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通達:沖縄の復帰前に労働者災害補償の適用を受けていた米軍関係労働者に係る石綿による健康被害の救済に関する法律の適用について

 

沖縄の復帰前に労働者災害補償の適用を受けていた米軍関係労働者に係る石綿による健康被害の救済に関する法律の適用について

平成23年8月26日基労発0826第1号

(都道府県労働局長あて厚生労働省労働基準局労災補償部長通知)

 

沖縄が昭和47年に我が国に復帰する前に、労働者災害補償(1961年高等弁務官布令第42号。以下「布令第42号」という。)の適用を受けていた沖縄の米軍関係労働者(以下「米軍関係労働者」という。)については、復帰前の労働災害に係る災害補償に関しては、琉球諸島及び大東諸島に関する日本国とアメリカ合衆国との間の協定(昭和47年条約第2号)等に基づき、布令第42号による補償が行われることとされており、労働者災害補償保険法(昭和22年法律第50号。以下「労災保険法」という。)に基づく保険給付は請求できないこととされている。

したがって、復帰前に石綿関連作業に従事したことで石綿関連疾病を発症し、これにより死亡した米軍関係労働者(以下「死亡復帰前労働者」という。)の遺族は、布令第42号により補償を受ける権利を有するが、長期の潜伏期間があるという石綿関連疾病の特殊性に鑑みれば、当該権利を有する者の中には、権利を行使することなく時効により権利を失う者がいることも想定されるところである。

この課題について、沖縄の特殊な歴史的経緯、さらには、石綿による健康被害の隙間のない救済を図るという石綿による健康被害の救済に関する法律(平成18年法律第4号。以下「石綿救済法」という。)の趣旨を踏まえ検討を行った結果、復帰前後で沖縄米軍基地における労働者の就業実態が同一であるといえること、復帰前に米国の事情による大量解雇があったこと等を考慮すれば、死亡復帰前労働者の遺族についても、石綿救済法第2条第2項に規定する死亡労働者等の遺族と同様に救済を行う必要があると考えられることから、下記のとおり取り扱うこととしたので、遺漏なきを期されたい。

 

1 復帰前の沖縄米軍基地において、石綿関連作業に従事することにより、石綿救済法第2条第2項に規定する指定疾病又は厚生労働省関係石綿による健康被害の救済に関する法律施行規則(平成18年厚生労働省令第39号)第2条に規定する対象疾病にかかり、これにより、石綿救済法の施行の日の前日(平成18年3月26日)までに死亡した者を、石綿救済法第2条第2項の「死亡労働者等」に含めることとし、その遺族のうち、布令第42号に基づく請求権を時効により失った者を特別遺族給付金の支給対象とすること。

また、石綿による健康被害の救済に関する法律の一部を改正する法律(法律番号未定。以下「改正法」という。)が本日成立し、石綿救済法第2条第2項が改正されたことに伴い、改正法の施行後(改正法の公布日から施行されることとされている。)は、復帰前の沖縄米軍基地において、石綿関連作業に従事することにより、石綿救済法第2条第2項に規定する指定疾病又は厚生労働省関係石綿による健康被害の救済に関する法律施行規則第2条に規定する対象疾病にかかり、これにより、石綿救済法の施行の日から10年を経過する日の前日(平成28年3月26日)までに死亡した者を、石綿救済法第2条第2項の「死亡労働者等」に含めることとし、その遺族のうち、布令第42号に基づく請求権を時効により失った者を特別遺族給付金の支給対象とすること。

なお、布令第42号に基づく請求権は、米軍関係労働者のうち、米国政府又はその機関の被用者にあっては死亡後1年で、それ以外の者にあっては死亡後2年で時効により消滅すること。

2 対象疾病の認定に当たっては、従来どおり、平成18年3月17日付け基発第0317010号「特別遺族給付金に係る対象疾病の認定について」に基づき行うこと。

3 本措置は、あくまで石綿救済法第2条第2項の「死亡労働者等」の取扱いを変更するものであり、労災保険法その他の労働基準関係法令の取扱いを変更するものではないこと。