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通達:「労働基準法施行規則の一部を改正する省令」の施行及び「労働基準法施行規則の規定に基づき厚生労働大臣が指定する単体たる化学物質及び化合物(合金を含む。)並びに厚生労働大臣が定める疾病を定める告示」の適用について

 

「労働基準法施行規則の一部を改正する省令」の施行及び「労働基準法施行規則の規定に基づき厚生労働大臣が指定する単体たる化学物質及び化合物(合金を含む。)並びに厚生労働大臣が定める疾病を定める告示」の適用について

平成25年10月1日基発1001第8号

(都道府県労働局長あて厚生労働省労働基準局長通知)

 

労働基準法施行規則の一部を改正する省令(平成25年厚生労働省令第113号。以下「改正省令」という。)及び平成25年厚生労働省告示第316号(労働基準法施行規則の規定に基づき厚生労働大臣が指定する単体たる化学物質及び化合物(合金を含む。)並びに厚生労働大臣が定める疾病を定める件。以下「改正告示」という。)が、平成25年9月30日に公布され、本日から施行及び適用されることとなったので、下記の事項に留意の上、事務処理に遺憾なきを期されたい。

 

第1 改正の趣旨

労働基準法(昭和22年法律第49号)第75条第2項の業務上の疾病の範囲は、労働基準法施行規則(昭和22年厚生省令第23号)別表第1の2(以下「別表」という。)に定められているところであるが、平成25年6月から「労働基準法施行規則第35条専門検討会」(以下「専門検討会」という。)において、別表に掲げる業務上の疾病の範囲について医学的検討を行い、同年7月3日に「労働基準法施行規則第35条専門検討会報告書」が取りまとめられた。

今般の改正省令及び改正告示は、同報告書を踏まえ、業務上の疾病の範囲について改正を行ったものである。

 

第2 改正事項等

1 改正省令について

(1) 改正事項

ア 既に別表に規定する疾病に係る対象業務の追加

別表第4号3に規定する皮膚疾患の対象業務に「テレビン油にさらされる業務」を追加したこと。

イ 例示列挙する業務上の疾病の追加

別表第7号に次の疾病と対象業務を追加したこと。

(ア) ベリリウムにさらされる業務による肺がん

(イ) 1,2―ジクロロプロパンにさらされる業務による胆管がん

(ウ) ジクロロメタンにさらされる業務による胆管がん

(2) 改正を行った別表各号の規定の内容

ア 別表第4号3「すす、鉱物油、うるし、テレビン油、タール、セメント、アミン系の樹脂硬化剤等にさらされる業務による皮膚疾患」

(要旨)

本改正は、テレビン油にさらされる作業環境下において業務に従事することにより発生する皮膚疾患を業務上の疾病として別表第4号3に追加したものである。

(解説)

(ア) 「テレビン油」とは、マツ科植物の水蒸気蒸留や乾留によって得られる環状の炭化水素で、α―ピネンを主成分とし、少量のβ―ピネンやジペンテンなどを含む混合物である。

なお、テレビン油は、第3種有機溶剤等に該当する有機溶剤として有機溶剤中毒予防規則(昭和47年労働省令第36号。以下「有機則」という。)に規定されている。

(イ) 該当業務としては、例えば、テレビン油を用いた塗料、コーティング剤、医薬品等の製造又は取扱い業務等がある。

(ウ) テレビン油による皮膚疾患としては、アレルギー性接触皮膚炎がある。

イ 別表第7号6「ベリリウムにさらされる業務による肺がん」

(要旨)

本改正は、ベリリウムにさらされる作業環境下において業務に従事することにより発生する肺がんを業務上の疾病として新たに定めたものである。

(解説)

(ア) 「ベリリウム」(元素記号:Be)とは、銀白色で、主に合金の硬化剤として利用される金属元素である。ベリリウム及びその化合物を製造する場合には、労働安全衛生法(昭和47年法律第57号。以下「安衛法」という。)第56条第1項に基づき、あらかじめ、厚生労働大臣の許可を受けなければならないとされており、また、ベリリウム及びその化合物は、第1類物質及び特別管理物質に該当する特定化学物質として特定化学物質障害予防規則(昭和47年労働省令第39号。以下「特化則」という。)に規定されている。

(イ) 該当業務としては、ベリリウム銅等の合金の製造等のほか、酸化ベリリウム、フッ化ベリリウム、硫酸ベリリウム、塩化ベリリウム、水酸化ベリリウムなどのベリリウム化合物の製造又は取扱い業務等がある。

なお、ベリリウム及びその化合物(これらの物をその重量の1パーセントを超えて含有する製剤その他の物(合金にあっては、ベリリウムをその重量の3パーセントを超えて含有するものに限る。)を含む。)を製造し、又は取り扱う業務(これらの物のうち粉状の物以外の物を取り扱う業務を除く。)は、安衛法第67条による健康管理手帳交付の対象業務(以下「健康管理手帳交付対象業務」という。)となっている。

(ウ) 「肺がん」とは、肺に原発した悪性新生物をいう。

(エ) 本規定に定める疾病に係る業務起因性の判断に当たっては、昭和53年3月30日付け基発第186号「労働基準法施行規則の一部を改正する省令等の施行について」(以下「186号通達」という。)の記の第3の1に基づき、業務起因性の判断が困難な事案に該当するものとして本省にりん伺すること。

ウ 別表第7号12「1,2―ジクロロプロパンにさらされる業務による胆管がん」

(要旨)

本改正は、1,2―ジクロロプロパンにさらされる作業環境下において業務に従事することにより発生する胆管がんを業務上の疾病として新たに定めたものである。

(解説)

(ア) 「1,2―ジクロロプロパン」(化学式:C3H6Cl2)とは、常温で無色透明の液体であり、揮発性が高く、特徴的な臭気(クロロホルム臭)がある。

なお、1,2―ジクロロプロパンは、平成25年8月13日に公布された労働安全衛生法施行令の一部を改正する政令(平成25年政令第234号。以下「改正政令」という。)及び労働安全衛生規則及び特定化学物質障害予防規則の一部を改正する省令(平成25年厚生労働省令第96号。以下「安衛則等改正省令」という。)により、同年10月1日付けで、第2類物質及び特別管理物質に該当する特定化学物質として特化則に規定されている。

(イ) 該当業務としては、例えば、印刷機等の洗浄又は払拭の業務がある。

なお、改正政令及び安衛則等改正省令により、1,2―ジクロロプロパン(これをその重量の1パーセントを超えて含有する製剤その他の物を含む。)を取り扱う業務のうち、屋内作業場等において行う印刷機その他の設備の洗浄又は払拭の業務については、平成25年10月1日付けで、健康管理手帳交付対象業務に追加されている。

(ウ) 「胆管がん」とは、胆汁の通り道である胆管に生じる悪性腫瘍であり、内腔を覆う胆管上皮細胞が悪性化したものが大部分である。胆管がんは、がんが生じた場所により大きく2つに分類され、肝臓内の胆管に生じるがんを肝内胆管がん、肝臓外の胆管に生じるがんを肝外胆管がんという。

(エ) 本規定に定める疾病に係る業務起因性の判断に当たっては、186号通達の記の第3の1に基づき、業務起因性の判断が困難な事案に該当するものとして本省にりん伺すること。

エ 別表第7号13「ジクロロメタンにさらされる業務による胆管がん」

(要旨)

本改正は、ジクロロメタンにさらされる作業環境下において業務に従事することにより発生する胆管がんを業務上の疾病として新たに定めたものである。

(解説)

(ア) 「ジクロロメタン」(化学式:CH2Cl2)とは、常温で無色透明の液体であり、揮発性が高く、特徴的な臭気(甘い芳香臭)がある。

なお、ジクロロメタンは、平成26年8月20日に公布された労働安全衛生法施行令の一部を改正する政令(平成26年政令第288号)及び同年8月25日に公布された労働安全衛生規則等の一部を改正する省令(平成26年厚生労働省令第101号)により、同年11月1日付けで、第2類物質及び特別管理物質に該当する特定化学物質として特化則に規定されている。

(イ) 該当業務としては、例えば、印刷機等の洗浄又は払拭の業務がある。

(ウ) 「胆管がん」については、上記ウの(解説)の(ウ)を参照。

(エ) 本規定に定める疾病に係る業務起因性の判断に当たっては、186号通達の記の第3の1に基づき、業務起因性の判断が困難な事案に該当するものとして本省にりん伺すること。

2 改正告示について

(1) 改正事項

平成8年労働省告示第33号(労働基準法施行規則の規定に基づき厚生労働大臣が指定する単体たる化学物質及び化合物(合金を含む。)並びに厚生労働大臣が定める疾病を定める件。以下「旧告示」という。)に、別紙1の各表の左欄に掲げる17の単体たる化学物質及び化合物にさらされる業務による、それぞれ右欄に掲げる症状又は障害を主たる症状又は障害とする疾病を、業務上の疾病として追加したこと。

(2) 新たに追加した症状又は障害

旧告示において用いられていた症状又は障害の表現に、新たに「生殖機能障害」を追加したこと。

(解説)

「生殖機能障害」とは、女性における無月経、男性における無精子症及び精子減少症をいう。生殖機能障害を生じさせる化学物質としては、2―ブロモプロパンがある。

 

第3 改正内容の周知

今般の改正内容については、別途指示するところにより、関係労使、医療機関、事業主団体等に対し幅広く周知を図ること。

 

第4 関係通達の改正

改正省令の施行及び改正告示の適用に伴い、関係通達を別紙2のとおり改めること。

 

第5 その他

1 旧告示に追加した別紙1の17の単体たる化学物質及び化合物について、各物質ごとの物性、主な用途等の基本情報については別添のとおりである。

2 改正省令の施行及び改正告示の適用に伴う労災保険業務機械処理手引(平成23年3月31日付け基発0331第3号)の別表5「傷病性質コード表」の改正については、別途指示する予定である。

 

別紙1

17の単体たる化学物質及び化合物にさらされる業務により発生する主たる症状又は障害

(1) 無機の酸及びアルカリ

化学物質

症状又は障害

過酸化水素

皮膚障害、前眼部障害又は気道・肺障害

ペルオキソ二硫酸アンモニウム

皮膚障害又は気道障害

ペルオキソ二硫酸カリウム

皮膚障害又は気道障害

(2) 金属(セレン及び砒素を含む。)及びその化合物

化学物質

症状又は障害

インジウム及びその化合物

肺障害

タリウム及びその化合物

頭痛、めまい、嘔吐等の自覚症状、皮膚障害又は末梢神経障害

ニッケル及びその化合物(ニッケルカルボニルを除く。)

皮膚障害

ロジウム及びその化合物

皮膚障害又は気道障害

(3) ハロゲン及びその無機化合物

(4) りん、硫黄、酸素、窒素及び炭素並びにこれらの無機化合物

化学物質

症状又は障害

アジ化ナトリウム

頭痛、めまい、嘔吐等の自覚症状、前眼部障害、血圧降下又は気道障害

二亜硫酸ナトリウム

皮膚障害又は気道障害

(5) 脂肪族化合物

① 脂肪族炭化水素及びそのハロゲン化合物

化学物質

症状又は障害

1―ブロモプロパン

末梢神経障害

2―ブロモプロパン

生殖機能障害

② アルコール、エーテル、アルデヒド、ケトン及びエステル

化学物質

症状又は障害

2,3―エポキシプロピル=フェニルエーテル

皮膚障害

グルタルアルデヒド

皮膚障害、前眼部障害又は気道障害

③ その他の脂肪族化合物

(6) 脂環式化合物

(7) 芳香族化合物

① ベンゼン及びその同族体

② 芳香族炭化水素のハロゲン化物

③ 芳香族化合物のニトロ又はアミノ誘導体

④ その他の芳香族化合物

化学物質

症状又は障害

ヒドロキノン

皮膚障害

(8) 複素環式化合物

化学物質

症状又は障害

ヘキサヒドロ―1,3,5―トリニトロ―1,3,5―トリアジン

頭痛、めまい、嘔吐等の自覚症状又は意識喪失を伴う痙攣

(9) 農薬その他の薬剤の有効成分

化学物質

症状又は障害

テトラメチルチウラムジスルフィド

皮膚障害

N―(トリクロロメチルチオ)―1,2,3,6―テトラヒドロフタルイミド

皮膚障害

 

別紙2

関係通達の改正

1 昭和51年1月30日付け基発第122号「脂肪族化合物、脂環式化合物、芳香族化合物(芳香族化合物のニトロ又はアミノ誘導体を除く。)又は複素環式化合物のうち有機溶剤として用いられる物質による疾病の認定基準について」の改正

前文中「第7号8」を「第7号9」に改める。

2 昭和51年7月29日付け基発第556号「塩化ビニルばく露作業従事労働者に生じた疾病の業務上外の認定について」の改正

(1) 前文中「第7号9」を「第7号10」に改める。

(2) 記の第2の1の(1)中「第7号9」を「第7号10」に改める。

3 昭和51年11月8日付け基発第810号「電離放射線に係る疾病の業務上外の認定基準について」の改正

記の第2中「第7号10」を「第7号13」に改める。

4 昭和53年3月30日付け基発第186号「労働基準法施行規則の一部を改正する省令等の施行について」の改正

(1) 記の第1の2の(4)中「第7号18」を「第7号21」に改める。

(2) 記の第2の2の(2)のホの(ト)のc中「第7号10」を「第7号13」に改める。

(3) 記の第2の2の(4)「化学物質等による次に掲げる疾病」(第4号)関係

ア ハの表題中「すす、鉱物油、うるし」を「すす、鉱物油、うるし、テレビン油」に改める。

イ ハの(イ)中gをhとし、dからfを一つずつ繰り下げ、cの次に以下を追加する。

d 「テレビン油」とは、マツ科植物の水蒸気蒸留や乾留によって得られる環状の炭化水素で、α―ピネンを主成分とし、少量のβ―ピネンやジペンテンなどを含む混合物である。なお、テレビン油は、第3種有機溶剤等に該当する有機溶剤として有機溶剤中毒予防規則(昭和47年9月30日労働省令第36号)に規定されている。

ウ ハの(イ)のh中「すす、鉱物油、うるし」を「すす、鉱物油、うるし、テレビン油」に改める。

エ ハの(ロ)中fをgとし、dとeを一つずつ繰り下げ、cの次に以下を追加する。

d テレビン油:テレビン油を用いた塗料、コーティング剤、医薬品等の製造又は取扱い業務等

オ ハの(ハ)中fをgとし、dとeを一つずつ繰り下げ、cの次に以下を追加する。

d テレビン油による皮膚疾患には、アレルギー性接触皮膚炎がある。

(4) 記の第2の2の(7)「がん原性物質若しくはがん原性因子又はがん原性工程における業務による次に掲げる疾病」(第7号)関係

ア ヘの表題中「(第7号6)」を「(第7号7)」に改める。

イ トの表題中「(第7号7)」を「(第7号8)」に改める。

ウ チの表題中「(第7号8)」を「(第7号9)」に改める。

エ リの表題中「(第7号9)」を「(第7号10)」に改める。

オ ヌの表題中「(第7号10)」を「(第7号13)」に改める。

カ ルの表題中「(第7号11)」を「(第7号14)」に改める。

キ ヲの表題中「(第7号12)」を「(第7号15)」に改める。

ク ワの表題中「(第7号13)」を「(第7号16)」に改める。

ケ カの表題中「(第7号14)」を「(第7号17)」に改める。

コ ヨの表題中「(第7号15)」を「(第7号18)」に改める。

サ タの表題中「(第7号16)」を「(第7号19)」に改める。

シ レの表題中「(第7号17)」を「(第7号20)」に、〔解説〕(イ)のa中「(4)ハ〔解説〕(イ)d参照」を「(4)ハ〔解説〕(イ)a、b及びe参照」に、〔解説〕(ロ)のa中「(4)ハ〔解説〕(ロ)a、b及びd参照」を「(4)ハ(ロ)a、b及びe参照」に改める。

ス ソの表題中「1~17」を「1~20」に、「(第7号18)」を「(第7号21)」に改め、〔要旨〕中「第7号1から17までに掲げるがん以外」を「第7号1から20までに掲げるがん以外」に、「第7号1から17までに掲げる疾病発生の原因因子」を「第7号1から20までに掲げる疾病発生の原因因子」に改める。

5 昭和57年9月27日付け基発第640号「タール様物質による疾病の認定基準について」の改正

(1) 記の第1.の1の(1)中「第7号13」を「第7号16」に改める。

(2) 記の第1.の2中「第7号17」を「第7号20」に改める。

6 昭和59年12月4日付け基発第646号「クロム又はその化合物(合金を含む。)による疾病の認定基準について」の改正

記の1の(1)中「第7号14」を「第7号17」に改める。

7 平成3年3月19日付け基発第157号「「職業性疾病の補償事務手引」の廃止及び「業務上疾病の認定事務手引」の作成について」別添「業務上疾病の認定事務手引」の改正

(1) Ⅰの2.の(2)中「第7号18」を「第7号21」に改める。

(2) Ⅰの2.の(2)のロ中「第7号18」を「第7号21」に改める。

8 平成6年9月30日付け基発第612号、婦発第273号「行政手続法等の施行について」の改正

記の第2の1の(2)のロの(ロ)の⑤中「第7号18」を「第7号21」に改める。

9 平成22年5月7日付け基発0507第3号「労働基準法施行規則の一部を改正する省令の施行等について」の改正

(1) 記の第2の2の(2)中「(別表第7号9)」を「(別表第7号10)」に改める。

(2) 記の第2の2の(3)中「(別表第7号10)」を「(別表第7号13)」に改める。

(3) 記の第3の4の表題中「第7号9」を「第7号10」に改め、(要旨)中「第7号18」を「第7号21」に改める。

(4) 記の第3の5の表題中「第7号10」を「第7号13」に改め、(要旨)中「第7号18」を「第7号21」に改める。

10 平成24年3月29日付け基発0329第2号「石綿による疾病の認定基準について」の改正

(1) 記の第2の2中「第7号7」を「第7号8」に改める。

(2) 記の第2の3中「第7号7」を「第7号8」に改める。

 

別添

17の単体たる化学物質及び化合物に関する基本情報

基本情報において用いられている主な用語の意味については、以下のとおりである。

CAS No:米国化学会のChemical Abstracts Service(CAS)が化学文献などに記載された化学物質に付与した番号で、CAS Registry Numberの略である。

許容濃度:数値は、いずれも、ガス状物質はppm及びmg/m3、粒子状物質はmg/m3で示している。

日本産業衛生学会:日本産業衛生学会許容濃度等に関する委員会により2012年までに勧告された許容濃度を記載している。

ACGIH:米国労働衛生専門家会議(ACGIH:American Conference of Governmental Industrial Hygienists)により、TWA(時間荷重平均値:作業員が通常1日8時間、週40時間での許容値)、STEL(短時間ばく露限界値:15分間内における平均値が超えてはならない値)又はC(天井値:作業中のどの時点においても超えてはならない上限値)として示された、2012年勧告の許容限界値(TLV)を記載している。

関連法規:参考として適用を受ける関連法規を示している。

(1) アジ化ナトリウム

① CAS No:26628―22―8

② 化学式:N3Na

③ 別名:ナトリウムアジド

④ 物性:白又はほとんど白の結晶。水に溶けやすく、エチルエーテルにはほとんど溶けない。水溶液はアルカリ性である。

⑤ 主な用途:検出試薬(SCN、S2O3など)、爆薬原料、有機合成原料

⑥ 許容濃度:

日本産業衛生学会:未設定(2012年版)

ACGIH:

TLV―STEL(C)0.29mg/m3(アジ化ナトリウムとして)

TLV―STEL(C)0.11ppm(アジ化水素酸蒸気として)(2012年版)

⑦ 関連法規:労働安全衛生法、化学物質審査規制法(以下「化審法」という。)、化学物質排出把握管理促進法(以下「PRTR法」という。)、消防法、船舶安全法、航空法、毒物及び劇物取締法

(2) インジウム及びその化合物

① CAS No:7440―74―6

② 化学式:In

③ 別名:―

④ 物性:可鍛性、展延性をもち結晶質。白色光沢で空気中では安定。

⑤ 主な用途:銀ロウ、銀合金接点、ハンダ、低融点合金、液晶セル電極用、歯科用合金、防食アルミニウム、テレビカメラ、ゲルマニウム・トランジスタ、光通信、太陽熱発電、電子部品等

⑥ 許容濃度:

日本産業衛生学会:生物学的許容値3μg/l(試料:血清、物質:インジウム、試料採集時期:特定せず)(2012年版)

ACGIH:TLV―TWA 0.1mg/m3(2012年版)

⑦ 関連法規:労働安全衛生法、PRTR法、消防法、船舶安全法、航空法

(3) 2,3―エポキシプロピル=フェニルエーテル

① CAS No:122―60―1

② 化学式:C9H10O2

③ 別名:

フェニルグリシジルエーテル

1,2―エポキシ―3―フェノキシプロパン(1,2―epoxy―3―phenoxypropane)

フェノキシメチルオキシラン(Phenoxy methyloxirane)

④ 物性:無色透明の液体。

⑤ 主な用途:エポキシ樹脂、アルキド樹脂の反応希釈剤、樹脂農薬などの安定剤、木綿・羊毛などの改質剤、分散染料、反応性染料の染色性改良剤

⑥ 許容濃度:

日本産業衛生学会:未設定(2012年版)

ACGIH:TLV―TWA 0.1ppm(2012年版)

⑦ 関連法規:労働安全衛生法、PRTR法、消防法

(4) 過酸化水素

① CAS No:7722―84―1

② 化学式:H2O2

③ 別名:オキシフル(Hydroperoxide)、オキシドール(Hydrogen dioxide)

④ 物性:純粋なものは粘性のある無色の液体で、多量の場合は青色を呈する。

⑤ 主な用途:漂白剤(紙、パルプ、天然繊維)、工業薬品(酸化剤及び可塑剤、ゴム薬品、公害処理剤などの酸化剤)、医薬品(酸化剤、殺菌剤)、その他各種漂白剤

⑥ 許容濃度:

日本産業衛生学会:未設定(2012年版)

ACGIH:TLV―TWA 1ppm(2012年版)

⑦ 関連法規:労働安全衛生法、消防法、船舶安全法、航空法、毒物及び劇物取締法

(5) グルタルアルデヒド

① CAS No:111―30―8

② 化学式:C5H8O2

③ 別名:グルタルジアルデヒド(Glutaric dialdehyde)、グルタラール(Glutaral)、ペンタン―1,5―ジアール(Pentane―1,5―dial)、1,5―ペンタジオン(1,5―Pentanedione)

④ 物性:刺激臭のある無色液体。

⑤ 主な用途:写真用ゼラチンの架橋剤(硬膜剤)、皮革のなめし剤、紙・プラスチックなどへの定着剤、消毒剤

⑥ 許容濃度:

日本産業衛生学会:0.03ppm(最大許容濃度)(2012年版)

ACGIH:TLV―STEL(C) 0.05ppm(2012年版)

⑦ 関連法規:労働安全衛生法、化審法、PRTR法、消防法、船舶安全法、航空法、海洋汚染防止法

(6) タリウム及びその化合物

① CAS No:7440―28―0

② 化学式:Tl

③ 別名:―

④ 物性:帯青白色から黒色の非常に柔らかい個体。不溶性の重金属。

⑤ 主な用途:試薬、光学レンズ、殺鼠剤、合金原料

⑥ 許容濃度:

日本産業衛生学会:未設定(2012年版)

ACGIH:TLV―TWA 0.02mg/m3(インハラブル粒子)(2012年版)

⑦ 関連法規:労働安全衛生法、PRTR法、船舶安全法、航空法

(7) テトラメチルチウラムジスルフィド

① CAS No:137―26―8

② 化学式:C6H12N2S4

③ 別名:チラム(Thiram)、チウラム(Thiuram)

④ 物性:無臭の白色粉末又は粒状。

⑤ 主な用途:農薬(麦類、タバコ、りんご、芝生の病害の殺菌剤)

⑥ 許容濃度:

日本産業衛生学会:0.1mg/m3(2012年版)

ACGIH:TLV―TWA 0.05mg/m3(2012年版)

⑦ 関連法規:労働安全衛生法、化審法、PRTR法、船舶安全法、航空法、水質汚濁防止法、土壌汚染対策法

(8) N―(トリクロロメチルチオ)―1,2,3,6―テトラヒドロフタルイミド

① CAS No:133―06―2

② 化学式:C9H8Cl3NO2S

③ 別名:キャプタン

④ 物性:白色結晶

⑤ 主な用途:殺菌剤、石けんの殺菌剤

⑥ 許容濃度:

日本産業衛生学会:未設定(2012年版)

ACGIH:TLV―TWA 5mg/m3(2012年版)

⑦ 関連法規:労働安全衛生法

(9) 二亜硫酸ナトリウム

① CAS No:7681―57―4

② 化学式:Na2O5S2

③ 別名:

メタ重亜硫酸ナトリウム(Sodium metabisulfite)

ピロ亜硫酸二ナトリウム(Disulfurous acid,disodium salt)

重亜硫酸ソーダ(Sodium acid sulfite)

④ 物性:亜硫酸ガス臭のある白色結晶又は粉末、単斜結晶系

⑤ 主な用途:皮革(タンニン溶解剤)、食品(加工食品の漂白、保存剤)、染料及び中間物精製、写真(定着補助剤)、還元剤、漂白剤、廃液処理剤、洗剤、香料、試薬、医薬

⑥ 許容濃度:

日本産業衛生学会:未設定(2012年版)

ACGIH:TLV―TWA 5mg/m3(2012年版)

⑦ 関連法規:労働安全衛生法

(10) ニッケル及びその化合物

① CAS No:7440―02―0

② 化学式:Ni

③ 別名:―

④ 物性:白銀色の金属

⑤ 主な用途:特殊鋼、鋳鍛鋼品、合金ロール、電熱線、電気通信機器、洋白、メッキ

⑥ 許容濃度:

日本産業衛生学会:1mg/m3(2012年版)

ACGIH:TLV―TWA 1.5mg/m3(インハラブル粒子)(2012年版)

⑦ 関連法規:労働安全衛生法、PRTR法、船舶安全法、航空法

(11) ヒドロキノン

① CAS No:123―31―9

② 化学式:C6H6O2

③ 別名:

1,4―ジヒドロキシベンゼン(1,4―Dihydrokybenzene)

1,4―ベンゼンジオール(1,4―Benzenediol)

ヒドロキノール(Hydroquinol)、キノール(Quinol)

④ 物性:白色針状結晶で昇華性がある。

⑤ 主な用途:写真現像薬、ゴム薬品、染料中間物、有機合成(アブロール)還元剤、メトールの原料、有機化合物の重合防止剤

⑥ 許容濃度:

日本産業衛生学会:未設定(2012年版)

ACGIH:TLV―TWA 1mg/m3(2012年版)

⑦ 関連法規:労働安全衛生法、PRTR法、船舶安全法、航空法

(12) 1―ブロモプロパン

① CAS No:106―94―5

② 化学式:C3H7Br

③ 別名:ノルマル―プロピルブロミド(n-Propyl bromide)

④ 物性:無色の液体

⑤ 主な用途:医薬・農薬原料

⑥ 許容濃度:

日本産業衛生学会:0.5ppm(2012年版)

ACGIH:TLV―TWA 10ppm(2012年版)

⑦ 関連法規:労働安全衛生法、PRTR法、消防法、船舶安全法、航空法、大気汚染防止法

(13) 2―ブロモプロパン

① CAS No:75―26―3

② 化学式:C3H7Br

③ 別名:イソプロピルブロマイド

④ 物性:無色透明の液体

⑤ 主な用途:医薬中間体、農薬中間体、感光剤中間体

⑥ 許容濃度:

日本産業衛生学会:1ppm 5mg/m3(2012年版)

ACGIH:未設定(2012年版)

⑦ 関連法規:労働安全衛生法、PRTR法、消防法、船舶安全法、航空法

(14) ヘキサヒドロ―1,3,5―トリニトロ―1,3,5―トリアジン

① CAS No:121―82―4

② 化学式:C3H6N6O6

③ 別名:シクロナイト

④ 物性:無色斜方系の結晶

⑤ 主な用途:高性能爆薬(主として防衛用、ごく少量が産業用)

⑥ 許容濃度:

日本産業衛生学会:未設定(2012年版)

ACGIH:TLV―TWA 0.5mg/m3(2012年版)

⑦ 関連法規:労働安全衛生法、PRTR法、消防法、船舶安全法、航空法、火薬類取締法

(15) ペルオキソ二硫酸アンモニウム

① CAS No:7727―54―0

② 化学式:H8N2O8S2

③ 別名:過硫酸アンモニウム

④ 物性:無色から白色の個体

⑤ 主な用途:酸化漂白剤、樹脂重合剤、金属表面処理剤、食品添加物

⑥ 許容濃度:

日本産業衛生学会:未設定(2012年版)

ACGIH:TLV―TWA 0.1mg/m3(過硫酸塩として)(2012年版)

⑦ 関連法規:労働安全衛生法、PRTR法、水質汚濁防止法

(16) ペルオキソ二硫酸カリウム

① CAS No:7727―21―1

② 化学式:K2S2O8

③ 別名:過硫酸カリウム

④ 物性:無色または白色結晶

⑤ 主な用途:合成樹脂などの重合開始剤、酸化剤、漂白剤、写真薬、試薬の酸化剤(Mn、Crなど)、分析試薬

⑥ 許容濃度:

日本産業衛生学会:未設定(2012年版)

ACGIH:TLV―TWA 0.1mg/m3(過硫酸塩として)(2012年版)

⑦ 関連法規:労働安全衛生法、PRTR法

(17) ロジウム及びその化合物

① CAS No:7440―16―6

② 化学式:Rh

③ 別名:―

④ 物性:灰色から黒色の粉末

⑤ 主な用途:排ガス制御の触媒、めっき(ロジウムめっき)

⑥ 許容濃度:

日本産業衛生学会:0.001mg/m3(可溶性化合物、Rhとして)(2012年版)

ACGIH:

TLV―TWA 1mg/m3(金属及び不溶性化合物、Rhとして)

TLV―TWA 0.01mg/m3(可溶性化合物、Rhとして)(2012年版)

⑦ 関連法規:労働安全衛生法、消防法、船舶安全法、航空法