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通達:船員保険制度の統合に伴う特別加入に関する取扱いの詳細について

 

船員保険制度の統合に伴う特別加入に関する取扱いの詳細について

平成21年12月28日基労補発1228第1号

(都道府県労働局総務部長・都道府県労働局労働基準部長あて厚生労働省労働基準局労災補償部補償課長通知)

 

雇用保険法等の一部を改正する法律(平成19年法律第30号。以下「改正法」という。)の一部の施行による船員保険との統合時における特別加入手続の取扱いについては、平成21年12月28日付け基発1228第4号(以下、「局長通達」という。)をもって示されたところであるが、その運用に当たっては下記の事項に留意されたい。

 

1 中小事業主等

(1) 労働者数の判断に係る留意点

中小事業主等とは、その使用する労働者の総数が常時300人(金融業、保険業、不動産業又は小売業にあっては50人、卸売業又はサービス業にあっては100人)以下の労働者を使用する事業主であるが、船員法(昭和22年法律第100号)第1条に規定する船員を使用して行う船舶所有者(船員保険法(昭和14年法律第73号)第3条に規定する場合にあつては、同条の規定により船舶所有者とされる者)の事業(以下「船舶所有者の事業」という。)のほかに労働者を使用する事業を営む事業主にあっては、各事業で使用する労働者数を合計し、事業全体としての労働者数によって中小事業主等に当たるか否かの判断を行うこと。

例えば、漁業の場合、個々の事業の使用労働者数が常時300人以下であっても、事業全体の労働者数が常時300人を超えるときは、中小事業主等に当たらない。

(2) 事業の業種を判断する上での留意点

金融業、保険業、不動産業、卸売業、小売業又はサービス業等の業種の区分については日本標準産業分類によること。また、2以上の異種事業を行う事業主にあっては、それぞれの事業に使用する労働者数により、いずれの業種に該当するかの判断を行うこと。

(3) 複数の事業を営む特別加入者の承認に当たっての留意点

中小事業主等の特別加入については、当該事業に係る保険関係を基礎として認められているものであるため、複数の事業を行う事業主が、いずれの事業においても特別加入することを希望する場合、それぞれの保険関係ごとに特別加入の手続が必要となること。

例えば、船員法の適用を受ける船舶及び受けない船舶の両方により事業を行い、いずれの事業においても特別加入を希望する場合には、両方の事業についてそれぞれ特別加入の手続を行う必要がある。

(4) 書類の受理等

平成21年中に特別加入申請書が窓口に提出された場合の取扱いは以下のとおりとすること。

ア 特別加入申請書の労働保険番号については空欄であっても受理し、平成22年1月1日以降に当該事業場の保険関係が成立した時点で、労働保険番号を記入し承認の手続を行うこと。

イ 提出された書類に労働保険番号が空欄である以外の不備があった場合は、受付印の押印を行い、不備となっている箇所について説明を行った上で、書類を全部返却し、再度提出するよう指導すること。書類返却の際には書類のコピーを取得して不備返戻簿に記載し、補正に要する時間を勘案の上文書により督促を行い、その事跡を残しておくこと。

ウ 上記の返戻手続を行った申請書について、不備箇所が修正された書類が提出された場合、最初に受付印を押印した日をもって申請があったものとして取り扱うこと。

2 一人親方等

(1) 特別加入団体の事業に係る留意点

「船員法第1条に規定する船員が行う事業」には、事業の実態として漁業、貨物運輸業、旅客船事業等の様々な事業が含まれることとなるが、実態の業種ごとに区分することなく、構成員が現在の船員保険法の被保険者である事業は、すべて当該事業として取り扱うこと。

このため、特別加入の申請がなされた団体の構成員が異なる職種の者であっても、構成員が船員法第1条に規定する船員である場合、「船員法第1条に規定する船員が行う事業」に従事する団体に該当する。

(2) 特別加入団体の承認に係る留意点

特別加入団体の承認に関する要件については、以下のとおりとすること。

ア 局長通達において、制度移行時の特例として、加入申請時には構成員が1名であったとしても、複数名の加入を排除していないと認められる場合には特別加入団体として承認して差し支えないとされたところであるが、複数名の加入を排除していないと認められる場合とは次の2つの要件をすべて満たす場合をいう。

① 定款又は規約等の内容が当該団体に複数の者の加入が予定されているものであると認められること。

② 代表者が今後構成員が複数名となるよう努める旨の誓約をしていること。

イ 船員に関しては、船員労働安全衛生規則(昭和39年運輸省令第53号)により、危害の防止及び船内衛生の保持に関し、船舶所有者のとるべき措置及びその基準並びに船員の遵守するべき事項が規定されているため、労働者災害補償保険法施行規則(昭和30年労働省令第22号)第46条の23第3項の改正を行い、「業務災害の防止に関する措置及び事項の内容を記載した書類」の提出は不要としたこと。

ウ 特別加入団体の地区に関しては、当該団体の地区がその主たる事務所の所在地を中心として労働保険の保険料の徴収等に関する法律施行規則(昭和47年労働省令第8号)第6条第2項第4号に定める区域を超えるものであっても原則として当該所在地のブロック内であれば承認を行って差し支えないこととしているが、ブロックとは以下のとおりである。

なお、当該ブロックを超える範囲での申請があった場合、本省に協議すること。

ブロック

都道府県

北海道

北海道

東北

青森県、岩手県、宮城県、秋田県、山形県、福島県

関東

東京都、神奈川県、茨城県、栃木県、群馬県、埼玉県、千葉県、山梨県

北陸

新潟県、富山県、石川県、福井県

中部

長野県、岐阜県、静岡県、愛知県、三重県

関西

滋賀県、和歌山県、京都府、大阪府、兵庫県、奈良県

中国

鳥取県、島根県、岡山県、広島県、山口県

四国

徳島県、香川県、愛媛県、高知県

九州

福岡県、佐賀県、長崎県、熊本県、大分県、宮崎県、鹿児島県、沖縄県

エ 事業内容等を確認するために、団体の承認申請の際に添付することを義務付けている定款、規約の様式を参考までに別途示すので、活用すること。

(3) 複数の事業を営む一人親方等の承認に当たっての留意点

「船員法第1条に規定する船員が行う事業」のほかに、「漁船による水産動植物の採補の事業」を行っている者が両方の事業について特別加入を希望する場合は、それぞれ「船員法第1条に規定する船員が行う事業」及び「漁船による水産動植物の採補の事業」について特別加入の手続が必要となること。

(4) 書類の受理等

平成21年中に特別加入申請書が労働基準監督署に提出された場合、受付印を押印し、控を返却すること。

なお、不備があった場合及び不備修正後に再度提出された場合の取扱いについては、上記1の(4)と同様である。

3 周知・広報について

労働局においては、管内の全船舶所有者や労働保険事務組合等に対し、特別加入の制度の概要等について十分に周知を行うこと。

局長通達で示されたように、改正法の施行後の船員保険からの上乗せ支給を受けるには労災保険から給付を受けていることが必要とされているため、船員保険の被保険者たる船舶所有者については個別に周知等を行い、平成21年中にもれなく手続が行われるよう特段の努力を払うこと。

なお、その際に周知や指導を行った船舶所有者ごとに周知の実績等の記録を残すこと。

また、中小事業主等の特別加入に関しては労働保険事務組合への事務委託が必要となるため、新たに労働保険事務組合の許認可申請を行う組合だけでなく、既存の労働保険事務組合に対しても制度の統合に関する周知を行うこと。

なお、周知に当たっては、特別加入制度の加入は任意であるものの、改正法の施行後の船員保険法における上乗せ支給の取扱いを踏まえると、加入が強く推奨されることを説明する必要があることから、労働局労災補償課と労働保険徴収課室との共催の説明会の実施や労働保険徴収課室の説明に労働局労災補償課が同行する等、関係部署と連携して行うこと。