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通達:法令名

 

週四〇時間労働制への移行等労働時間制度等の改正の概要及び周知について

平成六年一月四日基発第二号

(各都道府県労働基準局あて労働省労働基準局長)

 

「労働基準法及び労働時間の短縮の促進に関する臨時措置法の一部を改正する法律の施行に伴う関係政令の整備に関する政令」及び「労働基準法第三七条第一項の時間外及び休日の割増賃金に係る率の最低限度を定める政令」は、平成五年一二月二四日の閣議決定を経て、「労働基準法施行規則の一部を改正する省令」とともに、平成六年一月四日に公布され(別紙政省令要綱参照)、週四〇時間労働制への移行等を内容とする「労働基準法及び労働時間の短縮の促進に関する臨時措置法の一部を改正する法律」(平成五年法律第七九号)の労働基準法改正部分と併せて平成六年四月一日から施行されることとされたところである。

その主な内容は下記の1のとおりであるので御了知の上、事業主等に事前に十分周知を図り、円滑な施行に万全を期すことが必要である。

そこで、標記について、下記の2により実施することとするので、各局においては地域の実情を考慮の上、効果的な実施を図られたい。

なお、都道府県知事及び都道府県婦人少年室長には、それぞれ別紙一及び二(略)のとおり、周知の実施について協力依頼を行う予定であるので申し添える。

 

1 改正労働基準法の関係政省令の主な内容

① 改正後の労働基準法(以下「法」という。)第一三一条第一項の命令で定める規模・業種の事業に係る法定労働時間については、次に掲げる事業について週四四時間とする(別添一参照)。

イ 法第八条第二号(鉱業)、第四号(運輸交通業)、第五号(貨物取扱業)及び第一五号(清掃・と畜業)並びに林業の事業

ロ 法第八条第一号(製造業)、第三号(建設業)、第八号(商業)、第一二号から第一四号まで(教育研究業、保健衛生業、接客娯楽業)の事業のうち常時三〇〇人以下の労働者を使用するもの

ハ 法第八条第一〇号(映画・演劇業)の事業並びに第一七号(その他の事業)の事業及び事務所のうち、常時一〇〇人以下の労働者を使用するもの

② 法第一三一条第三項の規定に基づき、製造業、鉱業、建設業、運輸交通業、貨物取扱業、清掃・と畜業の常時一〇人未満の小規模事業場については、平成七年三月三一日までの間、週四六時間とする。

③ 特例措置の水準は週四六時間とし、その範囲は現行どおり(常時一〇人未満の商業、映画・演劇業(映画の製作の事業を除く)、保健衛生業、接客娯楽業)とし、常時五人未満の商業、接客娯楽業については、平成七年三月三一日までの間、週四八時間の経過措置を設ける。

④ 一年単位の変形労働時間制において、法第三二条の四第三項の規定に基づき、一日の労働時間の上限等は、変形期間が三カ月以内の場合には現行三箇月単位の変形労働時間制と同様(上限一日一〇時間・一週五二時間、一週間に一日の休日の確保)とし、三カ月超の場合には上限一日九時間・一週四八時間、連続して労働させる日数を一週間に一日の休日の確保とする。

また、法第一三二条第一項及び第二項の規定に基づき、一年単位の変形労働時間制及び一週間単位の非定型的変形労働時間制の一週間当たりの労働時間の猶予については、1の①及び②の猶予対象事業場であって一〇〇人以下(現行三〇〇人以下)のものにあっては四二時間(現行どおり)とする。

⑤ 法第三七条第一項の規定に基づき、法定時間外の割増賃金率は二五%以上(現行どおり)とし、法定休日の割増賃金率は三五%以上とする。

⑥ 年次有給休暇について、所定労働日数が少ない労働者に対する年次有給休暇の比例付与については、その付与日数を一部増加する。

⑦ 社内預金の預金管理状況報告の様式を改正する。

2 周知期間及び目的について

平成五年度第四半期を集中的な周知期間とし、改正労働基準法及び関係政省令の内容について、次により広く周知徹底を行い、その円滑な施行を図ること。この場合、特に、中小企業等への周知に配慮すること。また、中小企業労働時間短縮促進特別奨励金制度、時短診断サービス事業等の援助措置の活用促進も併せて行うよう留意すること。

(1) 関係行政機関、関係団体に対する協力依頼等について

本省においては、別添2に示した事業所管官庁等国の行政機関、都道府県、事業主団体等関係団体に対して、周知活動の実施について二月上旬ごろを目途に文書を送付する等により協力依頼をすることとしているが、各局においても地方公共団体、都道府県婦人少年室、公共職業安定所等の管内の関係行政機関や関係団体等に対し、広く協力を求めること。

なお、局署においては、都道府県及び市町村の広報誌(紙)、事業主団体等の機関紙及び広報誌への掲載等並びに都道府県のテレビ及びラジオの放送番組の活用等を依頼するものとすること。おって、掲載依頼等を行う場合には、別添3に掲げる例文を参考とすること。

また、労働時間短縮支援センターの都道府県支部との十分な連携を図ること。併せて、労働時間制度改善緊急特別事業における労働時間制度改善特別指導員に対する情報提供にも配慮すること。

(2) 広報活動について

本省においては、周知期間中に社団法人全国労働基準関係団体連合会とも連携の上、新聞広告、スポットCM、屋外広告塔等を活用した広報を行うほか、報道機関に対する積極的な情報提供等に努めることとしているところであるが、各局においても、ポスター、リーフレット等の関係資料及び懸垂幕等の有効な活用を図るとともに、新聞、テレビ及びラジオ等の情報機関はもとより、記2(1)で示したとおり地方公共団体、事業主団体等関係団体に広報についての協力を求めるなど、創意工夫を凝らして効果的な活動を展開すること。

特に報道機関に対しては、いわゆる業界関係紙を含め積極的に対応し、広報について協力が得られるよう努めること。

(3) 地方労働基準審議会等の場の活用について

地方労働基準審議会等の場を通じ、改正労働基準法等の内容を説明するとともに、関係労使をはじめとする関係者の相互の連携、協力の下に事業主等への周知に努めること。

(4) 集団指導、説明会の開催等について

事業主(団体を含む。)等に対する集団指導、説明会等については、中小企業時短促進援助事業等の対象集団(過去において対象とした集団を含む。)をはじめ、業界、業種、地域団体等まとまりのあるものを指導単位として設定するなどの方法により実施するとともに、労働基準協会、社会保険労務士会と連携を図り、局署の実施分担を明確にして効率的に行うよう努めることとすること。この場合、特に、商工会議所、商工会、中小企業団体等の中小企業の団体に対する周知の機会を設けることに留意すること。労働安全衛生対策、労災補償対策等他のテーマで集団指導が行われる場合にも、それらの場を積極的に活用し、周知に努めること。

おって、全国社会保険労務士連合会会長に対し、周知、広報等について別途協力依頼を行うこととしていることに留意すること。

(5) 事業主等からの相談への対応の充実

署においては、改正労働基準法の改正内容に係る事業主等からの相談への対応については、窓口を設ける等その充実に努めること。この場合、平成三年三月一三日付け基発第一四一号「当面の労働時間対策の具体的推進について」記の6(3)により相談窓口を設置している署については、例えば、「改正労働基準法相談窓口」の表示を行う等その更なる活用を図るものとすること。また、新たに相談窓口を設ける場合には、事業主等が利用し易いものとすること。

局においても、上記相談については積極的な対応に努めることとし、労働時間改善コンサルタントを積極的に活用するものとすること。

 

(別添1) 略

 

(別添2)

関係行政機関等一覧

1 総務庁長官 官房長

2 警察庁長官 官房長

3 経済企画庁長官 官房長

4 科学技術庁長官 官房長

5 環境庁長官 官房長

6 国土庁長官 官房長

7 法務大臣 官房長

8 外務大臣 官房長

9 大蔵大臣 官房長

10 文部大臣 官房長

11 厚生大臣 官房長

12 農林水産大臣 官房長

13 通商産業大臣 官房長

14 運輸大臣 官房長

15 郵政大臣 官房長

16 建設大臣 官房長

17 自治大臣 官房長

18 日本商工会議所 会頭

19 日本経営者団体連盟 会長

20 経済団体連合会 会長

21 全国中小企業団体連合会 会長

22 全国商工会連合会 会長

23 全国商店街振興組合連合会 会長


別紙1

○週四〇時間労働制への移行等労働時間制度の改正の概要及び周知について

平成六年一月一〇日労発第七号、基発第二五号、職発第八号

(都道府県知事あて労働省労政局長、労働省労働基準局長、労働職業安定局長)

法定労働時間の短縮は、昭和六三年四月一日に施行された改正労働基準法において、週四〇時間労働制が法定労働時間短縮の目標として明記され、段階的に短縮するものとして、一週間の法定労働時間は、同日から四六時間、平成三年四月一日から四四時間とされてきたところであり、昭和六三年の改正労働基準法の施行後既に十分な年月を経てきており、週四〇時間労働制の実施を図ることが求められてきた。このことは、平成四年六月三〇日に閣議決定された「地球社会との共存をめざして―生活大国五か年計画」においても「完全週休二日制の普及を促進するため、労働基準法の改正により、早期に週四〇時間労働制に移行するとともに、中小企業が行う省力化投資等への支援措置を積極的に推進し、実態として、計画期間中に大部分の業種において週四〇時間労働制を実現する」と示されたところである。

このような情勢下において、先の第一二六回通常国会において、労働時間短縮を主眼とし、週四〇時間労働制への移行等を内容とする労働基準法の改正がなされ、平成六年四月一日から施行の運びとなり、関係政省令も平成六年一月四日に公布されたところである。

ついては、この改正労働基準法及び関係政省令の内容が十分に周知徹底され、その円滑な施行ができるよう、労働省労働基準局長より都道府県労働基準局長に別途指示したところであるので、貴職におかれても、この趣旨を踏まえ、改正労働基準法及び関係政省令の内容についての広報等に係る協力について、特段の御配慮をお願いする。

なお、改正労働基準法及び関係政省令の内容については別添一のとおりであり、また、その主な内容は次のとおりである。

① 週四〇時間労働制を平成六年四月一日より実施する。

② 命令で定める規模・業種の事業に係る法定労働時間の適用については、平成九年三月三一日までの間、「四〇時間を超え四四時間以下の範囲内において命令で定める時間」とし、具体的には、次に掲げる事業について週四四時間とする(別添二参照)。

イ 労働基準法(以下「法」という。)第八条第二号(鉱業)、第四号(運輸交通業)、第五号(貨物取扱業)及び第一五号(清掃・と畜業)並びに林業の事業

ロ 法第八条第一号(製造業)、第三号(建設業)、第八号(商業)、第一二号から第一四号まで(教育研究業、保健衛生業、接客娯楽業)の事業のうち常時三〇〇人以下の労働者を使用するもの

ハ 法第八条第一〇号(映画・演劇業)の事業並びに第一七号(その他の事業)の事業及び事務所のうち、常時一〇〇人以下の労働者を使用するもの

③ 製造業、鉱業、建設業、運輸交通業、貨物取扱業、清掃・と畜業の常時一〇人未満の小規模事業場については、平成七年三月三一日までの間、週四六時間とする。

④ 特例措置の水準は週四六時間とし、その範囲は現行どおり(常時一〇人未満の商業、映画・演劇業(映画の製作の事業を除く)、保健衛生業、接客娯楽業)とし、常時五人未満の商業、接客娯楽業については、平成七年三月三一日までの間、週四八時間の経過措置を設ける。

⑤ 従来の三箇月単位の変形労働時間制の変形期間を一年に延長し、一日の労働時間の上限等は、変形期間が三か月以内の場合には現行三箇月単位の変形労働時間制と同様(上限一日一〇時間・一週五二時間、一週間に一日の休日の確保)とし、三か月超の場合には上限一日九時間・一週四八時間、連続して労働させる日数を一週間に一日の休日の確保とする。一年単位の変形労働時間制及び一週間単位の非定型的変形労働時間制の一週間当たりの労働時間の猶予については、猶予対象事業場であって一〇〇人以下(現行三〇〇人以下)のものにあっては四二時間(現行どおり)とする。

⑥ 法定時間外の割増賃金率は二五%以上(現行どおり)とし、法定休日の割増賃金率は三五%以上とする。

⑦ 年次有給休暇の初年度における継続勤務要件を一年から六か月に短縮するとともに、出勤率の算定に当たって育児休業をした期間について出勤したものとみなす。また、所定労働日数が少ない労働者に対する年次有給休暇の比例付与については、その付与日数を一部増加する。

⑧ 林業労働者を労働時間法制の適用対象に加える。

⑨ 社内預金の預金管理状況報告の様式を改正する。

(10) 罰金額を引き上げる。

(別添一)略