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通達:賃金の支払の確保等に関する法律施行規則(退職手当の保全措置関係)の一部改正について

 

賃金の支払の確保等に関する法律施行規則(退職手当の保全措置関係)の一部改正について

平成七年一二月一日基発第七〇二号

(各都道府県労働基準局長あて労働省労働基準局長通達)

 

中小企業退職金共済法施行規則の一部を改正する省令(平成七年労働省令第三四号)は本年七月二八日に公布されたが、同省令附則第六条により賃金の支払の確保等に関する法律施行規則(昭和五一年労働省令第二六号。以下「規則」という。)の一部が改正され、本年一二月一日から施行されることとなった。

改正の内容は別添のとおりであるが、その運用については左記の事項に留意の上遺憾なきを期されたい。

なお、平成五年一二月一日付け基発第六六六号は、本年一一月三〇日限り廃止する。

 

一 改正の趣旨

(一) 賃金の支払の確保等に関する法律(昭和五一年法律第三四号。以下「法」という。)第五条により、中小企業退職金共済法(昭和三四年法律第一六〇号。以下「中退法」という。)第二条第三項に規定する退職金共済契約(以下「退職金共済契約」という。)を締結した事業主等一定の事業主を除き、退職手当制度を有する事業主に対し、退職手当に保全措置を講ずることが努力義務として課せられており、退職手当の保全措置を講ずべき額(以下「保全額」という。)については施行規則第五条に、退職手当の保全措置の方法については施行規則第五条の二にそれぞれ規定されていること。

規則第五条第二号は、退職金共済契約を締結した事業主には法第五条の規定が適用されないこととの均衡上、退職金共済契約の最低掛金月額に対応する中退法における退職金の額に相当する額を保全額の一つとしているものであり、当該最低掛金月額の改正に伴い、これまで数次の改正を行ってきたところであること。

(二) 今般、中小企業退職金共済法の一部を改正する法律(平成七年法律第六三号)により、平成七年一二月一日から退職金共済契約の最低掛金月額が五、〇〇〇円に引き上げられることとなったことに伴い、規則第五条第二号の改正を行うものであること。

二 規則第五条第二号に係る改正の内容等

(一) 規則第五条第二号の基本的考え方は、法が施行された昭和五二年四月一日以後、事業主がその使用する労働者につき中退法に定める最低掛金月額を納付したとした場合に中小企業退職金共済事業団(以下「事業団」という。)から支払われることとなる退職金額に相当する金額を保全額とするものであるが、今回の改正もこの基本的考え方に則り所要の措置を講じたものであること。

(二) 改正後の施行規則第五条第二号の内容は次のとおりであること。

イ 同号イは、昭和五五年一一月三〇日以前の日から使用されている労働者について、原則として、昭和五二年四月一日から昭和五六年一一月三〇日までの間は毎月八〇〇円の掛金、昭和五六年一二月一日から平成三年一一月三〇日までの間は毎月一、二〇〇円の掛金、平成三年一二月一日から平成五年一一月三〇日までの間は毎月三、〇〇〇円の掛金、平成五年一二月一日以後においては毎月四、〇〇〇円の掛金をそれぞれ納付したとした場合には事業団から支払われることとなる退職金の額の計算方法を示し、これを保全額としているものであること。

なお、平成七年一二月一日以後においては、平成五年一二月一日以後において四、〇〇〇円に増額された掛金の納付月数が二四未満となる労働者が存在しないことから、掛金納付月数が二四未満の労働者に関する規定を削除していること。

ロ 同号ロは、昭和五五年一二月一日から昭和六一年一一月三〇日までの間において新たに使用されることとなった労働者について、原則として昭和五五年一二月一日から平成三年一一月三〇日までの間は毎月一、二〇〇円の掛金、平成三年一二月一日から平成五年一一月三〇日までの間は毎月三、〇〇〇円の掛金、平成五年一二月一日以後においては毎月四、〇〇〇円の掛金をそれぞれ納付したとした場合に事業団から支払われることとなる退職金の額の計算方法を示し、これを保全額としているものであること。

なお、イと同様に掛金納付月数が二四未満の労働者に関する規定を削除していること。

ハ 同号ハは、昭和六一年一二月一日から平成三年一一月三〇日までの間において新たに使用されることとなった労働者(同号ヘに掲げる労働者を除く。)について、原則として昭和六一年一二月一日から平成五年一一月三〇日までの間は毎月三、〇〇〇円の掛金、平成五年一二月一日以後においては毎月四、〇〇〇円の掛金をそれぞれ納付したとした場合に事業団から支払われることとなる退職金の額の計算方法を示し、これを保全額としているものであること。

なお、イと同様に掛金納付月数が二四未満の労働者に関する規定を削除していること。

ニ 同号ニは、平成三年一二月一日から平成七年一一月三〇日までの間において新たに使用されることとなった労働者(同号ヘに掲げる労働者を除く。)について、原則として毎月四、〇〇〇円の掛金を納付したとした場合に事業団から支払われることとなる退職金の額の計算方法を示し、これを保全額としているものであること。

ホ 同号ホは、平成七年一二月一日以後において新たに使用されることとなった労働者(同号ヘに掲げる労働者を除く。)について、原則として毎月五、〇〇〇円の掛金を納付したとした場合に事業団から支払われることとなる退職金の額の計算方法を示し、これを保全額としているものであること。

ヘ 同号ヘは、平成三年四月一日以後において新たに使用されることとなった労働者であって、中小企業退職金共済法施行規則(昭和三四年労働省令第二三号)第二条第一号に規定する短時間労働者に該当するものについて、原則として毎月二、〇〇〇円の掛金を納付したとした場合に事業団から支払われることとなる退職金の額の計算方法を示し、これを保全額としているものであること。

(三) 退職手当の保全措置に関する部分の法の施行日である昭和五二年四月一日以後、中退法の一部改正による退職金共済契約の最低掛金月額の引上げは、昭和五五年一二月一日、昭和六一年一二月一日、平成三年一二月一日及び平成七年一二月一日に施行されているが、これらの中退法の一部改正に当たっては、経過措置として、改正法の施行日に現に締結されている退職金共済契約については、それぞれ昭和五六年一一月三〇日まで、平成三年一一月三〇日まで、平成五年一一月三〇日まで及び平成九年一一月三〇日までの間は従前の最低掛金月額とすることができることとされていることから、規則第五条第二号においても、それぞれの改正及びその際の経過措置を考慮した最低掛金月額によっているものであること。

(四) なお、平成二年の改正により、中退法第一〇条が改正され、付加退職金制度が導入されたが、同条に基づく退職金額の算定方法が適用される労働者についても、中小企業退職金共済法の一部を改正する法律(平成二年法律第三九号)附則第四条第一項第二号イに定める従前の退職金の額の算定方法により計算した退職金の額を保全額とすることとし、具体的には中小企業退職金共済法施行令の一部を改正する政令(平成三年政令第一四号。以下「平成三年改正中退令」という。)附則別表の第二欄を用いて算定することとしていることについては従来と同様であること。これは、付加退職金制度の導入がなされた中退法第一〇条における退職金の算定方法によると、使用されている期間が同一の労働者でも、年度により付加退職金額が異なることから、保全額が異なることとなり、不適当であること、また、保全額の算出が極めて複雑になることによるものであること。

(五) 中退法における退職金の額は、掛金納付月数が二四未満の場合においては、掛金の累積額の相当額を下回っていることから、労働者の勤続月数が二四未満の場合には、平成三年改正中退令附則別表によらず、当該勤続月数に応じた掛金の累積額の相当額を保全額とすることは従来と同様であること。