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労災保険関係の書類等のリスク評価に基づく対策の留意点について
平成22年12月27日基労補発1227第3号
(都道府県労働局総務部(労働保険徴収部)長・労働基準部長あて厚生労働省労働基準局労災補償部補償課長通知)
標記のことについては、平成22年12月27日付け基労発第1号「労災保険関係書類等のリスク評価に基づく対策の導入について」(以下「部長通達」という。)により指示されたところであるが、その留意点については以下のとおりであるので、遺漏なきよう取り扱われたい。
記
1 リスク評価に基づく文書の分類
(1) 部長通達記の1(2)アについて
「重要度が最高の書類等」とは、個人情報が保存された外部電磁的記録媒体(外付けハードディスク、USBメモリ、CD―ROM、FD等)が該当する。
(2) 部長通達記の1(2)イについて
「重要度が高い書類等」とは、口座情報を含む各種労災保険給付の請求書(療養、休業、障害、遺族、介護等)、各種社会復帰促進等事業の申請書(義肢等補装具、アフターケア通院費等)、第三者行為災害届・報告書及び特別加入申請書、変更届、脱退申請書等の紙媒体の書類が該当する。
(3) 部長通達記の1(2)ウについて
「重要度が普通の書類等」とは、個人の口座情報及び診療情報、不法行為の情報等機密性の高い情報が含まれていない調査復命書、聴取書、各種添付書類等が該当する。
(4) その他
請求書及び申請書は全て重要度が高い書類等に分類されるが、その他の書類等について重要度が高い書類等又は重要度が普通の書類等のどちらに該当するか判断に迷う場合には、より重要度の高い分類に分類すること。
2 漏えいが起きた場合の措置
庁舎内で労災関係書類等が見あたらない等の事態が発生した場合で、通常の執務時間内の捜索によって発見できないときには、部長通達記の1(6)の紛失に該当するものとして取り扱うこと。
なお、漏えいが起きた場合は、原則として当日内に報告することとし、補償課における報告先窓口は、業務係とする。
3 管理方策について
遵守すべき事項は部長通達において示しているとおりであるが、過去に発生した情報漏えいの実例及び再発防止対策(別添)を踏まえて、書類等の受理・作成から保存・廃棄までの留意点等を段階別に示すので、以下の事項も踏まえて事務処理を行うこと。
(1) 重要度が最高の書類等
ア 受理・作成
① 部長通達記の2(1)ア②において、電子的に保存する重要な情報は、やむを得ない場合を除き、外部電磁的記録媒体へ保存しないこととしているが、やむを得ない場合とは、汎用パソコン等で作成したデータを外部電磁的記録媒体に一旦保存し、労災行政情報管理システムへ移動させる作業等をいう。この場合であっても外部電磁的記録媒体へ保存する際にはファイル又はフォルダにパスワード設定を行い、データ移動作業完了後は速やかに外部電磁的記録媒体に保存された個人情報を消去すること。
② 受理・作成した際に作成する管理簿は、部長通達記の1(3)に定める管理者又はその補助者が管理を行うこと。
③ 上記②により管理されていない個人所有の外部電磁的記録媒体には、個人情報を含むデータを保存しないこと。
イ 処理・加工・移動
① 保管庫は、管理者又はその補助者が、業務開始時に保管状況の確認を行い、業務終了時には保管状況を確認した上で施錠すること。
② 部長通達通達記の2(2)イ②の一覧でわかる措置とは、例えばあらかじめ外部電磁的記録媒体に番号を振り出し番号順に所定の保管位置を定める等、保管状況が一目でわかるように保管することがあげられる。
ウ 保存・廃棄
廃棄する際は、原則として、保存された情報を消去の上、復元ができないよう細断機により細断処理又は破壊処理を行うこと。
(2) 重要度が高い書類等及び普通の書類等
ア 受理・作成
重要度が高い書類等のうち請求書又は申請書を受理した際には、当日にシステム入力ができるものを除き、受付の事跡を残した上で、所定の場所に保管すること。
イ 処理・加工・移動
① 処理中の書類の保管は、1事案1ファイルとする等、複数の書類が混在しないようにすること。
② 過去に作成したデータを再利用して文書を作成する際には、上書きをするのではなく、作業開始前にデータの中で個人情報となるものをすべて消去した上で加工を行い、必ず決裁等の中で消去漏れ等がないか確認をすること。
③ 緊急かつPDF化できない等のやむを得ない理由で個人情報を含む書類等をファクシミリで送信する際には、管理者又は補助者が立ち会いの下、宛先を確認した上で送信すること。
④ 個人情報が記載された書類を郵送する際には、複数名で宛先と内容物を確認すること。
⑤ 労災指定医療機関等の番号で情報を管理しているものについては、郵送のための封入時に上記④の確認を行うに当たり、当該番号だけでなく、医療機関の名称等を記載した書面によって送付すべき宛先が正しいか確認すること。
また、特別加入関係書類についても、労働保険番号だけでなく、必ず事務組合等の名称を確認した上で送付すること。
ウ 保存・廃棄
① 書類を細断機で細断処理する際には、まとめて処理するのではなく、書類を1枚ずつ確認を行った上で行うこと。
② 個人情報が記載された書類等はメモ用紙等に再利用することなく廃棄すること。