずれかに適合しないものであると認めるときは、変更の認定を行わない旨を理由を添えて「第二種計画変更不認定通知書」(様式第11号)により当該第二種認定事業主に通知すること。

エ 局長は、6の(2)のアの認定に係る第二種計画(アによる変更の認定があったときは、その変更後のもの。以下「第二種認定計画」という。)が6の(2)のウの①又は②のいずれかに適合しなくなったと認めるときは、その認定を取り消すことができるものとすること。認定を取り消す場合については、「第二種計画認定取消通知書」(様式第12号)により当該第二種認定事業主に通知すること。

オ イの認定、ウの不認定及びエの認定の取消しは、行政処分性を有するものであること。

8 労働契約法の特例(法第8条関係)

(1) 趣旨

法第8条は、計画対象第一種特定有期雇用労働者及び計画対象第二種特定有期雇用労働者に係る労働契約法第18条第1項の規定の適用に関する特例を定めたものであること。

(2) 内容

ア 第一種認定事業主と当該第一種認定事業主が雇用する計画対象第一種特定有期雇用労働者との間の有期労働契約に係る労働契約法第18条第1項の規定の適用については、同項中「5年」とあるのは、「第一種認定計画に記載された特定有期業務の開始の日から完了の日までの期間(当該期間が10年を超える場合にあっては、10年)」とすること。

イ 第二種認定事業主と当該第二種認定事業主が雇用する計画対象第二種特定有期雇用労働者との間の有期労働契約に係る労働契約法第18条第1項の規定の適用については、定年後引き続いて当該第二種認定事業主に雇用されている期間は、同項に規定する通算契約期間に算入しないものとすること。

9 援助(法第9条関係)

(1) 趣旨

法第9条は、国の第一種認定事業主に対する援助について定めたものであること。

(2) 内容

国は、第一種認定計画に係る計画対象第一種特定有期雇用労働者の特性に応じた雇用管理に関する措置を講ずる第一種認定事業主に対して、必要な助成その他の援助を行うよう努めるものとすること。

10 指導及び助言(法第10条関係)

(1) 趣旨

法第10条は、局長による指導及び助言について定めたものであること。

(2) 内容

局長は、第一種認定事業主又は第二種認定事業主に対し、第一種認定計画又は第二種認定計画に係る措置の的確な実施に必要な指導及び助言を行うものとすること。

11 報告の徴収(法第11条関係)

(1) 趣旨

法第11条は、局長による報告の徴収について定めたものであること。

(2) 内容

局長は、第一種認定事業主又は第二種認定事業主に対し、第一種認定計画に記載された4の(2)のイの②に掲げる事項又は第二種認定計画に記載された6の(2)のイに掲げる事項の実施状況について報告を求めることができるものとすること。

12 適用除外(法第12条関係)

(1) 趣旨

法第12条は、法の適用除外について定めたものであること。

(2) 内容

ア 法は、国家公務員、地方公務員及び船員法(昭和22年法律第100号)の適用を受ける船員については、適用しないものとすること。

イ 法は、同居の親族のみを使用する事業については、適用しないものとすること。

13 権限の委任(法第13条関係)

(1) 趣旨

法第13条及び施行規則第6条は、法に定める厚生労働大臣の権限の委任について定めたものであること。

(2) 内容

4から7まで並びに10及び11の厚生労働大臣の権限は、都道府県労働局長に委任するものとすること。

14 厚生労働省令への委任(法第14条関係)

(1) 趣旨

法第14条は、法の施行に関し必要な事項に関する厚生労働省令への委任について定めたものであること。

(2) 内容

法に定めるもののほか、法の実施のための手続その他法の施行に関し必要な事項は、厚生労働省令で定めるものとすること。

15 附則(法附則第1条~法附則第6条関係)

(1) 趣旨

法附則は、施行期日、施行前の準備、経過措置及び関係法律の整備について定めたものであること。

(2) 内容

ア 施行期日

法は、平成27年4月1日から施行するものとすること。ただし、イ及びウの②は、公布の日から施行するものとすること。

イ 施行前の準備

① 厚生労働大臣は、法の施行前においても、3の(2)のアからウまでの例により、基本指針を定めることができるものとすること。

② 厚生労働大臣は、①により基本指針を定めたときは、遅滞なく、これを公表しなければならないものとすること。

③ ①により定められた基本指針は、法の施行の日(以下「施行日」という。)において3の(2)のアからウまでにより定められた基本指針とみなすものとすること。

ウ 経過措置

① 特定有期雇用労働者であって施行日前に労働契約法第18条第1項に規定する通算契約期間が5年を超えることになった者に係る同項に規定する期間の定めのない労働契約の締結の申込みについては、なお従前の例によるものとすること。

② ①のほか、法の施行に伴い必要な経過措置は、政令で定めるものとすること。

エ 関係法令の整備

その他関係法令について、所要の規定の整備を行うこと。