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外貌の醜状障害に関する障害等級認定基準について
平成23年2月1日基発0201第2号
(都道府県労働局長あて厚生労働省労働基準局長通知)
外貌の醜状障害に係る労働基準法施行規則及び労働者災害補償保険法施行規則の一部を改正する省令(平成23年厚生労働省令第13号)の施行については、平成23年2月1日付け基発0201第1号(以下「施行通達」という。)をもって通達したところであるが、今般、平成22年11月に報告のあった「外ぼう障害に係る障害等級の見直しに関する専門検討会」の検討結果を踏まえ、昭和50年9月30日付け基発第565号別冊「障害等級認定基準」(以下「基本通達」という。)の「第2 障害等級認定の具体的要領」の「6 頭部、顔面、頸部(上肢及び下肢の醜状を含む。)」に係る部分を削除し、別紙「外貌(上肢及び下肢の醜状を含む。)の醜状障害に関する障害等級認定基準」(以下「改正認定基準」という。)に改めるとともに、基本通達の一部を改正することとしたので、下記に留意の上、その事務処理に遺漏なきを期されたい。
記
1 改正の趣旨
今般の改正は、障害等級表上、新たに「外貌に相当程度の醜状を残すもの」が定められるなど、外貌の醜状障害に係る障害等級表が改正されたことに伴う新たな判断基準を示すとともに、露出面の醜状障害に係る準用の取扱いを示したほか、用語及び例示等について必要な修正を行ったものである。
2 基本通達について
基本通達のうち、「第1 障害等級認定に当たっての基本的事項」については、別紙改正認定基準に基づく障害等級の認定を行うに当たっても、引き続き適用があること。
3 基本通達の一部改正
(1) 基本通達中、「外ぼう」を「外貌」に改める。
(2) 基本通達第2の2の(2)のロの(ロ)の例中、「女子について」を削除する。
(3) 基本通達第2の2の(2)のロの(ハ)中、「男子については第14級の10、女子については」を削除する。
(4) 基本通達第2の3の(2)のロ中、「男子にあっては第14級の10、女子にあっては」を削除する。
(5) 基本通達第2の3の(2)のハの例中、「女子が」を削除する。
4 施行日等について
本認定基準は平成23年2月1日以降に支給事由が生じたものについて適用する。
ただし、上記にかかわらず、改正前の障害等級表第12級第13号又は第14級第10号に該当し、平成22年6月10日以降に障害(補償)給付の支給決定を受けた者又は受ける者については、当該障害に係る障害(補償)給付の支給事由が生じた日から本認定基準を適用する。
(別紙)
外貌(上肢及び下肢の醜状を含む。)の醜状障害に関する障害等級認定基準
第1 醜状障害と障害等級
1 醜状障害については、障害等級表上、次のごとく、外貌の醜状障害及び露出面の醜状障害について等級を定めている。
(1) 外貌の醜状障害
外貌に著しい醜状を残すもの 第7級の12
外貌に相当程度の醜状を残すもの 第9級の11の2
外貌に醜状を残すもの 第12級の14
(2) 露出面の醜状障害
上肢の露出面にてのひらの大きさの醜いあとを残すもの 第14級の3
下肢の露出面にてのひらの大きさの醜いあとを残すもの 第14級の4
2 外貌及び露出面以外の部分の醜状障害(以下「露出面以外の醜状障害」という。)については、障害等級表上定めがないので、労災則第14条第4項により、準用等級を定めること。
第2 障害等級認定の基準
1 外貌の醜状障害
(1) 「外貌」とは、頭部、顔面部、頸部のごとく、上肢及び下肢以外の日常露出する部分をいう。
(2) 外貌における「著しい醜状を残すもの」とは、原則として、次のいずれかに該当する場合で、人目につく程度以上のものをいう。
① 頭部にあっては、てのひら大(指の部分は含まない。以下同じ。)以上の瘢痕又は頭蓋骨のてのひら大以上の欠損
② 顔面部にあっては、鶏卵大面以上の瘢痕又は10円銅貨大以上の組織陥没
③ 頸部にあっては、てのひら大以上の瘢痕
(3) 外貌における「相当程度の醜状」とは、原則として、顔面部の長さ5センチメートル以上の線状痕で、人目につく程度以上のものをいう。
(4) 外貌における単なる「醜状」とは、原則として、次のいずれかに該当する場合で、人目につく程度以上のものをいう。
① 頭部にあっては、鶏卵大面以上の瘢痕又は頭蓋骨の鶏卵大面以上の欠損
② 顔面部にあっては、10円銅貨大以上の瘢痕又は長さ3センチメートル以上の線状痕
③ 頸部にあっては、鶏卵大面以上の瘢痕
(5) 障害補償の対象となる外貌の醜状とは、人目につく程度以上のものでなければならないから、瘢痕、線状痕及び組織陥没であって眉毛、頭髪等にかくれる部分については、醜状として取り扱わないこと。
(例 眉毛の走行に一致して3.5センチメートルの縫合創痕があり、そのうち1.5センチメートルが眉毛にかくれている場合は、顔面に残った線状痕は2センチメートルとなるので、外貌の醜状には該当しない。)
(6) 顔面神経麻痺は、神経系統の機能の障害ではあるが、その結果として現われる「口のゆがみ」は単なる醜状として、また閉瞼不能は眼瞼の障害として取り扱うこと。
(7) 頭蓋骨のてのひら大以上の欠損により、頭部の陥没が認められる場合で、それによる脳の圧迫により神経症状が存する場合は、外貌の醜状障害に係る等級と神経障害に係る等級のうちいずれか上位の等級により認定すること。
(8) 眼瞼、耳介及び鼻の欠損障害については、これらの欠損障害ついて定められている等級と外貌の醜状に係る等級のうち、いずれか上位の等級により認定すること。
なお、耳介及び鼻の欠損障害に係る醜状の取扱いは、次によること。
① 耳介軟骨部の1/2以上を欠損した場合は、「著しい醜状」とし、その一部を欠損した場合は、単なる「醜状」とする。
② 鼻軟骨部の全部又は大部分を欠損した場合は、「著しい醜状」とし、その一部又は鼻翼を欠損した場合は、単なる「醜状」とする。
(9) 2個以上の瘢痕又は線状痕が相隣接し、又は相まって1個の瘢痕又は線状痕と同程度以上の醜状を呈する場合は、それらの面積、長さ等を合算して等級を認定すること。
(10) 火傷治ゆ後の黒褐色変色又は色素脱失による白斑等であって、永久的に残ると認められ、かつ、人目につく程度以上のものは、単なる「醜状」として取り扱うこと。その場合、その範囲は、当然前記(4)に該当するものであること。
2 露出面の醜状障害
(1) 上肢又は下肢の「露出面」とは、上肢にあっては、ひじ関節以下(手部を含む。)、下肢にあっては、ひざ関節以下(足背部を含む。)をいう。
(2) 「2個以上の瘢痕又は線状痕」及び「火傷治ゆ後の黒褐色変色又は色素脱失による白斑等」に係る取扱いについては、外貌における場合と同様である。
第3 併合、準用、加重、その他
1 併合
次に掲げる場合においては、労災則第14条第2項及び第3項により併合して等級を認定すること。
(1) 外貌の醜状障害と露出面の醜状障害が存する場合
(2) 外貌の醜状障害と露出面以外の醜状障害が存する場合
(例 頭部に第12級、背部に第12級相当の醜状障害がある場合は、これらを併合して、併合第11級に認定する。)
(3) 上肢の露出面の醜状障害と下肢の露出面の醜状障害が存する場合
(4) 外傷、火傷等のための眼球亡失により、眼部周囲及び顔面の組織陥没、瘢痕等を生じた場合は、眼球亡失に係る等級と瘢痕等の醜状障害に係る等級を併合して、等級を認定すること。
(例 1眼及び眉毛を亡失し(第8級の1)、その周囲の組織陥没が著しい(第7級の12)場合は、それらを併合して併合第5級とする。)
2 準用
次に掲げる場合においては、労災則第14条第4項により、準用して等級を認定すること。
(1) 露出面の醜状障害については、両上肢又は両下肢にあっては露出面の2分の1程度以上に醜状を残すものは、第12級を準用する。
(2) 露出面以外の醜状障害については、次により準用等級を定めること。
① 両上腕又は両大腿にあってはほとんど全域、胸部又は腹部にあっては各々の全域、背部及び臀部にあってはその全面積の1/2程度をこえるものは、第12級を準用する。
② 上腕又は大腿にあってはほとんど全域、胸部又は腹部にあってはそれぞれ各部の1/2程度、背部及び臀部にあってはその全面積の1/4程度をこえるものは、第14級を準用する。
3 加重
次に掲げる場合においては、労災則第14条第5項により、加重として取り扱うこと。
(1) 既に、外貌に醜状障害が存していた者が、その程度を加重した場合
(2) 既に、上肢又は下肢の露出面に醜状障害が存していた者が、その程度を加重した場合
(3) 既に、露出面以外の醜状障害が存していた者が、その程度を加重した場合
4 その他
上肢又は下肢の露出面の醜状障害と露出面以外の醜状障害が存する場合若しくは2以上の露出面以外の醜状障害が存する場合(たとえば胸部全域と上腕全域にわたる瘢痕)については、おのおの該当する等級のうち、いずれか上位の等級により認定すること。