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通達:労働基準法第36条第1項の協定で定める労働時間の延長の限度等に関する基準の一部を改正する告示の適用について

 

労働基準法第36条第1項の協定で定める労働時間の延長の限度等に関する基準の一部を改正する告示の適用について

平成15年10月22日基発第1022003号

(都道府県労働局長あて厚生労働省労働基準局長通知)

 

労働基準法第36条第1項の協定で定める労働時間の延長の限度等に関する基準の一部を改正する告示(平成15年厚生労働省告示第355号。以下「改正告示」という。)が本日公示され、平成16年4月1日から適用されることとされたところであるが、その改正の経緯、趣旨及び内容等については、下記のとおりであるので、了知の上、その円滑な施行に遺漏なきを期されたい。

なお、周知に当たっては、別途リーフレットを作成し送付することとしているので、有効な活用を図られたい。

 

1 改正の経緯

労働基準法(以下「法」という。)第36条第1項の協定(労働時間の延長に係るものに限る。以下「時間外労働協定」という。)については、「労働基準法第36条第1項の協定で定める労働時間の延長の限度等に関する基準」(平成10年労働省告示第154号。以下「限度基準」という。)及び「労働基準法の一部を改正する法律の施行について」(平成11年基発第45号。以下「平成11年局長通達」という。)等に基づき、指導を行ってきたところである。

使用者及び労働組合又は労働者の過半数を代表する者(以下「労使当事者」という。)は、時間外労働協定において一日を超える一定期間(以下「一定期間」という。)についての延長することができる時間(以下「一定期間についての延長時間」という。)を定めるに当たっては、限度基準別表第一の上欄に掲げる期間の区分に応じ、それぞれ同表の下欄に掲げる限度時間を超えないものとしなければならないとされているところであるが、限度時間以内の時間を一定期間についての延長時間の原則(以下「原則となる延長時間」という。)として定めた上で、限度時間を超えて労働時間を延長しなければならない特別の事情が生じたときに限り、一定期間として協定されている期間ごとに、労使当事者間において定める手続を経て、限度時間を超える一定の時間(以下「特別延長時間」という。)まで労働時間を延長することができる旨を協定すれば(この場合における協定を「特別条項付き協定」という。以下同じ。)、当該一定期間についての延長時間は限度時間を超える時間とすることができることとされているところである。

しかし、実際には、恒常的に特別条項付き協定に基づく時間外労働が行われている例が見られることから、平成14年12月26日の労働政策審議会建議において、「働き過ぎの防止の観点から、この「特別の事情」とは臨時的なものに限ることを明確にすることが必要である。」とされたことを踏まえ、平成15年9月8日から労働政策審議会労働条件分科会で検討され、同年9月22日の同分科会で了承されたものであること。

2 改正の趣旨

限度基準において、「特別の事情」とは臨時的なものに限ることを明確にすること。

3 改正の内容

(1) 「特別の事情」は、臨時的なものに限ることとすること。

この場合、「臨時的なもの」とは、一時的又は突発的に時間外労働を行わせる必要があるものであり、全体として1年の半分を超えないことが見込まれるものであって、具体的な事由を挙げず、単に「業務の都合上必要なとき」又は「業務上やむを得ないとき」と定める等恒常的な長時間労働を招くおそれがあるもの等については、「臨時的なもの」に該当しないものであること。

(2) 「特別の事情」は「臨時的なもの」に限ることを徹底する趣旨から、特別条項付き協定には、1日を超え3箇月以内の一定期間について、原則となる延長時間を超え、特別延長時間まで労働時間を延長することができる回数を協定するものと取り扱うこととし、当該回数については、特定の労働者についての特別条項付き協定の適用が1年のうち半分を超えないものとすること。

(3) 「特別の事情」については、できる限り詳細に協定を行い、届け出るよう指導すること。

(4) 提出された協定に回数の定めがない場合は、「特別の事情」が「臨時的なもの」であることが協定上明らかである場合を除き、限度基準に適合しないものとして必要な助言及び指導の対象となるものであること。

4 適用期日

改正告示は、平成16年4月1日から適用され、同日以後に時間外労働協定を締結する場合及び同日以前に締結された時間外労働協定を同日以後に更新する場合に適用されるものであること。

5 周知徹底

改正告示及び本通達については、特別条項付き協定の協定の仕方に関して労使に影響を与えるものであるので、平成16年4月1日からの円滑な施行に向けて、改正告示及び本通達の内容を広く使用者、使用者団体、労働者、労働団体等に対し、リーフレット等を活用して、時間外労働協定の受理時や各種集団指導等により十分周知すること。

6 通達の整理

平成11年局長通達を別紙のとおり改正することとしたこと。

これは、今回の告示の改正に伴い、所要の整理を行ったものであり、改正告示の適用期日以降については、本通達によるほか、本通達による改正後の平成11年局長通達によることとするので、その運用に遺漏なきを期されたいこと。

 

労働基準法の一部を改正する法律の施行について

(平成11年1月29日基発第45号)

改正後

現 行

第六時間外労働(法第三六条関係)

第六時間外労働(法第三六条関係)

1 趣旨

1 趣旨

2 限度基準

2 限度基準

(1) 業務区分の細分化

(1) 業務区分の細分化

(2) 一定期間の区分

(2) 一定期間の区分

(3) 一定期間についての延長時間の限度

(3) 一定期間についての延長時間の限度

ハ 一定期間についての延長時間は限度時間以内の時間とすることが原則であるが、弾力措置として、限度時間以内の時間を一定期間についての延長時間の原則(以下「原則となる延長時間」という。)として定めた上で、限度時間を超えて労働時間を延長しなければならない特別の事情が生じたときに限り、一定期間として協定されている期間ごとに、労使当事者間において定める手続を経て、限度時間を超える一定の時間(以下「特別延長時間」という。)まで労働時間を延長することができる旨を協定すれば(この場合における協定を「特別条項付き協定」という。以下同じ。)、当該一定期間についての延長時間は限度時間を超える時間とすることができることとしたものであること。

このような弾力措置を設けた理由は、事業又は業務の態様によっては、通常の時間外労働は限度時間以内の時間に収まるが臨時的に限度時間を超えて時間外労働を行わざるを得ない特別の事情が生ずることが予想される場合があるので、事業又は業務の運営に配慮するとともに、原則である限度時間の意義が失われることのないようにするためであること。

特別条項付き協定においては、「特別の事情」、「手続」、「特別延長時間」のそれぞれについてあらかじめ協定することを要件としていること。

ハ 一定期間についての延長時間は限度時間以内の時間とすることが原則であるが、弾力措置として、限度時間以内の時間を一定期間についての延長時間の原則(以下「原則となる延長時間」という。)として定めた上で、限度時間を超えて労働時間を延長しなければならない特別の事情が生じたときに限り、一定期間として協定されている期間ごとに、労使当事者間において定める手続を経て、限度時間を超える一定の時間(以下「特別延長時間」という。)まで労働時間を延長することができる旨を協定すれば(この場合における協定を「特別条項付き協定」という。以下同じ。)、当該一定期間についての延長時間は限度時間を超える時間とすることができることとしたものであること。

このような弾力措置を設けた理由は、事業又は業務の態様によっては、通常の時間外労働は限度時間以内の時間に収まるが臨時的に限度時間を超えて時間外労働を行わざるを得ない特別の事情が生ずることが予想される場合があるので、事業又は業務の運営に配慮するとともに、原則である限度時間の意義が失われることのないようにするためであること。

特別条項付き協定においては、「特別の事情」、「手続」、「特別延長時間」のそれぞれについてあらかじめ協定することを要件としていること。

(イ) 「特別の事情」は、時間外労働をさせる必要のある具体的事由の下において生ずる特別の事情をいうものであり、臨時的なものに限るものであるが、労使当事者が事業又は業務の態様等に即して自主的に協議し、可能な限り具体的に定める必要があること。

この場合、「臨時的なもの」とは、一時的又は突発的に時間外労働を行わせる必要があるものであり、全体として1年の半分を超えないことが見込まれるものであって、具体的な事由を挙げず、単に「業務の都合上必要なとき」又は「業務上やむを得ないとき」と定める等恒常的な長時間労働を招くおそれがあるもの等については、「臨時的なもの」に該当しないものであること。

「特別の事情」は「臨時的なもの」に限ることを徹底する趣旨から、特別条項付き協定には、1日を超え3箇月以内の一定期間について、原則となる延長時間を超え、特別延長時間まで労働時間を延長することができる回数を協定するものと取り扱うこととし、当該回数については、特定の労働者についての特別条項付き協定の適用が1年のうち半分を超えないものとすること。

提出された協定に回数の定めがない場合は、「特別の事情」が「臨時的なもの」であることが協定上明らかである場合を除き、限度基準に適合しないものとして必要な助言及び指導の対象となるものであること。

(イ) 「特別の事情」は、時間外労働をさせる必要のある具体的事由の下において生ずる特別の事情をいうものであり、労使当事者が事業又は業務の態様等に即して自主的に協議し、可能な限り具体的に定める必要があること。

なお、「特別の事情」には、法第三十三条の非常災害時等の時間外労働に該当する場合は含まれないこと。

なお、「特別の事情」には、法第三十三条の非常災害時等の時間外労働に該当する場合は含まれないこと。

(ロ) 労使当事者間において定める「手続」については特に制約はないが、時間外労働協定の締結当事者間の手続として労使当事者が合意した協議、通告その他の手続であること。

また、「手続」は、一定期間についての延長時間を定めた当該一定期間ごとに当該特別の事情が生じたときに必ず行わなければならず、所定の手続を経ることなく、原則となる延長時間を超えて労働時間を延長した場合は、法違反となるものであること。

なお、所定の手続がとられ、原則となる延長時間を超えて労働時間を延長する際には、その旨を届け出る必要はないが、労使当事者間においてとられた所定の手続の時期、内容、相手方等を書面等で明らかにしておく必要があること。

(ロ) 労使当事者間において定める「手続」については特に制約はないが、時間外労働協定の締結当事者間の手続として労使当事者が合意した協議、通告その他の手続であること。

また、「手続」は、一定期間についての延長時間を定めた当該一定期間ごとに当該特別の事情が生じたときに必ず行わなければならず、所定の手続を経ることなく、原則となる延長時間を超えて労働時間を延長した場合は、法違反となるものであること。

なお、所定の手続がとられ、原則となる延長時間を超えて労働時間を延長する際には、その旨を届け出る必要はないが、労使当事者間においてとられた所定の手続の時期、内容、相手方等を書面等で明らかにしておく必要があること。

(ハ) 「特別の事情」については、できる限り詳細に協定を行い、届け出る必要があること。

また、協定届においては「特別の事情」が特別延長時間まで労働時間を延長することができる要件である旨を明らかにする必要があること。

「手続」については、必ずしも詳細に届出を行う必要はないものであるが、協定届においては「手続」が特別延長時間まで労働時間を延長することができる要件である旨を明らかにし、その概要を記載する必要があること。

(ハ) 「特別の事情」及び「手続」については、必ずしも詳細に届出を行う必要はないものであるが、協定届においては「特別の事情」及び「手続」が特別延長時間まで労働時間を延長することができる要件である旨を明らかにし、特に「手続」についてはその概要を記載する必要があること。

(ニ) 「特別延長時間」については、限度となる時間は示されておらず、労使当事者の自主的協議にゆだねられていること。

また、「特別延長時間」については、一定期間についての延長時間として届出を行う必要があること。

(ニ) 「特別延長時間」については、限度となる時間は示されておらず、労使当事者の自主的協議にゆだねられていること。

また、「特別延長時間」については、一定期間についての延長時間として届出を行う必要があること。