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通達:労働基準法第三六条の時間外・休日労働に関する労使協定制度の運用の適正化とモデル三六協定の利用の促進について

 

労働基準法第三六条の時間外・休日労働に関する労使協定制度の運用の適正化とモデル三六協定の利用の促進について

昭和四六年九月二七日基発第六六五号

(都道府県労働基準局長あて労働省労働基準局長通達)

 

労働基準法においては、八時間労働制及び週休制の原則を定めるとともに、同法第三六条の労使協定の締結、届出及び第三七条の割増賃金の支払を要件として、時間外及び休日の労働を認めているが、一部事業場において、労使協定の締結、届出なしに時間外労働等が行なわれたり、労使協定の締結、届出はあるが、協定の内容あるいは協定の当事者が必ずしも法の趣旨に沿う適切なものでない場合があり、全般的な労働時間の短縮の情勢の中で一部に恒常的に過長な時間外労働が行なわれている実態がみられる。

このような実情にかんがみ、左記により、法第三六条の時間外、休日労働に関する労使協定制度の運用の適正化をはかることとし、また、これに資するため、特定の産業について、モデル三六協定を作成し、その普及、利用をはかることとしたので、これが運用に遺憾なきを期されたい。

なお、本職より別添のとおり業界団体あて協力を要請したので了知されたい。

 

一 時間外、休日労働を行なう場合の労使協定の締結、届出の促進について

法第三六条の時間外労働又は休日労働を行なう場合には、労使協定の締結、届出が必要であることについて、従来に引き続き、集団指導、個別監督等各種の機会をとらえて関係業界、事業主に対する指導を行なうこと。

二 労使協定の締結当事者について

法第三六条の労使協定の締結当事者に関しては、事業場の労働者の過半数で組織する労働組合がない場合の労働者の過半数を代表する者について、労働関係において使用者的立場にある者が締結当事者となつている場合がある等、その選出方法、代表者性等に問題がある場合があるので、法の趣旨に合致した労働者の過半数を代表する者が選ばれ、締結当事者となるよう、前記一と同様、機会をとらえて関係業界、事業主に対する指導を行なうこと。

この場合、過半数代表者の選出方法については、選挙又はそれに準ずる方法によることが望ましく、また、労働者の代表者としては、法第四一条第二号に規定する監督若しくは管理の地位ある者は望ましくないこと。

三 モデル三六協定の普及、利用について

(1) 趣旨

前文に述べたような実情にかんがみ、時間外労働、休日労働を行なう場合の法律上の要件である法第三六条の労使協定に関し、特定の産業について、その実情に即応しつつ、時間外労働又は休日労働をさせる必要のある具体的事由、業務の種類等の協定内容のモデルを示す「モデル三六協定」を作成し、関係労使の理解と認識のうえに、その普及、利用をはかり、もつて、恒常的、過長時間外労働等の改善に資するものであること。

(2) 対象産業及びモデル

モデル三六協定作成の対象とする産業については、労働時間に関する各種統計、調査結果等を参考とし、必要性、実効性等を考慮して、順次選定する考えであるが、昭和四六年度においては、①金属製品製造業、②機械製造業、③電気機械器具製造業の三産業とし、当該産業のモデル三六協定は、別紙のとおりとすること。

なお、各局においては、管内の実情に即し、前記以外の産業についても、本通達の例にならい、モデル三六協定の作成、指導を行なつてさしつかえないこと。この場合、モデル三六協定の作成については、できるだけ業界の自主的努力により行なわれるよう配慮すること。

(3) 普及、利用の指導

モデル三六協定については、次のような方法により、各局管内の該当産業の関係労使に周知徹底をはかり、法第三六条の労使協定の締結にあたつては、労使の理解と認識のうえに、モデルに則つた協定が締結されるよう、その普及、利用をはかること。

イ 局署幹部による関係業界団体に対する要請

ロ 業界広報紙、局署関係広報紙等の刊行物掲載による広報

ハ 関係業界使用者等に対する集団指導等の機会を利用しての説明

ニ 該当産業の事業場からの法第三六条の協定の届出受理に際しての説明

ホ 該当産業の個別事業場監督において労使時間関係の監督を行なう際の説明

ヘ 社会保険労務士に対する周知とその活用

なお、本省において別添のとおり、モデル三六協定普及用のパンフレツトを作成したので、前記指導の際活用されたいこと。

(4) 報告

本対策の推進に関し、関係業界の反応その他参考となる事情があれば、随時本省に報告すること。

また、前記二による各局において業種を選定し、モデル三六協定を作成した場合にも、その内容等を本省に報告すること。

 

別紙