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労災保険給付の請求が行われている場合の健康保険の給付申請の取扱いについて
平成24年6月20日事務連絡
(健康保険組合宛て厚生労働省保険局保険課通知)
健康保険法(大正11年法律第70号)では、保険給付は、労働者等の業務外の事由による疾病、負傷等に対するものに行うこととされており、労働者の業務上の事由(通勤を含む。以下同じ。)による疾病、負傷等は保険給付の対象にはなりません。
しかしながら、労働者が自己の疾病、負傷等が業務上の事由によるものであるか判断がつかない場合、労働者災害補償保険法(昭和22年法律第50号)に基づく労働者災害補償保険(以下「労災保険」という。)給付の請求を行った後、労災保険給付に関する決定がされるまでの間に、健康保険の保険者に対し、「療養費」、「傷病手当金」等の保険給付を請求する事例があります。
また、保険者が保険給付の請求を受理しなかったために、労災保険給付が不認定となった時に、時効により健康保険の保険給付の請求権が消滅してしまう事例もあります。
このため、労災保険給付の請求が行われている場合の健康保険の給付申請の取扱いについて、下記のとおり示しますので、事務の実施に当たってご留意いただきますようお願い申し上げます。
記
1.保険給付申請の取扱いについて
(1) 健康保険は、業務外の疾病や負傷等に対して保険給付を行い、労災保険は、業務上の疾病や負傷等に対し保険給付を行います。その条件に当てはまるかどうかは、それぞれの保険者が自らの判断により行うものであるため、労災保険の認定が確定していないことを理由に、健康保険の保険給付の申請を受理しないことは認められないことになります。
(2) 業務上の疾病、負傷にあたるかどうかは特に慎重な判断を要するため、健康保険の保険給付の申請を受理し、労災保険の認定の確定を待つまでの間は、保険者が定める標準処理期間(※)には含まれないものと取扱って差し支えありません。
※「行政手続法の施行に伴う事務取扱いについて(平成14年11月5日保保発第1105003号)」を参照。
2.消滅時効の起算点について
(1) 1のとおり、労災保険給付の請求が行われている場合であっても、健康保険の被保険者は、健康保険の保険者に保険給付の申請を行うことが可能です。
したがって、健康保険の保険給付を受ける権利は、その疾病や負傷が業務上の災害に当たるかどうかの最終的な決定が行われているかどうかにかかわらず、2年を経過したときに時効によって消滅します。
この権利の時効は、「療養費」については、それを行使しうるに至った日の翌日から起算され、「傷病手当金」については、労務不能であった日ごとにその翌日から起算されます。
(2) ただし、健康保険の給付の請求を保険者が合理的な理由もなく受理しなかったなどの場合には、被保険者の保険給付を求める権利の行使を妨げる特別な事情があったと認められるため、(1)の限りではありません。
3.その他
労災保険給付の請求が行われている場合であっても、結果として業務上の事由であると認められない事例があることから、健康保険の保険者は、健康保険給付の申請を行うことが可能であることを被保険者に周知することに努められるようお願い申し上げます。